【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】長谷部、山口不在の日本代表に風穴を開ける21歳の大型ボランチ・三竿健斗2017.11.29 18:00 Wed

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「2~3カ月前からチェックしているが、三竿(健斗=鹿島)はボールを奪える選手。ボールを奪った後のファーストパスも面白いものを持っている。他の選手より力強さもある。彼を日本代表で見てみたい」

▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が29日の東アジアカップ(E-1選手権)メンバー発表会見で大きな期待を口にしたのが、21歳の大型ボランチ・三竿である。

▽今回は国際Aマッチデーではないため、欧州組の長谷部誠(フランクフルト)を招集できず、代わって中盤の大黒柱になると思われた山口蛍(C大阪)も24日に右腓腹筋筋損傷を痛めて欠場を余儀なくされた。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を果たし、12月のFIFAクラブワールドカップ(FCWC=UAE)に挑む浦和勢レッズ勢も不在。ボランチの人材が手薄になっている。

▽そこで指揮官はベテランの代表経験のある今野泰幸と井手口陽介のガンバ大阪勢を呼んだが、そこにどうしても加えたかったのが三竿だろう。今の彼なら今野らと互角に渡り合えるという確信の下、満を持して抜擢したに違いない。

▽実際、今季鹿島での三竿のパフォーマンスは日に日に凄みを増している。石井正忠前監督(現大宮)が率いていた今季序盤こそ、控えに回ることが多かったが、大岩剛監督就任後は小笠原満男、永木亮太といった実績ある面々を押しのけてレギュラーポジションをつかんだ。レオ・シルバと並んでボランチに入ることもあれば、昌子源、植田直通とともに3バックを形成することもあり、ボール奪取力や球際の強さ、競り合いの激しさといった守備面で質の高い仕事ぶりを見せている。181㎝、73㎏という恵まれた体躯を誇る点でもハリルホジッチ監督から期待を寄せられるところ。ボスニア人指揮官が求める4-3-3のアンカー要員に最適の人材と言えるだけの潜在能力を彼は秘めているのだ。

▽東京ヴェルディユースに在籍し、2013年U-17ワールドカップ(UAE)に参戦した頃から、三竿は将来を嘱望される存在ではあった。当時は東京都内屈指の進学校として知られる立教池袋高校に通学。両親の意向もあって家庭教師をつけて英会話を習っていたほどだ。将来的に海外移籍も視野に入れているのだろうが、その賢さとインテリジェンスは代表生き残りに向けて大きな武器になるはずだ。

▽柴崎岳(ヘタフェ)を含め、中盤のポジション争いが極めて厳しい鹿島へあえて19歳で移籍したのも、「常勝軍団で定位置をつかめば、代表、海外への道のりが一気に開ける」という思いが少なからずあったのではないか。移籍1年目だった昨季は小笠原ら経験豊富な面々の高い壁にぶつかり、J1・4試合出場にとどまったが、1年間じっくり力を蓄えたことで、心身ともにレベルアップ。それが今季の堂々としたプレーぶりに出ている。当たり負けしないタフさと粘り強さは21歳の若手とは思えない。デュエルを何よりも重視するハリルホジッチ監督はこういうタイプのボランチの出現を強く望んでいたはず。今回は思い切って試合にも起用するだろう。

▽そこで屈強なフィジカルを誇る中国や北朝鮮と真っ向勝負できれば、2018年ロシアワールドカップ生きも見えてくる。右ひざ負傷を抱えながら戦っている長谷部が本大会3戦すべてにフル稼働できない可能性が高いだけに、バックアップ選手の発掘は必要不可欠なテーマだ。山口も井手口も170㎝台前半で世界基準で見ると体格的にやや見劣りする部分があるだけに、三竿が一足飛びにステップアップしてくれれば、日本代表にとっても間違いなく朗報だ。

▽今回は昌子、植田、西大伍、山本脩斗、金崎夢生と同じ鹿島勢が5人選ばれているのも、若武者には心強い要素。特に最終ラインの4人が揃って背後に控えていてくれるのは、三竿にとっての大きなアドバンテージになるだろう。あらゆる意味で追い風が吹いているE-1選手権。この機をつかむか否かで今後の彼の動向が決まると言っても過言ではない。

