【原ゆみこのマドリッド】上司が変われば気分も変わる…2016.01.09 08:00 Sat

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▽「いい時期ではあるわよね」そんな風に私が納得していたのは金曜日、いよいよジダン新監督の初戦が翌日に迫っているのに気づいた時のことでした。いやあ、今週は月曜にレアル・マドリーの指揮官交代があったため、こちらも何やらバタバタして過ごすことになったんですが、幸いだったのは彼らにはミッドウィークにコパ・デル・レイの試合がなかったこと。それも12月にカディス(2部B)との32強対決1stレグでチェリシェフのalineracion indebida(アリネラシオン・インデビダ/出場資格のない選手の起用)が発覚し、大会敗退となったせいですが、うっかり16強対決が予定されてでもいたら、新監督も落ち着いて準備を進める時間がなかったのでは?

▽おかげで日曜にバレンシア戦で引き分けた翌日夕方遅く、ベニテス監督の解任がクラブの理事会で決定。同時に後任監督としてジダンの名前が、ほんの3週間程前には「ベニテス監督はチームの問題の解決策。Zidane no sustituirá a Benítez/ジアン・ノー・ススティトゥイラ・ア・ベニテス(ジダンがベニテス監督を引く継ぐことはない)」と断言していたペレス会長により、サンティアゴ・ベルナベウで発表され、その時は当人も「タイトルと獲るために全力を尽くす」といったシンプルなコメントだけで、あとは奥さんとマドリーのカンテラ(下部組織)でプレーする4人の息子さんたちと一緒に檀上でポーズするぐらいで良かったんですけどね。

▽翌火曜にはちょうど、レジェス・マゴス(東方の三賢人の祝日、スペインでは伝統的に子供たちがプレゼントをもらえる日となっている)を控え、ファンサービスとして1年に1回の恒例となっている公開練習に挑み、駆けつけたサポーター約7000人から拍手を浴びた後、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)監督となって1年目だった昨季は忌避しながらも、今季から行うようになった監督記者会見に初めてトップチームの指揮官として登場することに。ええ、今度はサンティアゴ・ベルナベウのプレス・コンファレンスルームで行われたこちらでは、今後のチーム運営について事細かに質問に答えていましたっけ。

▽曰く、「マドリーで大切なのは美しいサッカー。自分もそれを目指す。Fútbol ofensivo y equilibrado/フトボル・オフェンシボ・イ・エキリブラード(攻撃的でバランスの取れたサッカーをね)」から始まって、「Quiero darle mi toque personal, un toque ofensivo/キエロ・ダールレ・ミ・トケ・ペルソナル、ウン・トケ・オフェンシーボ(自分の個人的なタッチも加えたい。攻撃的なニュアンスをね)」とか、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)については「la idea es clara, jugar con los tres/ラ・イデア・エス・クラーラ、フガール・コン・ロス・トレス(3人を使ってプレーするというアイデアははっきりしている)」、更には「Ganarlo todo/ガナールロ・トードー(全てを勝ち獲ること)。ウチには獲得できるタイトルが2つあるから、それにトライする」と、今季の目標なども話していましたが、何にしてもチームには才能ある選手が揃っていますからね。

▽あまり、やろうとしていることはペレス会長任期中の12年間で10番目の監督となった彼も変わらないような気はしますが、そこは実働グループのやる気次第。今季、大勢が慕っていたアンチェロッティ監督がいなくなり、実務肌のベニテス監督とはフィーリングが合わなかった彼らのハートを掴むことができれば、まだシーズンは半分残っていますし、どんなことでも可能かと。ええ、もちろん失格となったコパ・デル・レイだけは別ですけどね。

▽え、そんなお隣さんを尻目に今季も手近なタイトルとしてまず、コパ優勝を目指しているアトレティコは試合があったんだろうって? その通り、今週は月曜にクラネビテル(リーベル・プレートから移籍)、火曜にアウグスト(セルタから移籍)の入団プレゼンをひっそりビセンテ・カルデロンで行った後、水曜に彼らはコパ・ダービーとなった16強対決1stレグでまたしてもエスタディオ・デ・ラス・バジェカスに乗り込んだんですが、いえ、もちろん昨今の試合展開から楽勝なんてまったく予想はしていなかったんですけどね。昨年末最後のリーガでの対戦を思い出しても苦戦することは目に見えていたんですが、そこへ加えて、シメオネ監督が最初のレウス(2部B)戦同様、オブラク、ゴディン、ファンフラン、フィリペ・ルイス、コケ、グリースマンらにお休みを与え、コパ用イレブンを投入したから、もう大変だったの何のって。

▽実際、その日のバジェカスはスタンドも半分ぐらいしか埋まらず、ラージョの方もリーガとは違うスタメンだったんですが、アトレティコではここ2試合、大活躍をして株が上がり、クラネビテルとアウグストをダブルボランチで早速デビューさせたため、トップ下の大役を仰せつかったトマスがちょっと上づってしまったんですかね。どちらもなかなか点の取れない展開でしたが34分、自陣エリア前からクリアしたボールをナチョの正面に送ってしまい、そのミドルシュートで先制されてしまったから、まったくツイてない。ええ、これにはシメオネ監督も「es un chico joven y hay que llevarlo sin la ansiedad de estos últimos días en el entorno de él/エス・ウン・チコ・ホベン・イ・アイ・ケ・ジェバールロ・シン・ラ・アンシエダッド・デ・エストス・ウルティモス・ディアス・エン・エル・エントルノ・デ・エル(彼は若いんだから、ここ数日のように周囲が焦らせることなく、育てていかないといけない)」とフォローするしかありません。

▽それでもまあ、0-1なら来週、ホームでの2ndレグもありますし、真っ青になる程のこともなかったんですが、このところ早めの交代で味をしめたシメオネ監督は後半10分には近頃、あまりいいところを見せてくれないオリベルとアウグストを引っ込め、サウルとビエットを入れる攻撃的メンバーチェンジを実施。するとこれが見事に当たり、21分には右サイドからキニを振り切ってビエットが入れたラストパスにサウルが反応、エリア内からシュートを決めて同点にしてくれたから、何とも有難いっちゃありません。いえ、2年前、レンタルでラージョに修行に来ていた当人は遠慮して、大袈裟にゴールを祝うことはしませんでしたけどね。

