【日本代表コラム】サバイバルの始まり…底上げと経験値の積み上げに絡むべき選手2017.09.28 14:30 Thu

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▽28日、10月に行われるキリンチャレンジカップ2017のニュージーランド代表戦、ハイチ代表戦に向けた日本代表メンバーが発表される。9月に行われたロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で無事に6大会連続6度目のW杯出場を決めた日本。残り約9カ月では、チームの熟成と強化、底上げが求められる。

▽国際親善試合に位置付けられている今回のキリンチャレンジカップ。W杯の出場が決定した日本にとっては、第3章の始まりとなる。本大会で世界の強豪国と対戦することを考えれば、9カ月という期間は時間があるとは言えない状況だ。

▽来年のW杯本大会を見据えれば、今の日本に必要なのは、選手の底上げ、控え選手の経験値アップだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「コンディション」と「パフォーマンス」を優先して選手を選び続け、最初の目的であったW杯の出場権を見事に獲得した。しかし、主力選手の大半は固定されており、合宿や試合に招集されても選手を試すことはあまりできていなかった。特に、中盤から後ろのポジションに関しては、選手の底上げが必要となる。

◆守護神の選定
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▽アジア最終予選がスタートした際は、西川周作(浦和レッズ)が正守護神を務めていた。しかし、今年3月にアウェイで行われたUAE戦以降、川島永嗣(メス)が正守護神に君臨し続けている。控えGKとしては東口順昭(ガンバ大阪)、中村航輔(柏レイソル)が招集されているものの、アジア最終予選での出番はなかった。ニュージーランド戦、ハイチ戦は両選手が1試合ずつ出場することで、経験を積ませたい。また、権田修一(サガン鳥栖)や林彰洋(FC東京)ら日本代表経験者も控えている。バックアッパーにはなるが、不慮のケガなども考えれば、経験を積ませたいポジションだ。

◆サイドバックに不安
▽最終ラインに関して、吉田麻也(サウサンプトン)、昌子源(鹿島アントラーズ)、酒井宏樹(マルセイユ)、長友佑都(インテル)は、経験値やパフォーマンスを見ても問題はない。しかし、バックアッパーとなると酒井高徳(ハンブルガーSV)以外は、圧倒的に経験が少なくなる。
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▽サイドバックでは、内田篤人(ウニオン・ベルリン)の復帰が待ち遠しい。試合には出場しはじめているが、ヒザの状態は慎重にならざるを得ない。日本にとって内田が復帰するかどうかは大きな違いだが、期待ばかりしていると危険だ。アジア最終予選では酒井宏、長友、酒井高、槙野智章(浦和レッズ)しか出場しておらず、底上げが必要となる。
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▽右サイドバックでは、U-23で代表を経験している室屋成(FC東京)、松原健(横浜F・マリノス)がチームでも出場機会を得ている。その他、今シーズンから柏レイソルでプレーする小池龍太も面白い存在だ。酒井宏、酒井高の次に続く選手の選定は早急に進めたいところだろう。
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▽左サイドバックでは、太田宏介(FC東京)や藤春廣輝(ガンバ大阪)といった日本代表経験者も居るが、新戦力も試したいところだ。U-23日本代表経験者の山中亮輔(横浜F・マリノス)や松原后(清水エスパルス)は、今シーズン良いパフォーマンスを見せている。また、サガン鳥栖の左サイドを支える吉田豊も、長友のバックアッパーと考えるとハマりそうだ。川崎フロンターレの車屋紳太郎も左利きであり気になる存在だ。酒井高や槙野も左サイドバックでプレーできるだけに、右サイドバックよりは不安定さは少ないが、バックアップの人選は進める必要がある。

◆センターバックは経験値
▽センターバックに関しては、吉田、昌子のコンビが軸となっていくだろう。現在は負傷離脱している森重真人(FC東京)も最終予選でプレーしており、3枚は計算が立つ。しかし、4枚目のメンバーに関しては、日本代表としての経験が皆無に等しい状況だ。しっかりと経験を積ませる必要がある。
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▽直近の日本代表に選出されている植田直通(鹿島アントラーズ)、三浦弦太(ガンバ大阪)はU-23でもプレーしており、Jリーグでも経験を積んでいるだけに、A代表での経験値を積ませたいところだ。

