【原ゆみこのマドリッド】今度こそ優勝したら喜べる…
2017.06.03 13:00 Sat
▽「グリースマンもいてくれるなら、何とかなるかな」そんな風に私が捕らぬ狸の皮算用をしていたのは金曜日、マルカ(スポーツ紙)の移籍関連ブログでフランス代表合宿中の彼がモウリーニョ監督に電話、この夏はマンチェスター・ユナイテッドへは行かず、アトレティコに残る旨を伝えたという報を読んだ時のことでした。いやあ、もうCL決勝もすぐそこに迫っているといる折ながら、前日になって、ようやくクラブにCAS(スポーツ仲裁裁判所)からの裁定が通達。それが、理由は外国籍の未成年選手の保有で重大な規定違反案件がレアル・マドリーは最終的にたった2件、アトレティコは26件あったというのが影響したのかどうかは定かではありませんけどね。半減されたお隣さんとは違って、FIFAの処分を丸々認め、冬の移籍市場に続いて、このシーズンオフも選手の新規登録が禁じられたままになるという内容だったため、私まで大ショックを受けることに。
▽え、そんなの、もうリーガも終わったことだし、CLもコパ・デル・レイも準決勝で負けた悔しさもだんだん薄れ、シメオネ監督が来季、ワンダ・メトロポリターノに来てくれるとファンの前で確約。ジエゴ・コスタ(チェルシー)だ、ビトロ(セビージャ)だ、ラガゼット(リヨン)だ、サンドロ(マラガ)だという、マスコミの補強候補の声に勝手に舞い上がっていた自分が悪いだろうって? まあ、そうなんですが、ここ2週間はグリースマンの移籍を仄めかすコメントに翻弄され、この水曜だって、「自分の将来はこの夏に決まる。でもアトレティコにいるのは幸せで、コケやゴディンとも話した。あとは会長次第だね」なんて発言が合宿地のクレールフォンテーヌから伝わってきましたからね。
▽もう何だか、訳がわかりませんでしたが、さすがにこのCAS裁定には当人もチームメートが憐れになったんでしょうか。早速、「Ahora más que nunca, Atleti, todos juntos/アオラ・マス・ケ・ヌンカ、アトレティ、トードー・フントス(今こそアトレティ、皆一緒だ)」というツイート(https://twitter.com/AntoGriezmann/status/870348612311678976)を送ってきてくれたから、これは一件落着と見ていいかと。そこで来年1月まで補強ができない彼らのため、ちょっと私が頭を捻った結果、アタッカーのノルマ制に行きつくことに。
▽要は得点目標をクリスチアーノ・ロナウドやメッシに並びたいグリースマンが40点(今季27点、その前32点)、新スタジアムで主力CFの役目を担うことになるフェルナンド・トーレスは20点(同10点、12点)、放出を逃れたガメイロにも20点(同16点、その前はセビージャで29点)、カラスコもムラをなくしてもらって20点(同14点、5点)、コレアも成長を見込んで15点(同8点、8点)、MFにも頑張ってもらって、コケに10点(同5点、5点)、成長著しいサウルには15点(同9点、9点)として、全部合わせれば何と140得点に。
▽いや、これって公式戦計で想定した数字ですから、それでも今季、リーガとCL合わせて138得点しているマドリーやそれ以上に入れているバルサに敵うかどうかはわかりませんけどね。何せ、今は夏に新戦力を取っておいて、1月まではレンタルで元のクラブにおいておくとか、2年前、バルサが同じ処分を受けた時のアルダ・トゥランやアレイチェ・ビダルのように練習だけで半年間過ごしてもらうかなんて話をしているぐらいですから、やはりその辺は現有戦力に期待するしかないかと。そうそう、今季は11人程の選手を他チームにレンタルしているアトレティコですが、業績を挙げている選手が少ないため、戻ってくるのはチアゴ引退で手薄になったボランチのクラネビテル(セビージャ)とFWのビエット(同)ぐらいしかいないとか。
▽その間、サウルはセレソ会長とトム・クルーズをワンダ・メトロポリターノに迎え、ホスト役を務めた後(https://twitter.com/saulniguez/status/869284616548601857)、カンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の先輩コケを始め、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、イジャラメンディ(レアル・ソシエダ)、イアゴ・アスパス(セルタ)、ビトロら、決勝のないA代表招集選手たちも集う、ラス・ロサス(マドリッドの郊外)のサッカー協会施設でU-21ユーロ大会に向けて練習を始めたなんてニュースもアトレティコ関連ではあるものの、今はやっぱりCL決勝のお話もしないといけません。実は私もこの火曜にはマドリーのメディアデーを見学に久々にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に出動。最寄りのメトロ(地下鉄)、カンポ・デ・ラス・ナシオネス駅前でタクシーを拾うはずが、あろうことかその日は一斉ストだったとかで、30分間、延々と歩くことになるとはまったくツイていない。
▽となると、出られるうちにDuodecima(ドゥオデシマ/12回目のCL優勝のこと)もやっておいた方がいい気もしますが、何せ、今回の相手は間抜けなお隣さんではなくイタリアの強豪。とりわけ39歳のブッフォンなど、CL決勝敗退経験はあっても優勝経験がまだないため、「これが自分にとって最後のチャンス」と意気込んでいますしね。それだけに土曜にカーディフに連れて行ったチーム24人全員から、ベンチ入り18人を選ばないといけないジダン監督も慎重を期さないといけませんが、いやあ、本当にこれって難題です。だってえ、第3GKヤニクやカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)のマリアーノ、移動前日の練習をまた体調不良で休んだコエントラン、ペペなどは仕方ないんですが、あとの見学組2人はルーカス・バスケスやハメス・ロドリゲス、アセンシオ、コバチッチ、ダニーロといったところから選ばないといけませんからね。
▽どの選手もここまでチームが辿り着くまで、そこここで貢献してきたため、監督としてもスタンド観戦してもらうのは忍びないところかと。そんなマドリーは練習が終わった後、メルキューレ・カーディフ・ホランド・ハウス・ホテルで夜を過ごし、次に出て来るのは土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの決勝に備え、スタジアムに向かう時になります。いやあ、1つだけ私の気が楽なのは前2回のように延長戦、昨季のミラノの時のようにPK戦に突入しても今年は自宅でTV観戦なため、面倒がないことですが、もしマドリーが史上初の2連覇を達成した場合、またシベレス広場(マドリーファンがお祝いに集まる場所)から大音響が一晩中鳴り響くかもしれないというのはちょっと憂鬱でしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
▽え、そんなの、もうリーガも終わったことだし、CLもコパ・デル・レイも準決勝で負けた悔しさもだんだん薄れ、シメオネ監督が来季、ワンダ・メトロポリターノに来てくれるとファンの前で確約。ジエゴ・コスタ(チェルシー)だ、ビトロ(セビージャ)だ、ラガゼット(リヨン)だ、サンドロ(マラガ)だという、マスコミの補強候補の声に勝手に舞い上がっていた自分が悪いだろうって? まあ、そうなんですが、ここ2週間はグリースマンの移籍を仄めかすコメントに翻弄され、この水曜だって、「自分の将来はこの夏に決まる。でもアトレティコにいるのは幸せで、コケやゴディンとも話した。あとは会長次第だね」なんて発言が合宿地のクレールフォンテーヌから伝わってきましたからね。
▽要は得点目標をクリスチアーノ・ロナウドやメッシに並びたいグリースマンが40点(今季27点、その前32点)、新スタジアムで主力CFの役目を担うことになるフェルナンド・トーレスは20点(同10点、12点)、放出を逃れたガメイロにも20点(同16点、その前はセビージャで29点)、カラスコもムラをなくしてもらって20点(同14点、5点)、コレアも成長を見込んで15点(同8点、8点)、MFにも頑張ってもらって、コケに10点(同5点、5点)、成長著しいサウルには15点(同9点、9点)として、全部合わせれば何と140得点に。
▽いや、これって公式戦計で想定した数字ですから、それでも今季、リーガとCL合わせて138得点しているマドリーやそれ以上に入れているバルサに敵うかどうかはわかりませんけどね。何せ、今は夏に新戦力を取っておいて、1月まではレンタルで元のクラブにおいておくとか、2年前、バルサが同じ処分を受けた時のアルダ・トゥランやアレイチェ・ビダルのように練習だけで半年間過ごしてもらうかなんて話をしているぐらいですから、やはりその辺は現有戦力に期待するしかないかと。そうそう、今季は11人程の選手を他チームにレンタルしているアトレティコですが、業績を挙げている選手が少ないため、戻ってくるのはチアゴ引退で手薄になったボランチのクラネビテル(セビージャ)とFWのビエット(同)ぐらいしかいないとか。
▽実際、先日のコパ・デル・レイ決勝でも見事なFKゴールをバルサ相手に決めたテオ(アラベス)でも戻って来てくれればいいのでしょうが、彼はマドリーへの移籍がほぼ決まっているだけでなく、火曜にはフランスU-21代表の合宿をすっぽかして、マルベジャ(スペイン南部のリゾート地)で今季共に汗を流したアレクシスやビガライとビーチ三昧していたようですからね。本当のところは当人がスペイン代表への鞍替えを考えていて、フランス・サッカー協会には連絡していたなんて記事もありましたが、これでは年子で20歳の兄、マンチェスター・シティの誘いを蹴って、アトレティコの残ることにしたリュカも心労が絶えないのでは?
▽その間、サウルはセレソ会長とトム・クルーズをワンダ・メトロポリターノに迎え、ホスト役を務めた後(https://twitter.com/saulniguez/status/869284616548601857)、カンテラーノ(アトレティコB出身の選手)の先輩コケを始め、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、イジャラメンディ(レアル・ソシエダ)、イアゴ・アスパス(セルタ)、ビトロら、決勝のないA代表招集選手たちも集う、ラス・ロサス(マドリッドの郊外)のサッカー協会施設でU-21ユーロ大会に向けて練習を始めたなんてニュースもアトレティコ関連ではあるものの、今はやっぱりCL決勝のお話もしないといけません。実は私もこの火曜にはマドリーのメディアデーを見学に久々にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場に出動。最寄りのメトロ(地下鉄)、カンポ・デ・ラス・ナシオネス駅前でタクシーを拾うはずが、あろうことかその日は一斉ストだったとかで、30分間、延々と歩くことになるとはまったくツイていない。
[ファイナルに向けて調整を進めるレアル・マドリー]
▽うーん、最近ではセルカニアス(国鉄近郊路線)のC-1のバルデベバス駅があるため、選手の出待ちをするファンはそこで降りれば、徒歩3分もかからないんですけどね。マスコミ用の入口やRMカスティージャ(マドリーのBチーム)が試合をするアルフレッド・ディ・ステファノ・スタジアムに行くには広大な敷地の外側をグルリと回ることになるため、まったく役に立たず。おかげで施設に着いた時にはかなりヘバッていた私でしたが、今回は同じスペイン勢のアトレティコと対戦する決勝でないため、昨季以上に国外からの取材陣が多かったのは印象的でした。まあジダン監督の記者会見に続き、滅多にない公開練習の方も相手のユベントスに知られても構わない内容だったため、大したことはしなかったんですけどね。最後のリーガ戦から1週間以上空いていたこともあって、どの選手も体力をしっかり回復していたのは確認できましたっけ。[起用法が注目されるベイル]
▽ちなみにこの決勝に挑むに当たって、マドリーで最大のクエスチョンマークとなっているのはふくらはぎのケガがようやく治ったベイルをスタメンに入れるかどうかで、何せシーズン終盤はイスコが大活躍していましたからね。今更、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)再結成の必要があるのかという意見はもっともですが、決勝の地、カーディフはベイルの生まれ故郷。そのため、当人が先発にこだわるのではという見方もあったものの、その懸念は当人の「自分はまだ100%でなくて、90分プレーできるかわからない」というミックスゾーンでの言葉であっさり解消することに。[絶好調のイスコ]
▽いつものように「Ellos pueden jugar juntos/エジョス・プエデン・フガール・フントス(彼らは一緒にプレーできる)」と明言はしなかったんですが、これでジダン監督もイスコ先発、ベイルはユーベのベテランBBC(ボヌッチ、バルザーリ、キエッリーニ)が疲れてきた辺りで起爆剤として投入するのが効果的であるのを納得できたかもしれません。それ以外で注目を浴びていたのは、本当かどうかはわかりませんけどね。これまで出た2度のCL決勝で2度ともゴールを決めてきたキャプテンのセルヒオ・ラモスで、このユベントス戦を前に「Le mande una entrada a Pique y no me ha contestado/レ・マンデ・ウナ・エントラーダ・ア・ピケ・イ・ノー・メ・ア・コンテスタードー(ピケにチケットを送ったけど、返事がないんだ)」とのこと。いやいや、彼らが準々決勝で対戦したユーベのディバラやイグアインの成長ぶりなどを訊きたかったのかもしれませんが、どちらにしろ、スペイン代表でペアを組むバルサのCBは丁度今、ハーバード大学でビジネスコースを取っているはずなので、来られませんって。[連覇に向けて意気込むセルヒオ・ラモス]
▽そして水・木とまた非公開練習をした後、いよいよ金曜にはマドリーもカーディフ入り。もうここ数日前から現地の映像がひっきりなしに届き、盛り上がっているのは知っていたんですが、やっぱり会場のミレニアム・スタジアムで最後のセッションをする彼らを見ると、いよいよ大一番が迫ってきた感じが半端ないかと。ちなみにその前にあった会見ではジダン監督とラモス、マルセロが登場。ここ4年で3度目のCL決勝ともなると、もう恒例行事みたいなもんですが、ラモスも「あれだけ何年も勝てなかった後のことだから、nunca se sabe cuándo llega el cambio de ciclo/ヌンカ・セ・サベ・クアンドー・ジェガス・エル・カンビオ・デ・シクロ(いつサイクルが変わるかはわからない)」と言っていたように、2014年にリスボンでDecima(デシマ/10回目のCL優勝のこと)を達成するまで、12年間、マドリーは決勝にすら縁がありませんでしたからね▽となると、出られるうちにDuodecima(ドゥオデシマ/12回目のCL優勝のこと)もやっておいた方がいい気もしますが、何せ、今回の相手は間抜けなお隣さんではなくイタリアの強豪。とりわけ39歳のブッフォンなど、CL決勝敗退経験はあっても優勝経験がまだないため、「これが自分にとって最後のチャンス」と意気込んでいますしね。それだけに土曜にカーディフに連れて行ったチーム24人全員から、ベンチ入り18人を選ばないといけないジダン監督も慎重を期さないといけませんが、いやあ、本当にこれって難題です。だってえ、第3GKヤニクやカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)のマリアーノ、移動前日の練習をまた体調不良で休んだコエントラン、ペペなどは仕方ないんですが、あとの見学組2人はルーカス・バスケスやハメス・ロドリゲス、アセンシオ、コバチッチ、ダニーロといったところから選ばないといけませんからね。
▽どの選手もここまでチームが辿り着くまで、そこここで貢献してきたため、監督としてもスタンド観戦してもらうのは忍びないところかと。そんなマドリーは練習が終わった後、メルキューレ・カーディフ・ホランド・ハウス・ホテルで夜を過ごし、次に出て来るのは土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの決勝に備え、スタジアムに向かう時になります。いやあ、1つだけ私の気が楽なのは前2回のように延長戦、昨季のミラノの時のようにPK戦に突入しても今年は自宅でTV観戦なため、面倒がないことですが、もしマドリーが史上初の2連覇を達成した場合、またシベレス広場(マドリーファンがお祝いに集まる場所)から大音響が一晩中鳴り響くかもしれないというのはちょっと憂鬱でしょうか。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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