【回顧】バイエルン、72歳ハインケス緊急登板…無双した2012-13シーズンを振り返る

2017.10.07 18:30 Sat
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▽バイエルンは6日、ユップ・ハインケス氏(72)が今季終了までの契約で指揮官に復帰することを発表した。名将カルロ・アンチェロッティ監督解任を受けて、白羽の矢を立てたのは2012-13シーズンに圧倒的な強さをアピールして3冠(チャンピオンズリーグ、ブンデスリーガ、DFBポカール)に導いたハインケス監督。ここでは、過去の特集記事を再掲して、ハインケス監督が率いた2012-13シーズンのバイエルンを紹介する。

◆基本布陣◆
[4-2-3-1]

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・監督:ユップ・ハインケス(67)※当時
・獲得タイトル:ブンデスリーガ、CL、DFBポカール、DFLスーパーカップ
【シーズン実績】
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◆記録ずくめの史上初トレブル
▽2011-12シーズンのバイエルンは、ブンデスリーガ、CL、DFBポカールの全てで2位に終わり、“シルバー・コレクター”と揶揄された。この悔しさを払拭すべく、翌2012-13シーズンの開幕前にFWマリオ・マンジュキッチ(←ヴォルフスブルク)やMFハビ・マルティネス(←ビルバオ)、DFダンテ(←ボルシアMG)といった実力者を獲得。的確な補強でチーム力を格段と上げた。

▽リーグ戦では開幕から好調をキープして8連勝を達成すると、最後までその勢いは衰えず、6試合を残してブンデスリーガ史上最速(当時)での優勝を決めた。そして、最終的に積み重ねたポイントは前人未到の[91]。前のシーズンにドルトムントが記録した[81]を10ポイントも上回り、ブンデスリーガを制覇した。また、シーズン中の14連勝や2位チームとの勝ち点差[25]、最多勝利数[29]、リーグ最少失点数[18]での優勝など、多くの記録を打ち立てた。

▽さらに、このシーズンのバイエルンの勢いは、リーグ戦だけにとどまらない。CLではアーセナル、ユベントスを下してバルセロナとの準決勝へ進出。難敵との対戦となったが、2戦合計スコア7-0と圧勝してファイナルに到達する。
▽そして決勝ではドルトムントとの同国対決を制し、見事に12シーズンぶり5度目の戴冠を果たした。さらに、その1週間後に行われたDFBポカール決勝でもシュツットガルトに3-2と競り勝ち、ドイツ史上初めてとなる3冠の偉業を成し遂げている。ハインケス監督は、この偉業を最後に監督業から勇退した。

【チーム紹介】
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◆スターのハードワーク
▽最強を誇ったバイエルンの特長として、チーム全体がハードワークを徹底していたことが挙げられる。ハインケス監督の下でフットボールに対する姿勢を変えたMFフランク・リベリやMFアリエン・ロッベンといったスター選手がチームプレーに徹したことが、このシーズンのバイエルンの強さを生む大きな要因となった。

▽守備面においては、抜群の安定感を誇るGKマヌエル・ノイアーが最後尾に君臨。センターバックは対人プレーに強みをもつDFジェローム・ボアテングとDFダンテが務めた。特にダンテはシーズンMVP級の活躍を見せ、守備の仕事に加えて正確なフィードで攻撃の起点となった。

▽また、右サイドバックのDFフィリップ・ラームが気の利いたプレーで攻守に奮闘すれば、左のDFダビド・アラバは本職の中盤からポジションを移したにも関わらず、リベリとの好連係で存在感を放った。

▽中盤から前線に関しても、質、層と共に素晴らしいレベルを誇った。MFハビ・マルティネスは加入当初こそ本調子には至らなかったものの、終盤にかけて存在感を示していき、MFバスティアン・シュバインシュタイガーと抜群の補完性を誇った。

▽サイドでは、ロッベンとリベリという世界屈指のドリブラーが執拗に仕掛けていく。また、FWトーマス・ミュラー、MFトニ・クロースといったいくつかのポジションをこなせるクオリティの高い選手が在籍していたことも、安定感に拍車をかけた。

▽そして、FWマリオ・ゴメスにレギュラーを渡さなかったマンジュキッチは労をいとわない守備を見せ、前線からのチェイシングでファーストディフェンダーの役割を完璧にこなした。

【ピックアップ・プレーヤー】
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◆MFフランク・リベリ(29)※当時
▽スタメンクラスの選手全員がシーズンMVPを獲得できるような活躍だったが、その中でもリベリの存在感は際立っていた。卓越したテクニックとドリブルを活かした果敢な仕掛けで左サイドを蹂躙するだけでなく、ときには最終ラインまで戻ってタックルを仕掛けるなど、守備面での献身性も特筆すべきものだった。このシーズンは公式戦43試合に出場して11ゴール22アシストを記録。バロンドールではC・ロナウド、メッシに次ぐ僅差の3位に終わったが、UEFA欧州最優秀選手賞を受賞した。

◆勇気ある緊急登板
▽素晴らしい形で勇退したハインケス監督にとって、今回の電撃的な指揮官就任は、「私には多くのことを分析する必要がある。4年半前に私はバイエルンでの仕事と共に監督業から離れた。そして、フットボールはそのときから進化し続けている」と就任直前に『Rheinischer Post Online』で語っていたように、多大なリスクを伴うもの。最終的に、「世界の他のクラブなら戻らなかった。バイエルンはいつでも私の心にある。私のコーチングチームと私はファンに再び成功をもたらすために全力を注ぐつもりだ。この仕事が楽しみだよ」とバイエルン愛で男気を見せた72歳が1シーズンという短い時間でどのようにチームを形成していくか注目だ。
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