【日本代表コラム】惨敗に見えた脆さ…Jリーグでも散見される「受け身」の守備2017.12.17 15:00 Sun

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▽「韓国の方が日本を大きく上回っていた」と試合後の記者会見で最初に口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。その言葉通り、様々な部分で日本は韓国に遅れをとっていた。

▽結果は1-4で惨敗。韓国相手に4失点を喫したのは38年ぶりの屈辱的な出来事とのこと。その要因は、メンタルコントロールと判断力の欠如だった。

◆絶好の入りも…
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▽立ち上がり1分、日本は推進力を持ってプレー。左サイドを突破したDF車屋紳太郎が左足でクロスを上げると、飛び込んだFW小林悠がヘッドで合わせた。ゴールこそならなかったが、川崎フロンターレでも見たことのあるプレー。入りは悪くなった。

▽そしてちょうど1分を迎えるところ、小林のフリックからMF土居聖真がダイレクトで前につなぐと、右サイドから走り込んだFW伊東純也が倒されPK獲得。小林がしっかりと左隅に決めて、幸先良く先制した。

▽各選手の良さが出て、結果的にPKで先制。絶好の立ち上がりを見せた日本代表だったが、この試合で良かったのはここまでだった。スイッチが入った韓国に押し込まれると、立て続けに3失点。韓国のインテンシティの高さに後手を踏んでしまった。

◆上がらないインテンシティ
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▽先制を許した韓国は、ギアを上げてプレー。日本の守備陣は受け身になってしまった。日本としては、インテンシティを上げてきた韓国に対し、ボールを保持して時間を使うこと、そして同じレベルまでインテンシティを上げることが必要だった。

▽インテンシティが上がらない理由の1つは、「選手のポジショニング」と言えるだろう。先制後、韓国のミスもある中で主導権を握れなかった日本は、推進力に押され最終ラインが下がってしまった。また、アンカーのMF今野泰幸も最終ラインに吸収されてしまうようなシーンが多く、プレス強度が上がらなかった。

▽相手の攻撃に対し、「受け身」になってしまうことで、人数的に足りていても、インテンシティが保たれない守備となってしまう。その場合、選手が余っているにも関わらず、マークの受け渡しが上手くいかないことが起こりやすい。ボールホルダー、ボールそのものを追ってしまうことになっていた。

▽プレスをかけ、相手を追い込むことで、パスコースを限定する、または無理なボールを蹴らせるということができる。しかし、受け身になることで相手に主導権を渡し、攻撃陣に自由を与えてしまう。特に、2列目の選手がプレスをかけずに引いてしまったことで、全体的に重心が後ろになっていった。その結果は失点シーンにも表れている。

◆数的有利でも抑えられないクロス
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▽例えば1失点目のシーン。日本はボックス内に4人の選手(今野泰幸、三浦弦太、昌子源、車屋紳太郎)がいた。韓国は3人。イ・ジェソンはこぼれ球を狙う位置におり、キム・ミヌは後方からニアに走り込む役回り。ターゲットはキム・シンウクのみだった。しかし、そのキム・シンウクにフリーの状態でヘディングで決められてしまった。

▽この失点に関しては、1つはクロスを上げたキム・ジンスへの寄せの甘さ、そしてもう1つがマークの受け渡し、つまり選手のポジショニングが問題だった。

▽マークで言えば、DF植田直通がボックス脇のイ・グノに、キム・シンウクに対しては昌子が付いていた。今野は飛び込もうとしているキム・ミヌを警戒、車屋はイ・ジェソンを見ていたと考えられる。ボックスの外には、MF倉田秋も下がってきていた。

▽この場面、1つ前のプレーでは伊東のプレスによりサイドのキム・ジンスへパスが出された。しかし、ここはノーマーク。MF井手口陽介はイ・グノへのパスコースを切っていたのかもしれないが、植田がしっかりと付いていたことを考えれば、キム・ジンスへのアプローチを早める必要があっただろう。

▽そしてクロスへの対応も同様だ。このシーンではDF三浦弦太は数的に余っている状況。三浦も競りに行くことは可能だった。そして、車屋はキム・シンウクの背後にいたことを考えれば、体を寄せることはできたはずだ。しかし、警戒していたキム・シンウクと競り合ったのは昌子のみ。身長差と状況を考えれば、決められてしまうのは必然だった。

◆失点シーンに見えるJリーグの脆さ
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▽問題点は、クロスを簡単に上げさせてしまうこと、そしてボックス内での競り合いで優位性を保てないことだ。こういったシーンはJリーグでも良く見られる。サイドからのクロスを長身FWが頭で合わせる。数的に勝利していても、決められてしまう。Jリーグを普段見られている方であれば、シーズン中に何度も目にする光景だと思う。

▽特に、サイドハーフが中に入ってプレーした時のサイドバックの上がりに関しては、脆さを見せる傾向にあるだろう。サイドハーフ、ボランチ、サイドバックと、どの選手が対応するのかが不明確になりやすい。