▽「El chico que vieron crecer en Vallecas sigue creciendo/エル・チコ・ケ・ビエロン・クレセル・エン・バジェカス・シケ・クレシエンドー(バジェカスで成長するところを見せた選手は成長し続けている)」(サウル)と後で言っていたように、こういうのこそが最高の恩返しなんでしょうが、ラージョのパコ・ヘメス監督にとってはまさに痛し痒しだったかも。それでも幸い、34分にはCKからビエットが放った至近距離のシュートはGKファン・カルロスのparadon(パラドン/スーパーセーブ)とゴールポストに阻まれて決まらず。

▽おかげでラージョは1-1のままで2ndレグを迎えられることになり、その日は2-2で引き分けたリーガ前節のレアル・ソシエダ戦の後、「ウチは1部のチームじゃない」というコメントから、「No son de Primera, sino de 'Champions'/ノー・ソン・デ・プリメーラ、シノ・デ・チャンピオンズ(1部ではなく、CLにいるチーム)」と、ヘメス監督も自軍を大幅に格上げしていたものの、点を取ることは苦手でも、基本的に守りは超一流のアトレティコが2ndレグでは0-0でもいいとなると、見通しはあまり芳しくないでしょうね。

▽ただラージョにとって、もっと重要なのは週末のリーガ戦、土曜にレバンテのホームを訪れる試合で勝つことで、何せこのところ、降格圏の19位が定位置になってしまっていますからね。相手は最下位ですが、コパにはすでに敗退していて今週ヒマだった上、前節では兄貴分のアトレティコが終盤にトマスのゴールが決まるまで勝負を決められなかったという例もあるため、心してかかる必要があるかと。実際、残留ゾーンまではたった勝ち点2差しかないので、シーズンの前半終了戦でもある、この19節では不名誉な順位から脱出できたらいいのですが。

▽そしてアトレティコは日曜午後8時半(日本時間翌午前4時半)から、やはりアウェイでセルタ戦なんですが、こちらの目標は現在、2位バルサと勝ち点差2、3位マドリーと同4ある首位の維持と極めて贅沢なもの。もちろん試合消化数が1つ少ないバルサがクラブ・ワールドカップのせいで延期したスポルティング戦を2月に済ませた後どころか、1月30日の直接対決でカンプ・ノウに乗り込めば、簡単に転落してしまうのかもしれませんが、まあ、それまではねえ。金曜からは大雨が続き、バライドス(セルタのホーム)周辺が浸水しているなんて心配な情報もあるものの、アウグストもマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでは先発組に抜擢され、忘れ物も取りに行ける早々の古巣訪問を心待ちにしているはずですし、いつものように少ない得点をガッチリ守って勝ち点3に変えられればと思います。

▽一方、そんなセルタも今週木曜はコパでカディスと当たり、リーガ5位の実力相応で0-3と快勝。マドリーが失格になった恩恵を受けているんですが、そのマドリーがこの土曜の午後8時半(日本時間翌午前4時半)に対戦するデポルティボは水曜にミランデス(2部)とのコパで1-1の引き分け。あまりないことですが、相手の方が休息期間が短いのはジダン新監督にとって、有利に働くかもしれません。加えてサンティアゴ・ベルナベウでの試合とあって、ファンに絶大な人気を誇る彼がベンチで指揮を執れば、これまでのようにpito(ピト/ブーイング)が聞こえることもなく、スタンドと一体になって勝利を目指すことができる?

▽それには現役時代はマドリーで長くプレーしたビクトル監督も、「el principal cambio será en el plus de ilusión que tiene la gente/エル・プリンシパル・カンビオ・セラ・エン・エル・プルス・デ・イルシオン・ケ・ティエネ・ラ・ヘンテ(最大の変化は人々により大きな夢を抱かせること)」と用心していましたが、新監督の幸運は他にもあって、とうとうカルバハルも回復し、この試合前にチームの負傷休場者がゼロに。いえ、バレンシア戦でレッドカードをもらって退場したコバチッチだけは処分で出られませんけどね。

▽金曜の前日練習からは、BBCにイスコ、そしてモドリッチ、クロースという、アンチェロッティ前監督が好んだ布陣、ついでに言うなら、昨年のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)で0-4と惨敗した時のスタメンからハメス・ロドリゲスを除いただけ、とはいえ、十二分に攻撃的なものが予想されていますが、当時はベンゼマとベイルが負傷明けだったのに比べ、今は2人とも好調を維持しているのは好材料になるかと。何せ、昨年12月にはカンプ・ノウでバルサから引き分けをもぎ取ったデポルティボですが、ここ2試合はリーガで白星がなく、順位も7位と少々、調子を落としていますしね。順当に行けば、マドリーが勝つんじゃないかと思いますが、注目はプレーでファンをさせることができるかどうかになりそうです。

▽そしてもう1つの弟分、コパはラージョに及ばず敗退となり、肩の荷が下りているヘタフェは日曜にセビージャとのコパ・ダービーに0-2で負けているベティスと対戦するんですが、実は彼らは月曜の前節スポルティング戦に2-1と逆転勝利を収め、現在は13位と比較的落ち着いた順位に。相手も同じ勝ち点で14位ですから、実力の拮抗した、いい試合になりそうな気配はあります。そうそう、折しも木曜には今季シーズン後半のアボノ(年間指定席)を80ユーロ(約1万円)という爆安値段で売り出したヘタフェですが、そのホーム11試合にはこのベティス戦も含まれているとか。マドリーやアトレティコ戦もこれからあることですし、ようやく今年になってブカネーロ(ラージョの過激なサポーター集団)がストを止め、応援を再開したバジェカス同様、いつもガラガラなコリセウム・アルフォンソ・ペレスもその恩恵でもう少し、賑やかになってくれるといいですよね。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

