【日本代表コラム】ターニングポイントになり得る勝ち点32016.10.08 12:00 Sat

twitterfacebookhatenalinegplus
photo
Getty Images
▽“薄氷の勝利”という言葉がピッタリ当てはまる試合だった。後半アディショナルタイム5分、フリーキックのこぼれ球をMF山口蛍が豪快にボレーで沈め、イラク代表を下し、勝ち点3を獲得した。

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦となった9月のUAE代表戦では、同じ埼玉スタジアム2002で1-2と逆転負け。よもやの敗戦により、一気に緊張感が増した。そして迎えたイラク戦…決して内容は褒められるものではなかったが、勝ち点3を得ることができた。

▽この試合の目的は何だったのか。キレイなサッカーを見せることだったのか、イラクを圧倒することだったのか、スペシャルなゴールを決めることだったのか──この試合で最も重要なミッションは、勝ち点3を獲ること。それ以上でも、それ以下でもないことを考えれば、結果は100点と言えるだろう。

▽試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「美しい勝利ではないが、勇気の勝利」とコメントした。そして「本当に価値の高い勝利」とも語っている。グループ最大の敵とも言われているオーストラリア代表とのアウェイ戦を控える日本にとって、勝って臨めることは大きな後ろ盾となる。

▽ハリルホジッチ監督は、イラク戦でMF香川真司(ドルトムント)、DF長友佑都(インテル)をスターティングメンバーから外し、トップ下にMF清武弘嗣(セビージャ)、左サイドバックにはUAE戦、タイ戦に続きDF酒井高徳(ハンブルガーSV)を起用した。

▽これまでの実績などを踏まえてメンバーを組んだUAE戦は、コンディション不良の問題を露呈。結果的に敗戦を喫することとなった。同じ轍を踏むことをしなかったことは、良い判断だったと言えるだろう。

▽また、先制点も清武らしさから生まれたゴールだったとも言える。長い距離を走り、FW本田圭佑に選択肢を与え、FW原口元気に走り込ませる時間も作った。前線の4人が連動した見事な崩しだったと言える。

▽しかし、試合全体を見れば、内容面では満足行くものとは言えなかった。攻撃のスイッチが入るタイミングがなく、良い形で前線にボールが入っても、周りの動きが足りずにボールをロストする場面も散見された。“フィニッシュ”というものへのこだわりは、日本がもっと持つべきもの。シュートシーンでパスを選択する場面も少なくなかった。結果的にフィニッシュの形に持ち込めないのであれば、シュートを打った方が、相手守備陣には脅威になる。現に、イラクのシュートに肝を冷やした場面は多かった。

▽次は前半戦の山場であるオーストラリア戦。アウェイでの戦いを考えれば、今度は負けてはいけない試合になる。第3節のサウジアラビアvsオーストラリアが引き分けに終わったことで、上位2カ国との勝ち点差は1となり、次節の結果次第では日本の首位浮上もある。

▽そういった意味でも、イラク戦の“勝利”という結果は、素直に喜ぶべきだろう。この戦いは、W杯の出場権を懸けたもの。内容ではなく、結果を残さなくてはいけない。すでにホームで1敗を喫しているのだから、なおさらだ。

▽試合の内容はトレーニングで突き詰めることができても、勝ち点は3パターンしかない。満足行かない試合内容であっても、土壇場で最高の勝ち点を獲れたことが何よりも重要だ。ギリギリで掴んだこの勝利は、結果として、そしてメンタル面、選手の経験値としても、今予選の大きなターニングポイントになる可能性があるだろう。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》

