「相当僅差でリバプールが本命」『Foot! WEDNESDAY』の下田恒幸MCが今季のプレミア覇権争いを予想《Foot!×超WSコラボ企画》
2016.11.23 19:00 Wed
▽国内唯一のデイリーサッカーニュースであるJ SPORTSの人気番組『Foot!』。超ワールドサッカーでは、今週の月曜から金曜にわたってFoot!×超WSコラボ企画を実施。3日目となる本日は、『Foot! WEDNESDAY』のMCを務める下田恒幸氏のインタビュー。第11節を終えて上位4チームが2ポイント差にひしめくプレミアリーグの今シーズンの覇権争いを予想してもらった。(※インタビューは11月9日に実施。成績は第11節終了時点)
──今回は混戦模様のプレミアリーグの優勝予想をして頂きます
「これだけ混戦になっているので難しいです。ただ、良いか悪いか、ヨーロッパのカップ戦を戦っていない2チームが、監督のキャラクターも含めて考えると現状では良いのかなと思います。それが、リバプールとチェルシーです。この2つのどちらかが、すんなり優勝する感じなのかなと現段階では思っています」
──本命◎を1つに絞るとすればどちらでしょうか
「甲乙つけがたいですね。どちらも抜けているものがないですしウィークポイントもある。相当僅差ですが、リバプールが本命◎、チェルシーが対抗◯ですかね。ただ、その他も含めてかなり僅差です。◎なしで、4、5チームに◯でも良いくらいです」
──僅差ではありながらリバプール、チェルシーに次ぐ3番手▲のチームは
「これも難しいですね。でも、今の段階だと気持ち悪いぐらいアーセナルが良いんですよね。ただ……アーセナルはよく裏切るので…(笑)。普通に考えれば次はアーセナルですが、あえてスパーズですね。歴史的にいつもアーセナルの後塵を拝し、昨シーズンも最後にアーセナルに抜かれノースロンドンではアーセナルに頭が上がらないスパーズですが、監督の持って行き方も面白いですし、凄い選手は居ませんが90点くらいの選手はたくさんいるので。ただ、本当に分からないです」
──となるとアーセナルが4番手△になりますかでしょうか? シティも居ます
「敢えてシティは外します(笑)。 なので現状だとアーセナルですね。シティは、まだ手探りです。ペップがあのようなスタイルをやる時に、技術的に少し足りない印象があります。複数のポジションで、他チームに対し技術的に差が付けられていないのかなと。バイエルンでも、ペップから見ると技術的に足りないと感じていたんじゃないかと思ってますが、バイエルンの場合、ドイツの中では他クラブより全てのクオリティにおいて上回ってはいたので問題はありませんでした」
「あと、モウリーニョには僕はちょっと賞味期限切れ感を感じています。ですので、敢えて伏兵に挙げるとしたら、先日、ボロ負け(第11節のチェルシー戦で5-0と敗戦)しましたけどエバートンですね。クーマンはセインツ時代にも悪い時期はありましたが、最終的にはヨーロッパリーグ出場権を獲得しています。タレント的にもルカク、デウロフェウ、バークリーなど魅力がありますし、後ろもそれなりにタレントがいます。エバートンは第2のレスターではないですが、可能性は感じます。エバートンの縦に行くサッカーが面白いと思うので、エバートンを伏兵に推したいですね」
──ありがとうございます。それでは、リバプールを本命◎にしたポイントを教えて下さい
「本命に推す絶対的な決め手は乏しいです。ただ、意外とフィルミノが1トップで良かったりとか、スタリッジが機能していないとか、色々見えてきたと思います。誰が点を獲るとか、誰を攻撃の軸にするかが明確になってきたというか。あとはマネの加入が大きいです。あそこで上手く違いを出せているかなと思います」
