【編集部コラム】自信に満ちた鬼木フロンターレでも乗り越えられなかった壁2017.11.06 21:00 Mon

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▽タイトルに手が届きそうで届かない。川崎フロンターレはまたしても壁にぶち当たった。

▽11月4日に埼玉スタジアム2002で行われた2017JリーグYBCルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦。川崎Fは0-2で負け、クラブ史上初のタイトル獲得を逃した。

「勝てなかったことは本当に悔しいですし、自分の力不足を感じています。何が何でも選手たちにタイトルを獲らせてあげたいという思いがありましたけど、なかなかそういう結果に結びつけることができず残念であります」

▽今シーズンから川崎Fを率い、「クラブに初載冠を!」との重責を託された鬼木達監督はC大阪との決勝戦後、そう敗戦の弁を絞り出した。

◆自信に満ちた決勝前日
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▽それもそのはずで、過小評価するわけではないが、決勝の相手は、自分たちと同じようにタイトルに無縁だったC大阪。Jリーグ最多タイトル数を誇る鹿島アントラーズでなければ、次点のガンバ大阪でも、浦和レッズが相手でもなかった。それだけに、悔しさは一入だったはずだ。

▽さらに付け加えれば、近年に経験したタイトルマッチという場数の面においても、C大阪よりも川崎Fの方に分があった。両クラブの監督と選手を交えた前日記者会見でも、鬼木監督はある程度の手応えと自信に満ちていた。

「今年、『絶対にタイトルを獲ろう』という思いの下、キャンプをスタートさせた。なので、タイトルの懸かった試合を戦えることを本当に幸せに思う。選手全員の力でここまで上がってきたので、是非ともタイトルを獲って、フロンターレの歴史を変えたい」

◆充実感と成熟度が自信に
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▽鬼木監督は、今シーズンから前任の風間八宏監督(現名古屋グランパス監督)の後任として川崎Fの監督に就任。風間監督の下で良くも悪くも“攻撃偏重”のチームに、キャンプ時から“激しさ”と“守備意識”の植え付けに着手した。

▽その頑張りは、シーズンが進むに連れて、選手の戦いからも見て取れるようになっていった。さらに、新加入のMF阿部浩之、MF家長昭博もフィットの兆しを見せ、鬼木監督自身も試合を追うごとに采配の部分で指揮官らしさに磨きがかかっていった。

▽充実感と成熟度が増した中で、チームとして掴み取ったC大阪とのタイトルマッチ。内容を追うばかりに2007年と2009年の決勝で涙を呑んできた川崎F一筋15年のMF中村憲剛の前日コメントからも、“鬼木イズム”の浸透度具合が感じ取れた。

「ここで勝つために1年間やってきたので、良い試合というよりも勝つ試合をしたい」

◆改めて痛感させられた力不足
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▽しかしながら、夢はまたしても儚く散った。結果は0-2で、チームにとって通算4度目の準優勝。試合後のミックスゾーンで取材陣のインタビューに応じた中村自身も、「正直、自分の中でもわからない」と何が足りなかったのか首をかしげるほどだ。

▽記者席から試合を見ていると、川崎Fの面々は動きが硬かった。その中で、DFエドゥアルドの処理ミスから大会史上最速となる47秒での失点。前日の取材対応で「一発勝負なので、立ち上がりはすごく大事になる。気合が入りすぎてもダメだし、テンションが高すぎてもダメ」と話していた中村の言葉が悪い形で的中した。

▽早々の失点は、リード後のベタ引きで守備に徹してきたC大阪の対応にも乗じて、川崎F陣営に焦りの気持ちを助長させた。ボールポゼッションを高めて相手の狭いスペースに鋭くパスを入れるが、一向にゴールをこじ開けられない。シュートチャンスが巡ってきたかと思えば、ボールは枠の外か、甘いコースにしか飛ばなかった。

