【リーグ・アン総括&ベスト11】超WSの最優秀選手はイブラヒモビッチ
2016.05.27 12:00 Fri
《リーグ・アン》
【シーズン総括】
★PSGが記録尽くめの4連覇
▽昨シーズンはマルセイユとリヨン、パリ・サンジェルマン(PSG)の三つ巴の争いが続いたリーグ・アンだったが、今シーズンは開幕から圧倒的な強さを見せたパリ・サンジェルマンが、8節を残して史上最速でリーグ優勝を果たし、クラブ史上初の4連覇を達成した。
▽最強王者に続いて次点に入ったのは、波乱万丈のシーズンを過ごしたリヨン。久々のチャンピオンズリーグ(CL)参戦となった今シーズン、ヴァルブエナやヤンガ=エムビワなどのフランス代表、U-21スペイン代表のダルデルを加えて、リーグとCLでの成功を目指したリヨンだったが、序盤から二足の草鞋に苦しんだ。そして、前半戦終了時点で9位に低迷したクラブは、昨年12月末にフルニエ監督を解任。だが、この監督交代を機に本来の力を取り戻したリヨンは、ジェネシオ新監督の下、前半戦で低調なパフォーマンスに終始したラカゼット、先発に抜擢されたゲザルらの活躍でシーズン終盤戦を11戦無敗(9勝2分け)で駆け抜け、2年連続での2位フィニッシュを決めた。
▽CL出場圏内の3位に入ったのは昨シーズンに続いてモナコ。昨夏にマルシャルやカラスコ、クルザワ、コンドグビアといった主力を放出したチームは、世界最高の代理人ジョルジュ・メンデス氏のコネクションを生かしてポルトガル方面を中心に積極補強に動くもチームの再構築を強いられたことで、序盤戦は苦戦を強いられた。それでも、卓越した調整力を誇るジャルディム監督の下、“負けにくい”チームは要所で勝ち点を拾って、最終的に昨シーズンと同じ3位フィニッシュを決めた。
▽EL出場権を獲得したのは、甦った神童ベン・アルファにけん引されたニースとアントネッティ監督の下で見事に再生したリール。イングランドで不遇をかこったベン・アルファは紆余曲折を経て昨夏にニースに加入すると、ゴールスコアラーとしての才能を開花させた。さらにモナコからレンタルで加入したジェルマンに加え、セリやコジエッロといった実力者がきっちり仕事を果たし、ELストレートインを成し遂げた。また、シーズン途中にかつてガンバ大阪で指揮を執った経験もあるアントネッティ監督を招へいしたリールは、リーグ屈指の守護神エニュアマを中心としたソリッドな守備を軸に後半戦で躍動し、望外のEL出場権を手にした。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWズラタン・イブラヒモビッチ(パリ・サンジェルマン)
▽世界屈指の怪物ストライカーは、34歳というキャリア終盤を迎えたシーズンにキャリアハイの大活躍を見せた。度重なる負傷に悩まされた昨シーズンは19ゴールに留まり、年齢からくる衰えを感じさせたイブラヒモビッチ。しかし、全てにおいて規格外の偉丈夫は今シーズン、序盤からゴールを量産すると、最終的に38ゴール13アシストという異次元の活躍を披露。リーグ・アンの1シーズン最多ゴール記録(44ゴール)の更新こそ逃したものの、元アルゼンチン代表FWカルロス・ビアンチ氏の持つクラブ最多ゴール記録(37ゴール)を約40年ぶりに更新し、自身3度目の得点王を獲得した。そして、PSG在籍4年間でリーグ4連覇に導いたレジェンドは、シーズン終了後に今季限りの退団を発表し、見事に有終の美を飾った。
★最優秀監督
◆クロード・ピュエル(ニース)
