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【原ゆみこのマドリッド】珍しいものを見た…2017.02.14 12:45 Tue

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▽「別にいいけど、ちょっと微妙」そんな風に私が感じていたのは月曜日、スペイン・サッカー協会理事会で5月27日のコパ・デル・レイ決勝会場がビセンテ・カルデロンに決まったという報を知った時のことでした。いやあ、先週末のリーガであった予行演習、アラベスvsバルサ戦は0-6という後者の圧勝で終わったんですけどね。昇格組にも関わらず、ミッドウィークにも試合がある年明けからのハードスケジュールを乗り切ったペレグリーノ監督のチームはもう精根尽き果てていたはずで、それでも一応、リーガでは降格圏まで勝ち点10以上の余裕を持っての12位。となれば、その日、2得点挙げたルイス・スアレスもコパ決勝では出場停止ですし、ここはバルサに手の内を明かさず、「チョロい相手と」と過信させて、メンディソローサから気分良く帰ってもらうのも決して悪くはなかったかと。

▽ただ、予想外だったのはアトレティコからレンタル移籍で修業に出ているテオが、もしかしたら決勝の当日はU20ワールドカップ参加のフランス代表に招集されており、自分が年子の兄、ルカスの敵をとってあげられないかもしれないのが悔しかったのかもしれませんね。ボールを奪おうと激しくいったアレイス・ビダルの当たり所が悪く、足首の脱臼で今季絶望にしてしまったのはあと味が悪かったかも。うーん、実はお兄さんの方も来週のCLレバークーゼン戦の日に、先日起きた彼女との相互DV訴訟で出廷を命じられていて、今クラブと代理人が日付を変えるよう、裁判所と交渉している最中なんですけどね。兄弟揃って乱暴事がこうも続くと、ご両親も辛いかと思いますが、それより何より、前節は仮想コパ3位決定戦の方が見応え満載。それもあって、返す返すもアトレティコが今季限りのホーム、ビセンテ・カルデロンで最後の試合となる決勝に進出できなかった間の悪さを嘆くことになったんですが…。

▽まあ、そのことは後で詳しく話すとして、先にお隣さんのオサスナ戦がどうだったか伝えておかないと。土曜にバルサが勝利した後、消化試合は2つ少ないものの、順位表の上では勝ち点2下の2位でエル・サダル(オサスナのホーム)のピッチに立ったレアル・マドリーでしたが、結構、首位に返り咲くのには苦労したんですよ。いえ、序盤にイスコとの接触プレーでオサスナの選手が足を骨折、「Tano gritaba 'tibia y perone'. No quise ni mirar/タノ・グリタバ・ティビア・イ・ペロネ。オー・キセ・ニ・ミラール(タノは脛骨と腓骨だと叫んでいた。ボクは見たくもなかったよ)」というショックを選手たちは乗り越え、前半23分にはベンゼマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドが先制点を決めてリードと、順調に見えたんですけどね。

▽ジダン監督が採用した3CB制は、私もほとんどマドリーで見たことがないだけに、やっぱりチームカラーに合わないんでしょうか。バラン、この日がマドリー公式戦500試合出場の節目となったセルヒオ・ラモスと共に先発した、まだ100試合のナチョなど、「tenemos un gran equipo y mucha variedad de jugadores/テネモス・ウン・グラン・エキポ・イ・ムーチャ・バリエダッド・デ・フガドーレス(ウチには偉大なチームがあって、イロイロな種類の選手がいる)から、どんなシステムでも快適だよ」と言っていたものの、中盤まで上がった2人のSB、ダニーロとマルセロはそうでもなかったよう。ええ、この形でスタートした1月のリーガのセビージャ戦(2-1で負け)もコパ準決勝セルタ戦2ndレグ(2-2で敗退)でもいい結果は出ませんでしたしね。この日も32分にはセンターから敵にロングパスを出され、セルヒオ・レオンの見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でオサスナが追いついて、1-1でハーフタイムを迎えることに。

▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。

▽え、前々節のセルタ戦が中止になって、間が12日も空いたため、この試合ではイロイロ考えてしまったジダン監督だけど、もうここからはシーズンも正念場。水曜のCL16強対決ナポリ戦1stレグで実験的な布陣を組んだりはしないだろうって?そうですね、相手は昨年グループリーグが終わって以来、11試合無敗ですし、ドリース・メルテンスを始め、カジェホン、ハムシークと強力な攻撃陣を擁している上、カジェホンと共に里帰りとなるCBアルビオルや34歳ながら、GKレイナも絶好調のようですしね。昨年11月のCLスポルティングCP戦で負傷した足首を手術したベイルも日曜から全体練習に戻り、復帰は近いと言われていますが、まだ実戦には早いと思うので、とりあえずこの試合ではルーカス・バスケス辺りを前線に入れた4-3-3に戻るのでは?

▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。

▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。

▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。

▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。

▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た?

▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。

▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。

▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。

▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。

▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。

▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。

▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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【原ゆみこのマドリッド】十八番を奪われた…