▽失点シーンも、伊東、井手口、植田の右サイドの3人の守備に疑問が残る。韓国の左サイドバックに対してのマークは誰が見るべきだったのか。イ・グノに対して植田が付いていたが、三浦でもよかったはずだ。そうなれば、植田がキム・ジンスにつけるだろう。また、もう1つ前のプレーで伊東がプレスに行ったが、伊東がキム・ジンスを追いかけ、井手口がプレスに行くことも可能だったはずだ。しかし、受け身になっていたためにスタートポジションが下がっていたため、伊東がプレスに。キム・ジンスがフリーでクロスを上げられる状況となった。

▽ゴールにはならなかったが、19分の韓国のカウンターも同様だ。CKからカウンターで逆襲を受けると、右サイドをキム・ジンスが突破。昌子が対応すると、中央へ折り返される。これに対し、遅れて上がってきたボックス手前のキム・シンウクがダイレクトシュートを放った。このシーン、昌子がキム・ジンス、三浦は後方から上がってきたキム・ミヌを警戒。しかし、キム・シンウクは完全にフリーだった。植田は余っており、井手口もキム・ジンスを追うのではなく、キム・シンウクに付くべきだっただろう。

▽急造チームであること、連携面に不安を抱えていることは事実だ。しかし、普段からできているプレーをすることはできたはず。先制後に自然と「受け身」になってしまい、全体的にどう守るかをピッチ上で判断できなかったことは残念なポイントの1つだ。

◆ピッチ内でのメンタルコントロール
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▽守備面にも関わることではあるが、もう1つ気になったのは、メンタルコントロールができなかった点だ。1-1に追いつかれた後、日本は焦りからか攻め急ぐチーンが多く見られた。

▽韓国も決して良いパフォーマンスとは言えず、パスミスから日本にボールを渡してしまうシーンも少なくなかった。しかし、攻め急ぎ、縦への意識が強いあまり、すぐさま韓国にボールを渡すシーンが散見された。

▽スピードのある攻撃を求めること自体は悪くないが、試合の展開を読むことができれば、ポゼッションを高め、オープンな展開を止めることもできたはず。しかし、その勢いに身を任せたことで、韓国に押し込まれるだけになってしまった。

▽経験値が少ない選手が多い中、ピッチ上でコントロールできる選手がいなかったことも残念だ。本来であれば今野がその役割を果たすべきだったかもしれない。しかし、今野もまた韓国の勢いに飲まれていたようにも見えた。メンタルコントロール、そして中国戦でも気になった「判断力」の面では、チーム全体としての未熟さが出てしまったようにも思う。

◆それでもわずかな収穫
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▽4失点での大敗となれば、得られたものは多くはない。それでも、先発した土居聖真や途中出場の阿部浩之といった、自分の普段通りのプレーを出せている選手もいた。土居は前線で競り合うだけでなく、プレスの質や仕掛ける姿勢を見せていた。阿部も出場時間は短いが、周りを使うプレー、そして自分が生きようとするプレーを見せていた。

▽ワールドカップは日韓戦以上にメンタルコントロールが重要となる。浮き足立たずにプレーできる選手がいるというのは、ポジティブな材料だろう。日本代表デビューとなったMF三竿健斗も、落ち着いたプレーを見せ、繋ぎ役に徹するだけでなく、積極的に前に出て行く場面が見られた。

▽北朝鮮戦で好パフォーマンスを見せたGK中村航輔は、この日も良いパフォーマンスを見せていた。4失点とはいえ、どれもセーブのチャンスは少なかったと言える。それ以上に、失点を防いだシーンが見受けられた。代表出場2試合目のパフォーマンスとしては申し分ない。

▽「この大会で2勝できたことは一定の結果」と語るように、北朝鮮戦、中国戦で粘りながら試合を進め、勝利できたことはプラスだ。韓国戦の惨敗が印象強く残るが、3試合を通じての収穫はあった。

▽ワールドカップに臨むレベルかどうかはさておき、Jリーグ勢である程度戦えること、そして足りないものが多く見えた。そういった点でも、収穫はゼロではない。

▽次の代表戦は3月。その前にJリーグは開幕する。各選手がクラブに持ち帰り、自身の今後のプレーにどう繋げるかが最も重要だ。東アジアで通用しなかった部分を見つめ直さなければ、ロシア行きの切符も掴めないだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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「総合力」を高めるための実験は及第点…森保監督の調合がカギに/日本代表コラム

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停滞した後半で新たな課題、北川航也の見えざる貢献は新たな一手の可能性/日本代表コラム