コメント

関連ニュース

thumb

【日本代表コラム】個を活かした戦いで世界を驚かせるも、超えられなかった高い壁

▽CKのチャンスからGKがキャッチ、丁寧なスロー、ドリブルで中央を持ち上がり、右サイドへ展開。走り込んだ選手がダイレクトで折り返すと、中央でスルーされ、フリーで走り込んで蹴り込まれる──。一連の流れは、多くの日本人にとって鮮明に記憶に残るのだろう。これまでも劇的なシーンは何度も目にしてきたが、これほどまでに悔しい思いをした場面はそうないだろう。 ▽下馬評を大きく覆し、初戦のコロンビア代表戦に勝利した日本代表。2戦目のセネガル代表戦で引き分けると、3戦目のポーランド代表戦はリードを許しながらも、最後の10分間は自陣でボールを回し時間を消費──賛否両論ある中で、3度目のベスト16進出を果たした。 ▽期待を寄せられていなかった日本代表が、想像を超える結果を残し、世界屈指の攻撃力を持つベルギー代表に挑んだラウンド16。思い描いていたよりも、日本代表は冷静に試合に入り、ベルギーを上回るほどの落ち着いたプレーを続けていた。 <span style="font-weight:700;">◆ポーランド戦を力に変えて</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽賛否両論があったポーランド戦の戦い方。先発を6名変更し、最後はビハインドながら時計の針をただただ進めるパス回しを行った。結果として、ラウンド16に進めたことで、この判断は正しかったと結論付けられがちだが、本来の意味ではこのラウンド16のベルギー戦でどの様な試合を見せるかが重要だった。 ▽初戦、2戦目と同じ11名をピッチに送り出した西野朗監督。立ち上がりは前線からボールホルダーにプレスをかけ、流動的に動き、ペースを掴んでいった。今大会既に4ゴールを記録していたFWロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)には、鹿島アントラーズでプレーするDF昌子源がマークに。一瞬のスピードで振り切られるシーンもあったが、ルカクのプレーに徐々にアジャストしていった昌子は、試合を通して決定的なピンチを作ることはなかった。 ▽センターバックでコンビを組んだDF吉田麻也(サウサンプトン)も同様だ。プレミアリーグでも対峙しているルカク、MFエデン・アザール(チェルシー)を冷静に対処。粘り強い守備を見せ、決定機も身体を張って凌いだ。 ▽前線も同様だ。トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は、持ち前のポストプレーと献身的な守備、ポジションを移動して起点となるシーンが多かった。DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)を相手にも、自身の持ち味を出していた。MF乾貴士(ベティス)は、左サイドでDF長友佑都(ガラタサライ)とともに攻勢をかけ、MF香川真司(ドルトムント)はバイタルエリアに陣取りつつ、左サイドの攻勢に絡んだ。 ▽中盤でタクトを振るMF柴崎岳(ヘタフェ)は、攻守にわたってこの試合でも冴え渡り、縦へのパス、読みからのパスカットなど、日本の中盤を支えた。MF長谷部誠(フランクフルト)はバランスを見たプレーをし、MF原口元気(ハノーファー)は右サイドで持ち前の運動量と上下動で守備に貢献。DF酒井宏樹(マルセイユ)はMFヤニク・フェレイラ=カラスコ(大連一方)との一対一に対応した。 <span style="font-weight:700;">◆個人の特長を最大限に活かすサッカー</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽これまでに見たことのないような落ち着いたプレーを見せていた日本。その大きな理由は、個人個人の特長を生かし、連携し合ったプレーを見せていたからだろう。距離感、立ち位置、ボールを運ぶ流れ。遅攻に移った際の切り替え、攻守の切り替えと冴えを見せた。 ▽いつになく、各選手が自身の役割を理解し、チームメイトもその役割を理解し、本来の意味でのチームになっていたようにも感じた。 ▽その動きは、後半に入って大きく変化する。立ち上がり、ベルギーに攻め込まれる中、自陣で乾がこぼれ球をトラップ。反転して相手と入れ替わると、近くの柴崎へとパスを出した。その瞬間、右サイドで大人しくしていた原口が猛然と奪取。それを見逃さない柴崎が絶妙なスルーパスを出すと、ヴェルトンゲンの足をかすめてスペースへ。