【リーガエスパニョーラ・シーズンプレビュー】新シーズンも3強の争いに変化なし

2016.08.19 12:30 Fri
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▽2016-17シーズンのリーガエスパニョーラが8月19日(金)に開幕を迎える。昨シーズンは、シーズン終盤までもつれ込んだレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーのマドリッド勢との熾烈な争いを制したバルセロナが、最終節で2連覇を決めた。
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▽今夏にはコパ・アメリカ・センテナリオ、ユーロ2016の2大ビッグイベントが開催された影響で多くの代表選手を抱えるビッグクラブにとっては、主力のコンディションの維持が重要となる。それでも、新シーズンのリーガのタイトル争いをリードしていくのは、永遠のライバルであるバルセロナとレアル・マドリー、ここ数年闘将シメオネ監督の下で力を付けるアトレティコ・マドリーの3強となるはずだ。また、その3強を除くオトラリーガでは、日本代表MF清武弘嗣の加入したセビージャや昨季4位のビジャレアル、捲土重来を図るバレンシアなどが覇権を争うことになる。
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◆編集部予想
◎本命:バルセロナ
○対抗:レアル・マドリー
▲3番手:アトレティコ・マドリー
☆注目:セビージャ
△連下:ビジャレアル、エスパニョール
◆3連覇のカギは“MSN”依存からの脱却~バルセロナ~
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▽優勝の本命は、2連覇中の王者バルセロナだ。“MSN”の愛称で知られるFWメッシとFWルイス・スアレス、FWネイマールという世界最高のクラックが並ぶトリデンテの破壊力を武器に、圧倒的な攻撃力でここ2年の間、リーガのトップに君臨しているバルセロナ。だが、その“MSN”の疲労がピークに達した昨シーズンの終盤には公式戦で連敗を喫するなど、改めて“MSN”への極度の依存を露呈する結果となった。
▽したがって、3連覇を目指す新シーズンに向けての最重要課題は、“MSN”依存からの脱却だ。だが、今夏の移籍市場では彼ら3人のバックアップを担う“第4のFW”探しに着手も、有力候補に挙がっていたFWガメイロやFWビエットの獲得に失敗。開幕時点で補強は進まず、このままマーケットが終了すれば、若手FWムニルやMFアルダといった現有戦力での穴埋めを余儀なくされるはずだ。

▽“第4のFW”探しに苦戦する一方で、“MSN”依存脱却へのもう1つの策であるバルセロナ伝統の中盤主導のフットボールへの回帰に向けては、今夏にMFデニス・スアレス、MFアンドレ・ゴメスらを加え、中盤の選手層に厚みが増した。ここに休暇を早めに切り上げて、プレシーズンに積極アピールを続けるアルダらが、MFイニエスタとMFラキティッチのレギュラーコンビに良い形で絡めれば、“MSN”の負担軽減にも繫がるはずだ。

▽守備面に関しては、正GKブラーボの去就やDFダニエウ・アウベスの後継者問題という不安はあるものの、DFディーニュとDFユムティティの新加入フランス代表コンビの加入や、右サイドバックへの本格コンバートとなるMFセルジ・ロベルトが早い段階でフィットすれば、大きな問題とはならないだろう。
◆継続路線は吉と出るか、凶と出るか? 試されるジダン体制2年目~レアル・マドリー~
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▽シーズン途中に就任したジダン監督の下でチャンピオンズリーグ制覇に成功したレアル・マドリーだが、国内では2011-12シーズンの優勝を最後にバルセロナとアトレティコの後塵を拝し続けている。5年ぶりのリーグ制覇を目指すジダン体制2年目のレアル・マドリーだが、毎年主役の座を担ってきた移籍市場では、ユベントスからFWモラタを買い戻した以外に新星MFアセンシオをエスパニョールから復帰させただけで、獲得の噂されたFWレヴァンドフスキ、MFポグバら大物の獲得を見送るなど、静かな夏を過ごしている。