▽振り返ってみれば、4年前のE-1(韓国)でも、当時22歳だった山口蛍が目覚ましい働きを披露。日本の優勝の原動力となる度当時にMVPに輝き、一気にブラジルワールドカップまで突き進んだ。その前例を踏襲すべく、21歳の若きダイナモには自国開催の大舞台で異彩を放ってほしいものだ。
【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。

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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】未来の日本を担う188㎝の大型DF。ベルギー移籍の動向次第でロシア滑り込みも? 冨安健洋

「世界的に有名な選手になりたいですし、もちろんA代表に行って中心としてやりたい気持ちもあります。そのためにも海外にはできるだけ早く行きたい。しっかりステップを踏んで上のレベルに上がっていきたいです」 ▽昨年5月のU-20ワールドカップ(韓国)直前、近未来の日本代表を担うと目される188㎝の大型センターバック・冨安健洋(当時福岡、現シントトロイデン)は大いなる野心を口にしていた。 ▽当時18歳の彼はU-20日本代表の主力として韓国に赴き、中山雄太(柏)とともに最終ラインを力強く統率。ベスト16入りの原動力となった。しかし、日本はラウンド16で最終的に準優勝するベネズエラに延長の末、0-1で敗れてしまう。悔しいことにその失点に絡んだ冨安は「苦い経験を忘れることなく今後に生かさないといけない」と自らに言い聞かせ、自己研鑽に励み続けた。 ▽その努力は昨季のアビスパ福岡でのJ2・35試合出場という目覚ましい働きにつながったが、第1目標だったJ1昇格は果たせなかった。それでも個人として前々から希望していた海外移籍の道は開けた。彼は今月からベルギー1部のシントトロイデンへ赴くことが決定。フィジカル色の強い異国のリーグで、より一層の高みを目指せる状況になったのだ。 <span class="split"></span> ▽かつて吉田麻也(サウサンプトン)がオランダ1部のVVVフェンロで欧州での一歩を踏み出し、2012年ロンドン五輪での活躍を機にイングランド・プレミアリーグへステップアップしたように、高さの部分で外国人選手に引けを取らない冨安には10歳年上の先輩と同じようなキャリアを積み重ねられる可能性がある。現時点ではスピードや強さなど足りない部分は少なくないが、鋭い戦術眼、冷静沈着な1つ1つの対応、メンタル的な落ち着きといった強みがある。こうした長所は19歳時点の吉田を上回っているかもしれない。 ▽非凡な能力の一端は、2016年リオデジャネイロ五輪直前のU-23ブラジル代表とのテストマッチでも如実に表れた。出場時間は25分足らずだったが、ネイマール(PSG)やガブリエル・ジェズス(マンチェスターC)らを擁する攻撃陣に物怖じすることなく真っ向からぶつかり、攻守両面で持ち味を出したことで、評価を一気に上げた。