初戦のトルクメニスタン代表戦で苦しみながらも勝利を収めた日本代表。その試合から中3日、第2戦のオマーン代表戦でも苦しみながら勝利。グループステージの突破を決めた。 結果としては、1-0で勝利し、初戦でミスから2失点を喫したディフェンス陣は無失点に抑えた。一方で、オフェンス陣は序盤の決定機を逸したことにより、1得点に留まった。初戦からの改善は見られた部分もあったが、やはり不完全燃焼と言わざるを得ない。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆改善された立ち上がり</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190114_38_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> トルクメニスタン戦から、メンバーを2名変更した日本。1人は、臀部の痛みを訴えていたFW大迫勇也(ブレーメン)に代わりFW北川航也(清水エスパルス)を起用。もう1人は、DF槙野智章(浦和レッズ)に代えてMF遠藤航(シント=トロイデン)を起用した。 遠藤はMF柴崎岳(ヘタフェ)とともにボランチに入り、トルクメニスタン戦でボランチ起用されたDF冨安健洋(シント=トロイデン)がDF吉田麻也(サウサンプトン)とともにセンターバックでコンビを組んだ。 立ち上がり、トルクメニスタン戦は中央の崩しに固執してしまった日本だが、この試合ではサイドも有効に活用。立ち上がり2分には、堂安が積極的に仕掛けると、ボックス内へのクロスをMF原口元気(ハノーファー)がシュート。しかし、クロスバーに阻まれる。 さらに7分、12分とMF南野拓実(ザルツブルク)がGKと一対一の決定機を迎えるが、シュートはセーブされてしまう。24分、26分にも南野は決定機を迎えたが、いずれも得点を奪えず。しかし、26分のシーンでは原口がファウルを誘い、PKを獲得。しっかりと決めて先制し、この1点を守り切って勝利した。 先制点までの26分間に、南野が得たビッグチャンスは4度。立ち上がりの原口のシュートを含めれば、5度の得点チャンスを作り出した。これは、トルクメニスタン戦と比較しても、良い立ち上がりだったと言える。 ピッチの横幅を使うこと、そして、1トップの北川が受けるだけでなく、オマーンのディフェンスラインのポジショニングを見て、最終ラインからロングボールを送って裏をとるということ。攻撃面では大きな改善も見えたが、5度の得点チャンスを1度も生かせていないことは大きな問題だ。 結果として、PKを獲得して先制したものの、判定に助けられた部分も大きい。相手GKのパフォーマンスも評価に値するが、1人で4度決定機を迎えた南野がゴールを奪えなかったことは、課題として大きく残った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆停滞した後半</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190114_38_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 一方で、後半のパフォーマンスには不満が残る。前半の得点機を逸した日本だったが、後半の立ち上がりからオマーンが強度を強めて出てきた。また、徐々にボールをオマーンが持つ時間が増えたことにより、日本はペースを掴めない時間が続いた。 停滞した状況を打破しようと、日本は北川に代えて武藤嘉紀(ニューカッスル)を投入。しかし、この交代がハマらず、日本は決定機どころか、シュートすら打てない状況を迎えてしまった。 オマーンの攻撃に対しては、冨安、吉田を中心に守備陣が奮闘。特に、ボランチに入った遠藤が攻守に渡って冴えており、無失点で凌ぐことが出来た。終盤のパワープレーに対してはヒヤリとさせられる場面も作られたが、2試合目でクリーンシートを達成できたことは、選手たちにとっても自信になったはずだ。 しかし、攻撃面での変化がつけられなかったことは大きな課題として残る。ビハインド、またはイーブンの状況で勝利を目指すことを考えれば、2試合目の後半に及第点は与えられない。しっかりと課題として、ウズベキスタン戦までに準備してもらいたい。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆北川の見えざる貢献はオプションにも</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190114_38_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前半の決定機を逸したことが試合の流れに影響を与えたことは1つあるだろう。あの場面で2点、3点と奪えていれば、オマーンの戦い方も変わり、さらなるゴールを積み重ねられた可能性もある。フィニッシュの精度という点では、ウズベキスタン戦での奮起に期待したい。 一方で、もう1つ試合の流れを変えたと考えられる場面があった。それは1トップに入った北川の交代だ。 大迫の欠場により、先発した北川。森保体制になってから、大迫以外の1トップが結果を残したことはなく、欠場時のプランに不安があったのは事実だ。 