【原ゆみこのマドリッド】珍しいものを見た…2017.02.14 12:45 Tue

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▽「別にいいけど、ちょっと微妙」そんな風に私が感じていたのは月曜日、スペイン・サッカー協会理事会で5月27日のコパ・デル・レイ決勝会場がビセンテ・カルデロンに決まったという報を知った時のことでした。いやあ、先週末のリーガであった予行演習、アラベスvsバルサ戦は0-6という後者の圧勝で終わったんですけどね。昇格組にも関わらず、ミッドウィークにも試合がある年明けからのハードスケジュールを乗り切ったペレグリーノ監督のチームはもう精根尽き果てていたはずで、それでも一応、リーガでは降格圏まで勝ち点10以上の余裕を持っての12位。となれば、その日、2得点挙げたルイス・スアレスもコパ決勝では出場停止ですし、ここはバルサに手の内を明かさず、「チョロい相手と」と過信させて、メンディソローサから気分良く帰ってもらうのも決して悪くはなかったかと。

▽ただ、予想外だったのはアトレティコからレンタル移籍で修業に出ているテオが、もしかしたら決勝の当日はU20ワールドカップ参加のフランス代表に招集されており、自分が年子の兄、ルカスの敵をとってあげられないかもしれないのが悔しかったのかもしれませんね。ボールを奪おうと激しくいったアレイス・ビダルの当たり所が悪く、足首の脱臼で今季絶望にしてしまったのはあと味が悪かったかも。うーん、実はお兄さんの方も来週のCLレバークーゼン戦の日に、先日起きた彼女との相互DV訴訟で出廷を命じられていて、今クラブと代理人が日付を変えるよう、裁判所と交渉している最中なんですけどね。兄弟揃って乱暴事がこうも続くと、ご両親も辛いかと思いますが、それより何より、前節は仮想コパ3位決定戦の方が見応え満載。それもあって、返す返すもアトレティコが今季限りのホーム、ビセンテ・カルデロンで最後の試合となる決勝に進出できなかった間の悪さを嘆くことになったんですが…。

▽まあ、そのことは後で詳しく話すとして、先にお隣さんのオサスナ戦がどうだったか伝えておかないと。土曜にバルサが勝利した後、消化試合は2つ少ないものの、順位表の上では勝ち点2下の2位でエル・サダル(オサスナのホーム)のピッチに立ったレアル・マドリーでしたが、結構、首位に返り咲くのには苦労したんですよ。いえ、序盤にイスコとの接触プレーでオサスナの選手が足を骨折、「Tano gritaba 'tibia y perone'. No quise ni mirar/タノ・グリタバ・ティビア・イ・ペロネ。オー・キセ・ニ・ミラール(タノは脛骨と腓骨だと叫んでいた。ボクは見たくもなかったよ)」というショックを選手たちは乗り越え、前半23分にはベンゼマのスルーパスからクリスチアーノ・ロナウドが先制点を決めてリードと、順調に見えたんですけどね。

▽ジダン監督が採用した3CB制は、私もほとんどマドリーで見たことがないだけに、やっぱりチームカラーに合わないんでしょうか。バラン、この日がマドリー公式戦500試合出場の節目となったセルヒオ・ラモスと共に先発した、まだ100試合のナチョなど、「tenemos un gran equipo y mucha variedad de jugadores/テネモス・ウン・グラン・エキポ・イ・ムーチャ・バリエダッド・デ・フガドーレス(ウチには偉大なチームがあって、イロイロな種類の選手がいる)から、どんなシステムでも快適だよ」と言っていたものの、中盤まで上がった2人のSB、ダニーロとマルセロはそうでもなかったよう。ええ、この形でスタートした1月のリーガのセビージャ戦(2-1で負け)もコパ準決勝セルタ戦2ndレグ(2-2で敗退)でもいい結果は出ませんでしたしね。この日も32分にはセンターから敵にロングパスを出され、セルヒオ・レオンの見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)でオサスナが追いついて、1-1でハーフタイムを迎えることに。

▽ただ後半早々、マドリーはダニーロが足に打撲を負って担架で退場。幸か不幸か、これがキッカケでハメス・ロドリゲスがピッチに入り、「Hemos tenido mas equilibrio con cuatro, cerrando por dentro/エモス・テニードー・マス・エキリブリオ・コン・クアトロ、セランドー・ポル・デントロ(ウチは4人のDFラインでよりバランスが取れた。内側を締めてね)」(ジダン監督)という効用をもたらします。おかげで中盤で動きやすくなったイスコが16分、ベンゼマがエリア内でシュートできなかったボールに突っ込んで勝ち越し点をゲット。その頃にはだんだん、オサスナも「notamos la exigencia fisica/ノタモス・ラ・エクシヘンシア・フィシカ(体力的な消耗を覚えた)」(バシリエビッチ監督)という状態になってきたため、ロスタイムにはルーカス・バスケスもゴールを奪い、最後は1-3で勝利することができましたっけ。

▽え、前々節のセルタ戦が中止になって、間が12日も空いたため、この試合ではイロイロ考えてしまったジダン監督だけど、もうここからはシーズンも正念場。水曜のCL16強対決ナポリ戦1stレグで実験的な布陣を組んだりはしないだろうって?そうですね、相手は昨年グループリーグが終わって以来、11試合無敗ですし、ドリース・メルテンスを始め、カジェホン、ハムシークと強力な攻撃陣を擁している上、カジェホンと共に里帰りとなるCBアルビオルや34歳ながら、GKレイナも絶好調のようですしね。昨年11月のCLスポルティングCP戦で負傷した足首を手術したベイルも日曜から全体練習に戻り、復帰は近いと言われていますが、まだ実戦には早いと思うので、とりあえずこの試合ではルーカス・バスケス辺りを前線に入れた4-3-3に戻るのでは?

▽そんな注目のマドリーvsナポリ戦はバルサが火曜にパリでPSGと戦った後、水曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)キックオフ。ちなみにマドリーを率いて、2007年には奇跡のremontada(レモンターダ/逆転)優勝を遂げたカペッロ元監督など、イタリアのメディアを通じて、ナポリのサッリ監督に「マドリッドでは試合は決して最後まで終わらないから気をつけるように」と警告。スペイン代表でマドリーの選手たちのことをよく知るレイナも「Lo de Ramos y el minuto 93 no es casualidad/ロ・デ・ラモス・イ・エル・ミヌート・ノベンタイトレス・ノー・エス・カスアリダッド(ラモスとあの93分のことは決して偶然じゃない)」と、後半ロスタイムにミラクルゴールを挙げる相手の特殊体質を挙げて、用心していましたけどね。実は先週末、彼らの十八番を奪ったチームが出現。ええ、それがお隣さんだったんですよ。

▽翌日曜のことです。マドリッドの新弟分、レガネスが夕方の試合で奮闘空しく、降格圏のスポルティングに0-2と負け、猶予が勝ち点2となってしまった上、金曜からずっと雨混じりのうっとおしい天気に強風が加わったため、私も夜のビセンテ・カルデロンに行くのはちょっと憂鬱だったんですけどね。そこへ直前には3位セビージャがラス・パルマスに終盤の1点で勝利という報が加わり、ただでさえ、金曜にレアル・ソシエダがエスパニョールに勝ったため、CL出場圏外の5位落ちというプレッシャーを受けていたアトレティコがセルタ戦でどんなプレーをするか心配だったんですが、ええ、見事にやってくれましたよ。

▽開始5分、いえ、まさか雨が降っているから、ボールが滑っていつも以上にパスが下手になるんじゃないかと、私が疑っていたのはともかく、GKモヤもうっかり取り損ねたらマズいと思ったんでしょうかね。敵のCKをカブラルの前にパンチングして、有難くヘッドでゴールを決められているなんこと、あっていい?これではようやく肩の脱臼手術から全快通知をもらったオブラクと早速、来週のCLレバークーゼン戦で正GK交代もやむなしかと、こっちも呆れるしかありませんでしたけどね。そういえば2年前もモヤは同じカードでケガをして、そこからオブラクの時代がやって来たんですが、これも何かの因縁かもしれません。

▽でも、大丈夫。その日のアトレティコは迅速に反応して、10分にはカラスコのスルーパスをエリア内でゴールに背を向けて受けたフェルナンド・トーレスが天才的な技を披露。ええ、一旦トラップして浮かしたボールを後ろに向けて蹴り上げて、それがゴールにスッポリ入ってしまったのにはスタンド中がビックリしたの何のって。それこそgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でしたが、その当人がPKという、見た目には絶対、蹴る方が有利そうなシュートを枠に当ててしまうとは、これもサッカーの7不思議の1つ。

▽うーん、28分にロンカリアのファールを受けて、PKをゲットしたのはカラスコだったんですけどね。最初は彼が「Me encontraba con confianza para tirar el penalty/メ・エンコントラバ・コン・コンフィアンサ・パラ・ティラーウ・エル・ペナナルティ(PKを蹴るのに自信があった)」とボールを掴んでいたんですが、19分には同じ選手にエリア内で倒されながら、PKをもらえなかった年長者を敬って、トーレスにキッカーを譲ってしまったのが裏目に出た?

