【質疑応答】佐々木氏、なでしこたちに向けたメッセージ「これからも世界を目指して精進して欲しい」
2016.03.18 18:00 Fri
▽日本サッカー協会(JFA)は18日、今月10日付で退任が発表されたなでしこジャパンの佐々木則夫前監督(57)の退任会見を行った。
▽質疑応答を行った大仁邦彌会長と佐々木前監督のコメントは以下の通り。
──なでしこスタイルという話がありましたが、これだけ結果を出せた要因は
大仁会長「日本の女子全体のことだと思いますが、技術レベルは世界と比べて高いと思います。それと、全員で攻撃、守備、チーム戦術をよく理解して、みんなで同じ様に動けるというところが、これまでのなでしこの強さだったと感じています」
佐々木氏「僕自身はU-19のコーチとU-19の指揮をさせて頂いた時に、女子のクオリティの高さ、ボールを持っていない時の連動、連係の質を生かしていくことで、攻撃、守備が進化するのではないかと感じました。NTT関東(大宮アルディージャの前身)というアマチュアのチームを指揮した時に、フィジカルがあまり高いレベルではなく、その中で連係・連動するという指揮をしながら、なんとかある程度結果を出すことができました。そこでオファーを頂いた時、なでしこの選手を見た時にフィジカルがあまりない、でも本当に連係・連動する質があるんじゃないか、技術もまあまあある。その中で一助になるんではないかと、大仁会長(当時は女子委員長)からオファーを頂き、こういった女子の世界に入りました。なんとか力になれたということ、そういったことを生かし切ってここまでやってきたということ、そういった所が僕自身はみんなと融合できた部分だと思います」
──女性のチームを率いる上で苦労があったと思うが
佐々木氏「みなさん、男性が女性を指揮する時に大変じゃないかとすぐ口にしますが、そういった指揮をした人に言われたくないなというのもあるかと思いますが、実際に思っているよりは選手たち1人1人の志が高かったので、そういった意味では僕自身は男性を指導するのとあまり変わらなかったかなと思っています」
──最終予選が終わって1週間ほど経ちましたが、今回のアジア最終予選に向けて、昨年のカナダ女子ワールドカップからどの様な戦術を準備してきたのか、また、この先どの様にしてまた世界で覇権をとって欲しいと思うか
佐々木氏「現実的に、ドイツのワールドカップ、ロンドン五輪と、年々の世界大会で世界のレベルが個の質も技術も上がってきていますし、戦術的な要素も以前はアバウトな状況の攻守にわたっての戦術が密になってきました。そういった意味で、我々も攻守にアクションする、そうした質を高めて世界と戦った中では、さらに個の質を上げた中で、組織として融合していくことが求められると思います。その中で、現実的にはそういったものを上げていく、若い選手たちも含めて現在進行形で成長させている状況で、それをチームとして合わせた時に世界レベルにあるかというと、なかなか厳しいところがあると思います」
「その中で、チームとしての戦術の中で、相手の個のパワー、テクニックをぼかしながら戦うという中では、実際にカナダ・ワールドカップでは非常に厳しいであろうと踏まえながら、なんとか1点差を連続して勝つことができた。そういった所の思考を変えたというがあります。アジアの現状でも感じていました。ピッチに水を撒いてスピーディなサッカーにトライした中で、連係した中での守備では、止める、蹴るの質がアジアでも上がってきています。そこをかいくぐられてしまうと、後ろは状況が厳しくなり、下がらざるを得なくなってしまいます。そういった状況があり、第1戦(オーストラリア戦)では自分たちがイニシアチブをとろうとしたところに、相手に守備や、展開の場面でイニシアチブをとられてしまいました。覚悟はした中で準備はしたつもりです」
「その中で結果を出さなくてはいけないので、セットプレーを工夫したり、しっかりとボールを動かすけども、高い位置に起点を取り、シンプルに高い位置をとるポイントがあるという準備をしっかりと準備したつもりでした。それが浸透しないまま、第1戦から第3戦まではイニシアチブが取れなかったのかなと思います。これからは個の質、世界の進捗が非常に上がってきているので、その中でも個を活かすような戦術を徹底していかなければいけません。それを痛感したアジア予選でした」
──今日までを振り返っての思い出は