▽FWベイル、FWベンゼマ、FWクリスティアーノ・ロナウドの“BBC”を筆頭に、MFモドリッチやMFクロース、DFセルヒオ・ラモスなど各ポジションに世界最高峰のタレントを抱えているだけに、補強の必要性はないという意見もあるが、新戦力の補強によるポジション争いなどの刺激がなければ、選手たちのモチベーションに悪影響を及ぼす可能性もあるだけに、今夏の動きはある意味、ギャンブルともいえるだろう。この継続路線が吉と出るか、凶と出るかはシーズン終了後にわかることだが、ジダン監督により大きなプレッシャーがかかることは間違いない。

◆主力残留に好補強で3年ぶりの戴冠の可能性も~アトレティコ・マドリー~
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▽奇跡の優勝を果たした2013-14シーズンから3年連続で優勝争いに絡むなど、バルセロナとレアル・マドリーに肩を並べる存在となったアトレティコは、3年ぶりの覇権奪還に向けて好位置に付けている。

▽昨シーズンのCL決勝敗退後、辞任の可能性を示唆したシメオネ監督を始め、多くのビッグクラブから関心を集めるFWグリーズマンなど主力の慰留に成功したクラブは、逆に両サイドバックのバックアッパーを担うDFヴルサリコ、新たな崩しの切り札、MFガイタンの獲得に成功。また、グリーズマンへの依存が顕著だった前線では、FWジエゴ・コスタの買い戻しに失敗したものの、バルセロナの獲得候補にも挙がっていたFWガメイロを引き抜くなど、好補強が目立った。

▽スーパースター揃いの2強に比べ、タレントの質は決して高くないが、戦術面や人心掌握面で2強の指揮官を上回る闘将シメオネ監督が、例年通りうまくチームをまとめられれば、3年ぶりの戴冠の可能性は十分にあるはずだ。

◆オトラリーガを制し、CL出場権を手にするのは~セビージャ、ビジャレアル、バレンシア~
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▽異次元の強さを誇る3強の優勝争いと共に注目を集めるのが、3強以外での覇権(CL出場権)を争うオトラリーガ。昨シーズンは、攻守に完成度の高いフットボールを展開したビジャレアルが、オトラリーガの覇者となったが、新シーズンも白熱の争いが期待される。

▽オトラリーガ優勝の本命は、移籍市場の主役となった新生セビージャ。例年、多くの選手が入れ替わるセビージャだが、今夏の移籍市場ではパリ・サンジェルマンに旅立ったエメリ前監督に代わって、サンパオリ新監督が就任。また、ヨーロッパリーグ3連覇に貢献したMFバネガ、MFクリホヴィアク、FWガメイロ、闘将DFコケら主力が退団。その後釜に清武やMFフランコ・バスケス、MFガンソ、FWビエット、FWイェデルら複数の攻撃的なタレントが加入しており、ここ数年で最も大きな変化を迎えている。直近のスーペル・コパでは、サンパオリ新監督の戦術の浸透が遅れていることを露呈する戦いぶりとなったが、ポテンシャルは高いだけにチーム作りを急ぎたいところだ。

▽昨季のオトラリーガ覇者のビジャレアルは、シーズン開幕前に選手との軋轢が噂されたマルセリーノ前監督が電撃解任され、後任にエスクリバ監督が招へいされるなど、クラブ内のごたごたの影響が気がかりだ。補強に関してはDFバイリー、GKアレオラ、デニス・スアレスが抜けたものの、FWパトやMFロベルト・ソリアーノ、MFチェリシェフなど実力者を迎えており、前線に関しては戦力値を上げている。ただ、長期離脱のFWソルダードとコンディション不良のFWバカンブ不在のシーズン序盤の戦いが、鍵となっていくはずだ。

▽これまでの実績を考えれば、バレンシアも有力候補の1つだが、昨シーズンにCL出場権を逃した影響でサラリーキャップを制限する必要があり、今夏の移籍市場ではMFアンドレ・ゴメスをすでに放出し、FWアルカセルやDFムスタフィ、GKジエゴ・アウベスにも放出の可能性が出てきている。今夏の補強ではFWナニ、MFメドラン、DFモントーヤを獲得したものの、他クラブに比べて選手層に不安を抱えている。