この試合でも先発した北川は、試合中に見せ場を作ることなく、57分と早い時間に武藤と交代させられている。確かに、決定機に絡めず、ボールタッチ数も少なかった。特に、南野との距離感が悪く、1トップに入る選手としては、働きが物足りないと言わざるを得ず、得点が欲しい森保監督が武藤を投入したのも理解はできる。 しかし、この日の北川は結果として黒子の働きを見せていた。前半から、ボールを受けようとしていたが、オマーンはウズベキスタン戦同様に縦パスが入った瞬間を狙っていた。そのため、2センターバックが北川をケアしていた。 さらに、オマーンが想定以上のハイラインを敷いたことにより、裏のスペースを狙うことが可能となった。北川にとってもやりやすい状況だったが、積極性が足らず、ポジショニングも良くなかったためボールが来ず。一方で、南野の近くにスペースが生まれ、決定機が生まれた。 大迫が欠場すると分かってか、オマーンは高いラインを敷いた。本来であれば、南野同様に自身にボールが入る動きをすべきだったが、経験値の少なさか、積極性に欠け、味方からパスを供給される回数が少なかった。 それでも、南野とのポジショニングを間違えることはなく、相手CBを引きつけていたことも事実だ。囮という考えでいけば、南野を生かすために使い道はある。コミュニケーションをとり、狙って動くことができれば、オプションになり得るだろう。 一方で、武藤は北川よりも前線で動くタイプ。サイドに流れるプレーや、裏へボールを呼び込むためのポジションチェンジなどを繰り返していた。しかし、武藤が動くことで、南野のスペースが消滅。結果として、前半に作っていた決定機はほとんど迎えることがなかった。 大迫の代役の答えは見つからないが、北川の起用は、南野を生かすという意味で考えればオプションにもなり得るだろう。ユース年代ではともにプレーしていただけに、お互いのイメージが一致すればだ。 前線からの守備という点でも、オマーンに対して効いていた部分はある。攻守の整備役としては及第点だ。しかし、1トップとして起用されていることを考えれば、最善のプレーだったとは言えない。大迫の穴の大きさは、やはり埋め切れないというのが現時点での答えであり、北川には自身が生きるプレーを見つける課題が残った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆大迫の存在は課題に</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190114_38_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 大迫のケガの状態が不明だが、決勝トーナメントの戦いを見据えれば、ウズベキスタン戦も欠場させる可能性は高い。その場合は、北川、武藤のどちらかを起用することになる。 どちらのプランが良いということではなく、それぞれ特徴が違うため、戦い方を変える必要があるということ。北川も、南野のサポートにはなっていたが、自身が生きたとは言えず、1トップとしては及第点を出せない。武藤もそれは同様だ。 決勝トーナメントへの進出を決めたものの、課題が残る日本。ウズベキスタン戦で勝利し、首位通過を目指す必要はあるが、選手の特徴を生かすという意味では、システムの変更も視野に入れて良いのではないだろうか。 基本システムは[4-2-3-1]としているものの、南野、堂安をサイドに置く[4-4-2]や堂安をインサイドに置き、南野をウイングに置く[4-3-3]も考えられるだろう。「システムを決めてはいない」と森保監督は過去に語っており、3バックを試合中に試すこともあると発言していた。 核となる大迫が不在、そしてMF中島翔哉(ポルティモネンセ)も今大会は不在の状況であれば、新たなオプションを探すという手も1つあるはず。9月に始まるカタール・ワールドカップ予選を考えても、様々な手を用意する必要はあるだろう。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆首位通過を争う相手は強敵</span> オマーンvs日本の後に行われたトルクメニスタンvsウズベキスタンでは、ウズベキスタンが0-4で圧勝した。日本が苦戦した相手に4得点を奪い、無失点に抑えたという状況。ウズベキスタンはグループ最大のライバルと言える。 トルクメニスタン戦では、1トップに入ったFWショムロドフが効いており、日本戦にも出場するとなると、ディフェンス陣は非常に手こずることになるだろう。世代別の代表でも結果を残しているウズベキスタンは、森保監督率いるU-21日本代表の前にも立ちはだかった。 この先の戦いを見据えれば、首位通過が望ましい。しかし、この2戦で日本も多くの課題を見つけたはず。3戦目でこの2試合の反省を生かすことができれば、勝利も難しくない。1戦目より改善が見られた2戦目。3戦目のウズベキスタン戦はさらなる好ゲームを期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2019.01.14 22:00 Mon
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形に固執した最悪の前半、対応力不足を2戦目の糧にできるか/日本代表コラム