原口はしっかりとボールを受けると、ボックス内でシュート。日本が先制に成功した。 ▽このゴールには、乾、柴崎、そして原口の特長が詰まっている。まずは、試合を通して狂いのないボールタッチを見せた乾のトラップ。そして、相手DFをいなすターン。柴崎は、原口のスピードに合わせた絶妙な強さで、ギリギリのラインにパスを通した。そして原口。長い距離のスプリントは原口の特長であり、アジア予選のチーム得点王である所以を見せつけた。このゴールで、日本は大きく優位に立った。 <span style="font-weight:700;">◆微妙にズレた采配</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽その後、ベルギーの猛攻を凌ぐと、乾のスーパーゴールで日本がベルギーを突き放す。さすがのシュートに、ロベルト・マルティネス監督も唖然。日本の底力を目の当たりにしたが、これがベルギーの選手たちに火をつけた。 ▽ベルギーは、前半から長友とDFトーマス・ムニエ(パリ・サンジェルマン)の高さのミスマッチを利用。何度となく、左サイドから崩し、ファーサイドを使っていた。そして、その狙いが顕著になる選手交代を行う。MFマルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)を投入。前線のルカクとともに並べることにした。 ▽フェライニは昌子と長友の間に陣取り、ルカクは昌子とのマッチアップをチョイス。時間の経過とともに、アザールとMFケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)が連動して日本の右サイドを侵略。吉田と酒井宏が対応に当たることとなった。 ▽日本のウィークポイントを突いてきたベルギーは、徐々にペースを握ると、高さを生かして2点ビハインドを跳ね返す。日本はミスマッチが起こっていながら、手を打たず。ウィークポイントの穴埋めにカードを切らない西野監督らしさを見せたが、個人的には対人守備に強いDF植田直通(鹿島アントラーズ)を入れるもの有りだったのではないかと思っている。 ▽そして、2点差を追いつかれて投入されたのは、MF山口蛍(セレッソ大阪)とMF本田圭佑(パチューカ)だ。本田は右サイドの原口に代わり、タメを作って攻撃のバリエーションを増やした。香川とのコンビネーションからシュートチャンスや、FKからブレ球で直接狙うなど積極的な姿勢を見せた。 ▽一方の山口は、攻守のカギを握っていた柴崎と交代。しかし、残り10分程度の難しい時間帯に入ったこともあり、試合に入れていなかった。西野監督は今大会、采配で局面を動かしてきていた。初戦、2戦目と途中投入した本田が得点に絡み、勝ち点を獲得。3戦目は、長谷部を入れて場を整えた。 ▽しかし、ベルギー戦は後手に回りすぎ、良いペースを手放す格好となってしまった。もちろん、ベルギーとの実力差も大いにあり、個々の能力差もあった上だが、2-0のリードを活かす方法論はあったはずだろう。 <span style="font-weight:700;">◆ベスト8の壁を超えるため</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180703_49_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽ベルギー相手に、世界が驚くほどの好ゲームを見せた日本。その点に関しては、自信を持って良い部分もあり、世界と戦える力を付けることが可能であることも証明した。 ▽一方で、それでも勝てないという現実も突き付けられている。90分が過ぎようとしている時間帯に、あれだけの選手が相手ゴールへと駆け上がり、最後は勝ち点3を持っていく。世界屈指の攻撃力を誇るベルギーを相手に、そんなサッカーを身を持って体験したからこそ、未来の日本のために繋げられるはずだ。 ▽直前の監督交代に始まり、ベスト16進出、手がかかったベスト8を逃す結末…大いに検証し、分析し、次に繋がる課題を見つけてもらいたい。 ▽次の戦いは4年後。何人の選手が再びワールドカップに出場するかは分からない。もしかしたら、出場権を獲得できないかもしれない。それでも、日本サッカーは終わらない。世界を驚かせたルーザーは、ウィナーになるべくして次のステップに進んでもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.07.03 19:30 Tue
twitterfacebook
thumb

