【六さんのアムールフットボール】ユーロ2016 ~vol.1~
2016.06.16 17:00 Thu
▽今回の旅は、決勝トーナメント一回戦までは、リヨンをベースにサンテチエンヌ、マルセイユと、比較的近場を取材。以降、6月27日パリを皮切りに、試合会場を転戦して、再び最終日パリに戻ってくるスケジュールを組んだ。まるまる食の都リヨンのアパートに2週間である。ほんのしばし、シロガネーゼならぬ、リヨネーゼである。
【六川則夫】(ろくかわのりお)
1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。「蹴る、観る、撮る」の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。
[ジャッケリーニ、ブルーノの再来か]
▽グループステージから、注目度の高いカードを中心に取材日程を組むと、その反動がノックアウトラウンドに出てくる。試合の高揚感とは裏腹に、体は後半戦に入り日々、ボロボロになっていく。ましてや大会前、シニアサッカーで張り切りすぎて、腰を痛める、というより、壊してしまったため、無理が効かない。リハビリはWOWOWで自宅観戦か、はたまた現地取材か迷ったが、サッカーの近くにいることが、過去の経験から最高の治療と心に決め、後者を選んだ。何とも贅沢で、先が見えない無謀なリハビリとなった。[決定力にかけたロナウド、ゴール前でアイスになった]
▽パリでも、リヨンでも驚くほど街中で日本人の姿を見ない。代わりと言っては何だが、旗を持った人を先頭に、中華系のグループとよく遭遇する。老若男女、異国に対する高揚感をみんなたぎらせていた。異文化に対する好奇心が国力の源になるのは、過去日本が実証済みだ。[若かりし頃のブッフォンの匂いがするマンジュキッチ]
▽街中で、はっきりと日本人とわかる人に会ったのは、フランスに来て三日目である。ベルギー対イタリアが終わった帰りの満員のトラムの中、アズーリカラーに身を包んだおしゃれなカップルが目の前の座席に座っていた。垢ぬけている。「日本人ですか」と声をかけたら、「はい」という返事、思わず「やっと日本人に会えた」と言ったら、間髪を入れずに、「僕たちもそうです」と、しばし密室の中で一体感を共有した。[文句つけようがないモドリッチ]
▽今回の見どころは、参加国が16チームから24チームになったため、これまでの大会では見られない、ヨーロッパでセカンドトップ以下の参加国が増えた。僕にとってそれらのチームを実際、生で見るのは初めてである。アイスランドやアルバニアがどんなサッカーをするのか。ワールドカップでよく見られる、「捨てゲーム」が増えるのか、はたまた、彼らが大会を盛り上げることになるのか、自分の腰とともに、興味は尽きない。【六川則夫】(ろくかわのりお)
1951年、東京生まれ。
40年近くピッチレベルでサッカーを撮り続けてきている重鎮フォトグラファー。「蹴る、観る、撮る」の順序でサッカーを愛し、現在も取材の合間にボールを蹴るという根っからのサッカーボーイでもある。
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