◆多士済々の新指揮官たちに注目~エスパニョール、グラナダ、マラガ~
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▽今夏の移籍市場では選手と同様、指揮官の移動も目立った。前述したセビージャのサンパオリ、ビジャレアルのエスクリバを始め、エスパニョールには前ワトフォードの指揮官、キケ・フローレス、グラナダには前ラージョのパコ・ヘメス、マラガには名将ファンデ・ラモスが新指揮官に就任。また、デポルティボも前エイバルのガリターノを招へいしている。

▽その中で最注目は、アトレティコやバレンシアでも優れた手腕を発揮していたキケ・フローレス率いるエスパニョール。中国系企業に買収されたエスパニョールは、今夏にMFレジェス、MFフラード、MFピアッティ、FWレオ、DFデミチェリス、MFハビ・フエゴを獲得するなど、近年稀にみる積極補強を敢行。この補強に加え、リーガを知り抜くキケ・フローレスの就任でCL出場権争いに絡む可能性が出てきている。

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レーティング:バルセロナ 1-4(AGG:4-6) パリ・サンジェルマン【CL】

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、バルセロナvsパリ・サンジェルマン(PSG)が、16日にエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで行われ、アウェイのPSGが1-4で勝利。この結果、2戦合計4-6としたPSGの準決勝進出が決まった。超WSの選手採点結果と寸評は以下の通り。 ▽バルセロナ採点 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240417_0_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> GK 1 テア・シュテーゲン 5.5 4失点を喫したが、いずれもGKとしては厳しい形だった。終盤に意地のファインセーブも見せたが及ばず… DF 23 クンデ 6.0 チームは大量失点で敗れたが、個人としては素晴らしいパフォーマンスを見せた。アラウホ退場後は気迫のプレーでチームを牽引 4 アラウホ 4.0 自身のミスパスの流れから招いたピンチでバルコラを倒してしまい痛恨の一発退場。ギリギリでの対応ではあったが、2点リードの状況を考えればリスキーなチャレンジだった 33 パウ・クバルシ 6.0 クンデ同様に個人としては安定したパフォーマンスを見せたが、悔しい試合に 2 カンセロ 4.5 守勢の展開の中で守備面の粗が出る展開に。そして、軽率なチャレンジで痛恨のPK献上… (→フェリックス -) MF 8 ペドリ 5.5 退場までは危なげなくプレーできたが、負傷明けでのタフな展開で徐々にトーンダウン (→フェラン・トーレス 5.5) 球際の勝負や切り替えの部分で気迫を示したが、決定的な仕事はできなかった 22 ギュンドアン 5.5 中盤で献身的にプレーしながら後半は際どいシーンにも絡んだ 21 F・デ・ヨング 5.0 コンディション面でまだまだ本調子ではなく、数的不利の難しい状況で効果的なプレーができなかった (→フェルミン・ロペス -) FW 27 ラミン・ヤマル 6.5 圧巻の単騎突破からハフィーニャの先制点を演出。