▽まあ、先週のコパ準決勝2ndレグでガメイロが決められなかったこともあり、シメオネ監督が今度の担当者はスポーツ紙のファンが選ぶキッカー候補ナンバーワンだったトーレスにしてみようと思ったとしても責められませんけどね。ただ先日、私がトーレスもよく外していたと言っていたのは何となくの記憶からだったんですが、実はデータ的にもそれは正しかったようで、これまで彼はリーガで28回PKを蹴って、うち9本を失敗。ロナウドも9回、メッシも8回ゴールにできていませんが、彼らはそれぞれ65、50と蹴った回数自体が多いため、やはりトーレスがPKに強くないという印象は本当だったかと。

▽おかげで1-1のまま、後半を迎えたアトレティコでしたが、しばらくはどうにもいけてない状態が続きます。そう、コパのバルサ戦以外の最近の試合の傾向で、1点取ればもう十分病がまた発症してしまったのかと、私も雨を防げるスタンドの奥の方に引っ込んで見守っていたファンたちも時間が経つにつれ、イライラが募っていったんですが、それに合わせるようにセルタはバスやボンゴンダら、アラベスとのコパ準決勝2ndレグからローテーションした主力を投入。それが30分過ぎ、電光石火のカウンターに繋がり、最初はシュートを撃ち上げてしまったグイデッティだって、2度目となれば、しっかりゴールを決めてきますって。残り10分ちょっとでスコアは1-2。アトレティコにとって、これって完全に負けパターンですよね。

▽ところがその日は奇跡が起きたんです!もうあまりパスも繋がらないし、頼りのトーレスもガメイロに代わってしまっていたため、場内を静けさが包んでいた40分、ガビが右サイドから入れたクロスもルカスが味方に渡せず、ロンカリアがクリア。エリア前に上がったボールをタイミングバッチリでvolea(ボレア/ボレーシュート)して、ネットに叩き込んでくれたのはカラスコでした。いやあ、彼は前半、GKセルヒオとの1対1を決められず、それ以降、ファンからブーイングを受けていたんですけどね。シメオネ監督も後半26分にはコレアと交代させるつもりだったんですが、まさにその瞬間、「下がるのはボクだったけど、Saúl fue honesto y pidió el cambio porque estaba tocado/サウル・フエ・オネストー・イ・ピディオ・エル・カンビオ・ポルケ・エスタバ・トカードー(サウルが正直に痛みがあるからと交代を頼んだ)」(カラスコ)おかげで、プレーを続行できることに。

▽そこへ「En el campo no se oyen los pitos/エン・エル・カンポ・ノー・セ・オジェンロス・ピトス(ピッチではブーイングは聞こえない)」という、当人の持って生まれたスルー力の賜物か、心を乱さず撃てたのが幸いしたんでしょうね。「自分のいた位置だとボールをキープすることができなくて、ファーストかセカンドタッチで捌かないと敵のカウンターに繋がるから、蹴らなきゃいけなかった。Esta salió perfecta, pero otras puede irse por encima del estadio/エスタ・サリオ・ペルフェクタ、ペロ・オトラス・プエデ・イルセ・ポル・エンシーマ・デル・エスタディオ(今回は完璧にいったけど、別の時はスタジアムから飛び出しちゃうかも)」(カラスコ)という一撃だったようですが、このゴールでどんなにスタンドが盛り上がったことか。

▽そう、現金なもので同点になった途端、嵐のような応援が巻き起こった場内でしたが、その2分後、今度はコレアのクロスをガメイロが頭で落とし、そこへ突撃してきたグリースマンが勝ち越しゴールを挙げた瞬間、我が目を疑ってしまったのはきっと私だけではなかった?だってえ、トーレスは後で「Al final se ha visto una victoria de casta/アル・フィナル・セ・ア・ビストー・ウナ・ビクトリア・デ・カスタ(最後は血統による勝利を見ることができた)」と言っていましたが、奇跡のレモンターダなんて、彼らの辞書にはないんですよ。私もとんと記憶になかっただけでなく、これにもデータの裏付けがあって、アトレティコが後半41分以降に逆転勝利をしたのはクラブ史上、1997年のラージョ戦の1度限り。

▽となれば、稀に見る僥倖を目撃したシメオネ監督が喜びの余り、ピッチサイドを走って、グリースマンのゴールを祝う選手の輪に加わってしまったのも理解できますが、いやあ、これがコパ準決勝でできていればねえ。5月には大舞台で胸を張って、ファン共々、ビセンテ・カルデロンにお別れを告げることができたはずでしたが、まあそれはそれ。今は3-2でセルタに勝った彼らがリーガ4位を取り戻し、お隣さんの専売特許を真似することも可能だとわかっただけでいいかと。ええ、きっとパルコ(貴賓席)に偵察に来ていたレバークーゼンのシュミット監督も感心してくれたかと思いますが、もしや16強対決でアトレティコに勝つにはやっぱりPK戦しかないと意を決していたら、どうしましょう。

▽そんなアトレティコは今週、土曜のスポルティング戦まで試合がなく、ようやくミッドウィークがヒマになったんですが、シメオネ監督は「Digo lo bueno que seríamos si los marcáramos/ディゴ・ロ・ブエノ・ケ・セリアモス・シー・ロス・マルカラモス(PKも入れていれば、ウチはもっと良くなるだろう)。だが、3万、4万の人が見に来てくれない限り、練習の仕様がないんだよ。同じ状況じゃないからね」と、相変わらずPK特訓には消極的。だったら、試合前のアップの時間を使って蹴ってみたらいいんじゃないかというのが、私の素人考えですが、何せこの先は落とせない試合が続きますからね。要はファンにまで頭を絞らせてしまうぐらい、このPK問題は深刻ってことですよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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【原ゆみこのマドリッド】何とか両方無事に見られた…

