【日本代表コラム】痛感させられた差、ブラジルが見せた日本に必要なもの2017.11.11 12:57 Sat

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▽結果を見れば1-3と敗戦。内容を見ても、レベルの差を痛感させられた一戦となったブラジル代表戦。しかし、日本代表にとって意味のない試合だったかと言われれば、それは大きな間違いだ。

◆流れを断ったVARだが…
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▽日本は前半に流れを寸断されるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の判定により、PKが与えられ、ネイマールに先制ゴールを許した。レッドカードに相当するシーンや、得点に直接関与するシーンの判定で用いられることが通例だったが、時間をおいてのビデオ判定。そして、吉田麻也にはイエローカードが提示され、PKもブラジルに与えられた。出鼻をくじかれた感は否めない。

▽しかし、VARは今後さらに導入され、こういった場面は増えてくるだろう。時には、理不尽な使われ方が起きる可能性もある。しかし、それでも対応していかなくてはいけない。日本代表の選手の心情に“揺らぎ”が生まれ、浮き足立ってしまったのは残念だった。

▽それは守備面で特に見られた。この試合は、立ち上がりから相手陣内も含めて日本はプレスの強度を高めた。しかし、ブラジルの選手はそのプレスを回避。レベル差を感じさせられる場面は多かったが、日本がプレス強度をより強めれば、ファウルとなった。その結果、2度目のPKを献上。これはGK川島永嗣が見事に防いだが、その流れのCKから最後はマルセロに強烈なミドルシュートを叩き込まれ、あっという間にリードを2点に広げられた。浮き足立つことの恐ろしさを、選手たちは体感したはずだ。しかし、ここで体感できたことはプラスだと考えられる。

◆バランス、チームとしての規律
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▽日本が苦しめられた点を他にも挙げるなら、前線の強力なパワーもあるが、最も差を感じたのはバランス感覚だ。フェルナンジーニョ、カゼミロ、ジュリアーノの3枚で構成されたブラジルの中盤、マルセロ、ダニーロの両サイドバックは特にだ。攻守におけるブラジルのバランス感覚、そして規律を持ったプレーは、日本を苦しめた。

▽カゼミロがアンカーのポジションでバイタルエリアを封鎖すれば、フェルナンジーニョとジュリアーノは機を見て前線の3枚と絡み、日本のボックス内にまで侵入した。両サイドバックも左のマルセロが攻撃に比重を置く中、ダニーロは守備を重点に。前線の3枚も流動的に動き、日本を翻弄した。

▽ブラジルは個人技に優れている部分が目立ち、実際にペースを落とした後半は日本が主導権を握る場面も多く見られるようになった。しかし、チッチ監督によりチームが規律を持ち、ブラジルらしからぬ守り方も前半は見せていた。個に頼る部分が随所に残されているものの、規律まで身につけられてしまっては歯が立たなくなってしまう。

◆お手本のようなサッカー
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▽もう1つ挙げるとすれば、ブラジルが日本のやりたいことを体現している場面が多く見られたことだ。プレス回避の仕方、中盤のバランスの取り方、そして後方からの追い越し…攻守の切り替え、そして縦に早いサッカーが見られた。

▽長谷部誠、山口蛍、井手口陽介とボールを奪え、攻撃に転じられる3枚で中盤を構成した。しかし、ブラジルは井手口、山口のプレスを上手くいなし、それによりできたスペースを使った。その後の攻撃は、後方の選手が前線を追い越し、数的有利を作って日本ゴールを脅かした。日本も本来であれば、中盤の高い位置でボールを奪い、後方から追い越す縦に早い攻撃を仕掛けたいはず。しかし、ブラジルに見事にやられてしまった。

▽特に3点目のガブリエウ・ジェズスのゴールが良い例だろう。左サイドから中央にパス。そのまま右サイドに展開されると、ダイレクトのクロスをファーサイドに走りこんだガブリエウ・ジェズスに決められた。日本も似たようなシーンを作ることは多いが、枚数の不足や展開の遅さ、クロス精度の低さなど基礎能力の面での差も大きい。フィニッシュの部分は、やはり精度を上げなくてはいけない。