しかし、アラウホ退場の煽りを受けて前半30分過ぎの交代に… (→イニゴ・マルティネス 5.5) 軽率な形で前半にカードをもらったが、後半は大崩れせず 9 レヴァンドフスキ 5.0 前後半に3度の決定機があったが、やや強引なプレー判断でチャンスを潰した。ただ、攻守に最低限の仕事はこなした 11 ハフィーニャ 6.5 2試合連続ゴール。それ以上に両サイドハーフに最後は左サイドバックまでこなしながら、攻守両面で素晴らしいファイトを見せた 監督 チャビ 4.5 チームが数的不利で厳しい状況の中、メンタルをコントロールできずにレッドカードで退席処分。アラウホ退場が流れを大きく変えたが、チームを鼓舞する形ではなく職場放棄にも見える無責任な振る舞いだった ▽パリ・サンジェルマン採点 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240417_0_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> GK 99 ドンナルンマ 5.5 失点はノーチャンス。レヴァンドフスキの強烈なシュートを阻むなど1stレグの厳しい内容を払しょくした DF 2 ハキミ 6.0 1失点目では絞り切れなかったが、数的優位を得た後は1アシストを含め攻撃面で良いアクセントを付けた 5 マルキーニョス 6.0 数的優位の状況でリスク管理を徹底。レヴァンドフスキら相手のアタッカー陣を読みを利かせた対応で封じた 21 リュカ 5.5 後半終盤に軽率なボールロストでピンチを招く。それ以外は無難にまとめた 25 ヌーノ・メンデス 5.5 ヤマルに完璧に翻弄されて失点に関与。ただ、相手の退場を誘発するクリアや攻撃面ではうまく味方を活かした MF 33 ザイール=エメリ 5.5 中盤で黒子役を完遂。攻撃面でもう少し良さを出したかったが、球際ではしっかりと戦えていた (→ウガルテ -) 17 ヴィティーニャ 7.0 見事なミドルシュートで2試合連続ゴール。全体のバランスを意識しながらアタッキングサードで効果的なプレーを見せた 8 ファビアン・ルイス 5.5 前目で攻撃に絡む意識は見せたが、その精度や判断がいまひとつだった (→アセンシオ 5.5) 4点目の場面に絡んだが、仕留め切れなかった印象。ボール保持の部分で逃げ切りに貢献 FW 10 デンベレ 7.0 2試合連続恩返しゴールにPK奪取。試合を通して古巣の脅威となり続けた (→コロ・ムアニ -) 7 ムバッペ 6.5 来季からの“ライバル”相手に2ゴール。流れの中では抑え込まれた印象も、見事な決定力を発揮した 29 バルコラ 6.5 アラウホの退場誘発に1点目をアシスト。本職の左ウイングで攻撃の起点を担った (→イ・ガンイン 5.5) 見せ場はほぼなかったが、チームプレーヤーとして最低限の仕事をこなす 監督 ルイス・エンリケ 6.0 相手の自滅に助けられた印象もあるが、敵地で逆転勝利に導いてベスト4進出 ★超WS選定マン・オブ・ザ・マッチ! デンベレ(パリ・サンジェルマン) 大ブーイングで迎えられた古巣相手のアウェイゲームで強靭なメンタルを発揮。反撃の狼煙を挙げる貴重なゴールに2戦合計で決勝点となるPK奪取。前線で効果的なポジションを取りながら鋭い仕掛けやラストパスで攻撃を司った。 バルセロナ 1-4(AGG:4-6) パリ・サンジェルマン 【バルセロナ】 ハフィーニャ(前12) 【PSG】 デンベレ(前40) ヴィティーニャ(後9) ムバッペ(後16)【PK】 ムバッペ(後44) 2024.04.17 06:11 Wed