「それと、CBにマティプを獲ったのも大きいですね。跳ね返せるし、繋げるし、運べるし。彼はリバプールにとって一番足りないピースだったのかなと。昨季は後ろが弱かったですから、そこが一番かな。ミルナーの左サイドバックが予想以上にハマった事も含め、今までウィークポイントだった部分を上手くツギハギ出来ている。トータルで見て、爆発力はあるけど大崩れもしなさそうだなと思っています」
──クロップ監督がやりたい選手を獲れたという点でも評価ができるでしょうか
「欲しいポジションに、自分のメガネにかなう選手を連れてこれたんじゃないですか?GKがカリウスだったのは意外な気もしましたが、ドイツ時代のカリウスは足元に自信を持っている選手でしたよ」
──チームの中でキーマンに挙げるとすれば誰でしょうか
「やっぱりマネですかね。居る居ないで迫力に差が出る印象があります。フィルミノも必要だと思いますが、マネですね。自分が観た試合に関しては、居ない時は物足りない感じがしたので。加入は大きかったと思います」
──コウチーニョもマネ加入の影響で昨シーズンよりも生きている気はしますが
「あそこ(マネの所)で引っ張ってくれますから。コウチーニョに(マークも)たくさん行かないし、そういう効果もあるんじゃないですか?」
──対抗◯としてコンテ監督率いるチェルシーを挙げられました
「チームとしての(選手間の)距離というのが、[4-2-3-1]だとあまり良くなかったと思うんですね。実はチェルシーって総合力はあると思いますが、個人で違いを出せる選手は案外少ないと思うんですね。ジエゴ・コスタも完全な1トップでいるより、近くに味方が居たほうが生きるタイプ。その辺りの特徴を考えて、〝チームが活きるための距離〟が攻守にわたって整理されたことが復活というか、復調の要因かなと思っています」
「4-2-3-1を早々に見切ってトライしたのは、さすがイタリア人の監督ですね。イギリス人監督だったら、恐らくズルズルいってしまったんじゃないですか?コンテはその決断が早かったです。ただ、後ろには相当不安を感じてるのかなとも思いますが…」
──3バックのメンバー構成は心もとないですね
「ユベントスの時はレベルが高すぎました。コンテの基準だと、今のCB達にはかなり寸足らず感を抱いているんじゃないかと、邪推しています。実際にアスピリクエタを3バックに組み込んでるのがその証です。彼は頭の良い計算できる素晴らしい選手なので、センターバックでも問題なくやってくれていますが」
「ただ、攻守とも〝チームの距離〟がハッキリしたので、どこからプレッシャーに行くかとか、持って攻める時に味方がどの位置にいるかが、今は明確です。例えばアザールにしろ、ウィリアンにしろ、1人で何人も抜くタイプではないですよね。ところが、ウィリアンが持った時に、コスタだけでなく近くに必ずアザールもいるって状況になると相手は相当マークしにくいと思うんですよ。そういう立ち位置を取らせた事で攻守が同時に整然としました。これはコンテのヒットです」
「あとは、モーゼスをあのポジション(ウイングバック)で使っています。意外でしたが予想以上にハマっています。今まで使いにくかった選手が欠かせない感じになった。その辺りもコンテの慧眼を感じますね」
──かつてのMFフランク・ランパードやDFジョン・テリーのような、メンタル面でチームの中心になる選手がピッチには居ない印象です
「確かにそうですね…。ただ監督で良いのかなと(笑)。コンテの闘争心というのは、凄いです。ユベントスの時も、ランパード、テリーの様にメンタル面でピッチの中の監督の様な選手は居なかったと思います。ピルロはプレーメーカーですが、メンタル面で引っ張るタイプじゃなかったですし。なのでメンタル面の中心はコンテでも何とかなるかなと」
「もちろん現在の選手の中でメンタル面の中心になるとすれば、当然、テリーだと思いますが……あのやり方には合わない気がしますね。テリーの得意な事とやるべきことが全然違うのでね。ただ、そんなテリーをどう扱っていくかは気になるところです」
──メンバーを固定していて、使えていない選手も多くいますがその辺りはどう見られますか