ベルギーにはネイマールのような爆発的な速さ、ジェズスのようなパワフルさを備えた選手が少なくないだけに、そういう面々と常日頃から対峙してスピードや当たりの強さに慣れていけば、早い時期にA代表でプレーできるメドが立つこともあり得るのだ。 ▽今のヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表センターバック陣を見ると、吉田を筆頭に、昨年後半から存在感を高めている槙野智章(ケルン)、2014年ブラジルワールドカップ経験者の森重真人(FC東京)、2018年ロシアワールドカップ最終予選終盤に出ていた昌子源(鹿島)、昨年12月の東アジアカップ(E-1選手権)でAマッチデビューを飾った植田直通(鹿島)、三浦弦太(G大阪)らがロシア行きの候補者。けれども、吉田と槙野以外は不安要素が少なくない。森重はケガで昨シーズンの大半を棒に振り、残る半年間でどこまで本来のパフォーマンスを取り戻せるか分からないし、昌子もE-1選手権・韓国戦で評価を大きく落とす結果となった。植田と三浦は代表経験値が乏しく、ワールドカップで戦えるかどうかは全くの未知数。そういう意味では、冨安とほとんど条件的には変わらないことになる。 ▽仮に冨安が新天地・シントトロイデンで瞬く間にセンターバックの定位置を確保し、ある程度の仕事ができることを実証すれば、ハリルホジッチ監督も一気に若武者の抜擢に踏み切るのではないだろうか。指揮官は1~2月は日本に戻らず、欧州視察に回るというから、そこで冨安が琴線に触れれば、サプライズ選出も起こり得るのだ。 ▽近未来の日本サッカー界を考えても、吉田の後継者たる存在をそろそろ作っておく必要がある。「日本はセンターバックの人材不足が大きな問題。そこを何とかしないといけない」と吉田も常日頃から危機感を口にしているほどだ。188㎝の長身と賢さを誇る冨安が風穴を開けてくれれば、今後に光が見えてくる。むしろ、そうなってもらわなければ困ると言っても過言ではない。 「ベルギーに行ってから、守備の駆け引きの部分など積極的に仕掛けるディフェンスで、ボールが入る前にどれだけ優位に立てるかを意識したい。吸収と改善を繰り返しながらしっかりと成長し、まずは試合に出られるように頑張りたい」と本人も欧州挑戦に向けて強い意気込みを口にした。その言葉通り、屈強なフィジカル誇る外国人FWと互角に渡り合う駆け引きや攻撃的守備を短期間で身に着けてくれれば、ロシアに手が届くかもしれない。日本中に驚きを与えるような急成長を19歳の大型DFには大いに期待したいものだ。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2018.01.10 12:00 Wed
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】日本人離れした身体能力は大きな魅力。そのスケール感をどう有効活用するか? 川又堅碁