▽「毎節、ハラハラすることになりそう」そんな風に私が溜息をついていたのは月曜日、クラシコ(伝統の一戦)から一夜明け、レアル・マドリーとバルサのこの先のカードを見た時のことでした。いやあ、いくら勝ち点で並んだ後者が直接対決の結果、この週明けは首位の座にいようとも、順延となったセルタ戦の分、残り試合が1つ多いマドリーが切り札を握っているのは変わらないと思うんですけどね。ただし、お隣さんとCL準決勝を戦うことになった彼ら同様、ヨーロッパリーグ準決勝でマンチェスター・ユナイテッドに立ち向かうセルタも暇な週がまったくないため、その試合は5月17日、リーガ最終節直前のミッドウィーク開催になりそうだというのはともかく、バルサが残り5試合に全勝した場合、マドリーに許されるのは7試合で6勝1分けのみ。 ▽その間、アウェイでデポルティボ、グラナダ、セルタ、マラガ、ホームでバレンシア、セビージャと戦う訳ですが、バルサだって、カンウ・ノウでのオサスナ、ビジャレアル、エイバル戦、スパニョールのホームでのカタルーニャダービー、ラス・パルマス遠征とくれば、なかなかどうして、全部に勝つというのは難しいかと。うーん、向こうにとって、災い転じて福となすのは先週、CL準々決勝2ndでユベントス相手に逆転突破が叶わず、5月からのミッドウィークがポッカリ空くこと。逆にマドリーには頭の痛いヨーロッパ・マドリーダービーがあるため、その分、体力の消耗が激しいんですけどね。更にシーズン終盤にありがちなことで、途中でポツポツとどちらかが負けたり、引き分けたりする可能性も捨てきれないため、そうなると状況も変わっていくはずで…ええ、これってリーガ戦があるたび、時間刻みに一喜一憂しなきゃいけないってことじゃないですか。 ▽まあ、そんなことはともかく、先週末、一足先にプレーしたのはアトレティコで、土曜にバルセロナに乗り込んでのエスパニョール戦。うーん、こちらはファンフラン、ブルサリコの負傷欠場による本職右SB不在を補ったのがCBのヒメネスで、CL準々決勝2ndレグでのボランチに続いて、マルチタレントぶりを発揮していたぐらいしか、双方無得点だった前半について報告することはないんですけどね。そのままでは前日、グラナダに勝利して、勝ち点で並ばれたセビージャに差をつけられないと、シメオネ監督も思ったんでしょうね。後半頭からFWのフェルナンド・トーレスに代え、MFのトマスを投入。「Buscaba mas gente llegando de segunda linea/ブスカバ・マス・ヘンテ・ジェガンドー・デ・セグンダ・リネア(2列目から敵ゴールに迫る選手を探した)」そうですが、え、それってこのところ、中盤まで降りて来てプレーしていることの多いグリースマンのことだった? ▽だってえ、後半27分、レスター戦で学んだか、敵エリア内にボールを放り込むヒメネスのロングスローインをキッカケにして、サウルのシュートが逸れたところ、最後にそれをゴールに蹴り入れてくれたのはグリースマンだったんですよ。その2分後には、前節は後半ロスタイムにシュートを決めて、マドリッドの新弟分、レガネスを0-1の敗戦に追い込んだレオ・バチストンの至近距離からの一撃をGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)。「スペイン語で上手い言い方を知らないけど…digamos que la pare con el corazon/ディガモス・ケ・ラ・パレ・コン・エル・コラソン(ハートで止めたといったところかな)」(オブラク)というプレーのおかげもあって、アトレティコはそのまま0-1で勝利することに。 ▽実際、自慢できるような華々しい試合ではありませんでしたが、先週はイングランド遠征をしたせいもあって、彼らも疲れていましたからね。勝ち点3は勝ち点3なので、別にいいんですが、やっぱりその翌日、あのクラシコのような一戦を見せられると、アトレティコにメッシはいないという現実がひしひしと迫ってくるばかり。いえ、ヒメネスなど、「ロナウドは他と違う選手。Sabemos lo que es, de su potencial fisico, pero tambien sabemos como pararlo/サベモス・ロ・ケ・エス、デ・ス・ポテンシアル・フィシコ、ペロ・タンビエン・サベモス・コモ・パラールロ(どんなに凄いか、フィジカルが強靭なのも知っているけど、止め方もわかっている)」と、来週からのCL準決勝にまったく引け目を感じていないようでしたが、繰り返します。いくら相手を零点に抑えても、アトレティコにはメッシのような点の取り方ができるFWはいないんです! ▽そう、先日のCLバイエルン戦に続き、スタジアム周辺に集結した大勢のサポーターのお出迎えを受けたマドリーは開始2分、ウムティティにクリスチアーノ・ロナウドがエリア内で倒されながら、ペナルティをとってもらえないという不運から始まりましたが、前半28分にはクロースのCKがクリアされたボールが戻ってきて、最後はカセミロがゴールを決めて先制点をゲット。ただそのリードはたった5分しか続かず、序盤にマルセロのcodazo(コダソ/肘打ち)を喰らい、しばらく止血のため、ガーゼを口にくわえてプレーしていたメッシが人間離れした個人技で同点に。ええ、前をふさぐカルバハルを問題にせず、易々シュートを決めているのですから、まったく恐ろしいじゃないですか。 ▽その後、38分にはここ2試合、ふくらはぎ痛でお休みしていたベイルが故障を再発。代わりにアセンシオが入るというアクシデントはありましたが、前半は1-1のまま終了します。そして後半しばらく、ケイロル・ンバスとテア・シュテーゲンが互いに好セーブを競い合っていましたが、それだけに27分にラキティッチがエリア前から撃ったシュートがいきなりゴールになった時には誰もが呆然することに。ええ、丁度、バルサの選手が祝っているのと同じでサイドでアップ中だったモラタなど、よっぽど悔しかったでしょうか。口に含んだ水をジョルディ・アルバに向かって吐きかけるなんて真似をしていて、双眼鏡でたまたま見ていた私も我が目を疑ったんですが、ここはremontada(レモンターダ/逆転劇)の殿堂、サンティアゴ・ベルナベウですからね。残り15分以上もあるとなれば、何があってもおかしくないと思っていたところ…。 ▽根性のレモンターダ精神の体現者である、奇跡の後半ロスタイム3分ヘッドという特技を持つ男、セルヒオ・ラモスが一発レッドで退場しちゃったんですよ!それは34分、いえ、当人は後で「Lo he visto ya 70 veces antes de salir aqui a hablar/ロ・エ・ビストー・ジャー・セテンタ・ベセス・アンテス・デ・サリール・アキー・ア・アブラル(出て来て話す前にもう70回はビデオを見たよ)。ボクのタックルはタイミングが遅かったのは確かだけど、相手に触ってない。メッシが跳んだんだから。自分の解釈ではイエローカードだ」と言い張っていましたけどね。 ▽その一方で、「se ha ido cabreadisimo porque queria ayudar al equipo/セ・ア・イドー・カブレアディシモ・ポルケ・ケリア・アジュダール・アル・エキポ(チームを助けたかったから、カンカンになってピッチから出て行った)」(マルセロ)際、積りに積もっていた不満をラモスが爆発させ、「Habla, habla ahora!/アブラ、アブラ・アオラ(今、言えよ)」と、これまでの誤審疑惑発言にせいで八つ当たりされていたピケなどは,「la roja es clara, va con los dos pies por delante/ラ・ロハ・エス・クラーラ、バ・コン・ロス・ドス・ピエス・ポル・デランテ(レッドカードは明らか。両足を上げてタックルしたんだから)」と断言。ただ、あのファールが退場にふさわしいかどうかは、専門家の間でもマドリディスタかバルセロニスタかによっても意見が分かれるところなので、私には何とも。 ▽でもねえ、逆境に燃え上がるのはラモスだけでなく、マドリーに深く染み付いた習性のようなもので、その後の彼らは怒涛のカウンターの攻勢を発動。ボールが行ったり来たりする目まぐるしい展開になりましたが、白いユニフォームが敵ゴールのfondo sur/フォンド・スール(南側スタンド)に向かって行く時の速いことといったらもう!そんな時に「アトレティコにこれが止められるんだろうか」と考えていた私も自分でどうかと思うんですが、その集大成は40分。マルセロのクロスをベンゼマと交代で入っていたハメス・ロドリゲスが流し込み、今回のクラシコでのマストだった同点に持ち込んでしまったとなれば、もう感嘆するしかないじゃないですか。 ▽え、でも結局はそのレモンターダ精神が仇となったんじゃないかって?そうですね、後でジダン監督も「Cuando logras el 2-2 con diez hay que tener un poco mas de cabeza/クアンドー・ログラス・エル・ドス・ア・ドス・コン・ディエス・アイ・ケ・テネール・ウン・ポコ・マス・デ・カベッサ(10人で2-2に持ち込んだ時、もうちょっと頭を使うべきだった)」と反省していましたけどね。「3点目が取れると思い、危険は承知で高い位置でプレスをかけ続けた」マドリーは最後の最後で超強烈なしっぺ返しを喰らうことに。ええ、すでに時間はロスタイム、敵ゴール近くでのスローインから、速攻を許し、セルジ・ロベルトがバルサのカンテラーノ(ユース組織出身の選手)の意地を見せるがごとく、ピッチを全力疾走で縦断。 ▽もちろん、後でロナウドも「Haz falta!/アス・ファルタ(ファールしろよ)」と怒っていたように、ムザムザ行かせてしまったモドリッチやマルセロもいけないんですが、アンドレ・ゴメス、ジョルディ・アルバと繋がれたボールが最後にメッシに渡ってしまったのが、それこそ運の尽きだったかと。そう、自身その日2点目、バルサで通算500得点目となるゴールが決まり、当人がユニフォームを脱いでマドリーファンが座っているスタンドにネームを掲げている間に試合は終わってしまいましたっけ。いやあ、「Hemos ganado 2-3 y a su estilo/エモス・ガナードー・ドス・ア・トレス・イ・ア・ス・エスティーロ(ウチは彼らの流儀で2-3にして勝った)」とルイス・エンリケ監督は試合後の会見で胸を張っていましたけどね。 ▽私なども逆の光景は見慣れているものの、マドリーが土壇場に負けてしまうなんてのはまったくの想定外。これまでサンティアゴ・ベルナベウで奇跡のレモンターダの犠牲者になったチームの気持ちがようやくわかったような気がしましたが、それにしたって、心配なのは午前零時近くになって、やっとミックスゾーンに姿を現したラモスとピケの舌戦がこれまで以上にエスカレートしていたこと。いえ、前にもつつき合いはあったんですが、さすがにクラシコ5回目の退場は堪えたんでしょうかね。「En el Bernabeu estan acostumbrados a arbitrajes muy permisivos/エン・エル・ベルナベウ・エスタン・アコストゥンブラードス・ア・アルビトラヘス・ムイ・ペルニシーボス(ベルナベウでは寛容なジャッジに慣れているからね)」と皮肉を言い、先に帰っていたピケに対し、「Permisivo fue lo del PSG/ペルミシーボ・フエ・ロ・デル・ペーセーヘー(寛容だったのはPSG戦だろ)」ってそれ、違う大会混ぜてるし。 ▽曰く、「文句を言うのは審判にプレッシャーを与える方法。それがジャッジする時に影響することもある。別にピケと仲が悪い訳じゃないけど、クラシコの後で抱擁をかわすなんてことは頼まないでほしい」そうですが、いや、今日のあなたはもうピッチにいなかったでしょ。いやあ、どうにもここまでこじれると、この先のスペイン代表が心配されますが、それはまた6月に考えればいいこと。今は、結局マドリッドには来ず、似たような仕草を退場後にして課された3試合の出場停止、2試合目をおとなしく済ますことにしたネイマール同様の処分がラモスに出るかどうかはわかりませんが、次節の出場停止は確実で、バルサ戦の終盤同様、マドリーのCBがナチョ1人になってしまった現状を憂いるべきかと。 うーん、これってアトレティコなど昨今、各所の人手不足でピッチにCBが4人いることも珍しくないのとは真逆ですけどね。肋骨骨折のペペはともかく、ここは水曜午後9時30分(日本時間翌午前4時30分)からのデポルティボ戦までに、せめてバランがプレーできるようになるのを祈るばかりかと。ベイルのケガの程度はまだわかりませんが、そちらはアセンシオやイスコ、ハメスといった質の高い代替要員には欠かないため、やっぱりマドリーの課題は前節もレアル・ソシエダに0-1で惜敗して、残留争いからなかなか抜け出られない相手の必死の攻撃をどうかわすかでしょうか。 ▽そしてアトレティコの方は火曜の午後9時30分、ビセンテ・カルデロンにビジャレアルを迎えるんですが、どうも最近、このパターンが常態化していますよね。相手は土曜にバカンブが手で入れた後半ロスタイムのゴールが決勝点として認められ、レガネスに2-1で勝利。またしても兄貴分の貫録を示さないといけないんですが、エスクリバ監督が「Como equipo, el Atletico es el mejor de Espana/コモ・エキポ、エル・アトレティコ・エス・エル・メホール・デ・エスパーニャ(チームとして、アトレティコはスペインで一番いい)」と褒めてくれていたのは、メッシのタレント満開の活躍を目の当たりしたばかりの身には嬉しい限りだったかと。 ▽ようやくガメイロやチアゴら、負傷で離脱していた選手たちも少しずつ戻ってきていますしね。取り柄の堅い守備力を最大限に発揮して、最少得点差の地味なゲームでも、とにかく今週は3位死守に尽力してほしいものです。一方、レガネスは水曜にラス・パルマス戦ですが、いくら降格圏のオサスナ、グランダ、スポルティングがほとんど勝ち点を増やしてこないと言っても油断は禁物。もし残留できたとしても、たったの27ポイントではあまりに情けないですし、もちろんツキもありますが、せめて土壇場では負けないという意地を選手たちが持ってくれませんかね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.25 12:50 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】避けては通れない…