敵地で逆転のPSGがドルトムントと準決勝で再戦へ! バルセロナはハフィーニャ連発もアラウホ退場響く【CL】

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、バルセロナvsパリ・サンジェルマン(PSG)が16日にエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで行われ、アウェイのPSGが1-4で勝利。この結果、2戦合計4-6としたPSGの準決勝進出が決まった。 先週にパルク・デ・プランスで行われた1stレグはアウェイのバルセロナが3-2で先勝。元同僚指揮官同士の初対決は互いに効果的な交代策で流れを引き寄せ合った中、最終的にチャビ監督が制した。 敵地で先勝に成功したバルセロナは、先週末のカディス戦で多くの主力に完全休養を与えた中、フェリックスのゴラッソを守り切ってウノセロ勝利。今回の大一番、週末に控えるエル・クラシコに弾みを付けた。チャビ監督はこの一戦に向けて1stレグから先発1人を変更。サスペンションのセルジ・ロベルトに代えてペドリを起用した。 一方、ホームで敗戦を喫したPSGは、UEFAコンペティション参戦組の試合が24日に延期されるリーグ側の配慮によって、1stレグの後は主力のコンディション調整、逆転突破に向けたトレーニングに集中。注目の先発メンバーは1stレグから3人を変更。ベラウドとイ・ガンイン、アセンシオに代えてサスペンション明けのハキミ、ザイール=エメリ、バルコラを起用した。 逆転突破へゴールが必要なPSGが立ち上がりから攻勢を仕掛けていく。バルセロナを押し込むことに成功すると、バルコラとデンベレの両翼に加えて、積極的に高い位置を取ったファビアン・ルイスがボックス内で仕掛けを見せつつ、アンカーのヴィティーニャも後方支援からミドルレンジのシュートを虎視眈々と狙う。 一方、後ろ重心の入りとなったバルセロナは前回対戦同様に少ないチャンスをものの見事に先制点へ結びつける。 12分、相手陣内右サイドでアラウホから対角パスを受けたラミン・ヤマルが対面のヌーノ・メンデスに一対一の勝負を挑むと、カットインを警戒した相手を鋭い縦への突破で抜き去ってボックス右ゴールライン際までえぐって左足アウトを使ったクロスを供給。これを大外からニアに絞ってきたハフィーニャがDFに先んじて左足で合わせた。 16歳ヤマルの圧巻の単騎突破から生まれたハフィーニャの2試合連続ゴールによって2点のアドバンテージを得たバルセロナは、ここから一気にリズムを掴む。20分には左サイドをコンビネーションで崩し、ハフィーニャのクロスのこぼれに反応したレヴァンドフスキがボックス中央で腰の捻りを利かせたシュートで2点目にも迫った。 何とか2失点目を回避したPSGは前半半ばを過ぎて反撃を開始。28分には左のスペースに抜け出したバルコラからの折り返しに反応したムバッペ、直後の左CKの二次攻撃から再びムバッペとエースが続けて枠内シュートを記録するが、これはGKテア・シュテーゲンの好守とDFクンデのゴールカバーに阻まれる。 だが、直後の29分にはアラウホのミスパスをメンデスがクリアしたボールに反応したバルコラが快足を飛ばしてボックス付近に持ち込むと、遅れての対応となったアラウホが堪らず斜め後ろからのチャージで倒してしまう。すると、主審は決定機阻止との判定でレッドカードを掲示した。 2点のリードはあるものの、数的不利を背負ったホームチームはヤマルを下げてイニゴ・マルティネスをセンターバックに投入。