▽「嫌疑が晴れて良かったわ」そんな風に私がホッとしていたのは月曜。バルベルデ監督の記者会見の内容を知った時のことでした。というのも、先月、ネイマールがPSGに移籍した穴を埋めるため、1億5000万ユーロ(約200億円/ボーナス込みの金額)という巨額移籍金を払ってドルトムントから獲得したデンベレが、先週末にコリセウム・アルフォンソ・ペレスでハムストリングを断裂…。いえ、今はカタールのアル・サッドでプレーするチャビ以来、バルサの選手たちが「en ese campo no se podía jugar/エン・エセ・カンポ・ノー・セ・ポディア・フガール(ここのピッチじゃプレーできない)」(デウロフェウ)、「Antes de empezar el partido ya vimos que estaba alto y seco/アンテス・デ・エンペサール・エル・パルティードー・ジャー・ビモス・ケ・エスタバ・アルト・イ・セコ(試合が始まる前から、芝が長くて乾燥していたのはわかった)」(デニス・スアレス)とアウェイのピッチコンディションに文句をつけるのはお約束のようなものなんですけどね。 ▽そこに運が悪くもデンベレが全治4カ月という重傷で、4年前にもネイマールがコリセウムの同じような場所で筋肉系のケガをしていることも重なって、その原因は整備責任者のヘタフェにあるんじゃないかと疑われてしまったんですが、バルベルデ監督は「No creo que tuviera una incidencia decisiva el estado del césped/ノー・クレオ・ケ・トゥビエラ・ウナ・インシデンシア・デシシバ・エル・エスタードー・デル・セスペッド(芝の状態が決定的だったとは思わない)」ときっぱり否定。曰く、「彼のように大きなケガをしたことのないサッカー選手は体に違和感があってもそれが何か、理解する経験に欠けている。自分もやったことがあるが、taconazo(タコナソ/ヒールキック)はもっとも大腿2頭筋に負担をかける動き。ベテランなら無理せず、ボールを見逃しただろう」とのことですが、え、だったら柴崎岳選手はどうして足首を痛めて途中交代してしまった? ▽それはヘタフェのボルダラス監督も「Ha sido el sólo. Ha notado una molestia grande en el pie/ア・シードー・エル・ソロ。ア・ノタードー・ウナ・モレスティア・グランデ・エン・エル・ピエ(1人でやったケガで、足がひどく傷むのに気づいた)」と言うだけで、まだ検査結果がクラブから発表されていないため、程度もわからないんですけどね。今のところ、木曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのセルタ戦に出られるかは微妙。当人も差し当たり、火曜のカンプ・ノウで日本代表の同僚、乾貴士選手がバルサにリベンジしてくれることを願うばかりかと思いますが…。まあ、こればっかりはねえ。金曜にはマドリッド勢の弟分の片割れであるレガネスを、それこそ乾選手のアシストからガルベスがヘッドを決めて1-0で破ったエイバルですが、デンベレの早期負傷交代はまったく影響なく、バルサがヘタフェに逆転勝ちしたことを考えると、あまり過度の期待を懸ける訳にもいかないかと。 ▽そう、その土曜の試合、「No estábamos jugando rápido y el campo no nos ayudaba porque el balón no corría/ノー・エスタバモス・フガンドー・ラピド・イ・エル・カンポ・ノー・ノス・アジュダバ・ポルケ・エル・バロン・ノー・コリア(ウチはスピードのあるプレーをしていなかった。ピッチもボールが走らず、助けにならなかった)」とバルベルデ監督は言っていましたっけ。そんな試合は40分、FKから始まって、ベルガラが頭で落としたボールを柴崎選手がエリア前からシュート。これが見事に決まって、ヘタフェが先制。私の隣に座っていた顔なじみのヘタフェ番女性記者など、「golazo(ゴラソ/スーパーゴール)って日本語でどう書くの?」とノートに綴った文字をスマホで撮るぐらいハシャイでいたものですけどね。 ▽チラホラとスタンドにいた日本人ファンも大喜びしていたんですが、後半はイニエスタをデニス・スアレスに代えてきたバルサが底力を発揮。ええ、ボルダラス監督は「ゴールの前にアントゥネスへのファウルがあった」と言いますが、51分にはセルジ・ロベルトがエリア内右奥からフリーのデニス・スアレスにラストパス。そのシュートが決まって同点に追いつかれただけでなく、83分には伏兵も登場したんですよ。それは中国の広州恒大から来たということでどこか、これまで過小評価されていた感のあったパウリーニョ。メッシからスルーパスをもらってエリア内に入り込むと、ジェネが邪魔するのをモノともせず、強烈な一撃でGKグアイタを破り、ブラジル代表の貫録で決勝点を挙げてしまったから、驚いたの何のって(最終結果1-2)。 ▽おかげで1部復帰ホームデビューだったセビージャ戦同様、土壇場の失点で引き分けを逃してしまったヘタフェですが、まだ先は長いですからね。ただコリセウムではこの日曜がビジャレアル戦、その次は各国代表戦を挟んで10月14日にレアル・マドリー戦と強敵が続くため、初勝利を掴むのはなかなか大変そうなんですが、その辺、アウェイのセルタ戦、デポルティボ戦で埋め合わせできるといいんですが…。 ▽その試合の後は知り合いの車に乗せてもらい、メトロ(地下鉄)7番線の途中の駅からエスタディオ・メトロポリターノで下車。キックオフ1時間程前にはスタジアムに着いた私でしたが、恐れていたような大混雑にも遭わず。というのもクラブや市当局が再三、早めの来場を勧告したり、隣接のメガオフィシャルショップを午前10時にオープンしたり、周辺に設けたファンゾーンでキッズパークやコンサートなどのアクティビティを昼間からやっていた甲斐があったんですかね。ビセンテ・カルデロンとお別れして3カ月余り、この日を待ちわびていたファンたちは午後7時の開門から三々五々、入場していったようです。帰りのメトロ入口が凄いことになっていたらしいのはともかく、スペイン国王フィリペ6世もパルコ(貴賓席)観戦したアトレティコの新しいホームでのマラガ戦を試合前のセレモニーから楽しむことができたのは非常に嬉しかったかと。 ▽まあ、始球式にクラブのレジェンド、ガラテとフェルナンド・トーレス、そしてカンテラ(ユース組織)の少年の3人が登場。パスを回して、先発ではなかったトーレスがベンチに戻るというのはご愛嬌でしたけどね。シメオネ監督も「Nunca vi una cosa igual. Las banderas flameando todas juntas/ヌンカ・ビ・ウナ・コーサ・イグアル。ラス・バンデラス・フラマンドー・トーダス・フンタス(同じことは見たことがない。全てのフラッグが一斉に振られていた)」と感動していたようですが、ただ、ボールが走り出すとそこにいるのはいつものアトレティコ。前半は開幕3連敗で腰が引けていたか、専守防衛のマラガをまったく崩せず、大いにイライラさせられることに。 ▽それどころか、38分にはアトレティコのカンテラ出身のボルハ・バストンに至近距離からシュートを撃たれ、「メトロポリターノの初ゴールを挙げるのはカンテラーノだといいね」と言っていたサウールの希望が皮肉な形で実現してしまうところでしたが、そこはGKオブラクがparadon(パラドン/スーパーセーブ)で危機を回避。