▽「どっちが良かったとは言えないのだけど」そんな風に私が複雑な心境に陥っていたのは金曜日、CL準決勝の抽選会であっさりレアル・マドリーとアトレティコの対戦が決まった時のことでした。いえ、もう残りはたったの4チームですから、たとえここでヨーロッパ・マドリーダービーを免れても、その先でまたお隣さんと戦う可能性はかなり高し。それこそ今年はカーディフで開かれる決勝で3度目の正直とならなかったら、いくらカンテラ(ユース組織)育ちのフェルナンド・トーレスなどは「ウチのクラブは小さい時から、決して後悔しないということを教えてくれる。Nos caemos, nos levantamos y volvemos a buscar otra oportunidad/ノス・カエモス、ノス・レバンタモス・イ・ボルベオス・ア・ブスカル・オトラ・オポルトゥニダッド(転んでも起き上がる、そしてまた次のチャンスを探すんだってね)」と言っていたものの、とてもじゃないけどアトレティコファンは立ち上がれないかも。 ▽だからって、ida(イダ/1stレグ)とvuelta(ブエルタ/2ndレグ)の2試合ある準決勝で当たった方がマシなのかと言えば、そうでもなく、実際、2015年の準々決勝ダービーは、先日、アトレティコが16強対決で倒したレバークーゼンに今はいるチチャリートのゴールが唯一の得点となって敗退。いえ、14年間続いた暗黒の「何をやってもマドリーには勝てない」時代が終わり、ここ近年はリーガやコパ・デル・レイでは破ったこともあるんですけどね。シメオネ監督も「CLに優勝するためにはただ1つの道しかない。Insisitir, insistir, insistir y seguir insistiendo/インシスティール、イ・セギール・インシスティエンドー(強く求めて、求め続ける)」と力説していましたが、最近、更に憂鬱にさせてくれるのは、準決勝だって、PK戦にもつれ込むケースを考えないといけないということ。 ▽ええ、レスター・シティから早朝に戻って来た水曜にはトーレスと一緒にアディダスのイベントに出演。ミニゴールへのPKをカンテラーノの先輩が枠に当てて失敗した後、リベンジどころか、自身は素人少年のGKに止められてしまう有様でありながら、コケなど「No estamos teniendo mucha suerte. Ya entraran/ノー・エスタモス・テニエンドー・ムーチャ・スエルテ。ジャーエントララン(ボクらはあまりツイてないね。そのうち入るさ)」と、まったくわびれる風もありませんでしたしね。一応、「もしマドリーに当たったら、ウチには2回の決勝の経験があるから、勝てなかった原因をよく考えて、できるだけいい方法で立ち向かうよ」とは言ってはいたものの、何かやっぱり、とても大船に乗った気にはなれませんよね。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週のマドリッドの両雄のCL準々決勝2ndレグがどうだったかをお伝えしておかないと。いやあ、その試合があった火曜は午後7時にサンティアゴ・ベルナベウ周辺に集合、チームバスのお迎えをしてくれるようにと、セルヒオ・ラモスがSNSを使って呼びかけたと前日に聞いた時には、1stレグでは1-2と勝って、アウェイゴールも2本もあるというのにちょっと大袈裟じゃないかと思ったものでしたけどね。 ▽結果としてはCL決勝トーナメントでは恒例のfondo sur(フォンド・スール/南側ゴール裏席)を覆いつくす巨大なモザイクと共に、そうやってファンに応援してもらえたのが、効いたっていうのもあったんでしょうか。実際のところ、キックオフ前など、先週の1stレグとは違い、運悪くも近くで裏カードの放送をパソコンで見ている記者もいなかったため、私など、たった1-0のリードでキングパワー・スタジアムに乗り込んだアトレティコが、レスターの青と白の旗で埋め尽くされたスタンドに圧倒されているんじゃないかと、序盤など心ここにあらずだったんですけどね。 ▽朗報はまず、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継から届きました。そう、前半25分、フィリペ・ルイスのクロスをサウルがヘッドで決めて、アトレティコが先制したというから、どんなに安心できたことか。それでようやく、バイエルンがガンガン、攻めてきている目の前のマドリーに意識が行ったんですが、前半はGKケイロル・ナバスがそれ程、脅かされることもなく、マドリーもラモスのシュートがボアテングにライン上でクリアされるなど、両チーム共、無得点で終了。そのまま0-0ならば、試合として面白くはないけど、私がマドリッドに来た頃には毎年3月の16強対決で終わっていた彼らなのに、もう準決勝進出も7年連続になるんだなあと、感慨深く思っていたところ…。 ▽いえいえ、とんでもない!転じて後半は目まぐるしい展開となり、早くも7分にはカセミロがロッベンをエリア内で倒してしまい、バイエルンがPKをゲット。うーん、これが、エースがピッチにいるといないのとの違いでしょうかね。1stレグでは肩の負傷でレバンドフスキがスタンド見学していたため、カルバハルの疑惑のハンドで得たPKをアルトゥーロ・ビダルが蹴り、失敗していたバイエルンでしたが、この日は、アトレティコのPKシーンではついぞ感じたことのない自信をポーランド人の大型ストライカーは放出。難なくボールをネットに収め、バイエルンが1点を挙げます。とはいえ、もちろんこれでもアウェイゴールがあるため、マドリーの勝ち抜けになるんですが、そんなつまらない結果では決して満足しない選手が約1名。 ▽それはクリスチアーノ・ロナウドで、後で当人も「Lo unico que pido al Bernabeu es que no me silbe/ロ・ウニコ・ケ・ピド・アル・ベルナベウ・エス・ケ・ノー・メ・シルベ(ただ1つ、ベルナベウのファンに頼むのはボクをブーイングしないでくれということ)。自分は全ての試合で常に最高のパフォーマンスを見せようとしている」と言っていましたが、パスなどでミスした折にスタンドからpito(ピト/ブーイング)が数回、聞こえてきたことがよっぽど、気に入らなったんでしょうね。バイエルンはリベリをドグラス・コスタに代え、古巣のサポーターからのオベーションを味わう間もなく、シャビ・アロンソも急ぎ足でミュラーと交代、勝利へのあと1点を求めて総攻撃体制に入っていた30分、カセミロのクロスをヘッドで決め、この試合の同点ゴールを挙げてしまったから、場内がどんなに沸いたことか。 ▽ただしこの喜びはあまり長く続きません。というのもその2分後、マドリーのエリア内に入ったボールがミュラーとレバドフスキに当たり、更にラモスに当たってゴールを割ってしまったから、驚いたの何のって!実はリプレーを見ると、この時、レバドフスキがオフサイドの位置にいたため、この1点はスコアボードに挙がるべきじゃなかったんですけどね。今のCLにはVAR(ビデオ審判)が導入されていないため、この2点目で少なくともバイエルンは延長戦に入る権利を獲得。実際、後半ロスタイムにお馴染みのラモスの救世主ヘッドが炸裂することもなく、試合は120分の勝負になったんですが…。 ▽いやあ、その頃の自分は再びラジオに耳を澄ましていて、何せ後半10分にはファンフランが太ももを痛めてルカスに代わり、ポジションチェンジに右往左往しているうちにレスターのバーディが得点。それ以降もハーフで岡崎慎司選手と交代で入ったウジョアを始め、敵が「han metido gente grande para los centros/アン・メティードー・ヘンテ・グランデ・パラ・ロス・セントロス(クロスを生かすために大きな選手を入れてきた)」(コケ)ため、気が気ではなかったんですけどね。ええ、16強対決2ndレグでセビージャが逆転された記憶もありますし、「En la segunda parte ellos han jugado como siempre juegan, al balon largo/エン・ラ・セグンダ・パルテ・エジョス・アン・フガードー・コモ・シエンプレ・フエガン、アル・バロン・ラルゴ(後半、彼らは普段のプレーをしてきた。