【原ゆみこのマドリッド】上司が変われば気分も変わる…2016.01.09 08:00 Sat

twitterfacebookhatenalinegplus
▽「いい時期ではあるわよね」そんな風に私が納得していたのは金曜日、いよいよジダン新監督の初戦が翌日に迫っているのに気づいた時のことでした。いやあ、今週は月曜にレアル・マドリーの指揮官交代があったため、こちらも何やらバタバタして過ごすことになったんですが、幸いだったのは彼らにはミッドウィークにコパ・デル・レイの試合がなかったこと。それも12月にカディス(2部B)との32強対決1stレグでチェリシェフのalineracion indebida(アリネラシオン・インデビダ/出場資格のない選手の起用)が発覚し、大会敗退となったせいですが、うっかり16強対決が予定されてでもいたら、新監督も落ち着いて準備を進める時間がなかったのでは?

▽おかげで日曜にバレンシア戦で引き分けた翌日夕方遅く、ベニテス監督の解任がクラブの理事会で決定。同時に後任監督としてジダンの名前が、ほんの3週間程前には「ベニテス監督はチームの問題の解決策。Zidane no sustituirá a Benítez/ジアン・ノー・ススティトゥイラ・ア・ベニテス(ジダンがベニテス監督を引く継ぐことはない)」と断言していたペレス会長により、サンティアゴ・ベルナベウで発表され、その時は当人も「タイトルと獲るために全力を尽くす」といったシンプルなコメントだけで、あとは奥さんとマドリーのカンテラ(下部組織)でプレーする4人の息子さんたちと一緒に檀上でポーズするぐらいで良かったんですけどね。

▽翌火曜にはちょうど、レジェス・マゴス(東方の三賢人の祝日、スペインでは伝統的に子供たちがプレゼントをもらえる日となっている)を控え、ファンサービスとして1年に1回の恒例となっている公開練習に挑み、駆けつけたサポーター約7000人から拍手を浴びた後、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)監督となって1年目だった昨季は忌避しながらも、今季から行うようになった監督記者会見に初めてトップチームの指揮官として登場することに。ええ、今度はサンティアゴ・ベルナベウのプレス・コンファレンスルームで行われたこちらでは、今後のチーム運営について事細かに質問に答えていましたっけ。

▽曰く、「マドリーで大切なのは美しいサッカー。自分もそれを目指す。Fútbol ofensivo y equilibrado/フトボル・オフェンシボ・イ・エキリブラード(攻撃的でバランスの取れたサッカーをね)」から始まって、「Quiero darle mi toque personal, un toque ofensivo/キエロ・ダールレ・ミ・トケ・ペルソナル、ウン・トケ・オフェンシーボ(自分の個人的なタッチも加えたい。攻撃的なニュアンスをね)」とか、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)については「la idea es clara, jugar con los tres/ラ・イデア・エス・クラーラ、フガール・コン・ロス・トレス(3人を使ってプレーするというアイデアははっきりしている)」、更には「Ganarlo todo/ガナールロ・トードー(全てを勝ち獲ること)。ウチには獲得できるタイトルが2つあるから、それにトライする」と、今季の目標なども話していましたが、何にしてもチームには才能ある選手が揃っていますからね。

▽あまり、やろうとしていることはペレス会長任期中の12年間で10番目の監督となった彼も変わらないような気はしますが、そこは実働グループのやる気次第。今季、大勢が慕っていたアンチェロッティ監督がいなくなり、実務肌のベニテス監督とはフィーリングが合わなかった彼らのハートを掴むことができれば、まだシーズンは半分残っていますし、どんなことでも可能かと。ええ、もちろん失格となったコパ・デル・レイだけは別ですけどね。

▽え、そんなお隣さんを尻目に今季も手近なタイトルとしてまず、コパ優勝を目指しているアトレティコは試合があったんだろうって? その通り、今週は月曜にクラネビテル(リーベル・プレートから移籍)、火曜にアウグスト(セルタから移籍)の入団プレゼンをひっそりビセンテ・カルデロンで行った後、水曜に彼らはコパ・ダービーとなった16強対決1stレグでまたしてもエスタディオ・デ・ラス・バジェカスに乗り込んだんですが、いえ、もちろん昨今の試合展開から楽勝なんてまったく予想はしていなかったんですけどね。昨年末最後のリーガでの対戦を思い出しても苦戦することは目に見えていたんですが、そこへ加えて、シメオネ監督が最初のレウス(2部B)戦同様、オブラク、ゴディン、ファンフラン、フィリペ・ルイス、コケ、グリースマンらにお休みを与え、コパ用イレブンを投入したから、もう大変だったの何のって。

▽実際、その日のバジェカスはスタンドも半分ぐらいしか埋まらず、ラージョの方もリーガとは違うスタメンだったんですが、アトレティコではここ2試合、大活躍をして株が上がり、クラネビテルとアウグストをダブルボランチで早速デビューさせたため、トップ下の大役を仰せつかったトマスがちょっと上づってしまったんですかね。どちらもなかなか点の取れない展開でしたが34分、自陣エリア前からクリアしたボールをナチョの正面に送ってしまい、そのミドルシュートで先制されてしまったから、まったくツイてない。ええ、これにはシメオネ監督も「es un chico joven y hay que llevarlo sin la ansiedad de estos últimos días en el entorno de él/エス・ウン・チコ・ホベン・イ・アイ・ケ・ジェバールロ・シン・ラ・アンシエダッド・デ・エストス・ウルティモス・ディアス・エン・エル・エントルノ・デ・エル(彼は若いんだから、ここ数日のように周囲が焦らせることなく、育てていかないといけない)」とフォローするしかありません。

▽それでもまあ、0-1なら来週、ホームでの2ndレグもありますし、真っ青になる程のこともなかったんですが、このところ早めの交代で味をしめたシメオネ監督は後半10分には近頃、あまりいいところを見せてくれないオリベルとアウグストを引っ込め、サウルとビエットを入れる攻撃的メンバーチェンジを実施。するとこれが見事に当たり、21分には右サイドからキニを振り切ってビエットが入れたラストパスにサウルが反応、エリア内からシュートを決めて同点にしてくれたから、何とも有難いっちゃありません。いえ、2年前、レンタルでラージョに修行に来ていた当人は遠慮して、大袈裟にゴールを祝うことはしませんでしたけどね。