▽前半は攻守の切り替えを早くすれば精度が落ち、精度を上げれようとスピードを落とせばすぐに対処されるというシーンが続いた。両方を一度に上げることは簡単ではないが、ハリルホジッチ監督が当初から掲げていたスタイルは、世界で戦う上では必要だということをまざまざと見せつけられていた。

◆後半には収穫も
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▽前半は苦戦した日本だったが、後半は手応えを感じられるシーンが増えた。ブラジルが3点リードしたことでパフォーマンスが落ちたことは大いにあるが、スペースを使い、サイドをずらし、危険なシーンを何度も作った。

▽浅野拓磨が後半開始から起用されると、マルセロの裏のスペースを活用。右サイドから崩しにかかったが、ネイマールとの対峙に奔走していた酒井宏樹のサポートが少なかったこと、アタッキングサードでの精度が低かったことでゴールが生まれなかった。

▽また、途中から起用された乾貴士、森岡亮太は違いを見せた。2人が入ることで中盤と前線の連動性がより高まり、ブラジルのバランスを崩すことができた。攻撃センスの高い両選手は結果こそ出せなかったものの、光るものは見せた。

▽特に後半アディショナルタイムのワンプレーは見事。森岡が中盤でダイレクトスルーパスを送ると、高い位置を取っていた酒井宏樹に渡り、深い位置からの折り返しがフリーの浅野に。ゴールには繋がらなかったが、崩しという点ではこの試合で1番の出来だった。浅野に冷静さが加われば、後方に構えた乾がダイレクトで…というタラレバはあるが、ポジショニング、スピード、そしてイメージの共有があれば、ブラジル相手でも崩すことが可能であるという一面を見せられたことは大きい。

◆ベルギー戦でもチャレンジを
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▽日本がアジアとの対戦で見せるプレーとは異なっていた試合。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める“デュエル”の勝率こそ高くなかったが、チーム全体としてボールホルダーへのプレスの強度は悪くなかった。しかし、バランスが崩れたこと、そしてブラジルが何枚も上手だったことで、今回の結果に繋がったと思う。

▽ワールドカップは格上の相手ばかり。日本が戦えないことはないが、戦い方を間違えれば大敗もあり得る。しかし、相手に対しての有効な策を見出すことができれば、十分に勝機はあるのも事実だ。それだけに、“デュエル”と“縦に早いサッカー”というハリルホジッチ監督が掲げるものは残りの8カ月で高めなくてはいけない。

▽次の相手は格上であるベルギー。ホームでの開催であり、現チーム初となるブルージュでの試合となる。川島、森岡、久保裕也とベルギーとも関わりある選手が居る日本代表。これまでの対戦成績では勝ち越しているが、今のベルギーは別物だ。目標はワールドカップで勝ち上がること。そのためにも、ブラジル戦を生かし、現在地をしっかりと測る試合をしてもらいたい。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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【日本代表コラム】個を活かした戦いで世界を驚かせるも、超えられなかった高い壁