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【原ゆみこのマドリッド】何も変わらなかった…

▽「どう見たって冷遇されているわよね」。そんな風に私が文句を言っていたのは金曜日、CLグループリーグ第2節を控えたこの週末、参加32チーム中、日曜に試合をするのがアトレティコだけという事実を知った時のことでした。いやあ、彼らの日程は把握していましたし、最初はハードなカンプ・ノウ訪問の後とあって、次のリーガ戦の前に1日多く休めるのは吉。おかげで木曜夜には選手たちが集まって、バルサ戦お疲れ様会兼バイエルン襲来に備えての決起ディナーを開く余裕もありましたし、今の時期、午後4時15分(日本時間午後11時15分)キックオフ試合は暑くもなく寒くもなく、しかも早い時間に帰宅できるという点で好ましかったため、デポルティボ戦が日曜なのはまったく気にならなかったんですけどね。 ▽ところが他の国ではCL出場チームは配慮されているのか、どこも早めにリーグのお勤めを果たし、次の相手のバイエルンもハンブルク戦は土曜にプレー。何せ、最後にビセンテ・カルデロンの土を踏んだ2014-15シーズンにはマドリーダービーで4-0という、驚愕のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったアンチェロッテ監督が率いているだけに、相手もそのことは肝に命じているはずですしね。そこへ開幕から公式戦全勝中で絶好調、なおかつ休養日が1日多いとなると、来週の水曜はまた守ってばかりの試合になりそうな気がしてならないんですが…。 ▽まあ、その辺についてはまた次回にでも話すとして、とりあえずこのミッドウィーク開催のマドリッド勢の様子をお伝えしていくことにすると。両雄の方は水曜試合だったため、まずサンティアゴ・ベルナベウへ向かった私だったんですが、昨季はヘタフェを降格から救えなかったエスクリバ監督率いるビジャレアルとの対戦は意外な展開に。いえ、主に原因は「Salimos menos enchufados. Nos ha faltado intensidad/サリモス・メノス・エンチュファードス。ノス・ア・ファルタードー・インテンシダッド(ウチは試合にあまり没頭してピッチに出なかった。プレーの激しさが欠けていた)」(ジダン監督)というレアル・マドリーにあったんですけどね。 ▽それでもその日はモドリッチがお休みだったとはいえ、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)は勢揃いしていたため、あまり心配はしていなかったんですが、想定外の事態が起こったのはもうハーフタイムも近くなっていた前半42分のこと。マルセロがケガしてしまったんですが、それはともかく、当人が座り込んで時間稼ぎをすることもなく、スタスタ自分の足で歩いてピッチを出て行ってしまったから、困惑したの何のって。だってえ、ジダン監督が急遽、投入する予定だったカルバハルはまだ準備中だというのに、あまり相手が攻めてこなかったら大丈夫と思ったのか、マドリーは10人のまま、プレーを続けているんですよ。<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20160924_15_480_000.jpg" style="max-width: 100%;"></div>▽実際、その直後のことでした。彼らの過信が裏目に出てしまったのは。バランがエリア前でボールをトリゲロスに奪われてしまい、ライン上でそのシュートを防ごうとしたセルヒオ・ラモスの手にボールが当たってしまったから、さあ大変! 前節のエスパニョール戦同様、すぐさま顔を覆ってみたラモスでしたが、その日はさすがに審判も騙されず、PKを献上することになったんですが、そうなってからカルバハルが入ってもねえ。ブルーノ・ソリアーノがパネンカ風のキックでGKカシージャを破るのを防ぐ役には立ちませんでしたが、大丈夫。ロッカールームでジダン監督にゲキを飛ばされた後の後半開始早々には、お馴染みのラモスの面目躍如が見られます。 ▽そう、3分にはハメス・ロドリゲスのCKを彼が頭で叩き込んで、マドリーは1-1に追いつくことに。ただ、もしかしたら、これはロスタイム3分まで待った方が良かったのかもしれないと私が思ってしまったのは、後半は打って変わって攻めたてていたマドリーでしたが、勝ち越し点がなかなか奪えなかったから。うーん、CLスポルティング戦の2匹目のドジョウを狙ったか、ベイル、ベンゼマに代えてルーカス・バスケス、モラタも投入してみたんですけどね。最後のロナウドのFKもGKアセンホにキャッチされてしまい、「No siempre se puede ganar en el ultimo momento/ノー・シエンプレ・セ・プエデ・ガナール・エン・エル・ウルティモ・モメント(いつも最後の瞬間に勝てる訳ではない)」(ジダン監督)という結果に終わってしまいましたっけ。 ▽え、タイムアウトの笛が鳴った後、どうしてマドリーの選手たちは審判に詰め寄っていたのかって?その理由は追いつかれたビジャレアルが勝ち点1の守りに入り、時間稼ぎなども結構していた割にロスタイムはたったの3分だったからで、それに怒って、カルバハルなど「Que facil es pitar aqui!/ケファシル・エス・ピタール・アキー(ここで判定を下すのは何て簡単なんだ)」と主審に悪態をついてイエローカードをもらっていたりしましたが、逆に私が感心したのは、グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)がバルサで打ち立てたリーガ16連勝を新記録の17連勝に更新する機会を逃した上、せっかく優勝争いのライバルに差をつけるチャンスだったにも関わらず、記者会見でのジダン監督が寛容だったこと。<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20160924_13_480_000.jpg" style="max-width: 100%;"></div>▽曰く、「no podemos siempre jugar bien y salir desde el minuto uno a tope/ノー・ノデモス・シエンプレ・フガール・ビエン・イ・サリール・デスデ・エル・ミヌート・ウノ・ア・トペ(常にいいプレーをすることはできないし、開始1分からトップギアで行くこともできない)。そういうことは起こりうる。それが今日だった」とはさすが現役経験者。ええ、彼がプレーした頃だって、マドリーが気の抜けた試合をしているのを見たのは1度や2度ではないですからね。それだけに選手たちのやる気のアップダウンが理解できるのでしょうが、そんな中、木曜には悪い知らせも入っていて、前節のエスパニョール戦でディオプに蹴られたカセミロの右足腓骨にヒビが入っていることが判明。 ▽全治1~2カ月となってしまっただけでなく、金曜に検査を受けたマルセロも右ふくらはぎのケガで2週間、出場できないことに。左SB、守備的ボランチと、たまたま頼りになる代役がいないポジションに負傷者が固まってしまったのは不運ですが、ただ次戦となる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からの相手はラス・パルマスですからね。丁度、ミッドウィークはレアル・ソシエダに4-1と大敗、3位から5位に転落して、開幕からのスタートダッシュももう息切れかと思われたか、金曜にあったバルデベバス(バラハス空港の近く)の練習場での試合前会見でもジダン監督にはライバルについて、何の質問もなかった程ですから、あまり心配することはない? そうそう、金曜の招集リストには昨季終了後にアキレス腱の手術をして、ずっとリハビリをしていたGKケイロル・ナバスがとうとう復帰。指揮官の腹積もり次第ですが、今季初出場もあるかもしれませんよ。 ▽え、それでマドリーの次にプレーしたアトレティコはどうしたんだって? いやあ、その日もMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)厳重警戒網を敷き、一生懸命守っていた彼らですが、私がベルナベウ近辺で座れるバル(スペインの喫茶店兼バー)を探していた前半終了近く、41分にはうっかり気が緩んでしまったんですかね。イニエスタのクロスをラキティックにヘッドで決められ、ようやく腰を落ち着けられたハーフタイムにはすでに1-0とリードを奪われている始末。ところが妙な偶然で、こちらも事態の打開のキッカケとなったのは敵選手の負傷交代でした。<div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20160924_14_480_000.jpg" style="max-width: 100%;"></div>▽そう、「en el descanso ya estaba bastante mal por un proceso gripal/エン・エル・デスカンソ・ジャー・エスタバ・バスタンテ・マル・ポル・ウン・プロセソ・グリパル(風邪のせいでハーフタイムにはもうかなり状態が悪かった)」(ルイス・エンリケ監督)というブスケツが後半に入り、たったの5分で交代した後、メッシがゴディンとの接触プレーがキッカケとなって、止まってしまったんですよ。うーん、前回のアルゼンチン代表戦でも恥骨炎で2戦目に出ず、帰国した彼ですが、その後、CLのセルティック戦、マドリッドの新弟分、レガネスを大量得点で破った試合にはフル出場していたため、ここでまたケガをするとはチームメートたちも意表を突かれたんですかね。 ▽13分に彼がアルダ・トゥランと代わらざるを得なかったことで敵に動揺が走ったのをシメオネ監督は見過ごさず。即座にサウルとガメイロを引っ込め、フェルナンド・トーレスとコレア、2人のFWを投入すると、それがバッチリ当たります。そう、コケがファールを受けて座り込んでいる間にガビが素早いFKをトーレスに出すと、彼からのパスがピケの股間を通ってコレアへ。するとその前をふさぐはずだったマスチェラーノが滑ってくれたんですよ。これも本来だったら先発していたはずのウムティティがケガで出られなかったおかげかもしれませんが、コレアが放ったシュートにはGKテル・シュテーゲンもどうすることもできず。ゴールポストに当たったボールがネットに収まってくれたから、ホッとしたの何のって。 ▽いえ、丁度その時、バルにいたベルナベウ帰りの他のお客さんたちも大喜びしていたのは別にアトレティコファンだったからではなく、相手がバルサだったからだと思いますけどね。ただ、シメオネ監督は「El equipo respondio muy bien en los primero 20 minutos de la segunda parte/エル・エキポ・レスポンディオ・ムイ・ビエン・エン・ロス・プリメーロス・ベインテ・ミヌートス・デ・ラ・セグンダ・パルテ(チームは後半最初の20分、とてもいいリアクションをした)」ことで満足してしまったか、畳みかけることはなく、残り20分にはカラスコに代えてボランチのトマスを投入。どうもこういうところを見ると、せっかく同点に持ち込みながら、追加点を狙わず、最後は延長戦、PK戦で涙を飲んだ昨季のCL決勝の教訓がまったく生かされていないんじゃないかと思ってしまいますが、選手たちの限界をよく知っているのは監督ですからね。 ▽おまけに終盤にはルイス・スアレスがフィリペ・ルイスの足を蹴ってケガさせたにも関わらず、謝りもしないで「Te tiraste, payaso!/テ・ティラステ、パジャソ(自分で転んだくせに、道化者)」と挑発していたり、それに怒ったコケが柄にもなく、次のプレーの時まで相手に「cagon, eres un cagon!/カゴン、エレス・ウン・カゴン(臆病者、あんたは臆病者だ)」と悪態をついていたりと、どうにも収拾がつかなくなっていたようなので、その日はアトレティコの選手が誰も退場させられず、そのまま1-1で勝ち点1を獲得できたのは良かったのかも。ええ、試合後はキャプテンのガビも「ウチは常に勝つつもりでいるけど、1ポイントは悪くない。nos vamos satisfechos/ノス・バモス・サティスフェッチョス(ボクらは満足して帰るよ)」と言っていましたしね。 ▽敵方のルイス・エンリケ監督もこの引き分けには、「凄く高いレベルで自陣エリアに引くチームが相手だとプレーの最後の数メートルが難しくなる。その点に関して、ウチはかなりいい方だけどね。Quizas ellos sean los mejores del mundo replegandose/キサス・エジョス・セアン・ロス・メホーレス・デル・ムンド・レプレガンドセ(おそらく彼らは引きこもることで世界最高のチームなんだろう)」と一体、バカにしているのか、感心しているのか、わからない言葉でアトレティコを賞賛してくれていたため、まあ、悲観することはないんですが、そのすぐ後に出回ったフィリペ・ルイスの足の写真にはドッキリされた人も多かったかと(https://www.instagram.com/p/BKolynygq9u/?taken-by=filipeluis)。 ▽いやあ、まるで甲に穴が開いているように見えたからですが、その傷に対しても、ルイス・スアレスが「El futbol es para hombres, todo queda en la cancha/エル・フトボル・エス・パラ・オンブレス、トードー・ケダ・エン・ラ・カンチャ(サッカーは男のためにある。全てはピッチに残るもの)」と一切、反省の色を見せず、後日、女子サッカー選手たちから猛反発を受けていたなんてのは当人の自業自得。幸い、蹴られた時、足が空中にあったフィリペ・ルイスは翌日の練習で他の選手たちと一緒に普通に走っていたため、皮膚が裂けただけだったとわかりましたしね。これからしばらくは両チームが顔を合わせることもないですし、メッシが太もものケガで全治3週間となってしまったバルサやお隣さんと違って、今回はアトレティコが負傷者ゼロで終わったことを喜ぶにとどめましょうか。 ▽そして翌木曜には、ラ・コルーニャ(スペイン北西部の避暑地)で前半、デポルティボに先手を取られながら、後半に先日のバルサ戦でも一矢を報いるゴールをFKから入れたガブリエウが1ゴール1アシストと活躍して、レガネスが1-2の逆転勝利でマドリッド勢今節、唯一の白星をゲット。おかげで彼らも10位に上昇した上、この日曜にはアトレティコも弟分には引けを取るまいと頑張ってくれるのは好材料かと。 ▽ちなみにレガネスの方は今週末、日曜正午にブタルケにアジェスタラン監督解任後、お馴染みの普段はチーム付き役員をしているボロ暫定監督の下でアラベスに2-1と勝ち、今季初勝利を手に入れたバレンシアを迎えるんですが、そろそろホームでの1部初白星をファンたちにプレゼントしてあげたいところでしょうか。ただ、小規模チームにとって、リーガ3連戦の最後はメンバーの体力的にきついのがちょっと心配ですよね。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.24 13:30 Sat
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【日本サッカー見聞録】注目度の低い天皇杯はアマチュアの大会にすべきでは

▽昨日はバスケットボールのBリーグの開幕戦をテレビ観戦した。さほどバスケに興味がある方ではないが、これまで福利厚生を目的にした企業チームのNBLと、地域密着でプロ化を目指していたbjリーグの反目で、国際連盟から資格停止処分を受け、リオ五輪予選に出場できない危機にあったバスケ界。それを救ったのがJFA(日本サッカー協会)の最高顧問の川淵三郎氏だったからだ。 ▽川淵氏はJリーグでの成功体験をもとに、剛腕を発揮して地域密着やホームアリーナの確保を義務付け、自治体や地元企業も巻き込んだクラブ作りを指導した。Jリーグの常務理事で、クラブライセンスの基礎を作るなど経営のプロである大河正明氏を転籍させ、チェアマンに就任させた。彼以外にもJリーグからBリーグに移籍して昨日の開幕戦に尽力した知人がいるだけに、その船出が気になった。 ▽幸いにも開幕戦は盛況のうちに終了したが、Jリーグ同様、今後は継続する力が必要になるだろう。日本代表の強化と底上げにつながるかどうかも大事なポイントになる。といったところで、サッカーの話題に移ろう。Bリーグの開幕戦を見ながら、チャンネルを変えて天皇杯の3回戦も観戦したが、昨日に天皇杯が行われていることをどれだけのファンが知っているのか疑問に思わざるを得なかった。 ▽テレビはもちろん一般紙での告知も皆無だった気がする。チームの熱狂的なファンやサポーターしか、試合が行われることを知らなかったのではないだろうか。これまでもリーグ戦とリーグカップにACLと、ただでさえJ1のクラブは過密日程なのに、天皇杯が加わり、さらにクラブW杯が日本開催の時はカレンダー作りに苦労して、そのしわ寄せが選手のコンディションに影響してきた。 ▽もういい加減、天皇杯はアマチュアにとって“最高峰”の大会に規定を変えた方がいいと思う。ACLへの出場権はリーグ戦の上位3チームにルヴァンカップの優勝チームに与えると同時に、ルヴァンカップをJ1だけでなくJ2とJ3にも門戸を開く。そして大会方式もトーナメントに変えるのはいかがだろう。 ▽リーグ戦でないとホームの試合数が減り、入場料収入の減少が予想されるとはいえ、これまでのルヴァンカップのグループリーグのスタジアムは、閑古鳥が鳴いているのが現状だ。幸い、来シーズンからはCS(チャンピオンシップ)は廃止されて1シーズン制に戻るため、日程的に余裕はできる。Jリーグは各カテゴリーのリーグ戦とルヴァンカップ、ACLの3大会に専念して、JFAが主催する天皇杯とは袂を分かつ時期に来ていると思うのだが、いかがだろうか。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.09.23 12:35 Fri
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【倉井史也のJリーグ】そろそろ自分の出番って張り切ってる気がする選手がいるかも?!の巻

▽本屋さんに行って、スポーツの本のコーナー見てると、平積みにされてるのがラグビーばっかり。今やサッカーは肩身が狭いのでしょうか。サッカーそのものの人気や認知度を上げる施策って、Jリーグと日本サッカー協会が手を取り合ってやっていかなきゃいけないんだけど、どうも何しようとしてるか見えてこない。 ▽その一つが天皇杯で、リーグ戦の後にカップ戦のチャンピオンが決まるってのも、なんだかなって感じです。しかも天皇杯に勝ち進むと翌年のリーグやらACLやら大変なことになるって、毎年言われてることなんですけどね。やっぱ天皇杯の決勝はリーグ最終節の前にして、元旦はリーグ戦のチャンピオンとカップ戦王者の戦いでいいんじゃないの? ▽とぼやきたくなるのも、22日に天皇杯の3回戦やったって、昇格とか降格とかかかっているチームにとっては気もそぞろだったんじゃないのかって心配になるからなんですよ。それで今週末と来週土曜日に2試合リーグ戦が終わったら、また代表ウィークですからね。 ▽まぁ、代表ウィークを前に張り切ってる選手もいるから、悪いだけじゃないかもしれないんですけど。だってハリル・ジャパン? こんな出来じゃそりゃラグビーに押されますって。今ココで調子に乗るためにはベテランに頼らざるを得ないってのは明白でしょ? ▽だったら、G大阪vsFC東京見てくれなきゃ。遠藤と言えば保仁っていう時代がずっとあって、大舞台でこそ活躍してくれるんです。今となっては懐かしい話だけど、岡田武史監督の時代に練習で遠藤の調子が悪そうで外したけど、やっぱり後半途中から入れたらチームが動き出したってこと、ありましたよ。セットプレーから点が取れないって、遠藤と中村俊輔入れれば解決じゃん。みたいな。 ▽ま、ただ遠藤は前回負傷して途中交代だから、そこまで無理はしないでね。でも立ち直ってきたFC東京が相手だから、実力を示すには十分ですよ。 ▽そうそう、今週のJリーグは木曜に天皇杯の3回戦があった関係でJ1も日曜日開催!! これって結構ポイントじゃないですか?<hr>【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2016.09.23 01:30 Fri
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【東本貢司のFCUK!】逆襲のキーマン、それは「MC」

▽今シーズンから「EFLカップ」と銘打って行われているリーグカップ。その3回戦・16試合がこの2日間で行われた。波乱らしい波乱は、エヴァートンがホームでノリッチに敗れたのみ。ただし、過去1年間の“序列”に照らし合わせる限り、レスターがホーム、キング・パワー・スタジアムでチェルシーに喫した逆転負けも数えておくべきかもしれない。このゲームについて、日本では「いずれもネットを揺るがすことなく決まった」岡崎の珍妙な、もとい、オカザキらしい2ゴールにスポットを当てる一方で、現プレミア王者がトーナメントから姿を消した“番狂わせ”などそっちのけ。まあそんなものだろうと悟ってしまえばそれまでだが、相変わらずの手前味噌な“切り取り報道”には、う~ん、どうにも割り切れない。個人的には、ノリッチ勝利の立役者が前エヴァートンの好漢スティーヴン・ネイスミスだったドラマが「ニューズの価値」で上。いや、言っても仕方ないか。多分、レアル・マドリードが17連勝の新記録を逸したことの方がインパクト大だろうから。 ▽さて、密かに気がかりだったのは突如“絶不調”の負のスパイラルに入った感のあるマンチェスター・ユナイテッドが「よもやの悪夢」に見舞われるのでは、というそこはかとない不安。鬼が棲むカップ戦、相手が3部のノーザンプトン(この時点でリーグ戦8試合消化の11位:首位と勝ち点差7)だからこそ、「まさか」の事態もなくはないと(きっと一部のユナイテッドファンの間には)嫌~なデジャヴもちらついたりしていたのではないか。実際、ハーフタイム直前のデイリー・ブリントの“粗相”からPK失点でイーヴンにされたときは、彼らも思わず眉をしかめたに違いない。結局は3-1の(まずまずの)快勝で杞憂に終わったが、この試合の成り行きを振り返ってみたとき、悩めるジョゼ・モウリーニョが一つの路線変更に舵を切るか否かに、現地識者の間で注目が集まっている。それはずばり、このノーザンプトン戦で先制点を叩き込み、トレードマークの懐の深いボールさばきと広い視野でチームを文字通りに仕切ったベテラン、マイクル・キャリックの、今後の取り扱い。と、その前に改めてノーザンプトンが“難敵”に見えた理由に触れておこう。 ▽実はこのノーザンプトン・タウン、昨シーズンの舞台は4部のリーグ2。だが、ほぼ余裕をもって同ディヴィジョンで優勝を果たし、3部・リーグ1に昇格後7試合消化の時点まで、31戦無敗の快進撃を続けていたのである。記録は先週土曜日の対チェスタフィールド敗戦で途絶えたものの、ホーム、シックスフィールズ・スタジアム(収容7800弱)に詰めかけた地元ファンの中には、「互角に戦えないこともない」という期待に胸ときめかせていた者も多かったという。ところが、皮肉にもそんなコブラーズ(ノーザンプトンの通称)いちの期待の星、23歳の守護神アダム・スミス(かの世界的経済学者と同名だ)のボーンヘッドが、ユナイテッドの先制ゴールを生む結果となったのだ。結果論かもしれないが、今季昇格決定後からプレミアのクラブからも熱い視線が集まっていた「スミスのミスがミソをつけた」ことが、大波乱を起こす芽を摘んでしまった。裏を返せば、ユナイテッドはその隙に救われ、たまたま今季初先発のキャリックがその“運”をものにした・・・・。 ▽これはちょっとした新しいドラマの始まりの兆しとは言えまいか。無論、まだ何もわからない。モウリーニョがこの“運”に目をつけて、次戦(プレミア)・対レスターにキャリックをスタメンに“抜擢”するという保証は何もない。が、ノーザンプトン戦の経過を総括すれば、明らかにキャリックの存在を表す形容詞は「絶大」だった。そこで、一つ前のワトフォード戦を振り返ってみると・・・・最大の課題、それは新・世界最高額男のポール・ポグバが見るからに窮屈なプレーに終始していたこと。では、キャリックと組ませてみたらどうなるか。言うまでもない。ポグバははるかに自由に、気楽にポジションを取りながら、本来の能力、影響力を存分に行使する図が目に浮かぶではないか。そもそも、ポグバも、ここまでモウリーニョに優遇されているフェライニも、司令塔タイプというには大きに物足りない。加えて、肝心のルーニーに何か迷いでもあるのか、どうもピリっとしない。ならば、答えは「今、そこにある」のでは? キャリックをベンチでは「もったいない」! ▽モウリーニョは就任に当たって、ルーニーの役割を「よりストライカー寄り」と示唆していた。だとしたら、今こそプラン修正の絶好のヒントが、キャリックという、いまだ健在の「軸」からひもといていっても罰は当たるまい。例えばこうなる。イブラのワントップに、中盤上がり目にルーニーとポグバ、両ワイドは機動力のあるマタ、エレーラ、ムヒタリアン、リンガード、ヤング、デパイらからピックアップする。場合によってはマーシアル、ラシュフォードもそのリストに入れればいい(順当なら、ラシュフォードはここぞというときのスーパーサブでよさそうだが)。フェライニこそ、アクセントをつける、あるいは変える切り札として使える。なお、個人的には先のワイドマン候補の筆頭にヴァレンシアを挙げたいところである。サイドバックなんてそれこそ「もったいない」。以上はあくまでも“外野”からの一案。モウリーニョともあろう者なら、ずっと効果的な修正案をひねり出すだろう。ともあれ、今このとき、軸にすべきはキャリックしかありえない?! <hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2016.09.22 13:00 Thu
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【原ゆみこのマドリッド】順位を気にするのはまだ早いけど…