▽南仏の地方クラブを最後までCL出場権争いに絡ませ、最終的にELストレートインとなる4位に導いた54歳のフランス人指揮官。今シーズンは巨大戦力を巧みに操り、リーグ4連覇に導いたブラン監督を始め、途中就任でリヨンとリールを立て直したジェネシオ監督、アントネッティ監督、昇格組のアンジェを9位でフィニッシュさせたムーラン監督などの手腕が光った。だが、ここ2シーズン、ボトムハーフで過ごしたニースを4位に導いたピュエル監督の手腕を最も評価した。戦術家というよりも、選手の特長を生かしたチーム作りに長けたピュエル監督は、イングランドで不遇をかこったベン・アルファ、モナコを追われたジェルマンという2人のアタッカーを見事に再生。加えて、コジエッロやセリといった若手を一人前に育て上げ、序盤からチームを安定飛行させた。また、志向する攻撃的なスタイルのサッカーは多くのフランス国民を魅了した。
【期待以上】
★チーム
◆アンジェ
▽昨シーズンのリーグ・ドゥを3位でフィニッシュし、1993-94シーズン以来となるリーグ・アン昇格となったアンジェは、開幕前の降格候補筆頭という下馬評を大きく覆し、9位でシーズンを終えた。ムーラン監督の下、圧巻のパフォーマンスを披露したDFトマを中心とした堅守を武器に前半戦をまさかの3位で終えたチームは、後半戦こそ得点力不足の影響で失速したものの、余裕の1部残留を決めた。前述したトマに加え、チーム得点王(9ゴール)のMFエンドイェやMFケトケオポムポンらこれまで無名だった選手のブレークも際立っていた。
★選手
◆FWウスマーヌ・デンベレ(レンヌ)
▽今季のリーグ・アンを席巻した18歳のアタッカー。昨シーズンにモンタニエ前監督の下でトップチームデビューを飾ったデンベレは、圧巻のスピードとテクニック、18歳らしからぬ判断力を武器に今シーズン序盤にレギュラーポジションを獲得。レンヌの若きエースに成長した“リベリ2世”は、今シーズンのリーグ戦25試合に出場し、12ゴール5アシストを記録し、フランスプロサッカー選手協会(UNFP)選出の年間最優秀若手選手賞を獲得した。わずか1年でスターダムをのし上がったデンベレは、来季からドルトムントに加入する。
【期待外れ】
★チーム
◆マルセイユ
▽昨シーズンを4位で終え、今シーズンの躍進が期待されたマルセイユだったが、開幕戦後のビエルサ前監督の電撃辞任に始まり、シーズン終盤のクラブ身売りの発表など、大波乱のシーズンを13位という低調な成績で終えた。昨夏にジニャックやアンドレ・アイェウ、パイエといった主力が去ったことに加え、開幕直後にビエルサ前監督が辞任したチームは、ミチェル新監督の下で立て直しを図るも、なかなかメンバーを固定できず、攻守にチグハグな戦いが目立った。新10番のラッサナ・ディアッラや守護神マンダンダ、チームトップの17ゴールを挙げたバチュアイら個人の活躍で一時は盛り返すも、シーズン終盤の失速でミチェル監督が解任されるなど、終始厳しいシーズンを過ごした。来季は新オーナーの下で名門復活を目指すことになる。
★選手
◆MFマテュー・ヴァルブエナ(リヨン)
▽タイトル奪還に向けた切り札として昨夏に加入したものの、26試合出場で1ゴール5アシストという期待外れのシーズンとなった。フランス代表の同僚ベンゼマも絡んだ『セックステープ問題』の影響で心身ともにコンディションを落としたヴァルブエナは、司令塔らしからぬイージーミスが目立ち、シーズン半ばの低迷の一因となった。その後、ジェネシオ新監督の下ではMFゲザルにトップ下のポジションを奪われた挙句、ユーロ2016出場を逃すなど、散々なシーズンとなった。
【ベストイレブン】
GK:マンダンダ
DF:オーリエ、チアゴ・シウバ、アンティティ、マクスウェル
MF:ディ・マリア、L・ディアッラ、ブドゥブ、マテュイディ、ベン・アルファ
FW:イブラヒモビッチ
GK スティーブ・マンダンダ(マルセイユ)
▽孤軍奮闘の守護神。ディフェンスリーダーのヌクルを筆頭に低調なパフォーマンスに終始したマルセイユの守備陣を孤軍奮闘の活躍で支えた。持ち味のショットストップに加えて、最終ラインが簡単に漏らした相手FWとの一対一をことごとく制すなど、リーグ・アン最高峰の守護神であることを改めて証明した。
36試合(先発36)3240分
DF セルジュ・オーリエ(パリ・サンジェルマン)