▽CKのチャンスからGKがキャッチ、丁寧なスロー、ドリブルで中央を持ち上がり、右サイドへ展開。走り込んだ選手がダイレクトで折り返すと、中央でスルーされ、フリーで走り込んで蹴り込まれる──。一連の流れは、多くの日本人にとって鮮明に記憶に残るのだろう。これまでも劇的なシーンは何度も目にしてきたが、これほどまでに悔しい思いをした場面はそうないだろう。 ▽下馬評を大きく覆し、初戦のコロンビア代表戦に勝利した日本代表。2戦目のセネガル代表戦で引き分けると、3戦目のポーランド代表戦はリードを許しながらも、最後の10分間は自陣でボールを回し時間を消費──賛否両論ある中で、3度目のベスト16進出を果たした。 ▽期待を寄せられていなかった日本代表が、想像を超える結果を残し、世界屈指の攻撃力を持つベルギー代表に挑んだラウンド16。思い描いていたよりも、日本代表は冷静に試合に入り、ベルギーを上回るほどの落ち着いたプレーを続けていた。 <span style="font-weight:700;">◆ポーランド戦を力に変えて</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽賛否両論があったポーランド戦の戦い方。先発を6名変更し、最後はビハインドながら時計の針をただただ進めるパス回しを行った。結果として、ラウンド16に進めたことで、この判断は正しかったと結論付けられがちだが、本来の意味ではこのラウンド16のベルギー戦でどの様な試合を見せるかが重要だった。 ▽初戦、2戦目と同じ11名をピッチに送り出した西野朗監督。立ち上がりは前線からボールホルダーにプレスをかけ、流動的に動き、ペースを掴んでいった。今大会既に4ゴールを記録していたFWロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)には、鹿島アントラーズでプレーするDF昌子源がマークに。一瞬のスピードで振り切られるシーンもあったが、ルカクのプレーに徐々にアジャストしていった昌子は、試合を通して決定的なピンチを作ることはなかった。 ▽センターバックでコンビを組んだDF吉田麻也(サウサンプトン)も同様だ。プレミアリーグでも対峙しているルカク、MFエデン・アザール(チェルシー)を冷静に対処。粘り強い守備を見せ、決定機も身体を張って凌いだ。 ▽前線も同様だ。トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は、持ち前のポストプレーと献身的な守備、ポジションを移動して起点となるシーンが多かった。DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)を相手にも、自身の持ち味を出していた。MF乾貴士(ベティス)は、左サイドでDF長友佑都(ガラタサライ)とともに攻勢をかけ、MF香川真司(ドルトムント)はバイタルエリアに陣取りつつ、左サイドの攻勢に絡んだ。 ▽中盤でタクトを振るMF柴崎岳(ヘタフェ)は、攻守にわたってこの試合でも冴え渡り、縦へのパス、読みからのパスカットなど、日本の中盤を支えた。MF長谷部誠(フランクフルト)はバランスを見たプレーをし、MF原口元気(ハノーファー)は右サイドで持ち前の運動量と上下動で守備に貢献。DF酒井宏樹(マルセイユ)はMFヤニク・フェレイラ=カラスコ(大連一方)との一対一に対応した。 <span style="font-weight:700;">◆個人の特長を最大限に活かすサッカー</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽これまでに見たことのないような落ち着いたプレーを見せていた日本。その大きな理由は、個人個人の特長を生かし、連携し合ったプレーを見せていたからだろう。距離感、立ち位置、ボールを運ぶ流れ。遅攻に移った際の切り替え、攻守の切り替えと冴えを見せた。 ▽いつになく、各選手が自身の役割を理解し、チームメイトもその役割を理解し、本来の意味でのチームになっていたようにも感じた。 ▽その動きは、後半に入って大きく変化する。立ち上がり、ベルギーに攻め込まれる中、自陣で乾がこぼれ球をトラップ。反転して相手と入れ替わると、近くの柴崎へとパスを出した。その瞬間、右サイドで大人しくしていた原口が猛然と奪取。それを見逃さない柴崎が絶妙なスルーパスを出すと、ヴェルトンゲンの足をかすめてスペースへ。原口はしっかりとボールを受けると、ボックス内でシュート。