▽その中で、鬼木監督は、3つの交代カードで流れを変えようと知恵を振り絞った。だが、MF阿部浩之を投入する際には、MF大島僚太を下げるのか、MFエドゥアルド・ネットを下げるのか、テクニカルエリアでやや迷う姿も。チーム全体で迷いが生じていた感が否めなかった。

▽そして、後半アディショナルには前がかりに出た隙を突かれ、カウンターからMFソウザにトドメを刺される一発を被弾。川崎Fのタイトルを懸けた戦いは、終戦を告げられてしまった。

▽改めて痛感させられた力の足りなさ。鬼木監督は試合後、「力不足」の具体性を求められると、「やはり1つは交代の部分も含めて、もっともっとパワーを出せたのではないかという思いがあります」と考えられる範囲で敗戦理由をそう導き出した。

◆真価が問われる今季残り3試合
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▽川崎Fには、明治安田生命J1リーグ優勝というタイトルの可能性が残されており、戦いを終えるにはまだ早い。首位に立つ鹿島との勝ち点差は「7」。残り3節ということを踏まえると、厳しい状況に変わりはないが、まだ逆転優勝の可能性がないわけではない。

▽代表ウィーク明けにホームで行われる第32節では、ガンバ大阪と対戦する。あとは、選手たちがこの敗戦を受けて、どう立ち直り、どう糧にして真の強豪へとのし上がっていくかが大事になる。鹿島だって、G大阪だって、浦和だって、あらゆるタイトルを簡単に手にしてきたわけではない。強豪にのし上がる背景には必ずタイトルマッチでの敗戦がある。

▽「今日の負けで全てが終わったわけじゃない。自分たちがやってきたことがなくなるわけでもない」と、自身に言い聞かせるように語気を強めた中村の言葉は正しく、C大阪とのタイトルマッチに敗れたからといって、チームとして築き上げてきたものが一瞬にしてリセットされるわけではない。

▽継続は力なり――シルバーコレクターという汚名を返上する時はまた必ずやってくるはず。このチームは既に他クラブのファンをも魅了する攻撃的なサッカーを体現している。足りないのは、壁にぶち当たった後のリアクション。今シーズンの残されたリーグ戦3試合の戦いぶりでチームとしての真価が問われそうだ。
《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》
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苦境でこそ輝きを! マドリーの救世主足り得る“バロンドーラー”モドリッチ/編集部コラム