「厳しい戦いになるということはチームで共有して、今日のトルクメニスタン戦に臨みました」 試合後の記者会見で日本代表の森保一監督が最初に語った言葉。予想通りの苦しい展開であったことを認め、その中で逆転勝利を収めたことは、結果だけを見ればプラスと言える。しかし、チームとしての戦い方を紐解くと、やはり厳しい内容だったと言わざるを得ない。 2大会ぶりのアジア制覇を目指して臨んだ今大会。グループステージの初戦で当たった相手は、トルクメニスタン代表だ。中央アジアの国であり、2018年11月のキリンチャレンジカップでは近隣国のキルギス代表と対戦した。 その試合では、4-0と快勝を収め、2018年の代表活動を良い形で締めくくった。しかし、前半で2点をリードしてからは停滞。後半に入り、FW大迫勇也(ブレーメン)、MF堂安律(フローニンヘン)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF中島翔哉(ポルティモネンセ)の4人からなる攻撃ユニットを投入。試合が活性化したものの、戦力差を痛感させられる場面でもあった。そして、それはこのトルクメニスタン戦でも出たように思う。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190109_41_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 大事なアジアカップ初戦のスターティングメンバーは、GK権田修一(サガン鳥栖)、DF冨安健洋(シント=トロイデン)、堂安、南野を除く11人中7名がロシア・ワールドカップ経験者。初戦の勝利に向けた意気込みを感じるラインナップだった。しかし、フタを開ければコンディションが整っていないことが明白で、運動量も少なく、ミスも散見される展開だった。 森保監督も「最終的にチームとしてコンディションを合わせる部分で難しいところはあった」と試合後に認め、「そこはある程度、覚悟していた」と語った。確かにシーズン終了後の国内組、シーズン真っ只中の海外組、そして試合の出場時間が短い選手と個々のコンディション調整が難しい時期ではある。それでも、厳しい戦いになると戦前に予想していたならば、試合中の対策を準備しておくべきだったと思う。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆最悪の前半、形に固執し墓穴を掘る</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190109_41_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 立ち上がりからペースが上がらず、パスミスやボールロストからカウンターを受けていた日本。その要因の1つは、中央からの崩しに固執しすぎたことだろう。左サイドに入った原口、右サイドの堂安ともに、サイドに張る機会は少なく、ボールを受ければ常に中を意識。ボールサイドとは逆にいても、中央に絞っていた。 また、中盤でボールを持ったMF柴崎岳(ヘタフェ)や冨安も縦パスで南野に当てるシーンが多く、DF長友佑都(ガラタサライ)やDF酒井宏樹(マルセイユ)の両サイドバックが攻撃に絡む機会は少なかった。 ブロックを敷くトルクメニスタンにとっては、中央を固めてボールを奪い、簡単にカウンターに移れたため、日本陣内に攻め込むことができた。さらに、コンディション面も影響したのか、トランジションが極端に遅く、ボールロスト時に足が止まるシーンが前半から見られた。 単調な攻撃、運動量の欠如を生み出した要因の1つは、中島の不在とも言える。ケガによる大会不参加は、2018年の戦いで日本の攻撃を牽引していた存在の大きさを初戦でも感じさせた。中島が出場していた際には、左サイドに張ってボールを受け、中央へのカットインやコンビネーションで崩す他、サイドを縦に仕掛ける崩しなど、攻撃のバリエーションが豊富だ。中央の崩しに固執することは、少なくともなかっただろう。 1失点目は、堂安のパスミスから生まれたカウンター。アマノフの強烈なミドルシュートは褒めるべきものではあったが、距離が離れていたこと、そしてブラインドになっていなかったことを考えると、権田の対応にも不満は残る。日本代表の守護神になるのであれば、あのシュートは防ぐ必要があった。打ってこない、打ったとしてもあのレベルのシュートは来ないという油断があったのかもしれない。しかし、親善試合ではなく公式の大会。アジアの頂点を決める大会なのだから、油断は禁物だ。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ハーフタイムで修正し逆転勝利</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190110_22_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 失点だけでなく、決定的なピンチを何度も迎えた日本は、ハーフタイムで修正する。