【原ゆみこのマドリッド】上司が変われば気分も変わる…2016.01.09 08:00 Sat

twitterfacebookhatenalinegplus
▽「いい時期ではあるわよね」そんな風に私が納得していたのは金曜日、いよいよジダン新監督の初戦が翌日に迫っているのに気づいた時のことでした。いやあ、今週は月曜にレアル・マドリーの指揮官交代があったため、こちらも何やらバタバタして過ごすことになったんですが、幸いだったのは彼らにはミッドウィークにコパ・デル・レイの試合がなかったこと。それも12月にカディス(2部B)との32強対決1stレグでチェリシェフのalineracion indebida(アリネラシオン・インデビダ/出場資格のない選手の起用)が発覚し、大会敗退となったせいですが、うっかり16強対決が予定されてでもいたら、新監督も落ち着いて準備を進める時間がなかったのでは?

▽おかげで日曜にバレンシア戦で引き分けた翌日夕方遅く、ベニテス監督の解任がクラブの理事会で決定。同時に後任監督としてジダンの名前が、ほんの3週間程前には「ベニテス監督はチームの問題の解決策。Zidane no sustituirá a Benítez/ジアン・ノー・ススティトゥイラ・ア・ベニテス(ジダンがベニテス監督を引く継ぐことはない)」と断言していたペレス会長により、サンティアゴ・ベルナベウで発表され、その時は当人も「タイトルと獲るために全力を尽くす」といったシンプルなコメントだけで、あとは奥さんとマドリーのカンテラ(下部組織)でプレーする4人の息子さんたちと一緒に檀上でポーズするぐらいで良かったんですけどね。

▽翌火曜にはちょうど、レジェス・マゴス(東方の三賢人の祝日、スペインでは伝統的に子供たちがプレゼントをもらえる日となっている)を控え、ファンサービスとして1年に1回の恒例となっている公開練習に挑み、駆けつけたサポーター約7000人から拍手を浴びた後、RMカスティージャ(マドリーのBチーム)監督となって1年目だった昨季は忌避しながらも、今季から行うようになった監督記者会見に初めてトップチームの指揮官として登場することに。ええ、今度はサンティアゴ・ベルナベウのプレス・コンファレンスルームで行われたこちらでは、今後のチーム運営について事細かに質問に答えていましたっけ。

▽曰く、「マドリーで大切なのは美しいサッカー。自分もそれを目指す。Fútbol ofensivo y equilibrado/フトボル・オフェンシボ・イ・エキリブラード(攻撃的でバランスの取れたサッカーをね)」から始まって、「Quiero darle mi toque personal, un toque ofensivo/キエロ・ダールレ・ミ・トケ・ペルソナル、ウン・トケ・オフェンシーボ(自分の個人的なタッチも加えたい。攻撃的なニュアンスをね)」とか、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスチアーノ・ロナウドの頭文字)については「la idea es clara, jugar con los tres/ラ・イデア・エス・クラーラ、フガール・コン・ロス・トレス(3人を使ってプレーするというアイデアははっきりしている)」、更には「Ganarlo todo/ガナールロ・トードー(全てを勝ち獲ること)。ウチには獲得できるタイトルが2つあるから、それにトライする」と、今季の目標なども話していましたが、何にしてもチームには才能ある選手が揃っていますからね。

▽あまり、やろうとしていることはペレス会長任期中の12年間で10番目の監督となった彼も変わらないような気はしますが、そこは実働グループのやる気次第。今季、大勢が慕っていたアンチェロッティ監督がいなくなり、実務肌のベニテス監督とはフィーリングが合わなかった彼らのハートを掴むことができれば、まだシーズンは半分残っていますし、どんなことでも可能かと。ええ、もちろん失格となったコパ・デル・レイだけは別ですけどね。

▽え、そんなお隣さんを尻目に今季も手近なタイトルとしてまず、コパ優勝を目指しているアトレティコは試合があったんだろうって? その通り、今週は月曜にクラネビテル(リーベル・プレートから移籍)、火曜にアウグスト(セルタから移籍)の入団プレゼンをひっそりビセンテ・カルデロンで行った後、水曜に彼らはコパ・ダービーとなった16強対決1stレグでまたしてもエスタディオ・デ・ラス・バジェカスに乗り込んだんですが、いえ、もちろん昨今の試合展開から楽勝なんてまったく予想はしていなかったんですけどね。昨年末最後のリーガでの対戦を思い出しても苦戦することは目に見えていたんですが、そこへ加えて、シメオネ監督が最初のレウス(2部B)戦同様、オブラク、ゴディン、ファンフラン、フィリペ・ルイス、コケ、グリースマンらにお休みを与え、コパ用イレブンを投入したから、もう大変だったの何のって。

▽実際、その日のバジェカスはスタンドも半分ぐらいしか埋まらず、ラージョの方もリーガとは違うスタメンだったんですが、アトレティコではここ2試合、大活躍をして株が上がり、クラネビテルとアウグストをダブルボランチで早速デビューさせたため、トップ下の大役を仰せつかったトマスがちょっと上づってしまったんですかね。どちらもなかなか点の取れない展開でしたが34分、自陣エリア前からクリアしたボールをナチョの正面に送ってしまい、そのミドルシュートで先制されてしまったから、まったくツイてない。ええ、これにはシメオネ監督も「es un chico joven y hay que llevarlo sin la ansiedad de estos últimos días en el entorno de él/エス・ウン・チコ・ホベン・イ・アイ・ケ・ジェバールロ・シン・ラ・アンシエダッド・デ・エストス・ウルティモス・ディアス・エン・エル・エントルノ・デ・エル(彼は若いんだから、ここ数日のように周囲が焦らせることなく、育てていかないといけない)」とフォローするしかありません。

▽それでもまあ、0-1なら来週、ホームでの2ndレグもありますし、真っ青になる程のこともなかったんですが、このところ早めの交代で味をしめたシメオネ監督は後半10分には近頃、あまりいいところを見せてくれないオリベルとアウグストを引っ込め、サウルとビエットを入れる攻撃的メンバーチェンジを実施。するとこれが見事に当たり、21分には右サイドからキニを振り切ってビエットが入れたラストパスにサウルが反応、エリア内からシュートを決めて同点にしてくれたから、何とも有難いっちゃありません。いえ、2年前、レンタルでラージョに修行に来ていた当人は遠慮して、大袈裟にゴールを祝うことはしませんでしたけどね。

▽「El chico que vieron crecer en Vallecas sigue creciendo/エル・チコ・ケ・ビエロン・クレセル・エン・バジェカス・シケ・クレシエンドー(バジェカスで成長するところを見せた選手は成長し続けている)」(サウル)と後で言っていたように、こういうのこそが最高の恩返しなんでしょうが、ラージョのパコ・ヘメス監督にとってはまさに痛し痒しだったかも。それでも幸い、34分にはCKからビエットが放った至近距離のシュートはGKファン・カルロスのparadon(パラドン/スーパーセーブ)とゴールポストに阻まれて決まらず。