▽2018年ロシアワールドカップまでの半年。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表に残されたテストマッチは、3月の欧州遠征2連戦と5月30日の壮行試合(横浜)、そして事前キャンプ地での2試合の合計5試合程度しかない。 ▽指揮官も「年明けからは選手の本格的な絞り込みに入る。これから30~35人くらいのラージリストを作りたい。3月のテストマッチ後から絞り、最終的に(W杯本大会登録メンバーの)23人のリストが生まれていく流れだ」と語っている。つまり、3月の欧州2連戦メンバーに入らなければ、ロシア行きはほぼなくなるということなのだ。 ▽その枠に何とか滑り込もうと、凄まじい意欲を燃やしているのが、12月の東アジアカップ(E-1選手権)で3試合連続ジョーカー起用された川又堅碁。184㎝・75㎏という恵まれた体躯を誇る大型ストライカーだ。彼の最大の武器は日本人離れした屈強なフィジカル。父・勇人さんは専修大学時代、陸上の三段跳びの選手で全国6位に入った実績を持つ。そのDNAを受け継いだうえ、幼少期から水泳、野球、陸上、剣道、空手と数多くのスポーツに取り組み、楽々とこなしていたという。そんな選手だから、かつて福西崇史(現解説者)を指導した愛媛・小松高校時代の恩師・真鍋秀樹監督も「中学生の川又を始めて見た時、福西をはるかに超えた並外れたスケール感があった」と言うほどだ。その能力をコロンビア、セネガル、ポーランドという強敵と対峙するロシアの大舞台で使わないのはもったいない。 <span class="split"></span> ▽川又が滑り込みを目論む1トップの枠は、大迫勇也(ケルン)が当確で、それ以外の1~2枠を代表通算50ゴールの岡崎慎司(レスター)、ドイツ組の武藤嘉紀(マインツ)、今季得点王の小林悠(川崎)、同22ゴールの杉本健勇(C大阪)らが競っている状態だ。パチューカ移籍後は中央でプレーすることの多い本田圭佑もこの枠の候補者の1人と考えてもいいだろう。川又はこれだけ実績のある面々に勝たなければならない。本人は「ロシアに生き残るために? そんなことを発言したら俊さん(中村俊輔=磐田)に怒られる。『もっと練習しろ』って」と冗談交じりに苦笑していたが、かつて代表10番を背負った先輩からの後押しを受けているのは事実だ。 ▽実際、今季磐田に移籍してからの彼の成長ぶりは目覚ましいものがあった。アルベルト・ザッケローニ監督に初めて日本代表合宿に呼ばれた2014年はアルビレックス新潟、2015年E-1選手権(中国・武漢)の時は名古屋グランパスに所属していたが、その頃の川又はボールがうまく収まらず、前線の起点になり切れないことが多かった。「足元の技術がやや不足している」という評価も根強く、ハリルホジッチ監督もそのあたりを問題視したから、長い間代表招集を見送ってきたのだろう。 ▽しかしながら、今季磐田で名パサーの徹底指導を受けたことで、今回のE-1選手権では相手のプレッシャーを受けながらもしっかりとタメを作り、味方の決定機を演出できるようになっていた。それは特筆すべき点だ。加えて、ゴールこそ奪えなかったものの、豪快なヘディングを何本もお見舞いしていて、その迫力は小林や金崎夢生(鹿島)を上回るものがあった。 「出てくると雰囲気がガラリと変わる? それは自分でも分かってる。そのうえで必要なのはゴール、チームをいい方向に向かせるようなプレー。それができればそれでいい。ただ、今回の東アジアでは3試合ともに決めきれなかった。これがワールドカップだったとしたら、自分がチャンスを決めるか決めないかで、チームが上に上がれるかどうかが決まる。そういう意味でもいい課題ができたかな」と本人も前向きにコメントしていた。 ▽ロシアを戦ううえで、やはりジョーカーとして流れを変えられる人材はやはり重要だ。名前を挙げたFW陣の中でその役割に最適なのは、この川又ではないだろうか。彼はそこに照準を当てて「短時間で目に見える仕事のできる選手」ということを強烈にアピールするべきだ。それを来季開幕からの1か月間で確実に遂行し、ハリルホジッチ監督の信頼を勝ち取れば、ひょっとすればひょっとするかもしれない。 ▽2014年ブラジルワールドカップを逃した時、「次こそは」と自分自身に誓いを立てたという川又。それを現実にしなければ、数々の苦しみを乗り越え、自分自身に磨きをかけてきた意味がない。持てる力の全てをまだ発揮していない怪物が大化けする姿を2018年にはぜひとも見てみたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2017.12.27 12:00 Wed
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】韓国戦で貴重なPKをゲット。数少ないインパクトを残した新スピードスター・伊東純也