「あそこまで線引きしている理由は謎です。監督によって選手をみる基準はまちまちですから。ただ、イタリアの監督はかなり引き出しを持っていると思いますので、コンテはまだ何割かしか出していないのかなと。(バイエルンの)アンチェロッティ監督もそうで、今やっている事を徹底して落し込むため、あえて変えていないように思います。変えられないのではなく、いくらでも変えられるけど変えていないんじゃないかと」
「つまり、現状は勝ち癖を付けることを優先して敢えて変えていないんだと思います。ただ、使わないとメンタル的に面倒な選手もいるはずなので(笑)、今後、構想に組み込んでいくのか?組み込むとしてどう使っていくのか?それとも見切って放出するのかは注目です。例えば、セスクはあのスタイルだと強度が足りない気はしています。真ん中2枚で使うとなると、奪うことができて前に出るとか繋ぐことが必要です。2シャドーだと、ある程度自分でも打開できないといけない。オスカルだったら走ってハードワークしてなんとかなりそうですが、セスクは違うタイプなので、どうでしょうね。セスクをオプションとしてどう組み込むのか、あるいは組み込まないのか?コンテの決断は大いに注目です」
──3番手▲はスパーズとのことですが、やはりポチェッティーノ監督の存在は大きいですか
「監督は大きいですね。ともすると、ラメラとかエリクセンとか、ムラっ気がありそうな選手がムラっ気を出さない様にできているのは、あの監督の凄さですよ。セリエで実況していた時の印象だと、ラメラはハマった時と、ハマらない時の差がスゴすぎるんですね(笑)。スパーズ来て1年半ぐらいは苦労していた印象ですが、ポチェッティーノが来て変化し始めて、昨シーズンはあまりムラがなかった。今シーズンも試合に出ればしっかり闘う姿勢を出しますし、守備の切り替わりのところも、イタリアで見せていたサボりがなくなりました。難しい選手もしっかりと自分の流儀に組み込めているところは、ポチェッティーノの素晴らしいところですね」
──若いチームでもあるスパーズですが、上に行くためのポイントはどこでしょうか
「ハリー・ケインは身長が高いので、ターゲットストライカーに思われがちですがそれは違っていて、彼は動くんですよね。U-21プレミアリーグでスパーズがユナイテッドと決勝を戦った時(2013年5月20日、3-2でユナイテッドが勝利)、ケインは10番をつけて出ていましたが、当時から張っているストライカーではなく、バイタルでちょこちょこ動いて周りと絡んで動くタイプでした。実はそこがスパーズのキモで、彼のそういう特徴を軸に、今のスタイルがあります」
「今シーズン、ヤンセンが入りましたが、彼は違うタイプですよね。逆に言うと、ヤンセンの良さを組み込んだ方法論でも、点を獲るイメージが作れればスパーズは強いと思います。現状は、動きをつけて崩すのがスパーズのキモですが、凄い選手がたくさん居るわけではないので、勝ち切れないのはその部分も要因かなと。逆にヤンセンはポストプレーが上手いですし、ボックスの中で常に勝負するタイプなので、その特徴をチームとして積んできたものに組み込めるのか。組み込んだ時にどう機能するかが、今後躍進するための注目ポイントかなと思っています。全く上手く行かない可能性もあると思いますが」
──抑え△としてアーセナルを挙げていただきました。優勝すると言われながらも裏切られるパターンが続いています
「今年もそれじゃないですかね(笑)。ただ、今年はそうならないで久々に優勝できるんじゃないかなという雰囲気はあります。まず、後ろの選手を獲ったことですね。ムスタフィが効いている。彼だと前に出て潰せますし、スピードも水準レベルにあります。メルテザッカーとコシエルニーだと後ろに重くなりがちですが、彼の加入でハイラインのサッカーをキープできるのは大きいと思います」
「彼は繋ぎも下手ではないですし、ガブリエウのようにムラもありません。あと、サンチェスを1トップで使ったことも大きい。アーセナルが保有している選手の特徴と合っていると思いますし、彼が動くことで全体が動きますから」
「それとエジルの変化ですね。彼は変わったと思います。今までだとアシストは多いですが、出して終わりという印象が強かったですが、今シーズンは受け手に回る回数が相当増えています。エジルの変化も、今シーズン良く見えるポイントですね」
──これまではジルーを1トップに置いて攻撃の形を作るイメージが強かったと思います
「そのジルーを上手くオプションで使えれば。チームが上手くいってる時に無理にジルーを先発に入れて、チームが機能しなくなってはダメですが、相手を見ながら、ヴェンゲルが使い分けられるのであれば面白いはずです。ジルーは自分の点を取る形を持っている選手ですからね。ヴェンゲルが戦力を上手く使いこなせば優勝する可能性は十分あると思います」
──そして、エバートンです。伏兵として挙げられましたが理由を教えて下さい
「前任のマルティネスは良い監督だったと思います。何年か前(2013年12月)にエミレーツ・スタジアムでアーセナルと1-1という試合をしています。それが物凄く良い試合で、互いにゴールに向かい合うテンションの高いゲームで、持つだけでなく縦の鋭さも見せるところに魅力を感じていました。ただ、その頃と比べると昨シーズンの終盤は、ボールを大事にする事ばかり強調されてマンネリというかモヤモヤ感がありました」
「そこにクーマンが来ました。彼はプレシーズンから3バックを試し、[3-4-2-1]の形でデウロフェウの様な選手を1トップに置いたりします。その戦い方から、縦に引っ張る鋭さというのがクーマンのチームの軸になる気がしていました。そこが魅力的だなというのと、そのサッカーに合う面白い選手がいます。上とやった時に勝ちに行って、打ち合って勝ってしまったということが起きそうな期待感があることが、伏兵に推した理由です。この間(第11節チェルシー)はボロ負けでしたが、エバートンは面白いですよ」
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──今回は混戦模様のプレミアリーグの優勝予想をして頂きます
「これだけ混戦になっているので難しいです。ただ、良いか悪いか、ヨーロッパのカップ戦を戦っていない2チームが、監督のキャラクターも含めて考えると現状では良いのかなと思います。それが、リバプールとチェルシーです。この2つのどちらかが、すんなり優勝する感じなのかなと現段階では思っています」
「甲乙つけがたいですね。どちらも抜けているものがないですしウィークポイントもある。相当僅差ですが、リバプールが本命◎、チェルシーが対抗◯ですかね。ただ、その他も含めてかなり僅差です。◎なしで、4、5チームに◯でも良いくらいです」
──僅差ではありながらリバプール、チェルシーに次ぐ3番手▲のチームは
「これも難しいですね。でも、今の段階だと気持ち悪いぐらいアーセナルが良いんですよね。ただ……アーセナルはよく裏切るので…(笑)。普通に考えれば次はアーセナルですが、あえてスパーズですね。歴史的にいつもアーセナルの後塵を拝し、昨シーズンも最後にアーセナルに抜かれノースロンドンではアーセナルに頭が上がらないスパーズですが、監督の持って行き方も面白いですし、凄い選手は居ませんが90点くらいの選手はたくさんいるので。ただ、本当に分からないです」
──となるとアーセナルが4番手△になりますかでしょうか? シティも居ます
「敢えてシティは外します(笑)。 なので現状だとアーセナルですね。シティは、まだ手探りです。ペップがあのようなスタイルをやる時に、技術的に少し足りない印象があります。複数のポジションで、他チームに対し技術的に差が付けられていないのかなと。バイエルンでも、ペップから見ると技術的に足りないと感じていたんじゃないかと思ってますが、バイエルンの場合、ドイツの中では他クラブより全てのクオリティにおいて上回ってはいたので問題はありませんでした」
「ただプレミアの場合だと、シティが他チームを何馬身も離しているクオリティにはなくて、同じぐらいの技術レベルやクオリティのチームが複数います。先ほど挙げた3チームとかユナイテッドとか。ですので、単純に比較すると、技術面で決定的な差はつけられてないかなと。ペップの事なので優勝も、チャンピオンズリーグ出場権も獲る可能性は十分ありますが、現状はちょっと未知に見えます」
「あと、モウリーニョには僕はちょっと賞味期限切れ感を感じています。ですので、敢えて伏兵に挙げるとしたら、先日、ボロ負け(第11節のチェルシー戦で5-0と敗戦)しましたけどエバートンですね。クーマンはセインツ時代にも悪い時期はありましたが、最終的にはヨーロッパリーグ出場権を獲得しています。タレント的にもルカク、デウロフェウ、バークリーなど魅力がありますし、後ろもそれなりにタレントがいます。エバートンは第2のレスターではないですが、可能性は感じます。エバートンの縦に行くサッカーが面白いと思うので、エバートンを伏兵に推したいですね」
──ありがとうございます。それでは、リバプールを本命◎にしたポイントを教えて下さい
「本命に推す絶対的な決め手は乏しいです。ただ、意外とフィルミノが1トップで良かったりとか、スタリッジが機能していないとか、色々見えてきたと思います。誰が点を獲るとか、誰を攻撃の軸にするかが明確になってきたというか。あとはマネの加入が大きいです。あそこで上手く違いを出せているかなと思います」
「それと、CBにマティプを獲ったのも大きいですね。跳ね返せるし、繋げるし、運べるし。彼はリバプールにとって一番足りないピースだったのかなと。昨季は後ろが弱かったですから、そこが一番かな。ミルナーの左サイドバックが予想以上にハマった事も含め、今までウィークポイントだった部分を上手くツギハギ出来ている。トータルで見て、爆発力はあるけど大崩れもしなさそうだなと思っています」
──クロップ監督がやりたい選手を獲れたという点でも評価ができるでしょうか
「欲しいポジションに、自分のメガネにかなう選手を連れてこれたんじゃないですか?GKがカリウスだったのは意外な気もしましたが、ドイツ時代のカリウスは足元に自信を持っている選手でしたよ」
──チームの中でキーマンに挙げるとすれば誰でしょうか
「やっぱりマネですかね。居る居ないで迫力に差が出る印象があります。フィルミノも必要だと思いますが、マネですね。自分が観た試合に関しては、居ない時は物足りない感じがしたので。加入は大きかったと思います」
──コウチーニョもマネ加入の影響で昨シーズンよりも生きている気はしますが
「あそこ(マネの所)で引っ張ってくれますから。コウチーニョに(マークも)たくさん行かないし、そういう効果もあるんじゃないですか?」
──対抗◯としてコンテ監督率いるチェルシーを挙げられました
「チームとしての(選手間の)距離というのが、[4-2-3-1]だとあまり良くなかったと思うんですね。実はチェルシーって総合力はあると思いますが、個人で違いを出せる選手は案外少ないと思うんですね。ジエゴ・コスタも完全な1トップでいるより、近くに味方が居たほうが生きるタイプ。その辺りの特徴を考えて、〝チームが活きるための距離〟が攻守にわたって整理されたことが復活というか、復調の要因かなと思っています」
「4-2-3-1を早々に見切ってトライしたのは、さすがイタリア人の監督ですね。イギリス人監督だったら、恐らくズルズルいってしまったんじゃないですか?コンテはその決断が早かったです。ただ、後ろには相当不安を感じてるのかなとも思いますが…」
──3バックのメンバー構成は心もとないですね
「ユベントスの時はレベルが高すぎました。コンテの基準だと、今のCB達にはかなり寸足らず感を抱いているんじゃないかと、邪推しています。実際にアスピリクエタを3バックに組み込んでるのがその証です。彼は頭の良い計算できる素晴らしい選手なので、センターバックでも問題なくやってくれていますが」
「ただ、攻守とも〝チームの距離〟がハッキリしたので、どこからプレッシャーに行くかとか、持って攻める時に味方がどの位置にいるかが、今は明確です。例えばアザールにしろ、ウィリアンにしろ、1人で何人も抜くタイプではないですよね。ところが、ウィリアンが持った時に、コスタだけでなく近くに必ずアザールもいるって状況になると相手は相当マークしにくいと思うんですよ。そういう立ち位置を取らせた事で攻守が同時に整然としました。これはコンテのヒットです」
「あとは、モーゼスをあのポジション(ウイングバック)で使っています。意外でしたが予想以上にハマっています。今まで使いにくかった選手が欠かせない感じになった。その辺りもコンテの慧眼を感じますね」
──かつてのMFフランク・ランパードやDFジョン・テリーのような、メンタル面でチームの中心になる選手がピッチには居ない印象です
「確かにそうですね…。ただ監督で良いのかなと(笑)。コンテの闘争心というのは、凄いです。ユベントスの時も、ランパード、テリーの様にメンタル面でピッチの中の監督の様な選手は居なかったと思います。ピルロはプレーメーカーですが、メンタル面で引っ張るタイプじゃなかったですし。なのでメンタル面の中心はコンテでも何とかなるかなと」
「もちろん現在の選手の中でメンタル面の中心になるとすれば、当然、テリーだと思いますが……あのやり方には合わない気がしますね。テリーの得意な事とやるべきことが全然違うのでね。ただ、そんなテリーをどう扱っていくかは気になるところです」
──メンバーを固定していて、使えていない選手も多くいますがその辺りはどう見られますか
「あそこまで線引きしている理由は謎です。監督によって選手をみる基準はまちまちですから。ただ、イタリアの監督はかなり引き出しを持っていると思いますので、コンテはまだ何割かしか出していないのかなと。(バイエルンの)アンチェロッティ監督もそうで、今やっている事を徹底して落し込むため、あえて変えていないように思います。変えられないのではなく、いくらでも変えられるけど変えていないんじゃないかと」
「つまり、現状は勝ち癖を付けることを優先して敢えて変えていないんだと思います。ただ、使わないとメンタル的に面倒な選手もいるはずなので(笑)、今後、構想に組み込んでいくのか?組み込むとしてどう使っていくのか?それとも見切って放出するのかは注目です。例えば、セスクはあのスタイルだと強度が足りない気はしています。真ん中2枚で使うとなると、奪うことができて前に出るとか繋ぐことが必要です。2シャドーだと、ある程度自分でも打開できないといけない。オスカルだったら走ってハードワークしてなんとかなりそうですが、セスクは違うタイプなので、どうでしょうね。セスクをオプションとしてどう組み込むのか、あるいは組み込まないのか?コンテの決断は大いに注目です」
──3番手▲はスパーズとのことですが、やはりポチェッティーノ監督の存在は大きいですか
「監督は大きいですね。ともすると、ラメラとかエリクセンとか、ムラっ気がありそうな選手がムラっ気を出さない様にできているのは、あの監督の凄さですよ。セリエで実況していた時の印象だと、ラメラはハマった時と、ハマらない時の差がスゴすぎるんですね(笑)。スパーズ来て1年半ぐらいは苦労していた印象ですが、ポチェッティーノが来て変化し始めて、昨シーズンはあまりムラがなかった。今シーズンも試合に出ればしっかり闘う姿勢を出しますし、守備の切り替わりのところも、イタリアで見せていたサボりがなくなりました。難しい選手もしっかりと自分の流儀に組み込めているところは、ポチェッティーノの素晴らしいところですね」
──若いチームでもあるスパーズですが、上に行くためのポイントはどこでしょうか