シメオネ監督もこのままだと先週火曜のCLローマ戦と同じになってしまうと恐れたか、後半開始からはガビ、コケ、サウール、トーマスのカンテラーノ4人の中盤を諦め、トーマスに代えてカラスコを投入したものの、その効果もすぐには見えなかったんですが…。 ▽ええ、丁度、テコ入れ第2弾として、「最初はちょっと変な感じで、ホームじゃなくて、何かの決勝を戦っているような感じだったけど、con la afición, con nuestras canciones...empezamos a notarlo nuestro/コン・ラ・アフィシオン、コン・ヌエストラス・カンシオネス…エンペサモス・ア・ノタールロ・ヌエストロ(ファンやボクらの歌…それで自分たちのホームだと気づき始めた)」というトーレスがライン際で出場を待っていた時でしたっけ。アトレティコが一瞬だけ、輝きを放ってくれたんですよ。 ▽それは60分、コレアがマラガのDFをかわしてエリア内奥から出したパスをグリーズマンが方向を変えたところ、やはりアトレティコのカンテラーノだったGKロベルトを破ってネットに突き刺さったから、それまで途切れなく応援していた場内がどんなに盛り上がったことか。ようやく虎の子の1点を手に入れた彼らはまあ、最後はまたオブラクに助けられたりもしたんですけどね。何とか最後まで1-0を保って、胸を張って試合後のイベントに臨めることに。 ▽え、選手全員揃ってvuelta de honor(ブエルタ・デ・オノール/ファンに感謝するピッチ一周)をしたり、その後はド派手な打ち上げ花火をしたりだなんて、トロフィーがないだけで、まるで優勝祝いみたいじゃないかって? そうですね、これで選手たちが満足して、今季は他に何もなしで終わってしまったりしたら困りますが、一応、殊勲のゴールで夏のマンチェスター・ユナイテッド移籍騒動や開幕ジローナ戦で退場、リーガ2試合に出場停止になってチームに迷惑をかけた件をチャラにしてしまった形のグリーズマンなど、「タイトルを祝えるよう、できることは全てやるよ。Todos tenemos ganas. Yo el primero/トードス・テネモス・ガナス。ジョ・エル・プリメーロ(皆がやる気だ。ボクが一番にね)」と意欲を見せてくれましたしね。 ▽その辺はまず、水曜午後午後8時(日本時間翌午前3時)からのアウェイ、ビルバオ戦で証明してもらいたいものですが、さて。日曜の練習にこのマラガ戦をケガで欠場したヒメネス、ヴルサリコが復帰したアトレティコは再び、ワンダ・メトロポリターノに戻って来る土曜に強敵セビージャを迎えるため、サン・マメスではローテーションが考えられますが、相手も日曜のラス・パルマス戦では1-0で負けてしまったものの、ビルバオはヨーロッパリーグに出場しているチームですからね。シメオネ監督もここは頭の悩ませどころでしょうか。 ▽そして翌日曜、セントロ(マドリッド市内中心部)に戻るまでメトロに30分近く乗らないといけないため、午前様になってしまった私が大寝坊をしてしまったのはレアル・マドリーの試合が夜の時間帯だったのもありますが、大丈夫。このソシエダ戦が出場停止処分5試合の最後となるクリスチアーノ・ロナウドが彼女のジョルジーナさんと前夜、古巣のスポルティングを見にリスボンに行ってしまおうと、マルセロも前節に退場して今回はお留守番になろうと、ベンゼマやコバチッチが負傷離脱中だろうと、クロースが軽いケガでお休みしようと、彼らには代わりになる選手がいるんです。 ▽その第一人者は、バレンシア戦に続いてドローに終わったレバンテ戦でベンチに入れていなかったのをジダン監督も深く反省したんでしょうかね。この日、初先発に抜擢されたCFマジョラルが序盤から躍動。ええ、18分にはセルヒオ・ラモスが敵DFに引き倒されながら、chilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)を試みようとツマ先で上げたボールをかっさらい、先制点を決めているんですから、マドリーのカンテラーノもしっかりしているじゃないですか。 ▽ただ残念ながら、このリードは長くは続かず、10分後にはソシエダの右SBオドリオソラのクロスを左SBケビン・ロドリゲスがvolea(ボレア/ボレーシュート)。ボールがGKケイロル・ナバスの手をすり抜けて、スコアが同点となり、アノエタのゴール裏に設けられた簡易スタンドにいた応援団が前のめりになったため、看板が落ちてTVのカメラマンが骨折するなんて騒ぎにもなったんですが…。しかしマジョラルは35分の2点目にも貢献。うーん、どちらかというと、直前、再び同じ形でケビンのシュートがゴールバーを直撃、そこからカウンターでマドリーが攻め上がり、マジョラルがアセンシオに向けて出したラストパスをカットしようと突っ込んだのがこれまた、ケビンだったことの方が私には驚きだったんですけどね。 ▽エウセビオ監督も「彼についてはelogiar que haya llegado de una portería a otra para ayudar al equipo/エロヒアル・ケ・アジャ・ッジェガードー・デ・ウナ・ポルテリア・ア・オトラ・パラ・アジュダール・アル・エキポ(一方のゴールからもう一方のゴールにチームを助けるため、駆けつけたことを褒めるばかり)」と言っていましたが、その結果はオウンゴールという最悪な形になることに。加えて、このフランス人のカンテラーノは60分、イスコが自陣から出したパスを追うベイルと70メートルのガチンコで徒競争。時速35キロにも達するスピード自慢の相手に追い抜かれてしまい、最後はGKルリの頭を超えるシュートで3点目を奪われたとなれば、とてもその夜、マドリー戦初得点を祝う気にはならなかったに違いありませんって。 ▽結局、これで1-3と快勝したマドリーでしたが、何より良かったのは水曜午後10時(日本時間翌午前5時)から、ホームにベティスを迎える前にベイルがゴールを挙げて、自信を取り戻してくれたこと。いえ、本人は昨今、サンティアゴ・ベルナベウのスタンドからpito(ピト/ブーイング)が聞こえてきても「そういうのはサッカーではよくあるし、コントロールはできない。ブーイングされないよう、練習しないとね」とあまり気にしていないようでしたけどね。ジダン監督も「Para mí esta no es todavía su mejor version/パラ・ミー・エスタ・ノー・エス・トダビア・ス・メホール・ベルシオン(私にとってはまだ、最高のバージョンじゃない)。もっと上手くできるのだから、辛抱してやらないと」と言っていましたが、それって、マドリーファンには一番ないものですよ。 ▽とにかく早々に復調してくれるに越したことはないんですが、一方のベティスも先週末、デポルティボにホアキンのdoblete(ドブレテ/1試合2得点)で2-1と勝利。キケ・ステイン新監督の下で徐々に進歩してきているようなので、マドリーも油断は大敵です。とはいえ、今度は先週のCLアポエル戦で2ゴールを挙げたロナウド、そしてマルセロ、クロースも出られますからね。ソシエダ戦で頑張ったマジョラルや左SBのテオなどは控えに戻る可能性が高いんですが、何せライバルのバルサは開幕4連勝で、アトレティコも同じですが、現在の勝ち点差は4。これ以上広がると先々、面倒なため、まずはガッチリ勝利を掴んでおかないといけませんよね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.19 12:45 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】得点しなくちゃ始まらない…

