【六川亨の日本サッカー見聞録】U-17W杯で日本はフランスに完敗。見たい試合を探す苦労を痛感2017.10.12 17:16 Thu

twitterfacebookhatenalinegplus
photo
Getty Images
▽個人的な感想ではあるが、これだけ日本のサッカーはあらゆるカテゴリーで活躍しているのだから、W杯という世界大会は公共放送であるNHKに、BSでもいいからライブ中継して欲しいということだ。

▽今シーズンからダ・ゾーンに加入し、ルヴァン杯などを視聴するためスカパー! とも契約した。さらにACLを見るには日テレとの契約視聴が必要だ。そして昨日のインドで開催中のU-17W杯は、フジテレビのオンデマンドと契約しないと見られない。これほどストレスのかかる環境は、利用者にとって負担になるのではないだろうか。

▽こうしたジレンマを解消すべく、U-17W杯の日本対フランス戦は、仕事仲間がネットで調べ、ライブ中継しているサッカー居酒屋を探し出し、昨夜は西武池袋線の中村橋にあるお店で同業者や旧知のサッカー解説者である川勝良一氏や代理人のI氏らとともに観戦した。いつもは現場にいることが多いものの、こうしてテレビ観戦すると、今回と同じ環境にありながら、現地に赴き、あるいはスポーツバーで声援を送るファン・サポーターの熱意を改めて感じる貴重な経験をできた。

▽ただ、試合は日本の完敗だった。期待の久保建英は相手のハードマークに持ち味を消され、平川怜もゲームを作ることができなかった。給水時間があったため、かなり高温多湿の劣悪な試合環境だったことは推測される。

▽フランスとは2015年の国際大会で勝っていたものの、今回は体のぶつけ合い、ハリルホジッチ監督の言うデュエルで圧倒された。「これほどまで体をぶつけてくるのか」という激しさ。元々、身体能力で凌駕しているフランスが本気で挑んで来る。それだけ日本のスキルを消すにはデュエルで勝負するのが効果的と判断したのだろう。

▽それは今回のU-17W杯だけでなく、なでしこジャパンが現在は劣勢を余儀なくされていることにもつながる。日本のスキルを消すにはフィジカルで勝負する――だからこそハリルホジッチ監督はデュエルや体脂肪率にこだわるのだろう。

▽話をフランス戦に戻すと、欧州選手権の得点王であるグイリに2ゴールを奪われた。左サイドからの突破を得意にして、日本は開始直後から何度も決定機を作られた。一瞬にしてトップスピードにギアアップする瞬間的な速さに、日本のDF陣は対応できなかった。シュートの技術もアイデアが抱負で、決まらなかったもののアウトサイドで狙ったり、右足インフロントで巻くようなシュートで右上スミを狙ったりするなど、17歳以下とは思えないクレバーな選手だった。恐らく次代のフランス代表を担う逸材だろう。

▽対する日本は、最終戦がニューカレドニアということもあり、グループ2位通過はほぼ確定だろう。山場となる決勝トーナメントの相手は、現在のところフランスと並んで優勝候補のイングランドが有力だ。そして、ここを突破できれば一気にファイナリスト進出も見えてくる。そのためにも、久保の強気のプレーに期待したい。

