【原ゆみこのマドリッド】余裕がありすぎる…2016.12.03 11:10 Sat

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▽「でも見ちゃうわよね」そんな風に私が異論を唱えていたのは、いよいよ今季のリーガ・クラシコ(伝統の一戦、バルサvsレアル・マドリー戦のこと)が翌日に迫った金曜日。やはり土曜日に試合を控えたアトレティコのシメオネ監督の記者会見をTVのニュースで見た時のことでした。いえ、「No creo que la gente del Atlético vea mañana el Clásico, sino que va a pensar en lo nuestro/ノー・クレオ・ケ・ラ・ヘンテ・デル・アトレティコ・ベア・マニャーナ・エル・クラシコ、シノ・ケ・バ・ア・ペンサル・エン・ロ・ヌエストロ(明日、アトレティコの人々がクラシコを見るとは思わない。むしろ自分たちのことを考えるだろう)」という監督の言葉、選手やスタッフのことを指すのなら、丁度、その時間は常宿のホテルでビセンテ・カルデロンに向かう前最後のミーテイングでもしているでしょうから、ありえなくはないんですけどね。

▽一般のアトレティコファンにしてみれば、バルサの力を借りて、永遠の宿敵との勝ち点差を減らす願ってもないチャンス。ただ、それでも現在9ある差が6になるだけですが、年内最後となる16節、マドリーはクラブW杯で日本に行くため、そのバレンシア戦は来年以降にプレーすることに。要は勝ち点差を3まで縮めて年を越すことも可能となれば、同じ土曜日でもクラシコと午後8時45分(日本時間翌午前4時45分)からのアトレティコvsエスパニョールは十分、間が空いていますからね。ついついTVの前に座ってしまうと思うんですが、さて。2位のバルサが負けた場合でも、アトレティコが勝てば彼らに勝ち点で並べますから、やっぱり目を離せないファンは多いんじゃないでしょうか。

▽まあ、クラシコの話はまた後でするとして、先に今週のコパ・デル・レイ32強対決でマドリッド勢がどうだったかお伝えしておくことにすると。初日の火曜日にバレンシアとの1stレグに挑んだのは新弟分のレガネスだったんですが、案の定、このところ続く負傷禍に気力がついていかず。ムニル、メドラン、バッカリにゴールを決められて、就任以来、リーガで1勝しただけのプランデッリ監督に1-3の快勝をプレゼントすることに。うーん、アシエル・ガリターノ監督も試合後は「La eliminatoria esta imposible/ラ・エリミナトリア・エスタ・インポシーブレ(勝ち抜けは不可能だ)」とまだ、2ndレグもあるにも関わらず、あっさり白旗を挙げていましたしね。

▽木曜日にはヒザの靭帯断裂で今季絶望となったGKセランテスの代わりにアスレティックから、エレリンがレンタルで来てくれることも決まり、この土曜日のビジャレアル戦から先発OKだそうですから、とにかく今はリーガに専念するしかないかと。ちなみに相手はコパでトレド(2部B)に0-3で勝利しているとはいえ、まだグループ突破が決まっていない来週のヨーロッパリーグ最終節も気になっているはずですからね。ここはレガネスも現在勝ち点4の降格圏との差を年内中にできる限り広げることに集中してくれればと思います。

▽一方、水曜日にはマドリッドの2強の試合があったんですが、例の日本行きのため、先月中に1stレグを前倒ししてやっていたマドリーはサンティアゴ・ベルナベウでの2ndレグ。やはり1stレグの1-7という結果が影響して、レオン(マドリッドの北にある内陸都市)から応援に駆けつけたクルトゥラル・レオネサ(2部B)のサポーター1000人余りはともかく、スタンドが満員になることはありませんでしたっけ。もちろん、勝負がついていることがわかっているジダン監督もGKケイロル・ナバスを始め、セルヒオ・ラモス、マルセロ、モドリッチ、クリスチアーノ・ロナウド、ベンゼマら6人のレギュラーを招集せず。スタメンに入ったトップチームの選手も、ケガが治ってその日、実戦に復帰したカゼミロ、そしてカルバハル以外は土曜日のクラシコでは先発の可能性が低いハメス・ロドリゲス、アセンシオ、ナチョといった感じだったので、1stレグよりは拮抗した試合を期待したんですが…。

▽いえいえ、とんでもない! キックオフから23秒、敵右SBがエリア近くでミスしたボールを奪ったアセンシオがゴール前にラストパスを入れ、マリアーノが先制点を挙げているのですから、控え選手たちの気合の入り方といったら、もう。ここまでリーガやCLでほとんどプレー時間をもらえていないマリアーノは11分にもゴールを入れたんですが、オフサイドで認められず。それでも22分にはその日、先発した中では唯一のクラシコでもリピート確実候補、カルバハルのクロスをハメスがヘッドで叩き込み、今週母国のコロンビアで墜落事故に遭ったブラジルのチーム、シャペコエンセの犠牲者への追悼で天を仰ぐことに。加えて、41分にもマリアーノが今度はスコアボードに挙がる自身2点目を決め、ハーフタイム寸前にはクルトゥラルのジェライがエリア外からのシュートで1点を返したところで、試合は折り返します。

▽後半頭からはカルバハルとイスコがベンチに下がり、ヴァランとジダン監督の長男、エンツォが入ったんですが、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)はまだ続いて、62分にはそのエンツォがトップチームデビュー戦でゴールを挙げる快挙を達成。これにはジダン監督も「Como padre y como entrenador, estoy contento por su gol/コモ・パドレ・イ・コモ・エントレナドール、エストイ・コンテントー・ポル・ス・ゴル(父親としても監督としても、彼のゴールには満足している)」と喜んでいましたが、当人と同じくエンツォもポジションはトップ下なんですよ。ええ、マドリーでは、イスコやハメスといった各国代表選手クラスでもレギュラー獲りが至難の業となっていることを考えると、先々、彼もアピールの機会が増えるのかは微妙なところですね。

▽そして87分には再び、マリアーノがゴールを挙げ、そのハットトリックで幕を締めたかと思いきや、89分にはナチョのパスをモルガードがオウンゴールにするというおまけつきで、6-1となって、ようやく試合は終了。総合スコアにすると、13-2という恐ろしい数字になっているんですが、まあ相手が2部Bなら、大体、こんなものかも。一応、クルトゥラルもずっとグループ1の首位を独走している、そのカテゴリーでは強いチームなんですけどね。とりあえず、憧れのサンティアゴ・ベルナベウでプレーして、特別誂えの蛍光ピンクのユニフォームもお披露目できたとことですし、もうコパは忘れて、今後はシーズン終盤の昇格プレーオフ出場目指して頑張ってほしいものです。

▽その後、スタジアムを出て、自宅近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)でアトレティコの32強対決1stレグを見た私だったんですが、こちらも相手が2部Bのギフエロということで、シメオネ監督もかなりメンバーを落としていましたね。グリーズマン、ガメイロ、コケ、ガビ、チアゴ、ゴディン、ファンフラン、オブラクといったとこは軒並み、マドリッドでお留守番、おかげでカラスコがCF、キャプテンは22歳のサウールという、妙なチームになっていましたが、大丈夫。私がバルに着いたハーフタイム、エルマンティコでは、ファンが入場時にもらったハモン・イベリコの真空パックを開け、セットのパンにはさんでbocaillo(ボカディージョ/スペイン風バゲットサンド)を手作りしている頃には、すでに2点もリードしていましたよ。

▽いえ、先制点はカラスコがエリア内で敵のタックルを避けようとジャンプした後、地面に転がったのをペナルティに取ってもらい、「あんなあからさまなpisciazo(ピシナソ/ダイブ)をして」と、道中、私が聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナも批判していた、ちょっと恥ずかしいプレーから、サウールがPKで挙げたものなんですけどね。前半終了直前にトマスのロングパスをブルサリコが弾道の低いボレーシュートで決めた一撃は、とても自身のキャリア2本目とは思えないgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)だったかと。

▽後半も後半で49分にはカウンターから、カラスコが汚名返上のゴールを決め、53分にもガイタンのスルーパスをサウールがエリア奥から折り返して再びカラスコが得点、57分にはそのリプレーのように、今度はガイタン、ルーカスと繋いでコレアがゴール。更に85分にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のロベルまで、ブルサリコのクロスから初ゴールを挙げて、とうとうスコアは0-6に。まあ、こちらも確かに実力差が明らかだったんですが、何せ相手は本当に生ハム模様の第2ユニフォームを着てプレーしていましたし、途中、ケガした選手にメディカルスタッフが駆け寄った時にもバッグがハムの足の形をしていたり、試合前の選手インタビューも会長が所有している生ハム製造工場の中と、サッカーより名産品プロモーションに一生懸命なようでしたしね。

▽その日のパルコ(貴賓席)も招待客に生ハム大盤振る舞いと、唯一、用意されていなかったのはロッカールームの中だけだったって、シメオネ監督は「Estoy contento con la actitud del equipo, jugo bien, hizo lo que tenia que hacer/エストイ・コンテントー・コン・ラ・アクティトゥッド・デル・エキポ、フゴ・ビエン、イソ・ロ・ケ・テニア・ケ・アセール(チームの態度に満足だ。いいプレーしたし、やらなければならないことをやった)」と褒めていましたが、これで万が一、選手たちが生ハムに気を取られ、至らない結果が出ていたら、一体、世間様に何を言われたものか。ええ、その日最後にやはり、2部Bのエルクレスと1stレグを戦ったバルサが、レギュラーを休ませたのは同じながら、相手に先制され、カンテラーノ(バルサBの選手)のアレニャの一発で1-1と引き分けに持ち込むのが精一杯だったのを見れば、2ndレグに宿題を残さず、勝負を決めたアトレティコは立派だった?

▽そして夜のうちにマドリッドに戻った彼らは翌日から、リーガ戦の準備を始めたんですが、金曜日にはCLのPSV戦でケガをしたフィリペ・ルイスが招集リストに復帰という嬉しいニュースも。腰を痛めたフェルナンド・トーレスはまだなんですけどね。グリーズマンもガメイロも休養十分ですから、キケ・サンチェス・フローレス監督を筆頭に、レジェス、フラード、レオ・バプチストンら、古巣への帰還に張り切っているメンバーが複数いるエスパニョールに大きな顔はさせないかと。ちなみにそのエスパニョールはコパで、2部にいるマドリッドの弟分で唯一、勝ち残っていたアルコルコンと1-1で引き分け。エルクレスよりはベスト16に進出できる可能性が高いような気がしますが、やはりアルコルコンも目標は1部昇格ですから、あまり過大な期待は懸けない方がいいかと思います。

▽え、それでマドリーのクラシコ準備は万端なのかって? そうですね、招集リストには今週、ロンドンで足首の手術を受け、現在は故郷のカーディフで静養しているベイルはもちろん、すでにグラウンドで練習を始めているクロース、バルセロナ遠征にはチームメートの応援のために同行したものの、まだプレーはできないモラタ、そして前節から負傷しているダニーロ、コエントランの名はないんですが、ロナウドやベンゼマは元気ですしね。スタメンに関しての疑問もコパで90分間プレーしたカセミロが中盤に戻るのか、コバチッチのままでいくのか、ラモスとのCBペアはヴァランかペペかといった辺りぐらいですが、何よりチームにはここ32試合無敗継続中という自信があるのが強いかと。

▽ただ、昨季も指揮官として初めてのカンプ・ノウでのクラシコに勝ったジダン監督も「前回はfuimos allí con el culo apretado/フイモス・アジー・コン・エル・クロ・アプレタードー(尻に火がついたような状態で行った)。今回も同じ気持ちで行かないといけないが、va a ser un partido totalmente diferente/バ・ア・セル・ウン・パルティードー・トータルメンテ・ディフェレンテ(完全に違う試合になるだろう)」と、気を引き締めていましたし、いくら相手がエルクレスだけでなく、リーガでもここ2試合、マラガ、レアル・ソシエダと引き分けていると言っても油断は禁物。

▽そう、気合が入るのはバルサの選手たちも同じですし、現在、勝ち点差が6もあるため、必死感も半端ないでしょうからねえ。ソシエダ戦で足を痛めたピケとジョルディ・アルバも回復、メッシも元気になった上、満を持してイニエスタも復活となれば、先日のダービーのように容易くマドリーが勝利することはなさそうな。そんな2016-17シーズン前半戦のクラシコは土曜日午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)キックオフ、シメオネ監督が何と言おうが、私は1時間ぐらい前から近所のバルに行って、席を確保するつもりでいますよ。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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