▽日本代表に新たに推薦したい選手では、中谷進之介、中山雄太の柏レイソルのCBコンビや、攻撃でも力を発揮できる高橋祥平(ジュビロ磐田)、ボランチやCBでプレー可能な谷口彰吾(川崎フロンターレ)だろう。いずれもアンダー世代の代表を経験し、谷口は日本代表に選出された経験もある。植田、三浦だけでなく、可能性がある選手には経験を積ませていきたい。

◆カギはインサイドハーフか
▽中盤も新たなメンバーを試したいポジションだ。長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(セレッソ大阪)、井手口陽介(ガンバ大阪)の3選手に関しては、パフォーマンスも安定し結果も残している。しかし、アンカーを務められるのは長谷部、山口となっており、ケガや出場停止などを考えれば、新たな選手に出てきてもらいたい。
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▽前回招集されたメンバーでは、アンカーとしては高萩洋次郎(FC東京)が考えられるだろう。また、遠藤航(浦和レッズ)も最終予選でアンカーとしてプレーしており、大きな問題とはならなそうだ。バランスを取れる選手としては大谷秀和(柏レイソル)も気になる存在だ。

▽一方で、インサイドハーフには新戦力を試してもらいたい。クラブで出色のパフォーマンスを見せていた柴崎岳(ヘタフェ)は負傷離脱してしまったが、新天地に活躍の場を移した森岡亮太(ベベレン)は久々に日本代表でもプレーがみたいところ。また、前回も招集されていた小林祐希(ヘーレンフェーン)も試合でパフォーマンスを見たい選手だ。

▽国内組では、川辺駿(ジュビロ磐田)や山村和也(セレッソ大阪)、武富孝介(柏レイソル)、原川力、福田晃斗(ともにサガン鳥栖)といった所属クラブで結果を出している選手もいる。このポジションには出場機会が限られている香川真司(ドルトムント)や、戦列を離れている清武弘嗣(セレッソ大阪)が居るが、幅を持って考え、最終的なメンバーを絞ってもらいたいところだ。

◆両ウイングにも新たな風を
▽3トップを考えた際、両ウイングが激戦区となるだろう。右は本田圭佑(パチューカ)、久保裕也(ヘント)、浅野拓磨(シュツットガルト)、左は原口元気(ヘルタ・ベルリン)、乾貴士(エイバル)、武藤嘉紀(マインツ)がメインとなっている。
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▽しかし、右には堂安律(フローニンヘン)、左には中島翔哉(ポルティモネンセ)と所属クラブでも結果を残し始めている選手も控えている。デュッセルドルフへと移籍した宇佐美貴史もここ3試合で2ゴールと気を吐いている。国内組では右には伊東純也(柏レイソル)、江坂任(大宮アルディージャ)、左には阿部浩之(川崎フロンターレ)など、結果を残している選手もいる。攻撃陣はコンディションと調子、そして結果が重要視されるため、多くのカードを手元に置くことが重要になるだろう。

◆1トップの3番手は
▽1トップには大迫勇也(ケルン)が軸として入り、岡崎慎司(レスター・シティ)も今シーズンはゴールという結果を残している。しかし、3番手がなかなか出てこないのが現状だ。
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▽サウジアラビア戦でデビューを果たし、J1での得点ランキングでも2位につける杉本健勇(セレッソ大阪)、しばらく代表から離れているもののクラブでは結果を残している金崎夢生(鹿島アントラーズ)が有力候補だろう。その他、川又堅碁(ジュビロ磐田)、小林悠(川崎フロンターレ)といった今シーズン調子が良い選手も、再び代表でプレーする可能性はあるだろう。

▽いずれにしても前線でタメを作るポストプレーができ、コンビネーションでゴールが奪える選手が求められることは間違いない。手元に置いて、チェックする必要はあるだろう。

◆ここからはサバイバル
▽11月も国際親善試合が控えているが、欧州遠征という話も浮上している。12月にはEAFF E-1 東アジアサッカー選手権2017が日本で行われる。12月の大会では「最後に残るであろう選手を見極める大会となる。(ロシアW杯アジア)最終予選を突破した我々にとって、国内組を試す良い機会になる。本当に最後の最後までチームに残ることができるかどうか。そういった候補の選手を探す場として、この大会を位置付けたい」とハリルホジッチ監督もコメントした。

▽クラブでの活躍が、日本代表に招集されることにつながり、W杯出場に近づくことになる。メンバー入りを果たすためには、各選手の活躍が必要になるが、日本代表としてもそういった選手が出てくることを待ちわびているだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

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【日本代表コラム】現時点では「結果オーライ」、西野監督はどう挽回するのか

▽28日、ロシア・ワールドカップのグループステージ全日程が終了した。日本代表は、ポーランド代表と対戦し、0-1で敗戦。しかし、同グループのもう1つのカードであるセネガル代表vsコロンビア代表が0-1で終了。この結果、グループ2位で決勝トーナメント進出が決まった。 <span style="font-weight:700;">◆喜ぶべきベスト16進出</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽大会前の評価を考えると、ラウンド16に日本が進出する可能性は限りなく低く見積もられ、1弱3強との見方をされていたことも少なくなかった。 ▽開幕2カ月前に監督を交代し、西野朗監督が率いてからは国際親善試合で連敗。本番前ラストマッチのパラグアイ代表戦こそ勝利したものの、ポジティブな要素を感じられないまま本大会に突入したため、期待感は薄く、日本国内での盛り上がりにも欠けていた。 ▽しかし、フタを開ければ初戦のコロンビア代表戦で勝利。続くセネガル代表戦を引き分け、自力で決勝トーナメント進出を掴めるポジションとなった。 ▽当初の評価、期待値からすれば、日本代表がグループステージを突破し、過去最高に並ぶベスト16に進出したことは素直に評価すべきことだ。しかし、そこにケチを付けかねない残念な事態が起こったのも事実だ。 <span style="font-weight:700;">◆ポーランド戦で起こった魔の10分間</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽日本は自力で突破が決められる状況で迎えたグループ最終節。相手は既に敗退が決定していたポーランドだ。実力差を見れば、ポーランドが優勢なのは明らか。ここまでの2試合の結果など関係なく、1試合にこだわれば日本は躓く可能性が高かった。 ▽そんな試合だが、2試合続けて同じ11人をピッチに送り出していた西野朗監督は6名と過半数を変更。システムも、[4-2-3-1]から[4-4-2]へと変更し、大事な一戦に臨んだ。 ▽不安だった大会前から一転、日本の力強さを2試合で感じていた人が多かっただけに、この6名変更は大きな疑問符が付くこととなった。そして、その影響は試合にも表れてしまう。 ▽前半は、連携ミスなどもありながら、ポーランドゴールに迫るシーンが見られた。しかし、ちょっとした感覚や、タイミングのズレが影響し、相手守護神をヒヤリとさせるシーンはなかった。さらに、6名変更の影響は続く。 ▽0-0で前半を終えた日本だったが、FW岡崎慎司が早々に倒れ込み、FW大迫勇也と交代した。前半から怪しい雰囲気を出していた岡崎だったが、後半開始直後に交代。カードを1枚切らざるを得なくなった。負傷に関しては懸念材料を抱えていた岡崎だけに、勿体無いカードを切ることは残念だった。 ▽そして、その後にポーランドが先制。セネガルvsコロンビアがゴールレスドローで推移していたため、日本は敗退が濃厚に。攻勢をかけるべく試合に入ろうとし、MF宇佐美貴史に代えてMF乾貴士を投入。しかし、流れが変わることなく、ポーランドが勢いづく展開となった。 ▽すると、西野監督が大胆な采配をふるう。FW武藤嘉紀に代えて、MF長谷部誠を投入。すると、1点ビハインドの日本が自陣最終ラインでパス交換。一向に攻める様子を見せず、ポーランドもボールを奪いに来ることなく終了。1-0で敗戦となった。 ▽日本がポーランドに負けた場合は、他会場の結果に全てが委ねられることに。しかし、その状況でも、西野監督は「失点をしないこと」「カードをもらわないこと」をプランとして長谷部に伝えていたと、試合後に明かした。 <span style="font-weight:700;">◆ハイリスク・ハイリターンの賭け</span> ▽西野監督は、「万が一が起こらないこと」を主軸に考え、1点ビハインドながら長谷部を起用した。日本とセネガルは条件が同じであり、順位決定は今大会から導入された「フェアプレーポイント」というものだった。 ▽「フェアプレーポイント」とは、警告や退場によって与えられる反則ポイント。日本はセネガルよりもイエローカードで2枚分下回っており、セネガルより優位に立っていたのだ。 ▽しかし、0-1となったセネガルvsコロンビアが1-1となれば、「フェアプレーポイント」は関係なくなる。そんな状況の中、西野監督は試合のラスト10分間は自陣でただボールを回すだけで、時計を進めることを決断。全てをコロンビアに懸けたのだ。 <span style="font-weight:700;">◆究極のリアリストとも言えるギャンブラー</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽対峙している相手ではなく、全く関係ないところの試合に命運を託した西野監督。結果として、日本は2大会ぶりのベスト16進出を掴み、事なきを得た。スタンドからは大ブーイングが鳴り響き、日本人意外で日本代表を応援していた人々にもそっぽを向かれてしまった。 ▽セネガルがコロンビアを相手に10分強で1点を取る確率が高いのか、日本がポーランド相手に引き分けを目指し、逆襲されて2点差を付けられてしまう確率が高いのか。同点を目指しながらも上手く流れが変わらないことに勘付いた西野監督は、コロンビアに命運を託すことが最善と判断したのだろう。交代時に何かを変えた様子も伺えた。 ▽何が起こるか分からない中、自分たちでコントロールすることも放棄した。しかし、結果としてはベスト16に進出。見るものとしては、どこか腑に落ちず、不満が残り、フラストレーションが溜まったはずだ。そして、チームとしてもこれまでの流れを全て断ち切ることとなってしまったかもしれない。それでも、自身が閃いた確率の高い方へ賭ける勝負師の一面を西野監督は見せた。 <span style="font-weight:700;">◆「結果オーライ」をどう挽回するか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽目標であったグループステージ突破を果たしたことに対し、文句を言う必要はない。どんな形であれ、勝負の世界であれば結果が全て。上を目指すためには必要な決断だった。そして、日本は目的を達成した。 ▽しかし、そうであっても、今回の事象は全て「結果論」。結果が重要であり、最優先されることではあるが、結果が違えば、日本代表、そして西野監督の立場がどうなっていたかは容易に想像できる。 ▽開幕2カ月前の電撃的な監督交代、結果を残せなかった国際親善試合、若手を外したメンバー発表──日本国民にとって、マイナス要素ばかりに目が行く流れの中、初戦でコロンビア相手に大金星。一気に日本代表への後押しが強まると、セネガル相手に引き分け、全てが前向きになった。しかし、今回の一件で意見は大きく分かれ、いつになく日本代表が話題の中心となっている。そして、積み上げてきた信頼を全て失ったとも言っても過言ではないかもしれない。 ▽しかし、選手が口を揃えて言うように、目標はベスト16ではなく、最低でもベスト8。過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えることだった。そういった意味では、2試合を主力としてた戦った選手を大幅に休ませられたこと、そして他力に頼るという大胆な選択をしながらも、賭けに勝ったことをプラスに捉えられる。そして次に待つのは、ベルギー代表とのラウンド16でどの様なサッカーを見せるかだ。 ▽現時点での印象は、「結果オーライ」。これでは、未来へと繋がるものは残せていない。しかし、その印象を塗り替え、未来に繋げるためには、ベルギー相手にしっかりと戦い、自分たちの力で歴史を塗り替えることが最も重要だ。 ▽リアリストであり、ギャンブラーでもある西野監督が持つ引きの強さを、ベルギー戦でも期待しない訳にはいかない。実力はもちろんのこと、運を味方にするという意味では、日本は一段階上に上がったのだろう。あとは、休んだ主力選手も含め、ベルギー戦のピッチの上で見るものを沸き立たせてくれることを願うだけだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.29 22:45 Fri
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【日本代表コラム】自信を覗かせるチーム力で勝ち点を積み上げた日本

▽初戦でコロンビア代表相手に予想を超える勝利を挙げた日本代表。勢いそのままにセネガル代表相手に勝利を目指したが、2-2の引き分けに終わった。 ▽2度のリードを許しながらも、しっかりと追いつき勝ち点1を獲得した日本。これまで見せてきた勝負弱さはそこにはなく、強者の風格すら感じさせる戦いぶりを見せていた。 <span style="font-weight:700;">◆落ち着いた試合の入り</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽コロンビア戦での勝利の影響か、日本は落ち着いて試合をスタートさせた。セネガルは、初戦のポーランド戦に比べて積極的に前からプレスを掛け、ボールを奪いにいくサッカーを展開。しかし、日本はその迫力に押し込まれることなく、ボールを回して行った。 ▽セネガルの出鼻を挫きたい日本だったが、ミスから先制を許す。11分、右サイドからのクロスを原口元気がクリア。しかし、これが相手の足元に収まると、ボックス内右からシュート。サバリのシュートはGK川島永嗣の正面に飛び、問題ないかと思われたが、川島がパンチングをミス。目の前にいたサディオ・マネの足に当たり、ボールはネットを揺らした。 ▽西野朗監督が率いてからというもの、川島の精彩を欠いたプレーは全ての試合で起こっている。しっかりとセネガルの攻撃を跳ね返していた矢先の失点だけに、メンタル面でのダメージが心配されたが、日本は落ち着いて対応した。 <span style="font-weight:700;">◆冷静な判断を見せた柴崎</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽セネガルの1点リードで迎えた34分、日本は一本のパスから決定機を迎える。長谷部誠が最終ラインに入り、3バックの形を作った日本。中盤で柴崎岳がボールを持つと、狙いすましたロングフィード。これを長友佑都がトラップすると、ボックス内で乾貴士とスイッチ。乾は、コースを狙い済ましてネットを揺らした。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽コロンビア戦では、乾は同様の形で2度シュートを外しており、悔しい思いをしていた。シュートを打った角度はこのゴールもほぼ同じ。3度目の正直といったところか、日本の貴重な同点ゴールを生んだ。 ▽乾の落ち着いたシュートも去ることながら、起点となった柴崎にも注目だ。自陣から、走り込んだ長友を狙ったロングフィード。正確無比なパスが通った柴崎は、この試合を通じて攻守に渡り圧巻のパフォーマンスを見せた。当然、これをチャンスにつなげた長友も素晴らしい。チームとして奪えた1点は、日本の成長ぶりを示した。 <span style="font-weight:700;">◆ペースを乱されない守備陣</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽また、守備陣もユニットでしっかりと守ることに成功。マネをはじめ、FWエンバイェ・ニアン、MFイスマイラ・サール、MFパパ・アリウヌ・エンディアイエとセネガルの攻撃陣を押さえ込んだ。 ▽特に、酒井宏樹は一対一で負けることはほとんどなく、ロングボールは吉田麻也がクリア。昌子源も対人の強さを見せながら、後半には自ら持ち出す攻撃参加まで見せた。チームとして、セネガルの攻撃陣を押さえ込めたことは大きいだろう。2失点を喫した部分は反省が必要だが、精度は上がっていると言える。 ▽失点シーンに関しては、日本の右サイドが突破されたもの。それ以前の攻撃でもクロスボールがファーサイドに流れた際、対応ができていなかった。最終的には、右サイドバックのDFムサ・ワゲに詰められてゴールを許したが、同じ形を何度か作られていただけに、しっかりと修正してもらいたい。 <span style="font-weight:700;">◆選手起用によるメッセージ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽追加点を奪われた直後、西野朗監督は交代の準備をしていたFW岡崎慎司ではなく、MF本田圭佑を投入。その後、岡崎も投入すると、同点ゴールが生まれた。この試合、残りの1枚はFW宇佐美貴史を起用した西野監督。メッセージとしては、勝ち点3を目指すということが選手に伝わったはずだ。引き分け狙いではなく、勝ちに行くという姿勢を見せたことは、最終戦のポーランド戦に向けても大きいだろう。 ▽同点ゴールのシーンは、個々の特徴が全面に出たゴールだった。ボックス手前中央でパスを受けた大迫勇也は、自身のストロングポイントであるボールコントロールで収め、持ち出すことに成功。ボックス手前からの大迫のクロスに対しては、岡崎が身体を投げ出して飛び込むと、GKがパンチングをミスし、ボールが流れた。このボールに反応した乾は、ラインギリギリからダイレクトで折り返し、このボールに倒れていた岡崎はそのまま身体を投げ出した。結果的に、GKをブロックする様な形となり、最後は良いポジションをとっていた本田が蹴り込んだ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽途中出場の本田、岡崎が絡み、最終的には本田が3大会連続のゴールを記録。2試合続けて本田が決勝点に絡んだところを見ても、チームとしての流れが良い方向に向いているのがわかる。そして、各選手が自身の特長をしっかりと出すことで、チームに勝ち点をもたらせたことは大きい。 <span style="font-weight:700;">◆ノルマとなったベスト16</span> ▽大会前の期待値からは大きくかけ離れ、1勝1分けで2試合を終えた日本。この状況を踏まえれば、勝手な話ではあるがグループステージ敗退は許されない状況だ。国民の期待も大いに高まっており、ここまでの流れを不意にしてもらいたくはない。 ▽大方の予想が敗戦だったコロンビア戦で勝ち点3、厳しいと見られたセネガル戦も2度追いついての勝ち点1。自らチャンスを手繰り寄せているだけに、ポーランド戦で結果を残し、3度目のベスト16に進出するかどうかが、この先の日本サッカーの命運を左右すると言っても過言ではない。 ▽チーム力、団結力で結果を残せた2試合。勝負弱さを払拭するには、3戦目のポーランド戦の結果が最重要だ。奇しくもポーランドは既に敗退が決定。失うものは何もなく、開き直って本来のパフォーマンスを見せる可能性は高い。実力国を相手に、ワールドカップの舞台で結果を残せせるのか。次のラウンドに進めば、ベルギー代表かイングランド代表と対戦する。そのステージに立つため、残り僅かな時間でよりチーム力を高めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.25 22:00 Mon
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【日本代表コラム】勝って兜の緒を締めよ

▽ロシア・ワールドカップの初戦を19日に迎えた日本代表。コロンビア代表が有利と見られる中、2-1で勝利。歴史的な一勝を挙げた。大事な初戦で期待以上の勝ち点3を掴んだ日本。この上ない結果だが、決して満足してはいけないものだろう。 <span style="font-weight:700;">◆立ち上がりは上々</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽キックオフ直前、FWラダメル・ファルカオがエンドの入れ替えを要求。コイントス時にファルカオが訴えていたが、審判団が忘れたのか、直前のタイミングで異例の交換となった。しかし、日本は立ち上がりからアグレッシブな入りを見せ、3分に決定的な瞬間が訪れた。 ▽ルーズなボールが入ると、FW大迫勇也が相手DFと競り合いながらボールをキープ。そのまま持ち込み、GKダビド・オスピナと一対一となりシュート。これは防がれたが、後方から走り込んだMF香川真司がダイレクトシュート。ここで、MFカルロス・サンチェスが腕を出してハンド。日本はPKを得るとともに、コロンビアは1人を退場し数的不利となった。 ▽このシーンは、大迫が身体の強さを見せたキープが生んだものではあるが、パスを出した香川のランも評価すべきだ。クリアボールをダイレクトで前に送ると、大迫にDFが集中する中追いかけ、PK獲得に繋がった。大迫のシュートがセーブされた跳ね返りをダイレクトで打ったことも大きい。キープし、崩すことを考えず、アグレッシブに押し切ったことがプラスに働いた。 <span style="font-weight:700;">◆リード時の戦いに不安も</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ▽しかし、1点リードしてからの戦い方には不安が残る。コロンビアは10人になったものの、ホセ・ペケルマン監督は交代カードを切らず。一方で、日本は数的優位ながらもコロンビアの選手を捕まえきれず、ボールを回される展開に。1人多い点を生かすことができず、後手を踏んだ。 ▽1人余ることで、本来であればリスクを冒して奪いに行って良いシーンでも、ディレイを優先するためにパスを繋がれてしまう。また、人数をかけてボールを奪いに行く場面でも、プレス回避を上手くされ、ボールを繋がれてしまっていた。 ▽当然、個人能力の高さがあるコロンビアだけに、そこまで上手く守備がハマるとは考えにくい。しかし、「チームとして守る」という西野朗監督の試合前のコメントを考えると、上手く機能していたとは言えないだろう。 ▽また、失点シーンに繋がったプレーも気になるところだ。自陣でのボールに対し、DF長友佑都がクリアミス。高く上がったボールを競り合ったファルカオが上手く倒れてボックス手前でFKを獲得した。リードしている状況、そして時間帯を考えれば、もっとセーフティなプレーを心がけても良かったはず。長友のクリアミスがなぜ生まれたのか、しっかりと分析してもらいたいところだ。 ▽FKに関しても、良い位置ではあったとはいえ、防げる余地はあったと言える。GK川島永嗣の立ち位置は、若干ファーに寄っていた。壁の下を抜かれたグラウンダーのシュートがわずかにラインを越えて得点を許したが、壁の上を越えていたとしても、ボールスピードを考えると枠に入っていては間に合わなかったのではないだろうか。キックの精度もあるが、川島の対応も気になるところだ。 <span style="font-weight:700;">◆良い流れからの決勝点</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽決勝点の場面はCKから。左サイドからMF本田圭佑がクロスを上げると、ボックス中央で競り勝った大迫がヘディングで決めた。これまではMF柴崎岳がキッカーだったが、本田に代わって1本目のCK。アウトスイングになったこと、さらには球質が変わったことも影響しただろう。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽しかし、注目したいのはCKを得たプレー。右サイドを崩すと、ニアサイドに低いボールを入れ、大迫がキープ。この落としを走り込んだ酒井宏樹がシュートした。崩し方の問題を抱えていた日本にとって、コロンビア戦の終盤は良い崩しがいくつか見られた。 ▽コロンビアの疲労も影響し、日本がつけ入るスペースができていた。そこをしっかりと使えたことはプラスだが、ゴールという結果が生まれなかった。乾の惜しいシュートも、GKオスピナの好セーブに阻まれた。チャンスが多く訪れないことを考えると、いかに効率よく得点を奪うかが重要となる。 <span style="font-weight:700;">◆勝って兜の緒を締めよ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽初戦で勝ち点3を獲れたという結果は、これ以上ないものだ。3試合で決着がつくことを考えると、コロンビア、そしてポーランドと勝ち点3差を付けていることは大きい。 ▽しかし、相手が早々に10人になったことを考えると、試合内容は満足いくものとは言えない。11人が揃っていたら、この結果が生まれていなかったかもしれない。試合巧者とは言えない日本だけに、やはりピッチ内での決まり事をどこまで設定できるかが重要だ。 ▽日本には「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。運も味方したことで勝ち点3を得られたこのチャンスを活かすためには、浮かれてばかりは居られない。特に、守備面でのプランニングは重要だ。少ない相手に対しての守り方をみても、どこかチーム全体でちぐはぐさが見える。サイドでの追い込み方、中盤での立ち位置、プレスの強度…さまざまな感覚が異なるアフリカ勢との対戦を考えると、整理する必要は出てくる。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽次戦の相手は、ポーランドに勝利したセネガル。アフリカ人特有の優れたフィジカルに加え、整理された守備、破壊力抜群のカウンターを持っている。しっかりとプランを立て、ピッチ上で遂行することができるか。コロンビア戦の勝利に浮かれず、ここで得た課題を次戦までに振り返れば、グループ突破の可能性が見えてくるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.20 23:25 Wed
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