▽宿敵・韓国に1-4という信じがたい大差をつけられ、惨敗を喫した16日の2017年東アジアカップ(E-1選手権)最終戦。日本代表の多くが相手の高さや技術に翻弄される中、積極果敢に自分の特徴であるスピードを押し出そうとしたのが、右FWの伊東純也だった。 ▽開始早々の2分、右サイドのスローインからFW小林悠、MF土居聖真を経由し、ペナルティエリア内に背番号14が突っ込み、DFチャン・ヒョンスのファウルを誘った。これで得たPKを小林が決める。この日の日本にとってポジティブだった場面はこれくらい。伊東が数少ない希望の星になったのは確かだ。 ▽「ボールを受けて仕掛けるって場面を多く作りたかったんですけど、試合展開的に難しくなってしまったのかなと。自分はもっとできると思うし、やれる時間はあるので、それをもっと出せればいいかなと思います」と試合後にも強気の姿勢を垣間見せた。 ▽FWキム・シンウクの1点目につながるDFキム・ジンスのクロス対応で後手を踏むなど、守備面では稚拙さを垣間見せたし、後半は右太もも裏の痛みが出て動きが鈍ったが、直面した課題を修正していけば、いずれA代表でも活躍できる存在になりそうだ。 <span class="split"></span> ▽そもそも伊東純也は神奈川県横須賀市出身。地元の鴨居サッカークラブから横須賀シーガルズを経て、逗葉高校、神奈川大学へ進んでいる。横須賀シーガルズからは、今季限りでユニフォームを脱いだMF石川直宏が出ているが、速さとドリブル突破を武器とする先輩をさらにスケールアップさせたのが、伊東純也なのかもしれない。 ▽転機となったのは、関東大学サッカーリーグ2部を戦った神奈川大学3年の時。得点王とベストイレブンをダブル受賞し、一気に知名度を上げた。4年の時にはアシスト王を手にするなど、攻撃面で非凡な才能を擁していることが実証されたのだ。その伊東に目を付けたのがヴァンフォーレ甲府。2015年のJ1では瞬く間にデビューを果たし、30試合出場4ゴールと大卒新人にしてはまずまずの結果を残す。甲府は現在サンフレッチェ広島にいるMF柏好文(国士舘大)、DF佐々木翔(神奈川大)、MF稲垣祥(日体大)らに象徴される通り、大卒新人の発掘に定評がある。伊東も甲府のお眼鏡に叶ったからこそ、1年でブレイクを果たすことができたのだろう。 ▽翌2016年には柏へ移籍。当初は右サイドバックで起用されていたが、下平隆宏監督就任後は本来の攻撃的な位置を担うようになり、持ち前の仕掛けがより一層光るようになる。彼のスピードできりきり舞いさせられたDFも少なくなく、「ハリルジャパンに伊東純也を呼ぶべき」といった論調も日に日に高まっていった。 ▽2016年リオデジャネイロ五輪のメンバーから落選したことも、ハリルホジッチ監督の気持ちを押しとどめる要因になったのかもしれないが、今から振り返ると、もっとA代表に早く呼んでいてもいい存在だったのは確か。MF井手口陽介を初招集した2016年11月のオマーン戦、あるいはその井手口が初キャップを飾った今年6月のシリア戦あたりで彼がチームに加わっていたら、今頃はFW浅野拓磨やFW久保裕也と熾烈なデッドヒートを繰り広げていた可能性も否定できない。 ▽「拓磨や裕也…、みんな特徴が違いますけど、自分は監督の求めている裏への動きとか、縦への仕掛けとか出せればいいかなと。拓磨とはタイプが違いますし、もっと仕掛ける部分とかは出せるかなと思います」と本人も強調していたが、同じスピードタイプでも裏へ飛び出すのに長けている浅野とは違う。セカンドトップを本職とする久保と比べてもチャンスメークという意味では伊東が優位かもしれない。もちろん本田圭佑(パチューカ)とは国際経験値で比べるべくもないが、本田にないものを伊東は持っている。そこは自信を持っていい部分。そこを研ぎ澄ませていくことができれば、ロシアの最後の1枠に滑り込む希望も生まれてくる。 ▽2006年ドイツワールドカップの時も、国内組の1人としてガムシャラさを前面に押し出していたFW巻誠一郎がジーコ監督の心を動かし、ラスト1枠に食い込んだという好例もある。プロになるまで一度も年代別代表に選ばれたことがなかった伊東なら、誰よりも雑草魂を持ってサッカーに取り組めるはず。そういうタフさと泥臭さを見せてくれれば面白い。さしあたって23日の天皇杯準決勝、横浜F・マリノス戦で、大ベテラン・中澤佑二率いる相手守備陣をきりきり舞いするところをぜひとも見せてほしい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2017.12.20 12:00 Wed
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】精神的支柱に成り得るこの男はロシアW杯に必要・本田圭佑