▽2018年のバロンドールに、レアル・マドリーに所属するクロアチア代表MFルカ・モドリッチが輝いた。圧倒的な“数字”を残してきたユベントスFWクリスティアーノ・ロナウド、バルセロナFWリオネル・メッシの独占を崩したのは、昨シーズンの公式戦43試合で2ゴール8アシストの成績だったゲームメーカーだ。 ◆哲学を貫くレアル・マドリーのNo.10<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20181204_26_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽トッテナムで名声を高めていたモドリッチがマドリーに入団したのは、2012年夏の移籍市場が閉まる直前のこと。前年に4シーズンぶりのリーガエスパニョーラ制覇を成し遂げていたジョゼ・モウリーニョ監督(現マンチェスター・ユナイテッド)の、3年目のシーズンだ。 ▽モドリッチは、入団直後に行われたスーペルコパ第2戦バルセロナ戦でデビューを果たす。クラシコという大舞台で83分から途中投入され、早速初タイトルを獲得した。 ▽しかし、恐れずに記述するのであれば、加入当初のモドリッチのプレーに違和感を感じたことを覚えている。モウリーニョ監督の下、世界屈指のカウンターを磨きに磨いていたマドリーの中で、モドリッチはボールプレーを重視。美しいスキルに感嘆させられる一方で、周囲とのズレが懸念された。 ▽だが、結果から見ればその心配は杞憂に終わっている。スペイン『マルカ』の読者投票による「2012-13シーズン最悪の補強」に選ばれたモドリッチは、その後も自らの美学を決して変えず。失意後の2013-14シーズンに始まったカルロ・アンチェロッティ政権でレギュラーを奪取すると、その年のチャンピオンズリーグ(CL)決勝アトレティコ・マドリー戦では、0-1のビハインドで迎えた後半アディショナルタイムにCKからセルヒオ・ラモスの得点をアシスト。延長戦に持ち込み、4-1での“ラ・デシマ”(10度目の欧州制覇)達成に導いた。 ▽その後もモドリッチの快進撃は続き、2015-16シーズンからのジネディーヌ・ジダン政権では前人未到のCL3連覇を経験。今となっては“レアル・マドリーの心臓”と評されており、比較できない程に重要な選手となっている。 ▽このキャリアの中で最も驚くべき点は、モドリッチが自らの志向するプレーを変えていないということだ。各国のスター選手が目まぐるしく入れ替わるマドリーでは、あのC・ロナウドでさえ、得点に特化する形に自らを作り変えた。2007年のバロンドーラーであり、主役としてプレーしてきたカカは、ポテンシャルを十分に発揮することができずにクラブを去った。 ▽しかしながら、モドリッチは周囲にリズムを伝播させ、加入当初に感じさせた違和感を消して見せた。マドリーというクラブで、これほど背番号10に相応しい仕事をする人物は稀有な存在だ。 ◆W杯奮闘の代償<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20181204_26_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽今年のロシア・ワールドカップ(W杯)にクロアチア代表として参戦したモドリッチは、獅子奮迅の活躍を披露し、母国をファイナルに導いた。多くのタレントを擁するフランス代表に敗れて優勝には手が届かなかったものの、ゴールデンボール(W杯MVP)に輝いている。さらに、モドリッチはバロンドールのみならず、UEFA欧州最優秀選手賞、FIFA最優秀選手賞といったあらゆる個人賞を総なめ。現代最高のMFとしての名を欲しいままにしている。 ▽しかし、注目の幕開けを迎えた今シーズン、マドリーは低迷。リーガエスパニョーラ第14節終了時点で7勝2分け5敗と戦績は凄惨そのものであり、方々で指摘されている通りジネディーヌ・ジダン監督とC・ロナウドの退団が重なったことは大きな原因だろう。 ▽だが、それだけでなく主力選手たちのパフォーマンスが昨シーズンから落ちているのも確かだ。世間からの称賛を浴びるモドリッチも例外ではない。極上のプレーは鳴りを潜め、とりわけ守備面で例年のような奮闘はみられず、W杯の疲労を残していることがありありと見て取れる。 ◆困難な時こそ輝きを<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20181204_26_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽もちろん、補強を怠ったフロントが選手以上に批判に晒されるのは当然のことだ。それでも、苦しければ苦しい試合でこそ輝きを放ってきたモドリッチの、復調を期待せずにはいられない。 「キャリアを通して、難しい仕事や困難に直面しても努力を続けていくことが才能を発揮する土台になっている」 「僕には好きなフレーズがある。『最高なことは決して簡単にできない』という言葉さ。僕がこうやって全てを勝ち取るために、簡単なことは何もなかった」 ▽モドリッチがバロンドールの授賞式で発した言葉だ。プロキャリアの中で、モドリッチにとって今シーズンのマドリーほど苦しい時があっただろうか。 ▽一選手の力でチーム全体に変化をもたらすことは、とても困難だ。だが、突出した技術を持ちながらも味方のために汗をかけるモドリッチだけが、周囲の質を引っ張り上げられる存在かもしれない。そして、それは既にマドリーで、クロアチア代表で目にした光景だ。サッカー界全体に新たなサイクルをもたらしたこの小柄な選手に、今後も期待せずにはいられない。 《超ワールドサッカー編集部・上村迪助》 2018.12.04 21:00 Tue
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非は現場か、自滅感の否めない柏のJ2降格/編集部コラム

▽混迷に混迷を極めた柏レイソル。結果、毎試合でJリーグ屈指の熱い声援を送り続けたファンやサポーターの「奇跡の残留を」という願いは成就しなかった。9年ぶり3度目のJ2降格。残念過ぎる。 ▽24日に行われた明治安田生命J1リーグ33節のセレッソ大阪戦。負ければ即降格決定という厳しい条件でのアウェイゲームだったが、ピッチに立った選手は堂々たる戦いぶりで本来の力を見せつけ、3-0の快勝した。 ▽シーズン3人目の指揮官として、10日に加藤望前監督から急きょバトンを受けた岩瀬健監督。C大阪戦までの猶予はわずか2週間しかなかったが、見事に立て直してみせた。しかも、チームをあるべき姿に戻して、だ。 「アイデア、スピード、パワーをピッチの中で表現できるようにサッカーの部分でちょっと整理した。その整理したことをとにかく一切の無駄もなくトレーニングしてきて、それが今日のゲームになったと思う」 ▽試合前に選手のプレーの迷いを察した岩瀬監督は、決して新しいことにチャレンジさせたわけではない。元々のチームにある力をどうやって結果に結びつけるか。そして、どう自信を取り戻させるか。視線はそこにあった。 ▽大まかな修正ポイントは攻守の切り替えと各エリアのプレー明確化。それが初陣のC大阪戦で確かに表れた。実際、柏は序盤から攻守の切り替えで優位に。そして、全3得点はいずれも鋭い寄せが起点だった。 ▽自分たちの力を信じて戦う。それこそコーチとしてトップチームを見守ってきた岩瀬監督が求めた、蘇生の一手として講じた策だったのだろう。その岩瀬監督の手腕は見事だったが、快勝劇の余韻は“ツケ”により、そう長く続かなかった。 ▽試合終了のホイッスルが鳴り響いたピッチ上、柏の選手は勝利の喜びに浸る時間をほどほどに他会場の結果を気にするような仕草が散見。一部選手はスタッフが手に持つスマートフォンに群がり、降格という現実を直視した。 ▽異様な光景。昨シーズンに4位躍進を遂げ、さらなる期待を胸に今年の戦いに入った当初の柏はそこになかった。果たして、この低迷の要因はどこにあるのか。一体感やビジョンを欠いた上層部にあるように感じてならない。 ▽柏は今冬、J1とACLの二兎を追うべく、FW江坂任やFW瀬川祐輔、MF小泉慶ら実力者を積極補強。強化部の見事な立ち回りにより、2チーム分の戦力を整備した。だが、シーズンに入り、上層部の一挙手一投足が鈍り始めた。 ▽それを象徴する1つが、プロで指導者経験なしだった加藤望ヘッドコーチの監督昇格による下平隆宏監督の強化チームダイレクター就任。そこまでして下平氏をクラブに留めておく理由はなんだったのか。疑問しかない。 ▽ことが終わったあとだけに、全てがたらればになるが、加藤監督の就任以降はチーム状態がより悪化。より「縦に速い仕掛け」に特化したスタイルは奏功せず、困ったときに拠り所になる原点への回帰もままならなくなった。 ▽そういった低迷の背景には、脳しんとうのGK中村航輔やDF中山雄太といった主力の故障離脱や、ACLプレーオフ参戦による例年以上に早いシーズン始動も挙げられる。だが、降格が決まった今となれば、言い訳でしかない。 ▽岩崎監督が初采配を振るったC大阪戦は、シーズンベストに匹敵するほどの戦いだった。それだけに、自滅感の否めない今回の降格は悔やまれる。高過ぎる授業料を払った格好の柏は、クラブの向かうべき方向性を改める必要があるだろう。 ▽今年のJ2は全体的なレベルアップにより、ヴァンフォーレ甲府やアルビレックス新潟、大宮アルディージャが軒並みに1年でのJ1復帰を逃した。柏とて今年のように不透明なビジョンでJ2の戦いに挑めば、浪人生活を強いられる可能性がある。 ▽柏全体として、問題にしっかりと向き合わなければ、また最悪の結末を引き起こしかねない。応援するクラブを乗り換えかねるファンやサポーターのためにも透明感溢れるチームを作り上げ、再びJ1の舞台に戻ってきてもらいたいと感じる。 《超ワールドサッカー編集部・玉田裕太》 2018.11.29 17:30 Thu
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