佐々木氏「僕自身、U-19のチームも兼ねて代表を見ていたこともありました。そういう意味で若い世代の以降は理想的な環境だったと思います。若い世代とアジア予選、世界大会も経験し、それからなでしこにつなげる仕事は、僕にとって理想できであり、かつ、代表に移行するに当たって良く機能したと感じています。こういう環境を与えてもらって感謝しています。ただ、その時には365日、休みはなかったです。こういった経験をして、退任会見でこれほどたくさんのメディアの方が来ていただけるとは思っていませんでした。最終的にリオに行くことがでなかったですが、会長も隣に座っていただいている中で、これほどの会見を開いてもらえました。この一週間は日に日に、結果がでなかったことでの痛切な思いを感じていました」
「ただ、出た結果の中で切り替えて、そして財産としては、選手、協会、サポーターのみなさん、本当に多くのメディアの方たちとも接して色々なことを勉強させてもらいました。それが一番の財産です。今後もなでしこが世界で結果を出すのは難しいかもしれません。しかし、世界大会に出る可能性は高い。新たな指導者にバトンを渡し、陰ながらでも応援していきたいなと。これから世界と戦っていくのは厳しいですが、メディアの方々にも同じサッカーファミリーとして後押ししていただければと切に思っております」
──ここまで支えてきてくれた家族にはどんな言葉を
佐々木氏「意外ですが、現場で指揮を執っている時はハラハラ、ドキドキは感じません。テレビやスタンドで応援している家族の方がハラハラしています。2011年のワールドカップで優勝した時に、妻がスタジアムで腰を抜かしました。それほどの緊張、エネルギーを使って応援してくれた家族には本当に感謝しています。本当にありがとうと。娘もいますが、娘にも一応言っておかないと怒られますね(笑)」
──3大会連続でファイナリストになる貴重な経験をしてこられたが、この経験をサッカー界にどう還元していくと考えているか
佐々木氏「真っ白な状況です。何をこれからということは、今は考えていません。少し時間を作って。僕が選択できる幅があるかわかりませんが、どんな形でも女子サッカー、サッカー界には寄与したいと思っています」
──これまでの経験を踏まえて次の監督に向けたアドバイスを
佐々木氏「日本の女子サッカー、選手たちは可能性を秘めています。しかし世界の女子たちの進捗状況も良いです。そういう意味でも、世界と日本の足元をしっかりと確認して、良いチームを作ってくださいと伝えたいです。僕がスタートした頃は世界ランキング11位ぐらいで、20位くらいのチームとの差は明らかでした。今は4位ですが、20位から30位くらいのチームでもかなり質が良くなっています。世界で戦うには厳しい現実があります。カナダや今の現実を見てみなさんも感じていると思います。その辺を見据えながら、良い準備をして2019年のフランス・女子ワールドカップ、何といっても2020年の東京五輪で活躍できるように。これから大変なので、メディアの方はあまりプレッシャーをかけないようにお願いします(笑)」
──女子が再び世界と戦うために環境や育成面で必要なことは
佐々木氏「今は少子化です。サッカー協会、女子委員会も含めて、強化をして底辺を広げていく。サッカーに携わる女の子たちの環境を前向きに考えてくれています。そこが始まらないと、サッカーは足でやるスポーツで、急にトップチームで技術を学ばそうとするのは難しいです。ジュニアの域から普及も含めて取り組んでいます。その継続、サイクルは常に必要です。各学年の代表強化も含めてやっていますので、そこをうまくトップチームに繋げていく。継続的にやっていることを、世界を見据えながらやっていただければと思います」
──会長に質問です。サポート面で、もう少しこうすればよかったような悔いは
大仁会長「現場の準備の要望に沿って、できるだけのことをしました。これをやっとけば良かったというようなものはないです」
──選手たちに向けたメッセージを
佐々木氏「若干頼りなさそうな私でしたが(笑)、これまで良くついてきてくれました。選手たちの包容力の頼もしさを感じながら、厳しくもあり、楽しくもあり、やってきました。本当にありがとうと伝えたいです。これからも世界を目指して精進して欲しいなと思います。頑張ってください」
──監督は笑顔が印象的だが、チーム作りの上での笑顔は
佐々木氏「笑顔は自分のパーソナリティです。時には演技して笑うこともありますが、本当に選手たちの笑顔は素晴らしかったです。なでしこと僕自身は厳しい時もありました。しかし、最後の試合でほんのり笑顔がみんなの顔に出て、それで退任できて少し救われました」
▽質疑応答を行った大仁邦彌会長と佐々木前監督のコメントは以下の通り。