▽それにしても、NHKが中継しないのは残念でならない。


【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

コメント

関連ニュース

thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】カザンでの代表初練習を取材

▽6月14日、日本代表がベースキャンプ地となるルビン・カザンの練習場で初のトレーニングに臨んだ。この日はモスクワの日本人学校の生徒約20人と、ルビン・カザンのアカデミーの生徒約40人を招待して、記念撮影やサイン会を実施。これはFIFAが1日はファンと触れ合うことを義務づけていて、4年前のイトゥでも同様なセレモニーが行われた。 ▽この日の練習はクールダウンがメインの目的。それでもフィールドプレーヤーは3グループに分かれ、それぞれ負荷の異なるメニューを消化した。まずパラグアイ戦で負傷した岡崎慎司と昌子源はドクターに付き添われてランニング後、昌子は室内トレーニング場へ直行。 ▽広報によると「岡崎は両ふくらはぎに張りがあって大事をとった。昌子は右太ももに張りがあるため室内で別メニュー」で調整中とのこと。 ▽そしてパラグアイ戦に出場した香川真司、乾貴士、柴崎岳、武藤嘉紀、酒井高徳、山口蛍、植田直通の7人はランニングやウォーキングでクールダウンを行うと早めに引き上げた。残る12人(バックアップメンバーの浅野拓磨を含む)、吉田麻也、本田圭佑、長谷部誠、長友佑都、槙野智章、大迫勇也、宇佐美貴史、大島僚太、酒井宏樹、原口元気、遠藤航はランニングやウォーキング、ストレッチなどで疲労の回復に努め、リフティングやパス交換、9対3のボール回しなどで汗を流してこの日の練習を終えた。 ▽パラグアイ戦の行われたインスブルックは28度と気温が高かったが、カザンでは10度ほど気温が低い。このため昌子や乾、香川らは口を揃えて「寒い」を連発しつつ、「試合はそのほうがいい」(昌子)と低気温を歓迎していた。 ▽ただ、6日からカザン入りしているが、この日はこれまでで一番暖かい1日だった。好天に恵まれたが、そんな日は風が強くて冷たいのがカザンの気候だった。このまま夏日に向かっていくのか。そこで思い出すのが06年ドイツW杯の苦い記憶だ。 ▽これまでにも紹介したと思うが、改めてお伝えしよう。ジーコ・ジャパンはボンをベースキャンプしたが、異常気象で寒波が居座り、あまりの寒さに街中で冬着を探したものの、すでに夏着に切り替わっていたため購入できなかった。そんな寒さの中で行われたドイツ戦で、日本は最高のパフォーマンスを見せた。 ▽ところが初戦のオーストラリア戦では、いきなり夏日になり試合は消耗戦になる。そして日本はオーストラリアの執拗な空中戦で疲弊し、1-3の逆転負けを喫した。その苦い記憶があるだけに、5日後のコロンビア戦で天候がどうなるのか気になるところである。 ▽ちなみにカザンの天候が不順だと聞いていたのでフリースと薄手のダウンを持参したが、あまりの寒さにアパート近くにある巨大なスーパーマーケットのユニクロでヒートテックの下着を購入したほどだ。 ▽乾は寒さ対策として「風邪をひかないように気をつけたい」と話していた。果たして選手はどれだけ現地の気候に順応できるのか。ここらあたりも些細ではあるがW杯を勝ち抜くためには重要なポイントになるだろう。06年は中村俊輔が風邪に悩まされただけに、スタッフの準備も重要だ。 ▽ともあれ昨日はロシア対サウジアラビア戦でW杯が開幕した。日本が19日のコロンビア戦までどんな準備ができるのか、街中の様子も含めてお伝えしたいと思う。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.15 15:00 Fri
twitterfacebook
thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】西野ジャパンのキーワードは“対応力”