ロングボールを放り込むというね)」(サウル)状態ではいつ、また失点するかわかったもんじゃありませんって。 ▽おまけに29分には右SBに続いて、左SBのフィリペ・ルイスまで手を踏まれ、指を骨折して交代に。シメオネ監督も「Es central, y lo seguira siendo/エス・セントラル、イ・ロ・セギラ・シエンドー(彼はCB、そしてそうあり続けるだろう)」と言うものの、その日はボランチで空中戦に奮闘していたヒメネスを最終ラインに戻すなど、またCB4人で守っているって、そんなにレスターの攻勢は激しかった?それでもアトレティコは1-1のまま、規定の時間で終了して、総合スコアでは2-1と、ここ4年で3度目の準決勝進出を確定。お手柄のサウルも「parece que estabamos jugando en casa con el apoyo de nuestra gente/パレセ・ケ・エスタバオス・フガンドー・エン・カサ・コン・エル・アポジョ・デ・ヌエストラ・ヘンテ(ウチのファンの応援で、ボクらはまるでホームでプレーしているみたいだったよ)」と言っていたように、ロンドンから100キロ程離れたレスターまで、1600人の熱いサポーターが遥々応援に行った甲斐はあったようですねね。 ▽その後は私もマドリーの延長戦に集中できるようになったんですが、実は後半38分にビダルが2枚目のイエローカードを出され、そこからバイエルンは10人でプレーしていたんですよ。そこからして、もう結果は見えていましたが、ただ延長前半14分にラモスのパスからロナウドが決めた自身2点目や後半3分のカウンター、マルセロからのボールをもらってのハットトリック達成、CL個人最多の100得点目となったゴールはどちらもオフサイドって、そんな上手い話があっていい?さすがに途中出場したアセンシオがその3分後に独走、敵DFをかわして挙げた4点目は真っ当だったようですけどね。これでは後で、あの温厚なアンチェロッティ監督が「En cuartos de final de la Champions hay que poner arbitros de mas calidad/エン・クアルトス・デ・フィナル・デ・ラ・チャンピオンズ・アイ・ケ・ポネール・アルビトロス・デ・マス・カリダッド(CL準々決勝にはもっと質の高い審判をよこさないといけない)」とカンカンだったのも無理はないかと。 ▽うーん、だからって4-2で試合が終わり、総合スコア6-3でマドリーの突破が決まった後、ビダルとチアゴ・アルカンタラ、レバンドフスキまでが審判控室に抗議に行って、警官が来るまでの騒ぎになったというのもあまり感心しませんけどね。マドリー側に言わせると、「El segundo de ellos tambien esta en fuera de juego/エル・セグンド・デ・エジョス・タンビエン・エスタ・エン・フエラ・デ・フエゴ(彼らの2点目もオフサイドだった)」(ジダン監督)ですし、「Alli les pitaron un penalti que no era/アジー・レス・ピタロン・ウン・ペナルティ・ケ・ノー・エラ(あっちじゃ、ペナルティじゃないのにPKをとられた)」と、1週間前の恨みを忘れていないイスコのような選手もいるため、これはこれで仕方ないんじゃないでしょうか。 ▽そして翌日は、PSG戦に続いて2度目の奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)はさすがに荷が勝ち過ぎましたかね。ユベントスとカンプ・ノウで0-0と引き分けて、総合スコア0-3でバルサの敗退が決定。並行して行われたモナvsドルトムント戦ではムバッペに続き、アトレティコ時代のゴール嗅覚を取り戻したファルカオも得点し、前者が2連勝でベスト4に入りました。ええ、こちらが準決勝のもう1つの対戦ですが…。 ▽なんて話をしているうちに週末が来て、またリーガ戦なんですよ。33節のマドリッド勢の予定は土曜にレガネスがビジャレアルにアウェイで挑んだ後、午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、アトレティコが前節、試合終了間際にレオ・バチストンが挙げたゴールで新弟分を破ったエスパニョールとあいまみえます。うーん、レスター戦の後遺症で、フィリペ・ルイスは手にプロテクターをはめてプレーすればいいだけなんですが、問題は太ももを痛め、全治3週間となってしまったファンフランの代役。何せ、ヒザの靭帯を部分断裂したブルサリコもまだリハビリ中ですしね。 ▽シメオネ監督も心を決めかねていたか、「」tres atras, Savic a la derecha, Koke como lateral, Gimenez.../トレス・アトラス、サビッチ・ア・ラ・デレッチャ、コケ・コモ・ラテラル、ヒメネス(CB3人制とか、サビッチが右とか、コケがSBやるとか、ヒメネスでも)」と、前日記者会見では適当なことを言っていましたけどね。健脚自慢はいいんですが、とうとうレスター戦では今季CLで通算素行距離ダントツ1位に120キロのコケが、2位にはFWなのに111キロも走ったグリースマンが入ってしまうなど、選手たちの疲労も心配ですしね。4位セビージャが金曜にグラナダに勝って、勝ち点で並んできているため、このビジャレアル、ラス・パルマス戦と続く、リーガの3連戦も疎かにはできないとなると、さて。 ▽そして日曜には世界中のサッカーファンが楽しみにしているクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)がやはり、午後8時45分からあるんですが、まだ先が読めないのはこれが3試合の出場停止の2試合目となるはずのネイマールがプレーできるのかどうか。うーん、CL敗退して、コパの決勝は残っていますが、ビッグタイトルを獲るにはリーガに懸けるしかなくなったせいか、バルサの法務部があざとく、金曜午前中のTAD(スポーツ調停法廷)が終わった後、上訴委員会の処分に異議を申し立てる書類を送付。調停員たちが土曜に臨時会合を持つのをイヤがるのを逆手にとって、それが裁かれるまで選手には出場する権利が法的にあると主張しているようですが、そんな無茶苦茶な話、あっていい? ▽まさに藁にもすがる気分なんでしょうが、2nレグでは一矢も報えずユーベに敗退した直後だけに、イニエスタでさえ、「De los Clasicos me quedo con el 2-6 o el 5-0/デ・ロス・クラシコス・メ・ケド・コン・エル・ドス・セイス・オ・シンコ・セロ(クラシコでは2-6のか、5-0の試合がいい思い出だね)」と過去の大勝の記憶に慰めを求めないと、元気が出ないようですからね。もちろんピケを始め、メッシやルイス・スアレスは意地を見せるでしょうが、メンタル的には今回、マドリーがかなり優勢なようです。 ▽そのジダン監督のチームでもギリギリまでベンチに入れるかわからないのが、ふくらはぎの軽度の故障が意外と長引いているベイルで、ただこのチーム、ローテーションしても全然、強いですからね。ロナウドも来週のデポルティボ、バレンシア戦、どちらかではCL準決勝を見据えて、お休みをもらうかもしれませんが、ここで2位バルサを叩けば、未消化試合も1つあって、リーガ優勝がかなり近づくこの一戦は欠かす訳にはいきませんって。それでも今季前半のクラシコでは、お馴染み土壇場のラモスのゴールで1-1と引き分けているだけに、油断は禁物。バイエルン戦に続いて、盛り上がること間違いないサンティアゴ・ベルナベウのファンを喜ばせる好ゲームになってくれるといいですよね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.22 10:15 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】一番簡単に点が取れる方法なのに…

