【編集部コラム】アーセナルは直ちに3バックをやめるべき

2017.09.06 20:30 Wed
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▽今のガナーズのムードはアーセン・ヴェンゲルが就任した1996年以降で最悪と言っていいかもしれない。開幕節のレスター・シティ戦こそ4-3で競り勝ったが、続く第2節のストーク・シティ戦(0-1)、第3節のリバプール戦(0-4)を落とした。とりわけ、枠内シュート0にとどまったリバプール戦のパフォーマンスを見れば、サポーターは優勝どころか来季のチャンピオンズリーグ(CL)復帰も不安になったはずだ。

▽CL出場権を19シーズンぶりに逸しただけでなく、開幕から3戦で既に2敗。パフォーマンスだけでなく、チーム内の雰囲気も悪いようだ。今季限りの契約となっているFWアレクシス・サンチェスとMFメスト・エジルの契約延長交渉は進展しておらず、このままでは来夏フリーで手放すことになる情勢。さらに、DFシュコドラン・ムスタフィやDFエクトル・ベジェリンといった主力も今夏に退団を望んでいたと報道されるなど、慰留に向けて不安がある主力選手も少なくない。
▽そんな中で、今季もCL権を逸するようであれば、今後、2003-04シーズン以来となる優勝を目指すチームどころか、欧州カップ戦出場も簡単ではないクラブに成り下がってしまう可能性すらあるだろう。もちろん、20年にわたってアーセナルをトップクラブにとどめてきたヴェンゲルも、その点は危惧しているはずだ。主力を可能な限りとどめること、そして一流選手を獲得し続けるためにも、アーセナルは今季、何としても再びCL権を手にしなければならない。

◆チェンバレンの放出
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▽移籍市場が閉鎖してプレミアリーグが再開する今、CL権獲得のためにヴェンゲルがまずやらなければならないことは、3バックからの脱却だ。その1つ目の理由は、MFアレックス・オックスレイド=チェンバレンの放出。昨季終盤から今季のここまで3バックを採用してきたのにもかかわらず、ウイングバックとして最も重要な選手であるチェンバレンを放出せざるを得なかったのは、契約が今季限りだったため。クラブとしては、来夏にフリーで流出する前に現金化したかったのだろう。

▽しかし、3バックを採用し続けると仮定すれば、労を惜しまないアップダウンと抜群の推進力を誇るチェンバレンは、エジルやサンチェスと同様にチームにおける最重要選手だった。そして、その代役を補強できていないことは致命的。本人がウイングバックを望んでおらず契約が今季限りだったとしても、代役を確保できていなかった以上、3バックを採用し続ける腹積もりならば、彼の移籍は実現させるべきではなかった。それも、CL権を争うライバルに対してのものだから、言い訳できない。
▽ユース出身のDFキーラン・ギブスも放出した今、主なウイングバックはDFエクトル・ベジェリン、DFセアド・コラシナツ、DFナチョ・モンレアルのみ。右サイドで言えばベジェリンのみで、左にしてもモンレアルでは攻撃力に不安がある。優勝クラブに来季CL出場権が与えられるヨーロッパリーグも手が抜けない現状、3バックを継続していくためにはウイングバックの選手層も足りない。

◆エジルの存在
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▽2つ目の理由はエジルだ。インターナショナルマッチウィークの代表戦、[4-2-3-1]のトップ下で輝きを放つエジルを見てヴェンゲルは何を思っただろうか。一般的に、[3-4-2-1]の[2]の選手は、[4-2-3-1]のトップ下とは違って守備時にサイドのケアが必要になる。エジルが[2]に入る場合は右であることが多いが、守備時のポジショニングから、カウンター時は必然的にそちらのサイドからのスタートとなることが多い。

▽エジルの魅力は相手の虚をつくポジショニングと巧みなボールタッチ、広い視野を生かしたスルーパスであり、ベストポジションで言えばもちろんトップ下だ。[3-4-2-1]の[2]でエジルに継続的なハイパフォーマンスを求めるのは難しいだろう。クロス精度も非凡ではあるが、システマティックにサイドに流れさせては彼のプレーに制限をかけてしまう。エジルの笑顔なくしてアーセナルの復権は考えにくい。この世界屈指のタレントを生かすことを考えた場合、やはり[3-4-2-1]は得策ではない。

◆センターバックの質
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▽3つ目の理由はセンターバック陣だ。現在のアーセナルのセンターバック陣では、とてもシーズンを通して持ち堪えられるとは考えられない。ヴェンゲルは、リバプール戦で21歳のDFロブ・ホールディングを右ストッパーとして起用したが、彼が対面のFWサディオ・マネを止めることができると考えたのだろうか。だとすれば、あまりにも楽観的だ。

▽現状のメンバーでベストの3バックの構成を考えた場合、その人選は右からムスタフィ、コシエルニー、モンレアルとなるだろう。コシエルニーはもちろん、ムスタフィもプレミア2年目でパフォーマンス向上が期待できる。モンレアルは持ち前のポジショニングセンスと読みの鋭さでここまで何とかセンターバックをこなしているものの、シーズンを通して見た場合、フィジカル面での不安は拭いきれない。彼らのうち1人でも負傷すれば大幅な戦力ダウンは否めない。コラシナツも左センターバックをこなせるが、それでは今度は左ウイングバックが足りない。

▽やはり、センターバックの質と選手層を考慮した場合、4バックとして右からベジェリン、ムスタフィ、コシエルニー、コラシナツ(モンレアル)とするのがベターだ。仮に3バックを継続するならば、中盤の底に入るMFグラニト・ジャカの相棒をMFアーロン・ラムジーとするのではなく、より守備力のあるMFフランシス・コクランかMFモハメド・エルネニーを起用してフォルターを厚くし、センターバックの負担を減らすことが最低条件だ。

◆タイミングは今
▽もちろん、現在のアーセナルの問題はシステムを変更すれば解決するものではない。事実、リバプール戦でもハーフタイム明けに[4-2-3-1]に変更している。それでも、まずは現状の選手の特性に合致していないシステムを変更しなければ、サポーターだけでなく選手たちも指揮官への懐疑心が高まり、雰囲気は悪くなる一方だ。今回のブレーク明けは、切り替える好機でもある。3バックから脱却するタイミングは今だ。
《超ワールドサッカー編集部・音堂泰博》
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2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、柏レイソルを紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:17位(6勝15分け13敗) 2022シーズン:7位(13勝8分け13敗) 2021シーズン:15位(12勝5分け21敗) 【昨季チーム得点王】 細谷真大 14ゴール 【今季ノルマ】 残留 【編集部イチオシ】 FW細谷真大 昨季J1:34試合出場/14ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆ギリギリの残留</span> 昨季は天皇杯で11年ぶりの決勝進出とタイトルにもう一歩のところまで迫ったが、リーグ戦はというと、前年の7位から大きく落としての17位に。ネルシーニョ監督の後任として井原正巳監督が指揮するようになってからも課題が少なかったわけではなかったが、最下位のみが降格というレギュレーションにも希望を見いだしつつ、犬飼智也の夏加入や守備整備で勝ち点を着実に積み上げ、残留を決めた。 <span class="paragraph-subtitle">◆補強は…</span> J1優勝の過去を持つチームであるのを考えると、到底満足できるものではなく、この冬のチーム整備から力を入れていきたいところだったが、補強はレンタルバックとJ2からのステップアップが中心に。昨年もJ1クラブでプレーした新戦力は木下康介に限られており、ほかの新顔では野田裕喜や白井永地、島村拓弥といった個人昇格者が占める。 <span class="paragraph-subtitle">◆細谷真大の残留は朗報だが</span> 一方、主力からの退団者では椎橋慧也、仙頭啓矢、山田康太がそれぞれ新たなチャレンジを選択。武者修行先の徳島ヴォルティスで昨季13ゴールとブレイクの森海渡は横浜FCによもやの完全移籍を決断した。昨季14ゴールのエース、細谷真大に冬の海外移籍がなさそうな情勢というのは朗報だが、チーム力は現時点でIN&OUTの動向からしてダウン感が強い。 <span class="paragraph-subtitle">◆若手の成長度合いでチーム力が変化も</span> ほかでは守備の立て直しにひと役を買った犬飼の完全移籍移行も良い知らせではあったが、現時点ではJ1経験の乏しい選手がどこまで戦力として独り立ちしていけるかどうかといったところ。修行でひと回り大きくなって戻った鵜木郁哉をはじめ、ポテンシャルを秘めた若手も多く、そこから何選手が台頭を遂げるかでチーム力も変わってくる。 <span class="paragraph-subtitle">◆シーズンを通じて天皇杯決勝の戦いを</span> 攻守にわたって多くの課題を持ち越しての今季だが、天皇杯決勝では川崎フロンターレを相手に前線からのプレッシングと組織としての守りで相手のパスワークに制限をかけ、PK戦にもつれる死闘。川崎Fを大いに苦しめたあのスタイルは可能性を感じさせ、今季の初めから打ち出していければ楽しみだ。井原監督も続投。17位に沈んだ昨季からの巻き返しを期す。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 DF野田裕喜(26)←モンテディオ山形/完全移籍 DF関根大輝(21)←拓殖大学/新加入 DF犬飼智也(30)←浦和レッズ/完全移籍移行 MF島村拓弥(24)←ロアッソ熊本/完全移籍 MF白井永地(28)←徳島ヴォルティス/完全移籍 MF熊坂光希(22)←東京国際大学/新加入 MF鵜木郁哉(22)←水戸ホーリーホック/期限付きより復帰 FW木下康介(29)←京都サンガF.C./完全移籍 FW升掛友護(20)←愛媛FC/期限付きより復帰 【OUT】 DFブエノ(28)→未定 DF岩下航(24)→期限付き移籍 DF田中隼人(20)→V・ファーレン長崎/期限付き移籍 DF大嶽拓馬(21)→EDO ALL UNITED/完全移籍 DFエメルソン・サントス(28)→インテルナシオナウ(ブラジル)/完全移籍 MF三原雅俊(35)→未定 MF椎橋慧也(26)→名古屋グランパス/完全移籍 MF山田康太(24)→ガンバ大阪/完全移籍 MF仙頭啓矢(29)→FC町田ゼルビア/完全移籍 MF落合陸(24)→水戸ホーリーホック/期限付き移籍 MF加藤匠人(24)→福島ユナイテッドFC/期限付き移籍 FWドウグラス(36)→未定 FWアンジェロッティ(25)→FC今治/完全移籍 FW森海渡(23)→横浜FC/完全移籍 2024.02.15 18:15 Thu

攻撃陣は多士済々、2年目のクラモフスキー体制は真価を発揮できるか【J1開幕直前ガイド|FC東京】

2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、FC東京を紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:11位(12勝7分け15敗) 2022シーズン:6位(14勝7分け13敗) 2021シーズン:9位(15勝8分け15敗) 【昨季チーム得点王】 ディエゴ・オリヴェイラ 15ゴール 【今季ノルマ】 上位 【編集部イチオシ】 MF松木玖生 昨季J1:22試合出場/1ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆不完全燃焼に終わった昨シーズン</span> アルベル監督の下で2年目を迎えた2023シーズン。タイトル争いを目標としながら開幕から成績が安定せず、6月にリーグ戦3連敗を喫して12位にまで沈み、アルベル監督解任の決断を下した。後任にピーター・クラモフスキー監督が就任してからも劇的な改善はなく、パフォーマンスも低調に。最終的にはリーグ11位、3シーズン無冠の結果に終わり、誰にとっても不満の残る1年となった。 <span class="paragraph-subtitle">◆即戦力を補強し攻撃陣は多士済々</span> 思うような結果を残せなかった昨シーズンからの巻き返しを目指し、即戦力の補強に成功した。主だったところでは北海道コンサドーレ札幌から小柏剛、アルビレックス新潟から高宇洋、鹿島アントラーズから荒木遼太郎を獲得。さらに、ウニオン・ベルリンからは遠藤渓太が加わり、アタッカーの選択肢が豊富になったことは頼もしい。一方で、守備陣についてはユースからの昇格や大卒の加入など、最小限にとどまった。 <span class="paragraph-subtitle">◆クラモフスキー監督にとって勝負の年に</span> 即戦力の補強に成功し、渡邊凌磨こそ去ったもののディエゴ・オリヴェイラ、松木玖生、小泉慶ら多くの主力は残留。上位を争える戦力は十分揃っているだけに、就任2シーズン目を迎えるクラモフスキー監督の手腕が問われることになるだろう。昨シーズンは途中就任の難しさもあり、最後まで説得力のあるサッカーは見せられず。前クラブのモンテディオ山形でも2シーズン目に成績を上げJ1参入プレーオフにチームを導いているだけに、指揮官がどのような采配を振るうかは注目だ。 <span class="paragraph-subtitle">◆新時代に向けた第一歩を踏み出せるか</span> ここ最近はタイトル争いに絡めず、もどかしい想いを抱くファンも少なくない。そんな中で、クラブは創設25周年を契機にエンブレムを一新。ここから新しい歴史を築いていく決意を新たにした。今シーズンは東京ヴェルディやFC町田ゼルビアの昇格により、にわかに首都が熱気を帯びているが、そんな中で長年J1を戦ってきた矜持を示し、ファンを熱狂させるサッカーが見せられるか、クラブの真価が問われる。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 GK小林将天(18)←FC東京U-18/昇格 GK波多野豪(25)←V・ファーレン長崎/期限付き移籍より復帰 DF岡哲平(22)←明治大学/新加入 DFペク・インファン(18)←チョナンジェイル高校(韓国)/新加入 DF東廉太(19)←SC相模原/期限付き移籍より復帰 MF高宇洋(25)←アルビレックス新潟/完全移籍 MF安斎颯馬(21)←早稲田大学/新加入 MF荒木遼太郎(22)←鹿島アントラーズ/期限付き移籍 MF遠藤渓太(26)←ウニオン・ベルリン(ドイツ)/期限付き移籍 MF安田虎士朗(20)←栃木SC/期限付き移籍より復帰 MF品田愛斗(24)←ヴァンフォーレ甲府/期限付き移籍より復帰 MF原川力(30)←セレッソ大阪/完全移籍移行 FW小柏剛(25)←北海道コンサドーレ札幌/完全移籍 FW野澤零温(20)←松本山雅FC/期限付き移籍より復帰 【OUT】 GKヤクブ・スウォビィク(32)→コンヤスポル(トルコ)/完全移籍 DF木村誠二(22)→サガン鳥栖/期限付き移籍 DFペク・インファン(18)→ツエーゲン金沢/期限付き移籍 DF大森理生(21)→いわきFC/期限付き移籍 DF蓮川壮大(25)→清水エスパルス/期限付き移籍 DF岡庭愁人(24)→ジェフユナイテッド千葉/期限付き移籍 MF渡邊凌磨(27)→浦和レッズ/完全移籍 MF青木拓矢(34)→未定/契約満了 MF塚川孝輝(29)→京都サンガF.C./期限付き移籍 MFアルトゥール・シルバ(28)→大宮アルディージャ/完全移籍 MF西堂久俊(22)→鹿児島ユナイテッドFC/期限付き移籍 MF梶浦勇輝(20)→ツエーゲン金沢/育成型期限付き移籍延長 MF内田宅哉(25)→名古屋グランパス/完全移籍移行 FWアダイウトン(33)→ヴァンフォーレ甲府/完全移籍 FW熊田直紀(19)→ヘンク(ベルギー)/期限付き移籍 FWペロッチ(26)→シャペコエンセ(ブラジル)/期限付き移籍満了 2024.02.14 19:00 Wed
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