▽今週は先週に引き続き、日本代表23名の発表会見から西野ジャパンのサッカー像を推察してみた。 ▽ガーナ戦に限らず、テストマッチのスイス戦とパラグアイ戦も3-4-3の布陣で臨むことをガーナ戦後の記者会見で西野朗監督は明らかにした。W杯は初戦の結果次第でグループリーグ敗退の可能性が高まるだけに、当然と言えば当然だ。 ▽記者からは“マイアミの奇跡”を引き合いに出して「どんな奇跡を見せてくれるのか?」という質問にも、「23人の選手を選んで、これからどういうサッカーができるのか、楽しみながら考えたい。奇跡を起こせるかどうかだが、初戦のコロンビアに集中して、そこで小さな奇跡を起こしたい」と抱負を語った。 ▽ただ、コロンビア戦以外にも対策を練っていると思わせたのが次のコメントだ。「ポジティブなことはたくさん描けるが、それを選手に落とし込むのが難しい。そこで選手と同じ絵を描きたい。190㎝を超える選手が5人いたらどう対応するか。あるパターンを共有すればリスタートから得点できると思う」。 ▽「190㎝を超える選手が5人」に該当するチームはセネガルである。誰もセネガルのセの字も発言していないのに、西野監督はセネガル対策も進めていることを自ら認めたようなものだ。ガーナ戦は3-4-3でスタートしつつ、終盤は4-4-2にシフトした。セネガルは4-3-3のため、必然的に4-4-2で戦うことが予想される。そのテストも兼ねたガーナ戦だったようだ。選手にはコロンビア戦に集中するように伝えていることだろう。しかし指揮官である以上、3チームのスカウティングは必須である。 ▽このためハリル・ジャパンでは1人しかいなかったスカウティングを、各国に1人ずつ貼り付けさせ、さらに3人を統括する形で2002年の日韓W杯から14年のブラジルW杯までスカウティングと分析を担当した和田一郎氏をトップに置く4人体制を敷いた。 ▽そんな西野ジャパンのキーワードをあげるなら「対応力」ということになる。記者から「選手に最も求めるもののキーワードは?」と聞かれると、次のように答えた。 ▽「戦い方、戦術、戦略に関してはいろいろと対応していかないといけないと思っている。日本のサッカーには世界に通用する部分と通用しない部分がある。その対応力を選手には求めたい。昨日は違うポジションでプレーした選手もいる。その対応力が完成すれば戦える」と西野監督は期待を込めていた。 ▽西野監督が求める「対応力」だが、日本人選手にとって一番欠けている資質ではないだろうか。言われたことは忠実に実践できても、試合中に相手の意図やゲーム展開を読み、攻守で臨機応変に「対応」することがなかなかできない。果たしてそれを2週間程度の練習と2つのテストマッチで身につけることができるのか。やはり不安を抱かずにはいられないが、もう戻ることはできない西野ジャパンの船出でもある。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.07 15:00 Thu
twitterfacebook
thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】代表メンバー23名発表から見る西野監督の選考基準

▽5月31日、ロシアW杯に臨む23名の日本代表が発表された。4年前のブラジルW杯の大久保嘉人、8年前の南アW杯の矢野貴章のようなサプライズはない。強いてサプライズを上げるとすれば、2016年9月6日のアジア最終予選タイ戦以来出場の機会がなかった武藤嘉紀がロシア行きのチケットを取ったことだろう。 ▽ハリルホジッチ元監督からは、昨年11月と今年3月のフランス・ベルギー遠征でも海外組でありながら招集されなかった武藤。しかしブンデスリーガで結果を残したことで、滑り混みでのロシア行きとなった。西野監督も「武藤は得点率の高い選手、シュート数に比べ確率の高い選手。得点を追うなかでチャンスの数を増やしたいが、想定のなかでは(増やせる自信を)持てないので、武藤のような選手も必要になる」と選考理由を語った。 ▽その他では負傷で全体練習に参加できなかった乾貴士と、キャンプ前半は別メニューながらガーナ戦に出場した岡崎慎司は「6月19日のコロンビア戦に間に合う」(西野監督)との判断から23名のリスト入り。その一方で、W杯出場となる2017年8月31日のオーストラリア戦でゴールを決めた浅野拓磨と井手口陽介、そして三竿健斗の3人が最終メンバーから外れた。 ▽西野監督は、浅野と井手口に関してはW杯出場の功労者として感謝しながら、海外移籍したものの試合に出場する機会に恵まれず、コンディションがトップフォームではないこと。21日から始まった9日間のキャンプでもコンディションが上がらず、6月19日のコロンビア戦までにピークに戻すことは難しいと判断してメンバー外とした。 ▽それはそれでやむを得ないが、21日から始まったキャンプ前半はリカバリーの練習が多かった。試合に出ていない浅野と井手口はキャンプ初日から“追い込んだ”別メニューの練習を課すべきだったのではないかと、今さらながら思ってしまう。もちろん、そんなことは代表スタッフも承知済みかもしれない。ちなみに選考外となった3人のガーナ戦での背番号は浅野25、三竿26、井手口27とラスト3。彼らも選考外を薄々は感じていたかもしれない。 ▽いずれにせよ、浅野と井手口のリオ五輪組がメンバー外となり、同じ五輪組の久保裕也と中島翔哉も追加招集とはならなかった。蓋を開けてみれば、主力は2008年の北京五輪世代である吉田麻也、長友、本田圭、香川、岡崎に変わりはない。ここに2012年ロンドン五輪組の酒井宏樹と酒井高徳、宇佐美貴史、山口蛍が入った形で、日本代表の世代交代は遅遅として進んでいない。 ▽西野監督には選手選考の時間も、新たに選手を呼んでテストする場もなかったことを考えれば仕方のないことだろう。本大会で結果を残すことに割り切っての選手選考でもあったと感じざるにはいられなかった。改めて、このタイミングでの監督交代が良かったのかどうか、疑問はつきまとうが、その答えは6月19日のコロンビア戦で明らかになるだろう。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.06.01 07:00 Fri
twitterfacebook
thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】別メニュー乾の代役に中島を推薦