▽「El chico que vieron crecer en Vallecas sigue creciendo/エル・チコ・ケ・ビエロン・クレセル・エン・バジェカス・シケ・クレシエンドー(バジェカスで成長するところを見せた選手は成長し続けている)」(サウル)と後で言っていたように、こういうのこそが最高の恩返しなんでしょうが、ラージョのパコ・ヘメス監督にとってはまさに痛し痒しだったかも。それでも幸い、34分にはCKからビエットが放った至近距離のシュートはGKファン・カルロスのparadon(パラドン/スーパーセーブ)とゴールポストに阻まれて決まらず。

▽おかげでラージョは1-1のままで2ndレグを迎えられることになり、その日は2-2で引き分けたリーガ前節のレアル・ソシエダ戦の後、「ウチは1部のチームじゃない」というコメントから、「No son de Primera, sino de 'Champions'/ノー・ソン・デ・プリメーラ、シノ・デ・チャンピオンズ(1部ではなく、CLにいるチーム)」と、ヘメス監督も自軍を大幅に格上げしていたものの、点を取ることは苦手でも、基本的に守りは超一流のアトレティコが2ndレグでは0-0でもいいとなると、見通しはあまり芳しくないでしょうね。

▽ただラージョにとって、もっと重要なのは週末のリーガ戦、土曜にレバンテのホームを訪れる試合で勝つことで、何せこのところ、降格圏の19位が定位置になってしまっていますからね。相手は最下位ですが、コパにはすでに敗退していて今週ヒマだった上、前節では兄貴分のアトレティコが終盤にトマスのゴールが決まるまで勝負を決められなかったという例もあるため、心してかかる必要があるかと。実際、残留ゾーンまではたった勝ち点2差しかないので、シーズンの前半終了戦でもある、この19節では不名誉な順位から脱出できたらいいのですが。

▽そしてアトレティコは日曜午後8時半(日本時間翌午前4時半)から、やはりアウェイでセルタ戦なんですが、こちらの目標は現在、2位バルサと勝ち点差2、3位マドリーと同4ある首位の維持と極めて贅沢なもの。もちろん試合消化数が1つ少ないバルサがクラブ・ワールドカップのせいで延期したスポルティング戦を2月に済ませた後どころか、1月30日の直接対決でカンプ・ノウに乗り込めば、簡単に転落してしまうのかもしれませんが、まあ、それまではねえ。金曜からは大雨が続き、バライドス(セルタのホーム)周辺が浸水しているなんて心配な情報もあるものの、アウグストもマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでは先発組に抜擢され、忘れ物も取りに行ける早々の古巣訪問を心待ちにしているはずですし、いつものように少ない得点をガッチリ守って勝ち点3に変えられればと思います。

▽一方、そんなセルタも今週木曜はコパでカディスと当たり、リーガ5位の実力相応で0-3と快勝。マドリーが失格になった恩恵を受けているんですが、そのマドリーがこの土曜の午後8時半(日本時間翌午前4時半)に対戦するデポルティボは水曜にミランデス(2部)とのコパで1-1の引き分け。あまりないことですが、相手の方が休息期間が短いのはジダン新監督にとって、有利に働くかもしれません。加えてサンティアゴ・ベルナベウでの試合とあって、ファンに絶大な人気を誇る彼がベンチで指揮を執れば、これまでのようにpito(ピト/ブーイング)が聞こえることもなく、スタンドと一体になって勝利を目指すことができる?

▽それには現役時代はマドリーで長くプレーしたビクトル監督も、「el principal cambio será en el plus de ilusión que tiene la gente/エル・プリンシパル・カンビオ・セラ・エン・エル・プルス・デ・イルシオン・ケ・ティエネ・ラ・ヘンテ(最大の変化は人々により大きな夢を抱かせること)」と用心していましたが、新監督の幸運は他にもあって、とうとうカルバハルも回復し、この試合前にチームの負傷休場者がゼロに。いえ、バレンシア戦でレッドカードをもらって退場したコバチッチだけは処分で出られませんけどね。

▽金曜の前日練習からは、BBCにイスコ、そしてモドリッチ、クロースという、アンチェロッティ前監督が好んだ布陣、ついでに言うなら、昨年のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)で0-4と惨敗した時のスタメンからハメス・ロドリゲスを除いただけ、とはいえ、十二分に攻撃的なものが予想されていますが、当時はベンゼマとベイルが負傷明けだったのに比べ、今は2人とも好調を維持しているのは好材料になるかと。何せ、昨年12月にはカンプ・ノウでバルサから引き分けをもぎ取ったデポルティボですが、ここ2試合はリーガで白星がなく、順位も7位と少々、調子を落としていますしね。順当に行けば、マドリーが勝つんじゃないかと思いますが、注目はプレーでファンをさせることができるかどうかになりそうです。

▽そしてもう1つの弟分、コパはラージョに及ばず敗退となり、肩の荷が下りているヘタフェは日曜にセビージャとのコパ・ダービーに0-2で負けているベティスと対戦するんですが、実は彼らは月曜の前節スポルティング戦に2-1と逆転勝利を収め、現在は13位と比較的落ち着いた順位に。相手も同じ勝ち点で14位ですから、実力の拮抗した、いい試合になりそうな気配はあります。そうそう、折しも木曜には今季シーズン後半のアボノ(年間指定席)を80ユーロ(約1万円)という爆安値段で売り出したヘタフェですが、そのホーム11試合にはこのベティス戦も含まれているとか。マドリーやアトレティコ戦もこれからあることですし、ようやく今年になってブカネーロ(ラージョの過激なサポーター集団)がストを止め、応援を再開したバジェカス同様、いつもガラガラなコリセウム・アルフォンソ・ペレスもその恩恵でもう少し、賑やかになってくれるといいですよね。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

コメント

関連ニュース

thumb

【原ゆみこのマドリッド】エンジンがかからない…

▽「そりゃあ嬉しくて投稿したくもなるわよね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日。ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設からセルヒオ・ラモスがアップしたツィートを見た時のことでした。今回のスペイン代表は、デル・ボスケ監督からロペテギ監督に代わって初めてのインターナショナルウィーク。おかげで招集された選手の顔ぶれもかなり変化して、レアル・マドリーからはラモスを筆頭にルーカス・バスケス、モラタ、カルバハル、アセンシオと5人が呼ばれることに。翻って永遠のライバルの方はイニエスタが負傷中という事情もあったものの、ピケ、ブスケツ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルトと4人に留まり、久々に数でバルサ勢に上回ったのが嬉しかったのか、クラブのチームメートでテーブルを囲んでいる姿を載せていたから。 ▽そう、ラモス自身もお昼の施設入りの際、「Es una buena noticia que haya muchos madridistas/エス・ウナ・ブエナ・ノティシア・ケ・アヒャ・ムーチョス・マドリディスタス(マドリーの選手が沢山いるのはいいニュースだよ)。ボクらがクラブで上手くやっていることだからね」と言っていましたしね。夕方から行われた初練習では、前日のアスレティック戦で打撲を受けたピケと疲労のセルジ・ロベルトもグラウンドに顔を見せなかったため、ますますマドリー天下な気分がしてしまったかもしれませんけど…。実はその日の早朝にはパコ・アルカセル(バレンシア)がバルセロナでメディカルチェックを済ませて代表合宿に到着。移籍市場が閉じる水曜前にバルサ入りが発表される見込みとなれば、人数は結局5対5で拮抗? ▽いえまあ、ラモスもモラタも練習後は長い時間、見学に来たファンたちにサインをしてあげて、代表中多数派クラブのメンバーの義務を果たしていましたしね。一方でアトレティコは、フアンフランがセルジ・ロベルトに取って代わられ、サウールも木曜日の親善試合・ベルギー戦が終わったら、マルメでスウェーデンと対戦するU-21代表にヘルプに行かされてしまうため、コケを入れて1.5人しか呼ばれていません。そんなアトレティコには次元のまったく違う話なんですが、確かにリーグ開幕してからの3強の調子を考えると、意外とこれって正しい割合だったかと。何故かと言うと…それは後程。 ▽さて、先週末は土曜日にサンチャゴ・ベルナベウを訪れた私ですが、まだバケーション中のabonado(アボナードー/年間チケット保持者)も多かったのか、スダンドは満員にはならず。それでもホームでのシーズン開幕戦に駆けつけたファンたちには大きな期待があったはずですが、その日のマドリーは後でジダン監督も「puede ocurrir que en algunos partidos no podemos jugar como queremos/プエデ・オクリル・ケ・エン・アルグーノス・パルティードス・ノー・ポデモス・フガール・コモ・ケレモス(幾つかの試合ではウチが望んだようにプレーできないということも起こりうる)」と言っていたように、プレスをしっかりかけて組織的に敵のパスをカットするセルタの前になかなか得点できず。 ▽おかげでモドリッチがエリア外から撃ったシュートが枠に当たるなど、0-0ままイヤな感じでハーフタイムを迎えたんですが、まさか後半になって、敵の方からチャンスを演出してくれるとはツイているじゃありませんか。そう、それは59分のことで、手を使ってのプレーは上手いものの、足技はあまり得意でなさそうなセルヒオのゴールキックがエリア近くにいたモドリッチの正面に。彼の出したパスはモラタとジョニーを経て、アセンシオが受け、GKと一対一になりシュートを試みたところ、弾かれてしまって失敗。それでもいい場所にいたモラタがこぼれ球を撃ち込んでゴールにしてくれたから、ようやくスタジアム中が活気付きます。 ▽いやあ、1節のレアル・ソシエダ戦でもいいプレーはしていたものの、得点はできず、その日も「Morata estaba deseando marcar/モラタ・エスタバ・デセアンドー・マルカル(モラタはゴールを決めたがっていた)」と、同じカンテラーノ(下部組織出身の選手)であるカルバハルに後でバラされていたモラタでしたからね。この1点でかなり安心できたんじゃないかと思いますが、何かというと敵に引っくり返されていたり、変なところで滑っていたりと、ユベントスで修業したという割にはまだどこか物足りず。ベンゼマがケガから復帰した暁にはスタメンの座を得るのが難しい気がしてしまうのは私だけではないかもしれませんが、ローマは1日にして成りませんからね。マドリー復帰第1号がgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)でなくても、まずは第1歩を踏み出したことを喜ぶべきかと。 ▽それでもその4分後、クロースのスルーパスに抜け出したモラタが今度はフリーでシュートしたものの、ゴールポストに当たってゴールにならなかったのには眉をしかめてしまった私でしたが、こういうチャンスをモノにできないと後に響くんですよね。実際、66分にはオレジャナにエリア前から見事な一発を決められ、マドリーは1-1の同点に追いつかれてしまったんですが、この辺りから暑さの影響が出てきたか、セルタにかなり危険なカウンターを喰らうことに。 ▽ただ、GKカシージャの守るゴールに独走したのが、今はマンチェスター・シティでプレミア生活を満喫しているノリートか、丁度土曜日に獲得が決まったジュゼッペ・ロッシ(フィオレンティーナから移籍、昨季はレバンテでプレー)か、もっと現実的になって言えば、打撲からギリギリ回復してその日は途中出場だったイアゴ・アスパスだったら…。昨季7-1のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を喰らったリベンジを果たす勝ち越しゴールを奪えたかしれないんですけどね。 ▽19歳のセネガル人カンテラーノ、パペにはベルナベウの雰囲気が重くのしかかったか、ラストパスを誤ってフィニッシュには至らず。逆にマドリーは80分、エリア内のルーカス・バスケスからのパスを受けたクロースがシュートしたところ、地面を転がったボールは弧を描き、ゴールポストの内側に命中してネットへ。うーん、彼は2年前のラージョ戦でも似たようなゴールを決めていて、その時も何て器用なことができるんだと驚かされたものでしたけどね。こんなMFがいれば、クリスチアーノ・ロナウドとベンゼマがケガで出られなくても、ベイルが不発でも、全然大丈夫かと。 ▽結局、そのままマドリーは2-1で勝って、開幕2連勝としたんですが、この日はルーカス・バスケスに続いて2番目の交代選手としてピッチに入ったハメス・ロドリゲスも奮闘。彼についてはずっと売却の噂が絶えず、記者会見があるたび、しつこく訊かれるのに閉口していたジダン監督も試合後、「Se va a quedar/セ・バ・ケダール(彼は残る)」と断言していたため、今季もマドリーでプレー時間をイスコやルーカス・バスケス、アセンシオらと分け合っていくようですが…はあ。どの選手も皆、人並み以上の才能あるのに控えって、ホントに贅沢なチームですよね。 ▽え、私がそんなにマドリーの選手層を羨ましがるのは珍しくないかって? その原因は次の時間帯でプレーしたアトレティコにあって、いえ、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にたどり着いて、ようやくTV中継を見られた時にはすでに60分になっていたんですけどね。途中、聴いていたオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)からは前半、グリーズマンのvolea(ボレア/ボレーシュート)がGKセランテスにparadon(パラドン/スーパーセーブ)されたり、後半に入ってもガメイロは弾かれ、ゴディンのゴールもオフサイドで認められなかったなどと、チャンスの情報は入っていたものの、スコアは0-0のままというのが悲しい現実。 ▽幸い、相手のレガネスの方が「En la primera parte no hemos pasado ni del semicirculo/エン・ラ・プリメーラ・パルテ・ノー・エモス・パサードー・ニ・デル・セミシルクロ(前半のウチはセンターサークルすら越えられなかった)」(アシエル・ガリターノ監督)という状態だったため、失点は心配しなくて良かったんですが、その頃になって、ようやくガメイロをフェルナンド・トーレスへ、ガビ、アウグストをカラスコ、ガイタンへと、開幕のアラベス戦と同じ対策しか取れないシメオネ監督もねえ。しかもレガネスはアラベスと同じ昇格組、それこそ「負けないためには守るしかなかった。それも後ろに人を多くしてね。En ningun momento el equipo fue capaz de estar cerca de ganar/エン・ニングン・モメントー・エル・エキポ・フエ・カパス・デ・エスタル・セルカ・デ・ガナール(ウチが勝利できそうだった時はなかった)」というガリターノ監督のチームだったにも関わらず、そこをゴリ押しして点を取れないのが今季のアトレティコなんですよ。 ▽実際、私が見ている間もトーレスやカラスコがシュートを決めることができず、試合はスコアレスドローで終わってしまったんですが、この2引き分けのせいで、連勝したお隣さんとバルサとはもう勝ち点差が4。いえ、だからって試合終了後、今季アトレティコでの初試合だったためか、まだリズムに乗れていないというグリーズマンが、「Si seguimos asi vamos a pelear por el descenso/シー・セギモス・アシー・バモス・ア・ペレアル・ポル・エル・デセンソ(こんなことをしていたら、ウチは降格を争うことになる)」と言っていたのは、カンテラーノのサウールも「Griezmann acabo caliente/グリーズマン・アカボ・カリエンテ(グリーズマンはカッカしていたんだよ)」とフォローしていたように、当人がレアル・ソシエダ時代のデジャブを見ていただけだと思いますけどね。 ▽というのも、ここ10年強、ダメダメなアトレティコも見てきた私ですが、ヨーロッパの大会出場権が得られる順位に入れず悔しい思いをしたことはあっても、ヘタフェやラージョのように本当に降格を心配する程の惨状は記憶にはなし。よって、あまり気にすることはありませんが、やっぱり心配なのはこの開幕の出遅れが後々、リーガの2強との優勝争いに憂いを残すかもしれないこと。何せ、「El futbol son goles/エル・フトボル・ソン・ゴーレス(サッカーはゴール)。この2試合、ウチは沢山チャンスは作ったが、相手にツキがあった」というシメオネ監督は、「Trabajaremos cuando estemos todos/トラバハモス・クアンドー・エステモス・トードス(皆が揃った時、取り組んでいく)」と言っていましたけどね。今週から世間はインターナショナルウィークに入るんですよ! ▽そう、スペイン勢こそ少ないですが、代表出向組の人数だけを取ってみれば、お隣さんの14人対し、アトレティコも総勢12人と決して負けておらず。グリーズマン(フランス)を筆頭にオブラク(スロバキア)、サビッチ(モンテネグロ)、ブルサリコ(クロアチア)らのヨーロッパ組はまだしも、ゴディン、ヒメネス(ウルグアイ)、アウグスト、コレア、ガイタン(アルゼチン)、フィリペ・ルイス(ブラジル)と中南米組なんか、いつ帰って来るかもわかりません。おまけに次節はマドリー相手に善戦したセルタを10日の土曜日午後1時という早い時間にビセンテ・カルデロンに迎えるとなれば一体、何度、全員揃った練習ができる? ▽それでもその間、トーレスやガメイロにシュートの精度を上げるよう努力してもらうということはできると自分を慰めていれば、日曜日になって、後者はフランス代表に追加招集されることが決定。もう、こうなったら、徹底的にグリーズマンとの前線コンビを極めてきてほしいですが、でもねえ。FWだけでなく、アラベス、レガネスの2試合ではお隣さんのように中盤にあっと驚くゴールを挙げてくれる人材がいてくれたら、結果は大きく変わっていたかもしれないと思うのは、私の単なるないものねだりでしょうか。 ▽一方、監督の試合評は厳しかったものの、初めての1部リーグでまだ敗戦を経験していないレガネスの選手たちはもちろん大喜びで、髪を青く染めたキャプテンのマントバーニによると、「アトレティコ相手の勝ち点1は3倍の価値がある。Para un recien ascendido como nosotros, un empate sabe a gloria/パラ・ウン・レシエン・アセンディードー・コモ・ノソトロス、ウン・エンパテ・サベ・ア・グロリア(ウチみたいに昇格したばかりのチームにとって、引き分けは栄光の味)」なのだとか。うーん、試合前に今季、ブタルケ(レガネスのホーム)を訪れるチームにはキュウリの籠盛りを贈るという企画を知った時には、これってもらった方が困るんじゃないだろうかと思ったものでしたけどね。 ▽大体がして、青と白のストライプがずっと基調のチームなのに、何故、愛称がpepineros(ペピネーロス/キュウリ栽培農家)なんだろうと調べてみれば、以前はマドリッド近郊のレガネスにはキュウリ畑が多かったからというオチだったんですが、とりあえず、ここ2試合の印象はとにかく守り倒して、セットプレーででも1点が取れれば御の字といった感じのチーム。いえ、今回の相手がアトレティコでなければ、もっと褒め言葉を探したんですけどね。ギリギリまで補強も続くようですし、paron(パロン/リーガの停止期間)後の様子を見ないことにはまだ、この新弟分に1部で生き残っていける力が本当にあるのか、私もちょっと判断がつきかねています。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.08.30 12:09 Tue
twitterfacebook
thumb

【原ゆみこのマドリッド】もうCL観戦の予定も立てられる…

▽「随分、変わったわね」そんな風に私が驚いていたのは金曜日、デル・ボスケ監督からロペテギ監督に代わって初のスペイン代表招集リストを見た時のことでした。いやあ、何より衝撃だったのは水曜にはポルトの街でカシージャスとランチしている姿をスクープされた新監督が、自身がポルトを率いている時にチームに呼び寄せたGKを9月の代表戦に向けてのメンバーに入れなかったことなんですけどね。もちろん、当人には会った時にそのことは告げていたかと思いますが、折しもポルトは前日のCLプレーオフ2ndレグでローマに0-3と無失点勝利。チームのCLグループステージ出場が決まったため、カシージャスも18年連続で一番注目されるヨーロッパの大会でプレーできることになったというのに、これではせっかくの喜びも半減では? ▽え、カシージャスももう35歳なんだから、そろそろ代表は引退時なんじゃないかって?うーん、確かに先のユーロ大会から控えに回り、ロペテギ監督にも「nuestro portero titular es De Gea/ヌエスオロ・ポルテーロ・ティトゥラル・エス・デ・ヘア(我々のレギュラーGKはデ・ヘア)」と記者会見で言われていた彼ですけどね。イタリア代表のキャプテン、ブッフォンなんて38歳ですし、代わりとして、2年前のW杯以来、久々に招集を受けたレイナ(ナポリ)にしても34歳。あまり変わらないと思うんですが、今回はW杯に行ったセルヒオ・リコ(セビージャ)もUEFA、スペイン双方のスーパーカップでレアル・マドリー、バルサに続けて負けて今は傷心しているだろうと敬遠されたんでしょうか。同じアンダルシアの州都セビージャ出身でもベティス育ち、2013年からプレミアリーグのウェストハムでプレーしているため、あまりスペイン国内では知られていないアドリアンが初招集を受けていますからね。 ▽更にユーロ大会メンバーからはDFファンフラン(アトレティコ)、サン・ホセ(アスレティック)、ベジェリン(アーセナル)、MFセスク(チェルシー)、ブルーノ・ソリアーノ(ビジャレアル)、FWペドロ(チェルシー)、アドゥリス(アスレティック)と計9人が外れ、代わってカルバハル(マドリー)、ハビ・マルティネス(バイエルン)、マタ(マンチェスター・ユナイテッド)、ジエゴ・コスタ(チェルシー)、パコ・アルカセル(バレンシア)らが返り咲き。ロペテギ監督にはスペインのユース代表を率いて実績を作った過去があるため、2013年のU21ユーロで優勝したデ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、チアゴ・アルカンタラ(バイエルン)、バルトラ(ドルトムント)、モラタ(マドリー)、コケ(アトレティコ)、カルバハル、イスコ(マドリー、今回は足首を負傷中)らを中心メンバーにしたいという意向があるようですが、ただし、この世代には2012年のロンドン五輪代表でダメダメだった、グループリーグ敗退メンバーも混ざっているという欠点も。 ▽その後、ロペテギ監督の下、成長しているとはいえ、まだまだベテランの力は借りたいところかと思いますが、運悪く、今回はイニエスタ(バルサ)がスペイン・スーパーカップでのケカからまだ治らず、頼れるのはシルバ(マンチェスター・シティ)、セルヒオ・ラモス(マドリー)、ブスケツ、ピケ(バルサ)といったところぐらいかと。いえ、9月1日のベルギー戦は親善試合ですし、同組のイタリアと出場1枠を争わないといけない、厳しい2018年ロシアW杯予選が5日から始まるとはいっても、初戦はリヒテンシュタインが相手。フランスでの大会前、サポートメンバーとしてデル・ボスケ監督に招集され、ギリギリのところで飛行機に乗れなかったサウル(アトレティコ)など、今回はアセンシオ(マドリー)と共に晴れて招集となったものの、代表戦週間後半はU21に戻されて、そちらのユーロ予選の手伝いをさせられるぐらいですから、あまり心配することはないのかもしれませんが…。 ▽まあ、そんなことはともかく、今週一番の出来事はやはり木曜のCLグループリーグ抽選会で、火曜のプレーオフではビジャレアルがモナコに総合スコア3-1で負けてしまったため、スペインからは昨季のヨーロッパリーグ・チャンピオンのセビージャを加えた4チームが参加。中でも最も注目を浴びていたのは、グアルディオラ監督がマンチェスター・シティに移籍したてのGKクラウディオ・ブラボを従えて、古巣のカンプ・ノウに戻ってくることでしたが、そのグループCは他がメンヘングラッドバッハとセルティックなので、バルサが2位までになって突破することは大して難しくないかと。 ▽その横でセビージャの入ったグループHはユベントス、リヨン、ディナモ・ザグレブなので、おそらく最下位にはならないはずですが、2位になれるかどうかは微妙。ただ彼らの場合は3位でEL決勝トーナメントに回れば、前人未到も未踏、EL4連覇という物凄い記録を狙うことができますからね。下手にグループリーグを勝ち抜けて、CLベスト16で敗退とかになるより、ずっといいような気がしますが、せっかく清武弘嗣選手も入ったことですし、健闘を期待しています。 ▽え、それで昨季の決勝出場の両雄、マドリッドの2チームはどうなったのかって? まあ、今季は両者のプレー曜日がズレてくれたのは幸いだったのはともかく、どちらもドイツの強豪と同組になっていますが、まさか、アトレティコが準決勝で死闘を演じたバイエルンとグループDでまた顔を合わすことになろうとは! それもホーム初戦の9月28日にビセンテ・カルデロンに迎えるとなれば、残念ながら、4月の1stレグでサウルが敵DFを何人もかわして決め、アトレティコを勝利に導いたゴールも同じ木曜に発表されたファンが投票するUEFAのベストゴールに選ばれませんでしたしね(受賞はグループリーグのローマ戦でメッシが挙げたゴール)。となると、3月のベスト16でPK戦までもつれ込んだPSVとの再戦となる1節では絶対、勝っておかないと。もう1チームはロシアのロストフ、こちらは長旅がネックとなるようです。 ▽一方、マドリーのグループリーグでのお楽しみは香川真司選手のいるドルトムント戦なんですが、彼らがサンティアゴ・ベルナベウにやって来るのは最終節の12月7日。このグループFの他のメンツはスポルティングとレギア・ワルシャワですから、もうその頃にはマドリーのグループ首位通過まで確定しているかもしれませんが、2014年の準々決勝ではアウェイで3-0と勝利しながら、ホームで0-2まで追い上げられたり、その前年には準決勝1stレグでレバンドフスキに4発を決められて、結局、マドリーが2試合合計3-4で敗退させられたりと、ドルトムントとはここ近年、競った面白い対戦をしていますからね。今年最後のCLの試合としてはふさわしい一戦なんじゃないでしょうか。 ▽そして抽選の後、いよいよ2015-16シーズンの最優秀選手賞が発表されたんですが、はい、翌日の記者会見ではシメオネ監督も「El futbol colectivo potencia lo individual/エル・フトボル・コレクティボ・ポテンシア・ロ・インディビドゥアル(サッカーは集団の結果が個人に力を与える)。彼の場合、CLとユーロで優勝したからね」と言っていたように、予想通り、受賞したのはクリスチアーノ・ロナウド。まあ、確かにCLでもユーロでも彼がいなかったら、チームが決勝進出することもなかっただろう活躍をしたグリースマンでも揃って準優勝では、どこか残念感が漂ってしまいますからね。 ▽それは本人もわかっていたのか、表彰式では生足首を見せるアンクルパンツ、銀色のスニーカーという不思議な恰好で登壇し、ピカピカのトロフィーを掲げるロナウドに視線が集中するのを防いでいましたが、大丈夫。「estoy en el mejor club del mundo y quiero retirarme aqui, a los 41 anos/エストイ・エン・エル・メホール・クルブ・デル・ムンド・イ・キエロ・レティラルメ・アキー、ア・ロス・クアレンタウン・アーニョス(自分は世界最高のクラブにいて、ここで引退したい。41歳でね)」と言っていた現在、31歳のロナウドに対して、グリースマンはまだ25歳ですし、今回は付き人のようになってしまったベイルも27歳ですからね。きっと近いうちにまたチャンスは来ますって。 ▽そんな候補者3人もその日のうちにマドリッドに帰京。復帰は代表戦週間後、9月10日のオサスナ戦を予定しているロナウド以外、週末のリーガ戦の準備に戻ったんですが、この土曜に最初に試合をするのはマドリーになります。ええ、開幕戦で新弟分のレガネスに負け、白星スタートできなかったセルタをサンティアゴ・ベルナベウに迎えるんですが、先週、0-3で勝利したレアル・ソシエダ戦からの変化は出場停止だったモドリッチとロナウドと一緒のポルトガル代表でユーロが長引き、プレシーズン合流が遅かったペペが招集メンバーに入ったこと。前線ではベンゼマもまだ治っていないため、モラタ、ベイル、アセンシオのトリオがリピートする可能性が高いです。 ▽その土曜午後8時15分(日本時間翌午前3時15分)からの試合が終わった後、午後10時15分(日本時間翌午前5時15分)から、レガネスとのマドリードミニダービーに挑むのがアトレティコで、ええ、今度は開幕戦で出場停止だったグリースマンも先発できますよ。ちなみにその彼とトップでコンビを組む座をガメイロと争っているフェルナンド・トーレスにとって、ブタルケ(レガネスのホーム)は15年前、2部で昇格を目指していたアトレティコでのトップチームデビューを果たしたスタジアムで、当時は17歳。その1年後、チームは1部に戻り、それから自身もリバプールへ旅立つなど、イロイロあったため、彼には感慨深い訪問になるかもしれません。 ▽え、1節で同じ昇格組のアラベスと1-1で引き分け、リーガの2強どころか、後輩にまで勝ち点で差をつけられているアトレティコはそんな悠長なことを言っている場合ではないんじゃないかって?そうですね、意外とあっさり1部初勝利を手に入れたため、レガネスのアシエル・ガリターノ監督も「El Atletico es uno de los mejores equipo de Europa/エル・アトレティコ・エス・ウノ・デ・ロス・メホーレス・エキポ・デ・エウロッパ(アトレティコはヨーロッパで最高のチームの1つ)。それでも私は気にしないし、何を強化したらいいのか、ウチははっきりわかっている」と自信をつけているみたいですしね。 ▽実際、昔、ヘタフェ(2部)が初めて1部に上がった時と同様、これまではマドリーやアトレティコを応援していた地元のファンも2820席増やして、収容力が1万9584人になったスタンドから盛り上げてくれるはずですし、エースが戻ったといえど、ここはアトレティコも油断できないかも。うーん、ブタルケにはマドリッド市内のアトーチャ駅からセルカニアス(国鉄近郊路線)C-5で20分程、Zaraquemada(サラケマダ)駅で降りて、徒歩15分で行けるんですけどね。今回はマドリー戦と時間続きなのと、午前零時直前の終電に帰りが間に合いそうにないため、私は諦めてしまったんですが、リーガ4節の9月17日、午後1時からのバルサ戦は見に行きたいものです。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2016.08.27 13:25 Sat
twitterfacebook
thumb

【東本貢司のFCUK!】期待感が“値動き”を動かす

▽開幕して各チーム2試合を消化―――この時点でどうこう“占う”根拠もなければ、そんな権利も(誰にも)ない。例えば開幕戦の白眉、アーセナルvsリヴァプールを振り返ってみよう。スコアは「3-4」。派手な点の取り合いに見えるが、実際はアウェイのレッズが終始余裕のリードを保ち、ホームチームが遅まきながら終盤に意地を見せる経緯をたどった。一言で片づけるならリヴァプールの「快勝」。だが、そのリヴァプールは続く第二戦で昇格仕立てのバーンリーに無得点の完敗、一方のアーセナルは王者レスターとスコアレスドロー。そこで、両者ともディフェンスに難あり、一転して決め手に乏しい問題をさらけ出した・・・・とまあ、近視眼的に評価すればそういうことになるのだろうが、そんなものは、たかが2試合の結果をもとに何か書かねばならないマッチリポーターの物言いに過ぎない。両監督の事後コメントも取り立てて「何とかしなけりゃ」なる印象もない・・・・。 ▽と思いきや、その後漏れ出してきたニューズソースからは、ルーカス・ペレス(FW:ラ・コルーニャ)の入団「ほぼ内定」と、シュコドラン・ムスタフィ(DF:ヴァレンシア)獲得への「交渉進展」が―――しかも、両人ともに想定内の予算を超える出費を強いられる見込みである。筆者にはそれが「焦って無理をしている」ようにも受け取れてしまう。ひいては、さしものアーセン・ヴェンゲルの「信念と余裕」も揺らいでいると言えなくもない。ほんの一週間ほど前、クラブ運営責任者(ガジディス)は「(補強に関して)金額の勝負になればウチに勝ち目はない」と“白旗”を上げた。にもかかわらず、エヴァートンと競合になってもルーカス獲得にこだわり、ムスタフィはかねてよりの狙い目だったとはいえ足元を見られた格好で、超過出費に踏み切る構えなのは・・・・「もう(アーセナルのヴェンゲルには)あまり後がない」という、もっと切実な問題につながっていくのだ。それにルーカスとムスタフィで“間に合う”のかという、いささか“気難しい”問題も残る。 ▽その点、マンチェスターの両雄は「かなり早い段階で(優勝への)一騎討ち状態になりそう」との前評判通り、ほぼ順風満帆のスタートダッシュ。ここで確認しておくべきは、ともに一切手をこまねくことなく、補強作戦をほぼ予定通りにすんなりと遂行してしまったことである。要するに、ライバルたちの(補強)状況を秤にかけながらとか、オフのフレンドリーなどで現有戦力をじっくり検分してからとか、などの“勿体つけ”が無い。さっさと申し入れ、さっさと決めてしまう。それに、ルーカスとムスタフィには悪いが、「イブラヒモヴィッチとポグバ」と比べられては相当に分が悪い。ふと思ったのだが、そこには株式市場の値動きに似たものがないだろうか。「期待感」とは、ある意味で「実に安易な印象」によって大きく左右されるものだとすれば、当然、ユナイテッド株(の上昇)にも影響はあったはず。しかも、コミュニティーシールドを含む3試合でズラタンが4ゴール、ポグバも1試合ながら違いを見せつけた、となれば、これはもうお祭り状態になる。 ▽シティーも抜かりがない点では負けていない。ノリートにストーンズ、そして契約の時期こそズレ込んだとはいえ、ブラヴォーと、グアルディオラの“戦略”に澱みなどなくあっさりと使命完了。その一方で“余計な"チャンピオンズ予備戦2試合も楽々と片づけるなど、ここまでほとんど危なげがない。願わくは、ストーンズとともにデルフをツブしてしまうことなど無きように。今、ユナイテッドとシティーにはちょうど似通った“疵”が見えている。シュヴァインシュタイガーとハートだ。あと1週間でどんなドラマが起きるやも(起きないかも)しれないが、ジョゼとペップから事実上の戦力外通告を受けた二人の今後が、ひょっとしたらだが、ユナイテッド/シティーの“足を(少しは)引っ張る”情動的要素になり得るかも・・・・いや、それはさすがに考え過ぎか。どうも、戦力比較や戦術ベースの「将の器」辺りで比べてしまうのがつまらなくてね! 今だけのセンティメンタルな“妙味”エピソードと受け取っていただこう。まともな予想ほど退屈なものはない。 ▽折しも、チャンピオンズ/グループリーグのドロー結果が出てきた。ユナイテッドもチェルシーも(そして相変わらずリヴァプールも)不在の、それ以外は大して代わり映えのしないチャンピオンズだが、総じて特別「死の・・・・」の肩書がつくエリアも見当たらない。アーセナルに初見参のレスターも、スパーズも、大して文句のない顔ぶれに混じって戦うことになる。強いて言えば、シティーとバルサの呉越同舟、そこにブレンダン・ロジャーズのセルティックが絡む絵面に、いつもとは味わいが異なる興趣が湧く。そう言えば、シティーとセルティックはともにプレーオフ(予備戦)を突破した者同士。ならば、セルティックと復活気配のボルシアMGが波乱を演出することで、何かが“動く”。ここ数年、ついつい思い願ってしまうのは、今度こそ、パルサ、レアル、バイエルン、アトレティコの名前が(せめてその内2つが)「ラスト4」から消えてくれないかなぁ、と(笑)。<hr>【東本 貢司(ひがしもと こうじ)】 1953年大阪府生まれ 青春期をイングランド、バースのパブリックスクールで送る。作家、翻訳家、コメンテイター。勝ち負け度外視、ひたすらフットボール(と音楽とミステリー)への熱いハートにこだわる。 2016.08.26 13:20 Fri
twitterfacebook
thumb

【日本サッカー見聞録】ハリルホジッチ監督の深謀遠慮

▽2018ロシアW杯のアジア最終予選、9月1日のUAE戦と5日のタイ戦に臨む日本代表24名が8月25日に発表された。今回の発表でのサプライズは次の3点と言える。まず、これまで所属チームで出番がなかったり、所属チームそのものがなかったりしたGK川島を、「手元においてコンディションを見てみたい」とケガをのぞいて招集してきたが、今回は「先発に入れなければ」正GK争いの競争には加われないと突き放したこと。 ▽過去2度のW杯に出場した守護神も33歳を迎えた。体力的な衰えは練習でカバーできたとしても、試合勘の鈍りは否定できないだろう。移籍先のFCメスは公式ホームページで川島を「第3GK」と公表しているだけに、代表への返り咲きは国内復帰も視野に入れて、まずはスタメン確保が最低条件となりそうだ。 ▽次に驚かされたのが、名前こそ出さなかったが香川と清武が負傷した場合は川崎Fの中村憲剛の招集を計画していることだ。中村憲剛をボランチではなくトップ下で使うのかという疑問は抜きにして、これまでJリーグ得点王の大久保嘉人を代表に呼ばないのかという質問に、「2年後に彼は何歳になっていますか?」と頑なまでに拒否していたのに、「私が見てきた中でも使いたい選手」と、あっさりとこれまでの発言を撤回した。 ▽そして、その理由を「W杯予選はたくさんのことを考慮しないといけない。ケガ人も予想しないといけない。この選手も予想の一環で、W杯予選はリスクを冒せない。ロシアに行くには予測もカギになる。(ケガ人に)驚いているようではロシアに行けない」と、しれっとした顔で語っていた。 ▽この言葉を聞いて、「このおっさんはヤルな」と感じずにはいられなかった。たぶん、「前は年齢を理由に大久保の招集を見送ったのに、なんで中村憲は呼ぶんだ。選手の選考基準に一貫性がない」と突っ込んでも、平然とした顔で「あの時とは状況が違う」とはねのけるだろう。日本人にありがちな、自分の発した言葉に縛られないしたたかさと、最終予選にはかなりの危機感を抱いていることが伺われた。 ▽そんなハリルホジッチ監督のことだから、例え最終予選で中村憲が活躍してW杯出場を決めたとしても、本大会に臨む23名からは年齢を理由に外しかねない。彼には“功労者”をリスペクトするという発想より、W杯では「いかにグループリーグを突破して決勝トーナメントに進むか」と目標を切り替えていることだろう。この切り替えの速さ、ドライさは川島へのコメントでも想像できる。 ▽そして最後は金崎夢生への厳しい態度だ。こちらは100パーセント金崎に非がある。自業自得とも言えるが、もしもこれが日本人監督だったら、金崎の「か」の字も言わずにスルーしていたのではないだろうか。それを、敢えて問題提起したところにハリルホジッチ監督の日本サッカーに対する愛情と、理解度の深さを感じた。 ▽就任当初はことさら規律に厳しかった。それは、これまで歴任してきたアフリカでの経験が招いたものだろうと推測した。日本人のメンタリティーなら言わなくてもいいことだと違和感も覚えた。そうして1年が過ぎ、ようやく彼も日本人の「言われたことは従順に守る」メンタリティーを理解したのではないだろうか。 ▽それでも金崎の湘南戦での態度に言及したことは、新たな問題提起につながって欲しい。なぜなら審判に対して同様の抗議をすればペナルティが科されると思うが、監督に対してはどういう裁定になるのか前例がないからだ。クラブが独自にペナルティを科すのか。いずれにせよ、マスコミ不信と言われる金崎だが、いくら激高しても監督に詰め寄る態度は許されるものではない。せっかくの才能を持ちながらセルフコントロールできないのは残念でならない。あとは、いかにして誰が、どういう形で金崎に救済の手を差し伸べるのか。ハリルホジッチ監督が問題を提起した鹿島とJリーグの判断を待ちたい。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2016.08.25 22:30 Thu
twitterfacebook
thumb

【倉井史也のJリーグ】そら先人たちの知恵に学ばないといけないでしょ?!の巻

▽やっぱり日本じゃプロ野球の歴史のほうが長いので、知恵って野球から学ぶことが多いと思うんですよ。今回もそんなこと、できなかったかな。クラブのレジェンドで大切にしたい人物なんだったら、普通は使うでしょ? 「病気で休養することになりました」って。そんでほとぼり冷ませばいいんだから。ムチャかわいそうだと思うんです。前任者の名監督だってなかなか立て直せなかったチームを新人に任せ、成績が悪くなるって思わなかったんでしょうかね。あ、いえ、どこのクラブとは言いませんが。 ▽えっと、そんな名古屋vsFC東京の監督交代チーム同士の戦いってのは何がどうなるかよくわからなくなったので、おいといてと。 ▽まぁ浦和が負けた以上、セカンドステージの優勝と、年間王者が川崎ってのは、もう確定だと思うんですよ。だって年間順位で首位川崎と2位浦和の勝ち点差は5。そりゃ数字的には追いつけるんですけど、今年まだ2敗しかしてない川崎を今後倒せるチームが出てくるとは思えない。 ▽負けたのがホームの浦和とアウェイの鳥栖。だけど、アウェイの浦和で勝って、ホームの鳥栖にも勝ってるし。 ▽引き分けたのがファーストステージの湘南(H)、鹿島(H)、仙台(H)、新潟(A)、福岡(A)、セカンドステージの磐田(A)だけど、セカンドに入ったらそのうち仙台と湘南にはアウェイで、新潟にはホームで勝ったし。もうあと怖いのはアウェイの鹿島、ホームの福岡だけ。その2チームの勢いを見てると、川崎サポーターさん、今年はいい酒飲めるぞって言ってあげたくなりますな。 ▽まぁ今回対戦する柏も前節、名古屋に勝ってやっと連敗を止めたけど、そりゃまぁ大変でしたからね、今年。だってリーグ戦で初勝利を収めたのが4月10日、第6節ですよ。2月27日に開幕してたってのに。いやぁ、よくホント、持ち直した。えっと、そのきっかけは……とベタベタな前振りだけど、監督交代だったわけですよ。 ▽で、よくよく考えると5節まで16位という今の名古屋(年間)の位置にいた柏が現在セカンドステージ7位。おお、これって勢いありますよ。よく考えたら、セカンドステージで広島に引き分け、G大阪に勝ってますから!! これはもしかして!! ▽ま、柏も「病気休養」じゃなかったわけなんですけどね。<hr>【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2016.08.25 11:35 Thu
twitterfacebook


Jリーグ移籍情報
欧州移籍情報
ユーロ2016特集

アクセスランキング

新着ニュース