【プレミア前半戦総括&ベスト11】チェルシーの不振、レスターの躍進
2016.01.05 07:00 Tue
【前半戦総括】
▽今季のプレミアリーグ前半戦では、2つの大きなサプライズがあった。まずは、チェルシーの不振だ。昨季王者は、開幕からの5試合で3敗とつまずくと、そこから上昇できないまま、第16節までに9敗を喫した。そして、第16節のレスター・シティ戦で敗れた後、クラブはモウリーニョ監督を解任した。最終的な責任はやはり指揮官にあるものの、選手たちの責任も非常に大きい。ウィリアンを除くほとんどの選手の前半戦のパフォーマンスは及第点を大きく下回る。選手たち自身が意識を変えなければ、後半戦でも巻き返すことは不可能だ。
▽ファン・ハール体制2年目のユナイテッドは、不安定なシーズンを過ごしている。リスクを冒さないスタイルで、守備では一定の成果を見せている。しかし、スペクタクルさのかけらもないフットボールがサポーターに支持されるわけはなく、ファン・ハール監督への風当たりは厳しい。12月には公式戦4連敗を喫するなどまったく結果を残せなくなり、指揮官の解任を求める声が大きくなっている。
▽アーセナルは、首位で新年を迎えることに成功した。今季のチームを牽引するのは、トップ下のエジル。年越しまでに16アシストを記録しており、アーセナルのレジェンドであるティエリ・アンリ氏が保持するプレミアリーグ歴代記録の20アシストに迫っている。また、今季に加入したGKチェフの存在は、精神面でも大きいことがうかがえる。
▽リバプールは、10月4日に行われた第8節のエバートン戦後、ロジャーズ監督を解任。新指揮官には、クロップ監督を招へいした。クロップ監督の就任後も、なかなか勝ちきれない試合が続いていたが、徐々に指揮官のスタイルが浸透。球際への厳しさやハイプレッシングなどハードワークするスタイルで質を改善させると、年末の過密日程を連勝するなど巻き返し始めている。
★最優秀選手
◆FWジェイミー・ヴァーディ(レスター・シティ)
▽昨季リーグ戦34試合で5ゴールにとどまった男が、突如として覚醒した。今季は、持ち味の前線からの連続プレッシングはもちろん、昨季までの課題だった決定力が自身のストロングポイントと言えるほど、飛躍的にパフォーマンスが向上。第19節までで15得点を挙げて、プレミアのリーディングスコアラーとなっている。第3節から第14節にかけてゴールを挙げ続け、ルート・ファン・ニステルローイ氏が保持していたプレミアリーグ連続試合得点記録を11試合に更新する偉業を達成した。今月に29歳となる遅咲きのストライカーだが、マンチェスター勢やチェルシーが獲得に動いていると伝えられるなど、引く手あまただ。
★最優秀監督
◆クラウディオ・ラニエリ(レスター・シティ)
▽シーズン前は降格候補に挙げられていたレスター・シティを優勝が狙える位置にもってきているイタリア人指揮官が、言うまでもなく最優秀監督だ。好調のまま迎えた12月に入っても、「残留が決定的となる勝ち点40が目標」としていたラニエリ監督は、勝ち点39まで伸ばして新年を迎えた。特に、コンディション面のマネジメントは素晴らしく、ヴァーディやマフレズ、カンテ、ドリンクウォーター、オルブライトンなど、多くの選手たちが一貫したパフォーマンスを続けている。蓄積疲労が懸念される後半戦でも、前半戦のようなインテンシティを保たせることができれば、CL出場権獲得や優勝への挑戦も可能だ。
【期待以上】
★チーム
◆レスター・シティ
▽まさにプレミアに旋風を巻き起こした。ヴァーディとマフレズの2大エースを軸とし、第19節までの総得点は37。スター軍団のシティと並んで、今季のプレミアリーグ最多得点チームとなっている。また、特筆すべきはアウェイでの強さ。6勝3分け1敗は、アーセナルの6勝1分け3敗を上回るプレミア最高の数字だ。ヴァーディ&マフレズの対策が各チームで進められてきているだけに、後半戦は岡崎やウジョアら準レギュラーのパフォーマンスが重要になってきそうだ。
★選手
◆FWリヤド・マフレズ(レスター・シティ)
▽アルジェリア代表のウインガーは、ヴァーディと共にチームの攻撃陣を牽引した。独特の間合いから繰り出されるドリブルと正確なシュートを武器に、第19節までに出場した18試合(先発11試合)で13得点7アシスト。課題だった守備面も改善させている24歳の有望株には、バルセロナなどビッグクラブからの関心も伝えられている。
【期待外れ】
★チーム
◆チェルシー
▽王者がこれほどまで凋落することなど、誰が予想できただろうか。開幕からの5試合で3敗を喫したチェルシーは、その後も上昇することができず。12月14日のレスター・シティ戦で敗れると、ついにモウリーニョ監督が解任された。それまでの16試合では、実に半分以上の9試合で敗戦。モウリーニョ監督と選手との間に確執があったことが伝えられるなど、まさに泥沼の状態だったクラブは、以前にも指揮官を務めていたヒディンク監督を今季終了時までの契約で引き入れた。
★選手
◆FWジエゴ・コスタ(チェルシー)
▽チェルシーのほとんどの選手が、この項目に該当するだろう。その中でも、ジエゴ・コスタはファンを失望させた。コンディションが上がらないスペイン代表FWは、ピッチ内での素行の悪さによって度々メディアを賑わせ、さらにはモウリーニョ監督の座るベンチにビブスを投げつけるなど、自チームにまで矛先を向ける始末。完全に、その攻撃性が悪い方向に出ている。第18節のワトフォード戦では状況を好転させられるような2ゴールを挙げただけに、後半戦では持ち前の攻撃性をアトレティコ時代のように良い方向にもっていきたい。
【前半戦ベストイレブン】
GK:バトランド
DF:ベジェリン、アルデルヴァイレルト、スモーリング、モンレアル
MF:マフレズ、ドリンクウォーター、カンテ、エジル
FW:ルカク、ヴァーディ
【後半戦展望】
★歴史に残るシーズンになり得る
▽「レスターの躍進とチェルシーの不振」という前半戦の2大トピックがそのまま後半戦の見どころにもなる。果たして、ラニエリ監督は40ポイントを超えて、どこに目標を設定するのか。チェルシーは、ヒディンク体制で勢いを乗り戻し、CL圏内を狙える位置に戻ってくることができるのか。
▽優勝争いは、アーセナルとシティを中心に繰り広げられそうだ。レスター・シティやスパーズ、ユナイテッド、リバプールあたりは、そこに絡んでいけるかといったところ。今季は稀に見る混戦のシーズンだけに、何が起こるか予想しづらい面がある。歴史に残るクライマックスが待っているかもしれない。
▽中堅勢ではパーデュー監督の采配がさえて5位で新年を迎えたクリスタル・パレスや、FWイガロがゴールを量産しているワトフォードあたりが、後半戦を盛り上げる存在になりそうだ。残留争いでは、ビラとサンダーランドが非常に苦しい状況。ニューカッスル、ボーンマス、ノリッジあたりも最後まで気の抜けない戦いが続くだろう。
▽今季のプレミアリーグ前半戦では、2つの大きなサプライズがあった。まずは、チェルシーの不振だ。昨季王者は、開幕からの5試合で3敗とつまずくと、そこから上昇できないまま、第16節までに9敗を喫した。そして、第16節のレスター・シティ戦で敗れた後、クラブはモウリーニョ監督を解任した。最終的な責任はやはり指揮官にあるものの、選手たちの責任も非常に大きい。ウィリアンを除くほとんどの選手の前半戦のパフォーマンスは及第点を大きく下回る。選手たち自身が意識を変えなければ、後半戦でも巻き返すことは不可能だ。
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▽もうひとつのサプライズは、もちろんレスター・シティの躍進だ。岡崎が入団したことで日本でも注目を集めたレスター・シティは、昨シーズン終盤からの好調をそのまま新シーズンに持ち込んだ。ラニエリ新監督の下、ヴァーディとマフレズを中心とした攻撃的フットボールでリーグの台風の目となり、首位でクリスマスを迎える大仕事をやってのけた。岡崎は、第19節までで17試合に出場(先発11試合)。得点は3ゴールと少ないが、特長であるハードワークで高い守備意識を見せるなど、チームプレーに徹して躍進に貢献している。▽アーセナルは、首位で新年を迎えることに成功した。今季のチームを牽引するのは、トップ下のエジル。年越しまでに16アシストを記録しており、アーセナルのレジェンドであるティエリ・アンリ氏が保持するプレミアリーグ歴代記録の20アシストに迫っている。また、今季に加入したGKチェフの存在は、精神面でも大きいことがうかがえる。
▽リバプールは、10月4日に行われた第8節のエバートン戦後、ロジャーズ監督を解任。新指揮官には、クロップ監督を招へいした。クロップ監督の就任後も、なかなか勝ちきれない試合が続いていたが、徐々に指揮官のスタイルが浸透。球際への厳しさやハイプレッシングなどハードワークするスタイルで質を改善させると、年末の過密日程を連勝するなど巻き返し始めている。
▽そのほか、新加入のデ・ブライネとスターリングがしっかりと存在感を示しているマンチェスター・シティは、らしい爆発力を見せている。しかし、一貫性を欠く部分も改善されておらず、折り返し地点までで5敗を喫した。ケインが徐々に調子を上げたスパーズは、4位で新年を迎え、2011-12シーズン以来となるチャンピオンズリーグ(CL)出場権の獲得が狙える態勢。残留争いでは、第19節までで8ポイントしか獲得できなかったアストン・ビラが非常に苦しい状況だ。
★最優秀選手
◆FWジェイミー・ヴァーディ(レスター・シティ)
Getty Images