日本が先制に成功した。 ▽このゴールには、乾、柴崎、そして原口の特長が詰まっている。まずは、試合を通して狂いのないボールタッチを見せた乾のトラップ。そして、相手DFをいなすターン。柴崎は、原口のスピードに合わせた絶妙な強さで、ギリギリのラインにパスを通した。そして原口。長い距離のスプリントは原口の特長であり、アジア予選のチーム得点王である所以を見せつけた。このゴールで、日本は大きく優位に立った。 <span style="font-weight:700;">◆微妙にズレた采配</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽その後、ベルギーの猛攻を凌ぐと、乾のスーパーゴールで日本がベルギーを突き放す。さすがのシュートに、ロベルト・マルティネス監督も唖然。日本の底力を目の当たりにしたが、これがベルギーの選手たちに火をつけた。 ▽ベルギーは、前半から長友とDFトーマス・ムニエ(パリ・サンジェルマン)の高さのミスマッチを利用。何度となく、左サイドから崩し、ファーサイドを使っていた。そして、その狙いが顕著になる選手交代を行う。MFマルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)を投入。前線のルカクとともに並べることにした。 ▽フェライニは昌子と長友の間に陣取り、ルカクは昌子とのマッチアップをチョイス。時間の経過とともに、アザールとMFケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)が連動して日本の右サイドを侵略。吉田と酒井宏が対応に当たることとなった。 ▽日本のウィークポイントを突いてきたベルギーは、徐々にペースを握ると、高さを生かして2点ビハインドを跳ね返す。日本はミスマッチが起こっていながら、手を打たず。ウィークポイントの穴埋めにカードを切らない西野監督らしさを見せたが、個人的には対人守備に強いDF植田直通(鹿島アントラーズ)を入れるもの有りだったのではないかと思っている。 ▽そして、2点差を追いつかれて投入されたのは、MF山口蛍(セレッソ大阪)とMF本田圭佑(パチューカ)だ。本田は右サイドの原口に代わり、タメを作って攻撃のバリエーションを増やした。香川とのコンビネーションからシュートチャンスや、FKからブレ球で直接狙うなど積極的な姿勢を見せた。 ▽一方の山口は、攻守のカギを握っていた柴崎と交代。しかし、残り10分程度の難しい時間帯に入ったこともあり、試合に入れていなかった。西野監督は今大会、采配で局面を動かしてきていた。初戦、2戦目と途中投入した本田が得点に絡み、勝ち点を獲得。3戦目は、長谷部を入れて場を整えた。 ▽しかし、ベルギー戦は後手に回りすぎ、良いペースを手放す格好となってしまった。もちろん、ベルギーとの実力差も大いにあり、個々の能力差もあった上だが、2-0のリードを活かす方法論はあったはずだろう。 <span style="font-weight:700;">◆ベスト8の壁を超えるため</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽ベルギー相手に、世界が驚くほどの好ゲームを見せた日本。その点に関しては、自信を持って良い部分もあり、世界と戦える力を付けることが可能であることも証明した。 ▽一方で、それでも勝てないという現実も突き付けられている。90分が過ぎようとしている時間帯に、あれだけの選手が相手ゴールへと駆け上がり、最後は勝ち点3を持っていく。世界屈指の攻撃力を誇るベルギーを相手に、そんなサッカーを身を持って体験したからこそ、未来の日本のために繋げられるはずだ。 ▽直前の監督交代に始まり、ベスト16進出、手がかかったベスト8を逃す結末…大いに検証し、分析し、次に繋がる課題を見つけてもらいたい。 ▽次の戦いは4年後。何人の選手が再びワールドカップに出場するかは分からない。もしかしたら、出場権を獲得できないかもしれない。それでも、日本サッカーは終わらない。世界を驚かせたルーザーは、ウィナーになるべくして次のステップに進んでもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.07.03 19:30 Tue
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【日本代表コラム】現時点では「結果オーライ」、西野監督はどう挽回するのか