▽シーズン終盤に起こした監督とチームメートへの侮辱発言で謹慎を強いられたものの、前半戦のパフォーマンスは見事の一言。卓越したアスリート能力に加え、戦術面での成長著しく、リーグ最高の右サイドバックに相応しい活躍ぶりだった。
21試合(先発21)1886分
2得点
DF チアゴ・シウバ(パリ・サンジェルマン)
▽美しいディフェンスでリーグ最高の堅守の中心を担った。昨シーズンはブラジル・ワールドカップでのショックを引きずって前半戦はいまひとつの出来だったが、今シーズンはシーズンを通して抜群の安定感を誇った。
30試合(先発29)2622分
1得点
DF サミュエル・アンティティ(リヨン)
▽フランス国内で最も将来を嘱望される若手センターバック。21歳ながらリヨンの最終ラインを統率するなど、やや勢いに任せていた昨シーズンから大きくスケールアップした。今シーズンは中盤のフィルターが弱まったことで無理な対応を強いられる場面が多かったものの、速さと強さを兼ね備えた見事な対人対応で多くのピンチを防いだ。また、元々定評のあったビルドアップでも状況判断に磨きがかかっていた。
30試合(先発30)2656分
1得点
DF マクスウェル(パリ・サンジェルマン)
▽王者を攻守に支えた職人。新進気鋭の若手クルザワの加入でシーズン前にはサブ落ちも予想されたものの、シーズンを通してレギュラーポジションを確保。攻守両面での気の利いた働きに加え、ミスの少ない堅実なプレーで王者の最終ラインをがっちりと支えた。
28試合(先発24)2226分
3得点
MF アンヘル・ディ・マリア(パリ・サンジェルマン)
▽不遇をかこったマンチェスター・ユナイテッド時代を払拭する見事なパフォーマンスで完全復活を印象付けた。ウイングという役割に留まらず、積極的にボールを引き出しながらイブラヒモビッチと共にPSGの攻撃を牽引し、10ゴール18アシストの大活躍。リーグ・アン1年目で見事にアシスト王に輝いた。
29試合(先発26)2122分
10得点
MF ラッサナ・ディアッラ(マルセイユ)
▽1年のブランクを感じさせない大活躍でフランス代表に復帰。2014年にロコモティフ・モスクワを退団してから1年間の浪人期間を経てマルセイユに加入した31歳は、卓越した戦術眼を生かして困難なシーズンを過ごした名門の中盤を支えた。この圧倒的なパフォーマンスが評価され、母国開催のユーロ2016ではレ・ブルーのレギュラーとしてプレーすることが濃厚となっている。
26試合(先発25)2084分
1得点
MF リヤド・ブドゥブ(モンペリエ)
▽リーグ・アン屈指の天才パサー。昨夏に財政難のバスティアからモンペリエに加入した26歳のアルジェリア代表MFは、残留争いを強いられたクラブで孤軍奮闘の活躍を見せた。同胞のマフレズを彷彿とさせるテクニックとエジルのような高精度のキックを兼ね備えたレフティーは、ディ・マリアとイブラヒモビッチに次ぐリーグ3位の12アシストを記録。さらにヨーロッパ主要リーグでトップのエジルに次ぐキーパス(チャンスに繋がるパス)を記録した。
38試合(先発37)3242分
2得点
MF ブレーズ・マテュイディ(パリ・サンジェルマン)
▽年々凄みを増す中盤のダイナモ。豊富な運動量と長いリーチを生かしたボール奪取に加え、質の高いフリーラン、高精度のクロス、冷静なフィニッシュと異次元の万能性を持つMFは、今季も王者PSGにとって代えの利かない存在だった。
31試合(先発23)2060分
4得点
MF ハテム・ベン・アルファ(ニース)
▽紆余曲折を経て加入したニースで第二の春を謳歌した。10代の頃から神童と評された超絶技巧に加え、キャリアハイの17ゴールを記録するなど、ゴールスコアラーとしての才能を開花させた29歳は、まさに無双状態のシーズンを送った。とりわけ、複数のDFを圧巻のドリブルで抜き去る姿は、痛快だった。
34試合(先発33)2825分
17得点
FW ズラタン・イブラヒモビッチ(パリ・サンジェルマン)