▽昨季リーグ戦34試合で5ゴールにとどまった男が、突如として覚醒した。今季は、持ち味の前線からの連続プレッシングはもちろん、昨季までの課題だった決定力が自身のストロングポイントと言えるほど、飛躍的にパフォーマンスが向上。第19節までで15得点を挙げて、プレミアのリーディングスコアラーとなっている。第3節から第14節にかけてゴールを挙げ続け、ルート・ファン・ニステルローイ氏が保持していたプレミアリーグ連続試合得点記録を11試合に更新する偉業を達成した。今月に29歳となる遅咲きのストライカーだが、マンチェスター勢やチェルシーが獲得に動いていると伝えられるなど、引く手あまただ。
★最優秀監督
◆クラウディオ・ラニエリ(レスター・シティ)
▽シーズン前は降格候補に挙げられていたレスター・シティを優勝が狙える位置にもってきているイタリア人指揮官が、言うまでもなく最優秀監督だ。好調のまま迎えた12月に入っても、「残留が決定的となる勝ち点40が目標」としていたラニエリ監督は、勝ち点39まで伸ばして新年を迎えた。特に、コンディション面のマネジメントは素晴らしく、ヴァーディやマフレズ、カンテ、ドリンクウォーター、オルブライトンなど、多くの選手たちが一貫したパフォーマンスを続けている。蓄積疲労が懸念される後半戦でも、前半戦のようなインテンシティを保たせることができれば、CL出場権獲得や優勝への挑戦も可能だ。
【期待以上】
★チーム
◆レスター・シティ
▽まさにプレミアに旋風を巻き起こした。ヴァーディとマフレズの2大エースを軸とし、第19節までの総得点は37。スター軍団のシティと並んで、今季のプレミアリーグ最多得点チームとなっている。また、特筆すべきはアウェイでの強さ。6勝3分け1敗は、アーセナルの6勝1分け3敗を上回るプレミア最高の数字だ。ヴァーディ&マフレズの対策が各チームで進められてきているだけに、後半戦は岡崎やウジョアら準レギュラーのパフォーマンスが重要になってきそうだ。
★選手
◆FWリヤド・マフレズ(レスター・シティ)
Getty Images
▽アルジェリア代表のウインガーは、ヴァーディと共にチームの攻撃陣を牽引した。独特の間合いから繰り出されるドリブルと正確なシュートを武器に、第19節までに出場した18試合(先発11試合)で13得点7アシスト。課題だった守備面も改善させている24歳の有望株には、バルセロナなどビッグクラブからの関心も伝えられている。
【期待外れ】
★チーム
◆チェルシー
▽王者がこれほどまで凋落することなど、誰が予想できただろうか。開幕からの5試合で3敗を喫したチェルシーは、その後も上昇することができず。12月14日のレスター・シティ戦で敗れると、ついにモウリーニョ監督が解任された。それまでの16試合では、実に半分以上の9試合で敗戦。モウリーニョ監督と選手との間に確執があったことが伝えられるなど、まさに泥沼の状態だったクラブは、以前にも指揮官を務めていたヒディンク監督を今季終了時までの契約で引き入れた。
★選手
◆FWジエゴ・コスタ(チェルシー)
▽チェルシーのほとんどの選手が、この項目に該当するだろう。その中でも、ジエゴ・コスタはファンを失望させた。コンディションが上がらないスペイン代表FWは、ピッチ内での素行の悪さによって度々メディアを賑わせ、さらにはモウリーニョ監督の座るベンチにビブスを投げつけるなど、自チームにまで矛先を向ける始末。完全に、その攻撃性が悪い方向に出ている。第18節のワトフォード戦では状況を好転させられるような2ゴールを挙げただけに、後半戦では持ち前の攻撃性をアトレティコ時代のように良い方向にもっていきたい。
【前半戦ベストイレブン】
GK:バトランド
DF:ベジェリン、アルデルヴァイレルト、スモーリング、モンレアル
MF:マフレズ、ドリンクウォーター、カンテ、エジル
FW:ルカク、ヴァーディ
【後半戦展望】
★歴史に残るシーズンになり得る
▽「レスターの躍進とチェルシーの不振」という前半戦の2大トピックがそのまま後半戦の見どころにもなる。果たして、ラニエリ監督は40ポイントを超えて、どこに目標を設定するのか。チェルシーは、ヒディンク体制で勢いを乗り戻し、CL圏内を狙える位置に戻ってくることができるのか。
▽優勝争いは、アーセナルとシティを中心に繰り広げられそうだ。レスター・シティやスパーズ、ユナイテッド、リバプールあたりは、そこに絡んでいけるかといったところ。今季は稀に見る混戦のシーズンだけに、何が起こるか予想しづらい面がある。歴史に残るクライマックスが待っているかもしれない。
▽中堅勢ではパーデュー監督の采配がさえて5位で新年を迎えたクリスタル・パレスや、FWイガロがゴールを量産しているワトフォードあたりが、後半戦を盛り上げる存在になりそうだ。残留争いでは、ビラとサンダーランドが非常に苦しい状況。ニューカッスル、ボーンマス、ノリッジあたりも最後まで気の抜けない戦いが続くだろう。
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