大仁会長「日本の女子全体のことだと思いますが、技術レベルは世界と比べて高いと思います。それと、全員で攻撃、守備、チーム戦術をよく理解して、みんなで同じ様に動けるというところが、これまでのなでしこの強さだったと感じています」
佐々木氏「僕自身はU-19のコーチとU-19の指揮をさせて頂いた時に、女子のクオリティの高さ、ボールを持っていない時の連動、連係の質を生かしていくことで、攻撃、守備が進化するのではないかと感じました。NTT関東(大宮アルディージャの前身)というアマチュアのチームを指揮した時に、フィジカルがあまり高いレベルではなく、その中で連係・連動するという指揮をしながら、なんとかある程度結果を出すことができました。そこでオファーを頂いた時、なでしこの選手を見た時にフィジカルがあまりない、でも本当に連係・連動する質があるんじゃないか、技術もまあまあある。その中で一助になるんではないかと、大仁会長(当時は女子委員長)からオファーを頂き、こういった女子の世界に入りました。なんとか力になれたということ、そういったことを生かし切ってここまでやってきたということ、そういった所が僕自身はみんなと融合できた部分だと思います」
──女性のチームを率いる上で苦労があったと思うが
佐々木氏「みなさん、男性が女性を指揮する時に大変じゃないかとすぐ口にしますが、そういった指揮をした人に言われたくないなというのもあるかと思いますが、実際に思っているよりは選手たち1人1人の志が高かったので、そういった意味では僕自身は男性を指導するのとあまり変わらなかったかなと思っています」
「もちろん、異性であることは間違いないので、一線を引くというのは現実にありましたが、僕自身のパーソナリティでここまでこられたのは、選手たちが気を配ってくれた中での活動だったと思います。特別に僕自身が鎧を着て、肩肘を張って指導してきたつもりはありません。残念ながら、僕はそんなに女性だからということで大変だったことは感じていません」
──最終予選が終わって1週間ほど経ちましたが、今回のアジア最終予選に向けて、昨年のカナダ女子ワールドカップからどの様な戦術を準備してきたのか、また、この先どの様にしてまた世界で覇権をとって欲しいと思うか
佐々木氏「現実的に、ドイツのワールドカップ、ロンドン五輪と、年々の世界大会で世界のレベルが個の質も技術も上がってきていますし、戦術的な要素も以前はアバウトな状況の攻守にわたっての戦術が密になってきました。そういった意味で、我々も攻守にアクションする、そうした質を高めて世界と戦った中では、さらに個の質を上げた中で、組織として融合していくことが求められると思います。その中で、現実的にはそういったものを上げていく、若い選手たちも含めて現在進行形で成長させている状況で、それをチームとして合わせた時に世界レベルにあるかというと、なかなか厳しいところがあると思います」
「その中で、チームとしての戦術の中で、相手の個のパワー、テクニックをぼかしながら戦うという中では、実際にカナダ・ワールドカップでは非常に厳しいであろうと踏まえながら、なんとか1点差を連続して勝つことができた。そういった所の思考を変えたというがあります。アジアの現状でも感じていました。ピッチに水を撒いてスピーディなサッカーにトライした中で、連係した中での守備では、止める、蹴るの質がアジアでも上がってきています。そこをかいくぐられてしまうと、後ろは状況が厳しくなり、下がらざるを得なくなってしまいます。そういった状況があり、第1戦(オーストラリア戦)では自分たちがイニシアチブをとろうとしたところに、相手に守備や、展開の場面でイニシアチブをとられてしまいました。覚悟はした中で準備はしたつもりです」
「その中で結果を出さなくてはいけないので、セットプレーを工夫したり、しっかりとボールを動かすけども、高い位置に起点を取り、シンプルに高い位置をとるポイントがあるという準備をしっかりと準備したつもりでした。それが浸透しないまま、第1戦から第3戦まではイニシアチブが取れなかったのかなと思います。これからは個の質、世界の進捗が非常に上がってきているので、その中でも個を活かすような戦術を徹底していかなければいけません。それを痛感したアジア予選でした」
──今日までを振り返っての思い出は