▽21日から始まった日本代表のキャンプだが、岡崎慎司が別メニューで調整中なのは月曜のコラムで紹介した。さらに乾も2日間は足首痛のためホテルで調整し、23日からピッチに姿を現したものの、岡崎と同様に別メニューでの調整となった。 ▽18日のメンバー発表の際に西野監督は、期待いていた今野泰幸が手術を受けるため、小林悠が当日の朝に全治2週間の負傷のため招集を断念したことを明かした。さらに2人のケガ人が別メニューと、船出から不運が続いている。 ▽会見ではポルティモネンセで29試合に出場して10ゴールを上げている中島翔哉に対し、「ポルトガルリーグで結果を出したが、ポリバレントではなかった」と招集外にした理由を語った。しかし、21日の囲み取材では改めて中島を収集しなかった理由を次のように説明した。 ▽「先日話したポリバレントとは複数のポジションをこなせることが本大会では必要だが、全員がポリバレントである必要はなく、スペシャリストもいる」として上で、「ポリバレントがないから外した訳ではなく、選択肢として入らなかっただけ。いろんな対応力、システムに対しての対応力も必要になる」からだそうだ。 ▽「選択肢として入らなかった」のは、中島が得意とする左MFには攻守に戦闘能力の高い原口元気がいて、ドリブラーの乾貴士が今回はチョイスされた。さらにF・デュッセルドルフでは右MFの宇佐美貴史も本来は左MFでのプレーを得意とする。日本代表で“最激戦区”のポジションと言ってもいい。 ▽中島も、ポルティモネンセではトップ下や2トップを務めるなど複数のポジションでプレーしたものの、日本代表で結果を残せるかどうか疑問のため招集外は仕方なかったかもしれない。 ▽しかし、乾のケガである。現状では30日のガーナ戦の出場はかなり厳しいだけに、すぐにでも中島を追加招集して“保険”をかけるべきではないだろうか。 ▽西野監督はG大阪時代の教え子である宇佐美について「ブンデスリーガ2部で優勝するということは、いろいろと厳しい競争をしていること。彼の魅力はフィニッシャーとしていろんなバリエーションを持っているのが特長ですので、ゲームを作るだけでなく、フィニッシュに絡んで欲しい。意外性のあるプレーに期待したい」と高く評価する。 ▽確かにG大阪でブレイクした時は意外性に富んだプレーからゴールを量産した。しかし日本代表では2017年が1試合、2018年も2試合の出場にとどまりノーゴールに終わっている。かつての輝きを日本代表では発揮できていないのが現状だ。それに対し中島は初出場となったマリ戦でゴールを決め、ウクライナ戦でもFKから惜しいシュートを放つなど結果を残した。 ▽西野監督はコンディション重視であることを再三口にする。それなら乾の代役に是非とも中島を呼んで欲しかった。果たして乾がNGの場合、どのような選択をするのか。指揮官の最終判断に注目したい。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.24 15:05 Thu
twitterfacebook
thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】本田と西野監督のイベント出席で思い出される4年前のお祭り騒ぎ