「怖くないんだ」そんな風に私が驚いてしまったのは木曜日、2時間半もの長い練習を終え、グラウンドから引き揚げてきたボルダラス監督に次はバルサ戦だから、ドキドキしていると私が打ち明けたところ、「Un partido bonito/ウン・パルティードー・ボニート(美しい試合だ)。楽しみにしているよ」という答えが返ってきた時のことでした。いやあ、もちろんプロの監督さんですから、チームを勝利に導くため、強敵をあっと言わせるような戦略を練るなり、ウィークポイントを探すなり、弱気になっているヒマなどないのはわかりますけどね。2004年にヘタフェが最初に1部に上がった頃から、彼らを見ている私にはあまりバルサ戦でのいい思い出はなし。 ▽それもそのはずで、ここまでリーガ24試合ではたったの2勝だけ。シュスター監督時代の2007年コパ・デル・レイ準決勝ではカンプ・ノウでの5-2負けをコリセウム・アルフォンソ・ペレスで4-0と大逆転、初の決勝進出を果たしたなんてこともあったものの、その1stレグでメッシがマラドーナばりに何人ものDFをかわして決めたゴールは今でも当人の名ゴール集ビデオの定番ですし、実際、彼1人に17試合で18得点も挙げられているんですよ。この火曜にバルサが3-0で勝ったCLユベントス戦でも2ゴールと、大体、相手は開幕からリーガ3連勝の首位チーム。となれば、前節、ようやくマドリッドの弟分ダービーでレガネスを倒し、今季初勝利したばかりのヘタフェにはちょっと荷が重いかもと思ってしまう私はシビアすぎる? ▽ただ、とにかくメッシにボールがいかないようにして守り倒すしかないと悲観してしまう自分とは違い、バルダラス監督は攻撃は最大の防御と思っているんでしょうかね。その日のセッションでは全体練習が終わった後、柴崎岳選手も含む攻撃陣9人だけが残って、30分以上もシュートを特訓。レガネス戦ではアランバリ、アルバロ・ヒメネスのゴールがエリア外から決まったのに味をしめたか、パスを繋いで2列目から上がった選手が撃ったり、コーチの出すボールをエリア内で反転してシュート、5本決めた選手は終わりといったメニューをこなしていましたが、ちなみに日本人のカップル1組が見守る中、柴崎選手は3人目に上がっていましたっけ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20170915_20_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div>▽うーん、最後まで残っていたのはアトレティコからレンタル中のアマトと控えCFのアンヘルだったのは何ですけどね。もちろん前日、金曜のスタジアム非公開練習では守備にも万全を期すはずですが、果たしてあのバルサに撃ち合いを挑んで勝算があるのかどうか。とはいえ、どこぞのチームももう少し、そういう得点力アップへ努力する姿勢を見習ってほしいと思ったのは事実だった訳で…。 ▽ええ、アトレティコです。月曜の記者会見ではシメオネ監督も「今のように努力を続けたら、遅かれ早かれCL優勝は達成できる」と力強いことを言っていたため、ローマ戦には私も期待していたんですけどね。いつものバル(スペインの喫茶店兼バー)の有料チャンネルに何故か、その試合のメニューがなく、4試合が代わる代わる映るマルチチャンピオンズで見る破目になったのはともかく、寂しかったのはバイエルン、PSG、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーと次々ゴールが決まっていくにも関わらず、待てど暮らせど、アトレティコの今季CL初得点の映像が届かなかったこと。 ▽いえ、中盤をガビ、トマス、コケ、サウルのカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)で固め、「ボールを奪って、敵MFのバックを取れるよう、jugue con esos cuatro centrocampistas/フゲ・コン・エソス・クアトロ・セントロカンピスタス(あの4人のMFを使ったんだ)。後半はスピードのある選手(コレア、カラスコ、ガイタン)でプレーのテンポを上げて、疲れた相手がついて来られないようにした」というシメオネ監督の作戦は見事に当たり、シュートだけなら20回も撃ったんですけどね。 ▽うち12回は枠内だったんですが、序盤にサウルのボールがポストをかすめたのに始まり、32分にはコケの至近距離からのシュートもDFマノレスにライン前でクリアされる始末。ビエットなどに至っては先日のバレンシア戦に続き、後半の絶好機にvaselina(バセリーナ/ループシュート)をGKアリッソンにそらされて、深刻なゴール入らない病の疑いがますます濃くなることに。 ▽そして極めつきは後半ロスタイム、CKからのサウルのヘッドがまたしてもアリッソンに弾かれてしまったのはまだしも、素早い反応で当人がこぼれ球をゴール前から蹴ったところ、ポストに当たって入らないって一体、どうなっている? 結局、そのまま試合はスコアレスドローで終わり、この夏、選手が大量に変わり、「ウチはまだ建設途上のチームだから」というディ・フランチェスコ監督は満足そうだったんですけどね。シメオネ監督も「Nosotros estamos creciendo, estamos mejorando, con pasos lentos/ノソトロス・エスタモス・クレシエンドー、エスタモス・メホランドー、コン・パソス・レントス(ウチは成長し、改善している。ゆっくりとだけどね)」と勝ち点3が取れなかったことにそれ程、失望はしていなかったんですが、いやいや。だって、CLグループリーグ2節でアトレティコはその日、カラバフに6-0と大勝したチェルシーを迎えるんですよ。 「ボクらはここまで全部アウェイ戦で物凄い努力を強いられてきながら、el equipo responde bien, falta meter gol, pero este es el camino/エル・エキポ・レスポンデ・ビエン、ファルタ・メテール・ゴル、ペロ・エス・エル・カミーノ(チームはいいリアクションをしている。ゴールが足りないけど、これが行くべき道だ)」なんて言っていたコケみたいな選手もいましたけどね。でも点が入らないと勝てないし、グループ2位以上で決勝トーナメントに行かないと、せっかく獲ったビトロ(今はラス・パルマスにレンタル中)も、ようやくチェルシーと交渉を始めたジエゴ・コスタが来ても宝の持ち腐れになるってわかっている? ▽え、ローマに勝てなかったのはここ2試合、リーガ戦出場停止でプレーできなかったグリースマンが先発しながら、その憂さを晴らすような活躍を見せてくれなかったせいもあるんだろうって? そうですね、その辺り真逆なのがお隣さんで、水曜にアポエルをサンティアゴ・ベルナベウに迎えたレアル・マドリーではスペイン・スーパーカップ2ndレグでの退場で5試合の処分を受け、まだ今季リーガ戦に出場していないクリスチアーノ・ロナウドが大張り切り。前日、バルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場を私が訪れた時は15分の公開時間でロンド(輪になって中の選手がボールを奪うゲーム)しか見せてもらえなかったため、よくわからなかったんですが、敵の堅い守りに手を焼いていた前半、12分には早速、ベイルのラストパスを撃ち込み、先制点を挙げてくれるんですから、まったく羨ましい限りじゃないですか。 ▽ええ、それこそ「Es el mejor del mundo, siempre esta ahi, siempre mete goles/エス・エル・メホール・デル・ムンドー、シエンプレ・エスタ・アイー、シエンプレ・メテ・ゴーレス(彼は世界一の選手。常に必要な場所にいて、常にゴールを入れてくれる)」とジダン監督が言う通りなんですが、残念ながら後半すぐにゴールバーを直撃して、ライン上でバウンドしたシュートはホークアイの判定でゴールにならず。6分にはベイルのクロスをアポエルのロベルト・ラゴが腕に当ててもらったPKを決め、2点目を取った後、自身で走ってボールをセンターサークルまで運ぶ程、当人のハットトリック願望は高かったものの、終盤のゴールもオフサイドで認めてもらえなかったのはツイていなかったかと。 ▽ただ後半16分、マドリーには追加点が生まれていて、その殊勲者はセルヒオ・ラモス。中盤で敵からパスを受けた後、マルセロに繋いで自分もガンガン上がり、最後はベイルが頭で落としたボールをchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)でゴールにするって、もうこの人、本当にDF? これにはジダン監督も「Yo no podia hacer eso, solo lo pueden hacer pocos/ジョ・ノー・ポディア・アセル・エソ、ソロ・ロ・プエデン・アセール・ポコス(私にはああいうことはできなかった。できるのは僅かな選手だけだよ)。セルヒオは普通、頭で決めるんだが、ちょっと妙なオーバーヘッドだったね」と苦笑いしていましたが、何はともあれ、これでスコアは3-0。おかげでセバージョス、マジョラルがCLデビューの機会をもらえることになりましたっけ。 ▽まあ、相手は試合後、ドニス監督からして「マドリーはウチの可能性の上を行くチーム」とあっさり敗北に納得していたようなアポエルなので、3-0で快勝も当然だったかと思いますが、実はネガティブなこともあって、いえ、馴染みの番記者たちが「きっとラモスは子供の頃、パパとビーチでオーバーヘッドの練習をしたみたいな話をしに出てくるぞ」と、ゴールの後、太もも前面に新たに刻んだ手紙のようなタトゥーを披露した理由を聞くのを期待していたにも関わらず、当人がミックスゾーンで止まらなかったことじゃありませんよ。1つ目は前半途中でクロースに交代したコバチッチが太ももの筋を部分断裂、全治2カ月の重傷だったこと。ローテーション政策をとるジダン監督にとって、持ち札が1枚減ってしまったことになりますが、もう1つ、この日はチームの3点全てに絡んでいたにも関わらず、ベイルにpito(ピト/ブーイング)をするファンがいたのも如何なものと。 ▽ええ、今季まだ1得点で決して本調子とは言えない彼ですけどね。現在、ベンゼマも1カ月の負傷離脱、もう1人のCFマジョラルはここぞという時に頼りにするには経験が足りないという事情があるこの時期、ホームのサポーターが選手のやる気を削ぐような真似はしない方がいいのでは? 何せ今週末、日曜のレアル・ソシエダ戦では出場停止最後の試合でロナウドが再び出られず、更に前節レバンテ戦で退場したマルセロも上訴委員会のおかげで試合数は1つになったものの、サン・セバスティアン(スペイン北部のビーチリゾート、ソシエダのホームタウン)には行けず。その上、バルサ同様、開幕3連勝で首位に並んでいるソシエダは木曜のヨーロッパリーグ・グループリーグ1節ローゼンボリ戦にも4-0と大勝してノリノリですからね。 ▽1節でトッテナムに3-1負けと予想外の結果を出したドルトムントを訪れるCL次戦のことはまだ考えなくてもいいものの、バレンシア、レバンテと2試合連続で引き分けて、リーガではすでに永遠のライバルと勝ち点差が4もついてしまったマドリーですし、たとえ、弟分のヘタフェが渾身の力を振り絞って、土曜の午後4時15分(日本時間翌午前1時15分)からのコリセウム・アルフォンソ・ペレスでバルサを倒してくれたとしても、日曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの試合で自身が勝たなければ、まったく意味がありませんって。 ▽一方、そのヘタフェvsバルサ戦の後、土曜の午後8時45分から、ワンダ・メトロポリターノのこけら落としでマラガを迎えるのがアトレティコなんですが、いえ、選手たちは木曜に初めて新スタジアムのピッチで練習できて嬉しそうでしたけどね。試合観戦の梯子をする予定の私は今から戦々恐々。というのも当局から、スタジアムへは公共交通機関を使い、混雑を見越して2時間前には着くようにとの通達が出ていると聞いたから。 ▽うーん、確かに私も初めての会場ではゲートがわからず、気がついたら一周していたという経験が多いため、早めに着きたいんですが、ヘタフェ(マドリッド郊外)から、セルカニアス(国鉄近郊路線)とメトロ(地下鉄)を乗り継いで、最寄り駅のエスタディオ・メトロポリターノまでの所要時間は1時間越え間違いなし。タクシーもスタジアム付近の渋滞に巻き込まれる心配が大きいですし、何とかスムースに移動できることを祈るばかりかと。これって、今季はまたマドリッドの1部チームが4つになった弊害でもあるんですが、記念のオープニングマッチで3試合ぶりにアトレティコがゴールを挙げる姿を見逃したらと思うと、もう気が気ではありません。 ▽そうそう、最後に今節、レガネスは金曜にアウェイでエイバル戦なんですが、開幕から4試合中3試合が金曜開催って、ちょっと可哀そうすぎ。それでも前節はヘタフェに負け、初黒星を喫したものの、まだ勝ち点6でマドリッド勢一番上の5位にいますからね。先週はセビージャに3-0と完敗したエイバルですが、あちらは水曜のCLでリバプールと2-2で引き分けたくらいレベルの高い相手。決して乾貴士選手のいるチームが弱い訳ではないため、決して油断をせず、いい結果をイプルア(エイバルのホーム)から持ち帰ってくれるといいのですが。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.15 16:53 Fri
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【原ゆみこのマドリッド】ゴールが入らない日もある…

▽「このままじゃ独走されてしまう」そんな風に私が怯えていたのは日曜日、リーガ第3節も5-0でエスパニョールとのダービーに快勝と、開幕3連勝中のバルサがマドリッドの両雄に順位表で勝ち点4差をつけて首位にいるのを見た時のことでした。いやあ、カンプ・ノウではアルゼンチン代表が来年のW杯に出場できるかできないかの瀬戸際にいる憂さを晴らすが如く、メッシがハットトリックを挙げ、スタンドは「Nobita Dimision!/ノビタ・ディミシオン(ドラえもんののび太/バルトメウ会長のあだ名、辞めちまえ)」という大合唱。経営陣と選手たちの仲が最悪と言われ、メッシやイニエスタの契約延長問題にも決着がつかないでいる彼らなんですけどね。 ▽逆に片やこの夏、すでに2つもスーパーのつくタイトルを獲得し、世間からは近年最高のチームと絶賛され、ペレス会長も「Zidane es una bendicion del cielo/ジダン・エス・ウナ・ベンディシオン・デル・シエロ(ジダンは天からの恵みのようなものだ)」と、かつてのギャラクティコ選手がギャラクティコ監督に成長してくれたことに大満足を示しているレアル・マドリー。そのお隣さん、アトレティコだって先日、シメオネ監督と2020年まで契約を再延長し、新スタジアム、ワンダ・メトロポリターノのオープンまであと1週間という、良い時期にあるはずなんですけどね。どちらも先週末は結果が出せず、ここまで1勝2分けで勝ち点5留まりとなれば、私が先行きを不安に思ってしまったとしても仕方ない? ▽いえ、話は順番にしていかないといけません。この各国代表戦のparon(パロン/リーガの停止期間のこと)明けの3節は金曜、レガネスvsヘタフェというマドリッドの弟分ダービーから始まったんですが、予想通り、互いのスタジアムが5キロ程しか離れておらず、長年のライバルながら、リーガ1部では初の対決とあって、ブタルケ(レガネスのホーム)は物凄い盛り上がりを見せることに。試合の展開も互いに押したり引いたり、拮抗していたんですが、前半38分、敵エリア内からクリアされたボールをボランチのアランバッリが豪快にシュート。これが「A todos nos ha sorprendido, ha sido fantastico/ア・トードス・ノス・ア・ソルプレンディードー、ア・シードー・ファンタスティコ(皆、ビックリしたし、素晴らしかったよ)。30メートル離れたところからで、GKは何もできなかった」とボルダラス監督も驚くゴールになったから、場内には200枚程のチケットしか売ってもらえなかった、その日のユニは赤かったものの、azulones(アスロンネス/青い奴ら、ヘタフェとそのファンの愛称)の歓声だけが響き渡ることに。 ▽とはいえ、後半は気を取り直したアシエル・ガリターノ監督のチームが反撃を開始。ええ、当日の朝、ファイル(モロッコ)やジェネ(トーゴ)ら同様、監督と話し合って先発出場を決めたという日本代表から帰還したばかりの柴崎岳選手も後で「良いモチベーションを持っていたし、しっかりやろうと思っていた」は言ってはいたものの、やはり疲れが出てしまったんでしょうね。当人がアルバロに交代した後の21分、ヘタフェは、ディエゴ・リコの2度のシュートを放たれると、GKクエジャールが弾き返したものの、ゲレーロのシュートが3度目の正直となって、とうとうホームチームに同点を許します。おまけにその6分後にはアントゥネスがエリア内でガブリエウを倒し、レガネスにPKを与えられたため、スタンドの大多数はその夜だけでも、3連勝でリーガ首位に君臨する、レガネスのビッグな姿を夢見たものだったんですが…。 ▽それまでも好セーブを連発していたヘタフェのGKグアイタがゲーレロのシュートを弾いてしまったから、驚いたの何のって。レガネスの選手たちも気持ちは同じだったようで、そのまま引き分けても首位にはなれたんですが、38分にはCKからヘタフェのアルバロに、エリア外からのシュートを決められてしまい、試合は1-2で終了。ヘタフェにとって、喉から手が出る程欲しかったリーガ復帰初勝利という結果になりました。そうは言っても勝ち点6あるレガネスはマドリッドの兄貴分たちの上にいますしね。また金曜試合となる次節では乾貴士選手のいるエイバルを訪問と、しばらく同格チームとの対戦が続くため、1敗ぐらいでめげることはまったくありませんって。 ▽一方、ヘタフェは土曜にバルサをコリセウム・アルフォンソ・ペレスに迎え、それからもセルタ、ビジャレアルと、ちょっとネーム的には格上に見えるチームとの対戦となるんですが、幸いなのはカタルーニャ州のクラブ以外、どちらもまだリーガで1勝のみと、エンジンがかかっていないこと。メッシが絶好調のバルサだって、今週火曜にはユベントスとのCLグループリーグ初戦があるため、疲れて上京してくるかもしれませんしね。ビジャレアルもヨーロッパリーグが始まって、やり繰りが大変になるはずなので、とりあえず9月は10位以内ぐらいを維持できれば、残留への道筋をつけていけるのではないでしょうか。 ▽そして翌土曜、午後1時というアジアン・コールデンタイムにレバンテをサンティアゴ・ベルナベウに迎えたのがマドリーだったんですが、ジダン監督もこれまでローテーション政策が非常に上手くいっていたため、ちょっと過信しましたかね。水曜にCLのアポエル戦もあることを考慮したか、各国代表戦で遠方から戻って来たケイロル・ナバス(コスタリカ)やモドリッチ(クロアチア)をベンチ外にし、マルコス・ジョレンテとテオ・エルナンデスが今季初めて先発に入ったんですが、前半12分にサプライズに襲われることに。 ▽ええ、後でゴール前での争奪戦でカルバハルを出し抜いてゴールを決めたイヴィも「Es una jugada ensayada, porque sabemos de la fuerza de Ivan Lopez en el saque/エス・ウナ・フガダ・エンサジャーダ、ポルケ・サベモス・デ・ラ・フエルサ・デ・イバン・ロペス・エン・エル・サケ(あれは練習したプレー。ボクらはイバン・ペレスがスローインに強いのを知っていたからね)」と言っていたんですが、まさか、昨季は2部の絶対王者だったとはいえ、昇格組のレバンテに先制されてしまうとは! ▽ただ、それだけなら時間もまだ十分ありましたし、心配することもなかったんですが、想定外だったのは28分にベンゼマが1人で太モモの筋を伸ばしてしまい、全治1ケ月のケガで交代を余儀なくされたから、さあ大変!でもねえ、その日、モラタ(チェルシー)とマリアーノ(リヨン)の移籍で今季の控えの中で唯一のCF、マジョラルをスタンド見学にしてしまったのはジダン監督のミスだったかもしれませんが、代わりに入ったのはベイルですよ。ピッチにはスペイン代表のルーカス・バスケスやアセンシオもいましたし、そんな贅沢な状況に一体、誰が文句を言えるというのでしょう。 ▽実際、35分にはクロースのCKをセルヒオ・ラモスが「Ramos entra como un animal y con fuerza muy arriba, cualquier contacto con el hacia irte al suelo/ラモス・エントラ・コモ・ウン・アニマル・イ・コン・フエルサ・ムイ・アリバ、クアルキエル・コンタクトー・コン・エル・アシア・イルセ・アル・スエロ(ラモスはアニマルのように突っ込んできて、とても高いところでも力がある。彼と接触すれば、誰だって倒れるしかないよ)」(GKラウール)という勢いでカンパーニャを潰しながらヘッド。これは弾かれたものの、こぼれたボールをルーカス・バスケスが押し込んでマドリーは同点に追いついいたんですが、その日、本当に欠けていたのはツキだったかと。 ▽だってえ、ベイルも何度かシュートを撃っていましたし、後半にはイスコやコバチッチを投入。41分にはマルセロがラウールにセーブされた後、もつれて倒れたレルマを蹴ったため、レッドカードをゲット。クリスティアーノ・ロナウド、ラモスに続く、今季3人目のキャプテン退場となって、1人少なくなったため、完全に根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)の舞台は整ったと、私など思ったんですけどね。奇跡の男、ラモスも最後は前線に残ってFWとしてプレー、ロスタイムにはクロースのエリア外からのシュートが近いところまで行ったんですが…ポストに弾かれ、試合は1-1のまま終了し、「La clave es ilusion y trabajo/ラ・クラベ・エス・イルシオン・イ・トラバッホ(鍵は夢と努力だった)」(ムニョス監督)というレバンテの前にホームで勝ち点2を落とすという、代表週間前のバレンシア戦と同じ躓きをしてしまうことに。 ▽え、その結果を知りながら、次の時間帯で勝利を掴めなかったアトレティコだって十分、間抜けじゃないかって? まあ、そうなんですが、こちらはアウェイのメスタージャですし、火曜のCLローマ戦を前にゴディンやガビを温存したのはあまり関係なかったんですよ。バレンシアもシュートが枠内に飛ばず、GKオブラクの手を煩わすシーンはほとんどなかったんですが、最大のチャンスに大空高く撃ち上げてしまったビエットを始め、自分たちも点を取れなければ答えは簡単。ゴールレスの引き分けです。 ▽ただ、ジダン監督が「Tenemos que jugar major/テネモス・ケ・フガール・メホール(ウチはもっと上手くプレーしないといけない)。より効率的にゴールを決めないと」と反省、テオなども「Necesitamos a Cristiano para que meta goles/ネセシタモス・ア・クリスティアーノ・パラ・ケ・メタ・ゴーレス(ゴールを入れるため、クリスティアーノが必要だ)」とあと1試合、リーガの出場停止が残っているエースを恋しがっていたのと対照的にアトレティコの方は試合後、「Hemos hecho un buen futbol/エモス・エッチョー・ウン・ブエン・フトボル(ウチはいいサッカーをした)」(フィリペ・ルイス)と妙に楽観的。 ▽確かに「チャンスも作ったし、ゴールが足りなかっただけ。今週はFIFAウィークだったんだから、FWたちを辛抱して見守らないと。そのうち入るよ。練習すれば良くなるはずさ」というのは正論ですが、ちょっと待って!今回、アトレティコの前線で各国代表に行っていたのはグリーズマン(フランス)とカラスコ(ベルギー)のみ、先発したコレア、ビエット、そして後半に入ったフェルナンド・トーレス、ガメイロ、ガイタンは2週間、ずっとマハダオンダ(マドリッド近郊)でトレーニング漬けだったのを忘れていない? ▽まあ、マルセリーノ新監督も「マドリーにもアトレティコにも負けなかったのは特筆に値する。Va a ser muy dificil ganarnos/バ・ア・セル・ムイ・ディフィシル・ガナールノス(ウチに勝つのは難しくなるだろう)」と言っていた通り、良い補強選手も入ったバレンシアが昨季よりずっと強くなったのはわかりましたけどね。「El peor momento hasta ahora es el primer tiempo en Girona/エル・ペオール・モメントー・アスタ・アオラ・エス・エル・プリメール・ティンポー・エン・ジローナ(今まで最悪だったのはジローナでの前半だけ)」というシメオネ監督の言葉ももっともなんですが、要はそれが響いての1勝2分け。うーん、来週土曜の次節マラガ戦はいよいよ、ワンダ・メトロポリターノでプレーすることができますが、選手たちも初めてのスタジアムとあって、まだホームゲームという感覚が持てないかもしれないのがちょっと怖いです。 ▽え、それよりもう、アトレティコはローマ遠征の準備で大変なんじゃないかって?そうですね、日曜にリハビリセッションをした彼らは月曜には機上の人に。シメオネ監督はアルゼンチン代表でケガをして帰って来たアウグスト以外、21名全員を連れ、火曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)から、スタジオ・オリンピコでの1節に挑みます。何せ、間の悪いことに相手は同じ土曜開催予定だったセリエAのサンプドリア戦が天候不順で順延、体力の消耗なしでプレーできますからね。リーガで2試合出場停止だったグリーズマンが準備万端なのは心強いですが、果たしてゴールは入るのかどうか。彼らのグループにはチェルシーもいるため、あまり取りこぼしができないのは辛いところですよね。 ▽そしてグリーズマン同様、代表戦から1週間おいて、最高のコンディションでロナウドが復帰するのが水曜のマドリーなんですが、何せこちらは相手がキプロスのアポエル。しかもホームとあって、勝利は当然、むしろ何点取れるかの方が気になるぐらいで、むしろ彼らにとって頭痛の種は日曜のレアル・ソシエダ戦かと。そう、ロナウド、ベンゼマ、そして下手したら2試合以上の処分が下りかねないマルセロも欠場するためで、その上、バルサと並んで唯一、開幕3連勝をしているチームとのアウェイゲームですからね。ソシエダも木曜にELローゼンボリ戦があって、日程的にはむしろ不利なぐらいとはいえ、こんな時こそ、イスコやアセンシオが真価を発揮してくれないと困ってしまう? とはいえ、リーガ4節はまだ先、とりあえず今はヨーロッパの大会の開幕を楽しみに待つことにしましょうか。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.11 17:49 Mon
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【原ゆみこのマドリッド】スタジアムが遠い…

▽「やっぱり近づけないのね」そんな風に私が愚痴っていたのは木曜日、アトレティコの新しいホームに一番近いメトロ(地下鉄)のエスタディオ・メトロポリターノ駅メインエントランス・オープニングセレモニーの後、階段を上がればそこにスタジアムがあるというのに、まだ工事中だからとマスコミもファンも即座に駅舎内に押し戻されてしまった時のことでした。いやあ、ここ数日は完成した豪華なロッカールームをビデオ(http://www.atleticodemadrid.com/videos/asi-es-el-vestuario-del-primer-equipo-en-el-wanda-metropolitano)で紹介したり、ピッチの芝張りも終わったりと、こけら落としとなる16日のマラガ戦に向け、準備は着々と進んでいるようなんですけどね。 ▽どうにも怪しいのは駐車場や周辺道路へ繋がる道で、セレモニーに出席したマドリッド州知事のシフエンテ氏が「グリースマンには是非、ほんの数タッチでゴールまで行ける、このライン7の駅を使ってもらいたいわ」と笑いと取りつつ、試合前後の時間には列車を3分間隔で運行して、大混雑にも対応できることをアピール。更に徒歩15分程のライン2(イメージキャラはゴディン)のLas Rosas(ラス・ロサス/スペインサッカー協会施設があるのはLas Rozas)駅やライン5(同トマス)のカニジェハス駅の利用をファンにくどい程、お勧めしていたのはやっぱり、まだ自家用車では入れないから? ▽まあ、私などは車も持っていないため、メトロしか選択肢がないですし、セレモニーではこの2週間、じっくりマハダオンダ(マドリッド近郊)で練習していたガビやフェルナンド・トーレスはともかく、代表戦に駆り出されていたコケ、サウル、グリースマンが元気そうなのを確認できただけで満足だったんですけどね。火曜に昨年、2018年までに一旦減らした契約年数を2020年まで再延長、週末は彼女と娘さんを連れてパリのディズニーランドで楽しんできたシメオネ監督も姿を見せていたものの、彼らは午後の練習に備えて早々にライトバンに乗って撤収。 ▽最後はセレソ会長の「No podemos fichar hasta enero/ノー・ポデモス・フィチャール・アスタ・エネロ(ウチは1月まで選手を獲れない)が、それまでにジエゴ・コスタや他の選手が来ることはありうる」という今週、ようやくロンドンに戻ったらしいチェルシーのFWの古巣復帰を仄めかすようなコメントを聞いてお開きとなったんですが、うーん、それにしてもワンダ・メトロポリターノの近隣にはあまりに何もなさすぎ。屋台ぐらいは出るとしても、ビセンテ・カルデロン時代は早めにスタジアムまで行って、近くのバル(スペインの喫茶店兼バー)で士気を高めていた大勢のファンたちは一体、どうするんでしょうかね。 ▽え、それより今週あったスペイン代表のW杯予選2試合目がどうだったか知りたいって?そうですね、火曜のリヒテンシュタイン戦は予想通りの展開で、何せ相手の選手は半分がセミプロですからね。「Tratamos de tener variantes ofensivas ademas de la calidad de los jugadores/トラタモス・デ・テネール・バリアンテス・オフェンシバス・アデマス・デ・ラ・カリダッド・デ・ロス・フガドーレス(選手たちの質だけでなく、攻撃的オプションを増やしたかった)」というロペテギ監督の意向で、チームは先日のイタリア戦からスタメン4人を変更。コケ、カルバハル(レアル・マドリー)はベンチ外でアセンシオ(マドリー)、ジョルディ・アルバ(バルサ)が控えとなり、モラタ、ペドロ(チェルシー)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、モンレアル(アーセナル)が入ってDF3人体制って随分、強気じゃないですか。 ▽ただ実際、それで困るような場面はまったくなく、開始3分にシルバ(マンチェスター・シティ)のFKをセルヒオ・ラモス(マドリー)が頭で決めて先制したスペインは、15分にも今度はビジャ(ニューヨーク・シティ)の負傷離脱で背番号7を取り戻したモラタがこれもシルバのクロスをヘッドしてゴール。その1分後にはGKジェーレ(バルダール)が蹴り損ねたボールをエリア内で奪ったモラタがイスコ(マドリー)に繋いで3点目が入ることに。更に39分にはシルバがFKを直接、ネットに突き刺してしまったとなれば、ロペテギ監督ももう誰をキッカーにしていいか、途方に暮れてしまったかも。その直後、GKデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が珍しくミスをして、ジェーレ同様、エリア内で敵にボールを渡してしまったんですが、シュートはしっかりセーブしている辺り、やっぱり雲泥の実力差ですよね。 ▽後半はラモス、シルバの2008年から2012年まで続いたスペイン黄金期を支えたベテランがナチョ(マドリー)とイアゴ・アスパス(セルタ)に代わったんですが、それでもgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)は止まりません。ええ、6分にはモラタのヘッドがゴールバーに弾かれて落ちたところをアスパスが押し込み、その3分後にはアスパスがお礼のスルーパスでモラタをアシスト。当人もW杯行き当確ラインぎりぎりにあるのはわかっているんでしょうかね。「Me llevo muy bien con Morata tambien fuera y eso ayuda/メ・ジェボ・ムイ・ビエン・コン・モラタ・タンビエン・フエラ・イ・エソ・アジュダ(モラタとはウマがピッチ外でもウマが合う。そういうのは助けになるね)」(アスパス)と、ジエゴ・コスタが怠けている間にエース候補ナンバーワンに昇格したFWと相性がいいことを強調していましたが、彼は17分にも弾かれたペドロのシュートを撃ち直して自身2点目をゲット。 ▽最後は44分、イスコと交代したデウロフェウ(バルサ)のシュートが敵DFに当たってオウンゴールになったため、昨年の対戦と同じ0-8という大勝になったんですが、こうもレベルが違うとねえ。リーガ1部のチームと2部Bのチームが当たるコパ・デル・レイ32強対戦以上の差があるように見えましたが、幸いこの試合ではケガ人は1人もなし。イエローカードをもらったブスケツ(バルサ)が累積警告となり、10月にアリカンテ(スペイン南部のビーチリゾート都市)で行われるアルバニア戦を欠場となるのはちょっと痛いですけどね。同日イスラエルに勝った2位のイタリアは1-0止まりだったため、勝ち点差3のままでも得失点差が17に拡大。ええ、もうこうなるとW杯進出まであと1勝でいいってことじゃないですか。 ▽おかげで試合後はキャプンのラモスなど、「Te mentiria si te diria que no veo a este equipo haciendo algo importante/テ・メンティリア・シー・テ・ディリア・ケ・ノー・ベオ・ア・エステ・エキポ・アシエンドー・アルゴ・インポルタンテ(このチームが何か大きなことを成し遂げられないなんて言ったら、ウソになる)」と黄金期再来を予感しているようでしたが、まあ本大会はまだまだ先ですからね。私ももう1度、スペインの優勝を見られたら嬉しいものの、2014年ブラジル大会のようにいきなりグループリーグ敗退になったりすることもあるため、今のところは生ぬるい目で見守っていくことにしましょうかね。 ▽そしてその晩はチューリッヒに泊まり、翌日にはマドリッド組、バルセロナ組、その他イギリス、イタリア組と分かれて選手たちもそれぞれのクラブに戻ったんですが、今週の私はラス・ロサス(マドリッド近郊)の代表練習見学がなくなったため、この金曜に1部では初となる弟分ダービーを迎えるレガネスをチェック。いえ、夏の間、全面運行停止していたメトロのライン5がようやく動きだしたため、アルーチェ駅前から何本も出ているバスを使って、簡単に練習場のインスタラシオン・デポルティバ・ブタルケに行けるようになったというのもあるんですけどね。火曜はあっさり着いたと思いきや、練習はスタジアムで非公開だったり、翌日は施設の入り口が開いておらず。仕方なく広い敷地の外をグルリと一周しないといけなかったりと、チャレンジするたび何が起こるのは私とレガネスの相性が悪いのかも。 ▽ただ新しいプレハブのロッカールームやジムがすぐ側にできたそのグラウンドは日焼けが避けられないヘタフェとは違い、木陰から見学できるため、かなり快適で、更に練習を終えた選手が普通に歩いてくるので、ファンが写真やサインを頼み放題というのは同じ。とはいえ、この夏には13人が退団、11人を補強したレガネスですからね。誰が誰か見分けるのが難しいんですが、その日のセッションでアシエル・ガリターノ監督は念入りにセットプレーを指導。木曜の記者会見ではヘタフェのボルダラス監督も「A balon parado hizo los dos goles, hay que tener cuidado/ア・バロン・パラードー・イソ・ロス・ドス・ゴレス、アイ・ケ・テネール・クイダードー(セットプレーで2ゴール挙げているから、注意しないといけない)」と言っていように、開幕2試合をFKとCKからの得点で勝っている彼らとしては、長所により磨きをかけたかったのかもしれません。 ▽加えてレガネスでは移籍市場最終日に獲得したFWアラバマット(ワトフォードから移籍)がヘタフェのファジルと一緒にモロッコ代表参加しており、来週月曜までチームに合流しないため、大幅な攻撃力アップは望めませんからね。まだ1分け1敗で1部復帰後、白星を飾っていないヘタフェには他に柴崎岳選手、ジェネ(トーゴ)と代表から帰って来たばかりの選手がいるため、ボルダラス監督は「Confiamos que de aqui a manana puedan estar al 100 %/コンフィアモス・ケ・デ・アギー・ア・マニャーナ・プエデン・エスタル・アル・シエントー・ポル・シエン(明日までには100%になってくれると信じている)」と言っていたものの、金曜午後9時(日本時間翌午前4時)キックオフのブタルケ(レガネスのホーム)ではスタメン変更も多分にあるんじゃないでしょうか。 ▽ちなみにガリターノ監督は現役時代、ボルダラス監督の指揮下でプレーして、一緒にコーチングスタッフとして働いていたこともあるため、このダービーは師弟対決でもあるんですが、最後にマドリッドの両雄の今週末の試合について触れておくことにすると。ブラジルのW杯予選2戦目を出場停止になったマルセロを皮切りに、木曜朝にコスタリカからケイロル・ナバスがバラハス空港に着いて、ようやく17人の各国代表選手が全員帰還したマドリーはこの3節、土曜の午後1時(日本時間午後8時)というアジアゴールデンタイムでレバンテ戦をプレー。ポルトガル代表ではフェロー諸島戦でハットトリックの大活躍、0-1で辛勝したハンガリー戦でもアシストで貢献したクリスチアーノ・ロナウドはまだ出場停止処分が続いているんですが、その分、来週水曜のCLグループリーグ開幕戦、キプロスのアポエルをサンティアゴ・ベルナベウに迎える試合で爆発してくれる可能性が高い? ▽ただ今回の相手、レバンテもリーガ初戦に勝って、2節のデポルティボ戦で2-2の引き分けと、paron(パロン/リーガの停止期間のこと)直前にバレンシアと2-2のドローで終わったマドリー共々、現在の勝ち点は4と見た目は拮抗。とはいえ、スペイン代表で大車輪の働きだったイスコがジダン監督のローテーションでお休みしても、アセンシオやルーカス・バスケスなどはリヒテンシュタイン戦に出ていませんからね。フランス代表から遠ざかっているベンゼマもバルデベバス(バラハス空港の近く)でじっくり調整できたようですし、昨季、ヘタフェ同様、レバンテを1年で1部復帰に導いたムニョス監督は「No vamos a ir a sacar fotos ni a pedir camisetas/ノー・バモス・ア・イル・ア・サカール・フォトス・ニ・ア・ペディール・カミセタス(ウチは写真を撮るためやユニ交換を頼むために行くんじゃない)。勝ち点3を懸けて競いに行く」と言っているものの、かなり厳しいものがあるんじゃないでしょうか。 ▽そして同じ土曜、こちらは午後4時15分(日本時間11時15分)から、この開幕アウェイ3連戦の最後としてバレンシアに赴くアトレティコも木曜にはメンバーが勢揃い。唯一、アルゼンチン代表に行っていたアウグストだけが試合に出てもいないのに太ももをケガするという不運に遭っていますが、中にはガーナ代表のコンゴ2連戦で4得点1アシストを記録してきたトマスのように急にゴールづいてしまった選手もいるのは心強いかと。何せ、こちらもグリースマンが2試合目の出場停止処分をこなさないといけないため、メスタジャではトーレス、コレア、ガメイロ、ビエット頼りになりますからね。シメオネ監督もトマスに結構、期待しているかもしれません。 ▽え、アトレティコは1節のジローナ戦を2-2で引き分け、ラス・パルマス戦に1-5で勝って4ポイント、バレンシアはラス・パルマスに1-0で勝って、マドリーに劣勢から追いついてのドローで4ポイントとなると、勢い的には両者互角の戦いが見られるんじゃないかって?そうですね、今季からマルセリーノ監督体制となり、GKネト(インテル)、MFマクシモビッチ(アスタナ)、コンドグビア(インテル)、ペレイラ(マンチェスター・ユナイテッド)、グアデス(PSG)、DFムリージョ(インテル)、パウリスタ(アーセナル)と精鋭7人を補強して、ここ2年間の不振から脱却しようと、相手も気合が入っていますからね。 ▽それだけにジローナ戦での教訓をラス・パルマス戦で生かしたアトレティコでしたが、この2週間のうちにまた忘れているんじゃないかというのだけが、私の心配の種。おまけに来週火曜にはCLグループリーグ初戦でローマに遠征ですし、以降も9月は日程が詰まっているため、ちょっと大変なんですが、まだまだシーズンは始まったばかり。補強ができず、メンツに変わり映えがないのはちょっと寂しいものの、何とか、お隣さんやバルサのペースに遅れず、ついていってもらいたいものです。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.09 12:15 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】まだW杯は遠い先だけど…