ペドリをサイドに出して[4-4-1]の布陣に変更した。 相手が守り慣れる前に押し切りたいアウェイチームは一気に攻勢を強めると、40分には中央でタメを作ったヴィティーニャのショートスルーパスに抜け出したバルコラがボックス左からGKとディフェンスラインの間を狙った絶妙な左足のクロスを供給。これを大外に走り込んだデンベレが右足ダイレクトで蹴り込み、古巣相手の2試合連続恩返しゴールとした。 これで完全に試合の行方がわからなくなると、勢いづくアウェイチームが畳みかける。前半終了間際にはメンデスの左クロスに再びファーで反応したデンベレがダイレクトシュートを狙ったが、これはわずかに枠の左に外れた。 2戦合計スコアではバルセロナが1点リードで折り返した試合は後半も数的優位のPSGが押し込む展開が続く。52分にはデンベレ、ムバッペとボックス付近で繋いでゴール左に走り込んだファビアン・ルイスに決定機も、左足でファーポストを狙ったシュートは枠を捉え切れない。 後半のファーストチャンスを逃したパリの巨人だったが、直後にセカンドチャンスをモノにする。54分、右CKのショートコーナーからハキミのパスをペナルティアーク右で受けたフリーのヴィティーニャが右足を一閃。低い弾道のシュートがゴール左下隅の完璧なコースに突き刺さった。 これで2戦合計4-4のイーブンに戻った試合はよりオープンな展開に。勝ち抜けヘゴールが必要となったバルセロナは、失点直後の56分にペドリ、レヴァンドフスキの左サイドでの崩しからボックス中央でパスを受けたギュンドアンが鋭い右足シュートを放つが、これは惜しくも左ポストを掠めた。 追いついたことによる一瞬の隙から冷や汗をかいたルイス・エンリケのチームだったが、直後に三度ゴールをこじ開ける。59分、ボックス右でルーズボールに反応したデンベレに対してカンセロの軽率なスライディングタックルがアフターの形で入ると、このプレーでPKが与えられる。これをキッカーのムバッペが冷静に左隅に蹴り込み、61分のゴールとした。 この痛恨の失点によって厳しくなったホームチームは失点直後にペドリを下げてフェラン・トーレスを投入。リスクを冒して前に出ていくと、73分にはハフィーニャの仕掛けからペナルティアーク付近でパスを受けたレヴァンドフスキが強烈な左足シュートを枠に飛ばす。だが、これはGKドンナルンマの好守に阻まれた。 その後、PSGが殊勲のバルコラやインサイドハーフ2枚を下げてイ・ガンインやウガルテの投入で試合をクローズに入る。これに対してバルセロナは最後の交代機会を使ってカンセロ、フレンキー・デ・ヨングを下げてフェリックス、フェルミン・ロペスの投入で勝負に出る。 88分にはリュカの不用意なボールロストからカウンターを仕掛けたバルセロナに決定機が訪れたが、レヴァンドフスキが強引に放ったシュートはDFマルキーニョスの身体を張ったブロックに阻まれる。 すると、この直後の89分にはバルセロナのCKを撥ね返したロングカウンターからPSGが波状攻撃を仕掛けると、ムバッペとアセンシオの連続シュートはGKテア・シュテーゲンの圧巻の連続セーブに阻まれたが、クンデのクリアボールが味方に当たってこぼれたところに反応したムバッペが冷静に左足シュートを突き刺し、トドメの4点目を奪った。 そして、試合はこのままタイムアップを迎え、敵地で4ゴールを挙げて勝利したPSGが逆転でベスト4進出を決めた。なお、準決勝では同じくスペイン勢のアトレティコ・マドリーを破ったドルトムントとグループステージ以来の再戦を戦う。 2024.04.17 06:06 Wed

