【J1クラブ通信簿】後半戦は新スタイルが浸透、来季に繋がったシーズン《ベガルタ仙台》
2017.12.08 21:35 Fri
▽歴史が動き、シーズンが閉幕した2017明治安田生命J1リーグ。最終節まで優勝争い、残留争いが繰り広げられ、最後まで目が離せない白熱したシーズンとなった。
▽「DAZN」マネーにより、シーズンの成績で今後のクラブ強化に大きな影響を及ぼすこととなった2017シーズン。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブを総括。トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価で振り返る。第7弾は新たなスタイルに着手したベガルタ仙台を総括する。
◆シーズン振り返り
【主なトピック】
●第3節ヴィッセル神戸戦は、東日本大震災発生後初めて3月11日に仙台で試合開催
●第4節柏レイソル戦でJ1通算100勝達成
●クラブ史上初となるYBCルヴァンカップベスト4進出
●西村拓真がYBCルヴァンカップのニューヒーロー賞を受賞
●期待の新加入・平山相太は度重なるケガで出場なし
▽渡邉晋政権下4年目を迎えた今シーズンは、チームの戦い方を大きく変えたシーズンとなった。ストーブリーグでは積極的な補強を行い、これ前の[4-4-2]による堅守速攻のスタイルから [3-4-3]に変更し、能動的かつ流動的な攻撃を仕掛けるサッカーへの切り替えに挑んだ。
▽開幕2連勝を飾るなど順風満帆の船出となったが、第3節の神戸戦では東日本大震災後、初めて仙台で試合が行われるも0-2で敗戦。第4節の柏戦でJ1通算100勝を達成したが、そこから3連敗を喫し4戦未勝利(1分け3敗)と停滞。1つ白星を挟んで2連敗と不安定な戦いが続き、再び2連勝をするも第15節から第21節までの7試合で3分け4敗と苦戦を強いられた。
▽それでも、第31節のG大阪戦で引き分け残留が決定。リーグ戦のみならず、YBCルヴァンカップを利用して若手の経験値もアップさせ、結果以上にチームとして一回り大きくなれたシーズンだった。
◆チームMVP
明治安田生命J1リーグ31試合出場(先発31試合)/10得点
▽今シーズン浦和レッズから加入した石原だがすっかりチームの顔となった。ポゼッション志向となった仙台にとって、前線でタメを作れ、周りを使うプレーができる石原が重宝されたのは納得。前半戦ではクリスランが1トップに入ることもあったが、チームにフィットしてからは、より周りを使ったプレーができる石原が起用された。
▽監督の期待に応えるように、自身も後半戦だけで6得点をマーク。3年振りの2桁得点を達成するなど、点取り屋としての復活を印象付けるシーズンとなった。期限付き移籍でのプレーだっただけに、新シーズンも留まらせることがチームとしては最優先すべきだろう。
◆補強成功度「D」(評価:S~E)
▽中盤ではMF中野嘉大がケガから復帰してポジションを掴むも再び離脱し、そのままシーズンが終了。途中加入のMF野津田岳人、ウイングバックとしてプレーした古林将太もレギュラーとしてチームの力になった。
▽前線に関しては石原とクリスランが奮闘も、期待されていたFW平山相太は度重なるケガにより公式戦では1試合もプレーできずに、移籍初年度を終えた。補強が失敗だったとは言えないが、シーズン前の期待値を考えるとやや物足りない結果に終わったと言える。
◆総合評価 「D」(評価:S~E)
▽守備に関して言えば、システムの変更による「ツメの甘さ」が散見された。中でも問題視されるべきは球際の弱さ。ボールを奪いにかかる際の寄せの甘さ、強度の低さにより、簡単にアタッキングサードを攻略される場面が散見された。さらに3バックの両脇に対するケアも甘く、新シーズンに向けて、まだまだ改善点は多い。
▽攻撃に関しても、改善の余地が多い。シーズンが進むにつれて、アタッキングサードまでボールを運ぶ回数は増えたが、絶対的なフィニッシャーの不在が響いた。ボールを握れても、最後は個の能力がモノを言う。来シーズンはチャンスをゴールに結びつけるストライカーの補強が必要だろう。
▽西村の台頭は大きく、大岩一貴、奥埜博亮、三田啓貴と中堅どころが力をつけてきている印象が強い。ベースアップを含め、積み上げを行っている仙台。期限付き移籍中の選手をどこまで留められるかが、新シーズンの成績を左右するだろう。
▽「DAZN」マネーにより、シーズンの成績で今後のクラブ強化に大きな影響を及ぼすこととなった2017シーズン。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブを総括。トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価で振り返る。第7弾は新たなスタイルに着手したベガルタ仙台を総括する。
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【主なトピック】
●第3節ヴィッセル神戸戦は、東日本大震災発生後初めて3月11日に仙台で試合開催
