【会見全文】ハリルホジッチ監督「私から辞めると言うことはない」、活躍のMF井手口陽介について「本一冊書けてしまう」
2017.09.02 00:30 Sat
▽1日、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長とヴァイッド・ハリルホジッチ監督がロシア・ワールドカップ(W杯)の出場を受けて埼玉県内のホテルで記者会見を行った。
▽日本代表は、午前中にサウジアラビアに迎う前の最後の国内練習を実施。ハリルホジッチ監督は、この日も細かく指導していた。
▽前日のオーストラリア戦に勝利し、6大会連続6度目のW杯出場を決めた日本だったが、試合後の記者会見ではハリルホジッチ監督への質疑応答が実施されず。一夜明け、改めて会見に臨み、前日の会見の発言の意図や、今後の日本代表について熱弁した。ハリルホジッチ監督の会見全文は以下のとおり。
◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)
「協会の関係者、選手、JFAで働いている方からも、そういった状況が感じられた。私はこういった経験をして来ている。このゲームに向けた準備は、全くもって簡単ではなかった。この合宿に向けた準備で、色々な困難があったかはみなさんがご存知だろう」
「私のことを攻撃しているメディアがあるということも耳に入っていた。ただ、私のプライベートな、個人的な部分はご存知ないと思う。それはあくまでも個人的なことであり、誰にも話していなかった。私は仕事に集中しようとしていた。選手たちの精神的な部分、メンタル的な部分に影響を与えたくないと考えたので、話さなかった。代表でデビューする2、3人の若い選手もいたのでそうした」
「会長にもお会いして話をしたが、試合前は心配なことがたくさんあったと思う。しかし、私の個人的な問題もあったので、試合後はすぐにロッカーに引き上げたいと思ったが、この喜びを選手たち、スタッフたちと分かち合わないといけないと思い、その場にとどまった。もちろんサポーターもだ。私にとって特別な時間となった」
「そういった状況だったので、記者会見に出席しないという話を一度した。なぜなら、私は発言するときに、社交辞令ではなく、感じたことを言うからだ。そしてそれは、良くないと思ったが、会見場に入ったときに拍手で迎えられた。非常に感動した。みなさんにとってはあまり快くない状況だったと思うので、申し訳なく思い、昨日は説明した」
「昨日の会見の後、フランスを含め世界中で報道されていた。そのため、この状況を説明したいと感じている。私の昨日の発言は、私を批判していた方に向けたものだ。私にプレッシャーをかけていた方々。選手たちにも何が起きているのかと聞かれた。私は、汚された人たちに向けての発言だった。私に敬意を払っていなかった方々、私の仕事を評価して来なかった方々、私を批判するためにいる方々、そういった方も居るでしょう」
「サッカーの世界で生きているし、日本より大きなプレッシャーがかかるところで仕事をしたこともある。でも、チームが首位の時に批判をされていた。勝ち点も1位、得点も失点も得失点差も6ある状況で、私が去らなければいけない。私がオーストラリア戦の結果次第では、去らなければいけないということを書かれた方々に対して、攻撃として受け止めた。チームが勝った」
「試合前に会長と話をした。会長には、サポートするという気持ちが全く変わっていないと言って頂いた。もちろん、私は監督として結果で応えなければいけないと思った。監督として結果を残せていなければ、批判の対象になると思う」
「これも初めて言うが、他のところからオファーがあったりする。金銭的にも競技面でもより良い条件を提示されたこともある。しかし、私は目的を持ってここに来ているため、それに対する忠誠心がある。このグループに愛着もある。私もこちらに居るし、家族も良く訪れている。そして、会長との関係も非常に良い。その中での責任感が、私のマックスを引き出すことになる。私が到着してから、どういった仕事をして来たかは、会長がご覧になっている」
「私の意欲は、日本のサッカーを向上させるために全てを注ぎ込む。もちろん仕事をしている中でミスもあるだろう。いつも理想的に全てが進むわけではない。でも私はこのチームで良い結果を残すためにここに居る。日本のサッカーを向上させるべく、私はたくさんの人にアドバイスや言葉をかけたりしている。私の仕事の仕方は、前任者と少し違うかもしれない」
「私は外交的なことはやっていない。それが良いと思う方もいれば、あまり好きでない方もいるだろう。そしていつか、私が去ることになれば、誇りを持って去ることになるだろう。友人として去ることになると思うので、何度も日本に挨拶に訪れることになると思う。もしかしたら、日本代表の監督をいつか辞めることになれば、日本の美しい部分を楽しむことができるだろう」
「昨日の発言の中には、そういった意図もあった。私を批判されて来た方に向けたものだった。それと同時に、皆さんに対する感謝の言葉もあった。そして、私がどれだけ監督を続けられるかは、結果次第だと思う。私から辞めると言うことはない。会長が隣にいるが、私に何かがあれば、最初に伝えるのは会長だ」
「そして感情を隠すことができない。私は外交的な話し方に欠けた発言をするかもしれない。この年齢では、もう変わることはないと思う。今まで様々なところで成功を収めて来た。そして、私はとある方々には納得いかないかもしれないが、仕事を続ける。いつまでかは分からない。昨日の発言でチームが動揺するのかは嫌だったので、説明させてもらった」
──W杯出場決定から一夜明けて選手たちにはどのような声をかけたか
「このチームの意欲というものを、できるだけ大きなものとし、勇敢に戦えるようにしたいと思う。ロシアW杯にはツーリストとしては行きたくない。そして、なぜこうなのかということを、色々進めなければいけない。まだまだ、成功を収めるには改善点がある。そして、このチームで準備をしている中で、選手のメンタルの状態は、最初良くないと感じた。それはW杯での敗退、アジアカップでの敗退があったからだ」
「私は結果を残したい。日本国民はこのチームに誇りを感じていると思うが、W杯はただのスポーツの試合ではない。国家のプロモーションという意味でも、非常に大きな意味を持っている。そして、いつの日か日本で、サッカーが圧倒的なNo.1のスポーツになってもらいたいと思っている。その主役は選手たちだ。だから、その準備をしようと選手たちに話した」
「しっかりトレーニングをして、チームのために何が良いのかを、日々考えなければいけないと語った。私のマネジメント、チームの作り方に対しても批判はあると思う。しかし、私は自分で責任をもって、そうやって行って来た。毎回最善というわけではなかったが、その時点でベストだと思えるチームを使っていた」
「ベテランやスター選手も尊重しながら、若い選手も起用しようと思っている。昨日の井手口(陽介)のプレー。彼が最終的に素晴らしいプレーを見せた裏側で、どのようなことが行われていたかは想像できないと思う。若い選手が何故あそこまで良いレスポンスを見せたか、そういった準備もある。それだけで本一冊書けてしまう。でも、私に近くにいる人たちでも、そこに価値を見出せない人もいる」
「違った形に持っていく、試合でその姿を見せられなければ、結果も伴っていなく、全く違う状況に陥っていると思う。そして、日本人選手、国内でプレーしていても海外でプレーしていても、全員に日本代表でポジションを奪う準備をしてもらいたいと思う。私はリスクを犯しながらこういったことをして来たかもしれないが、日本サッカーにとって大きな一歩になったかなと思う」
「以前は今野(泰幸)を呼んだ。それは彼がそのタイミングでトップフォームだったからだ。UAE戦で彼はベストプレーヤーだった。そして、コーチングスタッフが全ての試合を分析している。もちろん、私もだ。彼が良いプレーをしたと。井手口が良いプレーをしたし、ベストプレーヤーだった」
「でも、まだ20歳や21歳という言葉を聞いた。フランス代表のリストを見ると、18歳の選手もいる。そう言った意味で、日本サッカー界にとって、大きな一歩だったかなと思う。私はベストな選手をプレーさせただけだ。そして、日本の選手たち全員に、準備をしていてもらいたい。ロシアW杯に向けて、大きな意欲を持ってトライしなければいけない」
「今後はアルゼンチン、ドイツ、フランスなどと対戦することもあるだろう。非常に高いレベルだ。それらのチームと対戦するときに恐れて行かない方が良いかもしれない。そういったことを正直に感じていることを選手たちに話した。そして、このグループを2回しか見られていない。このグループというのは27人の選手を含めている。たくさんのケガ人が出ている状況にしたくはない。まだ、フィジカル的に準備ができていない選手もいたりしたが、私は初日から、心配事もありながら、非常に良いポジティブな姿を見せてくれた」
「試合中も2得点を全員が喜んでいた。浅野、井手口など若い選手たちが点を獲った。そして、久保(裕也)、原口元気なども居たりした。代表はみんなのものであり、個人のものではない。私は良いコンディション、良いプレーを見せている選手たちにチャンスを与えたいと思っている。そう考えているので、私の判断が満足させて居ないかもしれない。協会の中でもそうかもしれない。しかし、私はこのように選手たちを前進させようとしている。そして、素晴らしい性格の選手たちが集まっている。これからは次のチャレンジであるW杯に向けて、できるだけ良い準備をしたいと思う
──W杯に向けての改善点は
「私は全く違ったサッカー、フィジカル的な戦い、戦術、プレースピードがより高いレベルのところから来た。そして、そこに近づける為に、フィジカルでは2年間たくさんのテストを行って来た。そのテストも身体性の高いものにした。そして、国内でプレーしている選手と海外でプレーしている選手たちに、準備の違いを教えた」
「国内の選手が代表に来たとき、代表のトレーニングのリズムに慣れるのに最初苦労する。フィジカル的な戦いでも同じだ。そして、現代サッカーは101%のコンディションじゃないと良いプレーができない。そして、この試合は戦術的にも分析すべきゲームかなと思う」
「オーストラリアとの2戦、アウェイの試合と昨日の試合は全く違うアプローチをした。これはサッカー好きな戦術好きな人ならば、非常に面白い分析ができるかもしれない。アウェイゲームでは、少し深い位置でブロックを形成した。なぜそうしたかと言えば、その試合ではそれが一番良い良かったからだ」
「昨日のゲームでは、ほぼ90分間高い位置からボールを奪いに行っていた。1-0の状況でもボックスの中まで引いて守ってしまうと、190cm以上の選手が中に入ってくることになる。だから、我々はできるだけ高い位置でボールを奪いに行った。非常に素晴らしいフィジカル的な戦いを見せたと思っている」
「そして、今は守備の話をしたが、それはディフェンダーだけの話ではない。浅野、大迫(勇也)、岡崎(慎司)、(原口)元気、“日本のマラドーナ”の乾(貴士)、彼らの守備での貢献がどれほど大きかったか。中盤やディフェンスラインはもちろんのこと。相手はフィジカル的により体格の選手たちが揃っているが、そういう戦いができた」
「私は選手たちに早く走ろうと言ったが、浅野の背後でのもらい方、井手口のボールを持った時のスピードアップ、そういったものが見られた。山口蛍もセレッソ大阪のものとは全く違った。トレーニングの時間があまりなかったので、ボードを使ってたくさん説明した」
「これから日本代表のどこが改善点で向上させられるかというと、フィジカル的、技術的、テクニックはある程度あるが、スピードを乗せられるか。そしてメンタル面だ。そこに関する話をたくさんしている。サッカーの大国と言われている国に対するコンプレックス、そういったものを無くしたい。そして自分たちの可能性を信じなければいけない」
「違ったサッカーのアプローチをして、毎日チェックしている。ただ、トレーニングする時間があまり取れないというのが問題だ。我々はこの試合を金曜日に開催できないかと話していた。その状況でプレーした。このスコアを見れば、サポーターの皆さんも、我々もこのチームを誇りに思える」
「現時点での日本のFIFAランキングは把握していないが、トップ10に入ってもらいたいと思う。それが心からの発言なのか、客観的すぎるのか。私は他のチームを55位から16位まで上げたことがある。つまり、可能ということだ。私は自分のビジョンを伝えようと思っている。もちろん、私の周りにいる人たちも、説得して、納得させようとしている。しっかりと説明している」
「私は常に勝者になりたいと思って、強く勝ちたいという意識を持っている。私の性格は、常に穏やかではないかもしれない。選手たちにも伝えてある。つまり、大きな仕事をしたい。そうしたければ、たくさんのところをいじらなくてはいけない。選手たちの会話の中、そういったところでも彼らにダイレクトにどこを修正しなくてはいけないと言っている。人に言われて嬉しくないこともあるだろう。私はこのチームのグループに愛着を持っている。そして、全員で進化しながら成功を収めたいと思っている」
「もちろん私のやり方が、全員を納得させることはないと思うが、どこに居たとしても何かを変えるためには、少し揺さぶる必要もある。それぞれの指導者のやり方があるので、それを否定することはないが、私は私のやり方でやる。それが成功に繋がるかはわからない」
「今回W杯出場を決めたことは満足できることだ。私も他の人たちも喜んでいると思うが、この時点で満足しきってしまってはいけない。さらに大きなものを目指さなくてはいけない。W杯が終わって初めて、私が本当に満足したかどうかがわかる。私は常にもっと、もっとと欲している。それが病気かはわからないが。私は勝つことが大好きだ」
「そして、その勝者の意識をチームにも持ってもらいたい。これからまとまって、大きな仕事を成し遂げなくてはいけない。進歩して、前進、進化するために。私を解雇する力は会長にはある。そういったことがあっても、友情は無くならないだろう」
──11月の強化試合に対してどのようなリクエストを出しているか
「W杯に向けては、非常に高いレベルのチームとの戦いを望んでいる。その時点で、どこまでできるのか、日本のレベルが今どの辺りにあるのかを知りたい。そして今現在のチームの状況では、W杯では結果を残せないと思う。でも、9カ月後にはそれは変わっているかもしれない。重要なのはケガ人を多く出さないことだ。日本のベストプレーヤーがW杯で使えればと思う」
──オーストラリア戦のスターティングメンバーについて、いつ頃決断したのか
「チームの8割は頭の中で出来上がっている。特に中盤から前はまだ決まり切っていなく、悩んでいた。例えば、20歳ぐらいの選手が2人いるとか。そういった若い選手を使うことに対して、全員が納得していたわけではない。若い選手がこういったプレッシャーの中で、しっかり応えられるかどうか、恐れてしまうんではないかという心配もあった。それでも、トレーニングの後に決断した」
「そして、説明の部分にたくさん時間を割いた。個別でもグループでも、ポジション別でも行った。オーストラリアのメンバーを見たときに、中盤の枚数を増やしてくるだろうと予想した。さらに、1トップだったが、そこもミッドフィルダー的な特徴を持った選手を起用すると思った。オフサイドギリギリで裏を狙える選手を前に配置した。その後ろにミッドフィルダーを6人、ポジションを入れ替えながらやっていた」
「試合直前にオーストラリアのメンバーが出た後も、選手たちから色々質問が出てきた。そこで最後の説明をして、中盤でどういったチョイスをするのか、どうやって前からプレスをかけるのか、相手の選手が中盤にボールをつけたら誰がそこを見るのか、あるいは逆サイドをどう見るのか、どの高さでブロックを作るのか。試合直前にもたくさんの指示を出した」
「セットプレーに関しても、我々が予測していた背の高い選手が入っていなかったので、マークのつきかたを変えた。ニアのストーンと言われるところなどだ。細かい指示をたくさん出したが、その全てを選手たちが実行してくれたことに、私は驚いている」
「もちろん自分たちがボールを持ったときにも戦術がある。グラウンダーで速いボールでパスを出そうと言った。井手口や(山口)蛍には、クラブであまりやっていないプレーかもしれないが、そういった力があるので、個人プレーでも見せてくれた。2人とも良いシュートを持っているので、シュートを要求したし、井手口がゴールを決めた」
「このような形で代表でプレーするのは、井手口にとってはほぼ初めてだったと思うが、あの姿を見せられて誇りを感じた。そして、長谷部の戦術的な役割があり、その後ろに(吉田)麻也がいて、前線の選手たちも犠牲心を持ちながらチームのために頑張った。そういった姿を見ると、まだまだ進化するなという希望を持つことができる。もっとトレーニングの時間があれば、さらに良くしていくことができるかなと思う」
「つまり、たくさん選手たちと話し合ったということだ。そして、直前までは分からない部分があったので、話し合って直前に決めたこともある。相手はCKから5得点を獲っている。それを守るためであり、全ての細かいことを実行できたのは、スタッフが一生懸命働いて、細かいところまで詰めてくれたからだ。コーチングスタッフ、特に日本人のコーチングスタッフにお願いして、若い選手とたくさん話してもらった。それだけ自信をつけてもらいたいと思ったからだ。ドクターやトレーナーにも声をかけてほしいとお願いしたし、試合に出場しない選手たちも勇気付けて欲しいと頼んだ。そのように、全体で励ましあって進めた」
「会場でもホテルでも、応援の言葉をいただいた。全員で準備をしてきた。このようなことで上手くいかなければ、責任は私にある。それを受け入れなければいけない。全員で準備をして成功したので本当に良かったと思うし、私は自分のビジョンを変えるつもりはない。このまま続けたいと思う」
▽日本代表は、午前中にサウジアラビアに迎う前の最後の国内練習を実施。ハリルホジッチ監督は、この日も細かく指導していた。
◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)
(C)CWS Brains,LTD.
「こんばんは。昨日の試合後の会見については申し訳ないと思っている。みなさんの前で長い時間話すことができなかった。みなさんも聞きたいことがたくさんあったかと思う。これまで誰も知らなかったことをその時発言したが、素晴らしいゲームの後のお祝いムードに水を差したくはなかった。非常に難しい状況だった。ほぼパニックの状況があった中でのゲームだった」「協会の関係者、選手、JFAで働いている方からも、そういった状況が感じられた。私はこういった経験をして来ている。このゲームに向けた準備は、全くもって簡単ではなかった。この合宿に向けた準備で、色々な困難があったかはみなさんがご存知だろう」
「データでも、オーストラリアにW杯の最終予選で勝ったことがないとか、初戦を落としてW杯に出場した国はないとか、UAEに勝ったことがないとか。そういったたくさんのことが、私には影響しなかったが、選手たちには影響していたかもしれない。私と共に働いている人も、少し焦っているようだった」
「私のことを攻撃しているメディアがあるということも耳に入っていた。ただ、私のプライベートな、個人的な部分はご存知ないと思う。それはあくまでも個人的なことであり、誰にも話していなかった。私は仕事に集中しようとしていた。選手たちの精神的な部分、メンタル的な部分に影響を与えたくないと考えたので、話さなかった。代表でデビューする2、3人の若い選手もいたのでそうした」
(C)CWS Brains,LTD.
「私のやり方に、私と共に働いている人たち全員が同意していたわけではない。そのような状況が歴史的なゲームにあった。初めてオーストラリアに勝っただけでなく、W杯に出場することが決定するゲームだったということでも歴史的なゲームだった。そして試合後、私はベストゲームをした。非常に高いレベルのゲームだった。戦術的にも、フィジカル的にも、攻撃もだ。そして観客を含め、みんなが歓喜している姿を見ることができた」「会長にもお会いして話をしたが、試合前は心配なことがたくさんあったと思う。しかし、私の個人的な問題もあったので、試合後はすぐにロッカーに引き上げたいと思ったが、この喜びを選手たち、スタッフたちと分かち合わないといけないと思い、その場にとどまった。もちろんサポーターもだ。私にとって特別な時間となった」
「そういった状況だったので、記者会見に出席しないという話を一度した。なぜなら、私は発言するときに、社交辞令ではなく、感じたことを言うからだ。そしてそれは、良くないと思ったが、会見場に入ったときに拍手で迎えられた。非常に感動した。みなさんにとってはあまり快くない状況だったと思うので、申し訳なく思い、昨日は説明した」
「昨日の会見の後、フランスを含め世界中で報道されていた。そのため、この状況を説明したいと感じている。私の昨日の発言は、私を批判していた方に向けたものだ。私にプレッシャーをかけていた方々。選手たちにも何が起きているのかと聞かれた。私は、汚された人たちに向けての発言だった。私に敬意を払っていなかった方々、私の仕事を評価して来なかった方々、私を批判するためにいる方々、そういった方も居るでしょう」
「サッカーの世界で生きているし、日本より大きなプレッシャーがかかるところで仕事をしたこともある。でも、チームが首位の時に批判をされていた。勝ち点も1位、得点も失点も得失点差も6ある状況で、私が去らなければいけない。私がオーストラリア戦の結果次第では、去らなければいけないということを書かれた方々に対して、攻撃として受け止めた。チームが勝った」
「試合前に会長と話をした。会長には、サポートするという気持ちが全く変わっていないと言って頂いた。もちろん、私は監督として結果で応えなければいけないと思った。監督として結果を残せていなければ、批判の対象になると思う」
(C)CWS Brains,LTD.
「私は日本に来てから、ずっとW杯出場を目指してやって来た。そして私にプレシャーをかけている方々が、JFAに対して辞めてくれと言うこともあるだろう。しかし、私から辞めると言うことはない。もちろん、様々な理由がある。1つは私の個人的な問題によって、辞めざるを得ない状況が考えられたり、あるいはサッカーに関係ない理由もあるだろう」「これも初めて言うが、他のところからオファーがあったりする。金銭的にも競技面でもより良い条件を提示されたこともある。しかし、私は目的を持ってここに来ているため、それに対する忠誠心がある。このグループに愛着もある。私もこちらに居るし、家族も良く訪れている。そして、会長との関係も非常に良い。その中での責任感が、私のマックスを引き出すことになる。私が到着してから、どういった仕事をして来たかは、会長がご覧になっている」
「私の意欲は、日本のサッカーを向上させるために全てを注ぎ込む。もちろん仕事をしている中でミスもあるだろう。いつも理想的に全てが進むわけではない。でも私はこのチームで良い結果を残すためにここに居る。日本のサッカーを向上させるべく、私はたくさんの人にアドバイスや言葉をかけたりしている。私の仕事の仕方は、前任者と少し違うかもしれない」
「私は外交的なことはやっていない。それが良いと思う方もいれば、あまり好きでない方もいるだろう。そしていつか、私が去ることになれば、誇りを持って去ることになるだろう。友人として去ることになると思うので、何度も日本に挨拶に訪れることになると思う。もしかしたら、日本代表の監督をいつか辞めることになれば、日本の美しい部分を楽しむことができるだろう」
「昨日の発言の中には、そういった意図もあった。私を批判されて来た方に向けたものだった。それと同時に、皆さんに対する感謝の言葉もあった。そして、私がどれだけ監督を続けられるかは、結果次第だと思う。私から辞めると言うことはない。会長が隣にいるが、私に何かがあれば、最初に伝えるのは会長だ」
「そして感情を隠すことができない。私は外交的な話し方に欠けた発言をするかもしれない。この年齢では、もう変わることはないと思う。今まで様々なところで成功を収めて来た。そして、私はとある方々には納得いかないかもしれないが、仕事を続ける。いつまでかは分からない。昨日の発言でチームが動揺するのかは嫌だったので、説明させてもらった」
──W杯出場決定から一夜明けて選手たちにはどのような声をかけたか
(C)CWS Brains,LTD.
「先ほど話したこととは違うことだ。私はこのチームでの仕事のビジョンを伝えて来ている。このチームでの仕事の中で、いくつかの段階がある。昨夜第2段階が終わった。そして、第3段階が始まっている。それは最も厳しい、難しいものだ。それは、W杯だ。これからはW杯の準備が始まる。今日から始まる。W杯の本番3週間前に準備を始めるわけではない。数カ月前から始めなければならない」「このチームの意欲というものを、できるだけ大きなものとし、勇敢に戦えるようにしたいと思う。ロシアW杯にはツーリストとしては行きたくない。そして、なぜこうなのかということを、色々進めなければいけない。まだまだ、成功を収めるには改善点がある。そして、このチームで準備をしている中で、選手のメンタルの状態は、最初良くないと感じた。それはW杯での敗退、アジアカップでの敗退があったからだ」
「私は結果を残したい。日本国民はこのチームに誇りを感じていると思うが、W杯はただのスポーツの試合ではない。国家のプロモーションという意味でも、非常に大きな意味を持っている。そして、いつの日か日本で、サッカーが圧倒的なNo.1のスポーツになってもらいたいと思っている。その主役は選手たちだ。だから、その準備をしようと選手たちに話した」
「しっかりトレーニングをして、チームのために何が良いのかを、日々考えなければいけないと語った。私のマネジメント、チームの作り方に対しても批判はあると思う。しかし、私は自分で責任をもって、そうやって行って来た。毎回最善というわけではなかったが、その時点でベストだと思えるチームを使っていた」
「ベテランやスター選手も尊重しながら、若い選手も起用しようと思っている。昨日の井手口(陽介)のプレー。彼が最終的に素晴らしいプレーを見せた裏側で、どのようなことが行われていたかは想像できないと思う。若い選手が何故あそこまで良いレスポンスを見せたか、そういった準備もある。それだけで本一冊書けてしまう。でも、私に近くにいる人たちでも、そこに価値を見出せない人もいる」
「違った形に持っていく、試合でその姿を見せられなければ、結果も伴っていなく、全く違う状況に陥っていると思う。そして、日本人選手、国内でプレーしていても海外でプレーしていても、全員に日本代表でポジションを奪う準備をしてもらいたいと思う。私はリスクを犯しながらこういったことをして来たかもしれないが、日本サッカーにとって大きな一歩になったかなと思う」
「以前は今野(泰幸)を呼んだ。それは彼がそのタイミングでトップフォームだったからだ。UAE戦で彼はベストプレーヤーだった。そして、コーチングスタッフが全ての試合を分析している。もちろん、私もだ。彼が良いプレーをしたと。井手口が良いプレーをしたし、ベストプレーヤーだった」
「でも、まだ20歳や21歳という言葉を聞いた。フランス代表のリストを見ると、18歳の選手もいる。そう言った意味で、日本サッカー界にとって、大きな一歩だったかなと思う。私はベストな選手をプレーさせただけだ。そして、日本の選手たち全員に、準備をしていてもらいたい。ロシアW杯に向けて、大きな意欲を持ってトライしなければいけない」
「今後はアルゼンチン、ドイツ、フランスなどと対戦することもあるだろう。非常に高いレベルだ。それらのチームと対戦するときに恐れて行かない方が良いかもしれない。そういったことを正直に感じていることを選手たちに話した。そして、このグループを2回しか見られていない。このグループというのは27人の選手を含めている。たくさんのケガ人が出ている状況にしたくはない。まだ、フィジカル的に準備ができていない選手もいたりしたが、私は初日から、心配事もありながら、非常に良いポジティブな姿を見せてくれた」
「試合中も2得点を全員が喜んでいた。浅野、井手口など若い選手たちが点を獲った。そして、久保(裕也)、原口元気なども居たりした。代表はみんなのものであり、個人のものではない。私は良いコンディション、良いプレーを見せている選手たちにチャンスを与えたいと思っている。そう考えているので、私の判断が満足させて居ないかもしれない。協会の中でもそうかもしれない。しかし、私はこのように選手たちを前進させようとしている。そして、素晴らしい性格の選手たちが集まっている。これからは次のチャレンジであるW杯に向けて、できるだけ良い準備をしたいと思う
──W杯に向けての改善点は
(C)CWS Brains,LTD.
「日本のサッカーはこれからも進化できると思っている。今までも言っているが、選手たちにはある指示を出しており、私のサッカーのビジョンが含まれている。日本のサッカーのアイデンティを見つけている。バルセロナのように、ブラジルのように、フランスのようにと考えるのではなく、日本らしく。その為には弱点を含め、自分たちの特徴を見つけなくてはいけない」「私は全く違ったサッカー、フィジカル的な戦い、戦術、プレースピードがより高いレベルのところから来た。そして、そこに近づける為に、フィジカルでは2年間たくさんのテストを行って来た。そのテストも身体性の高いものにした。そして、国内でプレーしている選手と海外でプレーしている選手たちに、準備の違いを教えた」
「国内の選手が代表に来たとき、代表のトレーニングのリズムに慣れるのに最初苦労する。フィジカル的な戦いでも同じだ。そして、現代サッカーは101%のコンディションじゃないと良いプレーができない。そして、この試合は戦術的にも分析すべきゲームかなと思う」
「オーストラリアとの2戦、アウェイの試合と昨日の試合は全く違うアプローチをした。これはサッカー好きな戦術好きな人ならば、非常に面白い分析ができるかもしれない。アウェイゲームでは、少し深い位置でブロックを形成した。なぜそうしたかと言えば、その試合ではそれが一番良い良かったからだ」
「昨日のゲームでは、ほぼ90分間高い位置からボールを奪いに行っていた。1-0の状況でもボックスの中まで引いて守ってしまうと、190cm以上の選手が中に入ってくることになる。だから、我々はできるだけ高い位置でボールを奪いに行った。非常に素晴らしいフィジカル的な戦いを見せたと思っている」
「そして、今は守備の話をしたが、それはディフェンダーだけの話ではない。浅野、大迫(勇也)、岡崎(慎司)、(原口)元気、“日本のマラドーナ”の乾(貴士)、彼らの守備での貢献がどれほど大きかったか。中盤やディフェンスラインはもちろんのこと。相手はフィジカル的により体格の選手たちが揃っているが、そういう戦いができた」
「私は選手たちに早く走ろうと言ったが、浅野の背後でのもらい方、井手口のボールを持った時のスピードアップ、そういったものが見られた。山口蛍もセレッソ大阪のものとは全く違った。トレーニングの時間があまりなかったので、ボードを使ってたくさん説明した」
「これから日本代表のどこが改善点で向上させられるかというと、フィジカル的、技術的、テクニックはある程度あるが、スピードを乗せられるか。そしてメンタル面だ。そこに関する話をたくさんしている。サッカーの大国と言われている国に対するコンプレックス、そういったものを無くしたい。そして自分たちの可能性を信じなければいけない」
「違ったサッカーのアプローチをして、毎日チェックしている。ただ、トレーニングする時間があまり取れないというのが問題だ。我々はこの試合を金曜日に開催できないかと話していた。その状況でプレーした。このスコアを見れば、サポーターの皆さんも、我々もこのチームを誇りに思える」
「現時点での日本のFIFAランキングは把握していないが、トップ10に入ってもらいたいと思う。それが心からの発言なのか、客観的すぎるのか。私は他のチームを55位から16位まで上げたことがある。つまり、可能ということだ。私は自分のビジョンを伝えようと思っている。もちろん、私の周りにいる人たちも、説得して、納得させようとしている。しっかりと説明している」
「私は常に勝者になりたいと思って、強く勝ちたいという意識を持っている。私の性格は、常に穏やかではないかもしれない。選手たちにも伝えてある。つまり、大きな仕事をしたい。そうしたければ、たくさんのところをいじらなくてはいけない。選手たちの会話の中、そういったところでも彼らにダイレクトにどこを修正しなくてはいけないと言っている。人に言われて嬉しくないこともあるだろう。私はこのチームのグループに愛着を持っている。そして、全員で進化しながら成功を収めたいと思っている」
「もちろん私のやり方が、全員を納得させることはないと思うが、どこに居たとしても何かを変えるためには、少し揺さぶる必要もある。それぞれの指導者のやり方があるので、それを否定することはないが、私は私のやり方でやる。それが成功に繋がるかはわからない」
「今回W杯出場を決めたことは満足できることだ。私も他の人たちも喜んでいると思うが、この時点で満足しきってしまってはいけない。さらに大きなものを目指さなくてはいけない。W杯が終わって初めて、私が本当に満足したかどうかがわかる。私は常にもっと、もっとと欲している。それが病気かはわからないが。私は勝つことが大好きだ」
「そして、その勝者の意識をチームにも持ってもらいたい。これからまとまって、大きな仕事を成し遂げなくてはいけない。進歩して、前進、進化するために。私を解雇する力は会長にはある。そういったことがあっても、友情は無くならないだろう」
──11月の強化試合に対してどのようなリクエストを出しているか
(C)CWS Brains,LTD.
「10月、11月に活動がある。W杯予選が終わった最初の2試合は日本で行われる。世界各国で予選が行われているからだ。11月になれば、海外に行くことができるかもしれない。そして、高いレベルのチームと対戦できるかもしれない。それがどのチームになるのかというのはまだわからない」「W杯に向けては、非常に高いレベルのチームとの戦いを望んでいる。その時点で、どこまでできるのか、日本のレベルが今どの辺りにあるのかを知りたい。そして今現在のチームの状況では、W杯では結果を残せないと思う。でも、9カ月後にはそれは変わっているかもしれない。重要なのはケガ人を多く出さないことだ。日本のベストプレーヤーがW杯で使えればと思う」
──オーストラリア戦のスターティングメンバーについて、いつ頃決断したのか
(C)CWS Brains,LTD.
「この試合の前にトレーニングセッションは2日しかできなかった。その中で戦術のトレーニングも行った。負荷をかけない内容にした。その中で2つ、3つ変えながらやっていった。まず代表の活動がない期間に、コーチングスタッフが全ての試合を視察したり映像を見たりしている。それは国内もそうだし、海外の選手もそうだ。現場に足を運んだり、映像を観たりしている。私も観ているので、選手の状態は基本的に分かっている」「チームの8割は頭の中で出来上がっている。特に中盤から前はまだ決まり切っていなく、悩んでいた。例えば、20歳ぐらいの選手が2人いるとか。そういった若い選手を使うことに対して、全員が納得していたわけではない。若い選手がこういったプレッシャーの中で、しっかり応えられるかどうか、恐れてしまうんではないかという心配もあった。それでも、トレーニングの後に決断した」
「そして、説明の部分にたくさん時間を割いた。個別でもグループでも、ポジション別でも行った。オーストラリアのメンバーを見たときに、中盤の枚数を増やしてくるだろうと予想した。さらに、1トップだったが、そこもミッドフィルダー的な特徴を持った選手を起用すると思った。オフサイドギリギリで裏を狙える選手を前に配置した。その後ろにミッドフィルダーを6人、ポジションを入れ替えながらやっていた」
「試合直前にオーストラリアのメンバーが出た後も、選手たちから色々質問が出てきた。そこで最後の説明をして、中盤でどういったチョイスをするのか、どうやって前からプレスをかけるのか、相手の選手が中盤にボールをつけたら誰がそこを見るのか、あるいは逆サイドをどう見るのか、どの高さでブロックを作るのか。試合直前にもたくさんの指示を出した」
「セットプレーに関しても、我々が予測していた背の高い選手が入っていなかったので、マークのつきかたを変えた。ニアのストーンと言われるところなどだ。細かい指示をたくさん出したが、その全てを選手たちが実行してくれたことに、私は驚いている」
「もちろん自分たちがボールを持ったときにも戦術がある。グラウンダーで速いボールでパスを出そうと言った。井手口や(山口)蛍には、クラブであまりやっていないプレーかもしれないが、そういった力があるので、個人プレーでも見せてくれた。2人とも良いシュートを持っているので、シュートを要求したし、井手口がゴールを決めた」
「このような形で代表でプレーするのは、井手口にとってはほぼ初めてだったと思うが、あの姿を見せられて誇りを感じた。そして、長谷部の戦術的な役割があり、その後ろに(吉田)麻也がいて、前線の選手たちも犠牲心を持ちながらチームのために頑張った。そういった姿を見ると、まだまだ進化するなという希望を持つことができる。もっとトレーニングの時間があれば、さらに良くしていくことができるかなと思う」
「つまり、たくさん選手たちと話し合ったということだ。そして、直前までは分からない部分があったので、話し合って直前に決めたこともある。相手はCKから5得点を獲っている。それを守るためであり、全ての細かいことを実行できたのは、スタッフが一生懸命働いて、細かいところまで詰めてくれたからだ。コーチングスタッフ、特に日本人のコーチングスタッフにお願いして、若い選手とたくさん話してもらった。それだけ自信をつけてもらいたいと思ったからだ。ドクターやトレーナーにも声をかけてほしいとお願いしたし、試合に出場しない選手たちも勇気付けて欲しいと頼んだ。そのように、全体で励ましあって進めた」
「会場でもホテルでも、応援の言葉をいただいた。全員で準備をしてきた。このようなことで上手くいかなければ、責任は私にある。それを受け入れなければいけない。全員で準備をして成功したので本当に良かったと思うし、私は自分のビジョンを変えるつもりはない。このまま続けたいと思う」
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