▽28日、ロシア・ワールドカップのグループステージ全日程が終了した。日本代表は、ポーランド代表と対戦し、0-1で敗戦。しかし、同グループのもう1つのカードであるセネガル代表vsコロンビア代表が0-1で終了。この結果、グループ2位で決勝トーナメント進出が決まった。 <span style="font-weight:700;">◆喜ぶべきベスト16進出</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽大会前の評価を考えると、ラウンド16に日本が進出する可能性は限りなく低く見積もられ、1弱3強との見方をされていたことも少なくなかった。 ▽開幕2カ月前に監督を交代し、西野朗監督が率いてからは国際親善試合で連敗。本番前ラストマッチのパラグアイ代表戦こそ勝利したものの、ポジティブな要素を感じられないまま本大会に突入したため、期待感は薄く、日本国内での盛り上がりにも欠けていた。 ▽しかし、フタを開ければ初戦のコロンビア代表戦で勝利。続くセネガル代表戦を引き分け、自力で決勝トーナメント進出を掴めるポジションとなった。 ▽当初の評価、期待値からすれば、日本代表がグループステージを突破し、過去最高に並ぶベスト16に進出したことは素直に評価すべきことだ。しかし、そこにケチを付けかねない残念な事態が起こったのも事実だ。 <span style="font-weight:700;">◆ポーランド戦で起こった魔の10分間</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽日本は自力で突破が決められる状況で迎えたグループ最終節。相手は既に敗退が決定していたポーランドだ。実力差を見れば、ポーランドが優勢なのは明らか。ここまでの2試合の結果など関係なく、1試合にこだわれば日本は躓く可能性が高かった。 ▽そんな試合だが、2試合続けて同じ11人をピッチに送り出していた西野朗監督は6名と過半数を変更。システムも、[4-2-3-1]から[4-4-2]へと変更し、大事な一戦に臨んだ。 ▽不安だった大会前から一転、日本の力強さを2試合で感じていた人が多かっただけに、この6名変更は大きな疑問符が付くこととなった。そして、その影響は試合にも表れてしまう。 ▽前半は、連携ミスなどもありながら、ポーランドゴールに迫るシーンが見られた。しかし、ちょっとした感覚や、タイミングのズレが影響し、相手守護神をヒヤリとさせるシーンはなかった。さらに、6名変更の影響は続く。 ▽0-0で前半を終えた日本だったが、FW岡崎慎司が早々に倒れ込み、FW大迫勇也と交代した。前半から怪しい雰囲気を出していた岡崎だったが、後半開始直後に交代。カードを1枚切らざるを得なくなった。負傷に関しては懸念材料を抱えていた岡崎だけに、勿体無いカードを切ることは残念だった。 ▽そして、その後にポーランドが先制。セネガルvsコロンビアがゴールレスドローで推移していたため、日本は敗退が濃厚に。攻勢をかけるべく試合に入ろうとし、MF宇佐美貴史に代えてMF乾貴士を投入。しかし、流れが変わることなく、ポーランドが勢いづく展開となった。 ▽すると、西野監督が大胆な采配をふるう。FW武藤嘉紀に代えて、MF長谷部誠を投入。すると、1点ビハインドの日本が自陣最終ラインでパス交換。一向に攻める様子を見せず、ポーランドもボールを奪いに来ることなく終了。1-0で敗戦となった。 ▽日本がポーランドに負けた場合は、他会場の結果に全てが委ねられることに。しかし、その状況でも、西野監督は「失点をしないこと」「カードをもらわないこと」をプランとして長谷部に伝えていたと、試合後に明かした。 <span style="font-weight:700;">◆ハイリスク・ハイリターンの賭け</span> ▽西野監督は、「万が一が起こらないこと」を主軸に考え、1点ビハインドながら長谷部を起用した。日本とセネガルは条件が同じであり、順位決定は今大会から導入された「フェアプレーポイント」というものだった。 ▽「フェアプレーポイント」とは、警告や退場によって与えられる反則ポイント。日本はセネガルよりもイエローカードで2枚分下回っており、セネガルより優位に立っていたのだ。 ▽しかし、0-1となったセネガルvsコロンビアが1-1となれば、「フェアプレーポイント」は関係なくなる。そんな状況の中、西野監督は試合のラスト10分間は自陣でただボールを回すだけで、時計を進めることを決断。全てをコロンビアに懸けたのだ。 <span style="font-weight:700;">◆究極のリアリストとも言えるギャンブラー</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽対峙している相手ではなく、全く関係ないところの試合に命運を託した西野監督。結果として、日本は2大会ぶりのベスト16進出を掴み、事なきを得た。スタンドからは大ブーイングが鳴り響き、日本人意外で日本代表を応援していた人々にもそっぽを向かれてしまった。 ▽セネガルがコロンビアを相手に10分強で1点を取る確率が高いのか、日本がポーランド相手に引き分けを目指し、逆襲されて2点差を付けられてしまう確率が高いのか。同点を目指しながらも上手く流れが変わらないことに勘付いた西野監督は、コロンビアに命運を託すことが最善と判断したのだろう。交代時に何かを変えた様子も伺えた。 ▽何が起こるか分からない中、自分たちでコントロールすることも放棄した。しかし、結果としてはベスト16に進出。見るものとしては、どこか腑に落ちず、不満が残り、フラストレーションが溜まったはずだ。そして、チームとしてもこれまでの流れを全て断ち切ることとなってしまったかもしれない。それでも、自身が閃いた確率の高い方へ賭ける勝負師の一面を西野監督は見せた。 <span style="font-weight:700;">◆「結果オーライ」をどう挽回するか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽目標であったグループステージ突破を果たしたことに対し、文句を言う必要はない。どんな形であれ、勝負の世界であれば結果が全て。上を目指すためには必要な決断だった。そして、日本は目的を達成した。 ▽しかし、そうであっても、今回の事象は全て「結果論」。結果が重要であり、最優先されることではあるが、結果が違えば、日本代表、そして西野監督の立場がどうなっていたかは容易に想像できる。 ▽開幕2カ月前の電撃的な監督交代、結果を残せなかった国際親善試合、若手を外したメンバー発表──日本国民にとって、マイナス要素ばかりに目が行く流れの中、初戦でコロンビア相手に大金星。一気に日本代表への後押しが強まると、セネガル相手に引き分け、全てが前向きになった。しかし、今回の一件で意見は大きく分かれ、いつになく日本代表が話題の中心となっている。そして、積み上げてきた信頼を全て失ったとも言っても過言ではないかもしれない。 ▽しかし、選手が口を揃えて言うように、目標はベスト16ではなく、最低でもベスト8。過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えることだった。そういった意味では、2試合を主力としてた戦った選手を大幅に休ませられたこと、そして他力に頼るという大胆な選択をしながらも、賭けに勝ったことをプラスに捉えられる。そして次に待つのは、ベルギー代表とのラウンド16でどの様なサッカーを見せるかだ。 ▽現時点での印象は、「結果オーライ」。これでは、未来へと繋がるものは残せていない。しかし、その印象を塗り替え、未来に繋げるためには、ベルギー相手にしっかりと戦い、自分たちの力で歴史を塗り替えることが最も重要だ。 ▽リアリストであり、ギャンブラーでもある西野監督が持つ引きの強さを、ベルギー戦でも期待しない訳にはいかない。実力はもちろんのこと、運を味方にするという意味では、日本は一段階上に上がったのだろう。あとは、休んだ主力選手も含め、ベルギー戦のピッチの上で見るものを沸き立たせてくれることを願うだけだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.29 22:45 Fri
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【日本代表コラム】自信を覗かせるチーム力で勝ち点を積み上げた日本