▽今季のリーグ・アンMVP。卓越したフィジカルとテクニック、イマジネーションを生かして38ゴール13アシストという異次元の数字を記録。チーム総得点(102ゴール)の半分に絡む圧巻の活躍ぶりだった。
31試合(先発29)2549分
38得点
【シーズン総括】
★PSGが記録尽くめの4連覇
▽昨シーズンはマルセイユとリヨン、パリ・サンジェルマン(PSG)の三つ巴の争いが続いたリーグ・アンだったが、今シーズンは開幕から圧倒的な強さを見せたパリ・サンジェルマンが、8節を残して史上最速でリーグ優勝を果たし、クラブ史上初の4連覇を達成した。
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▽例年、スロースタートの目立つPSGだが、今シーズンは開幕4連勝と好スタートを切ると、その後も攻守両面で異次元のパフォーマンスを披露し、前半戦を16勝3分けの無敗で終えた。リヨンやモナコ、マルセイユといったライバルが軒並み苦しむ中、後半戦に入っても勢いの衰えない“パリの巨人”は、第28節のリヨン戦で今シーズン初黒星を喫するも第30節でトロワに9-0の大勝を収めてフランス史上最速のリーグ制覇を成し遂げた。チームの総得点の約半分に絡んだイブラヒモビッチ(38ゴール13アシスト)にけん引されたチームは、最速優勝に加え、最多勝ち点(96)、2位との最多勝ち点差(31)、最多得失点差(+83)など、まさに記録尽くめの4連覇となった。▽CL出場圏内の3位に入ったのは昨シーズンに続いてモナコ。昨夏にマルシャルやカラスコ、クルザワ、コンドグビアといった主力を放出したチームは、世界最高の代理人ジョルジュ・メンデス氏のコネクションを生かしてポルトガル方面を中心に積極補強に動くもチームの再構築を強いられたことで、序盤戦は苦戦を強いられた。それでも、卓越した調整力を誇るジャルディム監督の下、“負けにくい”チームは要所で勝ち点を拾って、最終的に昨シーズンと同じ3位フィニッシュを決めた。
▽EL出場権を獲得したのは、甦った神童ベン・アルファにけん引されたニースとアントネッティ監督の下で見事に再生したリール。イングランドで不遇をかこったベン・アルファは紆余曲折を経て昨夏にニースに加入すると、ゴールスコアラーとしての才能を開花させた。さらにモナコからレンタルで加入したジェルマンに加え、セリやコジエッロといった実力者がきっちり仕事を果たし、ELストレートインを成し遂げた。また、シーズン途中にかつてガンバ大阪で指揮を執った経験もあるアントネッティ監督を招へいしたリールは、リーグ屈指の守護神エニュアマを中心としたソリッドな守備を軸に後半戦で躍動し、望外のEL出場権を手にした。
▽降格という憂き目を味わうことになったのは、トロワとガゼレク・アジャクシオの昇格組2チームと古豪スタッド・ランス。とりわけ、トロワは昨シーズンのリーグ・ドゥを制していただけに残留の期待が高かったものの、攻守に実力不足を露呈したチームは、わずか3勝しか挙げられず、6節を残して降格が決定していた。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWズラタン・イブラヒモビッチ(パリ・サンジェルマン)
Getty Images
▽世界屈指の怪物ストライカーは、34歳というキャリア終盤を迎えたシーズンにキャリアハイの大活躍を見せた。度重なる負傷に悩まされた昨シーズンは19ゴールに留まり、年齢からくる衰えを感じさせたイブラヒモビッチ。しかし、全てにおいて規格外の偉丈夫は今シーズン、序盤からゴールを量産すると、最終的に38ゴール13アシストという異次元の活躍を披露。リーグ・アンの1シーズン最多ゴール記録(44ゴール)の更新こそ逃したものの、元アルゼンチン代表FWカルロス・ビアンチ氏の持つクラブ最多ゴール記録(37ゴール)を約40年ぶりに更新し、自身3度目の得点王を獲得した。そして、PSG在籍4年間でリーグ4連覇に導いたレジェンドは、シーズン終了後に今季限りの退団を発表し、見事に有終の美を飾った。