【CL準々決勝プレビュー】共に万全の状態でベスト4懸けて激突…バルサ逃げ切るか、PSGが逆転か

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、バルセロナvsパリ・サンジェルマン(PSG)が、日本時間16日28:00にエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスでキックオフされる。共に万全の状態で臨む4強入りを懸けた第2ラウンドだ。 先週にパルク・デ・プランスで行われた1stレグはアウェイのバルセロナが3-2で先勝した。前半にハフィーニャのゴールでアウェイチームが先手を奪ったが、後半立ち上がりにデンベレ、ヴィティーニャの連続ゴールによってホームチームが逆転。その後、交代選手で流れを変えたバルセロナはハフィーニャ、クリステンセンの連続ゴールで試合を引っくり返し、元同僚指揮官同士の初対決はチャビ監督が制した。 敵地で先勝に成功したバルセロナは、ホームでの2ndレグ、週末に控えるエル・クラシコという重要な連戦に向けて先週末のカディス戦では主力を温存。サスペンションのレヴァンドフスキ、カンセロを始め、ギュンドアン、アラウホ、フレンキー・デ・ヨングに完全休養を与えた中、フェリックスのオーバーヘッドによるゴラッソを守り切ってウノセロ勝利。結果と共にペドリや前線の控え選手にも試合勘を養わせる最高の調整となり、大一番へ弾みを付けた。 一方、後半の選手交代と布陣変更によって流れを引き寄せながらもホームで敗戦を喫したPSG。ただ、今週末はリール、マルセイユを含むUEFAコンペティション参戦組の試合が24日に延期されるリーグ側の配慮によって、主力のコンディション調整、逆転突破に向けたトレーニングに集中。対戦相手のさらなる分析、1stレグで出た課題の修正と共に、試合展開に応じたオプションの構築を含め良い準備ができているはずだ。 ◆バルセロナ◆ 【4-3-3】 ▽予想スタメン <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240415_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> GK:テア・シュテーゲン DF:クンデ、アラウホ、クバルシ、カンセロ MF:フレンキー・デ・ヨング、ペドリ、ギュンドアン FW:ラミン・ヤマル、レヴァンドフスキ、ハフィーニャ 負傷者:DFバルデ、MFガビ 出場停止者:DFセルジ・ロベルト(1/1)、クリステンセン(1/1) 累積警告によってセルジ・ロベルト、クリステンセンが欠場。負傷者は長期離脱中のバルデとガビの2選手が引き続き不在となる。 初戦からの変更はセルジ・ロベルトに代えてペドリを変更する1点のみとなりそうだ。中盤はデ・ヨングとギュンドアンのドブレピボーテに、ペドリをトップ下気味に配置する形を予想する。 ◆パリ・サンジェルマン◆ 【4-3-3】 ▽予想スタメン <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240415_100_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> GK:ドンナルンマ DF:ハキミ、マルキーニョス、リュカ、ヌーノ・メンデス MF:ザイール=エメリ、ヴィティーニャ、ファビアン・ルイス FW:バルコラ、デンベレ、ムバッペ 負傷者:DFキンペンベ 出場停止者:なし 出場停止者はいない。逆にサスペンション明けのハキミが復帰する。負傷者に関しては脳震とうの回復プロトコルを完了したムキエレの復帰によってキンペンベが唯一の欠場となる。 敵地での逆転を目指すという部分で初戦の後半をベースに[4-3-3]の攻撃的な布陣で臨む可能性が高いが、ダニーロやベラウドを組み込んだ[3-4-3]といったオプションの採用も想定されるところだ。 ★注目選手 ◆バルセロナ:FWロベルト・レヴァンドフスキ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240415_100_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 休養十分のエースが決定的な仕事を期す。1stレグではゴールを奪うことはできなかったものの、元同僚リュカや経験の少ないベラウドを相手に前線の基準点として相手のディフェンスラインをうまくコントロールし、ハフィーニャや中盤の選手たちの活躍を引き出した百戦錬磨のストライカー。 今回の一戦では前がかりに戦ってくる相手に対して、安定したボール保持、カウンターが重要な要素を担うことになり、最前線でボールを収めてスピードのある両ウイングで相手を引っくり返す形を狙っていく中、ポーランド代表FWの仕事が肝となるはずだ。 前々節のラス・パルマス戦での“カードコントロール”によってカディス戦でサスペンションを消化し、今回のPSG戦、週末のレアル・マドリー戦へ万全の準備を整えており、攻守両面でパワーを出しながら勝負を決める決定的な仕事にも期待したい。 ◆パリ・サンジェルマン:FWキリアン・ムバッペ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20240415_100_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 徹底監視をかいくぐってエースの仕事を果たせるか。1stレグでは1点目の起点となるなど、要所で相手に脅威を与えたものの、同胞クンデに両センターバックに封じ込まれて批判の声も少なくない形で試合を終えたパリのエース。 また、来季のエル・ブランコ入りが決定的と報じられる中、週末にエル・クラシコを控える新天地のファンに向けて宿敵撃破というアピールを見せたいところだ。 1stレグでは左サイドを主戦場に後半はデンベレとポジションを入れ替えながら変化は見せたが、単純に一対一の勝負で抑え込まれる場面が多く、個人として決定機に絡めなかった印象が強く、よりオフ・ザ・ボールの動きの質、プレー判断を改善して周囲と連携しながら、相手の堅固な守備網攻略を図りたい。 2024.04.16 18:30 Tue