●第4節柏レイソル戦でJ1通算100勝達成
●クラブ史上初となるYBCルヴァンカップベスト4進出
●西村拓真がYBCルヴァンカップのニューヒーロー賞を受賞
●期待の新加入・平山相太は度重なるケガで出場なし
▽渡邉晋政権下4年目を迎えた今シーズンは、チームの戦い方を大きく変えたシーズンとなった。ストーブリーグでは積極的な補強を行い、これ前の[4-4-2]による堅守速攻のスタイルから [3-4-3]に変更し、能動的かつ流動的な攻撃を仕掛けるサッカーへの切り替えに挑んだ。
▽開幕2連勝を飾るなど順風満帆の船出となったが、第3節の神戸戦では東日本大震災後、初めて仙台で試合が行われるも0-2で敗戦。第4節の柏戦でJ1通算100勝を達成したが、そこから3連敗を喫し4戦未勝利(1分け3敗)と停滞。1つ白星を挟んで2連敗と不安定な戦いが続き、再び2連勝をするも第15節から第21節までの7試合で3分け4敗と苦戦を強いられた。
Getty Images
▽それでもチームは今シーズンのスタイルを貫き続けると、中断期間後の第19節からは徐々にシステムが浸透しイニシアチブを握る試合が増加。相手に合わせたポジショニングや攻撃の仕掛けを続ける展開が増えたが、結果がなかなかついてこない苦しい時期が続いた。▽それでも、第31節のG大阪戦で引き分け残留が決定。リーグ戦のみならず、YBCルヴァンカップを利用して若手の経験値もアップさせ、結果以上にチームとして一回り大きくなれたシーズンだった。
▽シーズン前の補強を考えると1桁順位も期待されたが、結果は昨年と同様の12位。しかしこれまでのリアクションサッカーから脱却し、アクションサッカーへのスタイル変更を考慮すべきだろう。後半戦の戦いぶりが新シーズンに継続され、ワンランク上の選手を補強できれば、1桁順位、ACL出場権獲得も期待できるだろう。
◆チームMVP
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FW石原直樹(33)明治安田生命J1リーグ31試合出場(先発31試合)/10得点
▽今シーズン浦和レッズから加入した石原だがすっかりチームの顔となった。ポゼッション志向となった仙台にとって、前線でタメを作れ、周りを使うプレーができる石原が重宝されたのは納得。前半戦ではクリスランが1トップに入ることもあったが、チームにフィットしてからは、より周りを使ったプレーができる石原が起用された。
▽監督の期待に応えるように、自身も後半戦だけで6得点をマーク。3年振りの2桁得点を達成するなど、点取り屋としての復活を印象付けるシーズンとなった。期限付き移籍でのプレーだっただけに、新シーズンも留まらせることがチームとしては最優先すべきだろう。
◆補強成功度「D」(評価:S~E)
Getty Images
▽守備陣に関しては新加入のDF増嶋竜也が主力として3バックの一角を形成。DF永戸勝也も新人ながら負傷するまでは出色の出来を見せていた。しかし失点数はワースト5であり、数字だけを見ると成功したとは言えない。▽中盤ではMF中野嘉大がケガから復帰してポジションを掴むも再び離脱し、そのままシーズンが終了。途中加入のMF野津田岳人、ウイングバックとしてプレーした古林将太もレギュラーとしてチームの力になった。
▽前線に関しては石原とクリスランが奮闘も、期待されていたFW平山相太は度重なるケガにより公式戦では1試合もプレーできずに、移籍初年度を終えた。補強が失敗だったとは言えないが、シーズン前の期待値を考えるとやや物足りない結果に終わったと言える。
◆総合評価 「D」(評価:S~E)
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▽チームスタイルの変更に伴い、ボールを奪いに行く攻撃的な守備に変わったことで、昨シーズンは48だった失点数が53に増加した点は、ある程度目をつぶらなければいけない。ただ、期待された得点の部分で、昨シーズンの39得点から微増となる44得点では今の順位も仕方ないと言える。▽守備に関して言えば、システムの変更による「ツメの甘さ」が散見された。中でも問題視されるべきは球際の弱さ。ボールを奪いにかかる際の寄せの甘さ、強度の低さにより、簡単にアタッキングサードを攻略される場面が散見された。さらに3バックの両脇に対するケアも甘く、新シーズンに向けて、まだまだ改善点は多い。
▽攻撃に関しても、改善の余地が多い。シーズンが進むにつれて、アタッキングサードまでボールを運ぶ回数は増えたが、絶対的なフィニッシャーの不在が響いた。ボールを握れても、最後は個の能力がモノを言う。来シーズンはチャンスをゴールに結びつけるストライカーの補強が必要だろう。
▽西村の台頭は大きく、大岩一貴、奥埜博亮、三田啓貴と中堅どころが力をつけてきている印象が強い。ベースアップを含め、積み上げを行っている仙台。期限付き移籍中の選手をどこまで留められるかが、新シーズンの成績を左右するだろう。
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