【日本代表コラム】現時点では「結果オーライ」、西野監督はどう挽回するのか

▽28日、ロシア・ワールドカップのグループステージ全日程が終了した。日本代表は、ポーランド代表と対戦し、0-1で敗戦。しかし、同グループのもう1つのカードであるセネガル代表vsコロンビア代表が0-1で終了。この結果、グループ2位で決勝トーナメント進出が決まった。 <span style="font-weight:700;">◆喜ぶべきベスト16進出</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽大会前の評価を考えると、ラウンド16に日本が進出する可能性は限りなく低く見積もられ、1弱3強との見方をされていたことも少なくなかった。 ▽開幕2カ月前に監督を交代し、西野朗監督が率いてからは国際親善試合で連敗。本番前ラストマッチのパラグアイ代表戦こそ勝利したものの、ポジティブな要素を感じられないまま本大会に突入したため、期待感は薄く、日本国内での盛り上がりにも欠けていた。 ▽しかし、フタを開ければ初戦のコロンビア代表戦で勝利。続くセネガル代表戦を引き分け、自力で決勝トーナメント進出を掴めるポジションとなった。 ▽当初の評価、期待値からすれば、日本代表がグループステージを突破し、過去最高に並ぶベスト16に進出したことは素直に評価すべきことだ。しかし、そこにケチを付けかねない残念な事態が起こったのも事実だ。 <span style="font-weight:700;">◆ポーランド戦で起こった魔の10分間</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽日本は自力で突破が決められる状況で迎えたグループ最終節。相手は既に敗退が決定していたポーランドだ。実力差を見れば、ポーランドが優勢なのは明らか。ここまでの2試合の結果など関係なく、1試合にこだわれば日本は躓く可能性が高かった。 ▽そんな試合だが、2試合続けて同じ11人をピッチに送り出していた西野朗監督は6名と過半数を変更。システムも、[4-2-3-1]から[4-4-2]へと変更し、大事な一戦に臨んだ。 ▽不安だった大会前から一転、日本の力強さを2試合で感じていた人が多かっただけに、この6名変更は大きな疑問符が付くこととなった。そして、その影響は試合にも表れてしまう。 ▽前半は、連携ミスなどもありながら、ポーランドゴールに迫るシーンが見られた。しかし、ちょっとした感覚や、タイミングのズレが影響し、相手守護神をヒヤリとさせるシーンはなかった。さらに、6名変更の影響は続く。 ▽0-0で前半を終えた日本だったが、FW岡崎慎司が早々に倒れ込み、FW大迫勇也と交代した。前半から怪しい雰囲気を出していた岡崎だったが、後半開始直後に交代。カードを1枚切らざるを得なくなった。負傷に関しては懸念材料を抱えていた岡崎だけに、勿体無いカードを切ることは残念だった。 ▽そして、その後にポーランドが先制。セネガルvsコロンビアがゴールレスドローで推移していたため、日本は敗退が濃厚に。攻勢をかけるべく試合に入ろうとし、MF宇佐美貴史に代えてMF乾貴士を投入。しかし、流れが変わることなく、ポーランドが勢いづく展開となった。 ▽すると、西野監督が大胆な采配をふるう。FW武藤嘉紀に代えて、MF長谷部誠を投入。すると、1点ビハインドの日本が自陣最終ラインでパス交換。一向に攻める様子を見せず、ポーランドもボールを奪いに来ることなく終了。1-0で敗戦となった。 ▽日本がポーランドに負けた場合は、他会場の結果に全てが委ねられることに。しかし、その状況でも、西野監督は「失点をしないこと」「カードをもらわないこと」をプランとして長谷部に伝えていたと、試合後に明かした。 <span style="font-weight:700;">◆ハイリスク・ハイリターンの賭け</span> ▽西野監督は、「万が一が起こらないこと」を主軸に考え、1点ビハインドながら長谷部を起用した。日本とセネガルは条件が同じであり、順位決定は今大会から導入された「フェアプレーポイント」というものだった。 ▽「フェアプレーポイント」とは、警告や退場によって与えられる反則ポイント。日本はセネガルよりもイエローカードで2枚分下回っており、セネガルより優位に立っていたのだ。 ▽しかし、0-1となったセネガルvsコロンビアが1-1となれば、「フェアプレーポイント」は関係なくなる。そんな状況の中、西野監督は試合のラスト10分間は自陣でただボールを回すだけで、時計を進めることを決断。全てをコロンビアに懸けたのだ。 <span style="font-weight:700;">◆究極のリアリストとも言えるギャンブラー</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽対峙している相手ではなく、全く関係ないところの試合に命運を託した西野監督。結果として、日本は2大会ぶりのベスト16進出を掴み、事なきを得た。スタンドからは大ブーイングが鳴り響き、日本人意外で日本代表を応援していた人々にもそっぽを向かれてしまった。 ▽セネガルがコロンビアを相手に10分強で1点を取る確率が高いのか、日本がポーランド相手に引き分けを目指し、逆襲されて2点差を付けられてしまう確率が高いのか。同点を目指しながらも上手く流れが変わらないことに勘付いた西野監督は、コロンビアに命運を託すことが最善と判断したのだろう。交代時に何かを変えた様子も伺えた。 ▽何が起こるか分からない中、自分たちでコントロールすることも放棄した。しかし、結果としてはベスト16に進出。見るものとしては、どこか腑に落ちず、不満が残り、フラストレーションが溜まったはずだ。そして、チームとしてもこれまでの流れを全て断ち切ることとなってしまったかもしれない。それでも、自身が閃いた確率の高い方へ賭ける勝負師の一面を西野監督は見せた。 <span style="font-weight:700;">◆「結果オーライ」をどう挽回するか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180629_49_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽目標であったグループステージ突破を果たしたことに対し、文句を言う必要はない。どんな形であれ、勝負の世界であれば結果が全て。上を目指すためには必要な決断だった。そして、日本は目的を達成した。 ▽しかし、そうであっても、今回の事象は全て「結果論」。結果が重要であり、最優先されることではあるが、結果が違えば、日本代表、そして西野監督の立場がどうなっていたかは容易に想像できる。 ▽開幕2カ月前の電撃的な監督交代、結果を残せなかった国際親善試合、若手を外したメンバー発表──日本国民にとって、マイナス要素ばかりに目が行く流れの中、初戦でコロンビア相手に大金星。一気に日本代表への後押しが強まると、セネガル相手に引き分け、全てが前向きになった。しかし、今回の一件で意見は大きく分かれ、いつになく日本代表が話題の中心となっている。そして、積み上げてきた信頼を全て失ったとも言っても過言ではないかもしれない。 ▽しかし、選手が口を揃えて言うように、目標はベスト16ではなく、最低でもベスト8。過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えることだった。そういった意味では、2試合を主力としてた戦った選手を大幅に休ませられたこと、そして他力に頼るという大胆な選択をしながらも、賭けに勝ったことをプラスに捉えられる。そして次に待つのは、ベルギー代表とのラウンド16でどの様なサッカーを見せるかだ。 ▽現時点での印象は、「結果オーライ」。これでは、未来へと繋がるものは残せていない。しかし、その印象を塗り替え、未来に繋げるためには、ベルギー相手にしっかりと戦い、自分たちの力で歴史を塗り替えることが最も重要だ。 ▽リアリストであり、ギャンブラーでもある西野監督が持つ引きの強さを、ベルギー戦でも期待しない訳にはいかない。実力はもちろんのこと、運を味方にするという意味では、日本は一段階上に上がったのだろう。あとは、休んだ主力選手も含め、ベルギー戦のピッチの上で見るものを沸き立たせてくれることを願うだけだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.29 22:45 Fri
twitterfacebook
thumb