▽昨日16日は、都内の商業施設で高級時計ブランド「ウブロ」のイベントが開催され、第1部には本田圭佑、第2部には西野日本代表監督と元日本代表の前園真聖氏、女優で浦和DF槙野智章の夫人である高梨臨さんがトークショーを開催した。 ▽ウブロは2010年の南アW杯からFIFA(国際サッカー連盟)のオフィシャルタイムキーパーを務め、2015年には日本代表にオフィシャルウォッチを提供してきた。ハリルホジッチ元監督は、代表メンバーを発表する際に、立ち上がって紙を持ちつつ必ずスーツの袖を引いてウブロの腕時計が露出するよう配慮していたのは、今となっては懐かしい思い出だ。 ▽さてトークショーでは、本田がサッカーを始めたきっかけがペレだったことを明かした。「サッカーを始めたきっかけはペレ。物心つき始めた頃に、白黒のペレのW杯のビデオを父親に見せられた。どのプレーが凄いか子供なので分からなかったが、何か凄いことが感覚で分かった」そうだ。 ▽ペレがW杯に出たのは58年スウェーデン大会から70年メキシコ大会までの4度。このうちメキシコと66年イングランド大会はカラー化になっていたため、もしかしたらデビューしたスウェーデン大会のビデオかもしれない。よくも、そんな古いビデオを持っていたと感心してしまった。 ▽そして本田はロシアW杯について「本音で話すと、予選敗退が普通かもしれない。確率論ではそう。でも、それをOKとはできない。サッカーはチームスポーツ。100mを9秒台で走れなくてもサッカーでは勝つことはできる。(大会に)出る以上は優勝としか言えない。僕はこれまでも、出る以上は常に優勝としか言ってこなかった。可能性は1%以下かもしれないけど、可能性はある」と力説した上で、「日本はブランドに抵抗感がある。海外のことを美化しすぎる。試合前から名前負けしている。日本が優勝するためには、まず勝つことを信じる」と豊富な海外経験から持論を展開した。 ▽第2部に登場した西野監督は、18日にキリンチャレンジ杯に臨む28人のメンバー発表を控えているせいか、ちょっと歯切れが悪かった。「各国に欧州で活躍するスーパースターがいるが、弱点はある。しっかり選手に伝えれば日本らしいサッカーができる自信はある」と話しながらも、イベント中に本田とは会わなかったこと、欧州視察後は代表候補選手とは誰ともコンタクトしていないことを明言。代表選考について質問されると「デリケートな問題なので」と言葉を濁した。 ▽このイベントは日本代表のオフィシャルウォッチだからこそ実現できたイベントで、主催はあくまでJFA(日本サッカー協会)だ。本田自身はウブロと契約しているわけではなく、ゲストとしての参加だそうだ。そしてW杯が近づくにつれ、前回も様々なイベントがあったことが思い出される。 ▽ザッケローニ監督は就任会見で、「コマーシャルなどには出るつもりはない。十分すぎるギャランティーをもらっているため出る必要がない」と話していた。ところが2014年の3月頃だったと記憶している。西が丘で行われた練習前、オフィシャルスポンサーのキリンビバレッジが、おにぎり&日本代表公式飲料「キリン午後の紅茶おいしい無糖」と、サポーターの応援メッセージをのりに刻んだ「勝ちにぎり」の贈呈を行ったのだ。 ▽おにぎり公式飲料公式キャラクター・ごごのこーちゃんが出席し、ザッケローニ監督と香川が笑顔で受け取った。正直、ザッケローニ監督がおにぎりを片手に笑顔を振りまく姿に違和感を覚えた。さらに日本代表のサポーティングカンパニーであるファミリーマートは、同社 のテレビ CM に出演しているザッケローニ監督をモチーフにした応援スタンプを、「LINE」の公式アカウントで無料配信した。 ▽W杯で結果を残したのならともかく、これから大事な決戦に向かう前に「浮かれすぎていないか」と思わずにはいられなかった。キリンもファミマも代表のスポンサーだけに、JFAもオファーを断りきれなかったのだろうと想像したが、協会関係者に確認したところ、「ザッケローニの代理人が大手広告代理店に売り込んだため、協会としても把握していなかった」そうだ。 ▽さすがにW杯まで1ヶ月を切っているし、監督に就任したばかりの西野監督が滑稽なイベントに借り出されることはないだろう。JFAも前回の「お祭り騒ぎ」を教訓に、慎んだ行動を望みたい。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.17 13:30 Thu
twitterfacebook


ロシアW杯

ACL

ACL

ACL

欧州移籍情報
Jリーグ移籍情報
hikari

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース