【J1クラブ中間評価】不完全燃焼も将来を見据えたポゼッションサッカー確立へ《サガン鳥栖》

2017.07.18 17:00 Tue
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▽2017シーズンの明治安田生命J1リーグは早くも折り返し地点に。DAZNマネーで増加した分配金などを巡る争いも背景に存在していることから、優勝争いのみならず、例年以上に戦いが激化している。超ワールドサッカー編集部は、このタイミングでJ1全18クラブを中間評価。今回はサガン鳥栖編をお届けする。

◆苦しい戦いが続くも新戦力はフィット
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▽マッシモ・フィッカデンティ体制2年目を迎えた鳥栖。昨シーズンの2ndステージでは指揮官の望むポゼッションサッカーが浸透し始めた印象を受けた。それだけに期待を持って臨んだ今シーズンだが、リーグ戦初勝利は3試合目のサンフレッチェ広島戦まで待たされることに。その後も不安定な戦いが続いたが、第13節の北海道コンサドーレ札幌戦での勝利から5戦無敗で前半戦を終えた。
▽新加入選手ではMF原川力が中盤の一角を担い欠かせない存在となる。GK権田修一もここまでフル出場を果たし、右サイドバックではケガで出遅れたDF小林祐三がDF藤田優人とのポジション争いを制して定位置を確保。FW趙東建も体の強さや馬力を見せ、チームトップタイの3得点を記録している。FWビクトル・イバルボは持ち味を徐々に出しつつあったが、無得点で前半戦を終え、選手登録を抹消された。

▽一方の既存選手では、MF福田晃斗が持ち前の運動量を活かしてポジションを確保し、チームの心臟までに成長。ベテランの域に入ったMF高橋義希も全試合に出場。DF吉田豊、DFキム・ミンヒョクも最終ラインを支える活躍を見せる中、エースのFW豊田陽平は負傷の影響もあり現在もトップコンデイションを取り戻せず。また、MF鎌田大地がフランクフルトへと移籍し、後半戦での巻き返しに向けてエースの復活が待たれる。

◆ポジション別採点
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【GK&DF】50点/100点満点
▽開幕前に守護神のGK林彰洋がFC東京に移籍。大崩れする可能性もあったが、権田がその穴を埋めた。バックラインもキム・ミンヒョク、DF谷口博之をセンターに、左の吉田ら昨シーズンのメンバーが固めていたが、谷口の長期離脱によりDF青木剛が起用されている。右サイドバックは藤田と小林が高いレベルで争っているものの、失点22は予定より多いはずだ。上位陣は20点を割る失点数だけに、後半戦で巻き返すためにはもうひと踏ん張りが必要か。
【MF】60/100点満点
▽フィッカデンティスタイルの軸となる中盤では、アンカーの高橋、インサイドハーフの福田、トップ下の鎌田ら既存の選手に原川がフィット。これまでとは違い、中盤からしっかりとビルドアップするスタイルが定着してきた。鎌田が移籍したことを考えれば、MF小川佳純やMF水野晃樹、FW小野裕二といった期待された新加入選手たちの貢献度が上がって欲しいところ。チーム全体でコンセプトの共有ができれば、浮上のきっかけをつかめるだろう。

【FW】20/100点満点
▽ストライカー陣では上記にあるように豊田の負傷が大きく響いた。さらに期待されたイバルボも10試合で無得点に終わり6月30日に登録を抹消。趙東建も3得点とある程度結果を残したが、結局は豊田の4得点がチーム内で最多となるなど、改めて得点力の課題が浮き彫りとなった。

◆超WS的前半戦チーム内GOODプレーヤー
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MF高橋義希(32歳/No.14)
明治安田生命J1リーグ:17試合(先発15回)/1得点
▽前半戦MVPは中盤のダイナモとして躍動した高橋を選出。Jリーグが発表しているトラッキングデータの上位3つは高橋であり、13㎞後半を走破。さらに上位10傑で6回選出されるなど、恐ろしい運動量を誇る。チームの心臓として、豊富な運動量と正確なボール奪取でピンチの芽を摘み、そのままビルドアップに加わって攻撃を組み立てるなどチームスタイルにマッチしたプレーを見せた。

◆超WS的前半戦チーム内BADプレーヤー
FW豊田陽平(32歳/No.11)
明治安田生命J1リーグ:14試合(先発13回)/4得点
▽今シーズンは、チームが個性的なストライカーを獲得しただけに、豊田にかかる負担は減ると思われた。しかし、相手に脅威を与えるだけのユニットは形成できず、自身も外傷性気胸による離脱からコンディションを落とした。前半戦では4得点に終わり、5シーズン続けているJ1での2桁得点にも黄信号が灯っている。チームの戦い方は変わりつつあるものの、豊田がエースであることに変わりはない。それだけに不満の残る前半戦のパフォーマンスだった。

◆鎌田の抜けた穴を補い、得点力の改善が必要
▽後半戦に向けて大きなポイントは、フランクフルトに移籍した鎌田が抜けた穴だ。中断期間は1カ月あるが、堅実的なフィッカデンティ監督がフォーメーション変更を行うことは考えにくく、既存の選手を当てはめて成熟度を高めるだろう。第17節のヴァンフォーレ甲府戦では小野がトップ下を務めており、今後も小野が攻撃のタクトを振るう存在となるはずだ。良いコンビネーションを見せている中盤の3人と前線を結ぶ重要な存在だけに、後半戦は小野のタスクがさらに増えるはずだ。

▽また、ここまで得点が少ないフォワード陣の奮起も必要だ。エース・豊田の復調に頼るだけでなく、チームとしてフィニッシュに持ち込む形を構築したい。登録を抹消されたイバルボも完全移籍に向けた交渉中というだけに、前半戦の不甲斐ないパフォーマンスを払しょくしたいところ。出場機会が限られているFW富山貴光やFW池田圭、U-20日本代表にも選出されているFW田川亨介ら控え組の活躍にも期待したい。
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2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、柏レイソルを紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:17位(6勝15分け13敗) 2022シーズン:7位(13勝8分け13敗) 2021シーズン:15位(12勝5分け21敗) 【昨季チーム得点王】 細谷真大 14ゴール 【今季ノルマ】 残留 【編集部イチオシ】 FW細谷真大 昨季J1:34試合出場/14ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆ギリギリの残留</span> 昨季は天皇杯で11年ぶりの決勝進出とタイトルにもう一歩のところまで迫ったが、リーグ戦はというと、前年の7位から大きく落としての17位に。ネルシーニョ監督の後任として井原正巳監督が指揮するようになってからも課題が少なかったわけではなかったが、最下位のみが降格というレギュレーションにも希望を見いだしつつ、犬飼智也の夏加入や守備整備で勝ち点を着実に積み上げ、残留を決めた。 <span class="paragraph-subtitle">◆補強は…</span> J1優勝の過去を持つチームであるのを考えると、到底満足できるものではなく、この冬のチーム整備から力を入れていきたいところだったが、補強はレンタルバックとJ2からのステップアップが中心に。