CL4強入りなるか! チャビ監督がPSGとのホーム戦で後押し求む 「今こそ団結する時」

バルセロナのチャビ・エルナンデス監督がチャンピオンズリーグ(CL)準決勝進出に向け、ファンを含む一丸を求めた。クラブ公式サイトが伝えた。 先週、パリ・サンジェルマン(PSG)の本拠地でCL準々決勝1stレグを戦ったバルセロナ。一度は逆転されながらも再逆転に成功し、3-2で先勝した。 続いて、週末のラ・リーガ第31節カディス戦もウノセロで勝利した中、16日には今シーズンの本拠地エスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスにPSGを迎えてのリターンレグ。決戦を前にしたチャビ監督は「準決勝に進むためには多くの個性を示さなければならないだろう」とコメントし、敵チームや敵将を警戒している。 「我々は自分たちをコントロールして主導権を握らなければならないが、それはタフなミッションになるだろう。ルイス・エンリケは手を緩めないから、PSGは仕掛けてくるはずだ。私は彼のことをよく知っているし、我々に大きなプレッシャーをかけてくるであろうこともわかっている」 「世界最高のチームの1つが相手だ。最も激しいチームの1つであり、我々に何も与えてはくれない。そして彼は世界最高の監督の1人だ」 また、チャビ監督はファンに後押しを呼びかけ。すでに熱気は高まっているようで、ベスト4入りが懸かる試合への期待をあらわにした。 「我々はホームでプレーする。モンジュイックは盛大な夜になるはずだ。沸点に達するような雰囲気でなければならない。トリッキーな瞬間もあるだろうし、PSGは我々にハードワークを課してくる。だからこそ我々はファンを必要としている。今こそ団結する時だ」 「準々決勝に進出できたことをとても誇りに思うし、準決勝に進むチャンスがある。バルサファンは興奮しているし、置かれている状況を考えればそれは私も同じだ。チーム内でも他の場所でも、街中でも、興奮に包まれていていると感じることができる。我々は今シーズン失っていた興奮を取り戻したんだ」 この一戦では元スペイン代表MFセルジ・ロベルトとデンマーク代表DFアンドレアス・クリステンセンが出場停止。しかし、チャビ監督が重要視しているのは、チーム一丸となって戦えるかどうかだ。 「セルジ・ロベルトとクリステンセンが出場停止になったことは我々にとって痛手だ。それは事実だが、PSG戦で鍵となるのはチームとしてプレーすることだ。それができれば、出場する選手に関係なく、素晴らしいチャンスを得ることができるはず。準決勝に進むために全力を尽くす必要がある」 2024.04.16 14:04 Tue

チャビ監督の後任探し難航のバルセロナ、アトレティック率いるマルケス監督の昇格が最有力か

バルセロナのチャビ・エルナンデス監督の後任候補が絞られてきているようだ。スペイン『スポルト』が報じた。 大敗が続いた1月にチャビ監督が今シーズン限りでの退任を表明し、新指揮官探しが課題となっているバルセロナ。しかし、ジョアン・ラポルタ会長は「彼に続けてもらいたい」とチャビ監督の続投を希望しており、本人の心変わりがあるのか注目となっている。 一方でバルセロナの後任探しは進行中。スポーツ・ディレクター(SD)のデコ氏はブライトン&ホーヴ・アルビオンのロベルト・デ・ゼルビ監督(44)と交渉を行っているというが、進展はなく、高額な契約解除条項も存在することから引き抜きは難しいと見られている。 また、ユリアン・ナーゲルスマン監督(36)ら複数の候補がいたドイツ方面で残っているのは、フリーの状態が続く元ドイツ代表監督ハンジ・フリック氏(59)だけとのこと。バルセロナは外部からの招へいを断念しつつある状況で、リザーブチームのバルセロナ・アトレティックを率いるラファエル・マルケス監督(45)の昇格を第一に考え始めているという。 デコ氏はパリ・サンジェルマン(PSG)のルイス・エンリケ監督(53)も検討しているようだが、現時点では難しいことからマルケス氏を選択。プライベートではすでに「我々の監督」と呼んでいるようだ。 バルセロナはチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグのPSG戦や、ラ・リーガ首位を争うレアル・マドリーとの直接対決など大一番が控えており、この結果はクラブの今後を左右する可能性もあるが、このままマルケス氏の昇格が現実味を帯びていくのだろうか。 2024.04.15 18:11 Mon
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