【日本代表コラム】自信を覗かせるチーム力で勝ち点を積み上げた日本

▽初戦でコロンビア代表相手に予想を超える勝利を挙げた日本代表。勢いそのままにセネガル代表相手に勝利を目指したが、2-2の引き分けに終わった。 ▽2度のリードを許しながらも、しっかりと追いつき勝ち点1を獲得した日本。これまで見せてきた勝負弱さはそこにはなく、強者の風格すら感じさせる戦いぶりを見せていた。 <span style="font-weight:700;">◆落ち着いた試合の入り</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽コロンビア戦での勝利の影響か、日本は落ち着いて試合をスタートさせた。セネガルは、初戦のポーランド戦に比べて積極的に前からプレスを掛け、ボールを奪いにいくサッカーを展開。しかし、日本はその迫力に押し込まれることなく、ボールを回して行った。 ▽セネガルの出鼻を挫きたい日本だったが、ミスから先制を許す。11分、右サイドからのクロスを原口元気がクリア。しかし、これが相手の足元に収まると、ボックス内右からシュート。サバリのシュートはGK川島永嗣の正面に飛び、問題ないかと思われたが、川島がパンチングをミス。目の前にいたサディオ・マネの足に当たり、ボールはネットを揺らした。 ▽西野朗監督が率いてからというもの、川島の精彩を欠いたプレーは全ての試合で起こっている。しっかりとセネガルの攻撃を跳ね返していた矢先の失点だけに、メンタル面でのダメージが心配されたが、日本は落ち着いて対応した。 <span style="font-weight:700;">◆冷静な判断を見せた柴崎</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽セネガルの1点リードで迎えた34分、日本は一本のパスから決定機を迎える。長谷部誠が最終ラインに入り、3バックの形を作った日本。中盤で柴崎岳がボールを持つと、狙いすましたロングフィード。これを長友佑都がトラップすると、ボックス内で乾貴士とスイッチ。乾は、コースを狙い済ましてネットを揺らした。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽コロンビア戦では、乾は同様の形で2度シュートを外しており、悔しい思いをしていた。シュートを打った角度はこのゴールもほぼ同じ。3度目の正直といったところか、日本の貴重な同点ゴールを生んだ。 ▽乾の落ち着いたシュートも去ることながら、起点となった柴崎にも注目だ。自陣から、走り込んだ長友を狙ったロングフィード。正確無比なパスが通った柴崎は、この試合を通じて攻守に渡り圧巻のパフォーマンスを見せた。当然、これをチャンスにつなげた長友も素晴らしい。チームとして奪えた1点は、日本の成長ぶりを示した。 <span style="font-weight:700;">◆ペースを乱されない守備陣</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽また、守備陣もユニットでしっかりと守ることに成功。マネをはじめ、FWエンバイェ・ニアン、MFイスマイラ・サール、MFパパ・アリウヌ・エンディアイエとセネガルの攻撃陣を押さえ込んだ。 ▽特に、酒井宏樹は一対一で負けることはほとんどなく、ロングボールは吉田麻也がクリア。昌子源も対人の強さを見せながら、後半には自ら持ち出す攻撃参加まで見せた。チームとして、セネガルの攻撃陣を押さえ込めたことは大きいだろう。2失点を喫した部分は反省が必要だが、精度は上がっていると言える。 ▽失点シーンに関しては、日本の右サイドが突破されたもの。それ以前の攻撃でもクロスボールがファーサイドに流れた際、対応ができていなかった。最終的には、右サイドバックのDFムサ・ワゲに詰められてゴールを許したが、同じ形を何度か作られていただけに、しっかりと修正してもらいたい。 <span style="font-weight:700;">◆選手起用によるメッセージ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽追加点を奪われた直後、西野朗監督は交代の準備をしていたFW岡崎慎司ではなく、MF本田圭佑を投入。その後、岡崎も投入すると、同点ゴールが生まれた。この試合、残りの1枚はFW宇佐美貴史を起用した西野監督。メッセージとしては、勝ち点3を目指すということが選手に伝わったはずだ。引き分け狙いではなく、勝ちに行くという姿勢を見せたことは、最終戦のポーランド戦に向けても大きいだろう。 ▽同点ゴールのシーンは、個々の特徴が全面に出たゴールだった。ボックス手前中央でパスを受けた大迫勇也は、自身のストロングポイントであるボールコントロールで収め、持ち出すことに成功。ボックス手前からの大迫のクロスに対しては、岡崎が身体を投げ出して飛び込むと、GKがパンチングをミスし、ボールが流れた。このボールに反応した乾は、ラインギリギリからダイレクトで折り返し、このボールに倒れていた岡崎はそのまま身体を投げ出した。結果的に、GKをブロックする様な形となり、最後は良いポジションをとっていた本田が蹴り込んだ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180625_36_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div>▽途中出場の本田、岡崎が絡み、最終的には本田が3大会連続のゴールを記録。2試合続けて本田が決勝点に絡んだところを見ても、チームとしての流れが良い方向に向いているのがわかる。そして、各選手が自身の特長をしっかりと出すことで、チームに勝ち点をもたらせたことは大きい。 <span style="font-weight:700;">◆ノルマとなったベスト16</span> ▽大会前の期待値からは大きくかけ離れ、1勝1分けで2試合を終えた日本。この状況を踏まえれば、勝手な話ではあるがグループステージ敗退は許されない状況だ。国民の期待も大いに高まっており、ここまでの流れを不意にしてもらいたくはない。 ▽大方の予想が敗戦だったコロンビア戦で勝ち点3、厳しいと見られたセネガル戦も2度追いついての勝ち点1。自らチャンスを手繰り寄せているだけに、ポーランド戦で結果を残し、3度目のベスト16に進出するかどうかが、この先の日本サッカーの命運を左右すると言っても過言ではない。 ▽チーム力、団結力で結果を残せた2試合。勝負弱さを払拭するには、3戦目のポーランド戦の結果が最重要だ。奇しくもポーランドは既に敗退が決定。失うものは何もなく、開き直って本来のパフォーマンスを見せる可能性は高い。実力国を相手に、ワールドカップの舞台で結果を残せせるのか。次のラウンドに進めば、ベルギー代表かイングランド代表と対戦する。そのステージに立つため、残り僅かな時間でよりチーム力を高めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.25 22:00 Mon
twitterfacebook
thumb

