【原ゆみこのマドリッド】今年はリーガもあと1試合…2016.12.17 14:45 Sat

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▽「要は何でも良かったのね」そんな風に私が笑っていたのは金曜日、AS(スペインのスポーツ紙)のネットページに不思議な写真を見つけた時のことでした(http://futbol.as.com/futbol/2016/12/16/internacional/1481900151_429578.html)。いやあ、開けてみると、クラブW杯準決勝で勝利したレアル・マドリーに日本のマスコミが賛辞を贈っているという記事だったんですが、おやおや。適当に選んだ新聞の一面の上に写真を貼りつけたものだから、丁度、クリスチアーノ・ロナウドの頭上に「広島災害不明51人」なんて、毎日新聞の物騒な見出しがついてしまい、それも当人には気の毒だったんですが、何だか合点がいかず、目を凝らして、日付を見てみたところ、8月22日って、一体、どこから探してきたのか。

▽うーん、隣の朝日新聞の日付は12月16日で辻馬は合ったんですが、こちらもジダン監督の横に「医療や介護 高齢者負担増」って見出しも何となく、嫌味な感じがしなくもなし。大体、これももう1つの準決勝の後、大阪から流れてきたらしいコロンビアのメディアに「ああいうのは5カ月に1回ぐらいある試合。今日また戦ったら、勝っているはずだよ。Ojalá hubiera sido una final contra Nacional, pero el fútbol es así/オハラ・ウビエラ・シードー・ウナ・フィナル・コントラ・ナシオナル、ペロ・エル・フトボル・エス・アシー(ナシオナル相手の決勝だったら良かったけど、サッカーはこういうもの)」と、母国のチームと対戦できないことをハメス・ロドリゲスも嘆いていたように、当初の目論見が外れたせい。

▽ええ、マドリーが日曜にプレーするのがアトレティコ・ナシオナルなら、記者たちも楽だったんですが、それが急遽、鹿島アントラーズになってしまったものだから、せっかく予定していた、通訳なしで話せる対戦相手の監督や選手インタビューもいらなくなり、かといって、Jリーグのチームの情報をそんなに探し出せる訳でもないですからね。結局、鹿島は世界的に名の知れているジーコが選手や監督として在籍したクラブというぐらいの紹介しかされていないんですが、決勝相手が日本のチームとなったせいか、クラブ・アメリカ戦ではやたら空席の目立った日産スタジアムのスタンドが今度はチケット完売で埋まりそうなのは朗報でしょうか。

▽まあ、そんなことはともかく、木曜の準決勝は私も午前11時半という奇妙な時間帯に家のTVで観戦できたんですが、選手たちにはまだ時差呆けもあったんですかね。別に敵にゴールを奪われる心配もほとんどなかったものの、ようやくクロースのスルーパスからベンゼマが決めて、マドリーに先制点が入ったのは前半ロスタイムに入ってからのこと。後半もロナウドが何度かシュートを撃ったんですが、バロンドール受賞4回目記念弾に懸ける当人の執念は、その日は筋肉痛でベンチ観戦をしたセルヒオ・ラモスが見守る中、因縁の93分を迎えるまで、実ることはありませんでしたっけ。

▽ただ、そのゴール、ハメスからのパスをエリア内からロナウドが鋭く決めたgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったんですが、問題はこの時、試験的にFIFAがこの大会で使用しているVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)から連絡が主審に入ったようで、一度は得点とされたゴールがオフサイドの疑いで取り消され、その後、再度認められるというゴタゴタが。いえ、鹿島vsナシオナル戦のようにプレー再開から1分以上してから、思い出したようにPKを宣告したのとは違いましたし、今回の場合は点が入っても入らなくてもマドリーが勝っていたので、そんなに怒ることもないかと思ったんですけどね。やはり試合後には不満の声が多々聞こえてくることに。

▽ええ、この日のMVPに選ばれたモドリッチなど、「No me gusta esto del vídeoarbitraje porque crea mucha confusion/ノー・メ・グスタ・エストー・デル・ビデオアルビトラヘ・ポルケ・クレア・ムーチャ・コンフシオン(このビデオによるジャッジは好きじゃない。混乱するからね)。こういうのはサッカーじゃないよ」とはっきり言っていましたし、ジダン監督も「テクノロジーで改善したいなら、誰にとってもより明確にならないといけない」と効果の程に疑問を呈していましたが、それも当然。ゴールを喜んだり、悔しがったりと、リアクションを何度もしなければならなかったロナウドだって、これじゃカッコがつかないと思ったんじゃないでしょうか。

▽何はともあれ、0-2で勝ったマドリーは無敗記録を36試合に伸ばして日曜午後7時半からの決勝に進出。特にまだ、ローテーションをするなどの情報は入っていないんですが、準決勝後にランニングをしていたラモスとペペがスタメンに入れるかは微妙かと。いえ、前者などは前回の2014年には大会MVPを取ったいい思い出もあるため、出場する気満々で、ただでさえ、横浜は寒いらしいのに冷水浴(https://www.instagram.com/p/BOCljv2FuF8/?taken-by=sr4oficial)までしてリハビリに努めていますし、金曜のセッションでも猛アピールしていましたけどね。

▽鹿島の攻撃陣がどれ程、優秀なのかはジダン監督も判断に迷うところでしょうから、バランとナチョのCBコンビがリピートという可能性もあると思いますが、とりあえずこの試合が終われば、マドリーはもうクリスマスのバケーション入り。年明けは1月4日前後のコパ・デル・レイの16強対戦1stレグから始まりますが、その相手も他のチームの32強対決2ndレグが来週終わり、組み合わせ抽選があるまでわからないため、当面はゆっくりできるかと。ええ、今週末のリーガ戦を来年に延期していても、2位バルサとは現在、勝ち点差6あるため、首位で年を超えることが確定しているせいで気も楽なはずですし、後はCL、UEFAスーパーカップに続く今年3つ目のタイトルを獲得して、有終の美を飾りたいといったところでしょうか。

▽え、その間、最近非常に心配な状態になっているお隣さんは何をしていたのかって?まあ、月曜のビジャレアル戦が終わった後はミッドウィークに試合がないのもあって、毎日マハダオンダ(マドリッド郊外)の練習場でトレニーングに励んでいましたが、木曜にはアトレティコ恒例のメガクリスマスランチがロス・アンヘレス・デ・サン・ラファエル(マドリッドから1時間の高原リゾート)で、トップチームや女子チームの選手、スタッフ、従業員、選手OB、ペーニャ(ファンクラブ)代表など、総勢650人を集めて開催されることに。いえ、その前節に左肩を脱臼したGKオブラクは丁度、前日、ロンドンでベイルがお世話になったのと同じ、イギリス王室ご用達のキング・エドワード7世病院で関節鏡手術。最初の予想より短い2カ月で戻って来れそうだという朗報がありましたが、残念ながら、この食事会には出席できませでしたけどね。

▽その代わりという訳ではないんですが、先日、ヘルニアのせいで日常生活に支障をきたすまでに至り、27歳で現役引退を表明したドミンゲス(メンヘングラッドバッハ)が招待され、古巣の仲間たちと旧交を温めていましたが、それ以外にもカラスコ、サウル、モヤ、ファンフランらはスポンサー関連のイベントに出席して、そこそこマスコミを賑わすことに。当然ながら、そんな席での質問は現在、6位まで落ちてしまったチームの不調ぶりについてだったんですけど、カラスコなどに言わせると、「para mí esto no es una crisis/パラ・ミー・エスト・ノー・エス・ウナ・クリシス(自分にとって、これは危機じゃない)」のだそう。

▽曰く、「調子がいつより悪い時期があるのは当たり前。これまでウチはずっと高いレベルにあったんだから」だそうですが、でもねえ。たとえ、いいプレーができなくても勝てないと、とてもマドリーやバルサにはついていけないことをわかっている?一方、前節にチアゴが負傷したため、久々に先発できそうなサウルは、「ウチは堅い守備を取り戻さないといけないんだけど、敵も上手くやってくるからね」と最近、チームが大昔のように信じられないミスをして失点するようになってきた理由を説明。

