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コラム

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守備は課題も攻撃陣&ボランチコンビの変化は収穫/日本代表コラム

「選手たちは個の特徴を発揮すること+チームのコンセプトとして一体感を持って戦うところで現段階のバランスは良いですし、良いトライをしてくれています」 ▽ウルグアイ代表戦後、森保一監督が記者会見で語った言葉だ。日本代表は、FIFAランキング5位のウルグアイ相手に互角に戦い、4-3で勝利。森保ジャパンは、新体制発足から3連勝を飾った。 ▽韓国代表とのアウェイゲームを2-1と落としたウルグアイ。時差ボケや移動の疲労、チームとしてのトレーニング時間の不足など、エクスキューズはあった。そして、日本はホームゲームであり、サポーターもチケットが完売するほど集まった。有利な点は多かったが、4-3で勝利することは予想できなかったはずだ。 ▽試合を通じて、個人の良さが出たシーンもあった一方で、ミスも散見。チーム作りの途中ということもあるが、収穫と課題が明確に出た一戦となった。 ◆収穫は攻撃陣の躍動Getty Images▽ウルグアイ戦で最も大きな収穫は4得点を奪った攻撃陣だ。特に2得点を記録したMF南野拓実(ザルツブルク)の活躍は圧巻だった。9月のコスタリカ代表戦、そして先日のパナマ代表戦でもゴールを決めた南野は、3試合で4得点を記録。日本の攻撃陣をけん引している。 ▽パナマ戦、ウルグアイ戦と縦関係でコンビを組んだのはロシア・ワールドカップでもゴールを決めているFW大迫勇也(ブレーメン)だ。日本代表を1トップで支えてきた大迫との関係は良好。タイプの違う2人が前後を入れ替わることで、相手DFの対応に混乱をもたらせた。 ▽持ち味である身体の強さを発揮した大迫は、マッチアップしたDFディエゴ・ゴディン(アトレティコ・マドリー)にも競り合いで負けず。背負ってタメを作り、2列目の選手の攻撃参加を促した。一方の南野は、相手とタイミング良く入れ替わるポストプレーを披露。パナマ戦でも見せたターンの上手さを見せた。 ▽南野の活躍が刺激となったか、MF中島翔哉(ポルティモネンセ)、MF堂安律(フローニンヘン)も躍動。堂安は、DF酒井宏樹(マルセイユ)との鮮やかなパス交換から代表初ゴールを記録した。中島はゴールこそなかったが、サイドでの仕掛けやカットインからのシュートで攻撃を活性化。大迫のゴールに繋がるシュートを見せた。 ◆最大の収穫は攻守の切り替えGetty Images▽前線の選手が4得点を奪ったが、それ以上の収穫は攻守の切り替えだろう。堂安のゴール、そして、南野の2点目に繋がったMF柴崎岳(ヘタフェ)のプレーは特筆すべきとも言える。その他にも、大迫のゴールに繋がった堂安の守備、さらには終盤のCKのシーンでの戻りなども同じだ。 ▽堂安の初ゴールは、日本のCKの流れから生まれた。右CKからのクロスがクリアされるが、すぐさま柴崎が拾いダイレクトで前線へ。一旦はFWエディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)にカットされるが、大きくなったボールを堂安が拾い、酒井とのパス交換からゴールを決めた。 ▽また、日本の4点目は真価が発揮されただろう。ウルグアイがカウンターを仕掛けるためにパスを交換しようとしたところ、MF遠藤航(シント=トロイデン)と柴崎が連動。相手ボールを奪うと、柴崎がそのまま一気に南野に縦パスを入れ、堂安がこぼれ球をシュート。GKフェルナンド・ムスレラ(ガラタサライ)が弾いたところを南野が詰めた。 ▽コスタリカ戦はMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)と遠藤、パナマ戦は青山とMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)、そしてウルグアイ戦は柴崎と遠藤がボランチでコンビを組んだ。いずれも補完性を持った2人を並べたが、日本の4点目は攻撃でも持ち味を発揮しつつある遠藤とのバランスを考えた柴崎が、攻撃だけでなく読みを生かした守備面で輝いたシーンだ。 ▽クラブでの出場機会が少ない柴崎は、本来のパフォーマンスからは程遠く、目立つプレーは少なかったが、前線の若手3人、そしてコンビを組んだ遠藤を活かすためのプレーを見せたことは、チームとして収穫だったと言える。個の良さがチームに繋がるという点は、森保監督が目指す形の1津と言えるだろう。 ◆課題は明確…守備の向上Getty Images▽4得点を奪った一方で、コンディションが最高ではないウルグアイに3失点を喫した。勝ったことを素直に喜び切れない失点は、その数よりも内容に課題を感じた。 ▽失点には絡まなかったが、前半から右サイドバックの酒井とDF三浦弦太(ガンバ大阪)の間のスペースをウルグアイに使われていた。ゴールこそ決まらなかったが、ウルグアイが本来の力を持っていたらどうなっていたか分からないし、今回遠征に不参加だったFWルイス・スアレス(バルセロナ)がいたら、失点に繋がっていただろう。 ▽メンバーが変わったことで、連携面が不足している点はある。また、世界の舞台での経験値が三浦に足りないことも影響しただろう。2点目のバックパスの判断ミスも同様だ。カバーニが残っていることが目に入っていなかった。後方でパスを回す際に、安易にGKまでボールを戻してしまったこと。MFルーカス・トレイラ(アーセナル)が前線からプレスをかけていたこともあったが、判断力は鍛える必要がありそうだ。 ▽1失点目はセットプレーから。ファーサイドに振られて、折り返しを決められてしまった。MFガストン・ペレイロ(PSV)に決められてしまった。ワールドカップでのベルギー戦でも見られたように、ファーサイドに振られて高さを使われることは日本が苦手としているパターン。世界と戦う上では、改善が必要となるだろう。 ▽そして最も良くなかったのは3失点目だ。オープンな展開となった中、ウルグアイのカウンターが発動。しかし、日本は数的同数であったため、守り切ることも可能だったはずだ。カバーニにボールが入った際、対応したDF吉田麻也(サウサンプトン)はDF長友佑都(ガラタサライ)に指示。しかし、左サイドに開いていたホナタン・ロドリゲスを誰も見ておらず、三浦もカバーニを警戒。結果、フリーでクロスを送られて失点した。 ▽三浦個人だけの責任ではない。チームとしての守り方の問題であり、数的同数でありながら、パスを通され、しっかりと決められしまったことをどう対応するか。細部を詰める時間はあまりなかったとは言うものの、来年1月のアジアカップまでには守備面の改善を期待したい。 ◆それでも期待値の高いチームにGetty Images▽アジアカップまで残された試合は2試合。11月に行われるベネズエラ代表戦、キルギス代表戦だ。攻撃面では、これまでにない期待が持てる日本代表。特に2列目の3選手の連係とゴールへの意欲は評価すべきものだ。しかし、勢いに乗っていると言う見方もできなくはない。 ▽しかし、本調子でなかったとはいえ、しっかりと守備を作るウルグアイに4得点を奪えたことは、大きな変化と言えるだろう。ミドルシュートのこぼれ球から2点を決めたことも、これまでの日本代表ではあまり見られなかったパターンだ。攻撃面は、大いに期待できる。 ▽守備面に関しては、GKが代表チームとしての経験値の低さもあるだろう。連係が重要になってくるだけに、酒井、吉田、長友とワールドカップ組が入っても3失点を喫した。11月の合宿では、攻撃面だけでなく、守備面にも手をつけてもらいたい。 ▽勝ったことを喜ぶだけでなく、しっかりと課題を見つけることが今は重要だ。本番であるアジアカップまでに、個人がクラブでどのように成長、変化するかが代表チームの強化となる。そして、合宿に集まった際には、しっかりとチームとして戦い方を落とし込むこと。その戦い方を発揮するためにも、各選手には自らを磨き上げて、1カ月後の活動に繋げてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.10.17 23:55 Wed
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簡単ではない融合、ピッチ内で化学反応を起こすトライを/日本代表コラム

▽森保新体制になった日本代表は、実戦2試合目となったパナマ代表戦でも3-0で勝利。9月のコスタリカ代表戦戦に続き、3得点&無失点と結果を残した。 ▽コスタリカ戦では、MF堂安律(フローニンヘン)、DF佐々木翔(サンフレッチェ広島)、さらに途中出場のMF天野純(横浜F・マリノス)、MF守田英正(川崎フロンターレ)が日本代表デビュー。そして、パナマ戦では、19歳のDF冨安健洋(シント=トロイデン)、FW北川航也(清水エスパルス)がA代表デビューを果たした。 ▽2試合で6名の新戦力を試し、しばらく代表から遠ざかっていたMF南野拓実(ザルツブルク)を起用すれば2試合連続ゴールと、森保監督の目利きという点ではここまで及第点と言える。 ◆簡単ではない融合Getty Images「勝つことが大事だし、選手たちのハードワークは讃えたいと思いますが、内容をポイントで見ると、攻撃も守備もまだまだ上げていかないといけない」 ▽パナマ戦後、森保監督が口にした言葉だ。3-0で勝利したこと、選手たちがしっかりと90分間戦えたことは評価できるが、内容にはまだまだ満足行かない部分があると口にした。 ▽実際にパナマ戦を振り返る。先発の11名には、DF槙野智章(浦和レッズ)、MF原口元気(ハノーファー)、FW大迫勇也(ブレーメン)とロシア・ワールドカップを経験した選手が3名入り、前述の冨安、佐々木、南野に加え、GK権田修一(サガン鳥栖)、MF青山敏弘(サンフレッチェ広島)、MF三竿健斗(鹿島アントラーズ)、DF室屋成(FC東京)、MF伊東純也(柏レイソル)とワールドカップに選ばれなかったメンバーを起用。11名の連係という点では、課題が残るのも仕方がない。 ▽例えば、23分のプレー。青山が中盤から右サイドへ展開。DFの背後を室屋が上手く獲る。これに対し、ゴール前には大迫や南野、原口が飛び込み、室屋はシュートではなくクロスを選択した。シュートを打つという選択肢を選んでも良かった場面だが、室屋はクロスを選択。しかし、大迫や原口の特徴を掴み切れていない室屋は、マイナス気味のクロスを送った。 ▽特徴を把握するには、当然ながら時間が必要だ。例えば、この場面でDF酒井宏樹(マルセイユ)が室屋位置に居たならば、クロスを選択したとしても、ゴールへ向かうクロスを選択したはずだ。GKとDFの間を抜け、ファーに走り込んだ大迫が触るイメージ。何試合も同じピッチに立っていれば、選択できた場面だ。大迫も試合後に「正直ボールの持ち方やタイミング、距離感はまだまだ」と語ったが、「これから先絶対に良くなると思う。もっともっとチャレンジして行きたい」と期待感も口にしている。これからのトレーニングで、融合が進み、精度が上がることに期待したい。 ◆才能の片鱗を見せた2人Getty Images▽一方で、守備面ではデビューとなった冨安が上々のパフォーマンスを見せた。パナマの攻撃精度が低かったこともあるが、局面ではフィジカルの強さを見せてきたパナマ。しかし、冨安は冷静な対応で、決定機という決定機を作らせなかった。 ▽相手の立ち位置を見ては、高くポジションを取って潰しに行き、ロングボールを放り込まれれば、引いてしっかりと跳ね返す判断力も持ち合わせ、コンビを組んだ槙野が前に出たときは、しっかりとカバーに入った。対人の強さも見せるなど、ベルギーに行ってからの成長を見せた冨安。東京オリンピック世代の選手ではあるが、現時点からA代表としての経験を積むべき選手の1人であることをデビュー戦で見せつけた。 Getty Images▽また、2試合連続ゴールを記録した南野も能力の高さを見せた1人だ。南野に関しては、ヴァイッド・ハリルホジッチ元監督時代からも招集を受けており、その能力に疑いはなかった。しかし、クラブでの結果が伴わなくなると、競争に敗れ徐々に招集外に。しかし、森保監督体制では連続で招集され、ゴールという目に見えた結果を残した。 ▽2列目の真ん中、トップ下とまでは行かないが、セカンドトップの位置でプレーする南野。9月のコスタリカ戦では、1トップに入ったFW小林悠(川崎フロンターレ)との良い連携を見せたが、大迫と組んだことでより良さが出た印象だ。基本の形は大迫が前で受け、南野が受けて展開するといったものだったが、ゴールのシーンでは下がっていた大迫の代わりに最前線に入ると、青山からの縦パスを見事な体の使い方でDFをいなして受け、冷静に決めた。 ▽シュート能力の高さに定評があった南野は、欧州でプレーすることで身につけた体の強さ、使い方を発揮してのゴール。4年後に向けて、自身の能力を改めて見せつけている南野は、攻撃の軸になっていく可能性を見せている。 ▽コスタリカ戦も含め、新戦力が個々の良さを発揮している側面は結果として出ているが、90分を通してはまだまだ連携不足を感じさせる場面もある。選手の距離感、上がるタイミング、パスの強さ、タイミング、距離…。始動してまだまだ時間が足りていない状況ではあるが、トレーニング、試合を重ねるごとに精度を上げなくては意味が無い。結果ではなく、どの様なプレーができたかを評価基準にする段階なのであれば、試合を追うごとに修正、成長した部分を見せる必要はあるだろう。 ◆残された試合は「3」 ▽4年後のカタール・ワールドカップを目指す日本代表だが、当面の目標は来年1月に行われるアジアカップだ。そこまで残された試合は、16日のウルグアイ代表戦と11月に予定されているエクアドル代表戦(11月16日)、キルギス代表戦(11月20日)の3試合のみ。次の代表招集が最後のアピールの場となる。 ▽アジア王者の奪還という目標がある中、新たなチームの完成度はまだまだ。だからこそ、残りの3試合では結果以上に新たに目指すサッカーへのトライを求めたい。「チームとしてやろうとすることを、公式戦の中でレベルアップできるようにしてもらいたい」と森保監督はパナマ戦後に語った。トレーニングでは感じられないものを、ピッチ上で感じて成長できるかが、特に経験の少ない選手には求められること。まずは、残り3試合で1番の強敵となるウルグアイ戦で、世界のレベルを体感してもらいたい。 ▽森保監督は「今回の10月の2試合で、できるだけ多くの選手にピッチに立ってプレーしてもらいたい」とも語っており、ウルグアイ戦に関してはパナマ戦に出場しなかったメンバーが起用されるだろう。新たな11名の組み合わせ。森保監督はどのような化学反応をピッチ内で起こさせる準備をするのか。選手のプレートともに、メンバー選考にも注目したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.10.14 21:30 Sun
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【日本代表コラム】順調な船出、過酷なサバイバルレースが始まる

▽4年周期のタームを終え、新たなスタートを切った日本代表。コスタリカ代表と相見えた森保一監督率いる新生日本代表は、初陣でしっかりと結果を残した。 ▽ロシア・ワールドカップに選ばれたメンバーは4名。そのうちレギュラーとしてプレーした選手はゼロ。日本代表初招集となったメンバーは6名と、フレッシュな顔ぶれとなった。 ▽選手招集の段階から、新たな色を出した森保監督。コスタリカ戦では、サンフレッチェ広島や東京オリンピック代表チームで見せる[3-4-2-1]と得意とするシステムを封印し、選手に合わせた[4-2-3-1(4-4-2)]を採用した。 ◆初キャップ4名、初ゴール2名Getty Images▽今回初めて日本代表に招集され、東京オリンピック世代のエースとしても期待されるMF堂安律(フローニンヘン)が先発でA代表初キャップを記録。また、広島時代にヴァンフォーレ甲府から引き抜き、重宝したDF佐々木翔(サンフレッチェ広島)を左サイドバックとして起用した。 ▽日本代表デビュー戦となった両選手だったが、堂安は得意の攻撃参加に加え、前線からの守備も実行。得意ではないものの、しっかりと相手を追い、ボール奪取の手助けをしていた。佐々木は、得意のセットプレーから、先制ゴールにつながるオウンゴールを誘発。その後も空中戦の強さを見せ、守備面でも左サイドを封印。数回判断ミスからピンチを迎えたが、周囲のカバーもあり無失点に貢献した。 ▽さらに、追加招集となったMF天野純(横浜F・マリノス)、MF守田英正(川崎フロンターレ)を途中起用。Jリーグでしっかりと結果を残している選手たちを手元に呼ぶだけでなく、試合でも起用した。天野は2トップの一角に入り、CKからは好クロスを供給。守田は出場時間が短かったが、ポジショニングの良さやタイミングの良いスルーパスなど持ち味を発揮した。クラブで務めるポジションとは違うものの、互いに良さを発揮できたこと。代表初キャップの4名は及第点の活躍だった。 Getty Images▽また、2点目を決めたMF南野拓実(ザルツブルク)、ダメ押しの3点目を決めたMF伊東純也(柏レイソル)は、どちらも代表初ゴール。南野はボックス内でパスを冷静に流し込み、伊東は右サイドの仕掛けからカットインして左足で決めた。どちらも得意とする形。特に伊東のゴールは柏でも見せる形であり、チームとして個を生かして結果を残せたことは大きい。 ◆すでに始まったサバイバルGetty Images▽前述のメンバー以外にも、中盤で起用されて攻守にわたって躍動したMF遠藤航(シント=トロイデン)や、左サイドから攻撃の形を作ったMF中島翔哉(ポルティモネンセ)、森保監督のサッカーを体現できるMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)らが躍動。新たなチーム作りのスタートを感じさせる1試合となった。 ▽変化を感じたのは、選手たちの意識。特に、縦を意識した攻撃が目立ち、個人技での打開、パスの選択肢の優先度の高さを感じた。また、選手の特徴を合わせるという意味でも、1トップ気味に入ったFW小林悠(川崎フロンターレ)は、Jリーグ屈指の点取り屋である一方で、クラブでも見せるチャンスメイク能力を発揮。ターゲットとなって体を張るシーンもありながら、少し下がって受けてスルーパスを通すシーンも見られた。前半の南野の惜しいシュートや、後半の堂安の決定機にも小林が絡んでいる。 ▽ロシアでの日本代表の戦いに影響を受けない選手はいるはずもなく、4年後のカタールは自分がという意気込みを強く感じる。年齢に関わらず、W杯出場を目指すことは多くの現役選手の目標であり、今回新たに日本代表の一員になった選手は、より一層その気持が強くなったはずだ。 ▽10月にはW杯の主力組も招集する可能性を示唆していた森保監督。来年1月にはアジアカップが待っており、チームの構築と世代間の融合という2つのテーマを持って年内の4試合を戦うこととなる。これまでのレギュラー組もこの試合を受けて刺激を受けないはずはなく、より一層日本代表のポジション争いが激化するに違いない。 ◆チームが求めるものGetty Images▽コスタリカ戦の日本代表は、攻撃面で違いを生み出すことを主軸に置いていた。前述のとおり、縦への意識は強く、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が意識付けしてきたことを踏襲している。さらに、ニアゾーンを多く使うシーンが見られた。これまでの日本代表で多く見られたシーンは、サイドを崩してもクロスが通らないもの。中央に飛び込んでも、相手DFにクリアされてしまうシーンだ。 ▽高さに分がない日本としては、単純なクロスで世界を相手に戦うことはかなり難しく、深さをとってマイナスに折り返すクロスや、アーリークロスなどがチャンスを作っていた。コスタリカ戦でも、サイドで持ち上がるシーンがありながら、クロスが単調に終わる場面も多く、効果的な攻撃とは言い難い。 ▽しかし、中島や南野、堂安を始めとした新戦力は、ニアのゾーンに飛び込む事が多く、効果的なパスを供給することができていた。相手の背後、さらにニアを使うことで、中央の選手やファーの選手も生きてくる。新たな攻撃の形をしっかりと作り上げ、バリエーションを増やすことがより高みに向かうためには必要なこと。森保監督がこの先どうやって作り上げていくかには注目だ。 ▽ポジションにとらわれず、しっかりと相手に合わせて対応していくことも必要だと就任時に語っている森保監督。東京オリンピック代表チームや過去の広島を見ても、選手が状況と相手に合わせ、ポジションにとらわれずにプレーしていた。日本代表に必要なのは対応力。そのために選手自身はクラブで力をつけることが求められる。約1カ月後に行われるパナマ代表戦とウルグアイ代表戦に向けてはどの様な選手を呼ぶのか。Jリーグをはじめ、各選手のクラブでのプレーが楽しみだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.09.13 19:00 Thu
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【特集】東京五輪経由カタール行きへ…編集部厳選のアジア競技大会注目選手!