まずは、サイドの関係だ。中央に固執するあまり、ピッチの幅を使えていなかった前半に比べ、後半は特に左サイドの長友が修正。本来であれば、原口が使うべき大外のレーンを長友が使い、サイドからの崩しを多用した。 また、「切り替えの部分あったりとか、球際のバトルのところ」と森保監督が明かした通り、中盤、前線での球際の強度を上げていった。その結果、徐々にセカンドボールを拾えるようになり、同点ゴールにつながる。 それまでは、単純なクロスを選択していたものの上手くいかず。しかし、相手の意識がクロスに向いたタイミングで、左サイドでボールを持った原口がグラウンダーのボールを中央へ。大迫の素晴らしいボールコントロールでゴールを奪った。そして逆転ゴールもサイドから。吉田のロングフィードを原口が落とし、駆け上がった長友がボックス内へ。相手DFの対応のまずさもありながら、長友が冷静にクロスを入れ、大迫が無人のゴールへと押し込んだ。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆修正力を見せるも、対応力の欠如を露呈</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190110_22_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> サイドからの仕掛けを増やしたことで逆転できたことはプラスだろう。ただし、この対策がハーフタイムでしかできなかったことは、大きな課題と言える。試合中に流れを変える、相手の出方を見てやり方を変える。難しい要因があったにせよ対応力の欠如が露呈した。 「前半はゴールを奪えなくてもボールを動かしたことが相手にとってボディブローのように効いてきたと思う」と森保監督は、前半をビハインドで終えてもプラスに捉えたが、それは相手がトルクメニスタンという実力差があったから。日本が目指すアジアの頂点に向かうには、決勝トーナメントでアジアの実力国との戦いが待っている。 ハーフタイムというチーム全体に指示を送れるタイミングで変化をもたらせることは、そこまで難しいことではない。ただ、それを試合中にできなければ、後半が始まってしまえば、もう修正が難しいと言わざるを得ない。もちろん、交代のカードを切ることでも対応はできるが、根本的な解決は、ピッチ内で選手ができる必要があるだろう。 思い起こせば、2018年7月、ロシア・ワールドカップのラウンド16で対戦したベルギー代表戦。2-0とリードした日本だったが、マルアン・フェライニが投入されて追いつかれ、ラストプレーで逆転を許して敗退した。様々な要因があるものの、この試合でも欠けていたのはピッチ内での対応力だ。自分たちの形に固執しているようでは、この先に厳しい戦いが待っているだろう。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆大事な2戦目、バウンスバックに期待</span> <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20190110_22_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 悪いところばかりを指摘してきたが、収穫もゼロではない。試合終了後の表情を見ていれば、勝ったという事実こそ喜ばしいものの、誰一人笑顔の選手はいなかった。自分たちに足りないもの、そしてアジアカップというものを4年ぶりに思い出した選手も多いはず。森保体制初の公式戦で、痛いほどに課題を突きつけられた。 それは指揮官も同様だ。「内容的には攻守ともにすべて上げていかないといけない。次の試合の課題として進んでいきたいと思う」と会見で語った。アジアでの戦いは東京五輪世代を率いても、森保監督は難しさを痛感していたはず。そして、A代表の初戦でも感じただろう。 日本が目指すものはアジア制覇。つまり、大会を通じて7試合を戦わなければいけない。当然、チームとしてのピークを初戦に合わせることもなく、大会を通じてコンディションを全体的に上げていき、キープすることが求められる。トルクメニスタン戦はFW北川航也(清水エスパルス)のみを投入したが、展開によってはグループステージの残り2戦で多くのことを試す必要もあるだろう。 W杯経験組は改めて気が引き締まり、初出場組はアジアの難しさを痛感したはず。しかし、その経験が次戦以降の糧となることで、頂点が見えてくるはず。順風満帆なスタートとならなかったことは、改めてアジアの戦いの難しさを体感するという意味では、収穫だっただろう。次戦のオマーン代表戦のバウンスバックに期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2019.01.10 14:00 Thu
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新戦力が光明を見出すも選手間の差は明確に…/日本代表コラム