▽初戦でコロンビア代表相手に予想を超える勝利を挙げた日本代表。勢いそのままにセネガル代表相手に勝利を目指したが、2-2の引き分けに終わった。 ▽2度のリードを許しながらも、しっかりと追いつき勝ち点1を獲得した日本。これまで見せてきた勝負弱さはそこにはなく、強者の風格すら感じさせる戦いぶりを見せていた。 <span style="font-weight:700;">◆落ち着いた試合の入り</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽コロンビア戦での勝利の影響か、日本は落ち着いて試合をスタートさせた。セネガルは、初戦のポーランド戦に比べて積極的に前からプレスを掛け、ボールを奪いにいくサッカーを展開。しかし、日本はその迫力に押し込まれることなく、ボールを回して行った。 ▽セネガルの出鼻を挫きたい日本だったが、ミスから先制を許す。11分、右サイドからのクロスを原口元気がクリア。しかし、これが相手の足元に収まると、ボックス内右からシュート。サバリのシュートはGK川島永嗣の正面に飛び、問題ないかと思われたが、川島がパンチングをミス。目の前にいたサディオ・マネの足に当たり、ボールはネットを揺らした。 ▽西野朗監督が率いてからというもの、川島の精彩を欠いたプレーは全ての試合で起こっている。しっかりとセネガルの攻撃を跳ね返していた矢先の失点だけに、メンタル面でのダメージが心配されたが、日本は落ち着いて対応した。 <span style="font-weight:700;">◆冷静な判断を見せた柴崎</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽セネガルの1点リードで迎えた34分、日本は一本のパスから決定機を迎える。長谷部誠が最終ラインに入り、3バックの形を作った日本。中盤で柴崎岳がボールを持つと、狙いすましたロングフィード。これを長友佑都がトラップすると、ボックス内で乾貴士とスイッチ。乾は、コースを狙い済ましてネットを揺らした。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽コロンビア戦では、乾は同様の形で2度シュートを外しており、悔しい思いをしていた。シュートを打った角度はこのゴールもほぼ同じ。3度目の正直といったところか、日本の貴重な同点ゴールを生んだ。 ▽乾の落ち着いたシュートも去ることながら、起点となった柴崎にも注目だ。自陣から、走り込んだ長友を狙ったロングフィード。正確無比なパスが通った柴崎は、この試合を通じて攻守に渡り圧巻のパフォーマンスを見せた。当然、これをチャンスにつなげた長友も素晴らしい。チームとして奪えた1点は、日本の成長ぶりを示した。 <span style="font-weight:700;">◆ペースを乱されない守備陣</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽また、守備陣もユニットでしっかりと守ることに成功。マネをはじめ、FWエンバイェ・ニアン、MFイスマイラ・サール、MFパパ・アリウヌ・エンディアイエとセネガルの攻撃陣を押さえ込んだ。 ▽特に、酒井宏樹は一対一で負けることはほとんどなく、ロングボールは吉田麻也がクリア。昌子源も対人の強さを見せながら、後半には自ら持ち出す攻撃参加まで見せた。チームとして、セネガルの攻撃陣を押さえ込めたことは大きいだろう。2失点を喫した部分は反省が必要だが、精度は上がっていると言える。 ▽失点シーンに関しては、日本の右サイドが突破されたもの。それ以前の攻撃でもクロスボールがファーサイドに流れた際、対応ができていなかった。最終的には、右サイドバックのDFムサ・ワゲに詰められてゴールを許したが、同じ形を何度か作られていただけに、しっかりと修正してもらいたい。 <span style="font-weight:700;">◆選手起用によるメッセージ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽追加点を奪われた直後、西野朗監督は交代の準備をしていたFW岡崎慎司ではなく、MF本田圭佑を投入。その後、岡崎も投入すると、同点ゴールが生まれた。この試合、残りの1枚はFW宇佐美貴史を起用した西野監督。メッセージとしては、勝ち点3を目指すということが選手に伝わったはずだ。引き分け狙いではなく、勝ちに行くという姿勢を見せたことは、最終戦のポーランド戦に向けても大きいだろう。 ▽同点ゴールのシーンは、個々の特徴が全面に出たゴールだった。ボックス手前中央でパスを受けた大迫勇也は、自身のストロングポイントであるボールコントロールで収め、持ち出すことに成功。ボックス手前からの大迫のクロスに対しては、岡崎が身体を投げ出して飛び込むと、GKがパンチングをミスし、ボールが流れた。このボールに反応した乾は、ラインギリギリからダイレクトで折り返し、このボールに倒れていた岡崎はそのまま身体を投げ出した。結果的に、GKをブロックする様な形となり、最後は良いポジションをとっていた本田が蹴り込んだ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽途中出場の本田、岡崎が絡み、最終的には本田が3大会連続のゴールを記録。2試合続けて本田が決勝点に絡んだところを見ても、チームとしての流れが良い方向に向いているのがわかる。そして、各選手が自身の特長をしっかりと出すことで、チームに勝ち点をもたらせたことは大きい。 <span style="font-weight:700;">◆ノルマとなったベスト16</span> ▽大会前の期待値からは大きくかけ離れ、1勝1分けで2試合を終えた日本。この状況を踏まえれば、勝手な話ではあるがグループステージ敗退は許されない状況だ。国民の期待も大いに高まっており、ここまでの流れを不意にしてもらいたくはない。 ▽大方の予想が敗戦だったコロンビア戦で勝ち点3、厳しいと見られたセネガル戦も2度追いついての勝ち点1。自らチャンスを手繰り寄せているだけに、ポーランド戦で結果を残し、3度目のベスト16に進出するかどうかが、この先の日本サッカーの命運を左右すると言っても過言ではない。 ▽チーム力、団結力で結果を残せた2試合。勝負弱さを払拭するには、3戦目のポーランド戦の結果が最重要だ。奇しくもポーランドは既に敗退が決定。失うものは何もなく、開き直って本来のパフォーマンスを見せる可能性は高い。実力国を相手に、ワールドカップの舞台で結果を残せせるのか。次のラウンドに進めば、ベルギー代表かイングランド代表と対戦する。そのステージに立つため、残り僅かな時間でよりチーム力を高めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.25 22:00 Mon
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