▽本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)、香川真司(ドルトムント)の「ビッグ3」が選から漏れたことで、戦いぶりが一層注目された日本代表の11月欧州2連戦(10日=ブラジル、14日=ベルギー)。フタを開けてみると、ブラジル戦は1-3、ベルギー戦も0-1の苦杯。世界トップの牙城はやはり高かった。 ▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はこの2連戦で中盤に守備力の高い長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(C大阪)、井手口陽介(G大阪)らを起用。吉田麻也(サウサンプトン)が「メンツ的にもポゼッションを捨ててブロックを作ってカウンターってところに全てを費やしているので、それ自体が崩れてしまうのは一番よくない」と話していたが、その守備が破られてしまったのだから、このままでいいはずがない。7カ月後に迫った本大会に向け、多少なりとも修正を加えなければいけないことは明白だ。やはり前線でタメを作れる人材を増やし、サッカースタイルを微調整していくことも考える時期に来ている。 <span class="split"></span> ▽そんな今こそ、再評価されるべきなのが本田ではないか。昨季ACミランで出番を失ったことで、代表でも久保裕也(ヘント)や浅野拓磨(シュツットガルト)の後塵を拝する形になったが、今夏に赴いた新天地・パチューカでは着実にパフォーマンスを上げている。移籍当初は負傷で出遅れたものの、9月半ば以降、一気に巻き返しに出ている。9月28日のクルス・アスル戦でのゴールを皮切りに、10月25日のメキシコカップ1回戦・サカテペク戦で2得点、30日のサントス・ラグーナ戦で1得点、11月8日のメキシコカップ準々決勝・ティファナ戦で1得点とゴールを固め取り。ティファナ戦での4人抜きループ弾は絶好調時のパフォーマンスを彷彿させるものがあった。<div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20171117_14_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽9月5日の2018年ロシアワールドカップアジア最終予選ラストのサウジアラビア戦(ジェッダ)でミスを連発して前半45分で下げられた際、「(ボールを失ったところは)感覚的なもの。取り戻していかないといけない」とコンスタントにピッチに立ち続けることの重要性を改めて強調した本田。それを最後に代表から遠ざかる形になっているが、中東の地で残した言葉通り、パチューカでスタメン出場する回数を劇的に増やし、フィジカル的なキレやゴール前の鋭さも引き上げつつある。12月にはFIFAクラブワールドカップ(UAE)も控えていて、そこでブレイクすれば、ハリルホジッチ監督も考え直さなければならなくなるだろう。卓越した国際経験値を誇るこの男を放っておく手はない。 ▽1-3で敗れたブラジル戦を見ても「本田がいればもっと前線にタメができるのに…」と感じさせられる場面が少なからずあった。同じ右サイドを担う久保や浅野は矢のような推進力を持つアタッカーとしては有能だが、相手を食いつかせるようなドリブルやボールキープはできない。山口蛍も「(ロシア行きを決めた8月31日の)オーストラリア戦みたいに前からプレスをかけ続けるのは1試合ならできるかもしれないけど、本大会みたいに中2日、3日で試合となれば絶対にできないと思う」と話しているだけに、やはりポゼッションを多少は織り込んで修正を加えていく必要はある。そうなれば、やはり本田というピースが不可欠なのだ。 ワールドカップのような凄まじい重圧のかかる舞台での強靭なメンタリティという部分でも、彼は際立ったものがある。それは2010年南アフリカワールドカップのカメルーン戦(ブルームフォンテーヌ)とデンマーク戦(ルステンブルク)での2得点、2014年ブラジルワールドカップ・コートジボワール戦(レシフェ)での1得点でも実証されている。98年フランス大会から始まった日本のワールドカップ史を紐解いても3ゴールを奪っているのは本田だけ。それだけ大舞台に強いということだ。 ▽仮に本田がロシアに戻ってきた場合、過去2大会のように全試合スタメンは保証されないだろうが、彼ならばベンチからチーム全体を力強く鼓舞できる。それは過去1年間の最終予選終盤での立ち振る舞いを見てもよく分かるはずだ。 ▽ハリルホジッチ監督にとっては、存在感が大きすぎるゆえに扱いづらい存在なのかもしれないが、そういう人間がいない代表は「小さくまとまった集団」になってしまう。そんなチームが2大会ぶりのベスト16進出を果たせるかどうかは疑問である。本田のような選手こそ真のプロフェッショナル。そこへのリスペクトを忘れることなく、指揮官は彼の再招集を真剣に考え直すべきではないか。そこには改めて注文をつけておきたい。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2017.11.17 13:30 Fri
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【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】ポルトガルの悪環境で磨いた国際感覚、自分からアクションを起こせる力は代表に必要・金崎夢生

▽10月のニュージーランド(豊田)・ハイチ(横浜)2連戦で低調なパフォーマンスに終始した日本代表。ハイチに引き分けたことでFIFAランクもアジア3位に後退し、12月1日にロシアで行われる2018年ロシアワールドカップドローで第4ポットに入ることが確実視されている。となれば、強敵のひしめく組に入ることも大いに考えられる。日本代表は本番まで残り8カ月でレベルを大幅に引き上げる必要があるだろう。 ▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はもともと欧州組偏重の指揮官だが、10月2連戦で国内組が結果を出せなかったことで、その傾向に拍車がかかると見られる。FW陣を見ても海外経験のない選手はかなり不利。ハイチ戦で代表初ゴールを決めた187㎝の長身FW杉本健勇(C大阪)も当落線上ギリギリだ。大迫勇也(ケルン)、岡崎慎司(レスター)、武藤嘉紀(マインツ)と欧州実績のある面々がひしめくだけに、新たな国内組FWが滑り込むのは至難の業と言っていい。 <span class="split"></span> ▽わずかな可能性のある選手がいるとすれば、常勝軍団・鹿島アントラーズのエース・金崎夢生だろう。今季J1では11ゴールと、興梠慎三(浦和)や杉本、小林悠(川崎)より少ないが、彼には2年間の欧州経験がある。13-14シーズン後半のニュルンベルクではあまり出場機会に恵まれなかったが、13年夏に移籍したポルトガルリーグ2部のポルティモネンセでは大黒柱として活躍。屈強なDFを背負ってタフに戦う1トップとしてのプレースタイルはそこで養われたという。 ▽目下、中島翔哉もプレーしている同クラブの運営規模は日本のJ3かJFL程度。スタジアムも1万人収容だが、観客はスポルティング、ベンフィカ、FCポルトのビッグ3以外だと1000~2000人程度しか入らない。絨毯のように美しい天然芝が当たり前の日本とは異なり、ピッチ環境も決して芳しくない。そんなタフな環境下で、金崎はFWとしての経験値を積み重ねてきたのである。 ▽「ポルトガルは給料未払いのクラブとかいっぱいある。ポルティモネンセは大丈夫だったけど、選手は厳しい中でも必死にやってる。アウェイもバスで8時間移動したり、勝利給もなかっりしたしね。それでもみんなサッカーが好きで純粋なんだよね。そういう姿を見て、自分も原点に戻れた気がする。自分自身のプレースタイルも変わった。日本はパンパンパス回して展開速くしてってスタイルだけど、向こうはガッツリキープしてってスタイルが多い。そこで鍛えられたのは事実だと思う。日本で対峙する選手とは当たり方も違うし。そこでやらないと生き残っていけない。ホントに必死だったよね」と金崎は当時を述懐したことがある。自分なりに異国の環境に適応しようとアクションを起こし、自身のスタイルを変えていった経験は大きい。自分からアクションを起こせる選手が今の代表には少ないだけに、こういう存在がいてもいいのではないか。 ▽そもそも2007年に滝川第二高校から大分トリニータ入りし、19歳だった2009年1月のイエメン戦(熊本)で代表デビューした頃の彼は、切れ味鋭いドリブルから一気にゴール前へ駆け上がっていくイメージが強かった。が、2015年に鹿島に戻ってきた時の金崎は別人のように強く逞しくなっていた。屈強な外国人選手を背負ってもビクともせず、しっかりと起点を作ってゴールに持ち込める。その力強さは大迫に匹敵するほどだ。金崎本人は「大迫はすごくいい選手」とリスペクトを口にするが、仮に彼が日本代表の舞台に立っても同じようなターゲットマンの役割をこなせるはず。そこは特筆すべき点だ。 ▽2016年夏に鹿島の石井正忠前監督の采配に不満を爆発させた一件で、ハリルホジッチ監督から「彼の態度は受け入れがたい」と苦言を呈され、そのまま代表から外れる格好になっているが、金崎自身の輝きが衰えたわけではない。昨季のJ1制覇、クラブワールドカップ準優勝という成果、そして今季のリーグ戦での首位独走と、鹿島の快進撃をけん引しているのは紛れもなく彼である。そこはきちんと評価されてしかるべきだ。 ▽「ワールドカップ? もちろんチャンスがあれば出たいよ。それより、慎司(岡崎)さんとか清武(弘嗣=C大阪)みたいないい選手と一緒にプレーしたいんだよね。彼らと一緒にピッチに立って、勝ったら一緒に喜んで、負けたら悔しがって、勝つためにああだこうだ言いながら一生懸命やることが好きだから」と本人はつねに高いレベルを渇望しているが、そんな高揚感を最も強く感じられるのがワールドカップの大舞台。そこに手が届く可能性があるのだから、金崎には歯を食いしばって、貪欲に泥臭くゴールを狙い続けてほしいのだ。 ▽11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦は欧州組主体のメンバー構成になるだろうが、彼には12月の東アジアカップというチャンスが与えられるだろう。そこで強烈なインパクトを残すことが、最終登録メンバー23人に滑り込むための絶対条件。それを視野に入れつつ、今季終盤戦でどこまでパフォーマンスを上げられるかが非常に重要になってくる。常勝軍団の背番号33の一挙手一投足から目が離せない。<hr>【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。 2017.10.31 12:30 Tue
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