★最優秀監督
◆クロード・ピュエル(ニース)
▽南仏の地方クラブを最後までCL出場権争いに絡ませ、最終的にELストレートインとなる4位に導いた54歳のフランス人指揮官。今シーズンは巨大戦力を巧みに操り、リーグ4連覇に導いたブラン監督を始め、途中就任でリヨンとリールを立て直したジェネシオ監督、アントネッティ監督、昇格組のアンジェを9位でフィニッシュさせたムーラン監督などの手腕が光った。だが、ここ2シーズン、ボトムハーフで過ごしたニースを4位に導いたピュエル監督の手腕を最も評価した。戦術家というよりも、選手の特長を生かしたチーム作りに長けたピュエル監督は、イングランドで不遇をかこったベン・アルファ、モナコを追われたジェルマンという2人のアタッカーを見事に再生。加えて、コジエッロやセリといった若手を一人前に育て上げ、序盤からチームを安定飛行させた。また、志向する攻撃的なスタイルのサッカーは多くのフランス国民を魅了した。
【期待以上】
★チーム
◆アンジェ
▽昨シーズンのリーグ・ドゥを3位でフィニッシュし、1993-94シーズン以来となるリーグ・アン昇格となったアンジェは、開幕前の降格候補筆頭という下馬評を大きく覆し、9位でシーズンを終えた。ムーラン監督の下、圧巻のパフォーマンスを披露したDFトマを中心とした堅守を武器に前半戦をまさかの3位で終えたチームは、後半戦こそ得点力不足の影響で失速したものの、余裕の1部残留を決めた。前述したトマに加え、チーム得点王(9ゴール)のMFエンドイェやMFケトケオポムポンらこれまで無名だった選手のブレークも際立っていた。
★選手
◆FWウスマーヌ・デンベレ(レンヌ)
Getty Images
▽今季のリーグ・アンを席巻した18歳のアタッカー。昨シーズンにモンタニエ前監督の下でトップチームデビューを飾ったデンベレは、圧巻のスピードとテクニック、18歳らしからぬ判断力を武器に今シーズン序盤にレギュラーポジションを獲得。レンヌの若きエースに成長した“リベリ2世”は、今シーズンのリーグ戦25試合に出場し、12ゴール5アシストを記録し、フランスプロサッカー選手協会(UNFP)選出の年間最優秀若手選手賞を獲得した。わずか1年でスターダムをのし上がったデンベレは、来季からドルトムントに加入する。
【期待外れ】
★チーム
◆マルセイユ
▽昨シーズンを4位で終え、今シーズンの躍進が期待されたマルセイユだったが、開幕戦後のビエルサ前監督の電撃辞任に始まり、シーズン終盤のクラブ身売りの発表など、大波乱のシーズンを13位という低調な成績で終えた。昨夏にジニャックやアンドレ・アイェウ、パイエといった主力が去ったことに加え、開幕直後にビエルサ前監督が辞任したチームは、ミチェル新監督の下で立て直しを図るも、なかなかメンバーを固定できず、攻守にチグハグな戦いが目立った。新10番のラッサナ・ディアッラや守護神マンダンダ、チームトップの17ゴールを挙げたバチュアイら個人の活躍で一時は盛り返すも、シーズン終盤の失速でミチェル監督が解任されるなど、終始厳しいシーズンを過ごした。来季は新オーナーの下で名門復活を目指すことになる。
★選手
◆MFマテュー・ヴァルブエナ(リヨン)
Getty Images
▽タイトル奪還に向けた切り札として昨夏に加入したものの、26試合出場で1ゴール5アシストという期待外れのシーズンとなった。フランス代表の同僚ベンゼマも絡んだ『セックステープ問題』の影響で心身ともにコンディションを落としたヴァルブエナは、司令塔らしからぬイージーミスが目立ち、シーズン半ばの低迷の一因となった。その後、ジェネシオ新監督の下ではMFゲザルにトップ下のポジションを奪われた挙句、ユーロ2016出場を逃すなど、散々なシーズンとなった。
【ベストイレブン】
(C) CWS Brains, LTD.
GK:マンダンダ
DF:オーリエ、チアゴ・シウバ、アンティティ、マクスウェル
MF:ディ・マリア、L・ディアッラ、ブドゥブ、マテュイディ、ベン・アルファ
FW:イブラヒモビッチ
GK スティーブ・マンダンダ(マルセイユ)
▽孤軍奮闘の守護神。ディフェンスリーダーのヌクルを筆頭に低調なパフォーマンスに終始したマルセイユの守備陣を孤軍奮闘の活躍で支えた。持ち味のショットストップに加えて、最終ラインが簡単に漏らした相手FWとの一対一をことごとく制すなど、リーグ・アン最高峰の守護神であることを改めて証明した。
36試合(先発36)3240分
DF セルジュ・オーリエ(パリ・サンジェルマン)
▽シーズン終盤に起こした監督とチームメートへの侮辱発言で謹慎を強いられたものの、前半戦のパフォーマンスは見事の一言。卓越したアスリート能力に加え、戦術面での成長著しく、リーグ最高の右サイドバックに相応しい活躍ぶりだった。
21試合(先発21)1886分
2得点
DF チアゴ・シウバ(パリ・サンジェルマン)
▽美しいディフェンスでリーグ最高の堅守の中心を担った。昨シーズンはブラジル・ワールドカップでのショックを引きずって前半戦はいまひとつの出来だったが、今シーズンはシーズンを通して抜群の安定感を誇った。
30試合(先発29)2622分
1得点
DF サミュエル・アンティティ(リヨン)
▽フランス国内で最も将来を嘱望される若手センターバック。21歳ながらリヨンの最終ラインを統率するなど、やや勢いに任せていた昨シーズンから大きくスケールアップした。今シーズンは中盤のフィルターが弱まったことで無理な対応を強いられる場面が多かったものの、速さと強さを兼ね備えた見事な対人対応で多くのピンチを防いだ。また、元々定評のあったビルドアップでも状況判断に磨きがかかっていた。
30試合(先発30)2656分
1得点
DF マクスウェル(パリ・サンジェルマン)
▽王者を攻守に支えた職人。新進気鋭の若手クルザワの加入でシーズン前にはサブ落ちも予想されたものの、シーズンを通してレギュラーポジションを確保。攻守両面での気の利いた働きに加え、ミスの少ない堅実なプレーで王者の最終ラインをがっちりと支えた。
28試合(先発24)2226分
3得点
MF アンヘル・ディ・マリア(パリ・サンジェルマン)
▽不遇をかこったマンチェスター・ユナイテッド時代を払拭する見事なパフォーマンスで完全復活を印象付けた。ウイングという役割に留まらず、積極的にボールを引き出しながらイブラヒモビッチと共にPSGの攻撃を牽引し、10ゴール18アシストの大活躍。リーグ・アン1年目で見事にアシスト王に輝いた。
29試合(先発26)2122分
10得点
MF ラッサナ・ディアッラ(マルセイユ)
▽1年のブランクを感じさせない大活躍でフランス代表に復帰。2014年にロコモティフ・モスクワを退団してから1年間の浪人期間を経てマルセイユに加入した31歳は、卓越した戦術眼を生かして困難なシーズンを過ごした名門の中盤を支えた。この圧倒的なパフォーマンスが評価され、母国開催のユーロ2016ではレ・ブルーのレギュラーとしてプレーすることが濃厚となっている。
26試合(先発25)2084分
1得点
MF リヤド・ブドゥブ(モンペリエ)
▽リーグ・アン屈指の天才パサー。昨夏に財政難のバスティアからモンペリエに加入した26歳のアルジェリア代表MFは、残留争いを強いられたクラブで孤軍奮闘の活躍を見せた。同胞のマフレズを彷彿とさせるテクニックとエジルのような高精度のキックを兼ね備えたレフティーは、ディ・マリアとイブラヒモビッチに次ぐリーグ3位の12アシストを記録。さらにヨーロッパ主要リーグでトップのエジルに次ぐキーパス(チャンスに繋がるパス)を記録した。
38試合(先発37)3242分
2得点
MF ブレーズ・マテュイディ(パリ・サンジェルマン)
▽年々凄みを増す中盤のダイナモ。豊富な運動量と長いリーチを生かしたボール奪取に加え、質の高いフリーラン、高精度のクロス、冷静なフィニッシュと異次元の万能性を持つMFは、今季も王者PSGにとって代えの利かない存在だった。
31試合(先発23)2060分
4得点
MF ハテム・ベン・アルファ(ニース)
▽紆余曲折を経て加入したニースで第二の春を謳歌した。10代の頃から神童と評された超絶技巧に加え、キャリアハイの17ゴールを記録するなど、ゴールスコアラーとしての才能を開花させた29歳は、まさに無双状態のシーズンを送った。とりわけ、複数のDFを圧巻のドリブルで抜き去る姿は、痛快だった。
34試合(先発33)2825分
17得点
FW ズラタン・イブラヒモビッチ(パリ・サンジェルマン)
▽今季のリーグ・アンMVP。卓越したフィジカルとテクニック、イマジネーションを生かして38ゴール13アシストという異次元の数字を記録。チーム総得点(102ゴール)の半分に絡む圧巻の活躍ぶりだった。
31試合(先発29)2549分
38得点
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