▽10日から、第18回アジア競技大会の男子サッカーが開幕。日本代表は14日の21時に初戦を迎える。 ▽U-23の世代別代表で参加が可能な今大会だが、日本は森保一監督が率いる東京オリンピック代表に当たる、U-21日本代表で参加。まずは、2年後に迫った東京オリンピックに向けた強化の一貫として位置づけているようだ。 ▽「1試合でも多く経験したい」とメンバー発表会見で森保監督は語ったが、既にメンバー選考はスタート。今大会は、Jリーグの関係や欧州リーグの開幕時期も重なり、現状招集できるベストメンバーを呼んだと明かしている。 ▽4年後のカタール・ワールドカップを目指す日本代表指揮官も兼任する森保監督だけに、今大会での活躍がA代表への近道にもなるはずだ。そこで、今大会に招集されたメンバーから注目すべき選手をピックアップしたい。 Getty Images◆DF立田悠悟(20) 所属:清水エスパルス▽清水の下部組織出身の立田は、190cm近い長身が武器。本職はセンターバックでありながら、プロ2年目の今シーズンは右サイドバックとして開幕戦で先発出場。すると、第2節のヴィッセル神戸戦では初ゴールを記録。さらに、第9節まで先発出場。その後試合に絡まない時期があったが、第16節からは再びスタメンの座を勝ち取っている。 ▽線の細かった立田だが、ウェイト強化にも力を入れ、ヤン・ヨンソン監督(清水)の下ではサイドバックとしてのプレーも習得。サイドバックとしての伸び代はまだまだあるものの、今後センターバックに戻った時には何段階もレベルアップしたプレーが見られるはずだ。高さに加え、ビルドアップ能力もつけており、3バック、4バック、サイドバック、センターバックと最終ラインのキーマンになり得る存在の立田に注目だ。 (C)J.LEAGUE PHOTOS◆DF杉岡大暉(19) 所属:湘南ベルマーレ▽FC東京の下部組織で育ち、市立船橋高校ではインターハイで全国制覇を成し遂げた杉岡。2017年に湘南に入団すると、1年目の開幕戦でいきなり先発デビュー。第2節で初ゴールを記録し、明治安田生命J2リーグで37試合に出場し3得点を記録。チームのJ2優勝、J1昇格に大きく貢献した。 ▽今シーズンはJ1で経験を積み、ここまでの全20試合(先発19試合)に出場。左ウイングバック、3バックの左と、守備だけでなく攻撃面でも成長を見せ、2年目の今シーズンも大きく成長を見せている。 ▽2017年に行われたU-20ワールドカップにも出場し、全4試合を経験。元センターバックであることから、対人守備の強さを発揮し、攻撃参加も湘南で成長した走力を活かして左サイドを活性化させた。日本代表としても選手層が薄い左サイドバックだけに、杉岡の飛躍が期待される。 Getty Images◆MF神谷優太(21) 所属:愛媛FC▽東京ヴェルディの下部組織出身ながら、ユース昇格後に青森山田高校に編入。2016年に湘南ベルマーレに入団した。1年目からデビューを果たすと、明治安田生命J1リーグで14試合に出場。YBCルヴァンカップにも4試合出場するなど経験を積んだ。しかし、2017年はケガの影響でJ2の出場が7試合に。U-20ワールドカップのメンバーからも漏れていた。 ▽今シーズンは、J2の愛媛FCへとレンタル移籍を決断。自身の成長のために武者修行に出ると、背番号「10」を背負い、ここまで20試合に出場。チーム最多の5得点を記録し、苦しむチームをけん引している。 ▽キック精度、高い技術、そしてハードワークできる走力。さらには、負けん気の強さと高い目標に向かって進める精神力を持ち合わせている。将来的に日本の中盤を支える可能性も持つ神谷。まずは、U-21日本代表としてアジアの地で武者修行の成果を見せてもらいたい。 Getty Images◆MF三笘薫(21) 所属:筑波大学(川崎フロンターレ内定)▽川崎フロンターレの下部組織出身。U-18まで所属すると、トップチームに昇格せずに筑波大学への進学を選んだ。2017年の関東大学サッカーリーグで優勝に貢献。さらに、2年生ながら天皇杯に出場し、ベガルタ仙台戦で2ゴールの活躍を見せる。 ▽ユニバーシアード代表のほか、U-20日本代表にも選出。U-21日本代表としては、トゥーロン国際大会にも出場し、ゴールも記録。2年連続で川崎Fの特別指定選手となり、2020シーズンからの加入内定も発表された。 ▽特徴はドリブル能力の高さ。ボールスキルが高く、テクニカルなドリブルで相手をかわしていくプレーが特徴。レフティーでもあり、対峙したDFにとってはやりづらいはずだ。そして、前線への飛び出しからゴールを奪う力もあり、アタッカーとして今大会でも違いを作れるかに期待だ。 Getty Images◆MF渡辺皓太(19) 所属:東京ヴェルディ▽東京ヴェルディの下部組織出身で、2016年に2種登録でJ2デビュー。2017年からトップチームに昇格した。166cmと上背はないものの、豊富な運動量とポジショニングの良さ、判断の良さに秀でている中盤の選手だ。 ▽守備力が特徴の選手だが、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の下で大きく成長。攻撃面でも違いを生み出せることができ、攻守にわたってチームを支えることが可能な選手だ。元々はトップ下の選手であっただけに、ボランチ、シャドーのどちらでもプレー可能。現在はインサイドハーフとしてプレーしており、さらに戦術面の向上も見られる。 ▽中盤の全ての役割を担うことが可能な渡辺。ピッチを駆け回る渡辺の特徴を生かせれば、チームとしては大きな力となることは間違いない。 (C)J.LEAGUE PHOTOS◆FW前田大然(20) 所属:松本山雅FC▽2017シーズンに期限付き移籍した水戸ホーリーホックで大ブレイクを果たした前田。爆発的なスピードを武器に、明治安田生命J2リーグで36試合に出場し13得点を記録した。 ▽今シーズンからは古巣の松本山雅FCに復帰。ここまでリーグ戦24試合に出場し6得点を記録し、J2首位を走るチームをけん引している。 ▽前述の通り、前田の最大の特長は爆発的なスプリント力だ。一瞬で相手選手を剥がすスピードは圧巻で、加速力はJリーグ屈指。さらに、シュート能力も持ち合わせており、ただ早い選手という訳ではない。代表経験が少ない前田だけに、今大会で結果を残し、まずは東京オリンピックを目指したい。 Getty Images◆FW旗手怜央(20) 所属:順天堂大学(川崎フロンターレ加入内定)▽3年生ながら現在の大学サッカー界をけん引するストライカー。MF三笘薫(筑波大学)とともに、2020年からの川崎フロンターレ加入が内定している。静岡学園高校出身の選手であり、テクニックもあるストライカー。さらに、身体の強さもあり、前線では様々なプレーを見せる。 ▽今年1月のAFC U-23選手権にも出場。Jリーグでプレーする選手たちの中にあって、その存在感を示し、今大会のメンバーにも選ばれた。上背はないものの、体幹の強さを武器とし、さらにはスピードもある。その上、足元の技術に優れ、トラップの技術が高く、相手DFの逆を取り、シュートチャンスを作る動きが特徴的だ。 ▽今大会に招集されたFWは前田大然(松本山雅FC)と上田綺世(法政大学)を含めた3名。自身が出場しなかったトゥーロン国際大会では上田がスーパーサブとして結果を残す活躍。今大会でチャンスを掴み、結果を残したいところだ。 2018.08.14 15:30 Tue
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【日本代表コラム】個を活かした戦いで世界を驚かせるも、超えられなかった高い壁

▽CKのチャンスからGKがキャッチ、丁寧なスロー、ドリブルで中央を持ち上がり、右サイドへ展開。走り込んだ選手がダイレクトで折り返すと、中央でスルーされ、フリーで走り込んで蹴り込まれる──。一連の流れは、多くの日本人にとって鮮明に記憶に残るのだろう。これまでも劇的なシーンは何度も目にしてきたが、これほどまでに悔しい思いをした場面はそうないだろう。 ▽下馬評を大きく覆し、初戦のコロンビア代表戦に勝利した日本代表。2戦目のセネガル代表戦で引き分けると、3戦目のポーランド代表戦はリードを許しながらも、最後の10分間は自陣でボールを回し時間を消費──賛否両論ある中で、3度目のベスト16進出を果たした。 ▽期待を寄せられていなかった日本代表が、想像を超える結果を残し、世界屈指の攻撃力を持つベルギー代表に挑んだラウンド16。思い描いていたよりも、日本代表は冷静に試合に入り、ベルギーを上回るほどの落ち着いたプレーを続けていた。 ◆ポーランド戦を力に変えてGetty Images▽賛否両論があったポーランド戦の戦い方。先発を6名変更し、最後はビハインドながら時計の針をただただ進めるパス回しを行った。結果として、ラウンド16に進めたことで、この判断は正しかったと結論付けられがちだが、本来の意味ではこのラウンド16のベルギー戦でどの様な試合を見せるかが重要だった。 ▽初戦、2戦目と同じ11名をピッチに送り出した西野朗監督。立ち上がりは前線からボールホルダーにプレスをかけ、流動的に動き、ペースを掴んでいった。今大会既に4ゴールを記録していたFWロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)には、鹿島アントラーズでプレーするDF昌子源がマークに。一瞬のスピードで振り切られるシーンもあったが、ルカクのプレーに徐々にアジャストしていった昌子は、試合を通して決定的なピンチを作ることはなかった。 ▽センターバックでコンビを組んだDF吉田麻也(サウサンプトン)も同様だ。プレミアリーグでも対峙しているルカク、MFエデン・アザール(チェルシー)を冷静に対処。粘り強い守備を見せ、決定機も身体を張って凌いだ。 ▽前線も同様だ。トップに入ったFW大迫勇也(ブレーメン)は、持ち前のポストプレーと献身的な守備、ポジションを移動して起点となるシーンが多かった。DFヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)を相手にも、自身の持ち味を出していた。MF乾貴士(ベティス)は、左サイドでDF長友佑都(ガラタサライ)とともに攻勢をかけ、MF香川真司(ドルトムント)はバイタルエリアに陣取りつつ、左サイドの攻勢に絡んだ。 ▽中盤でタクトを振るMF柴崎岳(ヘタフェ)は、攻守にわたってこの試合でも冴え渡り、縦へのパス、読みからのパスカットなど、日本の中盤を支えた。MF長谷部誠(フランクフルト)はバランスを見たプレーをし、MF原口元気(ハノーファー)は右サイドで持ち前の運動量と上下動で守備に貢献。DF酒井宏樹(マルセイユ)はMFヤニク・フェレイラ=カラスコ(大連一方)との一対一に対応した。 ◆個人の特長を最大限に活かすサッカーGetty Images▽これまでに見たことのないような落ち着いたプレーを見せていた日本。その大きな理由は、個人個人の特長を生かし、連携し合ったプレーを見せていたからだろう。距離感、立ち位置、ボールを運ぶ流れ。遅攻に移った際の切り替え、攻守の切り替えと冴えを見せた。 ▽いつになく、各選手が自身の役割を理解し、チームメイトもその役割を理解し、本来の意味でのチームになっていたようにも感じた。 ▽その動きは、後半に入って大きく変化する。立ち上がり、ベルギーに攻め込まれる中、自陣で乾がこぼれ球をトラップ。反転して相手と入れ替わると、近くの柴崎へとパスを出した。その瞬間、右サイドで大人しくしていた原口が猛然と奪取。それを見逃さない柴崎が絶妙なスルーパスを出すと、ヴェルトンゲンの足をかすめてスペースへ。原口はしっかりとボールを受けると、ボックス内でシュート。日本が先制に成功した。 ▽このゴールには、乾、柴崎、そして原口の特長が詰まっている。まずは、試合を通して狂いのないボールタッチを見せた乾のトラップ。そして、相手DFをいなすターン。柴崎は、原口のスピードに合わせた絶妙な強さで、ギリギリのラインにパスを通した。そして原口。長い距離のスプリントは原口の特長であり、アジア予選のチーム得点王である所以を見せつけた。このゴールで、日本は大きく優位に立った。 ◆微妙にズレた采配Getty Images▽その後、ベルギーの猛攻を凌ぐと、乾のスーパーゴールで日本がベルギーを突き放す。さすがのシュートに、ロベルト・マルティネス監督も唖然。日本の底力を目の当たりにしたが、これがベルギーの選手たちに火をつけた。 ▽ベルギーは、前半から長友とDFトーマス・ムニエ(パリ・サンジェルマン)の高さのミスマッチを利用。何度となく、左サイドから崩し、ファーサイドを使っていた。そして、その狙いが顕著になる選手交代を行う。MFマルアン・フェライニ(マンチェスター・ユナイテッド)を投入。前線のルカクとともに並べることにした。 ▽フェライニは昌子と長友の間に陣取り、ルカクは昌子とのマッチアップをチョイス。時間の経過とともに、アザールとMFケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)が連動して日本の右サイドを侵略。吉田と酒井宏が対応に当たることとなった。 ▽日本のウィークポイントを突いてきたベルギーは、徐々にペースを握ると、高さを生かして2点ビハインドを跳ね返す。日本はミスマッチが起こっていながら、手を打たず。ウィークポイントの穴埋めにカードを切らない西野監督らしさを見せたが、個人的には対人守備に強いDF植田直通(鹿島アントラーズ)を入れるもの有りだったのではないかと思っている。 ▽そして、2点差を追いつかれて投入されたのは、MF山口蛍(セレッソ大阪)とMF本田圭佑(パチューカ)だ。本田は右サイドの原口に代わり、タメを作って攻撃のバリエーションを増やした。香川とのコンビネーションからシュートチャンスや、FKからブレ球で直接狙うなど積極的な姿勢を見せた。 ▽一方の山口は、攻守のカギを握っていた柴崎と交代。しかし、残り10分程度の難しい時間帯に入ったこともあり、試合に入れていなかった。西野監督は今大会、采配で局面を動かしてきていた。初戦、2戦目と途中投入した本田が得点に絡み、勝ち点を獲得。3戦目は、長谷部を入れて場を整えた。 ▽しかし、ベルギー戦は後手に回りすぎ、良いペースを手放す格好となってしまった。もちろん、ベルギーとの実力差も大いにあり、個々の能力差もあった上だが、2-0のリードを活かす方法論はあったはずだろう。 ◆ベスト8の壁を超えるためGetty Images▽ベルギー相手に、世界が驚くほどの好ゲームを見せた日本。その点に関しては、自信を持って良い部分もあり、世界と戦える力を付けることが可能であることも証明した。 ▽一方で、それでも勝てないという現実も突き付けられている。90分が過ぎようとしている時間帯に、あれだけの選手が相手ゴールへと駆け上がり、最後は勝ち点3を持っていく。世界屈指の攻撃力を誇るベルギーを相手に、そんなサッカーを身を持って体験したからこそ、未来の日本のために繋げられるはずだ。 ▽直前の監督交代に始まり、ベスト16進出、手がかかったベスト8を逃す結末…大いに検証し、分析し、次に繋がる課題を見つけてもらいたい。 ▽次の戦いは4年後。何人の選手が再びワールドカップに出場するかは分からない。もしかしたら、出場権を獲得できないかもしれない。それでも、日本サッカーは終わらない。世界を驚かせたルーザーは、ウィナーになるべくして次のステップに進んでもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.07.03 19:30 Tue
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【日本代表コラム】現時点では「結果オーライ」、西野監督はどう挽回するのか