▽それでも「No bajamos los brazos y no vamos a parar hasta encontrar la solución/ノー・バハモス・ロス・ブラソス・イ・ノー・バモス・ア・パラール・アスタ・エンコントラール・ラ・ソルシオン(解決策が見つかるまで、ボクらは決して降参したりしない)」と前向きだったんですが、土曜のラス・パルマス戦ではサウルが右サイドに行って、コケがボランチに戻るらしいといった予測も。うーん、今季はシメオネ監督も何だか一貫性がないというか、あまり変えてばかりだと、サウルもコケも混乱してしまうんじゃないかとか、私にも思うところはあるんですが、こればっかりはねえ。

▽その他、火曜に足の指を打撲したヒメネスは2日間で完治して招集リスト入り、先発ではGKがモヤ、右SBがファンフランからブルサリコにといったところが、ビジャレアル戦からの変更点ですが、コレアが累積警告で出場停止になったり、フィリペ・ルイスもまだ回復していないため、午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からの一戦はまた、ビセンテ・カルデロンのサポーターの応現頼みになるのかも。ちなみに来週には火曜のコパ32強対決2ndレグのギフエロ戦(1stレグは0-6の勝利)をプレーして、バケーションに入る彼らですが、できればその前に少しでもリーガの順位を上げて、30日のサウジアラビア遠征、アル・イティハッドとの親善試合に晴れやかな気分の臨んでもらいたいものです。

▽そしてマドリッドの新弟分、レガネスは日曜にエイバルをブタルケに迎えるんですが、こちらもここ4試合勝利がないため、現在は降格圏と勝ち点3差の15位と少々、心もとない状況。多発しているケガ人も年内に戻って来られる選手はいないため、あまり期待はできないんですが、ただこのままのシーズン前半戦、ホームでは1勝だけとなってしまったら、1部での晴れ舞台に夢を抱いていたファンたちだって悲しいクリスマスになってしまうはず。となると、せっかく好調な乾貴士選手には悪いですが、やっぱり年内最後のリーグ戦はホームチームに花を持たせてあげたいですね。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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【原ゆみこのマドリッド】熱いプレーで勝つのが最高だけど…

▽「そうか、もうコパがないのは楽よね」そんな風に私が納得していたのは月曜日。週末のリーガが終わった後、世間がこぞって優勝候補に祭り上げていたセビージャの先の予定を見ていた時のことでした。いやあ、確かに順位表の上では首位と勝ち点1差になったとて、レアル・マドリーはクラブW杯参加で延期したバレンシア戦が未消化のため、実質4ポイントあるようなものなんですけどね。この2週間~4週間もリーガの上位4チーム中、セビージャだけがミッドウィークを休めることに。その上次は最下位のオサスナと対戦となれば、今週末の日曜日からの7日間で3度もバスク(スペイン北部)遠征に駆り出されるアトレティコなど、どんどん差をつけられてしまう危険すらある? ▽ファン心理では、ビルバオ近辺でミニキャンプでも張って、アウェイへの移動時間を節約し、最近のパッとしない試合内容を改善する練習をしてほしいのですが…。選手たちだって、1週間も家族の待つ自宅に帰れないのは辛いだろうと、シメオネ監督は2日おきに3往復、計2344キロメートルを走破することを決定。おまけに良いんだか、悪いんだか、このところ勝つだけは勝っているため、今以上の努力は必要ないと思ってしまうのも人情なんですが…。ただ、このままセビージャに突っ走られたら、目標の3位フィニッシュが危うくなってしまうかも。 ▽まあ、その辺はまだ心配するには早いので今は置いておいて。先週末のマドリッド勢がどうだったかをお伝えしないといけません。土曜日は午後1時からの早い時間帯でマドリッドの新弟分、レガネスがブタルケにアスレティックを迎えたんですが、ベネズエラ人MFのマチスが4回程、GKイライソスと1対1のチャンスを掴みながら、その全てに失敗。おかげで最後まで点を取ることはできなかったのですが、相手も水曜日のコパ16強2ndレグでバルサに逆転負けを喫したショックがあったかのか、そのまま最後はスコアレスドローで終わることに。 ▽いえ、それでもアスレティックのエース、アドゥリスと司令塔のベニャトにイエローカードを出させて、次のアトレティコ戦に累積警告で出場停止という貢献はしてくれたんですけどね。結局、これで昇格1年目の今季前半はレガネスのホームで1勝止まり。降格圏との差は勝ち点5差になったものの、すぐ下の17位につけているバレンシアとはたったの1差になっていまいましたっけ。 ▽そして同日の夕方にはビセンテ・カルデロンに向かった私でしたが、その間にバルサがラス・パルマスに5-0と大勝。それだけに、8分にこぼれ球を拾ったガイタンの足から先制点が生まれた時には場内のファンも大いに沸いたんですけどね。以降はただただ、気温の低下に合わせるように冷え込んでいくばかり。だって、アトレティコはほとんどチャンスを作れないどころか、時間が経つにつれてパスさえまっとうに繋がらなくなっていくんですよ。後半など、もうほとんど最初から1点差での逃げ切りを考えているように、プレーのリズムが落ちていく一方で、シュートなど、ガイタンと交代したカラスコがGKアダンの正面を突いた1本ぐらいだったかと。 ▽幸い相手のベティスに決定力がなく、数日前に髪をプラチナブロンドに染めたセバージョスは活発だったものの、ルーベン・カストロの数度に渡るシュートはGKモヤが処理して失点は免れていました。ただ、どんどん消極的になっていくホームチームには、とうとうpito(ピト/ブーイング)もスタンドからチラホラ聞こえるように。その件に関してシメオネ監督は、「とりわけ89分のコケのプレーだろう。敵エリア前でゴールに向かわず、クロスを上げないでボールをキープすることを選んだ。Me parecio fantastico/メ・パレシオ・ファンタスティコ(私には素晴らしく思えたね)」と言っていましたけどね。時間稼ぎのため、アディショナルタイムにグリーズマンをヒメネスに代えていた辺りからも、今のアトレティコは上位ではないチームが相手でさえ、なりふり構わずいかないと勝てないというのはちょっと悲しかったかと。 ▽そのおかげもあって1-0で試合は終了。リーガ3連勝とした彼らでしたが、どうやら開き直ってしまったようで、アトレティコの不遇時代にも詳しいキャプテンのガビなど、「A la gente le gusta que juguemos bien, pero sobre todo que ganemos/ア・ラ・ヘンテ・レ・グスタ・ケ・フゲモス・ビエン、ペロ・ソブレ・トードー・ケ・ガネモス(ファンはボクらがいいプレーをするのが好きだが、何より勝つのが好きなんだ)。2回続けてパスをミスると、イライラしたファンからブーイングも受けるけど、自分たちは慣れているよ」とコメント。 ▽いや、そこはパスミスに慣れたらダメでしょと、私も突っ込みたくなったんですけどね。「Lo más importante es ganar, el fútbol lindo ya llegará/ロ・マス・インポルタンテ・エス・ガナール、エル・フトボル・リンドー・ジャー・ジェガラ(一番大事なのは勝つこと。美しいサッカーもそのうちできるさ)」と言う、すでにアトレティコ2年目でスペイン語がペラペラになったモンテネグロ人のサビッチのように、楽観的に考えることも必要ですよね。 ▽そして翌日、シメオネ監督の「Alguna duda de que lo que importan son los resultados? Mira quién gana el Balón de Oro/アルグーナ・ドゥーダ・デ・ケ・ロ・ケ・インポルタン・ソン・ロス・レスルタードス?ミラ・キエン・ガナ・エル・バロン・デ・オロ(結果が大事だということに何か疑問があるかい? 誰がバロンドールを獲ったか、見てみればいい)」という言葉ももっともだなという思いに駆られました。というのも、この1月にコパ16強の2試合に続いての同カードとなったお隣さんのセビージャ戦を見たせいで…。最初は「Nos sorprendió la línea de tres de ellos/ノス・ソルプレンディオ・ラ・リネア・デ・トレス・デ・エジョス(相手の3人のラインにウチは驚かされた)」というサンパオリ監督同様、私もスタメンを知って、呆気に取られたんですけどね。 ▽そう、ジダン監督は「Había que cambiar después de jugar tres partidos en 10 días/アビア・ケ・カンビアール・デスプエス・デ・フガール・トレス・パルティードス・エン・ディエス・ディアス(10日間で3度目の対戦だから、変える必要があった)」と、今季はリーガでも多くのチームで見られるCB3人プラスSBのDF5人体制を採用。うーん、そこまで4人DFでコパ1stレグ3-0、2ndレグ3-3と負けていないのですから、素人目には別にヴァラン、セルヒオ・ラモス、ナチョを並べるまでもないかと思ったんですけどね。それにも関わらず、前半のマドリーの動きは美しかったことと言ったらもう。 ▽どの選手もワンタッチでスムースにボールを繋いでいくのに、私が前日の誰かさんのお寒いサッカーとは雲泥の差を感じてしまったのはともかく…。逆に「CBを1人減らし、ボランチを増やして、中盤の人数的優位を狙った」サンパオリ監督のセビージャも、「Increíble. En mitad de la cancha fue un pulpo tanto para recuperar como para jugar/インクレイブレ。エン・ミタッド・デ・ラ・カンチャ・フエ・ウンプウポ・タントー・パラ・レウペラール・コモ・パラ・フガール(信じられないほどだ。ピッチの真ん中ではボールを取り戻すのにもプレーを組み立てるにもタコのようだった)」とお褒めの言葉を賜ったエンゾンジを中心に、レベル的に負けていなかったのは凄いんですが。どちらも得点チャンスにはあまり結び付けられずにハーフタイムを迎えることに。そういう意味では、マドリーにはルーカス・バスケスが、セビージャにはCFがいないのが響いていたのかもしれません。 ▽後半もしばらくは同じ展開だったのですが、形勢がマドリーに傾いたのは65分のこと。エスクデーロのミスからボールを奪ったカルバハルがエリア内に突入したところ、GKセルヒオ・リコが彼を倒してPKを宣告されてしまったから、セビージャの選手はもとより、サンチェス・ピスファンのスタンドがどんなに抗議したことか…。そのPKをラモスではなく、その日はもちろんクリスチアーノ・ロナウドが蹴る前に、「ちょっとバランスを崩してやろうと思って」と、ビトロがPKマークの辺りの芝を足で荒らしていたため、怒ったロナウドがボールを相手の背中にぶつけるという珍しい光景もあったんですが、当人への心理的に影響はまったくなし。キックはしっかり決まって、マドリーが先制点を奪ったんです…。 ▽でも、本当にこの試合は“逆”という言葉が相応しい出来事が多かったんですよ。木曜日のコパでは3-1にされても諦めなかったのはマドリーでしたが、その日の彼らは「después del gol nos hemos relajado/デスプエス・デル・ゴル・ノス・エモス・レラハードー(ゴールの後、ウチは気を緩めてしまった)」(マルセロ)ようで。中には「no hemos sabido menejar los tiempos del partido/ノー・エモス・サビードー・マネハル・ロス・ティエンポス・デル・パルティードー(ボクらは試合の時間をコントロールすることを知らなかった)」(ラモス)という意見もありますけどね。そこは天下のマドリーですから、恥ずかし気もなく1点を守り倒すお隣さんとは心構えが違っていても仕方ない? ▽実際、それ以上に失点にも気落ちせず、ヨベティッチ、サラビアとアタッカーをつぎ込んだサンパオリ監督のチームの熱意が勝ったとも言えますが、85分には先日の試合で同じような時間帯に物議を醸すPKゴールを決めたラモスが再び得点。ただし、この日は方向が逆で、サラビアのFKを小柄なイェデルに先んじてヒットしようと、ヴァランを押しのけてジャンプした弾みにGKケイロル・ナバスを破ってしまったから、さあ大変! いやもう、キックオフ前から悪口のカンティコ(節のついたシュプレヒコール)やブーイングを彼に浴びせるのに余念のなかったセビージャファンたちも、これには拍手喝采するしかなかったかと。 ▽そしてさらにマドリーの専売特許である奇跡のremontada(レモンターダ/逆転劇)はアディショナルタイム2分のことですよ。今度はカルバハルからスローインを受け取ったベンゼマが、ビトロにボールを奪われそのパスがヨベティッチの下へ。するとエリア外から撃ったシュートがナバスの手を弾いてネットに突き刺さり、土壇場でセビージャに決勝点が入るなんて!! いや、マドリーがそれをやるのは私も見慣れているんですけどね。まさか、逆に敵にやられる日が来るなんて、思ってもみませんでしたっけ。 ▽うーん、確かに2-1で負けてしまえば、せっかくの無敗試合もスペイン新記録となった40となった途端に終わりですし、あれだけいいプレーをしたのも意味なく思えてしまえなくはないんですけどね。マドリーに「Le ha faltado cinco minutos/レ・エ・ファルタードー・シンコ・ミヌートス(足りなかったのは5分間)」というジダン監督は、「Sabíamos que iba a pasar un día de estos/サビアモス・ケ・イバ・ア・パサール・ウン・ディア・デ・エストス(こういう日の1つでは起こるだろうことはわかっていた)」と、記録が途絶えたことには達観していたものの、せっかくベンチにはルーカス・バスケス、モラタ、アセンシオ、マリアーノと強力なアタッカーが揃っていながら、クロースをコバチッチに代えただけで、交代枠を使い切らなかったのにはちょっと後悔が残るかと。 ▽まあ、彼らにはあまり悔やんでいる時間もないんですけどね。というのもこの水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)にはコパ準々決勝1stレグのセルタ戦が控えているからで、相手もこの週末はアラベスを1-0で破り、コパ16強対決のバレンシア戦含め、今年になっての4試合全勝中と好調を維持。昨季など、うっかり者のマドリッドのライバルが同じ準々決勝で後れを取ったなんて前例もあるため、絶対的に彼らの方が格上だとしても油断は禁物です。ただ、月曜日のバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習では、前節のグラナダ戦で打撲を受けてこのセビージャ2連戦にはお休みしたイスコも合流していたようですし、ローテーション好きのジダン監督はまた前線のメンバーを変えてくるかもしれませんね。 ▽一方、木曜日午後7時15分(日本時間翌午前3時15分)から、同じコパでエイバルをカルデロンに迎えるアトレティコも日曜日を休養日にした後、月曜日の夕方から練習を再開。しかしセッション開始から20分でマハダオンダ(マドリッド近郊)の施設がapagon(アパゴン/停電)に見舞われるという逆境が…。その後、数分だけ復旧したようですが、またグラウンドの灯りが消え、ジムも同様だったため、選手たちは真っ暗なロッカールームで着替えて、家路をたどることになったとか。うーん、これでまた、火曜日と水曜日の練習だけでやはり、前節はスポルティングに2-3と勝利。セルタに続く9位と、そこそこのところに付けているチームを相手にするのは気が重いんですが、今は辛抱の時。いくら寒いスタンドで彼らのプレーを見るとますます寒くなっても、何とか勝ってくれれば、応援する甲斐はあるってもんですよ。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.17 13:20 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】ヒヤヒヤさせられたものの…

▽「またお客が集まらなさそうな対戦になって可哀想」そんな風に私が同情していたのは金曜日、コパ・デル・レイ準々決勝の組み合わせ抽選の結果を知った時のことでした。いえ、今年は珍しく、この段階になってもマドリーダービーもクラシコ(伝統の一戦、レアル・マドリーvsバルサ戦のこと)も生まれず、4試合のどれもビッグマッチとは言えないんですけどね。12月には1部のエスパニョールを破って16強に進出したマドリッドの2部の弟分、アルコルコンは先週の1stレグでスコアレスドローだった後、この水曜にはアウェイで2-1と同じカテゴリーのコルドバを破って、初の8強入りという大手柄を達成。次こそ、人気チームをサント・ドミンゴ(マドリッド近郊にあるアルコルコンのホーム)に迎えてチケット完売と、フロントも意気込んでいたはずなんですけどね。 ▽それが今回もクジ運に見放されたか、昨季まで一緒に1部昇格を争っていたアラベスと当たってしまうとは、いえ、その分、突破の可能性は高まったのは決して否定しませんよ。と言ったって、他の組み合わせがレアル・ソシエダvsバルサ、マドリーvsセルタ、アトレティコvsエイバルとなれば、一発勝負の決勝はともかく、それこそマドリーと当たって、アルコルコナソ(2009年のコパ32強対決でペレグリーニ監督率いるマドリーを総合スコア4-1でアルコルコンが破った大番狂わせのこと)の再現でもあれば別ですが、ほとんど準決勝を勝ち抜ける可能性はないかと。だったら、ファンも選手も望んでいたであろう、スター選手たちと対戦ができた方が良かったんじゃないかと思ったんですが、なかなか上手い具合にはいってくれないようです。 ▽まあ、それは来週の話なので、今は置いておくことにして、先にマドリー2強の16強対決2ndレグがどうだったかをお伝えしておかないと。先週に続き、火曜に試合をしたのはアトレティコで、実を言うと、こちらも1stレグで0-2と勝っていたせいもあったのか、ビセンテ・カルデロンのスタンドはかなり寂しい様相を呈すことに。ただ、ゲームの方は前半こそ地味だったものの、後半はかなり忙しい展開で、いえ、4分にガイタンがエリア内右奥から出したラストパスをグリースマンがシュート、本人3試合連続となるゴールを決めた時には完全に勝負がついたと誰もが思ったんですけどね。 ▽12分にリバヤにゴディンが後れを取り、同点ゴールを入れられても、その4分後にはコレアがGKとの1対1を制して2点目ゲットと、順調だったアトレティコでしたが、試合終了間際に事態が急変。ええ、すでに勝負の行方が見えていたせいで、選手たちが油断してしまったのもいけなかったんですが、残り1分にリバヤが自身2点目を挙げたラス・パルマスはロスタイムにもビエラのクロスをマテオが決め、その試合のスコアを2-3に。おかげでステイン監督も「si llegamos a evitar los suyos podía haber estado más abierto/シー・ジェガモス・ア・エビタル・ロス・スジョス・ポディア・アベール・エスタードー・マス・アビエルト(相手のゴールを避けられていたら、もっと可能性があったろう)」と後で嘆くことになったんですが、何はともあれ、結果を引っくり返される前に審判が終わりの笛を吹いてくれたのは助かりましたっけ(総合スコア4-3)。 ▽え、それでもシメオネ監督は「Es mas positivo estar en cuartos que lo negativo de la derrota/エス・マス・ポシティボ・エスタル・エンクアルトス・ケ・ロ・ネガティボ・デ・ラ・デロータ(準々決勝にいられることの方が、敗戦によるネガティブな面よりポジティブ)」と、あまり失点を気にしていなかったようじゃないかって?そうですね、途中、左SBで先発したルーカスが太ももの筋肉痛で交代を余儀なくされ、ガビを入れて、中盤の右サイドでスタートしたファンフランを回すといったアクシデントもありましたしね。ゴディンやこの日はCBに戻ったヒメネスらの守備ミスもあったものの、とりあえず、ここを凌いだことで、準々決勝ではリーガの前節で0-2と勝ったばかりのエイバルが相手となりましたし、今週末もリーガの相手はベティスと、それ程の難敵ではなし。 ▽更にその土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からの試合では、このコパ2ndレグを風邪で欠場したガメイロやアキレス腱の負傷がようやく治ったカラスコも戻ってきますし、最近はガイタンもいい働きを見せてくれますからね。トマスがアフリカ・ネーションズカップのために不在、チアゴもまだヒザを故障中と中盤の人材が不足しているのは変わりませんが、せっかく先週末は4位まで上がったリーガですから、ベティス戦でも手堅く勝ち点3を稼いで、3位のバルサにこれ以上、離されないようにしてもらいたいものです。 ▽そして木曜にはお隣さんの試合だったんですが、1stレグではマドリーが3-0で勝っていたものの、興奮度ではこちらの方が遥かに上だったかと。だってえ、サンチェス・ピスファンを満員にしたファンを背に、前半9分にはもうセビージャが1点目を入れているんですよ。実はそれってオウンゴールで、サラビアのクロスをイボラの前でクリアしようとしたダニーロが見事なヘディングで決めたんですが、その後もまったく敵は攻撃の手を緩めず。1-0のままでハーフタイムに入ったのが奇跡のようでしたが、大丈夫、後半開始すぐにセビージャのCKから、GKカシージャのパンチングを拾ったアセンシオが敵エリアまで83メートルを13秒で疾走。最後は1人、追いついたビエットもかわし、そのシュートがGKソリアに当たって同点ゴールになってくれるのですから、有難いじゃないですか。 ▽相手にとっては致命的なマドリーのアウェイゴールでしたが、その日のセビージャは後ろを振り返らないことに決めていたんでしょうかね。9分にはエスクデーロがクロスを上げると、前半終了間際に負傷交代したホアキン・コレアの代わりにピッチに送り込まれた、インテル・ミラノからレンタル移籍してきたばかりのヨベティッチがvolea(ボレア/ボレーシュート)でゴールに。夢のようなデビューを飾りましたが、32分にも彼らはイェデルのシュートをカシージャがこぼしたところをイボラが押し込んで、スコアが3-1になったから、こちらも緊張したの何のって。 ▽だってえ、その日のマドリーは先週の結果に自信を持ったか、クリスチアーノ・ロナウドとモドリッチを連れて来ず、ハメス・ロドリゲスやイスコもケガでお休みだったんですよ。そのすぐ前に、パッとしなかったモラタに代わってベンゼマが入っていたとて、サンパオリ監督も後で「Tuvimos entre 13 y 15 ocasiones claras de gol/トゥビモス・エントレ・トレセ・イ・キンセ・オカシオネス・クラーラス・デ・ゴル(ウチには13から15回のはっきりしたゴールチャンスがあった)」と言っていたように、セビージャの勢いがこのまま続けば、あと2点ぐらい平気で取っちゃうかもしれないじゃないですか。 ▽その最悪のケースに到った場合、誰が逆転のゴールを決めてくれるんだと心配になったんですが、いえいえ、他の選手たちも侮ってはいけません。まず38分には、ビエット同様、アトレティコからレンタルでセビージャにお世話になっているクラネビテルがエリア内でカセミロを倒し、PKを献上。うーん、この時、セルヒオ・ラモスがベンゼマからボールをもらっていたのには、ロナウドもベイルも、ハメスすらいないのをいいことに、またキャプテン権限で主役を張るつもりなのかなと思った私でしたけどね。 ▽どうやら当人にはそれ以上の思惑があったようで、パネンカ風のPKを決めた後のパフォーマンスの凄かったことといったら、もう!ええ、ゴールを入れた側に陣取るビリス(セビージャのウルトラグループ)に向かって、自分の背中のネームを指したり、耳に手を当てて挑発したかと思えば、他の方向には両手を頭上で合わせてお詫びのポーズ。ラモスによると、「En ningún momento falté respeto a la afición/エン・ニングン・モメントー・ファウテ・レスペト・ア・ラ・アフィシオン(ファンに対しては一瞬もリスペクトを欠いていない)。実際、正面席とゴール裏南側には謝った。ボクを侮辱したり、もめたりしない人たちだからね」というのが、そのジェスチャーの理由だったそうですが、何ともややこしかったせいでしょうかね。正直、セビージャファンの大部分は怒っていたように見えましたよ。 ▽それでもビリスのスタンドから、飛んできたペットボトルが彼に当たらなかったのは幸いでしたが、どうやら同じビッグクラブへの移籍組ながら、ラモスには「A Rakitic o Alves se le reciben como dioses. Conmigo, insultan a mi madre/ア・ラキティッチ・オ・アラベス・セ・レ・レシベン・コモ・ディオセス。コンミーゴ・インスルタン・ア・ミ・マドレ(ラキティッチやダニエウ・アウベスはまるで神様のように迎えられるのに、ボクは母親を侮辱される)」という不満もあったよう。うーん、ラモスの時は当時のデル・ニド会長に悪く言われたり、契約破棄金額を払っての移籍だったりしたのもありますが、アウベスとラキティッチはセビージャにタイトルをもたらしてからの栄転だったという背景もありますからね。 ▽自分だけが悪役にされているという被害者意識もいかがなものかとは思いますが、優しいジダン監督は「No estoy contento y Ramos tampoco, no es agradable que te insulten/ノー・エストイ・コンテントー・イ・ラモス・タンポコ、ノー・エス・アグラダブレ・ケ・テ・インスルテン(自分もラモスも満足はしていない。侮辱されるのは気分のいいものではないよ)」と部下をフォロー。ただ、こうなると心配なのはこの日曜、リーガでのセビージャ戦で、マドリーはまたサンチェス・ピスファンに来ないといけませんからねえ。ラモスも毎回、ゴールを入れる訳ではないですが、イボラも「Lo bueno es que dentro de tres días hay revancha/ロ・ブエノ・エス・ケ・デントロ・デ・トレス・ディアス・イ・レバンチャ(3日後にはリベンジできるのはいいことだ)」と言っていたように、きっとまた激しいブーイングに耐えないといけないんでしょうね。 ▽え、この時点で試合のスコアは3-2、総合スコアでは勝っているけど、マドリーの無敗記録は39試合で途絶えてしまったのかって?いやあ、それがあのチームの凄いところで、remontada(レモンターダ/逆転劇)の主役の常連、ラモスはPKパフォーマンスで満足したか、その後は静かだったんですが、ロスタイム2分にベンゼマが得点。それもマルセロとtaconazo(タコナソ/ヒールキック)ワンツーをして、エリア内に持ち込むと、最後はやはり、この日セビージャデビューをしたCBレングレに当たって軌道が変るシュートで同点ゴールを決めてしまったから、ビックリしたの何のって。 ▽ええ、これでスコアは3-3。そのまま試合が終了したため、ジダン監督は40試合の連続無敗スペイン新記録を達成することに。いやあ、まったくその辺は伝統のレモンターダ根性はダテではないというか、アトレティコに比べて、しっかりしているというか、感心するしかないんですけどね。日曜午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からの試合では、今度はロナウドを含めたベストメンバーで挑むことになると思いますが、果たしてこの記録、どこまで伸びるのやら。うーん、セビージャもお休みしたエンゾンジやマリアーノ、”ムード”・バスケスらが出て来るはずですが、常識的には消化試合のはずだったコパでさえ、このエキサイトぶりとなると、勝ち点差は4ながら、1位と2位のガチンコ対決となるリーガ戦はどんな凄い有様になるのか、誰にもわからないかと。 ▽何だか、私も見るのが怖くなってきますが、順位的にはコパは敗退済みで、今週はずっと練習に励むことができたレガネスがアスレティックをブタルケに迎える土曜の試合もかなり重要。というのも、前節で引き分けたバレンシアが勝ち点3に迫っていて、下手をすると、レガネスは降格圏ギリギリの17位まで落ちてしまう恐れがあるから。いえ、相手は水曜にカンプ・ノウでバルサとコパ16強対戦の2ndレグを戦い、しかも3-1で負けて、総合スコア3-4の逆転敗退という精神的ショックも受けているんですけどね。とはいえ、エースのアドゥリスは後半まで温存されていましたし、まだそんなに冬期市場での補強が進んでおらず、得点力の低いマドリッドの弟分には厳しい戦いになるかと。 ▽それでも彼らは幸いGKだけは獲得していて、12月に緊急加入したエレリンがレンタル元との契約条項で出場できなくても、前節のベティス戦に続いて、これが2試合目となるアルゼンチンから来たシャンパネが頑張ってくれるはずですが、いい結果が出せるかどうか。何せ、あと2試合でシーズン前半戦もお終いですからね。できれば、今週こそ、1部でのホームゲーム2勝目を挙げて、なるたけ危険なゾーンから離れた位置で折り返してくれると、私も嬉しいんですが…。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.14 09:30 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】今は地道に勝っていくしかない…

▽「このまま独走されたら、たまらないなあ」そんな風に私が愚痴っていたのは月曜日、リーガ第17節後の順位表を見てのことでした。いやあ、クラブW杯のせいでバレンシア戦を延期したレアル・マドリー以外、全ての上位チームが白星で揃い踏みした去年最後の節とは違い、先週末はレアル・ソシエダやビジャレアルが勝てなかったため、アトレティコも何とかヨーロッパリーグ出場圏の6位から、CLのプレーオフに出られる4位まで上がることができたんですけどね。首位に君臨しているお隣さんもしっかり勝ったため、結局、消化試合が1つ多い状態で勝ち点差9という根本はまったく変わりがないんですから、ちょっと私が空しくなってしまっても仕方ない? ▽とはいえ、そのマドリーが珍しく午後1時という、昼間の時間帯に当たった土曜の試合の相手は降格圏にいるグラナダでしたからねえ。ちょうどその前日はDia de los Reyes Magos(ディア・デ・ロス・レジェス・マゴス/東方三賢人の日、スペインでは子供たちがプレゼントをもらう習慣がある)だったため、サンティアゴ・ベルナベウを訪れた家族連れも選手たちが贈り物をしてくれるのを期待していたかと思いますが、お愉しみはキックオフ前にクリスチアーノ・ロナウドが昨年、受賞したバロンドールのトロフィーを披露しただけに留まらず。ジダン監督も先週ミッドウィークのコパ・デル・レイ16強対戦1stレグと打って変わって、ロナウドとベンゼマを惜しげもなく先発で起用したんですが、ただし、前半13分に先制点で早くもスタンドを沸かせてくれたのは、BBCの負傷メンバー、ベイルの代わりに前線に入ったイスコでした。 ▽ええ、ベンゼマからパスを受けて、エリア内から撃ったシュートがGKオチョアを破ったんですが、これなどはまだ序の口すぎず、続いて21分にも、今度はモドリッチのシュートが弾かれたところをベンゼマが押し込んで2点目をゲット。更に27分にはマルセロのクロスをロナウドがヘッドで叩き込んだかと思えば、それから4分後には再びイスコがモドリッチのキラーパスにゴール前で合わせ、気が付けば、30分強で4点差のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)になっているとなれば、2シーズン前、やはりお昼の試合で9-1の大敗を喫した悪夢を思い出していたグラナダ関係者も多かったかも。 ▽それでもハーフタイムの後は、グラナダが「Los segundos 45 minutos teniamos que competir como si fueramos 0-0/ロス・セグンドス・クアレンテアイシンコ・ミヌートス・テニアモス・ケ・コンペティール・コモ・シ・フエラモス・セロ・ア・セロ(後半45分間、ウチは0-0であるかのように競わなければならなかった)」と意地を見せたため、追加点は13分、クロースと交代で後半から出場したハメス・ロドリゲスの蹴ったFKをカセミロが決めた1点だけに留まったんですが、最終スコアは5-0ですからね。おかげで昨年から続いている公式戦無敗も39試合となり、ルイス・エンリケ監督がバルサで作ったスペイン最長記録に並んだとなれば、ジダン監督が「Es nuestro mejor momento desde que soy entrenador/エス・ヌエストロ・メホール・モメントー・デスデ・ケ・ソイ・エントレナドール(自分が監督となって以来、ウチの最高の瞬間)」と喜んでいたのも当然だったかと。 ▽え、先日のコパ・デル・レイ16強対戦1stレグ、セビージャ戦もそうだったけど、今年のマドリーは前半から、随分、飛ばすようになったじゃないかって?そうですね、「El mister nos pide que presionemos arriba y como estamos bien fisicamente podemos/ル・ミステル・ノス・ピデ・ケ・プレシオネモス・アリバ・イ・コモ・エスタモス・ビエン・フィシカメンテ・ポデモス(監督は高い位置でのプレスを頼んでいて、ボクらもフィジカルがいい状態だから、それができるんだ)」とモドリッチも言っていたように、クリスマスのバケーション後、ミニプレシーズンとして、ピントゥス・フィジカルコーチに課された体力アップメニューがいい結果を出しているのだとか。 ▽それだけでなく、そのセビージャ戦で2ゴールを挙げたハメス・ロドリゲスに続き、この日も同じ控え組のイスコが2得点と、どちらもベイルの長期離脱で回ってきたチャンスをしっかり生かしてくれているとなれば、ジダン監督も笑いが止まらないかと思いますが、次に控えているのは木曜にはコパの2ndレグ、そして日曜にはリーガでサンチェス・ピスファンに乗り込むセビージャ2連戦。何せ、相手は年明け最初の試合で3-0とマドリーに一蹴された悔しさをバネにしたか、同じ土曜にはレアル・ソシエダを0-4で粉砕。実のところ、彼らは昨年12月からハットトリックラッシュで、イボラ、ビトロと続いた後、3部のフォメンテラとのコパ32強対決2ndレグでビトロと共に3得点を挙げたイェデルがソシエダ戦でまたハットと、固め撃っているため、カシージャ、ケイロル・ナバスの両GKも決して油断はできないかと。 ▽そこへ加えて、日曜にはバルサがビジャレアルとメッシのFKゴールで1-1と引き分けるのに留まったため、セビージャがリーガ2位に上昇し、勝ち点差は4あるものの、今やマドリーに一番近いライバルとなったとなれば、日曜は大いに盛り上がること間違いなしなんですが、まあ、木曜午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)キックオフのコパ2ndレグはねえ。よっぽどのことがない限り、1stレグの3点差が引っくり返されることはないはずですし、どちらもリーガの決戦に備えての予行演習みたいになるかもしれませんね。 ▽一方、そのマドリーの次の時間帯でエイバルに挑んだアトレティコはどうだったかというと。うーん、こちらもまだ日の出ているうちの試合だったんですが、スペイン北部のためか、イプルアのピッチが半分凍結。それは元々、ボール扱いに長けている訳ではないアトレティコの選手たちには関係なかったようですが、前半は地の利のある相手に圧倒されてしまうことに。このところ、シメオネ監督が実験を続けていたヒメネスがボランチとして先発デビューしたため、実質、CB3人状態となり、何とか失点こそ免れていましたが、この日、ガメイロに代わってCFに入ったフェルナンド・トーレスもチャンスには恵まれず、両チーム無得点のまま、ハーフタイムに入ります。 ▽後半の頭からは、「Veia que Inui estaba bien/ベイア・ケ・イヌイ・エスタバ・ビエン(乾選手が良かった)し、イエローカードをもらっていたから、退場で選手を失う危険を犯したくなかった」(シメオネ監督)という理由でブルサリコをファンフランに代えたアトレティコでしたが、ようやく8分には先制点を奪うのに成功。そう、コケの蹴った短いCKから、フィリペ・ルイスが上げたクロスをサウルがヘッドしてゴールに。リプレーではオフサイドの位置にいた彼ですが、線審に見咎められなかったため、スコアボードに上がってくれたのは幸運でしたっけ。 ▽おかげで少し余裕のできたアトレティコは29分にもカウンターから、グリースマンがトーレスの代わりに入ったガメイロとの連携で2点目を追加。先日のコパ16強対戦1stレグ、ラス・パルマス戦に続いての得点ですが、これでリーガでも去年の10月2日以来となるゴール日照りから脱却となれば、試合後、「Dependemos mucho del estado de forma de Griezmann/デペンデモス・ムーチョ・デル・エスタード・デ・フォルマ・デ・グリースマン(ウチはグリースマンの状態に大きく頼っている)」と認めていたシメオネ監督もどんなに安心したことか。 ▽結局、そのまま失点はせず、0-2で手堅く勝利したアトレティコは目標の3位まであと一歩と迫ったんですが、2017年を1分け1敗で始めたバルサもそうそう、不調のままではいないでしょうからね。勝ち点差も4あるため、ここを逆転するには少々、時間がかかるかもしれませんが、まあ、こればっかりは気長に勝ち続けていくしか、手立てはありません。何にせよ、今週はまず、火曜の午後9時15分からラス・パルマスとのコパ16強対戦2ndレグが控えている彼らなので、先週、0-2で勝利した1stレグの成果をムダにせず、しっかり準々決勝進出を決めてもらいたいものです。 ▽そして週末には土曜にベティスをビセンテ・カルデロンに迎えて、再びリーガ順位の改善を目指す彼らですが、残念なことに、今季のカレンダーでは常に兄貴分の相手に先んじて当たるレガネスは日曜の試合で2-0と負けてしまうことに。いえ、出場停止のエレリンの代わりに移籍早々、スタメンに入ったGKチャンパネはまずまずの出来だったんですけどね。後半にルーベン・カストロとピッチーニにゴールを浴び、味方の反撃も実らなかったため、デビュー戦を白星で飾ることはできませんでしたっけ。ただ、彼らはマドリッドの先輩たちと違い、すでにコパの重荷からは解放されているため、次の試合は土曜のアスレティック戦。 ▽世間の目がコパに向いているミッドウィークを心おきなく練習に費やせますし、相手は水曜にバルサとのコパ16強2ndレグ、しかも1stレグで2-1と勝利しているため、突破を決めようとカンプ・ノウで全精力を使い果たすはずですから、ホームで彼らを迎え撃つレガネスにも勝つチャンスはあるかも。何せ、現在16位で降格圏の外にいる彼らとはいえ、勝ち点差は4と、それ程余裕がある訳ではありませんからね。昨年中はブタルケで1勝しかできず、初のリーガ1部の晴れ舞台に張り切って応援に駆けつけているファンをあまり喜ばせてあげられなかったのも気の毒ですし、この新しい年は何とか運気が変ってくれるといいですよね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.10 12:30 Tue
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【原ゆみこのマドリッド】忙しい月が始まった…

▽「主力が揃い踏みすればいいってもんでもないらしい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日。コパ・デル・レイ16強対戦1stレグの結果を眺めていた時のことでした。いやあ、ようやく2週間のクリスマス休暇が終わり、年明け最初の試合ではどのチームの選手も体力気力が十分に回復。元気満々で挑むものと思ったんですけどね。意外だったのは、年末最後のコパ32強対戦2ndレグ前からお休み入りしていたMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)プラス、ピケを並べて、サン・マメスでアスレティックと対戦したバルサで、ラウール・ガルシアとイトゥラスペの退場で9人となった相手にアドゥリス、ウィリアムスに先制された2点を最後まで返せず。メッシのFKゴールによる1点だけで、2-1と負けてしまうとは一体、どうしたことしょう。 ▽それと対照的だったのはレアル・マドリーで、長期離脱中のベイルはともかく、ジダン監督は元気なBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)のメンバーも温存。こちらはライバルが現在、リーガ3位と好調なセビージャですし、去年の公式戦は12月18日のクラブW杯決勝で終了。そこから即休暇入りと、他のチームより日数が空いていたため、titular(ティトゥラル/レギュラー)を並べても全然、おかしくはなかったんですが、前線をsuplente(スプレンテ/控え)だけで構成してもまったく差し障りがないのが、今のマドリーの凄いところかと。 ▽ええ、この結果なら、来週の2ndレグでも主力は次の週末、しかもそれがまた、サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦というのは皮肉ですが、リーガの試合に向けてお休みさせることができますし、今週末の彼らは降格圏19位にいるグラナダと対戦ですからね。となると、昨季バルサが作ったスペイン勢の公式戦無敗記録39試合を抜いても、まだ当分、記録更新となりそうですが、もしかしたら、まだ対戦相手がわからないコパの準々決勝が山場になる? うーん、と言ってもまだ突破が確実そうなのはマドリー以外、1stレグでボロ暫定監督率いるバレンシアに1-4で勝ったセルタ、オサスナを0-3で破ってカパロス監督の解任を引き起こしたエイバルぐらいなんですけどね。ここにバルサとアトレティコが混じれるかは来週、ミッドウィークの試合を待たないといけないんですが…。 ▽え、それでもアトレティコはラス・パルマス戦の1stレグにベストメンバーを並べて、そこそこ満足いく結果を出しただろうって? まあ、その通りで、火曜日の一戦では24分にベルサリコのクロスを敵DFにクリアされたボールをコケがシュート、混雑したエリア内を通り抜けて決まった1点で先制。50分にはそのコケが起点となって、センターから放ったロングパスがブルサリコに届き、そのクロスをガメイロ、グリーズマンが頭で繋いで2点目を挙げてくれます。コケも後で「Nos ha venido muy bien este paron, a mi y a todos, para descansar/ノス・ア・ベニードー・ムイ・ビエン・エステ・パロン、ア・ミー・イ・ア・トードス、パラ・デスカンサール(ボクにも皆にも休息を取るのに、このお休みはとても良かった)」と言っていたように、これでようやく、去年の11月23日から続くグリーズマンのゴール日照りが解消されたのはありがたかったんですが、中にはガメイロのように相変わらず、チャンスをムダにし続けているFWもいたのはちょっと心配だったかと。 ▽それでも2週間前のリーガでの対戦同様、相手が「al final toda esa posesion no la hemos convertido en acciones de peligro/アル・フィナウ・トーダ・エサ・ポセシオン・ノー・ラ・エモス・コンベルティードー・エン・アクシオネス・デ・ペリグロ(結局、このボールポゼッションの全てをウチは敵に危険なプレーに繋げられなかった)」(ステイン監督)ため、前回よりは少しだけ進歩した0-2で勝利を収めたアトレティコでしたが、点を取った後もあまり気を緩めずに、「El equipo ha vuelto a ser solido, intenso/エル・エキポ・ア・ブエルトー・ア・セル・ソリドー、インテンソ(チームに堅固さとプレーの激しさが戻った)」(フィリペ・ルイス)のは褒めてあげないといけません。 ▽実際、昨年のコパ32強対決ギフエロ戦2ndレグや12月30日のサウジアラビアのアル・イテハドとの親善試合から、シメオネ監督が始めたファンフランを右中盤に上げ、右SBのブルサリコと併用、CBヒメネスの守備的ボランチとしての起用といった実験的布陣も上手くいっているようですしね。この調子でグリーズマンにゴールが戻ってきてくれれば、とりあえず来週火曜日の16強対戦2ndレグは無事乗り切れる? ちなみにそんなアトレティコは翌水曜日にビセンテ・カルデロンで公開練習を実施。スタンドに駆けつけた5000人のファンに胸を張って新年の挨拶をしたんですが、この週末には再び、厳しい現実を突きつけられることに。 ▽ええ、クリスマス期間は努めて忘れるようにしていましたが、現在彼らのリーガ順位はヨーロッパリーグ出場権しかもらえない6位。首位のお隣さんとは消化試合が1つ多い状態で勝ち点9差、2位のバルサとも6差ですからね。この土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのエイバル戦でも総力を挙げて、勝ち点3を獲っていかないといけないんですが、今のところ、まだアキレス腱を痛めて別メニューで調整しているカラスコは復帰できるか不明のよう。その他ではガメイロの代わりにフェルナンド・トーレスが先発CFとして入りそうですが、相手はコパのオサスナ戦でローテーションをかけているだけに、体力満々で出てくるだろうペドロ・レオンや乾貴士選手には気をつけないといけませんよね。 ▽そして水曜日の夜にはマドリーがサンティアゴ・ベルナベウにセビージャを迎えたんですが、最初にお話ししたようにロナウドは招集外、ベンゼマもベンチで待機させて、ジダン監督はモラタ、ハメス・ロドリゲス、アセンシオの3人のアタッカーで試合をスタート。それでも先制点を挙げるのに大して時間はかからず、開始10分にはカゼミロがエリア前でエンゾンジから取り戻したボールをハメスがゴール左端に決めて、あっさりゴールを奪ったかと思えば、その4分後にはモドリッチのchilena(チレナ/オーバーヘッドシュート)がポストを直撃する惜しいチャンスも生まれることに。 ▽更にこの日は今週になって左ふくらはぎを痛めたペペに加え、セルヒオ・ラモスもクラブW杯決勝こそ、無理をして出場したものの、その前から痛めていた筋肉の負傷のため、休んでいたんですが、29分にはクロースのCKをヴァランが頭で叩き込み、攻守両面でキャプテンの不在を感じさせない働きをしてくれたとなれば、続く絶好のチャンスでモラタがGKセルヒオ・リコに弾かれてしまったとて一体、何の不足がある? ▽逆に「En el primer tiempo fuimos sorprendidos por la intensa presión del Madrid/エン・エル・プリメール・ティンポ・フイモス・ソルプレンディードス・ポル・ラ・インテンサ・プレシオン・デル・マドリッド(前半、ウチはマドリーの強烈なプレスに驚かされた)」(サンパオリ監督)というセビージャはイボラやビトロのシュートが決まらず、ハーフタイム直前にはマリアーノがモドリッチをエリア内で倒してPKまで献上。これもハメスが決めて、3-0としたため、ジダン監督曰く、「Hicimos un partido casi perfecto, 45 minutos espectaculares/イシモス・ウン・パルティードー・カシー・ペルフェクトー、クアレンタイシンコ・ミヌートス・エスペクタクラーレス(ほぼ完ぺきな試合をした。スペクタクルな45分だった)」前半で、ほとんど勝負がついてしまいましたっけ。 ▽え、前線にはベイルがケガをして以来、代役を務めていたルーカス・バルケスも負傷していたため、あまりプレー時間の多い選手はいなかったものの、これは中盤をクロース、モドリッチ、カゼミロのベストトリオで固めたジダン監督の作戦勝ちだったんじゃないかって? そうですね、結局、セビージャは後半もチャンスは作ったものの点を取ることはできず、試合はそのままのスコアで終わったんですが、まだ年明け1戦目のため、「Hicimos uno de los mejores partidos del año/イシモス・ウノ・デ・ロス・メホーレス・パルティードス・デル・アーニョ(今年最高の試合の1つだった)」(カゼミロ)というのはちょっと気が早いような気がしますが、やはりこの3人が揃っていいプレーをしてくれたのは大きかったかと。 ▽ただ、この一戦で誰よりアピールに成功したのはハメスで、いえ、当人がピッチに出る機会のなかったクラブW杯決勝後に移籍を仄めかすようなコメントをしたため、元から注目の的ではあったんですけどね。それでもdoblete(ドブレテ/2得点のこと)で気分を良くしたか、試合後には「No, no, me quedo, me quedo/ノー、メ・ケド(いや、自分は残る)」とこの冬の退団を強く否定。「今のボクはいい感じだし、誰だって悪い時を過ごすことはあるさ。Pero es un año nuevo y una nueva vida/ペロ・エス・ウン・アーニョ・ヌエボ・イ・ウナ・ヌエバ・ビダ(でも今は新しい年だし、新しい人生だ)」とのことですが、そうですね。ジダン監督のローテーション政策を見る限り、コパの続く1月はプレー機会が増えそうですし、ハメスも不満を溜めることはないかも。 ▽それも土曜日午後1時(日本時間午後9時)からのグラナダ戦から、先発復帰を指揮官に保証されたロナウドやベンゼマ、すでにボールを使った練習を始めているルーカス・バルケスらが戻って来て、再びベンチ生活が続くとまた、その気がどう変わるかわからないんですが、FIFA処分のせいでこの冬の移籍市場では選手の新規登録ができないマドリーですからね。これから負傷者が増える可能性もありますし、まだ先の長いシーズン後半、今いる選手たちにはやる気を失わずに続けてもらうことが肝心。そういう点においても上手くチームを操縦しているジダン監督の手腕は評価されるべきですよね。 ▽そして新弟分のレガネスがベティスとアウェイ戦で日曜日に対戦して、マドリッド勢の年明け最初のリーガ戦が終わるんですが、コパでは32強対戦でバレンシアに敗退して、これが今年最初の試合となるアシエル・ガリターノ監督のチームには新年早々、新しいGKが加わるという朗報が。ええ、去年最後のエイバル戦でエレリンが退場となり、このベティス戦に出られないのがずっと懸念されていたんですが、正GKセランテスの長期離脱でアスレティックから緊急レンタルとなった彼同様、アルゼンチン1部リーグのオリンポ・デ・バイア・ブランカから加わった31歳のチャンパンもこの週末、到着早々のデビューとなるようです。現在、16位とまだ降格圏に近いレガネスですが、この試合に勝てば、14位の相手を追い抜くことも可能ですからね。幸先いい1年を始めるためにも白星を掴めるといいんですが…。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2017.01.07 08:45 Sat
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【原ゆみこのマドリッド】ようやく休暇が終わった…