▽「いつものようになってきたわね」そんな風に私が頷いていたのは月曜日、最後の1カードを残してリーガ4節が終了した時点での順位表を見た時のことでした。いやあ、シーズンも始めの数試合はどのチームも団子状態で、意外なところが首位に立って、話題を呼んだりもするんですけどね。さすがに4連勝ともなると、できるチームも限られてきて、レアル・マドリーが勝ち点12で堂々の1位。続いて2位には前々節、アラベス戦で躓いたせいで勝ち点9のバルサ、3位のラス・パルマスには少々、首を傾げる向きもあるかと思いますが、開幕から2連続引き分けとスロースタートだったアトレティコもいよいよ4位にまで順位を上げ、5位セビージャ、6位ビジャレアルとなれば、今季もまた優勝やヨーロッパの大会出場権は同じような面々で争われることになる? ▽まあ、そんなことはともかく、先週末のマドリッド勢の試合がどうだったか、お伝えしていくことにすると。土曜に先陣を切ったのは新弟分のレガネスだったんですが、どうやらアシエル・ガリターノ監督は2節でアトレティコをスコアレスドローに抑え込んだせいで、つい欲が出てしまったんでしょうかね。残念ながら、私はブタルケ(レガネス)まで行くことができなかったんですが、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に午後1時過ぎに足を向けたところ、バルサに前線からプレスを激しくかけていたのが裏目に出たか、すでにメッシに1点目を奪われているのですから、先が思いやられるじゃないですか。 ▽その後もルイス・スアレス、ネイマールと前半だけでMSNに揃い踏みされ、いえ、後半はキャプテンのマントバーニが「vamos a salir a romperles el culo/バモス・ア・サリール・ア・ロンペールレス・エル・クーロ(奴らの尻を割るつもりで行こう)」とゲキを飛ばしていたのに従って、更にメッシのPK、ラフィーニャの豪快な一発で0-5となりながらも、ドリブルやフェイントといった、こじゃれた技を繰り出すネイマールなどには特に厳しく対応してはいたんですけどね。結局は後半35分にガブリエウが見事なFKで一矢を報いただけで、同じ昇格組のアラベスに続くことはできず、1-5の完敗をしてしまうことに。 ▽ただ、それでもスタジアムを満員にしたファンたちはリーガの強豪と堂々と戦う地元のチームの姿を見られただけで幸せだったようですが、むしろ私が気になったのはこの水曜にはアトレティコとの試合が控えているにも関わらず、ルイス・エンリケ監督のローテーションが意外と少なかったこと。いえ、レガネスの攻撃力の弱さに3バックを採用、マスチェラーノに右SBの役目を与え、セルジ・ロベルトを温存していたなんてことはあったんですけどね。後半途中で交代したのはラキティッチ、ルイス・スアレス、イニエスタでしたが、メッシとネイマールはフル出場って相当、彼らの体力を信頼している? ▽その後、私は次の時間帯のアトレティコvsスポルティング戦を見にビセンテ・カルデロンに向かったんですが、こちらはキックオフからすぐ、呆気に取られることに。だって2分も経つ前に自陣でガメイロがイスマ・ロペスのバックパスを奪い、グリースマンにパスしたところ、GKクェジェルを物ともせず、先制点を叩き込んでしまったんですよ。おまけにそれから2分もしないうちに今度は左サイドからエリアに入ったガメイロがGKの頭を越えて斜めにネットに突き刺さるgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を挙げたとなれば、たとえ相手が「Hemos salido pensando que somos terceros/エモス・サリードー・ペンサンドー・ケ・ソモス・テルセーロス(3位なのはこっちだと思って、ウチはゲームを始めてしまった)」(アベラルド監督)という、油断大敵火がぼうぼう状態だったとはいえ、文句のつけようがないじゃないですか。 ▽ところがその日のアトレティコは、自分たちが1点も取れなかった弟分から、次節のライバルが5点も奪ったという報に触発されたんでしょうかね。18分には先週、2020年までだった契約を2018年までに短縮したシメオネ監督に異議を唱えるのではなく、温かいコールがスタンドから送られた後の30分にもグリースマンがエリア前からビシッと決めて、前半だけで3点をゲット。もうこうなれば勝利は確実と、シメオネ監督も中盤はコケとサウルで、ガイタン、カラスコを両サイドに置いた超攻撃的布陣を、後半頭からカラスコの代わりにボランチのアウグストを入れてマイルドにすると、ガメイロ、グリースマンも早めに引っ込め、水曜に備えます。 ▽ただ、それでもその日の彼らの攻撃力は衰えなかったんですよ。ええ、26分にはピッチに入ったばかりだったフェルナンド・トーレスがコレアのラストパスをゴール前でコースを変えて4点目。更に彼は44分にもガイタンがエリア内でリジョに倒されて獲得したPKを決め、とうとうバルサと同じgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を完成させてしまったとなれば、ここ10年間、白星を挙げていないカンプ・ノウに乗り込むに当たって、どんなにファンが心強く思ったことでしょう(最終結果5-0)。 ▽え、だからって、バルサ戦でこんな景気のいいアトレティコを期待する訳にはいかないんじゃないかって?その通りで、温存策とは無縁の体力自慢のカンテラーノ(アトレティコB出身の選手)、コケなど、当人も試合後、「muy bien preparado fisicamente/ムイ・ビエン・プレパラードー・フィシカメンテ(フィジカル的にとてもよく準備ができている)」と言っていた通り、後輩のサウルと共に水曜も先発するでしょうけどね。この日の試合で休養できた先輩ガビがボランチには入るため、ガイタンかカラスコのどちらかがベンチスタートになるはずかと。 ▽ついでに言えば、シメオネ監督が「Para mi el ano pasado fue el mejor jugador de Europa, no tengo ninguna duda/パラ・ミー・エル・アーニョ・パサードー・フエ・エル・メホール・フガドール・デ・エウロッパ、ノー・テンゴ・ニングーナ・ドゥーダ(昨季はヨーロッパ最高の選手だったことに、私はまったく疑いを持っていない)」と褒めてやまないグリースマンがプレーするのは確かですが、コンビを組むのはアトレティコが最後にアウェイで勝利を挙げた2006年2月のリーグ戦で2ゴールを決め、通算11試合で11得点とバルサに相性のいいトーレスか、その日のスポルティング戦で今季、プレーからの初ゴールを挙げ、怪しげなオフサイドで取り消されなければ、前線の同僚たちと並んでdoblete(ドブレテ/1試合2ゴールのこと)となっていたはずのガメイロかは迷うところ。 ▽何であれ、「La dinamica es positiva y es un buen momento para visitar al Barcelona/ラ・ディナミカ・エス・ポシティーバ・イ・エス・ウン・ブエン・モメントー・パラ・ビシタル・アル・バルセロナ(チームの状況はポジティブで、バルセロナを訪れるにはいい時期)」(トーレス)というのは事実ですが、相手もMSNが絶好調ですからね。水曜午後10時(日本時間午前5時)からの一戦では、シメオネ監督も「Es futbol y unas veces se esta mas lucida que otras/エス・フトボル・イ・ウナス・ベセス・セ・エスタ・マス・ルシダ・ケ・オトラス(サッカーだから、他の時より冴えていることもある)」と言っていた、いい方のアトレティコが出てくれるといいのですが。 ▽そして翌日曜はマドリーが一足早くバルセロナで試合をしたんですが、これはカンプ・ノウではなくてRCDEスタジアム。もう、毎年のように名前が変わるんでややこしくて敵いませんが、要はエスパニョールのホームです。ただそれだけでなく、実際、今季の彼らはキケ・サンチェス・フローレス監督が就任したことを始め、選手もかなり変わっているんですが、その日は初っ端からツキがありませんでしたね。というのも前半9分に早くもピアッティが負傷。ふくらはぎに全治3週間の肉離れを起こし、昨季までヘタフェにいたアルバロ・バスケスに代わったんですが、昨季同様、どうにも彼がパッとしないのは古巣に戻っても同じだったよう。 ▽それとは対照的にアトレティコで居場所が作れず、ここ3年、ベティス、ラージョ、ビジャレアルとレンタル移籍を続け、今季からエスパニョールに河岸を変えたレオ・バチストンには先制のチャンスが回ってきたんですが、エリア内からの絶好のシュートを2年前まで当地の守護神だったカシージャに弾かれてしまう始末。うーん、開始早々にセルヒオ・ラモスに吹っ飛ばされ、相手にイエロカードをゲットさせたのはお手柄でしたけどね。25分に当人はエリア前で敵のパスを手で弾いたものの、「El sonido es a mano y no a cara. Ramos lo hizo muy bien, fue listo/エル・ソニードー・エスア・マノ・イ・ノー・ア・カラ。ラモス・ロ・イソ・ムイ・ビエン、フエ・リスト(あの音は手で顔じゃない。ラモスはとても上手くやった。賢かったね)」とフローレス監督も後で言っていたように、咄嗟に頭に当たった振りをしたのに審判が騙されて、2枚目のイエローカード&退場にはつながらず。 ▽そうこうするうち、やはり風邪を引いたクリスチアーノ・ロナウドとCLスポルティングCP戦で腰に打撲を受けたベイルがお休みしていては、前半から点が取れなくても仕方ないと私も諦めていた前半ロスタイム、今季初先発したハメス・ロドリゲスがエリア前から放ったシュートがGKディエゴ・ロペスの脇をすり抜けて決まってしまったから、そこはさすがマドリー。そう、何せこのチーム、FWだけでなくて、MFまでゴールを決める才能を持った選手が揃っていますからねえ。その日は前半途中、ディオプに足を蹴られて負傷したカセミロの代わりに入ったクロースが2節のセルタ戦で挙げた決勝ゴールや次のオサスナ戦でモドリッチが決めたチームの5点目など、別に今季に始まったことではありませんが、前線が不発の場合でも何とかしてくれる中盤がいるっていうのは本当に羨ましい限りかと。 ▽そして後半はリードしたことで、マドリーの選手たちもリラックスできたか、動きが良くなってきたんですが、待望の追加点が入ったのは25分。今度はカルバハル、ルーカス・バスケスとパスが繋がり、後者がゴール前に出したボールをベンゼマが決めてくれます。うーん、エスパニョールも途中出場のカイセドが至近距離のシュートを放つなど、得点のチャンスがなかった訳ではないんですけどね。正GKケイロル・ナバスの復帰が遅れている間にできるだけアピールして、出場機会を増やしたいカシージャに阻止されてしまい、結局最後は0-2のまま終了。前日の勝利で首位に並ばれていた宿敵にまた勝ち点3差をつけると共に、ジダン監督もグアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)がバルサ時代に作った16連勝というリーガ記録に並ぶことになりました。 ▽え、この試合ではBBCが揃っていなかったにも関わらず、モラタが控えスタートだったのはこちらも次戦を見越しての休養だったのかって?いやあ、マドリーはお隣さんと違って、ホームでのビジャレアル戦と、それ程、片肘張って挑むことはないんですけどね。チームの和を重んじるジダン監督がハメスやアセンシオ、イスコらにも出番を与えたかったからだと思いますが、ここ20日前後で7試合の強行日程というのはCL、EL出場チーム、皆同じ。適度にローテーションをしていかないと早々にバテてしまいますので、ここ近年、お得意様となっているエスパニョール戦はいい機会だった? ▽といっている間に月曜の練習にはロナウドもベイルも復帰、水曜午後8時(日本時間翌午前3時)からの試合ではカセミロは無理としても、それ以外はバストメンバーで挑めそうなんですが、相手チームで今回、注目したいのはドイツ生まれのイタリア人FWサントーネ。ええ、日曜のレアル・ソシエダ戦ではチームの2点を挙げ、2-1の勝利に貢献した、サッスオーロから加入した新戦力なんですが、その2点目がセンターライン近くの右サイドから、50メートル近いロングシュートだったんですよ。 ▽いえ、もちろんアトレティコから修行に出ているサントス・ボレの成長ぶりや、ベニテス監督下のマドリーで出場停止を知らずにコパ・デル・レイの初戦に出て、規則違反による敗退の原因となった後、移ったビジャレアルでも大ケガ。ようやく先日、実戦復帰が叶ったチェリシェフの様子も気になりますけどね。果たしてサンティアゴ・ベルナベウで波乱を起こすことができるんでしょうか。 ▽そして最後にレガネスはこのミッドウィーク開催のリーガ、木曜にデポルティボとのアウェイ戦なんですが、ここまで1勝1分け2敗の彼らは現在14位。もちろんリーガにはまだ今季、1勝もしていないチームが6チームもありますし、どうしたことか、バレンシアなど、勝ち点1すら獲得できていないため、そんなに状況は悪くないんですが、そろそろ降格を争うことになりそうな相手からは白星をつかんでいかないと。そういえば、対戦相手の指揮官もガリターノ監督ですが、あちらは1年前までエイバルにいたガイスカ・ガリターノ監督。順位は11位と向こうの方が上とはいえ、新入団選手が多くて、まだ本調子になっていないのは同じなので、いい勝負になると思います。 <hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.09.20 10:15 Tue
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