▽おかげでラージョは1-1のままで2ndレグを迎えられることになり、その日は2-2で引き分けたリーガ前節のレアル・ソシエダ戦の後、「ウチは1部のチームじゃない」というコメントから、「No son de Primera, sino de 'Champions'/ノー・ソン・デ・プリメーラ、シノ・デ・チャンピオンズ(1部ではなく、CLにいるチーム)」と、ヘメス監督も自軍を大幅に格上げしていたものの、点を取ることは苦手でも、基本的に守りは超一流のアトレティコが2ndレグでは0-0でもいいとなると、見通しはあまり芳しくないでしょうね。

▽ただラージョにとって、もっと重要なのは週末のリーガ戦、土曜にレバンテのホームを訪れる試合で勝つことで、何せこのところ、降格圏の19位が定位置になってしまっていますからね。相手は最下位ですが、コパにはすでに敗退していて今週ヒマだった上、前節では兄貴分のアトレティコが終盤にトマスのゴールが決まるまで勝負を決められなかったという例もあるため、心してかかる必要があるかと。実際、残留ゾーンまではたった勝ち点2差しかないので、シーズンの前半終了戦でもある、この19節では不名誉な順位から脱出できたらいいのですが。

▽そしてアトレティコは日曜午後8時半(日本時間翌午前4時半)から、やはりアウェイでセルタ戦なんですが、こちらの目標は現在、2位バルサと勝ち点差2、3位マドリーと同4ある首位の維持と極めて贅沢なもの。もちろん試合消化数が1つ少ないバルサがクラブ・ワールドカップのせいで延期したスポルティング戦を2月に済ませた後どころか、1月30日の直接対決でカンプ・ノウに乗り込めば、簡単に転落してしまうのかもしれませんが、まあ、それまではねえ。金曜からは大雨が続き、バライドス(セルタのホーム)周辺が浸水しているなんて心配な情報もあるものの、アウグストもマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセッションでは先発組に抜擢され、忘れ物も取りに行ける早々の古巣訪問を心待ちにしているはずですし、いつものように少ない得点をガッチリ守って勝ち点3に変えられればと思います。

▽一方、そんなセルタも今週木曜はコパでカディスと当たり、リーガ5位の実力相応で0-3と快勝。マドリーが失格になった恩恵を受けているんですが、そのマドリーがこの土曜の午後8時半(日本時間翌午前4時半)に対戦するデポルティボは水曜にミランデス(2部)とのコパで1-1の引き分け。あまりないことですが、相手の方が休息期間が短いのはジダン新監督にとって、有利に働くかもしれません。加えてサンティアゴ・ベルナベウでの試合とあって、ファンに絶大な人気を誇る彼がベンチで指揮を執れば、これまでのようにpito(ピト/ブーイング)が聞こえることもなく、スタンドと一体になって勝利を目指すことができる?

▽それには現役時代はマドリーで長くプレーしたビクトル監督も、「el principal cambio será en el plus de ilusión que tiene la gente/エル・プリンシパル・カンビオ・セラ・エン・エル・プルス・デ・イルシオン・ケ・ティエネ・ラ・ヘンテ(最大の変化は人々により大きな夢を抱かせること)」と用心していましたが、新監督の幸運は他にもあって、とうとうカルバハルも回復し、この試合前にチームの負傷休場者がゼロに。いえ、バレンシア戦でレッドカードをもらって退場したコバチッチだけは処分で出られませんけどね。

▽金曜の前日練習からは、BBCにイスコ、そしてモドリッチ、クロースという、アンチェロッティ前監督が好んだ布陣、ついでに言うなら、昨年のクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)で0-4と惨敗した時のスタメンからハメス・ロドリゲスを除いただけ、とはいえ、十二分に攻撃的なものが予想されていますが、当時はベンゼマとベイルが負傷明けだったのに比べ、今は2人とも好調を維持しているのは好材料になるかと。何せ、昨年12月にはカンプ・ノウでバルサから引き分けをもぎ取ったデポルティボですが、ここ2試合はリーガで白星がなく、順位も7位と少々、調子を落としていますしね。順当に行けば、マドリーが勝つんじゃないかと思いますが、注目はプレーでファンをさせることができるかどうかになりそうです。

▽そしてもう1つの弟分、コパはラージョに及ばず敗退となり、肩の荷が下りているヘタフェは日曜にセビージャとのコパ・ダービーに0-2で負けているベティスと対戦するんですが、実は彼らは月曜の前節スポルティング戦に2-1と逆転勝利を収め、現在は13位と比較的落ち着いた順位に。相手も同じ勝ち点で14位ですから、実力の拮抗した、いい試合になりそうな気配はあります。そうそう、折しも木曜には今季シーズン後半のアボノ(年間指定席)を80ユーロ(約1万円)という爆安値段で売り出したヘタフェですが、そのホーム11試合にはこのベティス戦も含まれているとか。マドリーやアトレティコ戦もこれからあることですし、ようやく今年になってブカネーロ(ラージョの過激なサポーター集団)がストを止め、応援を再開したバジェカス同様、いつもガラガラなコリセウム・アルフォンソ・ペレスもその恩恵でもう少し、賑やかになってくれるといいですよね。