▽「帰っちゃうんだ」そんな風に私が残念に思っていたのは月曜日。お昼のニュースにバラハス空港ターミナル4のカウンターで搭乗手続きをするダビド・ビジャ(ニューヨーク・シティ)の姿が映った時のことでした。いやあ、前日、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設の非公開練習のビデオでは彼も機嫌が良く、グラウンドに向かっていたため、リヒテンシュタイン代表戦では待望の代表復帰ゴールが観られるかもと楽しみしていたんですけどね。当人曰く、「セッション最後のプレーでintento llegar a un balon y estiro demasiado el cuadriceps/インテントー・ジェガール・ア・ウン・バロン・イ・エスティロ・デマシアドー・エル・クアドリセプス(ボールに届かせようとして大腿四頭筋を伸ばしすぎた)」そう。同日、チューリッヒ経由で現地入りするチームメートに別れを告げ、家族と共にニューヨークに戻ることにしたのだとか。 ▽それでもケガの程度は軽いようなので、10月初旬の代表ウィークに行われるロシア・ワールドカップ(W杯)欧州予選最後の2試合には間に合うはず。それに世の中はとっくにシーズンが開幕していながら、チェルシーに戻らず母国ブラジルで個人トレーニングを始め、プレミアリーグには選手登録されながら、チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグには登録外。まだアトレティコ・マドリーへの移籍も決まらないジエゴ・コスタが次の招集リストに入れるとは思えませんからね。となれば、この土曜日に代表98試合出場を達成し、大台まであと2つに迫ったビジャに再びお鉢が回ってくることもありうる? ▽まあ、そんなことはともかく、そのイタリア代表戦がどうだったかお話すると、当日午後、キックオフまでに時間があったため、私は会場のサンティアゴ・ベルナベウ近くの高層ビル街の中に設けられたファンゾーンを訪問。これまでスペインの獲得したユーロやW杯のトロフィーと写真を撮れるというは本当でしたけどね。予想外にこじんまりとしていて、列に並ぶファンの数もそう多くはなかった辺りに以前、メジャートロフィー獲得が3回続いていた代表黄金期との温度差を感じたものでしたが、試合の方は大丈夫。先週の水曜日にチケットが完売となっただけあって、camiseta(カミセタ/ユニフォーム)やbufanda(ブファンダ/マフラー)、ウィッグや帽子で完全装備したサポーターが赤と黄色のスペインのbandera(バンデラ/旗)を振って大いに雰囲気を盛り上げてくれました。 ▽え、試合前からCFを使うのか、それともfalso nueve(ファルソ・ヌエベ/偽9番)でいくのか、スペインのスタメンでは疑問点になっていましたが…。まさかダビド・シルバ(マンチェスター・シティ)、イスコ(レアル・マドリー)、マルコ・アシンシオ(同)を前線に並べ、1人もFWがいないというのはショックじゃなかったかって? そうですね、これがイアゴ・アスパス(セルタ)やデウロフェウ(バルセロナ)、ルーカス・バスケス(レアル・マドリー)ら、今回招集された他のFWたちの奮起につながると良いのですが、作戦的には大成功。そう、12分にはイスコが放ったFKにGKブッフォン(ユベントス)の手が届かず、スペインが早い段階で先制点を奪うことに。 ▽うーん、実はこれより前にもコケ(アトレティコ)がエリア前で敵DFに突き飛ばされ、彼らは近い距離でFKをゲットしていたんですけどね。その時は先日、バレンシア戦で見事なFKゴールを挙げたアセンシオも蹴りたそうにしていたんですが、蹴らせてもらえず。代表でもクラブでもキャプテンのセルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)はイスコに対しても「次に蹴らせてあげるから」と丸めこみ、結果、セルヒオ・ラモスのシュートは枠外へ。似たような位置でボヌッチ(ミラン)がアセンシオを潰し、イエローカードをもらったため、すぐに次のFKのチャンスが来てくれたのは本当にツイていましたっけ。 ▽とはいえ、相手は去年のユーロで、ベスト16で敗退させられたイタリア。昨年のトリノでの試合でも1-0とリードした後、スペインは追いつかれて引き分けていましたから、油断はまだまだできなかったんですが、何なんでしょうかね。3バックではなく、4-2-4という超攻撃的なフォーメーションを採用しながら、この日の敵には怖さがほとんど感じられず。もちろん、ヒマでも決して集中力を途切らせていなかったGKダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)が新鋭アンドレア・ベロッティ(トリノ)のヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれたなんてこともあったんですが、やはり中盤の人数が全然違うことが致命的だったんでしょう。ええ、39分には再びイスコがエリア前からシュートを決め、2-0になったとなればもう、大船に乗った気でいて良い? ▽ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)の至近距離シュートをデ・ヘアが弾いて始まった後半もそれ以降、危険な場面はほとんどなく、さすがにこれぐらいの時間になれば、相手も疲れて、マークも甘くなるだろうと踏んだんですかね。フレン・ロペテギ監督は72分にアンドレス・イニエスタ(バルセロナ)からアルバロ・モラタ(チェルシー)に代え、スペインはいよいよ文字通りの9番を投入。それでも最初はせっかくこの夏までの同僚、イスコからスルーパスをもらいながら、ユベントス時代にお世話になったボヌッチに止められてしまった彼でしたが、76分には自陣でボールを奪い返したセルヒオ・ラモスが上がるのに合わせ、ベルナベウを根城にするチームのお家芸を披露してくれます。もちろんそれは超高速カウンターで、最後はセルヒオ・ラモスのキラーパスをゴール前から押し込んで、とうとう3点目。同等ランクの代表相手にこんなに強いスペインを見るのは私もかなり久々だったかと。 ▽まさに「Hemos jugado sin 9 muy bien y luego, con 9, hemos cerrado el partido/エモス・フガードー・シン・ヌエベ・ムイ・ビエン・イ・ルエゴ、コン・ヌエベ・エモス・セラードー・エル・パルティードー(ウチは9番なしで凄く良いプレーをして、それから9番を入れて試合を終わらせた)」(モラタ)ということですが、その直後にはアセンシオもこの夏、U21ユーロで決勝まで共に戦い、トロフィーはドイツに奪われてしまったものの、ピチチ(得点王)となったサウール・ニゲス(アトレティコ・マドリー)に交代。まあこれはコケ同様、しっかり守るお隣さんの特性を期待しての起用でしょうが、おかげでロペテギ監督もスタンドのコールに応えて、ビジャをピッチに入れる余裕が持てることに。 ▽ええ、残り時間は少なかったんですが、後半もマルコ・ヴェッラッティ(パリ・サンジェルマン)へのcano(カーニョ/股抜き)やsombrero(ソンブレロ/敵の頭上にパスを上げて抜く技)など、マドリーのロッカールームでmagia(マヒア/マジック)と呼ばれている所以を十二分に証明したイスコ。試合前はアセンシオ・フィーバー一色だった世間に元々、ベルナベウのお気に入りナンバーワンは自分だったと思い出させた同選手が大喝采を浴びてベンチに戻ります。それと同時に、スペイン黄金期を支えた7番がいよいよ登場したんです! いえ、実際、プレーした5分間でボールに触ったのは2、3回だったため、モラタの「David ha estado increible, como siempre. Ha sido un partidazo/ダビド・ア・エスタードー・インクレイブレ、コモ・シエンプレ。ア・シードー・ウン・パルティダソ(いつも通り、ビジャは信じられない程だった。最高のナイスゲームだったよ)」という言葉にはちょっと??? なんですけどね。 ▽それでも当人は「Estoy feliz de que la gente me haya recibido asi/エストイ・フェリス・デ・ケ・ラ・ヘンテ・メ・アジャ・レシビードー・アシー(観客があんな風に自分を迎えてくれてボクは幸せだよ)」と大満足していましたし、バレンシア時代にカンテラ(ユースチーム)から呼ばれてトップチームと一緒に練習していた頃から知っていたというイスコのことも絶賛。「La esta rompiendo/ラ・エスタ・ロンピエンドー(ブレイクしている)。スペイン人だから、みんなが彼のプレーを代表で楽しめる」と言っていましたが、スペインではバルセロナ、アトレティコとライバルチームにいたビジャだけにあまり、マドリーでの活躍は見たくはない? ▽実際、そのイスコに関してはロペテギ監督のみならず、イタリアのジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督からも称賛しか聞こえなかったんですが、あまりに時間が遅くて、私がスタジアムから出てしまった午前0時過ぎ、ミックスゾーンに出てきたセルヒオ・ラモスなどからは、ビジャとは逆に「Estoy contento por mis cachorritos del Madrid/エストイ・コンテントー・ポル・ミス・カチョリートス・デル・マドリッド(ボクのマドリーの子犬ちゃんたちのおかげで満足だよ)」なんてコメントも。いえ、モラタは今、スタンフォード・ブリッジでプレーしていますけどね。もしかしてチャビ・エルナンデス(今はカタールのアル・サッドでプレー)、イニエスタらの全盛期で迎えたスペイン黄金期を今度はイスコ、アセンシオのマドリーコンビで再現できたらという野望でもあるんでしょうか。 ▽え、それで今回、ベルナベウではジェラール・ピケ(バルセロナ)へのpito(ピト/ブーイング)はあったのかって? いやあ、同僚のセルヒオ・ブスケッツなどは「La aficion estuvo de 9,5, porque hubo algun pito al inicio/ラ・アフィシオン・デ・ヌエベ・コンマ・シンコ、ポルケ・ウボ・アルグン・ピト・アル・イニシオ(ファンの態度は9.5点。序盤はブーイングがあったから)」なんて言っていましたが、私にはまったく聞こえず。ピケがボールを持つたび、大きな拍手が始まるため、最後はうっとおしいぐらいに感じた程で、さらにコケのCKを当人がヘッドで外した時など、ピケコールまでありましたからね。そのおかげもあって、選手全員がピッチで輪になって3-0の勝利を喜んだ後、当人も安心して自分の子供たちとピッチで遊ぶことができたのではないかと。 ▽まあ、次はアウェイですから、そんな心配はしないでいいんですが、月曜日の夕方にはビジャ以外、25人の代表選手たちはファドゥーツのラインパーク・シュタディオンで練習。グループ2位のイタリアに勝ったことで勝ち点差3がつきましたし、相手のリヒテンシュタインには昨年の試合で0-8と大勝しているため、この2戦目はあまり心配することはないんですけどね。前日会見に出たロペテギ監督は「El futbol es como es y lo vimos en el Francia Luxemburgo/エル・フトボル・エス・コモ・エス・イ・ロ・ビモス・エン・エル・フランシア・ルクセンブルゴ(サッカーはサッカー、フランスvsルクセンブルクでそれを見たよ)」と慎重な姿勢を決して崩さず。これは多分、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリー)が悪いんですが、好機を2度とも決められず、フランスが小国と日曜日の試合でスコアレスドローに終わった例を出して、自信過剰になるのを戒めています。 ▽それでもローテーションは大いにありそうで、今度はファンも次のリーグ戦が視野に入ってきますからね。半分ぐらいスタメンを変えて、あとは様子を見ながらでもいいかと思いますが、スペインのW杯出場がまだ決まっていないのも事実は事実。この火曜日午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリヒテンシュタイン戦、そして10月のアルバニア代表、イスラエル代表戦と上手くやって、プレーオフなどで気を揉むことなく、来年のロシアでグループリーグ敗退した2014年ブラジル大会のリベンジをじっくり計画できたらいいですよね。 ▽そして最後にマドリッドの4クラブの様子も少々、お伝えしておくと、土曜日にレバンテ戦を控えるマドリーでは各国代表選手の先陣を切ってマルセロが帰還、月曜日から再開されたバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習に加わっています。これは先週のエクアドル代表戦でイエローカードをもらい、火曜日のコロンビア代表戦に出場停止となったからですが、え、ということは同じ土曜にバレンシアに乗り込むアトレティコのフィリペ・ルイスが代わりにブラジルの左SBとして出場? ちょっと不公平な感じはしますが、どちらにせよ彼らはすでにW杯出場権を得ているため、そんなに気にすることはないかと。ちなみに日曜日にポルトガル代表の予選2試合目、ハンガリー代表戦を終えたクリスティアーノ・ロナウドはまだリーガでの出場停止処分が続いているため、合流が遅れるようです。 ▽同様にあと1試合、出場停止があるグリーズマンの姿も月曜日のマハダオンダ(マドリッド近郊)では見られませんでしたが、気の毒なのは、アトレティコではシメ・ヴルサリコ、マドリーではルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチといるクロアチア勢。土曜日のコソボ代表戦が豪雨で途中中断、日曜日の午前中に試合の残りをやって1-0で勝ったものの、火曜日にはもうアウェイでトルコ代表戦に挑まないとならないなんて、あまりにハードでは? 大西洋を渡っている選手に関してもディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネスのアトレティコ・ウルグアイ勢、ケイロル・ナバス(コスタリカ)、カゼミロ(ブラジル)らは帰還が木曜日になりますが、何せジネディーヌ・ジダン監督にはお得意のローテーションがありますからね。代表選手の総数は17対13でマドリーの方が多いものの、未だに工事中でスタジアムに近づけもしないワンダ・メトロポリターノのせいで今節までリーガはずっとアウェイ、来週火曜日のCLローマ戦も遠征というアトレティコはかなり大変そうですね。 ▽一方、今週も移籍市場のクローズ寸前に獲得した選手たちのプレゼンに余念がないのがマドリッドの弟分2チームで、両者は奇しくもこの金曜日、2004年に2部で対戦して以来、1部ではクラブ史上初となるダービーで激突。こちらも代表選手がまったくいないレガネスと柴崎岳選手、ジェネ・ダコナム(トーゴ)、ファイサル・ファイル(モロッコ)と、3人の主力が出向しているヘタフェでは準備に差が出るかと思いますが、2連勝で現在、3位につける前者とまだ開幕から1勝も挙げられていない後者では心理的な余裕も違う? うーん、今回は満員が予想されるブタルケ開催とあって、レガネスファンの応援に押されてしまうことも考えられますが、こればっかりはねえ。今週はまた日を見て、私も両チームの練習を偵察してこようかと思います。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.09.05 13:13 Tue
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