▽「PK戦は考えちゃいけないわよね」そんな風に私が納得していたのは月曜。夕方にキングパワー・スタジアムであったシメオネ監督の記者会見の一節を読んだ時のことでした。いやあ、質問は単純に「2ndレグがアウェイなのは不利なのか、得なのか」といったものだったようなんですけどね。それに対して彼は「en caso de empate cuenta con 30 minutos más para marcar un gol que vale doble/エン・カソ・デ・エンパテ・クエンタ・コン・トレインタ・ミヌートス・マス・パラ・マルカル・ウン・ゴル・ケ・バレ・ドブレ(引き分けになった場合、倍の価値のあるゴールをマークする延長の30分間がある)。こういう拮抗した対戦でそれは大きいとUEFAの人は言っている」と返答。 ▽要は90分で1-0とレスターに1stレグと同じスコアで負けて延長戦に入り、更に2点目を取られても、アトレティコは1点を取れば勝ち抜けられるということでしょうが、もしもその30分が0-0だったら、勝負は恐怖のPK戦に突入。何せここ近年、16強対決ではレバークーゼンやPSVにそれで勝ってきた彼らでしたが、一番大事だった昨季のミラノでのCL決勝では最後にファンフランが失敗して、リスボンに続いて、トロフィーをお隣さんに持ち帰られていますからね。その上、今季のPKにおける惨状を目の当たりにしていては、私が延長戦なんてダメ、PK戦なんてもってのほかという気分になってしまうのも仕方なかった? ▽まあ、その辺はまた後でお話しするとして、マドリッドの両雄が、どちらも火曜にCL準々決勝2ndレグを控えている中、土曜のリーガ戦はどうだったかというと。先にキックオフとなったレアル・マドリーでまず、驚かされたのはあまりにも徹底した先発ローテーションぶりで、いえ、CL準々決勝の谷間の試合ということで、ベイルのみ負傷ですが、クリスチアーノ・ロナウドもベンゼマもマドリッドでお留守番と、BBCメンバーが1人も招集リストにいなかった時点から、思い切ったことするなあという感じはあったんですけどね。 ▽エル・モリロン(スポルティングのホーム)のピッチに立つスタメンが近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)のTV画面に紹介された時には、後ろにいたお客さんからも「Vaya, sale Coentrao!/バジャ、サレ・コエントラン(おいおい、コエントランが出るのか)」と呆気に取られたような声が聞こえていましたが、まさか、キャプテンのセルヒオ・ラモス以外、中盤の3人も含めて全員suplente(スプレンテ/控え選手)でスタートするなんて、もしやこれって2部Bのチームと当たるコパ・デル・レイ最初のラウンドの1stレグだった? ▽おそらくそれには相手のスポルティングも、たとえ自分たちが降格圏に長らく沈んでいる身分であっても、ちょっとモヤッとしたんでしょうね。地元のサポーターの大声援の後押しも受けて13分、ビガスの浮き球パスにチョップが早々と反応。vaselina(バセリーナ/ループシュート)で見事に先制点を決めてしまったから、意表を突かれたの何のって。でもねえ、マドリーは普通のチームと違って、セカンドバージョンでも才能溢れる選手ばかりなんですよ。そのわずか3分後、イスコが敵DFの密集したエリア内を自力ですり抜け、同点ゴールを撃ち込んでくれたため、前半は1-1と、キックオフ時と同じ状態でハーフタイムを迎えることに。 ▽ところが後半開始直後、マドリーは今季、ありがちな過ちを犯してしまいます。それは後でジダン監督も「Es un despiste, porque nos hemos quedado hablando/エス・ウン・デスピステ、ポルケ・ノス・エモス・ケダードー・アブランドー(うっかりミス。ウチは話し続けていたから)」と認めていたように、スポルティングのFKのチャンスの時に発生。ヴァバンが頭で繋いだボールをビガスに山なりのヘッドでネットに送られ、GKカシージャをまたしても破られてしまったから、たまったもんじゃありません。それでも58分にはダニーロのクロスをモラタがこちらもヘッドで決め、またしても追いついたマドリーでしたが、そこからなかなか勝ち越し点が奪えず。 ▽何せ、いつもなら窮地に応援に赴くメンツが最初からピッチにいたため、その日の控えFWはカンテラーノ(RMカスティージャ出身の選手)のマリアーノしかいませんでしたからね。私も先行きが気になったんですが、その頃にはもうビセンテ・カルデロンに向かわないといけない時間になっていたため、バルを出て、メトロ(地下鉄)へ。途中、スコアは動かないまま、残すところ数分、ピラミデスの駅を出て、ラジオを急いでつけてみると、折しもCKからラモスのヘッドは枠を捉えられずとの報が。これはいよいよ引き分けかなと覚悟したところ…。 ▽ラモスだけじゃないんですよ、土壇場のゴールを決められるのは! それは再びイスコで、今度はペナルティエリア手前からシュート。地面を真っ直ぐ転がったボールがゴール右隅決まり、マドリーの3点目になったというんですから、本当に最後の最後まで油断のならないチームじゃないですか。うーん、こんな選手が控え扱いで、BBCに何か理由がある時にしか先発できないというのは、まさに贅沢の極み。羨んでしまう向きも多いかと思いますが、ちなみに彼が決勝ゴールを挙げた後、見せていた親指と人差し指、小指を立てて、両手をヒラヒラさせたポーズは前日の夜、アウェイ時のファンサービスとして、チームが滞在するNHヒホン・ホテルでのサイン会で、両親に連れられたろう者の少女に応対した際、教わった手話。「Te quiero/テ・キエロ(君が好き)」の意味だとか。 ▽試合でゴールを挙げたら、その仕草をする約束をしたそうですが、自身1点目の時にはしないで、2点目でやったっていうのはもしや、最初から2ゴール入れる自信があったから? まあ、その辺の事情はわかりませんが、当人はこのところ、契約延長交渉がなかなか進まないため、引きも切らない移籍の噂に対して、「Hay muchos bocazas por ahí, yo hablo en el campo/アイ・ムーチョス・ボカサス・ポル・アイー、ジョ・アブロ・エン・エル・カンポ(その辺にはイロイロ言う人が沢山、いるけど、ボクはピッチで喋るよ)」とのこと。マドリーに残りたい意志は強いようですが、それだと彼のプレーを見る機会が限られてしまうのは残念ですよね。 ▽そんなマドリーの劇的勝利があったため、カルデロンに入るまで、私もつい忘れていたんですが、実はアトレティコも珍しく、シメオネ監督が大幅なローテーションを決行。いやあ、コケが出場停止、ガビが休養でベンチ入りしていなかったのは知っていたんですけどね。最初にオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況担当から、「グリーズマン、サウール、サビッチもベンチスタート。ボランチはヒメネスとトーマスです」と聞いた時には、あまりの大胆さに頭がクラクラしてしまったぐらいだったんですが、幸いそれは杞憂に終わります。ええ、何より30分、カラスコがエリア外から放ったシュートが先制点となったのが、元々、どこか諦め気味だった相手の最下位オサスナの抵抗力を完全に砕いてくれたから。 ▽おかげで守備の方ではほとんど苦労もせず、49分にはガイタンのクロスをカラスコが今度はヘッドで決めてくれて、リードは2点に。更に61分にもコレアからラストパスをもらったフィリペ・ルイスがリーガここ4試合で3点目となるゴールを入れ、とうとう3-0になってくれたとなれば、その日はクラブが“El Dia del Nino/エル・ディア・デル・ニーニョ(子供の日)”と銘打って、スタジアム近隣に設置した数々のアクティビティを午前中から満喫。