【日本サッカー見聞録】サウジ戦での原口の成長2016.11.17 18:20 Thu

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▽W杯アジア最終予選で日本代表は、グループB首位のサウジアラビアを2-1で下し、オーストラリアがタイと2-2で引き分けたため、サウジと同勝点の2位に浮上した。正直な感想としては、サウジもオーストラリアも「たいしたことはないチーム」という印象だ。むしろイラクに勝ってオーストラリアと同勝点で4位UAEの、オマル・アブドゥルラフマン(背番号10)と、日本戦ではFKとPKから2得点のアハメド・ハリル(背番号11)の方が、「個の強さ」による脅威を感じた。

▽といったところでサウジ戦である。ハリルホジッチ監督は本田と香川、岡崎をスタメンから外し、久保と大迫、清武をスタメンに起用した。ベンチスタートとなったこれまでの主力を、「ジョーカー」と表現して起用したことは、いままでになかった発想だけに面白い。そしてサウジ戦では原口の決勝点で逃げ切ったが、試合後に原口の発言を聞いて、「やっとチームになった」と感じたものだ。

▽ザッケローニ監督からアギーレ監督、そしてハリルホジッチ監督になっても、日本代表の攻撃陣は、ほぼ決まった顔ぶれだった。右MFは本田、トップ下は香川か清武、1トップは岡崎だ。唯一、ピースがハマらないのが左MFだった。

▽遡ること2013年、ザッケローニ監督は東アジア・カップで左MFに原口、大迫、工藤、齋藤らをテストしてきた。その後も歴代監督は宇佐美や乾を同じポジションで起用したため、ポジション争いの無風な右MFやトップ下、1トップと違い、左MFは激戦区となった。その弊害として、左MFに起用された選手は結果を残そうと得点を求めるあまり、個人プレーに走っていた印象が強い。

▽ジーコ・ジャパン時代から続く、日本代表のレギュラーになるためには「海外でプレーしなければいけない」という呪縛の悪弊だ。ようやくハリルホジッチ監督は、海外組に「試合に出られるチーム」への移籍を推奨したが、これも日本の実情を経験したからの発言だろう。

▽話を原口に戻そう。東アジア・カップ以降、左MFに起用された選手は、誰もが結果を残そうと自身のゴールにこだわった。チーム内の競争は歓迎すべきところだが、その結果、パスを出していればというシーンでもエゴイストになりチャンスを潰していた。これはチーム作りの難しさでもある。

▽そんな左MFに、今予選では原口がハマった。W杯の最終予選で4試合連続得点という記録もさることながら、サウジ戦の試合直後に「今日は勝点3が必要な試合だったので、それを達成できてよかったです。(ゴールは)コースは見えていた。ゴールはおまけなようなものです」と、自身のプレーではなくチームの勝利を優先した発言に、彼自身の成長を感じずにはいられなかった。原口の成長が日本を救ったと言っても過言ではないだろう。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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