▽チーム発足から4カ月、森保ジャパンの2018年の戦いは全て終わった。結果は5試合で4勝1分け。初戦のチリ代表戦が北海道胆振東部地震の影響で中止となったものの、チームを作り上げ結果を残した。 ▽UEFAネーションズリーグの影響で欧州勢との試合が組めず、アフリカ・ネーションズカップの予選を戦うアフリカ勢とも対戦ができなかった。そのため、北中米カリブ海、南米の国と戦ったが、3勝1分け。とりわけ、主力を起用してきたウルグアイを相手に打ち合いを制したことも、新戦力が多いチームとしては自信となったはずだ。 <span style="font-weight:700;">◆不安材料は残ったまま</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181121_22_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽キルギス戦は、ベネズエラ戦から先発11名全てを変更。左サイドバックには初出場となったDF山中亮輔(横浜F・マリノス)を起用。また、ボランチの一角には初先発となるDF守田英正(川崎フロンターレ)、トップ下にはこちらも初先発となるFW北川航也(清水エスパルス)を起用した。 ▽DF槙野智章(浦和レッズ)、MF原口元気(ハノーファー)のロシア・ワールドカップ組以外は、日本代表としての経験が少ない選手。FIFAランクでは格下に位置するキルギス相手にどの様なパフォーマンスを見せるのか。ベネズエラ戦の後半に見せた低調なパフォーマンスを払拭できるかに期待が懸った。 ▽立ち上がり2分、ボックス手前中央でパスを受けた杉本。トラップに失敗したことでシュートチャンスを逸したが、左サイドのスペースにボールを送ると、走り込んだ山中がシュート。横浜FMでも見せる形から史上最速となるデビュー弾を決め、日本がリードする。 ▽18分にもボックス付近でFKを獲得すると、原口が直接狙いゴール。相手GKのファンブルもあってのゴールだが、2-0とリードを広げた。その後も日本は決定機を作っていくが、MF伊東純也(柏レイソル)が決定機を連続で逸し、FW杉本健勇(セレッソ大阪)も決定的なシーンを作れず、2-0で折り返した。 ▽立ち上がりこそ効率良くゴールを奪っていた日本だったが、徐々にそのチャンスを不意に。試合の流れを掴み切れず、試合が停滞していった。ベネズエラ戦で結果を残せなかった選手たちが先発したものの、やはり連携面の精度が低く、プレー精度も低いため、効果的な攻撃が時間の経過とともに減っていった。控え組のパフォーマンスに不安は残ったままと言える。 <span style="font-weight:700;">◆輝きを見せた新戦力</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181121_22_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽そんな中でも、2人の選手が輝きを放っていた。それは、初ゴールを記録した山中と、ボランチの一角で出場した守田だ。 ▽ファーストシュートで代表初ゴールを記録した山中。普段から攻撃面で特長を出せている選手であり、そのプレーが日の丸を背負っても出すことができた。キルギスのパフォーマンスもあり、守備面の確認があまりできない試合だったが、攻撃面では果敢にサイドを上がり、深さをとってクロスを上げるシーンも多く見られた。デビュー戦としては、本人も自身を掴み、結果を出せたことは大きな収穫だった。 ▽今回は代表招集を見送られたDF長友佑都(ガラタサライ)がアジアカップで起用できるかは不透明。DF佐々木翔(サンフレッチェ広島)のパフォーマンスも高かったとは言えず、山中にとってはポジションを奪うチャンスが到来した。まずは、ゴールという形で結果を残した山中。アジアカップにも招集され、よりそのプレーに磨きが掛かることを期待したい。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181121_22_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽そして圧巻だったのは、守田のパフォーマンスだ。大卒ルーキーとしてプロの世界に飛び込んだ守田は、右サイドバックとして川崎Fでデビュー。MFエドゥアルド・ネット(現名古屋グランパス)の移籍に伴い、ボランチでのレギュラーを掴むと、チームのJ1連覇に貢献した。 ▽守備面を買われてのボランチ起用だった守田だが、コンビを組むMF大島僚太(川崎フロンターレ)とともに攻撃面も磨かれ、ポジショニング、カバーリング、そして攻撃への切り替え、パスのチョイスと代表初先発とは思えないパフォーマンスを見せた。今回の代表チームには、MF遠藤航(シント=トロイデン)、MF柴崎岳(ヘタフェ)、MF三竿健斗(鹿島アントラーズ)が招集されており、守田の前にはMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)が招集されていた。ライバルは少なくないが、今後のさらなる成長と活躍には期待せざるを得ない。 <span style="font-weight:700;">◆盤石のレギュラー組に割って入るのは</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181121_22_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽2-0で迎えた後半、FW大迫勇也(ブレーメン)、MF堂安律(フローニンヘン)、MF中島翔哉(ポルティモネンセ)、MF南野拓実(ザルツブルク)と前線のユニットを投入。すると、72分には守田の縦パスを受けた北川が足裏を使って繋ぐと、大迫が蹴りこんで追加点。直後には、投入されたばかりの南野が持ち上がり堂安へパス。堂安がダイレクトで繋ぐと、中島が蹴り込んで4点目を奪った。 ▽選手交代で流れを一気に引き戻す形が確認できたことは大きな収穫だ。一方で、ベネズエラ戦と逆の展開となり、選手間のパフォーマンスの差が明確になってしまった。来年1月のアジアカップまで実戦の場はなく、選手たちのクラブでの活躍を頼りにするしかない。それでも、戦う形は見えているだけに、どこまで選手たちがピッチ内で表現できるか。レギュラー組に割って入る存在が出てくることが期待される。 ▽GKを除いて、基本的には各ポジションに2名ずつと予想されるメンバー。とりわけ前線の選手は、誰がフィットするのか。または、誰がこの先の伸び代を持っているのか。森保監督は限られたリーグ戦で見極めるミッションが残された。 <span style="font-weight:700;">◆本番まで約1カ月</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181121_22_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽1月5日のアジアカップ開幕まで約1カ月。日本のみならず、多くの国が新たなチーム作りをスタートさせ、初の大きな大会となる。韓国代表やオーストラリア代表がライバルとなってくるが、どちらもチーム作りが進んでいる。日本も負けなかったことは大きな自信となり、3度の招集で森保監督が目指すサッカーも理解できたはずだ。 ▽森保監督が招集したメンバーで代表デビューを果たしたのは8名。継続して呼ばれている選手も居る。また、キリンチャレンジカップには招集されなかったものの、過去に代表招集を受けて結果を残している選手たちも居る。どの様なメンバーでアジアカップに臨むのか。この5試合の評価と反省、分析を行い、今後の伸び代を考慮したメンバーを選考してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.11.21 17:00 Wed
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見え隠れした収穫と課題、差を埋められるか/日本代表コラム

▽選手たちがスタジアムに来ない…前代未聞のエクスキューズから始まったベネズエラ代表戦は、1-1のドロー。森保ジャパンにとって、初めて勝利を逃した試合となった。 ▽ウォーミングアップの時間が取れなかったことについては「ボールを使ったり、長い距離を走ったりというような試合の状況を想定した動きができませんでした」と振り返った森保一監督。スタメン組は室内でのアップで戦いに臨んだ。 ◆新たな守備ラインは収穫と課題が<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181118japan_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽10月のウルグアイ代表戦のメンバーが中心となったスターティングメンバー。GKには日本代表初キャップとなるシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)を起用。さらに、センターバックの一角にはDF冨安健洋(シント=トロイデン)を起用し、代表の守備の要であったDF吉田麻也(サウサンプトン)と初コンビとなった。 ▽立ち上がり11分、日本は大ピンチを迎える。浮き球のパスを入れられると、これをDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)が頭でバックパス。しかし、勢いが足りなかったボールは、FWサロモン・ロンドン(ニューカッスル)がシュート。シュミット・ダニエルの脇を抜けたものの、戻った冨安がギリギリのところでクリアを見せ、失点を逃れた。 ▽代表2キャップ目となった冨安だが、この試合のパフォーマンスは圧巻だった。前述のクリアに加え、常に相手のボールを前で奪うチャレンジを敢行。ボールを奪ったまま、相手陣内まで持ち上がるプレー見られた。その他にも、一対一で負けるシーンは少なく、吉田との連係も悪くなかった。無謀ではない守備でのチャレンジは、吉田とのコンビがあったからとも言える。良さをしっかりと発揮できた冨安のプレーは大きな収穫と言えるだろう。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181118japan_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽また、初キャップとなり、ろくにウォーミングアップもできないままピッチに立ったシュミット・ダニエル。PKでの失点は防ぎようもないものだったが、それ以外のプレーは及第点といえるだろう。さらに、魅力である高さはクロスボールに対して威力を発揮。加えて、ビルドアップの部分でも高い能力を見せた。 ▽森保監督は、これまでGK東口順昭(ガンバ大阪)、GK権田修一(サガン鳥栖)、そしてシュミット・ダニエルと3人のGKを招集し続けてきた。そして、今回のシュミット・ダニエルの起用で、全員を起用したこととなる。来年1月のアジアカップも同じメンバーで臨む可能性が高いが、4年後を見据え熾烈なポジション争いがスタートすることだろう。 ▽一方で、不安材料も見えた。それはサイドバックの人選だ。今回は、肺気胸の影響でDF長友佑都(ガラタサライ)が招集外に。また、状態によってはアジアカップも欠場となる。右サイドバックには、代表初ゴールを決めたDF酒井宏樹(マルセイユ)とDF室屋成(FC東京)がおり、左サイドバックには佐々木とDF山中亮輔(横浜F・マリノス)が招集された。しかし、先発した佐々木は守備面でも不安定さを見せた上、攻撃参加の回数も少なく、インパクトを残せたとは言えない。ロシア・ワールドカップのメンバーであったDF酒井高徳(ハンブルガーSV)は代表引退を表明。この先、誰がポジションを掴むのか。サイドバックの出来は課題が残った。 ◆前線の形は確立も…<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181118japan_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽MF中島翔哉(ポルティモネンセ)、MF堂安律(フローニンヘン)、MF南野拓実(ザルツブルク)が先発した2列目、そして1トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は盤石だった。開始3分で、右サイドを突破した堂安からのパスを受けた中島がシュート。26分には、南野のパスを受けた堂安が華麗なタッチで相手DFをかわし、右足でシュートも枠外。34分には、大迫が狭い中央を通すパスを出すと、中島がGKと一対一になるも、シュートはセーブされてしまった。 ▽決定機を作り続けていた場面、4選手の連係面は申し分なかった。足りなかったのは、ゴール。アジアカップでは、このような決定機をいかに決めきれるかが結果を左右する。形は見えてきており、対応力もある前線のコンビは、より精度を高めていければ良いだろう。 ▽一方で、控え組のパフォーマンスの差が気になるところだ。68分に大迫、中島が下がり、FW北川航也(清水エスパルス)、MF原口元気(ハノーファー)が投入。77分には、南野、堂安が下がり、MF伊東純也(柏レイソル)、FW杉本健勇(セレッソ大阪)が投入された。しかし、それまでの4人が見せていた連係は見られず、中盤のMF柴崎岳(ヘタフェ)、MF遠藤航(シント=トロイデン)との関係性も変わった。選手が代わったことでやり方が変わることは問題ないが、互いが描くイメージが異なっている印象に。スタメン組のプレーをベースとするのであれば、力の差を感じざるを得ない出来となった。 ◆戦力の底上げが必須<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20181118japan_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽20日には、初のアジア勢であるキルギス代表との試合を控えている。アジアカップに初出場となるキルギスとの対戦は、本番で対戦するウズベキスタン代表、トルクメニスタン代表への対策でもあるだろう。前述の2カ国に加え、タジキスタン、カザフスタンと共に中央アジアと呼ばれている。実力的には劣ることになるが、本番への良いテストの場となるはずだ。 ▽しかし、森保監督には新たな戦力を試してもらいたいと思う。前述の通り、選手の中に徐々に序列ができあがってきている。それ自体は悪くないが、完成度の差、パフォーマンスの差が否めない。キルギス戦では、今回起用されなかった選手、または組み合わせを試してもらいたいところ。選手を手元で見る機会はもうなくなり、Jリーグもシーズンが終わるとなると、選手を見極められる機会がなくなる。しっかりと戦力を見極めるための戦いを期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.11.18 23:01 Sun
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