▽「まったく年の瀬だっていうのに忙しい」そんな風に私が首を振っていたのは金曜日、バレンシのプランデッリ監督辞任の報を知った時のことでした。いやあ、クリスマスのparon(パロン/休止期間)が始まって早々にはマラガのファンデ・ラモス監督が、コパ・デル・レイ32強対戦で2部のコルドバに2連敗、総合スコア3-6で敗退してしまったせいだったんでしょうかね。いきなりアル・タニ会長からツィッターで別れを告げられた後、この木曜には後任が同監督のスタッフを務めていたマラガOBでもある”ガトー”・ロメロ氏に決まったというニュースにも驚かされたんですけどね。 ▽予算的に期待通りの補強が叶わないと見て、ピーター・リン会長に辞表を出したプランデッリ監督の方はいよいよ、バケーションも終わってチームが練習を再開する直前の話だったとなれば、年明けは心機一転、レガネスを倒して進出したコパ・デル・レイ16強のセルタ戦1stレグも3日には控えていますしね。現在降格圏落ちをギリギリで免れているリーガ順位も改善しようと意気込んで、パテルナ(バレンシア郊外にある練習場)に出勤するつもりだった選手たちもどんなにショックだったことか。 ▽いえ、今季、4節でアジェスタラン監督が解任された時も中継ぎ役を務め、今回も後釜が決まるまで、緊急出動することになった本職、チーム付き役員のボロ監督は前回、担当した3試合を2勝1敗で乗り切り、過去にも同様の状況で常にいい成績を残しているため、再び彼が戻ってきてくれて、ファンがホッとしている面もあるはあるんですけどね。 ▽ただ、今季は早くも2度目の監督交代となったバレンシアは極端としても、グラナダ(パコ・ヘメスからルーカス・アルカラス)、オサスナ(エンリケ・マルティンからカパロス)、ベティス(グスアボ・ポジェからビクトル・サンチェス)、そしてマラガとまだシーズンも折り返していないのに、指揮官の首をすげ替えるチームはすでに5つ越え。私もようやくTV映像などで顔なじみなった頃、いつの間にか違う監督になっているのには当惑させられたりもしたものですが、未だにグラナダやオサスナが降格圏から脱出できてないように、上が代わったとて、選手たちは同じですし、なかなか即成績向上という訳にはいかないのは気の毒ですよね。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週はマドリッド勢も休暇が終わり、火曜からは先陣を切ってレアル・マドリーがバルデベバス(バラハス空港の近く)でセッションをスタート。バケーション前最後の試合が18日のクラブW杯決勝鹿島アントラーズ戦と、その次のミッドウィークにコパ32強対戦2ndレグを戦ったアトレティコやレガネスより早かったためですが、選手たちの中には、足首の手術をして、復帰予定が2月のベイルは当然としても、ペペやルーカス・バスケス、コバチッチら、まだ休暇前からの負傷が治りきっていないメンバーもいたとか。 ▽とりわけ後者2人は全治に2週間程かかるそうで、年明け4日の水曜日午後9時15分(日本時間翌午前5時15分)、リーガの上位陣対決となったセビージャとのコパ16強対決1stレグには間に合わないのが確定。まあ、といってもベイルの代わりのアタッカーにはイスコやアセンシオ、ハメス・ロドリゲスら、中盤も今はモドリッチ、クロース、カセミロが戻っているため、人材には事欠いていないマドリーですからね。2016年はCLとユーロ大会で優勝、バロンドールも受賞して最高の年になったと認めているクリスチアーノ・ロナウドも、自身のインスタグラムにクリスマソングをセミヌードで歌う姿を掲載(https://www.instagram.com/p/BOp9PdXAF9R/?taken-by=cristiano&hl=ja)したりして、相変わらずご機嫌なようですし、ジダン監督の無敗記録更新にはそれ程、支障ないような。 ▽ちなみに金曜の彼らは恒例のクリスマス期間に行う年1回の公開練習を実施して、バルデベバスの敷地内にあるアルフレド・ディ・ステファノ・スタジアムに5000人のソシオ(協賛会員)を招待。ピッチにジダン監督が獲得した3つのトロフィー(CL、UEFAスーパーカップ、クラブW杯)を展示したり、選手たちもスタンドにボールを投げ込むなど、ファンサービスに努めていたようですが、セッション後は全員がサンティアゴ・ベルナベウに移動すると、今季は日本行きがあったせいでしょうかね。例年より遅めのComida de Navidad(コミーダ・デ・ナビダッド/クリスマス昼食会)に参加することに。 ▽そしてクラブ幹部、マドリーのバスケットチームメンバーらも参加したパルコ(貴賓席)前ホールでのランチの後にはジダン監督、ラソ監督を始め、各選手が市内の病院を訪問し、病気の子供たちにプレゼントを配っていましたが、練習は大晦日も続行。ここ毎年そうなんですが、年明けすぐに試合があるため、元旦こそお休みしても、それ以外はずっとトレーニングというのは、コパを勝ち上がっていくと、1月中全てのミッドウィークが潰れるハードスケジュールに備えるためとはいえ、本当に大変ですよね。 ▽え、それで水曜夕方からマハダオンダ(マドリッド近郊)で練習を始めたアトレティコの方は何をやっているのかって?実はこちらは早くも試合をしていて、いえ、その28日はDia de Inocente(ディア・デ・イノセンテ/スペインのエイプリルフール)ということで、グリースマンがRNE(スペイン国営ラジオ)のドッキリ番組の犠牲者になったなんてこともあったんですけどね。おまけにアトレティコはマドリッド州政府のinocentada(イノセンターダ/嘘)の対象にもされ、「新スタジアムへの引っ越し手続き認定が間に合わず、来季はサンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーと交代でホームゲームを行う」なんて公告がまことしやかにアップされていたりしたんですが、どうやらワンダ・メトロポリターノ・スタジアムから一番近いメトロ(地下鉄)の駅、7番線のエスタディオ・オリンピコ駅がエスタディオ・メトロポリターノ駅に8月から改名されるというのは本当のよう。 ▽それはともかく、翌木曜にも練習を続けた彼らは夜にはサウジアラビアに向けて出発。ジッダのキング・アブドゥラー・スタジアムを満員にして、創設90周年記念を祝うアル・イテハドと金曜に親善試合を行ったんですが、この休み明けの足慣らしではチームのいいところと悪いところがくっきり現れてしまうことに。 ▽ええ、バケーション入り直前のコパ、ギフエロ(2部B)戦に続き、再び右の中盤に入ったファンフランが前半23分、ガビのループパスを右足外側で浮かせてシュート。2試合連続のゴールで先制点を挙げてくれたのは、「Ha jugado toda la vida ahí/ア・フガードー・トーダ・ラ・ビダ・アイー(彼はずっとあそこでプレーしていた)し、常に攻撃的にいい選択肢を与えてくれる。今のブルサリコの好調と共にウチの右サイドに新しい可能性が生まれた」とシメオネ監督が言う通りなんですが、その1点で安心してしまうという、ここ最近のチームの悪癖は変わらず。 ▽うーん、年明けの連戦を鑑みて、ゴディンをこの遠征に連れて来なかったのも悪かったのかもしれませんけどね。前半終了直前、ケガから復帰したフィリペ・ルイスを含めて、ヒメネス、サビッチのCBコンビが敵に後れを取り、モハムド、アカイチに連続ゴールを許してしまうんですから、たまったもんじゃありません。それでも6人を入れ替えた後半には、今度はポジションをボランチに移したヒメネスが発奮。18分にはエリア内で敵のハンドを誘い、フェルナンド・トーレスのPKゴールのお膳立てをしたかと思いきや、26分にはコレアの放ったFKに頭で合わせ、とうとう逆転ゴールを奪ってくれたとなれば、シメオネ監督の実験も悪い結果ばかりではなかった? ▽結局、これで2-3として勝ったアトレティコでしたが、気になるのはこの日もグリースマンのゴールは見られなかったことで、もう無得点が2カ月近く続いていますからね。年明けには運気が変わって、また以前のようにガンガン、ゴールを入れてくれるようになるといいんですが、こればっかりはわかないのが辛いところかと。試合後、すぐ帰りの飛行機に乗ったチームは5時間のフライトを経て、早朝5時にバラハス空港に到着。大晦日も練習して、3日午後9時45分(日本時間翌午前5時45分)からのコパ16強対決、アウェイでのラス・パルマス戦1stレグに備えることになりますが、ジッダといい、カナリア諸島といい、暖かいところでの試合が続くのは、選手たちもちょっと嬉しいかもしれませんね。 ▽そして最後にコパの重荷から逃げることがマドリッドの新弟分、レガネスなんですが、こちらは年明け最初の試合が8日のリーガ、ベティス戦ということで、練習再開も木曜と遅め。ただその間もフロントは活発に動いていたようで、金曜にはオリンピアコスからレンタルで28歳のギリシャ人CBシオバスを獲得しています。更にGKの補強にも動いているようで、何せヒザの靭帯断裂で今季絶望となってしまった正GKセランテスの代わりに、12月にはアスレティックから来てくれたエレリンが年内最終節のエイバル戦で退場。ベティス戦は出場停止となってしまうばかりか、その次のアスレティック戦も契約条項でプレーできないんですよ。 ▽そのため、控えがリーガ1部初体験のバリオスだけでは不安ということでしょうが、まあ、それを言ったら、昇格組のレガネスだけにキリがないですからね。ここまでの戦いを見る限り、FWや攻撃的MFを増やして、課題の得点力も上げておきたいところですが、予算も限られているクラブだけにどうなることやら。幸い、年越えは降格圏から嬉しい勝ち点差4でできたことですし、何とかこのまま残留を勝ち取ってもらいたいものですが、2017年は彼らにとって、果たしてどんな年になるのでしょうか。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.01.01 09:44 Sun
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