昨年もJ1クラブでプレーした新戦力は木下康介に限られており、ほかの新顔では野田裕喜や白井永地、島村拓弥といった個人昇格者が占める。 <span class="paragraph-subtitle">◆細谷真大の残留は朗報だが</span> 一方、主力からの退団者では椎橋慧也、仙頭啓矢、山田康太がそれぞれ新たなチャレンジを選択。武者修行先の徳島ヴォルティスで昨季13ゴールとブレイクの森海渡は横浜FCによもやの完全移籍を決断した。昨季14ゴールのエース、細谷真大に冬の海外移籍がなさそうな情勢というのは朗報だが、チーム力は現時点でIN&OUTの動向からしてダウン感が強い。 <span class="paragraph-subtitle">◆若手の成長度合いでチーム力が変化も</span> ほかでは守備の立て直しにひと役を買った犬飼の完全移籍移行も良い知らせではあったが、現時点ではJ1経験の乏しい選手がどこまで戦力として独り立ちしていけるかどうかといったところ。修行でひと回り大きくなって戻った鵜木郁哉をはじめ、ポテンシャルを秘めた若手も多く、そこから何選手が台頭を遂げるかでチーム力も変わってくる。 <span class="paragraph-subtitle">◆シーズンを通じて天皇杯決勝の戦いを</span> 攻守にわたって多くの課題を持ち越しての今季だが、天皇杯決勝では川崎フロンターレを相手に前線からのプレッシングと組織としての守りで相手のパスワークに制限をかけ、PK戦にもつれる死闘。川崎Fを大いに苦しめたあのスタイルは可能性を感じさせ、今季の初めから打ち出していければ楽しみだ。井原監督も続投。17位に沈んだ昨季からの巻き返しを期す。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 DF野田裕喜(26)←モンテディオ山形/完全移籍 DF関根大輝(21)←拓殖大学/新加入 DF犬飼智也(30)←浦和レッズ/完全移籍移行 MF島村拓弥(24)←ロアッソ熊本/完全移籍 MF白井永地(28)←徳島ヴォルティス/完全移籍 MF熊坂光希(22)←東京国際大学/新加入 MF鵜木郁哉(22)←水戸ホーリーホック/期限付きより復帰 FW木下康介(29)←京都サンガF.C./完全移籍 FW升掛友護(20)←愛媛FC/期限付きより復帰 【OUT】 DFブエノ(28)→未定 DF岩下航(24)→期限付き移籍 DF田中隼人(20)→V・ファーレン長崎/期限付き移籍 DF大嶽拓馬(21)→EDO ALL UNITED/完全移籍 DFエメルソン・サントス(28)→インテルナシオナウ(ブラジル)/完全移籍 MF三原雅俊(35)→未定 MF椎橋慧也(26)→名古屋グランパス/完全移籍 MF山田康太(24)→ガンバ大阪/完全移籍 MF仙頭啓矢(29)→FC町田ゼルビア/完全移籍 MF落合陸(24)→水戸ホーリーホック/期限付き移籍 MF加藤匠人(24)→福島ユナイテッドFC/期限付き移籍 FWドウグラス(36)→未定 FWアンジェロッティ(25)→FC今治/完全移籍 FW森海渡(23)→横浜FC/完全移籍 2024.02.15 18:15 Thu

攻撃陣は多士済々、2年目のクラモフスキー体制は真価を発揮できるか【J1開幕直前ガイド|FC東京】

2024シーズンの明治安田J1リーグが23日からいよいよ開幕する。今季からは20チーム制となり、降格も3つに増枠しての争いに。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、J1リーグ全チームをピックアップし、FC東京を紹介していく。 【直近3シーズンの成績】 2023シーズン:11位(12勝7分け15敗) 2022シーズン:6位(14勝7分け13敗) 2021シーズン:9位(15勝8分け15敗) 【昨季チーム得点王】 ディエゴ・オリヴェイラ 15ゴール 【今季ノルマ】 上位 【編集部イチオシ】 MF松木玖生 昨季J1:22試合出場/1ゴール <span class="paragraph-subtitle">◆不完全燃焼に終わった昨シーズン</span> アルベル監督の下で2年目を迎えた2023シーズン。タイトル争いを目標としながら開幕から成績が安定せず、6月にリーグ戦3連敗を喫して12位にまで沈み、アルベル監督解任の決断を下した。後任にピーター・クラモフスキー監督が就任してからも劇的な改善はなく、パフォーマンスも低調に。最終的にはリーグ11位、3シーズン無冠の結果に終わり、誰にとっても不満の残る1年となった。 <span class="paragraph-subtitle">◆即戦力を補強し攻撃陣は多士済々</span> 思うような結果を残せなかった昨シーズンからの巻き返しを目指し、即戦力の補強に成功した。主だったところでは北海道コンサドーレ札幌から小柏剛、アルビレックス新潟から高宇洋、鹿島アントラーズから荒木遼太郎を獲得。さらに、ウニオン・ベルリンからは遠藤渓太が加わり、アタッカーの選択肢が豊富になったことは頼もしい。一方で、守備陣についてはユースからの昇格や大卒の加入など、最小限にとどまった。 <span class="paragraph-subtitle">◆クラモフスキー監督にとって勝負の年に</span> 即戦力の補強に成功し、渡邊凌磨こそ去ったもののディエゴ・オリヴェイラ、松木玖生、小泉慶ら多くの主力は残留。上位を争える戦力は十分揃っているだけに、就任2シーズン目を迎えるクラモフスキー監督の手腕が問われることになるだろう。昨シーズンは途中就任の難しさもあり、最後まで説得力のあるサッカーは見せられず。前クラブのモンテディオ山形でも2シーズン目に成績を上げJ1参入プレーオフにチームを導いているだけに、指揮官がどのような采配を振るうかは注目だ。 <span class="paragraph-subtitle">◆新時代に向けた第一歩を踏み出せるか</span> ここ最近はタイトル争いに絡めず、もどかしい想いを抱くファンも少なくない。そんな中で、クラブは創設25周年を契機にエンブレムを一新。ここから新しい歴史を築いていく決意を新たにした。今シーズンは東京ヴェルディやFC町田ゼルビアの昇格により、にわかに首都が熱気を帯びているが、そんな中で長年J1を戦ってきた矜持を示し、ファンを熱狂させるサッカーが見せられるか、クラブの真価が問われる。 <span class="paragraph-subtitle">◆2024年冬移籍情報</span> 【IN】 GK小林将天(18)←FC東京U-18/昇格 GK波多野豪(25)←V・ファーレン長崎/期限付き移籍より復帰 DF岡哲平(22)←明治大学/新加入 DFペク・インファン(18)←チョナンジェイル高校(韓国)/新加入 DF東廉太(19)←SC相模原/期限付き移籍より復帰 MF高宇洋(25)←アルビレックス新潟/完全移籍 MF安斎颯馬(21)←早稲田大学/新加入 MF荒木遼太郎(22)←鹿島アントラーズ/期限付き移籍 MF遠藤渓太(26)←ウニオン・ベルリン(ドイツ)/期限付き移籍 MF安田虎士朗(20)←栃木SC/期限付き移籍より復帰 MF品田愛斗(24)←ヴァンフォーレ甲府/期限付き移籍より復帰 MF原川力(30)←セレッソ大阪/完全移籍移行 FW小柏剛(25)←北海道コンサドーレ札幌/完全移籍 FW野澤零温(20)←松本山雅FC/期限付き移籍より復帰 【OUT】 GKヤクブ・スウォビィク(32)→コンヤスポル(トルコ)/完全移籍 DF木村誠二(22)→サガン鳥栖/期限付き移籍 DFペク・インファン(18)→ツエーゲン金沢/期限付き移籍 DF大森理生(21)→いわきFC/期限付き移籍 DF蓮川壮大(25)→清水エスパルス/期限付き移籍 DF岡庭愁人(24)→ジェフユナイテッド千葉/期限付き移籍 MF渡邊凌磨(27)→浦和レッズ/完全移籍 MF青木拓矢(34)→未定/契約満了 MF塚川孝輝(29)→京都サンガF.C./期限付き移籍 MFアルトゥール・シルバ(28)→大宮アルディージャ/完全移籍 MF西堂久俊(22)→鹿児島ユナイテッドFC/期限付き移籍 MF梶浦勇輝(20)→ツエーゲン金沢/育成型期限付き移籍延長 MF内田宅哉(25)→名古屋グランパス/完全移籍移行 FWアダイウトン(33)→ヴァンフォーレ甲府/完全移籍 FW熊田直紀(19)→ヘンク(ベルギー)/期限付き移籍 FWペロッチ(26)→シャペコエンセ(ブラジル)/期限付き移籍満了 2024.02.14 19:00 Wed
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