佐々木氏「僕自身、U-19のチームも兼ねて代表を見ていたこともありました。そういう意味で若い世代の以降は理想的な環境だったと思います。若い世代とアジア予選、世界大会も経験し、それからなでしこにつなげる仕事は、僕にとって理想できであり、かつ、代表に移行するに当たって良く機能したと感じています。こういう環境を与えてもらって感謝しています。ただ、その時には365日、休みはなかったです。こういった経験をして、退任会見でこれほどたくさんのメディアの方が来ていただけるとは思っていませんでした。最終的にリオに行くことがでなかったですが、会長も隣に座っていただいている中で、これほどの会見を開いてもらえました。この一週間は日に日に、結果がでなかったことでの痛切な思いを感じていました」
「ただ、出た結果の中で切り替えて、そして財産としては、選手、協会、サポーターのみなさん、本当に多くのメディアの方たちとも接して色々なことを勉強させてもらいました。それが一番の財産です。今後もなでしこが世界で結果を出すのは難しいかもしれません。しかし、世界大会に出る可能性は高い。新たな指導者にバトンを渡し、陰ながらでも応援していきたいなと。これから世界と戦っていくのは厳しいですが、メディアの方々にも同じサッカーファミリーとして後押ししていただければと切に思っております」
──ここまで支えてきてくれた家族にはどんな言葉を
佐々木氏「意外ですが、現場で指揮を執っている時はハラハラ、ドキドキは感じません。テレビやスタンドで応援している家族の方がハラハラしています。2011年のワールドカップで優勝した時に、妻がスタジアムで腰を抜かしました。それほどの緊張、エネルギーを使って応援してくれた家族には本当に感謝しています。本当にありがとうと。娘もいますが、娘にも一応言っておかないと怒られますね(笑)」
──3大会連続でファイナリストになる貴重な経験をしてこられたが、この経験をサッカー界にどう還元していくと考えているか
佐々木氏「真っ白な状況です。何をこれからということは、今は考えていません。少し時間を作って。僕が選択できる幅があるかわかりませんが、どんな形でも女子サッカー、サッカー界には寄与したいと思っています」
──これまでの経験を踏まえて次の監督に向けたアドバイスを
佐々木氏「日本の女子サッカー、選手たちは可能性を秘めています。しかし世界の女子たちの進捗状況も良いです。そういう意味でも、世界と日本の足元をしっかりと確認して、良いチームを作ってくださいと伝えたいです。僕がスタートした頃は世界ランキング11位ぐらいで、20位くらいのチームとの差は明らかでした。今は4位ですが、20位から30位くらいのチームでもかなり質が良くなっています。世界で戦うには厳しい現実があります。カナダや今の現実を見てみなさんも感じていると思います。その辺を見据えながら、良い準備をして2019年のフランス・女子ワールドカップ、何といっても2020年の東京五輪で活躍できるように。これから大変なので、メディアの方はあまりプレッシャーをかけないようにお願いします(笑)」
──女子が再び世界と戦うために環境や育成面で必要なことは
佐々木氏「今は少子化です。サッカー協会、女子委員会も含めて、強化をして底辺を広げていく。サッカーに携わる女の子たちの環境を前向きに考えてくれています。そこが始まらないと、サッカーは足でやるスポーツで、急にトップチームで技術を学ばそうとするのは難しいです。ジュニアの域から普及も含めて取り組んでいます。その継続、サイクルは常に必要です。各学年の代表強化も含めてやっていますので、そこをうまくトップチームに繋げていく。継続的にやっていることを、世界を見据えながらやっていただければと思います」
──会長に質問です。サポート面で、もう少しこうすればよかったような悔いは
大仁会長「現場の準備の要望に沿って、できるだけのことをしました。これをやっとけば良かったというようなものはないです」
──選手たちに向けたメッセージを
佐々木氏「若干頼りなさそうな私でしたが(笑)、これまで良くついてきてくれました。選手たちの包容力の頼もしさを感じながら、厳しくもあり、楽しくもあり、やってきました。本当にありがとうと伝えたいです。これからも世界を目指して精進して欲しいなと思います。頑張ってください」
──監督は笑顔が印象的だが、チーム作りの上での笑顔は
佐々木氏「笑顔は自分のパーソナリティです。時には演技して笑うこともありますが、本当に選手たちの笑顔は素晴らしかったです。なでしこと僕自身は厳しい時もありました。しかし、最後の試合でほんのり笑顔がみんなの顔に出て、それで退任できて少し救われました」
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