「ハリー・ケインは身長が高いので、ターゲットストライカーに思われがちですがそれは違っていて、彼は動くんですよね。U-21プレミアリーグでスパーズがユナイテッドと決勝を戦った時(2013年5月20日、3-2でユナイテッドが勝利)、ケインは10番をつけて出ていましたが、当時から張っているストライカーではなく、バイタルでちょこちょこ動いて周りと絡んで動くタイプでした。実はそこがスパーズのキモで、彼のそういう特徴を軸に、今のスタイルがあります」
「今シーズン、ヤンセンが入りましたが、彼は違うタイプですよね。逆に言うと、ヤンセンの良さを組み込んだ方法論でも、点を獲るイメージが作れればスパーズは強いと思います。現状は、動きをつけて崩すのがスパーズのキモですが、凄い選手がたくさん居るわけではないので、勝ち切れないのはその部分も要因かなと。逆にヤンセンはポストプレーが上手いですし、ボックスの中で常に勝負するタイプなので、その特徴をチームとして積んできたものに組み込めるのか。組み込んだ時にどう機能するかが、今後躍進するための注目ポイントかなと思っています。全く上手く行かない可能性もあると思いますが」
──抑え△としてアーセナルを挙げていただきました。優勝すると言われながらも裏切られるパターンが続いています
「今年もそれじゃないですかね(笑)。ただ、今年はそうならないで久々に優勝できるんじゃないかなという雰囲気はあります。まず、後ろの選手を獲ったことですね。ムスタフィが効いている。彼だと前に出て潰せますし、スピードも水準レベルにあります。メルテザッカーとコシエルニーだと後ろに重くなりがちですが、彼の加入でハイラインのサッカーをキープできるのは大きいと思います」
「彼は繋ぎも下手ではないですし、ガブリエウのようにムラもありません。あと、サンチェスを1トップで使ったことも大きい。アーセナルが保有している選手の特徴と合っていると思いますし、彼が動くことで全体が動きますから」
「それとエジルの変化ですね。彼は変わったと思います。今までだとアシストは多いですが、出して終わりという印象が強かったですが、今シーズンは受け手に回る回数が相当増えています。エジルの変化も、今シーズン良く見えるポイントですね」
──これまではジルーを1トップに置いて攻撃の形を作るイメージが強かったと思います
「そのジルーを上手くオプションで使えれば。チームが上手くいってる時に無理にジルーを先発に入れて、チームが機能しなくなってはダメですが、相手を見ながら、ヴェンゲルが使い分けられるのであれば面白いはずです。ジルーは自分の点を取る形を持っている選手ですからね。ヴェンゲルが戦力を上手く使いこなせば優勝する可能性は十分あると思います」
──そして、エバートンです。伏兵として挙げられましたが理由を教えて下さい
「前任のマルティネスは良い監督だったと思います。何年か前(2013年12月)にエミレーツ・スタジアムでアーセナルと1-1という試合をしています。それが物凄く良い試合で、互いにゴールに向かい合うテンションの高いゲームで、持つだけでなく縦の鋭さも見せるところに魅力を感じていました。ただ、その頃と比べると昨シーズンの終盤は、ボールを大事にする事ばかり強調されてマンネリというかモヤモヤ感がありました」
「そこにクーマンが来ました。彼はプレシーズンから3バックを試し、[3-4-2-1]の形でデウロフェウの様な選手を1トップに置いたりします。その戦い方から、縦に引っ張る鋭さというのがクーマンのチームの軸になる気がしていました。そこが魅力的だなというのと、そのサッカーに合う面白い選手がいます。上とやった時に勝ちに行って、打ち合って勝ってしまったということが起きそうな期待感があることが、伏兵に推した理由です。この間(第11節チェルシー)はボロ負けでしたが、エバートンは面白いですよ」
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