ちょっとお疲れモードで試合にやって来た親子連れだって、元気を取り戻しますって。 ▽え、用心深いシメオネ監督は2点では心細く、3点目が入る寸前にはあろうことか、エースを投入するつもりだったんだろうって? その通りで、丁度、支度を整えて待っていたグリーズマンとフィリペ・ルイスが2人でNBAプレーオフ開催にちなみ、ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンのパフォーマンスを真似するなんてシーンもゴールの後には見られましたが、さすがにこのリードなら、もう大丈夫だと踏んだんでしょうね。そのままグリーズマンはベンチに戻り、70分にはフェルナンド・トーレスを昨年11月以来となる、負傷明けのチアゴに交代。ただ、場内が温かい拍手に沸いた後にガイタンを、マドリーダービーでは寸前のところで今季のリーガデビューをし損ねたチェルチに代えていたのにはちょっとビックリさせられたかと。 ▽うーん、あとでシメオネ監督は「Está trabajando muy bien/エスタ・トラバハンドー・ムイ・ビエン(彼はとてもよく練習している)」と本来なら、冬の移籍市場でチームを出るはずだったため、ずっと員数外扱いされていたチェルチの起用を説明していましたけどね。やはり、お隣のコエントラン同様、アトレティコファンも彼のことは笑いのネタと捉えているようで、妙な大喝采を浴びていたのはちょっと気の毒だったかも。そんな余裕の温情交代策もあったため、そのまま試合は無事に終わるかと思いきや、そうはいかないのがアトレティコ。88分にはコレアがGKシリグに倒されて、90分にはトーマスのパスがエリア内でミゲール・デ・ラス・クエバスの手に当たって、別に必要もないのに2回もPKを与えられたんですが…。 ▽スコアは5-0にはならなかったんです! というのも、最初のPKはハットトリックを狙ったカラスコが蹴って止められ、2本目は「quería hacer un gol en ese momento, no estaba escuchando nada/ケリア・アセール・ウン・ゴル・エン・エセ・モメントー、ノー・エスタバ・エスクチャンドー・ナーダ(あの時は自分がゴールを入れたかった。何も聞いちゃいなかった)」と、スタンドが「Circi tiralo!/チェルチ・ティラロ(チェルシ、PKを蹴って)」と合唱する中、ヒメネスもそう助言したにも関わらず、トーマスがキッカーを譲らず。やはりシリグに弾かれているんですから、もうどうしたらいいのか。 ▽いえ、先日のCLレスター戦1stレグでPKをようやく決めてくれたグリーズマンはその日、ハーフタイムのアップ中、スポンサーが主催するファンのPK合戦に飛び入り参加。そこでもしっかり決めて、スタジアムDJに「Gol de Antoine Griezmann!/ゴール・デ・アントワーヌ・グリーズマン」と叫ばれていたぐらい、見かけによらず、練習熱心なんですけどね。 ▽試合が3-0で終わって、カラスコの話を聞けば「Puede ser que no entrenemos demasiado los penaltis/プエデ・セル・ケ・ノー・エントレネモス・デマシアドー・ロス・ペナルティス(ボクらは十分にPKを練習していないのかもしれない)。ツキもある」ですし、トーマスに至っては「GKが上手く止めた。Son cosas que pasan en el fútbol/ソン・コーサス・ケ・パサン・エン・エル・フトボル(サッカーでは起きることさ)」ですもの。シメオネ監督は「説明はできない。個人がやることだしね。Pero no es mala suerte/ペロ・ノー・エス・マラ・スエルテ(だが、運が悪いせいではない)」と、これでリーガ戦6連続のPK失敗、今季は13本中8本も失敗していることに対して話していましたが、もうこうなるとホントに超迷惑ですよ。彼らがPKをもらうのって。 ▽こんな調子ですから、この火曜のCL準々決勝2ndレグも心配でしようがないんですが、日曜のマハダオンダ(マドリッド近郊)のセッションでもPKを練習していたのはグリーズマンとチェルチだけだったとか。おまけにレスターではフートは出場停止になるものの、しばらく負傷していたキャプテンのCBモーガンが復帰できるようで、1stレグより、アトレティコはチャンスを作りにくい可能性も。好材料としては3月のフランス代表戦以来、太もものケガで出場していなかったガメイロと控えGKモヤが招集リストに戻ったことですが、16強対決の2ndレグでうっかり敵のカウンター戦略にはまり、逆転敗退を喫したセビージャの二の舞だけはしないでくださいね。 ▽そして同じ火曜の午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からは、マドリーもサンティアゴ・ベルナベウで2ndレグに挑むんですが、最近は日が長いこともあって、私もお散歩気分でバイエルンのスタジアム練習を見学してきたところ、どうやら肩を痛めていたレバンドフスキは完全復活した模様。懸念のあったボアテングやフンメルスも普通に全体練習に参加していたため、ドイツ語は一切、使わず、質問も答えもほとんどスペイン語だったせいもありますが、ジャージの色さえ違えば、今もマドリーの監督と言われても全然、違和感のなかったアンチェロッテ監督も結構、remontada(レモンターダ/逆転劇)に自信を持っていた印象がありましたっけ。 ▽いえ、もちろん先週、1-2で負けた彼らは0-2以上のスコアを挙げないと、準決勝に進むことはできないんですけどね。アンチェロッテ監督も「el Madrid marca todos los partidos pero también encaja en casi todos los partidos/エル・マドリッド・マルカ・トードス・ロス・パルティードス・ペロ・タンビエン・エンカハ・エン・カシー・トードス・ロス・パルティードス(マドリーは全ての試合で得点するが、同時にほとんど全ての試合で失点する)」と、ここ公式戦54試合連続得点しているジダン監督のチームに皮肉を言うことも忘れていませんでしたしね。 ▽ドイツ語でも英語でも流暢に応対するシャビ・アロンソと一緒に記者会見に出ていたキャプテンのラームも、未だに2012年の準決勝でPK戦にもつれ込み、最後はセルヒオ・ラモスが天高く撃ち上げてくれたおかげで、勝ち抜けた対戦をベルナベウでのいい思い出として話していましたが、いやあ、やっぱりマドリーの試合でもPK戦なんて、ドキドキするからイヤですって。ちなみに午前中にバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場で会見したジダン監督は欠場するベイルの代役を訊かれても、「Lo tengo decidido pero no lo voy a decir/ロ・テンゴ・デシディードー・ペロ・ノー・ロ・ボイ・ア・デシール(決めてあるけど、言わないよ)」と、イスコが先発するかどうかは明言せず。まあ、アセンシオやハメス・ロドリゲスというカードもありますし、何はともあれ、まずは週末にゆっくり休養が取れたクリスチアーノ・ロナウドやベンゼマが頑張ってくれることが先決ですかね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.18 12:07 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】決着は来週までお預けに…

「余裕があるチームはいいわね」そんな風に私が羨ましがっていたのは金曜。CL準々決勝の合間にあるスポルティング戦に向けた、レアル・マドリーの招集リストを見た時のことでした。いやあ、午前中にジダン監督の記者会見があったため、水曜のバイエルン戦1stレグでふくらはぎをケガしたベイルが出られないことはわかっていたんですけどね。蓋を開けてみれば、出場停止のカルバハルや負傷中のヴァランやペペは仕方ないものの、クリスティアーノ・ロナウドもベンゼマも、GKケイルロ・ナバスまでがマドリッドでお留守番。こんな思い切った真似、消化試合が1つ少ない状態でバルサと勝ち点差3をつけている首位でなければできないのでは? いえ、同じくレスターとのCL準々決勝2ndレグを来週、火曜に控えるアトレティコの場合、お隣さんとは正反対で守備陣は控えGKモジャ以外、皆健康で頭数は揃っているんですが、負傷者多発でボランチから上はここ3試合、選びようのない状態に。ようやくガイタンが水曜の試合でベンチに戻って来たため、メンバー表から馴染みのないカンテラーノ(アトレティコBの選手)の名前こそ一時、消えたものの、この土曜のオサスナ戦ではコケが累積警告になるという逆境も。 ガメイロの復帰がまだとなると、FW陣もグリーズマンとフェルナンド・トーレスが先発すれば、リフレッシュ要員はコレアしかいない今、シェイクスピア新監督下でのプレミアリーグ5連勝で降格圏から遠く離れることに成功。かといって、現在の11位では来季のヨーロッパリーグ出場圏を目指すのも非現実的なレスターが土曜のクリスタル・パレス戦で再び、大ローテーションをかけるのを横目に、アトレティコは同じメンツで乗り切るしかないって、何だか不公平じゃない?うーん、彼らには前節のマドリッド・ダービーで引き分けてしまったため、4位セビージャとの差が勝ち点1に縮小。CLグループリーグ直接出場権をもらえる3位を死守しないといけないという火急の事情もありますしね。 ただ、ビセンテ・カルデロンでの試合後、リーグ前節のエバートン戦でも主力5人をローテーションしていながら、「チームは疲れているようだった」とレスターの岡崎慎司選手が言っていたのは対照的に、その日も相手より合計7キロメートル多く走ったアトレティコの選手たちは体力だけはまだ余裕があったよう。それでも今季の彼らのCL1試合平均より6キロ程少なかったため、帰宅前にはフィジカルコーチに命じられて、ロッカールームで自転車漕ぎをさせられていましたしね。ミュンヘンでマドリーの救世主となったロナウドも「He hecho un cambio radical en los entrenamientos para llegar a tope al final de temporada/エ・エッチョー・ウン・カンビオ・ラディカル・エン・ロス・エントレナミエントス・パラ・ジェガール・ア・トペ・アル・フィナル・デ・テンポラーダ(シーズン終盤にトップコンディションになるため、練習方法を大きく変えた)。ここ数年は限界が来て、ケガとかもしていたからね」と言っていましたし、やっぱり体力があるというのは何物にも代えがたいことかと。 まあ、そんなことを再確認させられることになった今週のCL戦の様子をお伝えしていくことにすると、バルサがトリノでユベトス相手に3-0負けと、16強対決のPSG戦に続いて、2ndレグで奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)を目指すことが決まった翌日の水曜、マドリーとアトレティコはそれぞれミュンヘンとマドリッドで同じ時間にプレー。もちろん私はビセンテ・カルデロンに行ったんですが、キックオフ前にはバックススタンドを埋め尽くすモザイクでアトレティ、垂れ幕で「Nada mas que tu/ナーダ・マス・ケ・トゥ(君以外にはいない)」という、熱いメッセージを送ったファンたちもお隣さんの様子は気になっていたよう。ええ、開始4分でコケのエリア外からのシュートがゴールポストを直撃して以来、ずっと攻め続けながら、なかなか得点が入らなかったじれったさもあったんでしょうが、25分、最初に大歓声が場内が沸いたのは、アルトゥーロ・ビダルがヘッドでバイエルンの先制点を挙げた時でしたっけ。 それが呼び水になったんでしょうかね。折も折、私が隣に座った記者がパソコンで見ていた数分遅れの中継画像で、ビダルのゴールシーンを確認している時のことでした。ふっと視線をピッチに戻すと、グリーズマンがボールを持って敵陣を全力疾走。エリアに入るか入らないかの辺りでオルブライトンに倒されてしまったから、驚いたの何のって。いえ、後でシェイクスピア監督も「あれはエリア外だった」と言っていたように、すんなりPKをもらえたのも意外でしたけどね。まさか、4度連続してPKを失敗し、ここ数回はキッカーをしていなかったグリーズマンが密かに特訓。その成果を3月のフランス代表W杯予選、ルクセンブルク戦に続いて披露してくれたとなれば、スタンドの盛り上がりが最高潮に達したのも無理はありませんって。 前半はそれ以降、チャンスもなかったため、リベリのシュートを胸に当てたカルバハルがハンドと判定され、PKを蹴ることになったビダルが失敗に終わったせいでの溜息に包まれて、試合はハーフタイムに入ったんですが、ここで岡崎選手はアンディ・キングと交代。「ウチはボランチから後ろの押し上げができなかったから、中盤を1枚増やすため、自分が45分で交代になった」そうですが、だからといってレスターが最後まで優勢になることはなかったような。ただアトレティコも、トーレスが絶好のシュートチャンスに足を滑らせてしまったり、カラスコと代わったコレアも枠を捉えられなかったりと、追加点を挙げることはできません。 いえ、後でコケなどは「Nos vamos contentos porque el 1-0 lo firmábamos/ノス・バモス・コンテントス・ポルケ・エル・ウノ・セロ・ロ・フィルマバモス(ボクらは満足だよ。だって1-0でも良かったんだから)」と負け惜しみを言っていましたけどね。「アトレティコはウチが引いていると後半、困っていた感じもあった」(岡崎選手)なんて意見も聞かれたため、ボールを持ち過ぎると、何をしていいかわからなくなるという欠点はまだ直ってないのかと。ちなみに岡崎選手は「リーガのチームはプレミアと違って、サッカーが上手い。ボールの出し入れとか、ワンタッチパスとかの差があるね。あっちだったら、引いてもやられることはないんだけど」とアトレティコを褒めてくれていましたが、何せ16強対決では2-1と先勝したセビージャがキングパワー・スタジアムの2ndレグで2-0、逆転敗退した例がありますからね。 もちろん、彼らはサンパオリ監督のチームと違い、アウェイゴールを許すこともなく、与えられたPKもちゃんと決めて勝ちましたし、「nosotros somos el Atlético de Madrid, sabemos a lo que jugamos y lo que tenemos que hacer/モソトロス・ソモス・アル・アトレティコ・デ・マドリッド、サベモス・ア・ロ・ケ・フガモス・イ・ロ・ケ・テネモス・ケ・アセル(ボクらはアトレティコ。何を懸けて戦っているかも、やらなければならないこともわかっている)」(コケ)と、勝ち抜ける自信はあるみたいですけどね。私事で恐縮ではありますが、来週の火曜はサンティアゴ・ベルナベウでバイエルン戦を見ながら、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の2元中継で展開を追うことになる自分としては、もっと安心できるスコアの方が有難かったかと。 え、そうは言ってもマドリーだって、1stレグに大勝した訳じゃないんだろうって?その通りで、後半は2分にカルバハルのクロスをロナウドが決めて同点にすると、15分にはハビ・マルティネスが2枚目のイエローカードをもらって退場。相手が10人になったおかげで、そこから俄然、優勢になった彼らは32分、ベイルと交代したアセンシオのラストパスを再びロナウドが押し込んで、とうとう逆転に成功します!いえ、他にも惜しいシュートは何本かあったんですけどね。GKノイアーにparadon(パラドン/スーパーセーブ)を連発されてしまい、ロスタイムにFKからセルヒオ・ラモスが入れたゴールも「Me han pitado fuera de juego por milésimas/メ・アン・ピタードー・フエラ・デ・フエゴ・ポル・ミレシマス(数ミリのオフサイドを取られてしまった)」(ラモス)というのは少々、誇張ですが、スコアには上がらず。最後は1-2という最少得点差での勝利に。 それでも彼らは2ndレグがホームだけに圧倒的に有利ですからね。その上、肩を痛めていたレヴァンドフスキがプレーしなかったおかげもあって、出場停止目前だったラモスがイエローカードをもらわずに済んだというのは大きかったかと。そうそう、殊勲の2ゴールを挙げたロナウドはこれで、初のUEFA主催大会で100得点を記録した選手になったんですが、ジダン監督に言わせると、当人は「Estaba contento, pero no contento porque ha tenido el tercero también/エスタバ・コンテント、ペロー・ノー・コンテントー・ポルケ・ア・テイードー・エル・テルセーロ・タンビエン(満足していたけど、3点目も決められたかもしれなかったから、満足していないところもある)」そう。それだけにベルナベウでの2ndレグでもdoblete(ドブレテ/2得点のこと)を目指しているとなれば、マドリーファンは大船に乗った気でいていい? おまけに最初に言ったように、この土曜、午後4時15分(日本時間翌午前11時15分)からのスポルティング・ヒホン戦には出ずに、自宅で英気を養いますからね。最近、5キロの減量に成功して、プレーに磨きがかかっているベンゼマと一緒にバイエルン戦には体力十分で挑めるとなれば、鬼に金棒とはまさにこのこと。実際、今では「Ya no sé ni en qué posición juega./ジャー・ノ・セ・ニ・エン・ケ・ポシシオン・フエガ(もうどこのポジションでプレーしているかもわからない…)。どこの場所でも守って、CFのようにゴールを決め、MFのようにアシストする」(シメオネ監督)とまで言われている、アトレティコのエースとはそれこそ雲泥の差じゃないですか。 その結果、エル・モリロン(スポルティングのホーム)では、モラタやイスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケス、ハメス・ロドリゲスらが先発のチャンスを得ることになりますが、Bバージョンのマドリーでも普通に強いですからね。それでも、さすがに降格圏にいる相手には荷が重いとはいえ、何が起こるかわからないのがサッカーのいいところ。同日、最後の試合でレアル・ソシエダをカンプ・ノウに迎えるバルサも、マラガ戦で退場したネイマールは次のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)を含む3試合の出場停止処分を受けていますが、勝敗の如何によっては、一気にモチベーションが上がるかもしれませんね。 一方、その次の時間帯、午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からオサスナに挑むアトレティコは金曜の夕方練習の後に1つだけ朗報が。それは昨年の12月のビジャレアル戦以来、ずっと負傷で休んでいたチアゴが招集リストに復帰したことですが、それと交代でキャプテンのガビが休養って、とうとうシメオネ監督もローテーションを実施するつもり?いやあ、確かにオサスナはダントツの最下位ですが、前節はレガネスを破って少々、運気が変ったようですからねえ。こんなところでうっかり火傷をしないよう、私も祈るしかありません。 そしてそのオサスナに負けて、ショックを受けている新弟分、レガネスは日曜にエスパニョールをブタルケに迎えるんですが、今も降格圏とは勝ち点差5あるものの、ここ5試合白星なしと、なかなか残留確定ラインに近づけず。あと残りは7試合、ちょっと気合を入れていかないと、昨季のラージョやヘタフェのように最終節まで、ファンをドキドキハラハラさせる破目になりかねない?ちなみに今季は2部でプレーしているマドリッドのチームで昇格に最も近いのは現在、6位のヘタフェ。ただこれも今は柴崎岳選手のいるテネリフェが占めている3位から6位までの4チームでのプレーオフという試練があるため、リーガ1部の試合がマドリッドの近場で沢山、見られるという利点を保つ意味でも、ここはどうしてもレガネスに頑張ってもらわないといけないですよね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.15 19:28 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】長所が戻ってきた…

▽「要はまた同じメンツなのね」そんな風に私が首を振っていたのは月曜。マハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で午前中に行われたアトレティコのトレーニングには、ガメイロもガイタンも姿が見えなかったというニュースを聞いた時のことでした。いやあ、もうこの状態は先月の代表戦週間が明けて以来、変わっていなくて、水曜のCL準々決勝レスター戦1stレグでスタメンがリピートするのも3試合目。別に彼らには体力もあるため、それはいいんですが、とにかくシーズンも今が正念場。コパ・デル・レイの初期ラウンドでもないため、ベンチ入り18人の枠を満たすため、回り持ちで呼んでいるカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWやMFをおいそれと入れる訳にもいきません。結果、点が欲しい展開で投入できるのがコレア以外いないというのにはちょっと、心細い気がしてしまうのは決して私だけではなかったかと。 ▽え、それでも先週末のマドリーダービー、アトレティコは何とかこのメンバーで乗り切ることができたじゃないかって? そうですね、前回、午後4時15分からのサンティアゴ・ベルナベウでのアラベス戦で、正面から西日を1時間以上浴びたのに懲りた私がしっかり、UVカット帽子持参で挑んだ土曜。アップ中には数日前に近所の駐車場で7万ユーロ(約800万円)相当の腕時計を盗られたコケに、「Koke, ?que hora es?/コケ、ケ・オラ・エス(今、何時だ?)」なんてカンティコ(節のついたシュプレヒコール)がレアル・マドリーファンから飛んでいたなんて、心痛むこともあったんですけどね。fondo sur(フォンド・スール/南側ゴール裏席)を大きく覆った「El trono es nuestro/エル・トローノ・エス・ヌエストロ(王座は我々のもの)」という、含蓄のある垂れ幕にも臆せず、彼らはお隣さんに立ち向かったんですが…。 ▽うーん、前半はどちらも用心していたんでしょうかね。散発的なチャンスがあるだけで、時間が経つにつれ、両者共にパスミスが激増。いえ、アトレティコの場合は元々、そんなシーンはお馴染みですし、その日は「Estuvimos imprecisos, pero no es facil el ritmo al que se juega/エストゥビモス・インプレシーソス、ペロ・ノー・エス・ファシル・エル・リトモ・アル・ケ・セ・フェガ(ウチは正確性に欠けていたが、あのリズムでプレーするのは簡単ではない)」(シメオネ監督)という理由があったようなので、私も驚きはしませんでしたけどね。30分近くにはGKオブラクがベンゼマのシュートを弾き、さらにそのオブラクも飛び出してしまった後、クリスチアーノ・ロナウドの一撃をサビッチがライン上でヘッドクリアするなど、ドッキリさせられる場面も…。 ▽これには後でオブラクも同じバルカン半島仲間のサビッチにお礼を言っていたそうですが、後半に入ってすぐ、至近距離からベンゼマに撃たれた時には当人が圧巻のparadon(パラドン/スーパーセーブ)を披露。あまりに強い日光に当たっていたこともあって、私も目の前がクラクラしてしまった程でしたが、どうやらこれは相手を前半無得点に抑えたのをいいことに、アトレティコがハーフタイム後のピッチに「Hemos salido como dormidos/エモス・サリードー・コモ・ドルミードス(ボクらは眠っているかのように出て行った)」(グリーズマン)せいだったよう。当然、そのツケは回ってきて、今度は52分、クロースのFKからペペにヘッドを決められ、マドリーに先制されてしまったから、さあ大変! ▽いやあ、この時、すがすがしいぐらいペペがノーマークだったのは、未だに2回のCL決勝のトラウマを抱えるアトレティコの選手たちが、セルヒオ・ラモスばかりに目が行ってしまったせいだと思いたいんですけどね。加えて、滅多にないチャンスでは59分、フェルナンド・トーレスが1対1になりながら、GKケイロル・ナバスに向けてシュート。そしてその2分後にサウールの代わりに入ったコレアがアトレティコ最初で最後の弾丸だったとなれば、この先一体、何を期待したらいい? いえ、マドリー側にもクロースがボールをクリアしようとした際、同僚にヒザ蹴りを喰らわせ、鋤骨を2本骨折したペペがナチョに代わるというアクシデントはあったんですけどね。 ▽それでもグリーズマン、会心のchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)もナバスに弾かれ、75分を過ぎてもゴールが入らず、その上、シメオネ監督は「Era instinto de lo que necesitabamos/エラ・インスティントー・デ・ロ・ケ・ネセシタバモス(ウチが必要としているものを直観した)」とトーレスを下げ、ボランチのトーマスを投入。不可解なFW削減策に出ただけでなく、お隣さんと違って、アトレティコのDNAには根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)は刷り込まれていませんからねえ。終盤、最後の交代を今季、移籍先が決まらず仕方なく残留。リーガでまだ1度もプレーしていないチェルチがピッチ際で待っているのを見た暁には、私もほとんど絶望していたんですが…あったんですよ! 彼らにも自慢できるものが! ▽え、それはシメオネ監督も「いい選手である以上に働いて、走って、エリア内にも入り込む。才能のある選手が献身的にプレーするのを見るのは喜びが倍増する」と褒めていたグリーズマンのことだろうって? うーん、そうでもありますが、いよいよ85分、コレアのスルーパスが通って、彼が3度目の正直でナバスを破り、先日は下に着たTシャツに彼女のエリカさんへの誕生日祝いメッセージを書いて披露、後付で罰金を喰らったせいで頭を絞り、今度は娘のミアちゃんの1歳のバースデーのお祝いをテープに書いて足首に装着。念願通り、TVカメラにアップしてもらえたのは、1にも2にもアトレティコの選手たちが「Fisicamente hemos acabado mejor que el Madrid/フィシカメンテ・エモス・アカバードー・メホール・ケ・エル・マドリッド(フィジカル的にウチはマドリーを上回って終わった)」(グリーズマン)おかげ。 ▽いえ、ジダン監督は「No creo que nos haya faltado algo fisicamente/ノー・クレオ・ケ・ノス・アジャ・ファルタードー・アルゴ・フィシカメンテ(ウチが体力的に何か欠けていたとは思わない)」と否定していましたけどね。実際、カゼミロなども「Ellos han presionado mas en esa fase/エジョス・アン・プレシオナードー・マス・エン・エサ・ファセ(その時間、彼らはますますプレスをかけてきていた)」と証言していますし、キャプテンのラモスも「el partido en cinco minutos por no achicar y por dejar tantos espacios/エル・パルティードー・エン・シンコ・ミヌートス・ポル・ノー・アチカル・イ・ポル・デハール・タントス・エスパシオス(試合残り5分で敵に詰めないで、あんなにスペースを与えてしまった)せいで勝利を逃がした」と言っていましたからね。 ▽それも疲労があったからだとしたら、納得いくんですが…。残念ながら、この試合は4年前にアトレティコが延長でマドリーを下したコパ・デル・レイ決勝にあらず。ええ、もちろんアディショナルタイムで終わりというのはわかっていたため、記者会見では「ウチは勝利に近かった」と言っていたシメオネ監督もスコアが同点になった途端、チェルチのリーガデビューを撤回、CBヒメネスをボランチとして投入して、勝ち点1を守り抜きましたが、いやあ、本来なら土壇場に得点するのはマドリーの十八番ですからね。その後の短い時間に再び勝ち越されなくて本当に良かったですし、2014年にリーガを制した時の古き良き長所は、次回のCL決勝の時にでも発揮されてほしいですね(最終結果1-1)。 ▽ただ、その日はマドリーにもツキはあったんですよ。というのもサンティアゴ・ベルナベウを出た私は柴崎岳選手のいるテネリフェが来ると言うので、久々にエスタディオ・デ・バイェカスを訪問。開始3分でアマトに速攻で先制された、今季から2部で戦っているラージョが23分にはエンバルバのゴールで同点に。柴崎選手は残り10分程。試合はダービーと同じスコアで決着と、何とか今節も降格圏外で終わることになったのはまあ、嬉しいんですけどね。同じ時間にプレーしていたバルサが、こちらはマドリーが古巣のミチェル新監督が指揮するマラガに2-0で負けたという報をラジオで知って、驚いたの何のって。 ▽おかげで順位を逆転されるどころか、2位との差を勝ち点3に広げられたとなれば、ダービー引き分けの痛みも少しは和らぐというもの? 実際のところ、マドリーには未消化のセルタ戦も残っていますしね。丁度、私が移動中の試合でセビージャがデポルティボに4-2と勝利、4位との差を勝ち点1に縮められてしまったアトレティコの方がまた、来季のCLグループリーグ直接出場権死守を懸けて、この先大変な思いをしそうですが、さて。実際、今週末、彼らが当たる最下位オサスナにはマドリッドの新弟分、レガネスが日曜に2-1で競り負けているだけに決して、油断はできませんよね。 ▽え、今はそれより、マドリッドの2強は水曜に差し迫ったCL準々決勝1stレグの準備で大わらわなんだろうって? そうですね、昨季のグループリーグじゃあるまいし、どうして同じ曜日に振り分けてくれるんだと、ちょっとファンとしては噴飯ものなんですが…。バイエルンとのアウェイ戦となるマドリーは火曜にはミュンヘンに移動。こちらはメンバー的にはペペはもちろん、肉離れのヴァランもまだ戻って来ませんが、その他には負傷者がいないため、最初の試合はCBが人手不足になる心配はありません。 ▽そうは言っても、ラモスがあとイエローカード1枚で累積警告なので、ここは要注意。幸い今回は先週末のドルトムント戦で肩を痛めたエース、レバンドフスキや2週間前に手術をしたばかりのGKノイアーの状態が心配な相手の方が悩みも多そうですし、やはりマドリーとしてはその2人が本調子になる来週の2ndレグに攻守で頼りになるラモスが出られるよう、気をつけてプレーするのが最優先? 懸念としては、ダービーであまりいいところを見せられなかったロナウドとベンゼマ、まったく存在感がなかったベイルがアリアンツ・アレナで主砲として名誉挽回してくれるのかといった辺りですが、アンチェロッテ監督のチームはアトレティコとは全然、タイプが違いますからね。いよいよ大物同士の対決とあって、火曜のユベントスvsバルサ戦同様、期待のできるカードなのは間違いないかと。 ▽一方、同じ水曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)にレスター・シティをビセンテ・カルデロンに迎えるアトレティコは最初に言った通り、ダービーとまったく同じメンバーで挑むしかないんですが、気になるのは16強対決1stレグでセビージャに負け、ラニエリ監督を解任してシェイクスピア監督に代わって以来、相手はプレミアリーグ5連勝。それでもこの日曜にはエバートンに負けたと聞いたのはいいものの、実は岡崎慎司選手を含む主力5人を温存して、アトレティコ戦に備えていたというのはかなり不気味じゃないですか。 ▽ヴァーディ、スリマニといったFWたちも好調のようですしね。向こうは休みが1日少ない上、CLではあまり馴染みのないチームと侮ったりすると、いよいよセマナ・サンタ(イースター週間)が始まり、月曜にはセビージャ(スペイン南部の街)のバルコニーから、本場のプロセシオン(キリストやマリアの像を立てた神輿が街を練り歩くスペインの習慣)を優雅に見学していたサンパオリ監督のように、シメオネ監督も2週間後にはこの先、ミッドウィークの予定がなくなってしまうという目に遭いかねないかと。一応、私はこちらの方を観戦に行きますが、自分のパソコンで並行カードの中継を見ている記者も多い昨今。マドリーも気になるため、席運に恵まれるといいのですが…。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している 2017.04.11 13:07 Tue
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