【日本代表コラム】勝って兜の緒を締めよ

▽ロシア・ワールドカップの初戦を19日に迎えた日本代表。コロンビア代表が有利と見られる中、2-1で勝利。歴史的な一勝を挙げた。大事な初戦で期待以上の勝ち点3を掴んだ日本。この上ない結果だが、決して満足してはいけないものだろう。 <span style="font-weight:700;">◆立ち上がりは上々</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽キックオフ直前、FWラダメル・ファルカオがエンドの入れ替えを要求。コイントス時にファルカオが訴えていたが、審判団が忘れたのか、直前のタイミングで異例の交換となった。しかし、日本は立ち上がりからアグレッシブな入りを見せ、3分に決定的な瞬間が訪れた。 ▽ルーズなボールが入ると、FW大迫勇也が相手DFと競り合いながらボールをキープ。そのまま持ち込み、GKダビド・オスピナと一対一となりシュート。これは防がれたが、後方から走り込んだMF香川真司がダイレクトシュート。ここで、MFカルロス・サンチェスが腕を出してハンド。日本はPKを得るとともに、コロンビアは1人を退場し数的不利となった。 ▽このシーンは、大迫が身体の強さを見せたキープが生んだものではあるが、パスを出した香川のランも評価すべきだ。クリアボールをダイレクトで前に送ると、大迫にDFが集中する中追いかけ、PK獲得に繋がった。大迫のシュートがセーブされた跳ね返りをダイレクトで打ったことも大きい。キープし、崩すことを考えず、アグレッシブに押し切ったことがプラスに働いた。 <span style="font-weight:700;">◆リード時の戦いに不安も</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ▽しかし、1点リードしてからの戦い方には不安が残る。コロンビアは10人になったものの、ホセ・ペケルマン監督は交代カードを切らず。一方で、日本は数的優位ながらもコロンビアの選手を捕まえきれず、ボールを回される展開に。1人多い点を生かすことができず、後手を踏んだ。 ▽1人余ることで、本来であればリスクを冒して奪いに行って良いシーンでも、ディレイを優先するためにパスを繋がれてしまう。また、人数をかけてボールを奪いに行く場面でも、プレス回避を上手くされ、ボールを繋がれてしまっていた。 ▽当然、個人能力の高さがあるコロンビアだけに、そこまで上手く守備がハマるとは考えにくい。しかし、「チームとして守る」という西野朗監督の試合前のコメントを考えると、上手く機能していたとは言えないだろう。 ▽また、失点シーンに繋がったプレーも気になるところだ。自陣でのボールに対し、DF長友佑都がクリアミス。高く上がったボールを競り合ったファルカオが上手く倒れてボックス手前でFKを獲得した。リードしている状況、そして時間帯を考えれば、もっとセーフティなプレーを心がけても良かったはず。長友のクリアミスがなぜ生まれたのか、しっかりと分析してもらいたいところだ。 ▽FKに関しても、良い位置ではあったとはいえ、防げる余地はあったと言える。GK川島永嗣の立ち位置は、若干ファーに寄っていた。壁の下を抜かれたグラウンダーのシュートがわずかにラインを越えて得点を許したが、壁の上を越えていたとしても、ボールスピードを考えると枠に入っていては間に合わなかったのではないだろうか。キックの精度もあるが、川島の対応も気になるところだ。 <span style="font-weight:700;">◆良い流れからの決勝点</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽決勝点の場面はCKから。左サイドからMF本田圭佑がクロスを上げると、ボックス中央で競り勝った大迫がヘディングで決めた。これまではMF柴崎岳がキッカーだったが、本田に代わって1本目のCK。アウトスイングになったこと、さらには球質が変わったことも影響しただろう。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽しかし、注目したいのはCKを得たプレー。右サイドを崩すと、ニアサイドに低いボールを入れ、大迫がキープ。この落としを走り込んだ酒井宏樹がシュートした。崩し方の問題を抱えていた日本にとって、コロンビア戦の終盤は良い崩しがいくつか見られた。 ▽コロンビアの疲労も影響し、日本がつけ入るスペースができていた。そこをしっかりと使えたことはプラスだが、ゴールという結果が生まれなかった。乾の惜しいシュートも、GKオスピナの好セーブに阻まれた。チャンスが多く訪れないことを考えると、いかに効率よく得点を奪うかが重要となる。 <span style="font-weight:700;">◆勝って兜の緒を締めよ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽初戦で勝ち点3を獲れたという結果は、これ以上ないものだ。3試合で決着がつくことを考えると、コロンビア、そしてポーランドと勝ち点3差を付けていることは大きい。 ▽しかし、相手が早々に10人になったことを考えると、試合内容は満足いくものとは言えない。11人が揃っていたら、この結果が生まれていなかったかもしれない。試合巧者とは言えない日本だけに、やはりピッチ内での決まり事をどこまで設定できるかが重要だ。 ▽日本には「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。運も味方したことで勝ち点3を得られたこのチャンスを活かすためには、浮かれてばかりは居られない。特に、守備面でのプランニングは重要だ。少ない相手に対しての守り方をみても、どこかチーム全体でちぐはぐさが見える。サイドでの追い込み方、中盤での立ち位置、プレスの強度…さまざまな感覚が異なるアフリカ勢との対戦を考えると、整理する必要は出てくる。 <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180620_34_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽次戦の相手は、ポーランドに勝利したセネガル。アフリカ人特有の優れたフィジカルに加え、整理された守備、破壊力抜群のカウンターを持っている。しっかりとプランを立て、ピッチ上で遂行することができるか。コロンビア戦の勝利に浮かれず、ここで得た課題を次戦までに振り返れば、グループ突破の可能性が見えてくるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.20 23:25 Wed
twitterfacebook
thumb

【日本代表コラム】違和感を覚えるギャップ、“リアル”に考えられているか

▽日本代表は8日、ロシア・ワールドカップ前のテストマッチとして同じくワールドカップに出場するスイス代表と対戦。2-0で敗れた。5月30日に行われたガーナ代表との一戦と同じ2-0という結果。本当の意味での「手応え」は存在したのだろうか。 ▽西野朗監督初陣であったガーナ戦は[3-4-2-1]のシステムでスタートした日本代表だったが、スイス戦は[4-2-3-1]のシステムに変更。しかし、メンバーはMF山口蛍(セレッソ大阪)がDF酒井高徳(ハンブルガーSV)に変わったのみだった。 ▽ほぼ同じメンバーで2つのシステムを試したということを考えれば、3バック、4バックに固執しないという西野監督が目指すものは見えたと言っても良いのかもしれない。しかし、そこに「手応え」を感じているのならば、疑問符がつく。 <span style="font-weight:700;">◆チーム内でも分かれる見解</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180608_1000_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽試合後に語られたコメントではあるが、チーム内の見解は分かれている。トップ下で先発出場したMF本田圭佑(パチューカ)は「個人としてはチームとしては手応えを感じられる試合内容だった」とコメントした。 ▽一方でPKを献上し、2試合連続で2失点を喫しているDF吉田麻也(サウサンプトン)は「負けていますし、課題は多いと思います」と語った。当然、手応えを感じた部分はあるのだろうし、そうでない部分もあるのだろう。敗戦という結果だけで、収穫がゼロということはない。しかし、本大会直前でのテストマッチということを考えると、選手間の試合の受け止め方に差があることは気になる。 ▽選手個人の感じ方に差があることも当然であり、それは観る人によっても感想が違うことと同じだ。残り10日で初戦を迎える状況なだけに、しっかりとスイス戦を分析して、選手たちの見解を揃えてもらいたいものだ。 <span style="font-weight:700;">◆違和感を覚える「手応え」</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180608_1000_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽前半は対応の遅れからFWエンボロにドリブルで持ち込まれ、ボックス内で対応した吉田が倒しPKを与えてしまった。また、後半は大きな展開からボックス付近でのワンツーを許し、最後はファーから中央へと振られてあっさりと失点を喫した。 ▽試合を見ていて、失点の仕方には非常にまずい対応を感じた。取られるべくして取られてしまった失点に感じた。 ▽しかし、MF長谷部誠(フランクフルト)は、「失点の仕方が悪かった」と語りながらも、「やられたという感覚はそこまでない」と口にした。 ▽守備面では、4バックにしたことでオートマティックに動けていた部分はあっただろう。しかし、対応の甘さで2失点を喫したことは事実。これを「やられた感覚がない」というのは疑問符がつく。繰り返すが、2失点は事実だ。 <span style="font-weight:700;">◆危険な理想論</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180608_1000_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽日本代表の正守護神を務めるGK川島永嗣(メス)は2試合連続で2失点を喫しながら「一番大事なのは、点を取られないということ」と語った。もちろん、それは理想的な話だが、この発言には危険なにおいを感じた。 ▽確かに、無失点で終えることができれば、最低でも引き分け。勝ち点1を獲得できる。しかし、サッカーは点を取りに行くスポーツ。自分たちがいくら守りたくても、勝ちたい相手は点を取りに来る。 ▽ワールドカップのグループHでは、コロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表の順に対戦。3カ国と比べると、日本は4番手と見るのが現実だろう。つまり、残りの3カ国は日本戦での勝ち点3を計算に入れている。 ▽相手が得点を奪いに来るということは、確かに日本が攻めるチャンスが増えるだろう。しかし、相手の攻撃陣は軟弱ではない。ブンデスリーガの得点王であるFWロベルト・レヴァンドフスキ(ポーランド)、リバプールの攻撃の一翼を担うMFサディオ・マネ(セネガル)、そして前回大会の得点王でもあるMFハメス・ロドリゲス(コロンビア)。1人ずつピックアップしても、錚々たる面々だ。これに対し“点を取られない”可能性がどれだけあるのか。ガーナ、スイスの2試合で4失点を喫していることを考えれば、無失点は厳しいと言わざるを得ない。 <span style="font-weight:700;">◆リアルに受け止められているか</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180608_1000_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽守備の部分をピックアップしたが、攻撃面も気になる部分はある。選手、そして監督とも、攻撃面には大きな課題があると感じている。それぞれのコメントでも、課題にあげたのは攻撃面。しかし、“リアル”に問題点を受け止めているかが重要だ。 ▽前半は、守備面では確かに対応できていた部分もあり、中盤で良い形でボールを奪うシーンもあった。しかし、切り替えて攻撃を仕掛ける部分では、スピードが遅く、人数も掛けられずに、単調な攻撃に終わった場面が多かった。 ▽後半は、クロスを単純に上げるわけではなく、グラウンダーのボールや、本田、大島が相手のバイタルエリアに立ってパスを受けるシーンなどが見られた。しかし、そこにボールが入っても、崩しきる場面は皆無。1トップにFW武藤嘉紀(マインツ)、トップ下にMF香川真司(ドルトムント)が入ってからは、狭い局面でも裏を狙う動きが見え、一定の良さを見せた。 ▽しかし、決定的なシーンは90分間を通して一度もなく、シュートも枠外から。相手GKがヒヤリとする場面すらなかった。それが現実。課題は分かっているものの、それを“リアル”に感じられているかどうかだ。 <span style="font-weight:700;">◆ある種の“手応え”</span><div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180608_1000_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽スイス戦をどのような立ち位置で考え、臨んだのか。本心まではわからないが、テストと捉えて課題をあぶり出したかったのであれば、“手応え”を感じるのかもしれない。しかし、そうであれば、パラグアイ戦、そして本大会では大きな変化が必要となるだろう。 ▽8年前の2010年南アフリカ・ワールドカップが例に挙げられているが、当時は結果が出ないことを受けてトップダウン的に方針転換。岡田武史監督はシステムも戦い方も変え、メンバーすら変更してベスト16という結果をつかんだ。果たして、その決断が下せるのか。決断を下すための“手応え”は掴んだかもしれない。 ▽初戦のコロンビア代表戦までは残り10日。本大会前に残されたのは、12日のパラグアイ代表戦の1試合のみ。「メンバーを固定してシステムを固定して精度を上げていこうという形ではなく、色々な可能性を求めています」と語り、バックアッパーの起用を示唆した西野監督。“リアル”に考えた結果なのか、そうでないのか。残された少ないチャンスを生かせないのであれば、厳しい現実が待っているだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.09 23:50 Sat
twitterfacebook


ロシアW杯

超WS×MON

ACL

欧州移籍情報
hikari

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース