【日本サッカー見聞録】UAE戦レビュー
2016.09.02 18:00 Fri
▽サッカーにミスはつきものだ。シュートミスに始まり、トラップミス、パスミスなど数え上げたらきりがない。それは審判も同じで、誤審もサッカーの試合の一部とされている。有名なところでは、1966年イングランドW杯決勝のジェフ・ハーストのバーを叩いたシュートがゴールか否か。いまでも敗れた西ドイツ国民はノーゴールと主張する。1986年のメキシコW杯では、ディエゴ・マラドーナの“神の手”がイングランドを突き放した。
▽勝敗とは別に記憶され、語り継がれる試合があるとすれば、昨夜の日本対UAE戦も、レフェリーを務めたアブドゥルラフマン・アルジャシムという名のカタール人の名前を憶えて置いたほうがいいだろう。逆転負けを喫した悔しさから彼ら審判団を批判しているわけではないが、1点目のFKは吉田の反則とは思えないし、2点目のPKも大島が足を引っ掛けたというより相手選手のダイブに見えた。
▽そして浅野のゴールを認められなかったのは、アルジャシム主審の判断ミスというより、適正なポジションにいて正確なジャッジのできなかった第2副審のスピード不足にある。日本はアルジャシム主審の3つの判断ミスで勝利を逃したとも言えるが、それよりも残念だったのは、接触プレーのたびに笛を吹き、不必要なイエローカードを出したことだ。
▽W杯出場のかかった最終予選で、これほどまでにレベルの低い審判団を指名したアジアサッカー連盟(AFC)の姿勢こそ、日本サッカー協会(JFA)は糾弾すべきだろう。UAEはけして格下のチームではなかった。GKを除くスタメンの10人は2年前のアジアカップに出場したメンバーで、当時に比べ堅守からのカウンターだけでなくオープンな打ち合いでも日本をヒヤリとさせた。
▽失点は、1点目が大島の緩いパスをカットしてのカウンターからのFK、2点目は長谷部のバックパスのミスからペナルティエリアに侵入を許し、3人で相手選手を囲いながら与えたPKと、遡れば原因はいろいろとある。とはいえ、吉田は相手がフェイントをかけてバランスを崩した時のアタックだし、大島も相手が香川と酒井宏にサンドイッチされて“死に体”になってからのボール奪取のプレーで、いずれもプレーのアドバンテージは日本サイドにあった。
▽UAE戦のジャッジを過去のエピソードにするためにも、アウェイのタイ戦と10月のホームのイラク戦は勝利が求められるハリルホジッチ・ジャパンと言えよう。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
▽勝敗とは別に記憶され、語り継がれる試合があるとすれば、昨夜の日本対UAE戦も、レフェリーを務めたアブドゥルラフマン・アルジャシムという名のカタール人の名前を憶えて置いたほうがいいだろう。逆転負けを喫した悔しさから彼ら審判団を批判しているわけではないが、1点目のFKは吉田の反則とは思えないし、2点目のPKも大島が足を引っ掛けたというより相手選手のダイブに見えた。
▽W杯出場のかかった最終予選で、これほどまでにレベルの低い審判団を指名したアジアサッカー連盟(AFC)の姿勢こそ、日本サッカー協会(JFA)は糾弾すべきだろう。UAEはけして格下のチームではなかった。GKを除くスタメンの10人は2年前のアジアカップに出場したメンバーで、当時に比べ堅守からのカウンターだけでなくオープンな打ち合いでも日本をヒヤリとさせた。
▽失点は、1点目が大島の緩いパスをカットしてのカウンターからのFK、2点目は長谷部のバックパスのミスからペナルティエリアに侵入を許し、3人で相手選手を囲いながら与えたPKと、遡れば原因はいろいろとある。とはいえ、吉田は相手がフェイントをかけてバランスを崩した時のアタックだし、大島も相手が香川と酒井宏にサンドイッチされて“死に体”になってからのボール奪取のプレーで、いずれもプレーのアドバンテージは日本サイドにあった。
▽憂鬱なのは、これがアウェイの“中東の笛”なら諦めもつくが、ホームでこれほどレベルの低い審判団だったということだ。それは9月6日のタイ戦を始め、今後の最終予選でも続くかもしれないことだ。W杯最終予選での初戦の敗北と、埼玉スタジアムでの不敗神話の崩壊など、ネガティブな要素はあるものの、「負けていい試合はないものの、これが初戦で良かった。残り9試合、しっかり勝てばいい」(田嶋JFA会長)ことに変わりはない。
▽UAE戦のジャッジを過去のエピソードにするためにも、アウェイのタイ戦と10月のホームのイラク戦は勝利が求められるハリルホジッチ・ジャパンと言えよう。
【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。
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