【日本代表コラム】準備不足2015.06.17 12:00 Wed

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▽キックオフ直後、MF柴崎からの大きな展開が右サイドのFW本田へ。本田のカットインからこぼれたボールを拾ったFW宇佐美が、ゴール正面の位置からやや強引にシュートを放っていく――。キックオフからここまでに要した時間は約9秒。キックオフ直後に受けに回ってしまった11日のイラク代表戦の反省を生かし、上々の滑り出しを見せた。

▽ところが、シンガポール代表はベルント・シュタンゲ監督が警戒していた「試合開始直後」を乗り切ると、時間の経過とともに手応えと自信を深め、粘り強い守備を披露。日本は23本のシュートを放ちながら、得点を奪うことができなかった。それはなぜか――。私は、いろいろな意味での“準備”がやや不足していたのではないかと思っている。

▽試合前に0-0という結果を想像していた人はほとんどいなかったはずだ。私も想像できなかった。監督や選手たちは、試合前のコメントで「集中しなければいけない」、「簡単な試合などない」といった言葉を繰り返していたし、油断していたとは思わない。ただ、心のどこかに「大丈夫だろう」、「なんとかなる」といった意識が“少なからず”あったと思っている。そして、それがプレーや心理面に、良くない意味での“余裕”を生じさせてしまったようにも感じている。

▽得点の可能性を高めるには、まず単純に、より多くのチャンスを作らなければいけない。そういった意味では、もっとやれることがあったのではないだろうか。確かに23本のシュートを打ち、決まっていてもおかしくない場面は何度かあった。ただ、監督が試合後会見で語っていたほど多くの決定機があったとも思わないし、ボックス付近のFKは少なく、シンガポールの選手は守勢に回りながらイエローカードを1枚ももらわなかった。これが何を意味するのか。

▽シンガポールの守備ブロックはしっかりとオーガナイズされ、特に中央をしっかりケアしていた。日本は攻めあぐねてはいたが、前半に柴崎と本田がボックス付近でみせた、ポストプレーからリターンパスを受けてボックス内に侵入していく連係などは、相手の守備陣に混乱を生じさせていた。ただ、試合を通してそのような機会は少なく、ボックス近辺でのワンツーや素早いパス交換に三人目の動きが絡めば、より多くの好機を作り出せていたと思う。

▽また、今回のような展開では、負傷離脱したFW川又が悔やまれる。もともとMF清武もいたため、登録メンバーに入らない可能性もあったが、ハリルホジッチ監督は、彼のような選手も必要不可欠であることを痛感したのではないだろうか。シンガポール相手であれば、パワープレー要員はいなくても“大丈夫”と考えたのかもしれないが、サイドからクロスを上げる今日のような展開では、彼のようにボックス内で闘える選手は貴重だ。今後の戦いでは、メンバー構成を含めた準備も万全にしておきたい。

▽とはいえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任からまだ3カ月。やるべきことは多いが、アジアを知らない監督やW杯予選の経験が少ない選手にとっては、この一戦は良い経験になったのかもしれない。次のW杯予選は9月。そして、その前の8月には東アジアカップがある。ここでは、ハリルイズムの浸透と共に、新たなオプションとなり得る選手の発掘にも期待したい。
《超ワールドサッカー編集部・平野由倫》

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