【マドリッド通信員】
原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している

コメント

関連ニュース

thumb

【原ゆみこのマドリッド】リーガが終わった…

▽「吉兆明暗分けたわね」そんな風に私が呟いていたのは月曜日、スペイン代表W杯向け最終メンバーを聞いた時のことでした。というのもロペテギ監督が最後に告げた名前はジエゴ・コスタで、モラタが選に漏れたからですが、実は去年の夏、コンテ監督に見限られ、前者がアトレティコに復帰したのと入れ替わりにレアル・マドリーからチェルシーに移籍したのが後者。まさか、BBC(ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドの頭文字)の控えでいるより、プレーする可能性があるだろうと踏んで河岸を変えた彼が48試合15得点でも呼んでもらえないとは! ▽いえ、シーズン中は背中を痛めていた時期もあったとかで、チェルシーで主力になれなかったのは当人の責任ばかりではないんですけどね。プレミアリーグで5位に終わり、来季はCLではなく、ヨーロッパリーグに参加する彼らが唯一、今季獲得したタイトルは土曜にマンチェスター・ユナイテッドを1-0で破ったFAカップだけだったんですが、その決勝ですら、残り1分に時間稼ぎとしての出場に留まったのが致命的だった? ▽一方、コスタにはクラブに課されたFIFA処分のせいで今年になるまでプレーできなかったというハンディキャップがありながら、シーズン後半戦で挽回。ゴール数は7本と思ったより伸びなかったものの、「nos aporta ese punto de competitividad, de agresividad/ノス・アポルタ・エセ・プント・デ・コンペティティビダッド、デ・アグレシビダッド(競争力とアグレッシブさという点でチームに貢献してくれる)」(ロペテギ監督)と期待され、何とかロドリゴ(バレンシア)とイアゴ・アスパス(セルタ)と並んでリストに滑り込めたのはラッキーだったかと。 ▽その他、条件はコスタと同じながら、アトレティコに適応するのに時間がかかってしまったビトロ、ドルトムントからベティスに移籍して出場機会を増やしたものの、遅きに失したバルトラ、オドリオソラ(レアル・ソシエダ)の成長と元々、中盤は人材豊富なせいで空きがなかったセルジ・ロベルト(バルセロナ)らが落選の主だったところですが、レアル・マドリーからは最多の6人(セルヒオ・ラモス、カルバハル、ナチョ、イスコ、アセンシオ、ルーカス・バスケス)、アトレティコからは3人(コケ、サウール、コスタ)がリスト入り(https://twitter.Com/sefutbol/status/998520371547602944)。となれば、今回のロシア大会もマドリッド勢を応援する私にとって、かなり見応えがありそうですが、まあスペイン代表については来週月曜、ラス・ロサス(マドリッド近郊)にあるサッカー協会施設での合宿が始まってから、イロイロお伝えしていくことにしますね。 ▽とりあえず、先週末のリーガ最終節はどうだったかというと、何せすでに優勝はバルサ、CL、EL出場権も降格チームも決まっていましたからね。勝敗的にはほとんど意味がないものだったんですが、土曜のブタルケでは弟分のレガネスが予想外の根性を見せてくれることに。ええ、前半19分にはキャンベルのゴールでベティスに先制された上、23分にディエゴ・リコをイエローカード2枚で失ったんですが、やっぱり選手たちもこれまで5年間、2部Bから1部の高みまで引き上げたチームを去るガリターノ監督とキャプテンのマントバーニの花道を飾ってあげたかったんですかね。 ▽27分にはCKから、相手のミスを突いてシオバスが同点ゴールを奪うと、後半18分にはゲレロのアシストでナランホが勝ち越し点をゲット。30分にはサナブリアのヘッドで並ばれてしまったものの、その3分後にはアムラバトのシュートが敵DFに当たって入るラッキーなゴールでとうとう、3-2のremontada(レモンターダ/逆転劇)を果たしてしまったから、功労者2人のお別れ試合を見ようとスタンドを満員にしたファンがどんなに喜んだことか。おかげでまだ負傷の癒えていないマントバーニも43分にピッチに入ることができましたしね。試合後はチーム全員でガリターノ監督と彼を胴上げ、昨季の初1部残留祝い程の派手さはなかったものの、心温まるセレモニーを見ることができましたっけ。 ▽ちなみにクラブから契約延長のオファーはあったものの、「今が退団する時だと感じた。Buscaremos algo diferente(ブルカレモス・アルゴ・ディフェレンテ(何か違うことを探すつもりだ))」と断ったガリターノ監督にはソシエダやセルタなどから、ラブコールを送られているようですが、現時点ではまだ決まっておらず。うーん、確かに2年連続、降格圏ギリギリ17位ながら、余裕のある1部残留を達成したとはいえ、予算の限られているレガネスでもっと上を目指すのは難しいですからね。当人もすでに55歳とあって、新しいことにチャレンジする時間は限られているのに気がついたのかもしれません。 ▽そしてレガネス(マドリッド近郊)から、私がバスとメトロ(地下鉄)を乗り継いで帰宅する間にもう1つの弟分、ヘタフェのマラガ戦は終わってしまったんですが、何よりの朗報は、いえ、柴崎岳選手が先発して後半37分までプレー、チームの勝利に貢献できたのも喜ばしかったんですけどね。相手のマラガはすでに最下位での降格済みとはいえ、なかなか点を取れなかった彼らがチャンスを得たのは後半29分。それもPKだったため、オンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の実況アナウンサーも「これは喜んでいいものやら」と複雑な心中を吐露していたんですが、この日はレミが蹴ってついに成功したんですよ! ▽だって、今季は7回もPKを決められず、おかげでセビージャと争った7位のEL出場権を逃してしまったヘタフェですからね。これで悪い流れに歯止めをかけて、来季は自信をもってPKに立ち向かえるかと。ちなみにこの0-1の勝利で8位を確定して、翌日からチームはバケーションに入ったんですが、例外はモロッコ代表W杯メンバーに招集されているファジルと日本代表のプレリストに入っている柴崎選手。ボルダラス監督を始め、去年は昇格プレーオフを戦い抜き、20チームで一番夏休みが短かったヘタフェとあって、きっと今頃は皆、ビーチなどを満喫しているんじゃないでしょうか。 ▽そして自宅に荷物を置く暇もあらば、土曜最後の試合となったビジャレアルvsマドリー戦を見るため、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)に向かった私でしたが、さすがCL決勝まであと1週間となると、ジダン監督も総合リハーサルをしない訳にはいきません。いえ、ケイロル・ナバスはお留守番、カシージャをベンチに置いて、息子のルカを先発GKで使ったのは「Faltaba él por jugar/ファルタバ・エル・ポル・フガール(彼だけが出場していなかった)」(ジダン監督)と、今季まだスタメンデビューしていなかった選手だったからで、別にキエフでプレーすることを想定してではないんですけどね。他は捻挫の治ったクリスティアーノ・ロナウドを筆頭にベイル、イスコ、クロース、モドリッチ、カゼミロ、カルバハル、ヴァラン、ラモス、マルセロと、リバプールとの決勝スタメンと言ってもまったくおかしくなかったかと。 ▽その甲斐あって、前半11分にはモドリッチからパスをもらい、敵をかわしながらシュートに持ち込んだベイルが先制点、32分にもマルセロのクロスをC・ロナウドがヘッドで決めて2点をリードしたマドリーなんですが、まずかったのは、「en la segunda gestionamos pensando en la final/エン・ラ・セグンダ・パルテ・ヘスティオナモス・ペンサンドー・エン・ラ・フィナル(後半、ウチは決勝を考えて調整してしまった)」(ジダン監督)こと。ええ、選手たちだって今更ながら、負傷するのはイヤですからね。リズムが落ちたところを敵に突かれ、C・ロナウドとモドリッチが温存された後、26分にはロジェールに見事なリーガ初ゴールを撃ち込まれると、40分にはカスティジェホにGKルカがかわされて、とうとう、同点にされてしまうとは締まりのない今季の彼らのリーガそのものだったかと。 ▽え、最後は2-2の引き分けで終わり、マドリーは3位が確定、翌日にエイバルを迎えるアトレティコが2位となったため、結果を気にせず、フェルナンド・トーレス送別イベントに専念できるようになったのはラッキーだったんじゃないかって?そうですね、折しも彼らは先週水曜にELで優勝。4年ぶりのタイトル獲得だったため、天気の良い日曜午後のワンダ・メトロポリターノは試合前から、お祭り気分のファンたちで大賑わいに。とりわけトーレスのサッカー人生を写真50枚でつづった展示やお別れセレモニーで贈呈される巨大ユニフォームにメッセージを書くのに長蛇の列ができていましたが、いやあ、そこはアトレティコ。ヘマをするのは選手たちだけじゃないんです! ▽いえ、試合の方はエイバルの選手たちが作ってくれたpasillo(パシージョ/チャンピオンを迎える花道)を通ってチームが入場。キャプテンマークを託されたトーレスが、34分にキケ・ガルシアに奪われた先制点を42分、ガビが自陣から出したパスをコレアが追い、エリア内でもらって同点ゴールを決めたり、後半15分にもコスタのアシストで勝ち越しゴールという夢に描いたような展開だったんですけどね。その2点目が丁度、応援団の陣取る側だったため、コスタが復帰して最初のヘタフェ戦でゴールを挙げた時同様、スタンドまで行って、ファンにもみくちゃにされたため、トーレスも同じくイエローカードをもらってしまうなんてこともあったんですが、それは2枚目ではなかったため、まあいいです。 ▽もちろん後半18分にリュカが2枚目のイエローカードで退場になってしまったことも、おかげで次の試合でバルサ最後のプレーをしたイニエスタのように拍手の中、トーレスが途中交代できなくなってしまったという点では間が悪かったんですけどね。何が最悪だったかというと、コレアとコケに代え、コスタと一緒にピッチに入った時、グリーズマンがスタンドからpito(ピト/ブーイング)を浴びせられてしまったんですよ。だってえ、いくら年がら年中、移籍の噂が絶えないとはいえ、彼は数日前、リヨンでEL優勝を果たしたオリンピック・マルセイユ戦で2ゴールを挙げた大殊勲者ですよ。 ▽さすがにこれには私も呆れてしまったんですが、この時、すぐ機転を利かせてくれたのはシメオネ監督。ベンチにいたゴディンを応援団のいるスタンドまで走らせ、「Animadle, que se queda/アニマッドレ、ケ・セ・ケダ(残留するように励ましてやってくれ)」と要請したとか、その試合前にグリーズマンがチームメートに残留意志を表明したことを打ち明けたとか、諸説ありますけどね。幸いそれにスタンドも反応。グリーズマンの応援歌が最大ボリュームで合唱されたため、アトレティコの甘いも酸いも経験しているトーレスに「Aquí no te vamos a reprochar nada. Aquí te vamos a necesitar de verdad/アキー・ノー・テ・バモス・ア・レプロチャール・ナーダ。アキー・テ・バモス・ア・ネセシタール・デ・ベルダッド(ここじゃ何についても君を批判しない。このチームは本当に君が必要なんだ)」と慰められ(https://twitter.Com/eldiadespues/status/998664177102327808)、一時は涙ぐみかけていた当人も無事に試合を終えることができましたっけ。 ▽まあ、この件がグリーズマンの将来にどう影響するかはまだ不明なんですが、ひとまず試合の話を終わらすことにすると、24分にペーニャにエリア外からgolazo(ゴラソ/スーパーゴール)を決められた後、弟分のように10人で逆転できなかったアトレティコは2-2で引き分け。タイムアップの笛が鳴った後は即、お別れセレモニーに突入です。 ▽ええ、チーム全員がサインした額入りのユニフォーム、スタジアム前の地面に埋め込まれている100試合以上出場した選手のプレートのレプリカなど、様々な記念品をもらい、ファンのメッセージが入った巨大ユニフォームの前でスピーチしたトーレスの「Nunca he necesitado ganar títulos para sentirme el jugador más querido del mundo/ヌンカ・エ・ネセシタードー・ガナール・ティトゥロス・パラ・センティールメ・エル・フガドール・マス・ケリードー・デル・ムンド(世界一、愛されている選手と感じるのにタイトルが必要だったことは1度もなかった)」という言葉には私もうるっとしかけた1人だったんですけどね。 ▽2007年にリバプールに移籍してから8年、2015年1月に彼が戻って来た時、ビセンテ・カルデロンに4万5000人が詰めかけたり、この日も長いセレモニーの間、6万人の観衆は1人も帰らず。おかげで私など、エイバルのメンディリバル監督がベンチ入りしなかった乾貴士選手について、「水曜の練習で打撲を受け、翌日のセッションは最後までできなかった。太ももに大きな内出血がある。何のケガがわからないのだから、W杯参加にも影響があるかもしれない」と発言した記者会見を見逃した程だったんですが、これだけトーレスがファンに変わらず好かれているのは何より、自分を育ててくれたクラブに対して不誠実なことを1度も言わなかったから。 ▽そこはグリーズマンも見習っていいかと思いますが、ええ、スペインのサポーターはお隣さんにしろ、すぐに不満をブーイングで表現してしまうため、当人が火曜からフランス代表合宿に合流する際、軽薄な言動には要注意。結論が残留にしろ、移籍にしろ、慎んだ方が後あと、イヤな気分を味あわなくて済むんじゃないでしょうか。ちなみに試合後、ワンダ内で慰労会を開いたアトレティコにはまだ1つ、お勤めが残っていて、それは火曜にナイジェリアで行われる親善試合。同国代表と手合わせするため、サモラ(リーガ1失点率が低いGKに与えられる賞)を3年連続獲得したオブラクを始め、W杯に行かないフアンフラン、トーマス、ガビ、ビトロ、コレア、ガメイロ、そしてトーレスが多数のカンテラーノ(アトレティコBの選手)たちと機上の人になっていますが…こちらもバケーション入りは秒読みですね。 【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.22 12:50 Tue
twitterfacebook
thumb

【日本代表コラム】疑問が生じ、疑念を抱かされた日本代表発表

▽18日、30日に行われるキリンチャレンジカップのガーナ代表戦に向けた日本代表メンバー27名が発表された。ロシア・ワールドカップ(W杯)に向けたラージリスト35名の提出期限が14日であり、そこから4日、8名が落選となった。 ▽27名の名前は、既にみなさんが把握している通り。ここから4名がさらに落選となり、本大会に臨むこととなる。様々な感情が生まれかねないメンバー構成となったが、まずは選ばれた選手たちには全力でプレーし、結果を求めてもらいたいということだ。 ▽本大会のGK登録が3名ということを考えると、GK川島永嗣(メス)、GK東口順昭(ガンバ大阪)、GK中村航輔(柏レイソル)はケガがない限りは確定している。アジア最終予選で日本のゴールを守り続けたGK西川周作(浦和レッズ)は残念ながら落選となった。 ▽つまり、ここから外される4名は全てフィールドプレーヤーということ。21日から始まる合宿、そして30日のガーナ代表戦、31日に予定されているトレーニングマッチでのパフォーマンスで最終決断がされることとなる。 ▽さて、話を戻すが、今回のメンバー発表にはいささか疑問が生まれる点、そして疑念を抱かさざるを得ない点があった。大会開幕まで2カ月となった時点でヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を突如解任することも疑問ではあるが、本来であれば応援してもらうはずの人々に、最後まで大きな不信感を抱かせたまま本大会に臨むこととなってしまう結末となりそうだ。 <span style="font-weight:700;">◆負傷者情報の不足</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180520_32_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽疑問の1つ目は、負傷者の情報を把握できていなかったということだ。今回のメンバー発表で2名が外されていた。それは、MF今野泰幸(ガンバ大阪)とFW小林悠(川崎フロンターレ)だ。 ▽小林に関しては、発表当日の朝(18日)に負傷の報告を受けたとのこと。14日のラージリスト提出の時点でどうであったかはわからないが、ここは致し方ない部分もあるのかもしれない。 ▽問題は今野の方だ。西野監督は「リストを上げた翌日にそういう結果が出たので、やむなくリスト外としました」と会見で語ったが、手術が必要な状況にある選手の状況をなぜ把握できていなかったのか。クラブとの連係が悪かったとしか言えないだろう。貴重な候補の1枠を自らの手で手放したということは、日本サッカー協会としていかがなものかと思う。 ▽さらに、この時点でガンバ大阪からは今野の負傷については発表されておらず、手術を受けるという事実を公表して良かったのか。小林も同様だ。リーグ戦が1試合残っていた時点での公表という判断は疑問だ。(原稿執筆時点の20日でも発表はされていない) <span style="font-weight:700;">◆クラブチームへの不可解な配慮</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180520_32_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽疑問の2つ目は、海外クラブへの配慮だ。西野監督は会見でFW久保裕也(ヘント)の招集について問われ、「自クラブで27日までプレーオフというシビアなゲームを控えています」と答えた。そもそも、ベルギー・ジュピラーリーグのプレーオフは20日までであり、スケジュールの間違いもあるが、それ以前に招集外の理由が疑問だ。 ▽クラブにとっての大事な試合があることは十分理解できるが、それを理由に選出しないというのは前代未聞だ。大事な試合があるから合流が遅れるのは理解できる。しかし、W杯に向けた準備をする中で、招集ではなく追加招集を考えるというのも疑問だ。理解し難い理由を並べたことは疑念も抱かさせることとなったと言える。 <span style="font-weight:700;">◆判断基準となった「ポリバレント」</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180520_32_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽疑問の3つ目は、会見で西野監督が口にした「ポリバレント」だ。かつて日本代表を率いたイビチャ・オシム監督が使った「ポリバレント」。「多くの価値を持つ」という意味もあり、サッカーにおいてはユーティリティ性を表すときに使われる。 ▽その「ポリバレント」という言葉によって選外となったのが、FW中島翔哉(ポルティモネンセ)だ。今シーズンのポルトガル・プリメイラリーグで29試合に出場し、10ゴール12アシストを記録。左ウイングでの起用がメインだったが、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックではトップ下でもプレーし、「ポリバレント」ではないとは言い切れない。 ▽一方で、招集を受けた選手が「ポリバレント」なのかと言われると、その印象がない選手も多い。例えば、FW浅野拓磨(シュツットガルト)だ。スピードが武器の浅野だが、基本的には右ウイングでプレー。2トップの一角でもプレーはできるが、「ポリバレント」とは言いがたい。 ▽そもそも、中盤や守備的なポジションの選手に対して「ポリバレント」であることを求めるのは理解できる。23名という限られたメンバーで、累積警告や負傷などで選手を欠くこともあるだろう。それを想定し、複数ポジションをこなす選手が居ることはチームにとってプラスだ。例えばMF遠藤航(浦和レッズ)はセンターバックだけでなく、ボランチ、右サイドバックでもプレーが可能だ。DF酒井高徳(ハンブルガーSV)は両サイドバックで起用可能であり、チームではボランチを務めていた時期もあった。 ▽逆に、攻撃的なポジションでプレーする選手は、「ポリバレント」というよりも、何か特長を持った選手が重要だと思う。スピード、テクニック、高さ…さらには、得点力、チャンスメイク、セットプレーと、戦い方によって必要な特長は変わるが、局面を打開する力を持った選手が必要だろう。 <span style="font-weight:700;">◆選考基準の曖昧さ</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180520_32_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽最後は、疑問であり、疑念を抱かせる選考基準だ。今回招集を受けた27名には、負傷明けの選手、クラブチームで出場機会に恵まれていない選手もいる。一方で、前述の中島以外にも、クラブで結果を残している選手が招集外となっている。 ▽例えば、久保。追加招集を示唆されているが、今シーズンはリーグ戦で30試合に出場し7ゴール2アシスト、プレーオフでは6試合で3ゴールを記録している。また、同じベルギーでプレーするMF森岡亮太(アンデルレヒト)は、リーグ戦で30試合に出場し10ゴール14アシスト、プレーオフでも9試合に出場し3ゴール1アシストを記録している。その他にも、MF堂安律(フローニンヘン)はエールディビジで29試合に出場し9ゴール4アシストを記録している。クラブで結果を残し、調子もコンディションも悪くない選手が選外となった。これは国内組にも言えることだ。 ▽一方で、選出された浅野はブンデスリーガで15試合1ゴール。しかし、2018年は1度も試合に出ていない。1月にガンバ大阪からクルトゥラル・レオネサへと移籍したMF井手口陽介は、5試合の出場にとどまり、2月18日を最後に試合に出場していない。 ▽浅野と同じスピードを武器とする選手ならば、FC東京のFW永井謙佑や柏レイソルのFW伊東純也の方がコンディション、試合勘はあるだろう。MF井手口陽介と同じボランチを務める選手は7名も招集されているため、ここは井手口のコンディションを考慮しているのかもしれない。 ▽出場機会や結果が有力な選考基準とはならず、コンディションさえも不確実な選手が優先される状況。選手にとっては4年に1度の大事なイベントとなるだけに、曖昧な基準が説明されたことが残念でならない。 ▽「間違いなく6月19日にワールドカップの大舞台で最高のコンディションになるであろう選手たちを自分の中でも予測した」と西野監督は口にしたが、試合に出ていない選手が1カ月を切った公式戦が少ない中で、トップコンディションに戻るものなのか。どのような勝算があるか分からないが、疑問が残る選出となった。 <span style="font-weight:700;">◆将来性がなければ求められるのは結果</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180520_32_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>▽今回招集された27名のうち、リオ五輪世代以降の選手は7名となっており、決して若い選手が多いとはいえない。また、2014年のブラジル・ワールドカップに出場していたメンバーは12名が呼ばれている状況だ。 ▽全ての選手を一新する必要性はないが、選手の年齢を考えると、2022年のカタール・ワールドカップに繋がる選考とは言いがたい状況だ。加えて、若い世代でも活躍している選手がいる中で、招集を考慮していなかったことを考えると、これまでの3年間で多くの選手を試してきたハリルホジッチ監督を交代させた影響が出ているとも言える。 ▽結果を求めるために監督を交代したと田嶋幸三JFA会長は明言していた。経験豊富な選手を揃えたのであれば、より結果が求められることとなる。将来性を考慮しないのであれば、今大会で結果を残すことが最低条件となり、そのための時間はもう残されていない。いずれにしても、開幕2カ月前の監督交代から続く煮え切らない状況は、最後の局面を迎えても変わらなかった。求心力を失いつつある日本代表、今後の日本サッカーに与える影響は、国内にとどまらず、海外に向けても小さくはなさそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.05.20 18:45 Sun
twitterfacebook
thumb

【原ゆみこのマドリッド】相手がマドリーじゃなきゃ勝てる…

▽「男女合同どころか、全チーム出て来るって!?」そんな風に私が呆気に取られていたのは金曜日、ネプトゥーノの噴水前に組まれた祝勝イベント用舞台を眺めながら、アトレティコがヨーロッパリーグのトロフィーと共に到着するのを待っていた時のことでした。いやあ、予想通り、リーガ1部2連覇を果たした女子チームは男子と2台、オープンデッキバスを連ね、マドリッド市庁舎、大聖堂、マドリッド州庁舎を回るパレードをしていたんですけどね。どうやら今季のカンテラ(ユース組織)は非常に出来が良かったようで、全てのカテゴリーで優勝。そこで小さな子供たちから順に男女、計10チーム程が次々、舞台に上がり、すでにかなり集まっていたファンの前でお祝いって、これって完全に男子トップチームに便乗していない? <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">女子に続いてアトレティコ男子のバスが煙に包まれて会場入り<hr></div> <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">アトレティコの選手たちがバスの上ではしゃいでいる<hr></div> <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">本当にはしゃいでいる<hr></div> <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">カンテラのチームも舞台に上がる<hr></div> ▽まあ、祝勝イベントのことはまた後で報告しますが、そのアトレティコのEL決勝があった水曜はまず午前中、コリセウム・アルフォンソ・ペレスまで私は足を運ぶことに。いえ、練習はすでに前節、セビージャがベティスと引き分けたせいで、来季のEL予選出場権をもらえる7位になれないことが確定。今週末土曜の最終節はアウェイで降格チームのマラガとの消化試合のヘタフェだというのに何故か、puerta cerrada(プエルタ・セラーダ/非公開)のセッションだったため、練習は見ることができなかったんですけどね。おかげで数人いた日本人ファンたちもスタジアムのロビーで柴崎岳選手が着替えて出て来るのを待っているしかなかったのは気の毒だったんですが、その日の私の目的はボルダラス監督の契約延長発表記者会見。 ▽非公式にはしばらく前から確定済みになっていたものの、リーガの結末がついたため、ようやく2年間の延長が発表されたんですが、スポーツディレクターのプラナス氏と一緒に現れたボルダラス監督は1部再昇格後の初シーズンを「La temporada es de sobresaliente, le daría un 9'5/ラ・テンポラーダ・エス・デ・ソブレサリエンテ、レ・ダリア・ウン・ヌエベ・コンマ・シンコ(今季の成績は最優秀、9.5点をつけたいね)」と評価。先日、兄貴分のアトレティコとのミニダービーの後などはやはりヨーロッパの夢が消えてしまったため、ご機嫌斜めだったんでしょうね。日本人記者から出た柴崎選手に関しての質問を「今はチームのことを話したい」と一蹴していたものの、この日は「人としてのレベルではとても満足している」と答えてくれました。 ▽ただ、「Futbolísticamente nos hubiera gustado que rendimiento fuera mayor/フットボリスティカメンテ・ノス・ウビエラ・グスタードー・ケ・レンディミエントー・フエラ・マジョール(サッカー的にはもっと大きなパフォーマンスがあった方が良かった)」そうで、うーん、確かに最近は出番も多くありませんでしたからね。もちろん、「だが簡単ではない。彼だけでなく、世界最高のリーガ1部にデビューした皆に起こったことだ」とフォローしてくれていましたが、翌日、シーズン終了を告げるチーム全員揃っての教会への献花を終えたヘタフェのプレーを見られるのも土曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのマラガ戦が最後。これで彼らもバケーション入りですから、せめてピッチで柴崎選手の雄姿を見られるといいんですが…。 ▽そして夕方にはEL決勝のパブリック・ビューイングが行われるワンダ・メトロポリターノに向かった私でしたが、グラウンドには3方のスタンドに向けて5台の大型スクリーンが設置されていたものの、何と記者席の前にはないという逆境に遭遇。正面スタンドの両脇にある電光スコアボードで見る破目になった上、キックオフまでは場内を埋める、2万5000人のアトレティコファンが盛り上がる様子ばかり映っていたため、本当に観戦できるのか不安になったものでしたが、大丈夫。普段通り、スピーカーでラインアップが発表された後、いよいよリヨンからの中継が始まりました! ▽え、開始3分にはパイエのスルーパスからジェルマンにフリーでシュートを撃たれたり、酒井宏樹選手の負傷中、レギュラーになったサールにも狙われたりと、序盤のアトレティコは相手の勢いに押され、パスが3回も続かない恐ろしい有様じゃなかったかって?いやあ、私も開会セレモニー中にオリンピック・マルセイユのサポーターが陣取るゴール裏席がbengala(ベンガラ/発煙筒)で赤く燃え上がり、ピッチまで白く煙に覆われて、お隣さんとPSGのCL16強対戦2ndレグのパルク・デ・プランス化しているのには閉口したんですけどね。まさか、そのせいでボールが見えにくかったなんて言い訳はしなくても、彼らにはよくあることだったため、ハラハラしつつも視界が良くなるのを待っていたところ…。 ▽何と前半21分、アトレティコが先制点を取ってしまったんですよ!キッカケを作ってくれたのはマルセイユのアンギッサで、GKマンダンダから受けたパスを自陣エリアから近い場所で逃してしまったから、さあ大変。詰めていたガビが戻したボールをグリーズマンが持ち込み、どうやら相手が顔馴染みだったのが吉と出たんでしょうか。「彼はボクが右側に蹴ると予想して動いた。フランス代表の練習ではいつもそっちへ撃っているから。それで試合前、自分に言ったんだ。もし1対1になったら、反対に蹴ってやろうって。Y funcionó bien/イ・フンシオノ・ビエン(おかげで上手くいったよ)」と当人も後で言っていた通り、見事にゴールを決めてしまったとなれば、ワンダで応援していたファンたちもどんなに喜んだことか。 ▽いやあ、これにはルディ・ガルシア監督も「ウチのミスから失点した。アトレティコのようなチームにこういう失敗をすると高くつく」と嘆いていたんですが、32分には更なる不幸がマルセイユを襲うことに。いえ、チームの入場時に当人がサッカー界の迷信を無視して、勝ち取る前のトロフィーに触れてしまったせいだとは思いませんけどね。体調が100%でなかった司令塔のパイエがふくらはぎを痛め、代表チームメートのグリーズマンに慰められながら、早々にマキシム・ロペスと交代って、もしや2014年のCL決勝でジエゴ・コスタが10分ともたなかったアトレティコと似た目が敵に出ている? ▽実際、マルセイユの選手たちの士気にそれが影響を与えたのもあったか、0-1のまま後半に入った彼らは、うーん、ミス続きでイエローカードももらってしまい、エミレーツ・スタジアムの二の舞を懸念されたヴルサリコがシメオネ監督と”モノ"・ブルゴス第2監督の事前の打ち合わせ通り、フアンフランに代わったおかげもあったんですかね。いきなり「相手のレベルが上がった」(ルディ・ガルシア監督)という変身を見せ、4分にはサウールの奪ったボールを「El sábado me dio el a mí una asistencia y hoy me ha tocado a mí/エル・サバドー・メ・ディオ・エル・ア・ミー・ウナ・アシステンシア・イ・オイ・メ・ア・トカードー・ア・ミ(土曜は彼がボクにアシストしてくれて、今日は自分に回った)」というコケが繋ぐと、またしてもグリーズマンが今度はマンダンダの頭上を越えるシュートで2点目をゲット。 ▽いやあ、そのヘタフェ戦だって、0-1で勝っていたアトレティコですし、ゴールには”San/サン(聖)”オブラクもいたので、この時には「敵のミスに乗じただけ」とか、後々言われないで済むと私もホッとしたものでしたけどね。それでも35分にはミトログルのヘッドがゴールポストを直撃なんてこともあったため、助かった面もあったんですが、まさか44分にはまたコケがラストパスを送り、ガビが3点目まで取ってくれるとは一体、誰に予想できたでしょう! ▽ええ、これにはCAS(スポーツ仲裁裁判所)がベンチ入り禁止処分の一時停止措置を却下。結局、準決勝アーセナル戦2ndレグ同様、1人観戦したパルク・オリンピック・リヨンのパルコ(貴賓席)でシメオネ監督も安心できたに違いませんって。何せ、「Perdimos una faltando dos minutos, otra en penales y nos volvimos a levantar/ペルディモス・ウナ・ファルタンドー・ドス・ミヌートス、オトラ・エン・ペナレス・イ・ノス・ボルビモス・ア・レバンタール(ウチは残り2分で、もう1つはPK戦で負けたが、再び立ち上がった)」(シメオネ監督)という、2014年、2016年CL決勝でお隣さんに連敗して以来の決勝でしたからね。相手はマドリーではないとて、点は沢山取っておくにこしたことありませんって。 ▽するとこの直後、ベンチの方へ走って行ったグリーズマンがフェルナンド・トーレスを出すように”モノ”・ブルゴス第2監督に進言。ちょっと前にはコレアをトーマスに代え、守備固めに入っていたアトレティコでしたが、おかげで3人目の交代選手として、今季限りでチームを去ることを発表したエル・ニーニョ(子供/トーレスの愛称)がピッチに入ることができたのは、本当に良かったかと。彼が心から敬愛するチームもそのまま0-3で勝利して、キャプテンのガビと一緒にアトレティコで自身、初めて獲得したトロフィーを掲げられるなんて、もしや今季、CLをグループリーグで敗退。めぼしいライバルが少ないELに河岸を変えられたのはラッキーだった? ▽実際、アゼルバイジャンのカラバフに2戦連続引き分けて、決勝トーナメント進出が厳しくなった際など、「今はELなんてクソみたいなもんだ」と吐き捨てていたガビも、「Ahora me tengo que tragar mis palabras/アオラ・メ・テンゴ・ケ・トラガル・ミス・パラブラス(今は自分の言ったことを飲み込まないとね)」と苦笑いしていましたしね。ピッチでのお祝いではトーレスがスタンドのファンのところまで行ってメガフォンを握り、「Te quiero Atleticoc lo lo lo lo/テ・キエロ・アトレティ・ロ・ロ・ロ(アトレティコ、好きだよ)」と定番カンティコ(メロディーのついたシュプレヒコール)を歌っている珍しい姿なども見られましたし、何よりワンダや帰りのメトロ(地下鉄)でのファンのうかれようときたら。ええ、タイトル獲得に勝る喜びはないというのを私も心底、実感できましたっけ。 ▽え、シメオネ監督は「Hay situaciones que le acercan a querer seguir con nosotros/アイ・シトゥアシネス・ケ・レ・アセルカン・ア・ケレール・セギール・コン・ノソトロス(私たちと一緒に続ける方に近づける状況はある)。彼がアトレティコで決勝を戦うのは3度目でうち2回優勝している。もっと財力のあるチームとウチはサッカー的にそれ程、離れている訳ではない」と言っていたものの、この決勝でMVPにもなったグリーズマンが残留するのか、出るのかは明らかにならなかったんだろうって?そうですね、ネプトゥーノでの祝賀イベントでもリュカが音頭をとって、「Giezmann quedate!/グリースマン・ケダテ(グリーズマン、残って!)」と詰めかけた5万人のファンも合唱してくれたんですけどね。 ▽肝心の当人が「No es momento de hablar del future/ノー・エス・モメントーデ・アブラール・デル・フトゥロ(今は自分の未来を話す時じゃない)」とはぐらかしてばかりだったため、相変わらず、バルサへの移籍があるのかは不明。うーん、ヒル・マリン筆頭株主も「全てが彼中心に回るアトレティコで歴史を作るか、歴史の一部にはなれないクラブに行くのか、それはグリーズマンの気持ち次第」と言っていたように、あちらに行って出番もあまりなく、今は故郷のトルコでプレーしているアルダ・トゥランの例などは気に留めておいた方がいいかと。 ▽あのネイマールでさえ、メッシがいる限り、自分はナンバーワンにはなれないと悟ってPSGへ移ったのは周知の事実ですからね。あ、そうそう、同じ金曜にはバルデベバス(バラハス空港)の練習場でセッション後、決起バーベキュー大会を開催。クリスチアーノ・ロナウドやカルバハルも回復し、最後の総合リハーサルとなる土曜午後8時45分(日本時間翌午前3時45分)からのリーガ最終節、ビジャレアル戦のためではなく、来週土曜のCL決勝に向けて士気を高めていたマドリーがキエフでリバプールを破り、優勝を果たした暁には8月15日のUEFAスーパーカップでアトレティコと対戦することに。 ▽正直、すでにプレミアリーグが終わり、今週はマルベジャ(スペイン南部のビーチリゾート)で合宿をしているリバプールと当たった方がアトレティコには勝算はあるかと思いますが、クラブもバルサを上回る年棒2500ユーロ(約33億円)のオファーをグリーズマンに出したと聞いていますしね。その結果を見て、本当に今のチームはEL優勝止まりのレベルなのか、いつかはお隣さんを破ってCL優勝できるのか、検討してみるっていうのもいい手かもしれませんよ。 <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">トーレスにとっては初めてのアトレティコ凱旋だ<hr></div> <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">ガビ、コケ、ゴディン、トーレスがマフラーを像に巻き付ける<hr></div> ▽そして祝賀イベントでは女子チームが舞台に立った後、待望の男子チームメンバーが1人1人名前を呼ばれて登場。ネプトゥーノ像にガビ、ゴディン、コケの3キャプテンと一緒にbufanda(ブファンダ/マフラー)を巻き付けに上がり、とうとう宿願を果たしたトーレスがスピーチの際、涙に声を詰まらせていたのには私も心を動かされましたが、実は彼にはもう1つ、お別れの舞台が。それはこの日曜午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)からのエイバル戦で、一応、勝ち点1を取って、マドリーより上の2位でリーガを終わるというチームの目標もありますけどね。ワンダ・メトロポリターノがこれまでずっとアトレティコのアイドルでいてくれたトーレスに感謝を示し、盛大に送り出してくれるのは間違いないかと。 <div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20180519_18_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">祝賀イベントは最後は男女一緒にクライマックスを迎えた<hr></div> ▽その一方で弟分のレガネスは土曜にベティスとの最終戦なんですが、こちらは4年間、2部Bから1部の高みまでチームを引き上げてくれたガリターノ監督とキャプテン、マントバーニがブタルケのファンとお別れすることに。いやあ、日曜ラストのバルサvsレアル・ソシエダ戦でもカンプ・ノウで最後となるプレーを披露するイニエスタへの送別モザイクが予定されていますし、どうやらこの週末はそこここで感動的なラストゲームが見られそうですね。<hr>【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。 2018.05.19 21:30 Sat
twitterfacebook
thumb

【倉井史也のJリーグ】温故知新というか最終予選を振り返ると西野色が見えるかも!? の巻

▽あー、日本代表メンバー発表前が締め切りっていうこの原稿のタイミングの悪いこと! いや、もしかしたらこれ幸いかも!! 何書いても許される! ですよね。まぁ、データを原稿に入れるってのが今のシバリなもんで、ここで最終予選を振り返っておきましょ。これで誰が唐突に選ばれた、つまり西野朗監督の色が出たかよく分かるってもんでしょ? <div style="text-align:center;"><img src="http://image.ultra-soccer.jp/800/image/get20180518_22_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brains,LTD.<hr></div> ▽あれ? 今こうやって振り返ってみると、香川真司や本田圭佑を外すなんて、なんか「予選突破だけお願い! あとはやるから!!」ってことだったんですかね。それにしても、こうやって振り返ってみると、ずいぶん昔のことって気もしますし、いろいろ入れ代わっちゃってるのかもしれないんですけど、たとえば井手口陽介なんてどうすんですかね? あのポテンシャルだったら入れてもおかしくないと思うんですけど、さて本日の発表ではどうなりますか。 ▽西野監督、よく考えたら今回引き受けなかったら、この大会が終わった後に同じポジションに就任できたかもしれないなって。ちょっと貧乏くじに見えるのは私だけ? ともあれいよいよ臨戦態勢。ぜひ頑張ってほしいものです。<hr>【倉井史也】 試合当日は、はやる気持ちを抑えられずスタジアムに受け付け開始と同時に駆けつけ、選手のバスが両方行ってしまうまで名残を惜しむ。自慢は対戦カードの因縁をよく覚えていること。特にサポーター寄りのネタが得意。パッと見は若いが実は年齢不詳のライター。 2018.05.18 10:00 Fri
twitterfacebook
thumb

【六川亨の日本サッカー見聞録】本田と西野監督のイベント出席で思い出される4年前のお祭り騒ぎ

▽昨日16日は、都内の商業施設で高級時計ブランド「ウブロ」のイベントが開催され、第1部には本田圭佑、第2部には西野日本代表監督と元日本代表の前園真聖氏、女優で浦和DF槙野智章の夫人である高梨臨さんがトークショーを開催した。 ▽ウブロは2010年の南アW杯からFIFA(国際サッカー連盟)のオフィシャルタイムキーパーを務め、2015年には日本代表にオフィシャルウォッチを提供してきた。ハリルホジッチ元監督は、代表メンバーを発表する際に、立ち上がって紙を持ちつつ必ずスーツの袖を引いてウブロの腕時計が露出するよう配慮していたのは、今となっては懐かしい思い出だ。 ▽さてトークショーでは、本田がサッカーを始めたきっかけがペレだったことを明かした。「サッカーを始めたきっかけはペレ。物心つき始めた頃に、白黒のペレのW杯のビデオを父親に見せられた。どのプレーが凄いか子供なので分からなかったが、何か凄いことが感覚で分かった」そうだ。 ▽ペレがW杯に出たのは58年スウェーデン大会から70年メキシコ大会までの4度。このうちメキシコと66年イングランド大会はカラー化になっていたため、もしかしたらデビューしたスウェーデン大会のビデオかもしれない。よくも、そんな古いビデオを持っていたと感心してしまった。 ▽そして本田はロシアW杯について「本音で話すと、予選敗退が普通かもしれない。確率論ではそう。でも、それをOKとはできない。サッカーはチームスポーツ。100mを9秒台で走れなくてもサッカーでは勝つことはできる。(大会に)出る以上は優勝としか言えない。僕はこれまでも、出る以上は常に優勝としか言ってこなかった。可能性は1%以下かもしれないけど、可能性はある」と力説した上で、「日本はブランドに抵抗感がある。海外のことを美化しすぎる。試合前から名前負けしている。日本が優勝するためには、まず勝つことを信じる」と豊富な海外経験から持論を展開した。 ▽第2部に登場した西野監督は、18日にキリンチャレンジ杯に臨む28人のメンバー発表を控えているせいか、ちょっと歯切れが悪かった。「各国に欧州で活躍するスーパースターがいるが、弱点はある。しっかり選手に伝えれば日本らしいサッカーができる自信はある」と話しながらも、イベント中に本田とは会わなかったこと、欧州視察後は代表候補選手とは誰ともコンタクトしていないことを明言。代表選考について質問されると「デリケートな問題なので」と言葉を濁した。 ▽このイベントは日本代表のオフィシャルウォッチだからこそ実現できたイベントで、主催はあくまでJFA(日本サッカー協会)だ。本田自身はウブロと契約しているわけではなく、ゲストとしての参加だそうだ。そしてW杯が近づくにつれ、前回も様々なイベントがあったことが思い出される。 ▽ザッケローニ監督は就任会見で、「コマーシャルなどには出るつもりはない。十分すぎるギャランティーをもらっているため出る必要がない」と話していた。ところが2014年の3月頃だったと記憶している。西が丘で行われた練習前、オフィシャルスポンサーのキリンビバレッジが、おにぎり&日本代表公式飲料「キリン午後の紅茶おいしい無糖」と、サポーターの応援メッセージをのりに刻んだ「勝ちにぎり」の贈呈を行ったのだ。 ▽おにぎり公式飲料公式キャラクター・ごごのこーちゃんが出席し、ザッケローニ監督と香川が笑顔で受け取った。正直、ザッケローニ監督がおにぎりを片手に笑顔を振りまく姿に違和感を覚えた。さらに日本代表のサポーティングカンパニーであるファミリーマートは、同社 のテレビ CM に出演しているザッケローニ監督をモチーフにした応援スタンプを、「LINE」の公式アカウントで無料配信した。 ▽W杯で結果を残したのならともかく、これから大事な決戦に向かう前に「浮かれすぎていないか」と思わずにはいられなかった。キリンもファミマも代表のスポンサーだけに、JFAもオファーを断りきれなかったのだろうと想像したが、協会関係者に確認したところ、「ザッケローニの代理人が大手広告代理店に売り込んだため、協会としても把握していなかった」そうだ。 ▽さすがにW杯まで1ヶ月を切っているし、監督に就任したばかりの西野監督が滑稽なイベントに借り出されることはないだろう。JFAも前回の「お祭り騒ぎ」を教訓に、慎んだ行動を望みたい。<hr>【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。 2018.05.17 13:30 Thu
twitterfacebook


ACL

ACL

ACL

欧州移籍情報
Jリーグ移籍情報
hikari

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース