【戦術分析】注目は主導権争い、ネイマール不在のバルサが採用すべきシステムは?《レアル・マドリー vs バルセロナ》
2017.04.23 09:01 Sun
▽リーガエスパニョーラ第33節、レアル・マドリーvsバルセロナの“エル・クラシコ”が日本時間23日27:45にサンティアゴ・ベルナベウでキックオフされる。5シーズンぶりのリーガ制覇を目指す首位のマドリー(勝ち点75)と、リーガ3連覇を狙う2位のバルセロナ(勝ち点72)がリーガ覇権争いを決定付ける今季2度目の伝統の一戦だ。ここでは注目の一戦のタクティカルプレビューを紹介する。
◆注目の主導権争い
◆攻守両面でバランスを保てるか
▽基本的なゲームプランとしては、勢いを持って戦える前後半の立ち上がり10分を目途に、相手の後方からのビルドアップをけん制し、相手をリズムに乗らせない対応が求められる。そして、前回対戦同様に自陣でコンパクトな[4-4-2]のブロックを構築し、MFカゼミロを軸にきっちり中央を締めて、メッシやスアレスのプレーエリアを消したい。また、バルセロナの攻撃に高さがないため、サイドの守備ではピンポイントクロスを許さないぐらいの圧力を掛けつつ、スアレス以外に背後を狙う選手が少ないため、最終ラインはある程度の高さをキープしておきたい。
▽攻撃に関しては、相手のシステムによって攻めどころが変わってくるが、基本は自陣で奪ったボールを相手サイドバック、ウイングバックの背後のスペースを狙うFWクリスティアーノ・ロナウド、FWベンゼマらのアタッカーをシンプルに使い、手数をかけずに攻め切りたい。また、どうしても相手が攻め込む時間が長くなる展開の中で速攻一辺倒になると、守備陣が休む時間が無くなってしまう。そこで、守備のためのボールポゼッションで試合を落ち着かせ、攻撃にもメリハリを付けたい。MFイスコやモドリッチ、MFクロース、DFマルセロなど、ボールスキルに長けた選手たちはバイエルン相手にも臆せず、相手のプレッシャーをいなせていただけに、対バルセロナでも不安はない。
◆ネイマール不在を埋める指揮官の策は?
▽システムに関しては、通常の[4-3-3]、可変式の[3-4-3]が基本線となるはずだ。戦術的に熟成している[4-3-3]を採用する場合、ネイマール不在の左ウイングにFWパコ・アルカセル、MFデニス・スアレスのいずれかを当てはめることになるが、共にネイマールと全くプレースタイルが異なる。そのため、前者はメッシからの対角線上のクロスを仕留めるFWカジェホン、FWペドロが得意とするダイアゴナルな仕掛け、後者はMFイニエスタ、DFジョルディ・アルバと形成するトライアングルからのコンビネーションプレーという、それぞれの特長を生かすためにチーム全体での共通理解が重要となる。
▽守備時に[4-4-2]に変化する可変式の[3-4-3]に関しては、豊富な運動量に加え優れた個の打開力を持つネイマール、ラフィーニャの存在あってこそのシステムという印象があり、右ウイングのポジションに関してはMFセルジ・ロベルトが代役を務められるが、ネイマールが入るはずの左ウイングに関しては適任者が不在だ。また、トップ下に入るメッシがカゼミロ、モドリッチの徹底監視に遭う可能性が高く、攻撃から守備への切り替えにも弱点がある同システムの採用はデメリットも多い。
▽そこで[4-3-3]の布陣と共に有力な候補となるのが、[3-5-1-1]の布陣だ。現状のメンバーを軸に、左右のウイングバックにサイドバックのセルジ・ロベルトとジョルディ・アルバを配し、前線はメッシとスアレスが縦関係を築く2トップとなる。前線の枚数やサイドアタックの迫力という部分で前述の2つのシステムに比べ、守備的と言わざるを得ない。それでも、ネイマール不在の中で頼りない代役に賭けるよりも、思い切ったプラン変更が吉と出る可能性もある。
▽このシステムでは各ポジションのプレーヤーが攻撃時と守備時で大きくポジションを変える必要がなく、ウイングバックに入る選手も上下動と幅を取る動きに専念できる。ただ、攻撃の厚みや意外性という部分を解決するうえでは、トップ下でフリーマンを担うメッシの運動量や2列目、3列目からの積極的な飛び出しなど、中央に入る選手たちのハードワークが求められる。
◆注目の主導権争い
Getty Images
▽昨年12月に行われた前回対戦(1-1のドロー)では、より勝ち点3が必須だったホームのバルセロナがボールの主導権を握った。とりわけ、1点リード後の後半半ばに負傷明けのMFイニエスタを投入したことで、後半に関してはボール、試合の双方でバルセロナが主導権を掴んだ。その一方で、マドリーも八面六臂の活躍を見せたMFモドリッチを軸に、前半に関しては守備的ながら試合の主導権を掴むことに成功していた。今回のクラシコも前回対戦同様に勝ち点など試合前の条件が似通っており、同じような展開が予想される。Getty Images
▽1試合未消化ながら3ポイント差を付けて臨むマドリーにとって、最優先は負けないことだ。したがって、リスクを冒してボールを保持し、不用意なボールロストからFWメッシやFWスアレスに高速カウンターを浴びる形は避けたいところ。その一方で、2試合連続で“MSN”を零封したユベントスほどの堅守を持ち合わせないマドリーが、極端に守備的に戦うのもリスクが大きく、ジダン監督には堅守速攻を軸にバランスが取れた戦い方が求められる。▽基本的なゲームプランとしては、勢いを持って戦える前後半の立ち上がり10分を目途に、相手の後方からのビルドアップをけん制し、相手をリズムに乗らせない対応が求められる。そして、前回対戦同様に自陣でコンパクトな[4-4-2]のブロックを構築し、MFカゼミロを軸にきっちり中央を締めて、メッシやスアレスのプレーエリアを消したい。また、バルセロナの攻撃に高さがないため、サイドの守備ではピンポイントクロスを許さないぐらいの圧力を掛けつつ、スアレス以外に背後を狙う選手が少ないため、最終ラインはある程度の高さをキープしておきたい。
▽攻撃に関しては、相手のシステムによって攻めどころが変わってくるが、基本は自陣で奪ったボールを相手サイドバック、ウイングバックの背後のスペースを狙うFWクリスティアーノ・ロナウド、FWベンゼマらのアタッカーをシンプルに使い、手数をかけずに攻め切りたい。また、どうしても相手が攻め込む時間が長くなる展開の中で速攻一辺倒になると、守備陣が休む時間が無くなってしまう。そこで、守備のためのボールポゼッションで試合を落ち着かせ、攻撃にもメリハリを付けたい。MFイスコやモドリッチ、MFクロース、DFマルセロなど、ボールスキルに長けた選手たちはバイエルン相手にも臆せず、相手のプレッシャーをいなせていただけに、対バルセロナでも不安はない。
▽クラシコに向けての注目ポイントの1つが、ジダン監督の用兵だ。とりわけ、ふくらはぎのケガの影響でスタメンが微妙なMFベイルの代役に注目が集まる。現時点でベイルに加え、イスコ、MFアセンシオ、FWルーカス・バスケス、MFハメス・ロドリゲスの4選手に起用の可能性があるが、バイエルン戦を踏襲してイスコを起用しポゼッション重視の策を取るのか。献身的な守備を特長とするバスケスを起用して守備的に戦うのか、アセンシオ、ハメスを起用して攻め勝つ展開に持ち込むのか。
◆ネイマール不在を埋める指揮官の策は?
Getty Images
▽一方、逆転でのリーガ3連覇に向けて敵地での勝利が最低条件のバルセロナだが、ここ最近の不調に加えて、後半戦のチームをけん引してきたFWネイマール不在という厳しい条件の中でクラシコに臨む。同じくベイルという看板選手不在の可能性もあるマドリーが、イスコやアセンシオなど、頼れるバックアッパーを擁している一方、バルセロナには世界屈指の突破力を誇るアタッカーの代役はおろか、ビッグクラブの守備陣相手に個で打開を図れるドリブラー自体が存在しない。したがって、ルイス・エンリケ監督にはシステム変更や選手の組み合わせなど、自身の戦術でブラジル代表FWの穴を埋めることになる。▽システムに関しては、通常の[4-3-3]、可変式の[3-4-3]が基本線となるはずだ。戦術的に熟成している[4-3-3]を採用する場合、ネイマール不在の左ウイングにFWパコ・アルカセル、MFデニス・スアレスのいずれかを当てはめることになるが、共にネイマールと全くプレースタイルが異なる。そのため、前者はメッシからの対角線上のクロスを仕留めるFWカジェホン、FWペドロが得意とするダイアゴナルな仕掛け、後者はMFイニエスタ、DFジョルディ・アルバと形成するトライアングルからのコンビネーションプレーという、それぞれの特長を生かすためにチーム全体での共通理解が重要となる。
▽守備時に[4-4-2]に変化する可変式の[3-4-3]に関しては、豊富な運動量に加え優れた個の打開力を持つネイマール、ラフィーニャの存在あってこそのシステムという印象があり、右ウイングのポジションに関してはMFセルジ・ロベルトが代役を務められるが、ネイマールが入るはずの左ウイングに関しては適任者が不在だ。また、トップ下に入るメッシがカゼミロ、モドリッチの徹底監視に遭う可能性が高く、攻撃から守備への切り替えにも弱点がある同システムの採用はデメリットも多い。
▽そこで[4-3-3]の布陣と共に有力な候補となるのが、[3-5-1-1]の布陣だ。現状のメンバーを軸に、左右のウイングバックにサイドバックのセルジ・ロベルトとジョルディ・アルバを配し、前線はメッシとスアレスが縦関係を築く2トップとなる。前線の枚数やサイドアタックの迫力という部分で前述の2つのシステムに比べ、守備的と言わざるを得ない。それでも、ネイマール不在の中で頼りない代役に賭けるよりも、思い切ったプラン変更が吉と出る可能性もある。
▽このシステムでは各ポジションのプレーヤーが攻撃時と守備時で大きくポジションを変える必要がなく、ウイングバックに入る選手も上下動と幅を取る動きに専念できる。ただ、攻撃の厚みや意外性という部分を解決するうえでは、トップ下でフリーマンを担うメッシの運動量や2列目、3列目からの積極的な飛び出しなど、中央に入る選手たちのハードワークが求められる。
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