▽28日、ロシア・ワールドカップのグループステージ全日程が終了した。日本代表は、ポーランド代表と対戦し、0-1で敗戦。しかし、同グループのもう1つのカードであるセネガル代表vsコロンビア代表が0-1で終了。この結果、グループ2位で決勝トーナメント進出が決まった。 ◆喜ぶべきベスト16進出Getty Images▽大会前の評価を考えると、ラウンド16に日本が進出する可能性は限りなく低く見積もられ、1弱3強との見方をされていたことも少なくなかった。 ▽開幕2カ月前に監督を交代し、西野朗監督が率いてからは国際親善試合で連敗。本番前ラストマッチのパラグアイ代表戦こそ勝利したものの、ポジティブな要素を感じられないまま本大会に突入したため、期待感は薄く、日本国内での盛り上がりにも欠けていた。 ▽しかし、フタを開ければ初戦のコロンビア代表戦で勝利。続くセネガル代表戦を引き分け、自力で決勝トーナメント進出を掴めるポジションとなった。 ▽当初の評価、期待値からすれば、日本代表がグループステージを突破し、過去最高に並ぶベスト16に進出したことは素直に評価すべきことだ。しかし、そこにケチを付けかねない残念な事態が起こったのも事実だ。 ◆ポーランド戦で起こった魔の10分間Getty Images▽日本は自力で突破が決められる状況で迎えたグループ最終節。相手は既に敗退が決定していたポーランドだ。実力差を見れば、ポーランドが優勢なのは明らか。ここまでの2試合の結果など関係なく、1試合にこだわれば日本は躓く可能性が高かった。 ▽そんな試合だが、2試合続けて同じ11人をピッチに送り出していた西野朗監督は6名と過半数を変更。システムも、[4-2-3-1]から[4-4-2]へと変更し、大事な一戦に臨んだ。 ▽不安だった大会前から一転、日本の力強さを2試合で感じていた人が多かっただけに、この6名変更は大きな疑問符が付くこととなった。そして、その影響は試合にも表れてしまう。 ▽前半は、連携ミスなどもありながら、ポーランドゴールに迫るシーンが見られた。しかし、ちょっとした感覚や、タイミングのズレが影響し、相手守護神をヒヤリとさせるシーンはなかった。さらに、6名変更の影響は続く。 ▽0-0で前半を終えた日本だったが、FW岡崎慎司が早々に倒れ込み、FW大迫勇也と交代した。前半から怪しい雰囲気を出していた岡崎だったが、後半開始直後に交代。カードを1枚切らざるを得なくなった。負傷に関しては懸念材料を抱えていた岡崎だけに、勿体無いカードを切ることは残念だった。 ▽そして、その後にポーランドが先制。セネガルvsコロンビアがゴールレスドローで推移していたため、日本は敗退が濃厚に。攻勢をかけるべく試合に入ろうとし、MF宇佐美貴史に代えてMF乾貴士を投入。しかし、流れが変わることなく、ポーランドが勢いづく展開となった。 ▽すると、西野監督が大胆な采配をふるう。FW武藤嘉紀に代えて、MF長谷部誠を投入。すると、1点ビハインドの日本が自陣最終ラインでパス交換。一向に攻める様子を見せず、ポーランドもボールを奪いに来ることなく終了。1-0で敗戦となった。 ▽日本がポーランドに負けた場合は、他会場の結果に全てが委ねられることに。しかし、その状況でも、西野監督は「失点をしないこと」「カードをもらわないこと」をプランとして長谷部に伝えていたと、試合後に明かした。 ◆ハイリスク・ハイリターンの賭け ▽西野監督は、「万が一が起こらないこと」を主軸に考え、1点ビハインドながら長谷部を起用した。日本とセネガルは条件が同じであり、順位決定は今大会から導入された「フェアプレーポイント」というものだった。 ▽「フェアプレーポイント」とは、警告や退場によって与えられる反則ポイント。日本はセネガルよりもイエローカードで2枚分下回っており、セネガルより優位に立っていたのだ。 ▽しかし、0-1となったセネガルvsコロンビアが1-1となれば、「フェアプレーポイント」は関係なくなる。そんな状況の中、西野監督は試合のラスト10分間は自陣でただボールを回すだけで、時計を進めることを決断。全てをコロンビアに懸けたのだ。 ◆究極のリアリストとも言えるギャンブラーGetty Images▽対峙している相手ではなく、全く関係ないところの試合に命運を託した西野監督。結果として、日本は2大会ぶりのベスト16進出を掴み、事なきを得た。スタンドからは大ブーイングが鳴り響き、日本人意外で日本代表を応援していた人々にもそっぽを向かれてしまった。 ▽セネガルがコロンビアを相手に10分強で1点を取る確率が高いのか、日本がポーランド相手に引き分けを目指し、逆襲されて2点差を付けられてしまう確率が高いのか。同点を目指しながらも上手く流れが変わらないことに勘付いた西野監督は、コロンビアに命運を託すことが最善と判断したのだろう。交代時に何かを変えた様子も伺えた。 ▽何が起こるか分からない中、自分たちでコントロールすることも放棄した。しかし、結果としてはベスト16に進出。見るものとしては、どこか腑に落ちず、不満が残り、フラストレーションが溜まったはずだ。そして、チームとしてもこれまでの流れを全て断ち切ることとなってしまったかもしれない。それでも、自身が閃いた確率の高い方へ賭ける勝負師の一面を西野監督は見せた。 ◆「結果オーライ」をどう挽回するかGetty Images▽目標であったグループステージ突破を果たしたことに対し、文句を言う必要はない。どんな形であれ、勝負の世界であれば結果が全て。上を目指すためには必要な決断だった。そして、日本は目的を達成した。 ▽しかし、そうであっても、今回の事象は全て「結果論」。結果が重要であり、最優先されることではあるが、結果が違えば、日本代表、そして西野監督の立場がどうなっていたかは容易に想像できる。 ▽開幕2カ月前の電撃的な監督交代、結果を残せなかった国際親善試合、若手を外したメンバー発表──日本国民にとって、マイナス要素ばかりに目が行く流れの中、初戦でコロンビア相手に大金星。一気に日本代表への後押しが強まると、セネガル相手に引き分け、全てが前向きになった。しかし、今回の一件で意見は大きく分かれ、いつになく日本代表が話題の中心となっている。そして、積み上げてきた信頼を全て失ったとも言っても過言ではないかもしれない。 ▽しかし、選手が口を揃えて言うように、目標はベスト16ではなく、最低でもベスト8。過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えることだった。そういった意味では、2試合を主力としてた戦った選手を大幅に休ませられたこと、そして他力に頼るという大胆な選択をしながらも、賭けに勝ったことをプラスに捉えられる。そして次に待つのは、ベルギー代表とのラウンド16でどの様なサッカーを見せるかだ。 ▽現時点での印象は、「結果オーライ」。これでは、未来へと繋がるものは残せていない。しかし、その印象を塗り替え、未来に繋げるためには、ベルギー相手にしっかりと戦い、自分たちの力で歴史を塗り替えることが最も重要だ。 ▽リアリストであり、ギャンブラーでもある西野監督が持つ引きの強さを、ベルギー戦でも期待しない訳にはいかない。実力はもちろんのこと、運を味方にするという意味では、日本は一段階上に上がったのだろう。あとは、休んだ主力選手も含め、ベルギー戦のピッチの上で見るものを沸き立たせてくれることを願うだけだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.29 22:45 Fri
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【日本代表コラム】自信を覗かせるチーム力で勝ち点を積み上げた日本

▽初戦でコロンビア代表相手に予想を超える勝利を挙げた日本代表。勢いそのままにセネガル代表相手に勝利を目指したが、2-2の引き分けに終わった。 ▽2度のリードを許しながらも、しっかりと追いつき勝ち点1を獲得した日本。これまで見せてきた勝負弱さはそこにはなく、強者の風格すら感じさせる戦いぶりを見せていた。 ◆落ち着いた試合の入りGetty Images▽コロンビア戦での勝利の影響か、日本は落ち着いて試合をスタートさせた。セネガルは、初戦のポーランド戦に比べて積極的に前からプレスを掛け、ボールを奪いにいくサッカーを展開。しかし、日本はその迫力に押し込まれることなく、ボールを回して行った。 ▽セネガルの出鼻を挫きたい日本だったが、ミスから先制を許す。11分、右サイドからのクロスを原口元気がクリア。しかし、これが相手の足元に収まると、ボックス内右からシュート。サバリのシュートはGK川島永嗣の正面に飛び、問題ないかと思われたが、川島がパンチングをミス。目の前にいたサディオ・マネの足に当たり、ボールはネットを揺らした。 ▽西野朗監督が率いてからというもの、川島の精彩を欠いたプレーは全ての試合で起こっている。しっかりとセネガルの攻撃を跳ね返していた矢先の失点だけに、メンタル面でのダメージが心配されたが、日本は落ち着いて対応した。 ◆冷静な判断を見せた柴崎Getty Images▽セネガルの1点リードで迎えた34分、日本は一本のパスから決定機を迎える。長谷部誠が最終ラインに入り、3バックの形を作った日本。中盤で柴崎岳がボールを持つと、狙いすましたロングフィード。これを長友佑都がトラップすると、ボックス内で乾貴士とスイッチ。乾は、コースを狙い済ましてネットを揺らした。 (C)CWS Brains,LTD.▽コロンビア戦では、乾は同様の形で2度シュートを外しており、悔しい思いをしていた。シュートを打った角度はこのゴールもほぼ同じ。3度目の正直といったところか、日本の貴重な同点ゴールを生んだ。 ▽乾の落ち着いたシュートも去ることながら、起点となった柴崎にも注目だ。自陣から、走り込んだ長友を狙ったロングフィード。正確無比なパスが通った柴崎は、この試合を通じて攻守に渡り圧巻のパフォーマンスを見せた。当然、これをチャンスにつなげた長友も素晴らしい。チームとして奪えた1点は、日本の成長ぶりを示した。 ◆ペースを乱されない守備陣Getty Images▽また、守備陣もユニットでしっかりと守ることに成功。マネをはじめ、FWエンバイェ・ニアン、MFイスマイラ・サール、MFパパ・アリウヌ・エンディアイエとセネガルの攻撃陣を押さえ込んだ。 ▽特に、酒井宏樹は一対一で負けることはほとんどなく、ロングボールは吉田麻也がクリア。昌子源も対人の強さを見せながら、後半には自ら持ち出す攻撃参加まで見せた。チームとして、セネガルの攻撃陣を押さえ込めたことは大きいだろう。2失点を喫した部分は反省が必要だが、精度は上がっていると言える。 ▽失点シーンに関しては、日本の右サイドが突破されたもの。それ以前の攻撃でもクロスボールがファーサイドに流れた際、対応ができていなかった。最終的には、右サイドバックのDFムサ・ワゲに詰められてゴールを許したが、同じ形を何度か作られていただけに、しっかりと修正してもらいたい。 ◆選手起用によるメッセージGetty Images▽追加点を奪われた直後、西野朗監督は交代の準備をしていたFW岡崎慎司ではなく、MF本田圭佑を投入。その後、岡崎も投入すると、同点ゴールが生まれた。この試合、残りの1枚はFW宇佐美貴史を起用した西野監督。メッセージとしては、勝ち点3を目指すということが選手に伝わったはずだ。引き分け狙いではなく、勝ちに行くという姿勢を見せたことは、最終戦のポーランド戦に向けても大きいだろう。 ▽同点ゴールのシーンは、個々の特徴が全面に出たゴールだった。ボックス手前中央でパスを受けた大迫勇也は、自身のストロングポイントであるボールコントロールで収め、持ち出すことに成功。ボックス手前からの大迫のクロスに対しては、岡崎が身体を投げ出して飛び込むと、GKがパンチングをミスし、ボールが流れた。このボールに反応した乾は、ラインギリギリからダイレクトで折り返し、このボールに倒れていた岡崎はそのまま身体を投げ出した。結果的に、GKをブロックする様な形となり、最後は良いポジションをとっていた本田が蹴り込んだ。 (C)CWS Brains,LTD.▽途中出場の本田、岡崎が絡み、最終的には本田が3大会連続のゴールを記録。2試合続けて本田が決勝点に絡んだところを見ても、チームとしての流れが良い方向に向いているのがわかる。そして、各選手が自身の特長をしっかりと出すことで、チームに勝ち点をもたらせたことは大きい。 ◆ノルマとなったベスト16 ▽大会前の期待値からは大きくかけ離れ、1勝1分けで2試合を終えた日本。この状況を踏まえれば、勝手な話ではあるがグループステージ敗退は許されない状況だ。国民の期待も大いに高まっており、ここまでの流れを不意にしてもらいたくはない。 ▽大方の予想が敗戦だったコロンビア戦で勝ち点3、厳しいと見られたセネガル戦も2度追いついての勝ち点1。自らチャンスを手繰り寄せているだけに、ポーランド戦で結果を残し、3度目のベスト16に進出するかどうかが、この先の日本サッカーの命運を左右すると言っても過言ではない。 ▽チーム力、団結力で結果を残せた2試合。勝負弱さを払拭するには、3戦目のポーランド戦の結果が最重要だ。奇しくもポーランドは既に敗退が決定。失うものは何もなく、開き直って本来のパフォーマンスを見せる可能性は高い。実力国を相手に、ワールドカップの舞台で結果を残せせるのか。次のラウンドに進めば、ベルギー代表かイングランド代表と対戦する。そのステージに立つため、残り僅かな時間でよりチーム力を高めてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.25 22:00 Mon
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【日本代表コラム】勝って兜の緒を締めよ

▽ロシア・ワールドカップの初戦を19日に迎えた日本代表。コロンビア代表が有利と見られる中、2-1で勝利。歴史的な一勝を挙げた。大事な初戦で期待以上の勝ち点3を掴んだ日本。この上ない結果だが、決して満足してはいけないものだろう。 ◆立ち上がりは上々Getty Images▽キックオフ直前、FWラダメル・ファルカオがエンドの入れ替えを要求。コイントス時にファルカオが訴えていたが、審判団が忘れたのか、直前のタイミングで異例の交換となった。しかし、日本は立ち上がりからアグレッシブな入りを見せ、3分に決定的な瞬間が訪れた。 ▽ルーズなボールが入ると、FW大迫勇也が相手DFと競り合いながらボールをキープ。そのまま持ち込み、GKダビド・オスピナと一対一となりシュート。これは防がれたが、後方から走り込んだMF香川真司がダイレクトシュート。ここで、MFカルロス・サンチェスが腕を出してハンド。日本はPKを得るとともに、コロンビアは1人を退場し数的不利となった。 ▽このシーンは、大迫が身体の強さを見せたキープが生んだものではあるが、パスを出した香川のランも評価すべきだ。クリアボールをダイレクトで前に送ると、大迫にDFが集中する中追いかけ、PK獲得に繋がった。大迫のシュートがセーブされた跳ね返りをダイレクトで打ったことも大きい。キープし、崩すことを考えず、アグレッシブに押し切ったことがプラスに働いた。 ◆リード時の戦いに不安もGetty Images ▽しかし、1点リードしてからの戦い方には不安が残る。コロンビアは10人になったものの、ホセ・ペケルマン監督は交代カードを切らず。一方で、日本は数的優位ながらもコロンビアの選手を捕まえきれず、ボールを回される展開に。1人多い点を生かすことができず、後手を踏んだ。 ▽1人余ることで、本来であればリスクを冒して奪いに行って良いシーンでも、ディレイを優先するためにパスを繋がれてしまう。また、人数をかけてボールを奪いに行く場面でも、プレス回避を上手くされ、ボールを繋がれてしまっていた。 ▽当然、個人能力の高さがあるコロンビアだけに、そこまで上手く守備がハマるとは考えにくい。しかし、「チームとして守る」という西野朗監督の試合前のコメントを考えると、上手く機能していたとは言えないだろう。 ▽また、失点シーンに繋がったプレーも気になるところだ。自陣でのボールに対し、DF長友佑都がクリアミス。高く上がったボールを競り合ったファルカオが上手く倒れてボックス手前でFKを獲得した。リードしている状況、そして時間帯を考えれば、もっとセーフティなプレーを心がけても良かったはず。長友のクリアミスがなぜ生まれたのか、しっかりと分析してもらいたいところだ。 ▽FKに関しても、良い位置ではあったとはいえ、防げる余地はあったと言える。GK川島永嗣の立ち位置は、若干ファーに寄っていた。壁の下を抜かれたグラウンダーのシュートがわずかにラインを越えて得点を許したが、壁の上を越えていたとしても、ボールスピードを考えると枠に入っていては間に合わなかったのではないだろうか。キックの精度もあるが、川島の対応も気になるところだ。 ◆良い流れからの決勝点Getty Images▽決勝点の場面はCKから。左サイドからMF本田圭佑がクロスを上げると、ボックス中央で競り勝った大迫がヘディングで決めた。これまではMF柴崎岳がキッカーだったが、本田に代わって1本目のCK。アウトスイングになったこと、さらには球質が変わったことも影響しただろう。 Getty Images▽しかし、注目したいのはCKを得たプレー。右サイドを崩すと、ニアサイドに低いボールを入れ、大迫がキープ。この落としを走り込んだ酒井宏樹がシュートした。崩し方の問題を抱えていた日本にとって、コロンビア戦の終盤は良い崩しがいくつか見られた。 ▽コロンビアの疲労も影響し、日本がつけ入るスペースができていた。そこをしっかりと使えたことはプラスだが、ゴールという結果が生まれなかった。乾の惜しいシュートも、GKオスピナの好セーブに阻まれた。チャンスが多く訪れないことを考えると、いかに効率よく得点を奪うかが重要となる。 ◆勝って兜の緒を締めよGetty Images▽初戦で勝ち点3を獲れたという結果は、これ以上ないものだ。3試合で決着がつくことを考えると、コロンビア、そしてポーランドと勝ち点3差を付けていることは大きい。 ▽しかし、相手が早々に10人になったことを考えると、試合内容は満足いくものとは言えない。11人が揃っていたら、この結果が生まれていなかったかもしれない。試合巧者とは言えない日本だけに、やはりピッチ内での決まり事をどこまで設定できるかが重要だ。 ▽日本には「勝って兜の緒を締めよ」ということわざがある。運も味方したことで勝ち点3を得られたこのチャンスを活かすためには、浮かれてばかりは居られない。特に、守備面でのプランニングは重要だ。少ない相手に対しての守り方をみても、どこかチーム全体でちぐはぐさが見える。サイドでの追い込み方、中盤での立ち位置、プレスの強度…さまざまな感覚が異なるアフリカ勢との対戦を考えると、整理する必要は出てくる。 Getty Images▽次戦の相手は、ポーランドに勝利したセネガル。アフリカ人特有の優れたフィジカルに加え、整理された守備、破壊力抜群のカウンターを持っている。しっかりとプランを立て、ピッチ上で遂行することができるか。コロンビア戦の勝利に浮かれず、ここで得た課題を次戦までに振り返れば、グループ突破の可能性が見えてくるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.20 23:25 Wed
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【日本代表コラム】違和感を覚えるギャップ、“リアル”に考えられているか

▽日本代表は8日、ロシア・ワールドカップ前のテストマッチとして同じくワールドカップに出場するスイス代表と対戦。2-0で敗れた。5月30日に行われたガーナ代表との一戦と同じ2-0という結果。本当の意味での「手応え」は存在したのだろうか。 ▽西野朗監督初陣であったガーナ戦は[3-4-2-1]のシステムでスタートした日本代表だったが、スイス戦は[4-2-3-1]のシステムに変更。しかし、メンバーはMF山口蛍(セレッソ大阪)がDF酒井高徳(ハンブルガーSV)に変わったのみだった。 ▽ほぼ同じメンバーで2つのシステムを試したということを考えれば、3バック、4バックに固執しないという西野監督が目指すものは見えたと言っても良いのかもしれない。しかし、そこに「手応え」を感じているのならば、疑問符がつく。 ◆チーム内でも分かれる見解Getty Images▽試合後に語られたコメントではあるが、チーム内の見解は分かれている。トップ下で先発出場したMF本田圭佑(パチューカ)は「個人としてはチームとしては手応えを感じられる試合内容だった」とコメントした。 ▽一方でPKを献上し、2試合連続で2失点を喫しているDF吉田麻也(サウサンプトン)は「負けていますし、課題は多いと思います」と語った。当然、手応えを感じた部分はあるのだろうし、そうでない部分もあるのだろう。敗戦という結果だけで、収穫がゼロということはない。しかし、本大会直前でのテストマッチということを考えると、選手間の試合の受け止め方に差があることは気になる。 ▽選手個人の感じ方に差があることも当然であり、それは観る人によっても感想が違うことと同じだ。残り10日で初戦を迎える状況なだけに、しっかりとスイス戦を分析して、選手たちの見解を揃えてもらいたいものだ。 ◆違和感を覚える「手応え」Getty Images▽前半は対応の遅れからFWエンボロにドリブルで持ち込まれ、ボックス内で対応した吉田が倒しPKを与えてしまった。また、後半は大きな展開からボックス付近でのワンツーを許し、最後はファーから中央へと振られてあっさりと失点を喫した。 ▽試合を見ていて、失点の仕方には非常にまずい対応を感じた。取られるべくして取られてしまった失点に感じた。 ▽しかし、MF長谷部誠(フランクフルト)は、「失点の仕方が悪かった」と語りながらも、「やられたという感覚はそこまでない」と口にした。 ▽守備面では、4バックにしたことでオートマティックに動けていた部分はあっただろう。しかし、対応の甘さで2失点を喫したことは事実。これを「やられた感覚がない」というのは疑問符がつく。繰り返すが、2失点は事実だ。 ◆危険な理想論Getty Images▽日本代表の正守護神を務めるGK川島永嗣(メス)は2試合連続で2失点を喫しながら「一番大事なのは、点を取られないということ」と語った。もちろん、それは理想的な話だが、この発言には危険なにおいを感じた。 ▽確かに、無失点で終えることができれば、最低でも引き分け。勝ち点1を獲得できる。しかし、サッカーは点を取りに行くスポーツ。自分たちがいくら守りたくても、勝ちたい相手は点を取りに来る。 ▽ワールドカップのグループHでは、コロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表の順に対戦。3カ国と比べると、日本は4番手と見るのが現実だろう。つまり、残りの3カ国は日本戦での勝ち点3を計算に入れている。 ▽相手が得点を奪いに来るということは、確かに日本が攻めるチャンスが増えるだろう。しかし、相手の攻撃陣は軟弱ではない。ブンデスリーガの得点王であるFWロベルト・レヴァンドフスキ(ポーランド)、リバプールの攻撃の一翼を担うMFサディオ・マネ(セネガル)、そして前回大会の得点王でもあるMFハメス・ロドリゲス(コロンビア)。1人ずつピックアップしても、錚々たる面々だ。これに対し“点を取られない”可能性がどれだけあるのか。ガーナ、スイスの2試合で4失点を喫していることを考えれば、無失点は厳しいと言わざるを得ない。 ◆リアルに受け止められているかGetty Images▽守備の部分をピックアップしたが、攻撃面も気になる部分はある。選手、そして監督とも、攻撃面には大きな課題があると感じている。それぞれのコメントでも、課題にあげたのは攻撃面。しかし、“リアル”に問題点を受け止めているかが重要だ。 ▽前半は、守備面では確かに対応できていた部分もあり、中盤で良い形でボールを奪うシーンもあった。しかし、切り替えて攻撃を仕掛ける部分では、スピードが遅く、人数も掛けられずに、単調な攻撃に終わった場面が多かった。 ▽後半は、クロスを単純に上げるわけではなく、グラウンダーのボールや、本田、大島が相手のバイタルエリアに立ってパスを受けるシーンなどが見られた。しかし、そこにボールが入っても、崩しきる場面は皆無。1トップにFW武藤嘉紀(マインツ)、トップ下にMF香川真司(ドルトムント)が入ってからは、狭い局面でも裏を狙う動きが見え、一定の良さを見せた。 ▽しかし、決定的なシーンは90分間を通して一度もなく、シュートも枠外から。相手GKがヒヤリとする場面すらなかった。それが現実。課題は分かっているものの、それを“リアル”に感じられているかどうかだ。 ◆ある種の“手応え”Getty Images▽スイス戦をどのような立ち位置で考え、臨んだのか。本心まではわからないが、テストと捉えて課題をあぶり出したかったのであれば、“手応え”を感じるのかもしれない。しかし、そうであれば、パラグアイ戦、そして本大会では大きな変化が必要となるだろう。 ▽8年前の2010年南アフリカ・ワールドカップが例に挙げられているが、当時は結果が出ないことを受けてトップダウン的に方針転換。岡田武史監督はシステムも戦い方も変え、メンバーすら変更してベスト16という結果をつかんだ。果たして、その決断が下せるのか。決断を下すための“手応え”は掴んだかもしれない。 ▽初戦のコロンビア代表戦までは残り10日。本大会前に残されたのは、12日のパラグアイ代表戦の1試合のみ。「メンバーを固定してシステムを固定して精度を上げていこうという形ではなく、色々な可能性を求めています」と語り、バックアッパーの起用を示唆した西野監督。“リアル”に考えた結果なのか、そうでないのか。残された少ないチャンスを生かせないのであれば、厳しい現実が待っているだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.06.09 23:50 Sat
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【日本代表コラム】テストの場となった壮行試合、細部を詰められるか

▽「色々なトライはできた。ただ、それは勝つことを前提とした上でのトライ。結果が出ず、本当に残念」と試合後会見の冒頭で話した西野朗監督。初陣となったガーナ代表戦は、壮行試合として用意された舞台だったが、不安の残る結果となった。 ◆新システムをトライも…Getty Images▽新システムである[3-4-2-1]で試合に臨んだ日本代表。21日からスタートした合宿で取り組んできたが、1週間の準備期間では足りていない部分が散見。特に形を作るという部分では、まだまだな部分が多かった。 ▽まずは守備面。キックオフ直後のファーストプレーでは、右ウイングバックに入ったMF原口元気(デュッセルドルフ)の裏のスペースを突かれ、CKを与えてしまった。また、3バックを組んだDF吉田麻也(サウサンプトン)、MF長谷部誠(フランクフルト)、DF槙野智章(浦和レッズ)の3人に関しては、中央に入った長谷部がラインの高さやポジショニングについて積極的に声を掛けていたが、ハマった守備を見せたとは言いがたかった。 ▽ラインは基本的に低く設定されていたため、ロングボールを入れられる場面が多くなったが、中央の長谷部は競り合いに勝てず。右に入った吉田が競れていればというシーンは多かった。結果、ロングボールの流れから槙野がボックス付近でファウルを犯し、トーマスに直接決められ先制を許してしまった。 ▽2失点目も同様だった。後半早々に裏へのボールを出されると、長谷部が競り合いながらボックスに侵入。そこにGK川島永嗣(メス)が飛び出しファウル。PKから2点目を与えてしまった。 ▽1失点目とは異なるが、2失点目もDFラインとGKとの連携不足と言っていいだろう。3バックのポジショニング、GKとの守備時の約束事など、まだまだ細部を詰める必要がある。 ◆攻撃面も形がないGetty Images▽攻撃面も同様だ。前半は1トップにFW大迫勇也(ブレーメン)が入り、2シャドーにMF本田圭佑(パチューカ)、MF宇佐美貴史(デュッセルドルフ)が入った。トップの大迫にボールは収まるものの、その後の攻撃にはアイデアを欠いた。本田も試合後に「最後の部分におけるビジョンの共有が足りない」とコメント。しかし、それは想定内であり、準備期間の少なさが原因と分析していた。 ▽確かに、監督が代わったことで、選手の立ち位置や役割が変わり、今まで通りの感覚ではプレーできないのは事実だ。しかし、決め事があったかというと、そうでもないような印象を受けた。 ▽ボランチにMF大島僚太(川崎フロンターレ)を起用したこと、さらにシャドーに宇佐美と本田を起用したことを考えると、よりボールを保持して崩したい印象を受けた。現に、カウンターでの攻撃は数えるほど。基本的にはパスを繋いで崩すというスタイルを90分間崩さなかった。 ▽前半に関して、後方から大迫にボールを入れる形まではできているが、そこからどの様な攻撃を仕掛けるのか。宇佐美、本田がどのポジションをとるのか、ウイングバックに入ったMF原口元気(デュッセルドルフ)、DF長友佑都(ガラタサライ)はどこまで上がりを見せるのか。そのタイミングは…。まだまだ、明確な攻撃の形を作れているとは言えず、ガーナ戦は手探りに終わった。 ▽本田は「これから、“これでもか”ってぐらい詰めていかないと。次の試合でまた1個良くして、そのまた次で1個良くしてっていうイメージ」と語っており、本大会初戦の前に行われるスイス代表戦(6月8日)、パラグアイ代表戦(6月12日)の2試合で、より細部を詰めていくと意気込んだ。 ◆後半は完全なテストGetty Images▽前半は現状のシステムでのベストメンバーを起用したと見られる日本代表。後半頭から、MF香川真司(ドルトムント)、FW武藤嘉紀(マインツ)、DF酒井高徳(ハンブルガーSV)を投入した。香川は本田とともにシャドーの位置に入り、武藤は大迫に代わってトップへ。酒井高は原口と代わり右ウイングバックを務めた。 ▽後半立ち上がり、酒井高が原口よりも高い位置をとり、長友も積極的に上がったことで、ゴール前でのシュートシーンが増えた。しかし、崩しかけながらもシュートは決まらず。香川が2度迎えた決定機は、不発に終わった。 ▽その後、負傷明けのFW岡崎慎司(レスター・シティ)、クラブで出場機会がなかったMF井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、そしてMF柴崎岳(ヘタフェ)を投入。それぞれのコンディションとパフォーマンスのチェックを行うために起用したと考えていいだろう。 ▽岡崎は自身の持ち味でもある体を張ったプレーを見せたが、決定機には絡めず。また、井手口も試合勘のなさからか、ボールへの寄せの甘さなどが気になった。柴崎はボールを持てば狙いを持ったパスを前線に供給。随所にらしさを見せたと言えるだろう。ゴールに繋がるシーンを作れなかったことは残念だが、トライはしていた印象だ。 ▽一方、起用されなかったフィールドプレーヤーは、FW浅野拓磨(ハノーファー)、MF乾貴士(エイバル)、MF三竿健斗(鹿島アントラーズ)、DF植田直通(鹿島アントラーズ)、DF昌子源(鹿島アントラーズ)、DF酒井宏樹(マルセイユ)、DF遠藤航(浦和レッズ)の7名だ。 ▽乾は合宿前から抱えている負傷の影響があったと考えられるが、他の6名はコンディションには問題がなかったと考えていいだろう。試合の展開もあったが、テストする必要性がなかったとも考えられる。現在のシステムにおいて、それぞれの果たす役割は見えており、細部を詰める部分に関しては、メンバー発表後に行うのだろう。 ◆選ばれる23名は…Getty Images▽結果として0-2の敗戦。ワールドカップ前最後の国内戦であり、壮行試合であったことを考えると、やはり残念な印象が強い。開幕2カ月前に監督交代に踏み切ったのだから…という声が出るのも必然だろう。 ▽試合結果、内容に不安を覚えることはあるが、それでも23名は発表される。ガーナ戦に臨んだ26名から選ばれるのであれば、落選するのは3名だ。 ▽まず、先発した11名に関しては、23名の中に入ると予想される。1失点を喫し、得点を奪えなかったとは言え、ボールを保持して主導権を握るという形は見せていた。また、出場こそなかったがGK東口順昭(ガンバ大阪)、GK中村航輔(柏レイソル)も当確だろう。GK3枠を考えれば、川島を含めた3人になるはずだ。 ▽気になるのは控えメンバーだ。今回使った[3-4-2-1]のシステムを含めて考えると、センターバックはあと1人は必要となる。昌子、植田の2人だが、経験値を踏まえて昌子が選ばれるだろう。ファイタータイプの植田だが、3バックでは生きづらい。また、西野監督が口にした「ポリバレント」という言葉から考えても、外れてしまう。逆に、長谷部のポジションを考えると、遠藤はボランチだけでなく3バックの右、さらにはウイングバックもクラブでプレーしている。また、三竿もボランチだけでなく、3バックの中央でプレーが可能だ。植田よりは「ポリバレント」と考えていいだろう。 ▽また、サイドバックで起用されなかった酒井宏も23名に入るだろう。4バックのシステムも併用すると考えると、右サイドバックとして酒井宏がファーストチョイスとなるからだ。残りは6名だ。まず、後半から出場した中では武藤、岡崎、柴崎、酒井高は当確と見ていいだろう。大迫以外のFWとして武藤と岡崎は別のタイプとなり、シャドーストライカーとしても2トップの相方としても起用が可能だ。また、ボールを保持することを考えると、柴崎も確実に入るだろう。ゲームの流れを変えることも可能だ。そして、両サイドバック、ウイングバックができる酒井高も当確とみる。 ▽これで残すは2名だ。井手口、香川、乾、浅野の4名が残っているが、攻撃のカードとしては乾が残ると見る。ケガ具合だけが心配だが、そこを西野監督がどう判断するか。ケガが認められれば初戦の24時間前まで変更が可能となるため、一旦は選ばれる可能性が高い。そして最後の1名は、井手口を推す。スペインでは苦しい時期を過ごしたが、将来性と予選でのプレーぶりを見れば入れたい所。ボランチの選手が多くなってしまうが、ボールへの執着心と運動量を考えると、グループステージの3試合で起用する場面は訪れそうだ。 ▽一方で、落選と考える香川、浅野は、現状のシステムでは起用しにくい所が否めない。香川はパフォーマンスが上がっていなく、シャドーとしては生きにくいと考える。また、浅野のスピードは魅力的だが、前線の組み合わせを考えると浅野よりもプレーの幅が広がる選手を起きたい。 ▽いずれにしても、頭を悩ませるであろう西野監督。31日のトレーニングをキャンセルしたことを考えると、ガーナ戦で心を決めたのかもしれない。どのような決断を下すとしても、信念を持ち、最後まで自身のスタイルを貫いてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.05.31 13:30 Thu
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【日本代表コラム】疑問が生じ、疑念を抱かされた日本代表発表

▽18日、30日に行われるキリンチャレンジカップのガーナ代表戦に向けた日本代表メンバー27名が発表された。ロシア・ワールドカップ(W杯)に向けたラージリスト35名の提出期限が14日であり、そこから4日、8名が落選となった。 ▽27名の名前は、既にみなさんが把握している通り。ここから4名がさらに落選となり、本大会に臨むこととなる。様々な感情が生まれかねないメンバー構成となったが、まずは選ばれた選手たちには全力でプレーし、結果を求めてもらいたいということだ。 ▽本大会のGK登録が3名ということを考えると、GK川島永嗣(メス)、GK東口順昭(ガンバ大阪)、GK中村航輔(柏レイソル)はケガがない限りは確定している。アジア最終予選で日本のゴールを守り続けたGK西川周作(浦和レッズ)は残念ながら落選となった。 ▽つまり、ここから外される4名は全てフィールドプレーヤーということ。21日から始まる合宿、そして30日のガーナ代表戦、31日に予定されているトレーニングマッチでのパフォーマンスで最終決断がされることとなる。 ▽さて、話を戻すが、今回のメンバー発表にはいささか疑問が生まれる点、そして疑念を抱かさざるを得ない点があった。大会開幕まで2カ月となった時点でヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を突如解任することも疑問ではあるが、本来であれば応援してもらうはずの人々に、最後まで大きな不信感を抱かせたまま本大会に臨むこととなってしまう結末となりそうだ。 ◆負傷者情報の不足Getty Images▽疑問の1つ目は、負傷者の情報を把握できていなかったということだ。今回のメンバー発表で2名が外されていた。それは、MF今野泰幸(ガンバ大阪)とFW小林悠(川崎フロンターレ)だ。 ▽小林に関しては、発表当日の朝(18日)に負傷の報告を受けたとのこと。14日のラージリスト提出の時点でどうであったかはわからないが、ここは致し方ない部分もあるのかもしれない。 ▽問題は今野の方だ。西野監督は「リストを上げた翌日にそういう結果が出たので、やむなくリスト外としました」と会見で語ったが、手術が必要な状況にある選手の状況をなぜ把握できていなかったのか。クラブとの連係が悪かったとしか言えないだろう。貴重な候補の1枠を自らの手で手放したということは、日本サッカー協会としていかがなものかと思う。 ▽さらに、この時点でガンバ大阪からは今野の負傷については発表されておらず、手術を受けるという事実を公表して良かったのか。小林も同様だ。リーグ戦が1試合残っていた時点での公表という判断は疑問だ。(原稿執筆時点の20日でも発表はされていない) ◆クラブチームへの不可解な配慮Getty Images▽疑問の2つ目は、海外クラブへの配慮だ。西野監督は会見でFW久保裕也(ヘント)の招集について問われ、「自クラブで27日までプレーオフというシビアなゲームを控えています」と答えた。そもそも、ベルギー・ジュピラーリーグのプレーオフは20日までであり、スケジュールの間違いもあるが、それ以前に招集外の理由が疑問だ。 ▽クラブにとっての大事な試合があることは十分理解できるが、それを理由に選出しないというのは前代未聞だ。大事な試合があるから合流が遅れるのは理解できる。しかし、W杯に向けた準備をする中で、招集ではなく追加招集を考えるというのも疑問だ。理解し難い理由を並べたことは疑念も抱かさせることとなったと言える。 ◆判断基準となった「ポリバレント」Getty Images▽疑問の3つ目は、会見で西野監督が口にした「ポリバレント」だ。かつて日本代表を率いたイビチャ・オシム監督が使った「ポリバレント」。「多くの価値を持つ」という意味もあり、サッカーにおいてはユーティリティ性を表すときに使われる。 ▽その「ポリバレント」という言葉によって選外となったのが、FW中島翔哉(ポルティモネンセ)だ。今シーズンのポルトガル・プリメイラリーグで29試合に出場し、10ゴール12アシストを記録。左ウイングでの起用がメインだったが、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピックではトップ下でもプレーし、「ポリバレント」ではないとは言い切れない。 ▽一方で、招集を受けた選手が「ポリバレント」なのかと言われると、その印象がない選手も多い。例えば、FW浅野拓磨(シュツットガルト)だ。スピードが武器の浅野だが、基本的には右ウイングでプレー。2トップの一角でもプレーはできるが、「ポリバレント」とは言いがたい。 ▽そもそも、中盤や守備的なポジションの選手に対して「ポリバレント」であることを求めるのは理解できる。23名という限られたメンバーで、累積警告や負傷などで選手を欠くこともあるだろう。それを想定し、複数ポジションをこなす選手が居ることはチームにとってプラスだ。例えばMF遠藤航(浦和レッズ)はセンターバックだけでなく、ボランチ、右サイドバックでもプレーが可能だ。DF酒井高徳(ハンブルガーSV)は両サイドバックで起用可能であり、チームではボランチを務めていた時期もあった。 ▽逆に、攻撃的なポジションでプレーする選手は、「ポリバレント」というよりも、何か特長を持った選手が重要だと思う。スピード、テクニック、高さ…さらには、得点力、チャンスメイク、セットプレーと、戦い方によって必要な特長は変わるが、局面を打開する力を持った選手が必要だろう。 ◆選考基準の曖昧さGetty Images▽最後は、疑問であり、疑念を抱かせる選考基準だ。今回招集を受けた27名には、負傷明けの選手、クラブチームで出場機会に恵まれていない選手もいる。一方で、前述の中島以外にも、クラブで結果を残している選手が招集外となっている。 ▽例えば、久保。追加招集を示唆されているが、今シーズンはリーグ戦で30試合に出場し7ゴール2アシスト、プレーオフでは6試合で3ゴールを記録している。また、同じベルギーでプレーするMF森岡亮太(アンデルレヒト)は、リーグ戦で30試合に出場し10ゴール14アシスト、プレーオフでも9試合に出場し3ゴール1アシストを記録している。その他にも、MF堂安律(フローニンヘン)はエールディビジで29試合に出場し9ゴール4アシストを記録している。クラブで結果を残し、調子もコンディションも悪くない選手が選外となった。これは国内組にも言えることだ。 ▽一方で、選出された浅野はブンデスリーガで15試合1ゴール。しかし、2018年は1度も試合に出ていない。1月にガンバ大阪からクルトゥラル・レオネサへと移籍したMF井手口陽介は、5試合の出場にとどまり、2月18日を最後に試合に出場していない。 ▽浅野と同じスピードを武器とする選手ならば、FC東京のFW永井謙佑や柏レイソルのFW伊東純也の方がコンディション、試合勘はあるだろう。MF井手口陽介と同じボランチを務める選手は7名も招集されているため、ここは井手口のコンディションを考慮しているのかもしれない。 ▽出場機会や結果が有力な選考基準とはならず、コンディションさえも不確実な選手が優先される状況。選手にとっては4年に1度の大事なイベントとなるだけに、曖昧な基準が説明されたことが残念でならない。 ▽「間違いなく6月19日にワールドカップの大舞台で最高のコンディションになるであろう選手たちを自分の中でも予測した」と西野監督は口にしたが、試合に出ていない選手が1カ月を切った公式戦が少ない中で、トップコンディションに戻るものなのか。どのような勝算があるか分からないが、疑問が残る選出となった。 ◆将来性がなければ求められるのは結果Getty Images▽今回招集された27名のうち、リオ五輪世代以降の選手は7名となっており、決して若い選手が多いとはいえない。また、2014年のブラジル・ワールドカップに出場していたメンバーは12名が呼ばれている状況だ。 ▽全ての選手を一新する必要性はないが、選手の年齢を考えると、2022年のカタール・ワールドカップに繋がる選考とは言いがたい状況だ。加えて、若い世代でも活躍している選手がいる中で、招集を考慮していなかったことを考えると、これまでの3年間で多くの選手を試してきたハリルホジッチ監督を交代させた影響が出ているとも言える。 ▽結果を求めるために監督を交代したと田嶋幸三JFA会長は明言していた。経験豊富な選手を揃えたのであれば、より結果が求められることとなる。将来性を考慮しないのであれば、今大会で結果を残すことが最低条件となり、そのための時間はもう残されていない。いずれにしても、開幕2カ月前の監督交代から続く煮え切らない状況は、最後の局面を迎えても変わらなかった。求心力を失いつつある日本代表、今後の日本サッカーに与える影響は、国内にとどまらず、海外に向けても小さくはなさそうだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.05.20 18:45 Sun
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【日本代表コラム】“勝利”を求め、誰よりも勝利を求めたハリルホジッチ監督解任に思うこと

▽「1%でも2%でもW杯で勝つ可能性を追い求めていきたいと考えています」──9日、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が解任されたことが日本サッカー協会(JFA)から発表された。このコメントは、田嶋幸三会長が会見で話したもの。今回の決断が正しかったのかどうかは、2カ月後にしか分からないが、このコメントはどうにも納得がいかないもの。その他にも、納得のいく理由は出てこなかった。 ▽2014年のブラジル・ワールドカップではアルジェリア代表を率いていたハリルホジッチ監督。対戦相手のことを綿密に分析した結果、グループステージの3試合で戦い方を相手に合わせて変え2位通過。ラウンド16では同大会で優勝したドイツ代表を相手に90分間をゴールレスドロー。延長戦で得点を許し、2-1で敗れた。しかし、このドイツ戦の90分間も相手との力の差を考えつつ、アルジェリアの良さを引き出し善戦。その手腕を買われ、2015年3月に日本代表監督に就任した。 ▽就任時のJFA会長は大仁邦彌氏であり、技術委員長は霜田正浩氏(現レノファ山口FC監督)であった。協会内部の顔ぶれは当時とは異なるが、ハリルホジッチ監督就任時に霜田氏は「彼は勝利への執着心を要求しますので、そういった部分を日本にもたらしてくれればと思っています」とコメント。勝利にこだわる姿勢は、その後の3年間の振る舞いを見ていればわかるものだった。 ▽ハリルホジッチ監督は、ロシア・ワールドカップ アジア最終予選の初戦であるUAE代表戦で逆転負け。最悪の予選スタートとなったが、その後は結果を残しグループ首位で6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めた。 ▽予選中は様々な負傷者、主力選手の不調とエクスキューズがあった中、自身初となるアジア諸国との戦いにアジャストさせていくことも難しかっただろう。そんな中でも新たな選手を代表に招集するなど、しっかりと結果を残しながら、選手たちに経験値を積ませていった。 ▽何度も行われた代表合宿でも同じだった。初めて招集した選手が試合で使われないことも多かった。そのことに不満を持たれた方も多いだろう。しかし、トレーニングでは各選手に細かく動きを指導。戦術の部分はもちろんのこと、体の向きや距離感など、世界レベルで戦うために必要なことを事細かく選手に植え付けていた。各選手がチームに戻ってパフォーマンスが上がることを目にした方も多いのではないだろうか。少なくとも、ハリルホジッチ監督は日本代表を強くするために全力を注いでおり、それに応えるように成長する選手も多かった。 ▽ワールドカップ出場を決めてからの戦いを見ると、確かに結果が残せているとは言えないかもしれない。しかし、予選を戦った主力選手を外し、新たな選手を試していた。選手の調子を見極め、新たな戦い方も求めた。ワールドカップでの対戦国が決定してからはよりその動きが見られた。 ▽3月のマリ代表戦、ウクライナ代表戦は1分け1敗だったが、本番を想定してのテストマッチ。確認することが第一の目標だっただけに、結果よりも課題がハッキリすることの方が重要だったように思う。「臭いものに蓋をしない」スタイルのハリルホジッチ監督は、日本サッカーを発展させるには必要だった存在だと思う。 ▽勝利を求めた結果、勝利を誰よりも求めていたハリルホジッチ監督を解任させた日本サッカー協会。ワールドカップで結果を残すためにハリルホジッチ監督を解任したことよりも、この3年間積み上げてきたことの確認を放棄したことが、一番残念な決断だった。4年前も本番で真価を発揮してきたハリルホジッチ監督。日本サッカーを誰よりも知ろうとし、多くの選手をしっかりとチェックし続けた指揮官の退任は残念以外の何物でもない。3カ国に対するスカウティングの結果も見れないことは残念だ。 ▽西野朗新監督が率いるこの2カ月で、日本代表が何かが大きく変化することはないだろう。次の活動は5月の合宿。実戦は5月30日のガーナ代表戦までない。その後も、スイス代表戦、パラグアイ代表戦の2試合で本番に臨むことになる。勝つ確率が上がるかは不明であり、今回の決断には疑問しか残らない。しかし、監督交代を決断したからには勝算があると願いたい。 ▽最後に。この3年間、ハリルホジッチ監督が率いてきた日本代表を見続けてきた者として、ハリルホジッチ監督には心より感謝したい。ロシアの地で、ハリルホジッチ監督が指揮を執る日本代表を見たかったのが正直なところ。そして、ゴール、勝利を誰よりも喜ぶハリルホジッチ監督の姿を見たかった。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.04.09 23:45 Mon
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【日本代表コラム】「罠」に陥らず、足りないものをしっかりと認識できたのか

▽「完全に満足することはできないが、ポジティブなものも見られた試合」と試合後の会見で語ったヴァイッド・ハリルホジッチ監督。ベルギー遠征でのテストマッチ2試合は1分け1敗。本大会まで3カ月を切ったタイミングでのこの結果には、不安を抱く方が多いのは致し方ないことだろう。 ▽冒頭のコメントに関しても、「この時期にそれでいいのか」と思われている方も居るに違いない。確かに、その気持ちは理解できないこともない。ただ、それではこれまでと何も変わらないのではないか。個人的にはそう感じてしまう。 ◆「幻想」→「罠」Getty Images▽危機感がないわけでもなく、現状を楽観視している訳でもない。「幻想を抱いては罠に陥るだけだ」。ハリルホジッチ監督はウクライナ戦後に「罠」という言葉を使った。日本人が陥りやすい「罠」は、逆の意味もあると思う。 ▽マリ代表戦、ウクライナ代表戦と、ワールドカップ本大会を想定し、2戦目のセネガル代表、3戦目のポーランド代表を“仮想”して戦った。試合日程も中3日。結果は1分け1敗。この結果が本大会であれば、グループステージ敗退は確定に近い。 ▽ポジティブに捉えるならば、「本大会じゃなくて良かった」といったところだろう。あくまでもテストマッチ。結果が重要ではないとは言わないが、2カ月半後にピークを持って行くには、必要だったプロセスにも成り得るはずだ。もちろん、この先の改善が重要となる。 ▽しかし、日本サッカーを応援する人の大半の意見は冒頭でも触れた通り「不安」で一杯であり、「不満」も溢れてくるだろう。結果が出ていない以上、当然とも言える。ただ、それが「罠」でもあると考えられる。 ▽「面白いサッカー」、「試合を支配して華麗に勝ち切る」というような“幻想”を抱き、「結果が残らない」という“罠”に陥ることは容易に想像できる。一方で、ワールドカップで結果を残すということをリアルに考えた時、「本大会に影響しない勝ち点」を求めることが最重要なのかと問われれば、それは「イエス」と言い切れない。あくまでも、6月の3試合がメイン。そこで勝ち点を稼ぐための「準備」が今は求められるはずだ。 ◆必要なことは“継続”Getty Images▽マリ戦と比較すれば、ウクライナ戦はポジティブな部分が多かったと言える。2失点は喫したものの、“仮想”であるポーランド代表の特徴でもあるサイド攻撃は、決定機を作らせることは少なかった。もちろん、その数を減らすことは求められるが、サイドバック、ウイングの縦関係で一定の守備を行えていたことはプラスだ。 ▽トップ下で先発出場したMF柴崎岳(ヘタフェ)は、中央だけでなく、サイドにも顔を出すなど、精力的に動いていた。冷静なプレーも多く、柴崎の良さを出すことはできただろう。DF槙野智章(浦和レッズ)のゴールをアシストしたFKからのクロスも、精度は高かった。 ▽さらに、1-1で迎えた後半の立ち上がり、日本はプレス強度を高め、左サイドでトライアングルを形成してゴールに迫っていた。前半に比べ、左サイドバックのDF長友佑都(インテル)の攻撃参加も増え、良い入りを見せていた。しかし、時間の経過とともにウクライナが盛り返し、日本は単調な攻撃に逆戻りした。 ▽90分間常に100%のパフォーマンスを出すことは当然難しい。ただ、相手が嫌がるプレー、相手を上回るという部分は試合のポイントとなる時間帯では必要だ。この2戦を見ていても、どこかギアを変えるタイミングがなく、単調な攻撃で決定機を作れないまま90分が過ぎていった印象だ。トライしようとしていることが失敗に終わったからといってやめるのではなく、どこまで継続していけるのか。結果を出すための“継続”は必要だろう。 ◆攻守でハッキリと出た課題Getty Images▽昨年11月のベルギー遠征でのブラジル代表、ベルギー代表との2試合、そして今回のマリ、ウクライナとの2試合では、攻守でハッキリと課題が出た。ブラジル、ベルギー、マリ、ウクライナとワールドカップの出場に関係なく、アジアとは違うレベルでサッカーをするチームとの対戦では、通用しない部分が多かった。本大会に向けて危機感を抱くのもそれが理由だろう。 ▽攻撃面では、圧倒的にシュートが少ない。マリ、ウクライナを相手にしても、決定機と呼べるシーンはわずか。ただ、決定機を多く作ることが目的ではなく、ゴールを奪う事が目的にならなければいけない。ハリルホジッチ監督は「これでも多い」と語ったが、ワールドカップで対戦するコロンビア代表、セネガル代表、ポーランド代表を相手では、決定機を迎える回数は試合中に数えるほどだろう。そこでいかに効率よくゴールを奪うか。何度もハリルホジッチ監督が言う「直接FKからのゴール」もその1つと言える。 ▽シュートチャンスの形をイメージし、どの様に崩すかを考えることは多いだろう。ただ、それではゴールは決まらない。ゴールをどうやって奪うかまで考えた崩しでなければ、ワールドカップで結果を残すのは難しい。相手の守備を崩すことではなく、ゴールをどう奪うかまで見た攻撃を見たいものだ。 ▽そして守備面でもハッキリした課題があった。それは、『デュエル』だ。『デュエル』は一対一の局面に限らず、ピッチ上の様々な部分で起きている。マリ、ウクライナとの対戦では、人数をかけて奪いに行った局面でも、いなされてボールを繋がれていた。相手としては数的優位を作れる状況なだけに、いかにそういったシーンを減らすかが重要となる。 ◆良いイメージとメンタルコントロールGetty Images▽残り3カ月を切った時点で、フィジカル的に優位に立てる選手を探すことはまずムリだろう。ハリルホジッチ監督が口にしたように「ゴールのところで我々の瞬発力、スピード、リズムの変化、早いボール回し、前に向かう動き」が必要だ。 ▽しかし、これらのプレーがこの2試合にあったかといえば、ほとんど見ることができなかったはず。高いレベルの相手にどこまで、「ストロングポイント」を出せるかが、ワールドカップで結果を残せるかに繋がるはずだ。 ▽各選手のコメントなどを見ていると、選手間でのメンタル面での差が多く出ているように感じる。世界を相手にどの様に戦うのか。恐れてリスクを負わなければ、光が指すことはないだろう。監督と選手の信頼関係が重要にはなるが、まずは選手たちが「ストロングポイント」だと認識しなければ、良い結果は生まれないかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.28 15:00 Wed
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【日本代表コラム】仮想セネガルの“テストマッチ”で見えたもの

▽「現実を直視してトレーニングを続けなければならない」と試合後会見の冒頭で口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。仮想セネガルとして挑んだ試合だったが、課題が散見される結果となった。しかし、テストマッチであることを考えれば、発見できたことはプラスに捉えられるだろう。 ◆目を見張る大島の成長も無念の負傷交代Getty Images▽試合前日会見でMF大島僚太(川崎フロンターレ)について「就任した当初から追い掛けているが、当時からはるかに成長している」と語っていたハリルホジッチ監督。昨シーズンは川崎フロンターレの初優勝にも貢献したが、本来の力を発揮したと言える。 ▽ハリルホジッチ監督の下で日本代表デビューを果たした大島の初戦は2016年9月のロシア・ワールドカップ アジア最終予選の初戦、UAE代表戦。その後、日本代表から遠ざかり復帰した、2017年12月のEAFF E-1サッカー選手権では試合中の負傷で大会を後にした。 ▽最後のテストの場である今回のベルギー遠征に大島を招集したハリルホジッチ監督の期待は高く、スターティングメンバーとしてピッチに立った大島は、ダブルボランチの一角としてピッチに立つと、MF長谷部誠ともポジショニングの指示を出し合うなど良い連携を見せた。また、持ち前のテクニックと縦パスでギャップを作り出し、攻撃面でも1つ上のプレーを見せていた。 ▽しかし、今回も試合中に負傷。MF山口蛍と交代を余儀なくされたが、その後の攻撃面の変化を見ると、大島がマリ戦の序盤で見せたパフォーマンスが際立っていたように思う。 ▽Jリーグで結果を残し、大事な最後のテストの場に呼ばれた大島。またしても…と言われてしまうかもしれないが、ケガをしてしまったことは残念でならない。ロシアの地で日本に違いをもたらせることができる可能性を見せただけに、代表発表までの残り約2カ月は好パフォーマンスを維持してもらいたい。 ◆ビルドアップの問題をどう解決するかGetty Images▽今回は負傷のためにメンバー外となったDF吉田麻也(サウサンプトン)に代わり、DF昌子源(鹿島アントラーズ)、DF槙野智章(浦和レッズ)がセンターバックコンビを組んだ。 ▽吉田の相棒の座を争う国内組のセンターバックがアフリカ勢相手にどれほどの守備を見せられるかという点は注目だったが、大きなミスはなく、フィニッシュの部分でも体を寄せるなど、一定のパフォーマンスを見せていた。ただ、アフリカ勢特有の間合い、懐の深さやしなやかな身のこなしには苦労した部分も見えた。 ▽加えて、ビルドアップの面では課題を感じざるを得なかった。前線の選手の動き出し、中盤の選手のポジショニングも関わる部分ではあるが、コレクティブな守備を見せていたマリの前に、判断の遅さ、リスクを嫌う部分が散見され、後半の停滞につながった。 ▽特にボランチにつけるパス、横へのパスが目立ち、しっかりとブロックを作り、立ち位置がはっきりしていたマリの守備を崩すことに苦慮した。ワールドカップではよりレベルが上がることを考えると、ビルドアップの精度は上げる必要があるだろう。 ◆前線の核は大迫。宇佐美、本田、中島は持ち味出すGetty Images▽1トップとして先発したやFW大迫勇也(ケルン)は、前線のターゲットマンとして機能。また、サイドに開いたプレーも、自身のパフォーマンスを見せていた。このままいけば、セネガル戦も大迫が軸となるだろう。 ▽また、途中出場で日本代表デビューを飾ったFW中島翔哉(ポルティモネンセ)は投入当初こそ遠慮する部分も見えたが、最後の同点ゴールまでの流れはさすがだった。ハーフウェイライン付近でパスを受けると、3人に囲まれながらも得意のターンで振り切りフリーに。ドリブルで持ち上がり左サイドへ展開すると、最後は三竿のクロスに合わせて代表デビューゴールを奪った。 ▽仕掛けが特徴でもある中島の色が出たプレー。ポルトガルで身につけた自信を、結果としてピッチで残せたことは大きいだろう。ワールドカップで勝ち上がるチーム特有の“ワンダーボーイ”的な役割を担う可能性もある。 ▽そして、久々の代表復帰となったFW本田圭佑(パチューカ)もパフォーマンスは悪くなかったように思う。ドリブルでの仕掛けなどで相手に防がれてしまう部分はあったが、ボールが収まること、周りを使うプレーに関しては問題なかった。先発という立ち位置を約束されない可能性は高いが、劣勢である試合をコントロールするという点では、経験値を含めて重要な役割を担うだろう。 ▽さらに、先発出場を果たしたFW宇佐美貴史(デュッセルドルフ)も久々の代表戦ながら調子の良さを見せていた。左サイドでコンビを組んだDF長友佑都(ガラタサライ)とのコンビは良好。独特の間合いを持つ宇佐美は、一対一の局面でもアフリカ勢の間合いに負けることはなかった。ゴールという結果は出なかったが周りを使うプレーに磨きがかかった印象。コンビネーションを生かしたプレーこそ宇佐美の真骨頂であり、激戦区である左ウイングのポジションでも新たな可能性を示したと言えるだろう。 ◆悲観しすぎることはないGetty Images▽当然のことながら、テストマッチとは言えど勝利することに越したことはない。結果を出すことは1つのプラス材料だが、勝利したことに満足感を得ることもまた危険だ。 ▽不用意なPKで失点することは、ワールドカップでは当然起こりうる。ビハインドの状況で戦う機会も、グループステージの相手を見れば3試合ともあり得る話だ。その中で、どうやって盛り返すかも重要になる。 ▽マリは4年後のワールドカップ出場を目指すこともあり、前半からしっかりと試合に入っていた。若い選手が多かったものの、想定以上に組織立っていた守備を見せ、日本が各局面で苦労したのも事実。アフリカ勢特有のプレー範囲など、多くを体験できたことも大きいだろう。ハリルホジッチ監督としても、セネガル相手にどのような戦いが必要か、どの選手が通用するかもある程度見えたように思う。「今日は深い分析をしたくない」と語ったものの、ヒントは得ているはずだ。 ▽本番は6月の本大会。事前のテストマッチで結果を残した時ほど、日本のワールドカップ本大会での結果は芳しくない。課題をしっかりと把握し、どこまで改善させられるか。ウクライナ戦もポーランドを想定した試合になるが、どこまでのテストができるかに注目だ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2018.03.24 15:00 Sat
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【日本代表コラム】惨敗に見えた脆さ…Jリーグでも散見される「受け身」の守備

▽「韓国の方が日本を大きく上回っていた」と試合後の記者会見で最初に口にしたヴァイッド・ハリルホジッチ監督。その言葉通り、様々な部分で日本は韓国に遅れをとっていた。 ▽結果は1-4で惨敗。韓国相手に4失点を喫したのは38年ぶりの屈辱的な出来事とのこと。その要因は、メンタルコントロールと判断力の欠如だった。 ◆絶好の入りも…Getty Images▽立ち上がり1分、日本は推進力を持ってプレー。左サイドを突破したDF車屋紳太郎が左足でクロスを上げると、飛び込んだFW小林悠がヘッドで合わせた。ゴールこそならなかったが、川崎フロンターレでも見たことのあるプレー。入りは悪くなった。 ▽そしてちょうど1分を迎えるところ、小林のフリックからMF土居聖真がダイレクトで前につなぐと、右サイドから走り込んだFW伊東純也が倒されPK獲得。小林がしっかりと左隅に決めて、幸先良く先制した。 ▽各選手の良さが出て、結果的にPKで先制。絶好の立ち上がりを見せた日本代表だったが、この試合で良かったのはここまでだった。スイッチが入った韓国に押し込まれると、立て続けに3失点。韓国のインテンシティの高さに後手を踏んでしまった。 ◆上がらないインテンシティGetty Images▽先制を許した韓国は、ギアを上げてプレー。日本の守備陣は受け身になってしまった。日本としては、インテンシティを上げてきた韓国に対し、ボールを保持して時間を使うこと、そして同じレベルまでインテンシティを上げることが必要だった。 ▽インテンシティが上がらない理由の1つは、「選手のポジショニング」と言えるだろう。先制後、韓国のミスもある中で主導権を握れなかった日本は、推進力に押され最終ラインが下がってしまった。また、アンカーのMF今野泰幸も最終ラインに吸収されてしまうようなシーンが多く、プレス強度が上がらなかった。 ▽相手の攻撃に対し、「受け身」になってしまうことで、人数的に足りていても、インテンシティが保たれない守備となってしまう。その場合、選手が余っているにも関わらず、マークの受け渡しが上手くいかないことが起こりやすい。ボールホルダー、ボールそのものを追ってしまうことになっていた。 ▽プレスをかけ、相手を追い込むことで、パスコースを限定する、または無理なボールを蹴らせるということができる。しかし、受け身になることで相手に主導権を渡し、攻撃陣に自由を与えてしまう。特に、2列目の選手がプレスをかけずに引いてしまったことで、全体的に重心が後ろになっていった。その結果は失点シーンにも表れている。 ◆数的有利でも抑えられないクロスGetty Images▽例えば1失点目のシーン。日本はボックス内に4人の選手(今野泰幸、三浦弦太、昌子源、車屋紳太郎)がいた。韓国は3人。イ・ジェソンはこぼれ球を狙う位置におり、キム・ミヌは後方からニアに走り込む役回り。ターゲットはキム・シンウクのみだった。しかし、そのキム・シンウクにフリーの状態でヘディングで決められてしまった。 ▽この失点に関しては、1つはクロスを上げたキム・ジンスへの寄せの甘さ、そしてもう1つがマークの受け渡し、つまり選手のポジショニングが問題だった。 ▽マークで言えば、DF植田直通がボックス脇のイ・グノに、キム・シンウクに対しては昌子が付いていた。今野は飛び込もうとしているキム・ミヌを警戒、車屋はイ・ジェソンを見ていたと考えられる。ボックスの外には、MF倉田秋も下がってきていた。 ▽この場面、1つ前のプレーでは伊東のプレスによりサイドのキム・ジンスへパスが出された。しかし、ここはノーマーク。MF井手口陽介はイ・グノへのパスコースを切っていたのかもしれないが、植田がしっかりと付いていたことを考えれば、キム・ジンスへのアプローチを早める必要があっただろう。 ▽そしてクロスへの対応も同様だ。このシーンではDF三浦弦太は数的に余っている状況。三浦も競りに行くことは可能だった。そして、車屋はキム・シンウクの背後にいたことを考えれば、体を寄せることはできたはずだ。しかし、警戒していたキム・シンウクと競り合ったのは昌子のみ。身長差と状況を考えれば、決められてしまうのは必然だった。 ◆失点シーンに見えるJリーグの脆さGetty Images▽問題点は、クロスを簡単に上げさせてしまうこと、そしてボックス内での競り合いで優位性を保てないことだ。こういったシーンはJリーグでも良く見られる。サイドからのクロスを長身FWが頭で合わせる。数的に勝利していても、決められてしまう。Jリーグを普段見られている方であれば、シーズン中に何度も目にする光景だと思う。 ▽特に、サイドハーフが中に入ってプレーした時のサイドバックの上がりに関しては、脆さを見せる傾向にあるだろう。サイドハーフ、ボランチ、サイドバックと、どの選手が対応するのかが不明確になりやすい。 ▽失点シーンも、伊東、井手口、植田の右サイドの3人の守備に疑問が残る。韓国の左サイドバックに対してのマークは誰が見るべきだったのか。イ・グノに対して植田が付いていたが、三浦でもよかったはずだ。そうなれば、植田がキム・ジンスにつけるだろう。また、もう1つ前のプレーで伊東がプレスに行ったが、伊東がキム・ジンスを追いかけ、井手口がプレスに行くことも可能だったはずだ。しかし、受け身になっていたためにスタートポジションが下がっていたため、伊東がプレスに。キム・ジンスがフリーでクロスを上げられる状況となった。 ▽ゴールにはならなかったが、19分の韓国のカウンターも同様だ。CKからカウンターで逆襲を受けると、右サイドをキム・ジンスが突破。昌子が対応すると、中央へ折り返される。これに対し、遅れて上がってきたボックス手前のキム・シンウクがダイレクトシュートを放った。このシーン、昌子がキム・ジンス、三浦は後方から上がってきたキム・ミヌを警戒。しかし、キム・シンウクは完全にフリーだった。植田は余っており、井手口もキム・ジンスを追うのではなく、キム・シンウクに付くべきだっただろう。 ▽急造チームであること、連携面に不安を抱えていることは事実だ。しかし、普段からできているプレーをすることはできたはず。先制後に自然と「受け身」になってしまい、全体的にどう守るかをピッチ上で判断できなかったことは残念なポイントの1つだ。 ◆ピッチ内でのメンタルコントロールGetty Images▽守備面にも関わることではあるが、もう1つ気になったのは、メンタルコントロールができなかった点だ。1-1に追いつかれた後、日本は焦りからか攻め急ぐチーンが多く見られた。 ▽韓国も決して良いパフォーマンスとは言えず、パスミスから日本にボールを渡してしまうシーンも少なくなかった。しかし、攻め急ぎ、縦への意識が強いあまり、すぐさま韓国にボールを渡すシーンが散見された。 ▽スピードのある攻撃を求めること自体は悪くないが、試合の展開を読むことができれば、ポゼッションを高め、オープンな展開を止めることもできたはず。しかし、その勢いに身を任せたことで、韓国に押し込まれるだけになってしまった。 ▽経験値が少ない選手が多い中、ピッチ上でコントロールできる選手がいなかったことも残念だ。本来であれば今野がその役割を果たすべきだったかもしれない。しかし、今野もまた韓国の勢いに飲まれていたようにも見えた。メンタルコントロール、そして中国戦でも気になった「判断力」の面では、チーム全体としての未熟さが出てしまったようにも思う。 ◆それでもわずかな収穫Getty Images▽4失点での大敗となれば、得られたものは多くはない。それでも、先発した土居聖真や途中出場の阿部浩之といった、自分の普段通りのプレーを出せている選手もいた。土居は前線で競り合うだけでなく、プレスの質や仕掛ける姿勢を見せていた。阿部も出場時間は短いが、周りを使うプレー、そして自分が生きようとするプレーを見せていた。 ▽ワールドカップは日韓戦以上にメンタルコントロールが重要となる。浮き足立たずにプレーできる選手がいるというのは、ポジティブな材料だろう。日本代表デビューとなったMF三竿健斗も、落ち着いたプレーを見せ、繋ぎ役に徹するだけでなく、積極的に前に出て行く場面が見られた。 ▽北朝鮮戦で好パフォーマンスを見せたGK中村航輔は、この日も良いパフォーマンスを見せていた。4失点とはいえ、どれもセーブのチャンスは少なかったと言える。それ以上に、失点を防いだシーンが見受けられた。代表出場2試合目のパフォーマンスとしては申し分ない。 ▽「この大会で2勝できたことは一定の結果」と語るように、北朝鮮戦、中国戦で粘りながら試合を進め、勝利できたことはプラスだ。韓国戦の惨敗が印象強く残るが、3試合を通じての収穫はあった。 ▽ワールドカップに臨むレベルかどうかはさておき、Jリーグ勢である程度戦えること、そして足りないものが多く見えた。そういった点でも、収穫はゼロではない。 ▽次の代表戦は3月。その前にJリーグは開幕する。各選手がクラブに持ち帰り、自身の今後のプレーにどう繋げるかが最も重要だ。東アジアで通用しなかった部分を見つめ直さなければ、ロシア行きの切符も掴めないだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.17 15:00 Sun
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【日本代表コラム】デビュー組が見せた可能性、意識が変化も違いを生む“判断力”

▽北朝鮮戦に続いて、我慢の展開が続いた中国戦。終盤の2ゴールで2-1と勝利し、連勝を飾った。中2日での試合となったが、北朝鮮戦と比べると、選手の意識が格段に向上した一戦だったように思う。 ▽北朝鮮戦では、前線こそ最終ラインの裏を狙う動きを繰り返したが、後方からの縦パス、裏を狙ったパスがほとんど見られることはなかった。しかし、この試合では前線の動きに対し、後方からの積極的なパスが見られた。選手構成を代えたことも、大きく影響したように思う。 ◆代表デビュー組が見せた新たな可能性Getty Images▽北朝鮮戦から7選手を入れ替えた日本代表。DF植田直通(鹿島アントラーズ)が右サイドバック起用されるというサプライズに加え、DF三浦弦太(ガンバ大阪)、DF山本脩斗(鹿島アントラーズ)と、最終ラインはDF昌子源(鹿島アントラーズ)以外は代表デビュー戦となった。さらに、左サイドに緊急招集を受けていたMF土居聖真(鹿島アントラーズ)を起用。5名が日本代表デビューを果たした。 ▽この試合で最も驚きだったのは植田だ。鹿島では昌子とセンターバックでコンビを組み、U-23日本代表でもセンターバックでプレー。日本代表合宿では右サイドバックに入ることもあったが、あくまでもトレーニングだと思われていた。しかし、この日は右サイドバックで先発。中国の左サイドの攻撃に対する守備と高さへの対応かと思われたが、植田は攻撃面で力を発揮した。 ▽右サイドからのアーリークロスや、縦パスを意識的に狙うシーンが目立ち、22分には意表をついたクロスからFW小林悠(川崎フロンターレ)が合わせるもゴールならず。65分にはFW伊東純也(柏レイソル)とのワンツーから絶妙な抜け出しを見せ、あわやというクロスを送った。守備面では何度か攻め込まれるシーンはあったが、代表デビュー、右サイドバックということを考えれば及第点以上の活躍だった。 Getty Images▽そして、センターバックとしてプレーした三浦もまずまずの出来だった。G大阪で見せるフィードは味方につながるシーンは少なかったが、狙いとチャレンジは評価できる。守備面でも冷静な対応や、高さの勝負でも問題ない部分を見せた。繋ごうとしすぎるあまり、終了間際のPK献上のきっかけを作ってしまったが、経験を積めば解消されるだろう。大崩れしなかった点は、プラス材料だ。 ▽左サイドバックの山本は、持ち前の対人守備の強さを披露。最後のPK献上は残念だったが、後半は積極的にボックス付近まで上がってプレー。32歳での代表デビューとなったが、これまでの経験をしっかりと日本代表のピッチで披露した。そして、同サイドでプレーした土居もサイドからカットインするプレーなど、攻撃面で違いを見せた。デビュー戦としては上出来だといえる。 ◆意識が変わった攻撃Getty Images▽前述の通り、初戦の北朝鮮戦に比べて、ハリルホジッチ監督が求める裏への動き、スペースを使った動き、縦に早い攻撃を仕掛けるシーンは増えていた。 ▽インサイドハーフに入ったMF大島僚太(川崎フロンターレ)は、相手ディフェンスの間に顔を出し続け、ポジショニングの良さを見せた。ボールに絡む回数を増やし、1トップに入った小林とのコンビも見せていた。大島が入ったことで、攻撃面の前への意識は上がり、縦や裏を狙うシーンは増えた。27分にミドルシュートを放った時に左ハムストリングを負傷し、MF井手口陽介(ガンバ大阪)と交代。残念な交代となったが、自身の持ち味は出せていた。 Getty Images▽また、大島に代わって入った井手口も、北朝鮮戦以上に攻撃面での持ち味を出せていた。高い位置を取ったこともあり、前からの守備、そして前線に上がっていくシーンが増えた。また、高いシュート意識を見せ、ミドルシュートを連発。相手ディフェンスの意識を自分に向けることができ、周りの攻撃陣は試合が進むごとに動きやすくなった印象を受けた。攻撃面に関しては、最終戦の韓国戦で更なる進化に期待したい。 ◆気になる試合運びGetty Images▽攻撃の意識が変わり、終盤まで粘った展開からの勝利。プラス材料は多いといえる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「すごく美しい勝利だった。しっかり良いプレーができたと思う」と試合後に語っていた。確かに、連勝を飾れたこと、そしてプレーが改善されたことはプラスだ。 ▽一方で、気になる部分も北朝鮮戦に続いて見えてきた。それは、「プレーの判断」だ。これもJリーグでプレーしていることが多少影響しているといえる。最後のPKを与える前のプレーもその1つだ。特に守備面では、ライン外に蹴りだすのか、繋ぐのか、ロングボールを蹴るのか、ハッキリしなければいけないシーンでの判断が気になるシーンもあった。Jリーグに比べ、国際舞台では相手のプレスのスピードや強度が変わってくる。そういった場面での判断力のスピードに関しては、さらにレベルアップする必要があるだろう。 ▽そして、攻撃面ではペースを変えられず一辺倒になってしまうことだ。裏を狙う、縦パスを入れるというプランを遂行するために、意識の変化は見られた。しかし、そのために何度も同じ形で攻撃を仕掛けるあまり、相手の守備も対応ができ、前半の30分過ぎからは中国の押し込まれる時間帯が続いてしまった。 ▽また、狙い過ぎるためにセカンドボールへの反応や、プレスの強度が下がる傾向も見られた。試合の流れをスムーズにすることができたものの、まだまだ課題は残されている。何れにしても、ピッチに立っている選手の“判断”が重要となる。 ▽得点シーンは、その“判断”が上手くいった例だろう。1点目は、ルーズボールを拾ったMF倉田秋(ガンバ大阪)がパスを狙う前に、ターンして前を向いた。これにより、FW川又堅碁(ジュビロ磐田)への縦パスが入り、最終的には小林がネットを揺らした。小林も、川又の衛星的な役割を意識していたために、あのゴールが生まれた。 Getty Images▽2点目も同様だ。昌子の鮮やかなロングシュートはお見事だったが、その前のボール処理が素晴らしかった。胸トラップし、相手が近くにいたにもかかわらず、1つ前に持ち出した。そのおかげでシュートチャンスが生まれ、右足を一閃。スーパーゴールが誕生した。個々人の良い判断は見えてきたが、チームとして出せるようになるまでは時間がかかるだろう。試合運びでも巧者ぶりを見せることができなければ、最終節の韓国代表戦は、これまで以上の厳しい戦いとなるに違いない。 ▽ワールドカップで戦うということを考えても、判断の選択、判断をするスピードというのは必須の能力となる。Jリーグでは、全体的に判断のスピードが高くなく、多少遅くても対応できてしまう場面が多い。しかし、その能力を身につけることができれば、より自身の特徴をだすことができ、ワンランク上の選手になれるはずだ。韓国戦に勝利すれば、2大会ぶりの優勝となる。2年前は惨敗に終わっているだけに、最後もしっかりと勝利し、タイトルを獲得したいところだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.13 07:30 Wed
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【日本代表コラム】Jリーグでのプレーによる弱点が見え隠れした北朝鮮戦

▽6月に開幕するロシア・ワールドカップに向けた最後のアピールチャンスとなるEAFF E-1サッカー選手権。日本代表は、初戦の北朝鮮代表戦で薄氷の勝利を収めた。結果だけを見れば、終了間際のラストプレーで挙げたゴールで1-0の勝利と厳しい評価を下すこともできる。 ▽しかし、状況を考えればしっかりと勝利を収めたこと、そしてデビュー戦となった選手における収穫があった試合と言える。Jリーグ勢が世界で戦うために必要なことも明確になっただろう。 ◆明暗分かれたデビュー戦Getty Images▽この試合で最もインパクトを残したのは、日本代表初出場となった柏レイソルのGK中村航輔だ。説明の必要もないだろうが、この試合の中村は北朝鮮の決定的なシュートを連続してセーブ。日本のクリーンシートに大きく貢献し、土壇場での勝利を呼び込むプレーを見せていた。 ▽日本代表デビュー戦ということを考えれば、緊張をしてもよかったはず。しかし、中村のプレーぶりは通常運転そのもの。セービングだけでなく、セットプレー時の指示なども、柏で見せるものと変わりなかった。特筆すべきはポジショニングの良さだろう。好セーブを連発したことはポジショニグも関係しており、自身の力を発揮したと言える。 Getty Images▽そしてもう1人、途中出場となったFW伊東純也(柏レイソル)も持ち味を発揮していた。右サイドに入った伊東は、縦への仕掛け、そして右サイドの守備でも貢献。左サイドで組み立てる時間が多かった前半に比べ、日本が右サイドを使うこともできた。北朝鮮が引いていたこともあり、前半はスペースがあまりなかったが、伊東のプレーの選択も含め、右サイドを活性化できたのはプラス材料だ。 Getty Images▽一方で、DF室屋成(FC東京)、MF阿部浩之(川崎フロンターレ)はもう少し良さを出すこともできただろう。室屋はいきなりの先発デビューとなり、ポジショニングの良さなどを見せていた。しかし「5、6回不要なファールをしています。もちろん、アピールしたいというところでのファールだったのでしょうが、未熟さも出たかと思います」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が試合後に語ったように、不慣れな部分も出ていた。それでも、ポテンシャルの高さは感じさせた場面は随所にあり、連係が上がれば攻撃面でも違いを出せるだろう。 ▽阿部はプレー時間が短かった部分もあるが、左サイドバックのDF車屋紳太郎、トップ下のFW小林悠とは川崎フロンターレでもチームメイト。左サイドを中心にもう少し違いを生み出せることが期待された。決勝点に繋がったシーンでは、FW川又堅碁(ジュビロ磐田)への絶妙なパスを出したが、もう少し長い時間のプレーが見たいところだ。 Getty Images▽久々の代表戦となったDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)はまずまずの出来だった。谷口は対応を誤るシーンも多少はあったが、DF昌子源(鹿島アントラーズ)との補完性は高く、無失点で試合を終えられたことはプラスだ。FW金崎夢生(鹿島アントラーズ)はポストプレー、サイドに流れてスペースを空ける動きと従来のプレーを見せていた。ハリルホジッチ監督の要求とは少し違ったようだが、持ち味は出せていた。 ◆Jリーグでのプレーによる弱点Getty Images▽Jリーガーで構成される今回の日本代表。初めて日本代表に招集され、連係がままならないという点も考慮すべき部分はたくさんある。しかし、北朝鮮戦では気になるシーンがあった。1つはリスクを冒すパスを出せないことだ。 ▽この試合では前半、金崎が1トップに、トップ下にMF高萩洋次郎(FC東京)、右サイドに小林、左サイドにMF倉田秋(ガンバ大阪)が入った。[4-5-1]で2列のブロックを敷く北朝鮮に対し、高萩が間に入ってボールを受けようとしていた。そして、金崎もライン間でポストプレーを、小林はラインの裏への動きを繰り返していた。しかし、後方から3名にパスが入るシーンはほとんどなかった。 ▽基本的な攻撃は左サイドから。車屋が高い位置を取り、倉田とともにボールを運んで組み立ててていく。しかし、効果的なボールが入ることは少なく、時間をかけている間に北朝鮮のブロックが形成されていった。「縦に早いサッカー」ということをハリルホジッチ監督は予てから口にしていたが、その部分が見られるシーンは少なかった。前半では15分に今野からの縦パスを金崎がフリック。倉田はオフサイドとなったが、形としては素晴らしかった。 Getty Images▽鍵を握るのは「ボランチ」に入る選手になるだろう。Jリーグを見ていても、効果的に「縦パス」を入れられる選手は少ない。そして、裏を狙うボール、サイドで作った上での逆サイドへの展開というものも、あまり見られるものではない。北朝鮮戦でも、サイドチェンジなどをする場面は見られたが、パススピードが遅かったり、パスが前に出ないためにスピードダウンしたりと、効果的なプレーにつながるシーンが少なかった。 ▽ワールドカップで戦うことを考えれば、ピッチ上でのスピードアップやリスクを負った仕掛けというのが必要となる。Jリーグでもトップクラスの選手が集まったチーム。連係面が不足しているとはいえ、リスクを冒すプレーがあまりにも少なく感じた。普段から行えていないことは、指示を出されていてもなかなか簡単にできるものではない。中国、韓国との2試合では、イニシアチブを握るという意味でも、リスクを冒したプレーが見たいところだ。 ◆即効性はなくとも継続が重要Getty Images▽残りは2試合、チームとしての活動も限られたものがある。最大の目標はロシア・ワールドカップで結果を残すこと。しかし、その先も日本サッカーは止まることなく、世界と戦う場で結果を残すことを目標に進んでいく。 ▽そういった面で考えれば、Jリーガーが普段のプレーで足りていない部分を感じること、そして国際舞台でプレーすることで感じるものはプラスに働くはず。ワールドカップに向けたメンバー選考の場であることには変わりないが、日本サッカー、Jリーグの底上げのためにも重要な機会となる。 ▽「次の試合では選手を入れ替えながらやっていきたいと思っています」とハリルホジッチ監督が語っているだけに、次の中国戦では北朝鮮戦とは違うメンバーが名を連ねるだろう。その結果、連係面は上がらない可能性はあるが、積み上げたものは無駄にはならないだろう。選手の能力は高い。あとは、そこにどれだけ対応できるか。今大会を通じて、Jリーガー勢がどこまでアジャストしていけるのか、注目していきたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.12.10 23:55 Sun
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【日本代表コラム】今見たい! EAFF E-1サッカー選手権に呼んで欲しい国内組日本代表23名を選出

▽日本代表にとって、2017年の最終戦となるEAFF E-1サッカー選手権2017。ロシア・ワールドカップに出場する日本代表にとっては、貴重なテストの場であり、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督にとっては新戦力発掘の場となる。 ▽今大会は、中国、韓国、北朝鮮と東アジアの3カ国と対戦するが、日程の関係により海外組を招集することはできない。国内組で編成される今回の日本代表。29日にそのメンバーが発表されるが、その前にJリーグでのプレーを参考に23名をポジション別に選出してみた。 ▽なお、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグで優勝した場合、同時期にUAEで開催されるクラブ・ワールドカップに出場するため、浦和の選手は選外としている。 GK 東口順昭(ガンバ大阪/31) 権田修一(サガン鳥栖/28) 中村航輔(柏レイソル/22) Getty Images▽まずは守護神だ。東口順昭、権田修一、中村航輔の3名を選出した。日本代表にも招集され続けている東口、11月の欧州遠征からは外れたがそれまで呼ばれていた中村は順当だろう。中村に関しては、日本代表でもプレーを見たいところだ。 ▽そして本来であれば、西川周作(浦和レッズ)が入ると考えられるが、前述の通り選外とし、アルベルト・ザッケローニ監督の下では日本代表に選出され続けていた権田を呼んでもらいたい。鳥栖に復帰した今シーズンは、幾度となくチームを救うプレーを見せ、ショットストップは衰えていないはずだ。 DF 松原健(横浜F・マリノス/24) 小池龍太(柏レイソル/22) 車屋紳太郎(川崎フロンターレ/25) 吉田豊(サガン鳥栖/27) 昌子源(鹿島アントラーズ/24) 植田直通(鹿島アントラーズ/23) 三浦弦太(ガンバ大阪/22) 中谷進之介(柏レイソル/21) Getty Images▽続いてDF陣。サイドバックは左右で2名ずつを呼んでもらいたい。右サイドバックには松原健、小池龍太、左サイドバックには車屋紳太郎、そして吉田豊を推薦したい。 ▽松原は今シーズンから横浜FMでプレーし、リーグ戦25試合に出場。シーズンが進むにつれて守備面での改善も見られ、スプリントも問題ない。また、今シーズンから柏でプレーする小池も気になる存在だ。ポジション取り、オーバーラップのタイミング、そしてクロスと攻撃センスは抜群。守備面でも対峙するサイドアタッカーを封じる試合も多く、初のJ1挑戦にして結果を残している。 ▽また、左サイドバックには10月、11月と日本代表に招集されている車屋、そして豊富な運動量と不屈のメンタルを持つ吉田を推したい。車屋は長友佑都(インテル)の控えとして計算されており、このタイミングで国際舞台での経験値を積みたいところだ。そして吉田は、長友と同タイプのサイドバックとして計算が立つ。攻撃センスも申し分なく、鳥栖で見せているプレーを代表で見せて欲しい。 ▽その他、サイドバックの候補としてはリオ五輪代表の室屋成(FC東京/23)、U-20W杯に出場した20歳の初瀬亮(ガンバ大阪)といった両サイドができる若手もいる。初瀬は両足で蹴ることができ、G大阪ではキッカーも務めるほどの精度を誇っている。室屋も一列前での起用が可能で、スプリント力とスタミナは示している。代表入りの可能性もゼロではないだろう。 Getty Images▽センターバックは、日本代表に招集されている昌子源、植田直通、三浦弦太の3枚に加え、新戦力として中谷進之介を推したい。昌子、植田、三浦の3選手は、本大会のメンバー入りをかけた大事な大会となるだろう。槙野智章(浦和レッズ)が2番手に浮上してきた中、ここでアピールをしっかりしたいところだ。 ▽これまで招集歴がないところでは、中谷を推薦したい。柏で最終ラインを統率し、20歳の中山雄太をリードしている。吉田麻也(サウサンプトン)という絶対的な存在がいる現状、相棒として組めば、中谷のコントロール能力とカバー能力は日本代表でも生かされるはずだ。中山は左利きという利点もあったが、個人的に中谷を推したい。 ▽その他、左足の高精度キックを持つ福森晃斗(北海道コンサドーレ札幌/24)、右サイドバックとしても計算が立ち、“デュエル”の強さを持つ高橋祥平(ジュビロ磐田/26)、そして高橋と同じ磐田で出色のパフォーマンスを見せている大井健太郎(33)も気になる存在だ。 MF 山口蛍(セレッソ大阪/27) 三竿健斗(鹿島アントラーズ/21) 井手口陽介(ガンバ大阪/21) 倉田秋(ガンバ大阪/28) 原川力(サガン鳥栖/24) 清武弘嗣(セレッソ大阪/28) Getty Images▽続いて中盤。現状の日本代表のシステムを考え、アンカーとインサイドハーフ2枚という観点で選出した。アンカーとしては山口蛍と三竿健斗の2名を選出した。 ▽山口はすでにその能力も計られており、あえて招集しないという選択肢もあるかもしれない。しかし、チームを作ることを考えれば、長谷部誠(フランクフルト)の代わりにアンカーを務める可能性もある山口は外せないだろう。チームの軸として、今大会を過ごして欲しい。 ▽そして、もう1人が昨シーズンから鹿島でプレーする三竿だ。東京ヴェルディユース出身の三竿は、今シーズン途中からダブルボランチの一角としてプレー。大岩剛監督は、三竿を軸にレオ・シルバ、小笠原満男、永木亮太を使い分けている状況だ。まだ21歳と将来性も高く、“デュエル”の強さはある。攻撃面での迫力不足はあるが、アンカーとしての働きはU-23日本代表でも見せていただけに、このタイミングで招集してみるのもプラスと考えた。 ▽その他、アンカー候補には堀孝史監督就任後に本領を発揮し始めている青木拓矢(浦和レッズ)なども挙げたいところ。クラブ・ワールドカップに出場しないとなれば、ぜひ呼んでもらいたい選手の1人だ。 Getty Images▽インサイドハーフには井手口陽介、倉田秋のガンバコンビに、清武弘嗣、原川力を選出した。井手口、倉田は言うまでもなく、日本代表としての経験を積ませたいところ。よりチームの中心となってプレーすることで、1ランクアップを目指したい。 ▽そして、ケガで長らく日本代表から遠ざかっていた清武の復帰を希望したい。ゲームを作れ、流れを変えられる清武。C大阪での最近のプレーを見ると、本来のパフォーマンスを取り戻していることが見て取れる。元海外組として、今大会の中心となる活躍を期待したい。 ▽さらに、リオ五輪代表では主力だった原川を呼んでもらいたい。今シーズンは鳥栖でプレーする原川だが、走力がついただけでなく、攻撃センス、流れの中での組み立ての参加など、試合を積むことで伸びている印象だ。さらに、プレースキックの精度も抜群。直接FKで3ゴールを挙げており、ハリルホジッチ監督が苦言を呈する「FKからのゴール」も久々に誕生する可能性は高い。 ▽その他には、左利きのゲームメーカーである天野純(横浜F・マリノス)や運動量、カバーリング、攻撃参加と持ち味はハリルホジッチ監督好みの福田晃斗(サガン鳥栖)、福田よりもより攻撃面での違いが出せ、ボック・トゥ・ボックスのプレーが可能な川辺駿(ジュビロ磐田)も見てみたい選手だ。 FW 杉本健勇(セレッソ大阪/25) 都倉賢(北海道コンサドーレ札幌/31) 伊東純也(柏レイソル/24) 遠藤康(鹿島アントラーズ/29) 金崎夢生(鹿島アントラーズ/28) 江坂任(大宮アルディージャ/25) Getty Images ▽最後は前線だ。センターフォワードには杉本健勇と都倉賢を推したい。センターフォワードには強さ、高さ、ゴールに向かう意識を考え2人を選出した。 ▽杉本は今シーズンのJ1で得点王を争っており、日本代表としても経験を積んでいる。今大会でよりその得点力に磨きをかけてもらいたい。そして都倉も同様だ。身体の強さはもちろんのこと、想像を超えたシュートを放つことはチームでも見せているもの。日本人離れしたスケールを感じる。同じ左利きという点では川又堅碁(ジュビロ磐田/28)も考えられるが、よりチームに入り込めそうな都倉を推したい。 Getty Images ▽そして右ウイングには、快足で相手DFを翻弄する伊東純也、そして日本人らしからぬプレーが持ち味の遠藤康を推したい。伊東のスピードは言わずもがな。シュート精度も悪くなく、仕掛けのタイミングも良いものを持っている。そして遠藤。まるで南米の選手かと思わせるようなテクニック、そしてアイデアはJリーグの中でも随一。左利きという点もあり、日本代表に入ることでどのような化学反応を見せてくれるのかが気になる。南米やアフリカに弱い日本だが、遠藤のイマジネーションがあれば相手を翻弄することも可能だろう。 Getty Images ▽左ウイングに推したい金崎夢生は、ゴールへの執着心、そして前線でタメを作ることができるタフさだ。センターフォワードとしても計算が可能で、泥臭くボールを追いかけ、ゴールを奪う姿勢はこのタイミングでもう1度見たいところだ。もう1人の江坂任は、卓越した運動能力の高さに期待したい。175cmと上背はないものの、跳躍力に秀でており、ヘディングで合わせる能力が高い。ラインの裏に抜ける動きもでき、サイドハーフながらもゴールが狙え、ゲームメイクも大宮では見せている。より得点を獲ることに集中できれば、大化けする可能性も秘めており、似たタイプとしては小林悠(川崎フロンターレ)か。今シーズンゴールを量産している小林も候補には入るだろう。 ▽今回は23名に絞り、さらに浦和の選手は除いた中でメンバーを選考した。現時点ですでに日本代表のベースは作られており、より上の相手と対戦した時に戦える、通用する可能性がある選手を見出したいはずだ。Jリーグで気になった選手を実際に手元に置くことで、直接判断が下される今大会。選出される選手は、最後のチャンスだと考え、持っているものを全て出して欲しい。日本代表のメンバー発表は、29日に行われる。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.25 20:00 Sat
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【日本代表コラム】“世界”で戦うために必要なもの

▽ブラジル代表に続き、世界トップクラスの力を持つベルギー代表を相手に善戦した日本代表。「大きなライオンを倒すところまでいった」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語ったように、ブラジル戦に比べれば前半から戦えていた。 ▽しかし、欧州遠征2試合を見れば2連敗。仮にこれがワールドカップの本大会だったとするならば、日本のグループステージでの敗退は限りなく濃厚になったと言える。運良く3チームが1勝ずつで並ぶ可能性はなくはないが、厳しい状況には変わらない。手放しでは喜べない結果だ。 ◆前半からハイプレスが機能Getty Images▽ブラジル戦は前半から押し込まれる展開となり、「蛇に睨まれた蛙」とでも表現できるパフォーマンスだった。気がつけば3失点と試合の大勢を決められてしまった。 ▽しかし、ベルギー戦は立ち上がりからプレスがハマり、決定機も作れていた。失点シーンはシュートを警戒しすぎたのか、ボックス付近で簡単に突破を許してしまったが、それ以外は水際で体を張ってブロックするなど、守備面での改善は見られた。 ▽特にメンタル面で崩れることが少なく、「選手たちはブラジル戦の後、ブラジルと対等とまではいかないが、戦えるということに気付いた」とハリルホジッチ監督が明かしたように、最後まで戦う姿勢を見せていた。 ▽1試合を通してのハイプレスは難しいが、プレス強度をベルギー戦では使い分けていた。しかし、選手の距離感はまだ怪しい部分も多い。さらに、先発したメンバーと途中出場のメンバーでは、プレスのクオリティに大きな差が出たように感じた。ハイレベルの相手との試合では、途中から試合に入る難しさはあるだろう。しかし、その力は本大会で必ず必要になるだけに、守備面での意思統一はこの先も強化しなければいけない。 ◆一瞬の隙が命取りにGetty Images▽前半を何とか無失点で終え、後半も無失点で試合を進めていたが、一瞬の隙を突いてやられた。ボックス手前でボールを持ったシャドゥリが一気にスペースを突いて4人を置き去りに。クロスに対し、ルカクが飛び込んで先制点を許した。 ▽シュートを打たれる意識があったからか、このシーンではプレスがかかっていなかった。突破されても…という考えがあったのかは分からないが、深くえぐられてのクロス。そして決め切るルカク。一瞬の判断ミスが、失点を招いた。 ▽DF槙野智章を中心に、守備面で粘り強さを見せられていただけに、もったいない失点でもあった。ただし、W杯になれば一瞬でも隙を見せると命取りになる。そのことをこの2試合で体感できたことは、少なからずプラス材料だろう。 ◆足りないのは「スピード」Getty Images▽その他にも気になったポイントは横パスだ。1点ビハインドとなってから、日本は選手交代も含めてギアチェンジ。全体的に攻撃に比重をかけていく。ベルギーは自陣に引いて守備をする場面もあったが、横パスや緩いパスを常に狙い続け、インターセプトから一気にゴール前まで持ち込むシーンも見られた。 ▽また、交代直後のFW杉本健勇が粘って独走し、シュートまで持ち込んだシーンも同様だ。抜け出しまでは良かったものの、最後のところでのスピードアップができなかった。そして、ストライカーとしてシュートの判断は悪くなかったが、より判断のスピードが上がれば、並走していた原口元気も見えたはずだ。W杯本大会ではより少なくなる可能性がある決定機。それを逸することの大きさを感じただろう。 ▽Jリーグが悪い、レベルが低いという訳ではない。しかし、ヨーロッパのトップリーグと比べれば、1つ1つのプレーのスピード、判断のスピード、局面が展開するスピードは大きく違う。「普段なら問題ないプレー」がW杯で戦うのであれば、「問題あり」になってしまう。様々な面で、日本サッカー界全体としての「スピードアップ」はこの先の大きな課題だろう。 ◆12月は世界で戦える選手の選考Getty Images▽「この12月の中で国内組から代表に入るかどうかの決断をする」とハリルホジッチ監督は試合後に語った。12月に国内で開催されるEAFF E-1サッカー大会。国内組で構成される日本代表は、本当の意味でのサバイバルになる。 ▽ハリルホジッチ監督の下で合宿を経験している選手、国内組として常に代表に招集されている選手、そして日本代表としては未知数な選手…。Jリーグでのパフォーマンスを下に、新たな顔ぶれも少なくは無いはずだ。しかし、そこで求められるのは“世界”で戦えるかどうか。国内だけで通用する選手では、本大会のメンバー入りは難しいかもしれない。 ▽今回の欧州遠征には、これまで日本代表を支えてきたMF香川真司やFW岡崎慎司、MF本田圭佑は招集されなかった。ある程度計算できる部分もありながら、満足行くパフォーマンスでないことはそれぞれの選手も理解しているだろう。 ▽しかし、ヨーロッパのトップリーグでの経験値は高い。フィジカル面、テクニック面もさることながら、メンタル面ではより“世界”で戦えるはずだ。その部分も上回れる選手が国内組から現れるならば、日本代表としては本大会に向けて明るい材料になるだろう。基準は“世界”。その点を踏まえ、12月の大会を楽しみに待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.15 21:45 Wed
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【日本代表コラム】痛感させられた差、ブラジルが見せた日本に必要なもの

▽結果を見れば1-3と敗戦。内容を見ても、レベルの差を痛感させられた一戦となったブラジル代表戦。しかし、日本代表にとって意味のない試合だったかと言われれば、それは大きな間違いだ。 ◆流れを断ったVARだが…Getty Images▽日本は前半に流れを寸断されるVAR(ビデオアシスタントレフェリー)の判定により、PKが与えられ、ネイマールに先制ゴールを許した。レッドカードに相当するシーンや、得点に直接関与するシーンの判定で用いられることが通例だったが、時間をおいてのビデオ判定。そして、吉田麻也にはイエローカードが提示され、PKもブラジルに与えられた。出鼻をくじかれた感は否めない。 ▽しかし、VARは今後さらに導入され、こういった場面は増えてくるだろう。時には、理不尽な使われ方が起きる可能性もある。しかし、それでも対応していかなくてはいけない。日本代表の選手の心情に“揺らぎ”が生まれ、浮き足立ってしまったのは残念だった。 ▽それは守備面で特に見られた。この試合は、立ち上がりから相手陣内も含めて日本はプレスの強度を高めた。しかし、ブラジルの選手はそのプレスを回避。レベル差を感じさせられる場面は多かったが、日本がプレス強度をより強めれば、ファウルとなった。その結果、2度目のPKを献上。これはGK川島永嗣が見事に防いだが、その流れのCKから最後はマルセロに強烈なミドルシュートを叩き込まれ、あっという間にリードを2点に広げられた。浮き足立つことの恐ろしさを、選手たちは体感したはずだ。しかし、ここで体感できたことはプラスだと考えられる。 ◆バランス、チームとしての規律Getty Images▽日本が苦しめられた点を他にも挙げるなら、前線の強力なパワーもあるが、最も差を感じたのはバランス感覚だ。フェルナンジーニョ、カゼミロ、ジュリアーノの3枚で構成されたブラジルの中盤、マルセロ、ダニーロの両サイドバックは特にだ。攻守におけるブラジルのバランス感覚、そして規律を持ったプレーは、日本を苦しめた。 ▽カゼミロがアンカーのポジションでバイタルエリアを封鎖すれば、フェルナンジーニョとジュリアーノは機を見て前線の3枚と絡み、日本のボックス内にまで侵入した。両サイドバックも左のマルセロが攻撃に比重を置く中、ダニーロは守備を重点に。前線の3枚も流動的に動き、日本を翻弄した。 ▽ブラジルは個人技に優れている部分が目立ち、実際にペースを落とした後半は日本が主導権を握る場面も多く見られるようになった。しかし、チッチ監督によりチームが規律を持ち、ブラジルらしからぬ守り方も前半は見せていた。個に頼る部分が随所に残されているものの、規律まで身につけられてしまっては歯が立たなくなってしまう。 ◆お手本のようなサッカーGetty Images▽もう1つ挙げるとすれば、ブラジルが日本のやりたいことを体現している場面が多く見られたことだ。プレス回避の仕方、中盤のバランスの取り方、そして後方からの追い越し…攻守の切り替え、そして縦に早いサッカーが見られた。 ▽長谷部誠、山口蛍、井手口陽介とボールを奪え、攻撃に転じられる3枚で中盤を構成した。しかし、ブラジルは井手口、山口のプレスを上手くいなし、それによりできたスペースを使った。その後の攻撃は、後方の選手が前線を追い越し、数的有利を作って日本ゴールを脅かした。日本も本来であれば、中盤の高い位置でボールを奪い、後方から追い越す縦に早い攻撃を仕掛けたいはず。しかし、ブラジルに見事にやられてしまった。 ▽特に3点目のガブリエウ・ジェズスのゴールが良い例だろう。左サイドから中央にパス。そのまま右サイドに展開されると、ダイレクトのクロスをファーサイドに走りこんだガブリエウ・ジェズスに決められた。日本も似たようなシーンを作ることは多いが、枚数の不足や展開の遅さ、クロス精度の低さなど基礎能力の面での差も大きい。フィニッシュの部分は、やはり精度を上げなくてはいけない。 ▽前半は攻守の切り替えを早くすれば精度が落ち、精度を上げれようとスピードを落とせばすぐに対処されるというシーンが続いた。両方を一度に上げることは簡単ではないが、ハリルホジッチ監督が当初から掲げていたスタイルは、世界で戦う上では必要だということをまざまざと見せつけられていた。 ◆後半には収穫もGetty Images▽前半は苦戦した日本だったが、後半は手応えを感じられるシーンが増えた。ブラジルが3点リードしたことでパフォーマンスが落ちたことは大いにあるが、スペースを使い、サイドをずらし、危険なシーンを何度も作った。 ▽浅野拓磨が後半開始から起用されると、マルセロの裏のスペースを活用。右サイドから崩しにかかったが、ネイマールとの対峙に奔走していた酒井宏樹のサポートが少なかったこと、アタッキングサードでの精度が低かったことでゴールが生まれなかった。 ▽また、途中から起用された乾貴士、森岡亮太は違いを見せた。2人が入ることで中盤と前線の連動性がより高まり、ブラジルのバランスを崩すことができた。攻撃センスの高い両選手は結果こそ出せなかったものの、光るものは見せた。 ▽特に後半アディショナルタイムのワンプレーは見事。森岡が中盤でダイレクトスルーパスを送ると、高い位置を取っていた酒井宏樹に渡り、深い位置からの折り返しがフリーの浅野に。ゴールには繋がらなかったが、崩しという点ではこの試合で1番の出来だった。浅野に冷静さが加われば、後方に構えた乾がダイレクトで…というタラレバはあるが、ポジショニング、スピード、そしてイメージの共有があれば、ブラジル相手でも崩すことが可能であるという一面を見せられたことは大きい。 ◆ベルギー戦でもチャレンジをGetty Images▽日本がアジアとの対戦で見せるプレーとは異なっていた試合。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が求める“デュエル”の勝率こそ高くなかったが、チーム全体としてボールホルダーへのプレスの強度は悪くなかった。しかし、バランスが崩れたこと、そしてブラジルが何枚も上手だったことで、今回の結果に繋がったと思う。 ▽ワールドカップは格上の相手ばかり。日本が戦えないことはないが、戦い方を間違えれば大敗もあり得る。しかし、相手に対しての有効な策を見出すことができれば、十分に勝機はあるのも事実だ。それだけに、“デュエル”と“縦に早いサッカー”というハリルホジッチ監督が掲げるものは残りの8カ月で高めなくてはいけない。 ▽次の相手は格上であるベルギー。ホームでの開催であり、現チーム初となるブルージュでの試合となる。川島、森岡、久保裕也とベルギーとも関わりある選手が居る日本代表。これまでの対戦成績では勝ち越しているが、今のベルギーは別物だ。目標はワールドカップで勝ち上がること。そのためにも、ブラジル戦を生かし、現在地をしっかりと測る試合をしてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.11.11 12:57 Sat
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【日本代表コラム】欧州遠征に呼ぶべき4選手…日本代表へのススメ

▽31日、欧州遠征に臨む日本代表メンバーが発表される。今回の欧州遠征では、最新のFIFAランキング(10月16日発表)で2位につけるブラジル代表と、5位につけるベルギー代表と対戦。どちらもロシア・ワールドカップ(W杯)に出場することが決定しており、日本にとっては現在地を測るためにはこの上ない相手となる。 ▽W杯では、4カ国が1つのグループに割り振られるが、基本的に南米+欧州、または欧州の2カ国と同居することになる。ブラジルとベルギーはFIFAランキングでトップ8に入っているため、本大会で同居することはないが、同等レベルの国との対戦は避けられないため、このタイミングでのマッチメイク、さらにアウェイの地で試合が行えることはプラスと考えられる。 ▽そんな日本代表は、ケガの影響もあったMF長谷部誠(フランクフルト)やFW岡崎慎司(レスター・シティ)、MF本田圭佑(パチューカ)ら海外組の一部選手を10月の2試合に招集しなかった。上記の3選手ともにクラブチームでは結果を残しており、今回の欧州遠征には復帰する可能性も高いだろう。 ▽一方で、ここまでのマッチメイクが今後行えることは考えにくく、12月のEAFF E-1東アジアサッカー選手権のあとは、3月まで試合が行われない予定だ。そうなれば、本大会に向けた選手選考の場が限られている上に、実戦で試す場も限られている。そこで、今後のスケジュールも考え、今回の欧州遠征に招集すべき4選手をピックアップする。 ◆MF森岡亮太(ベベレン/ベルギー)Getty Images▽まず1人目は、今シーズンからベルギー・ジュピラーリーグに所属するMF森岡亮太だ。今シーズンの森岡は、加入1年目ながらすでにチームの中心として活躍。リーグ戦ではここまで全13試合に出場すると、6ゴール8アシストを記録。チームは9位と振るわない位置にいるが、気を吐いている状況だ。 ▽ヴィッセル神戸時代から武器にしていた仕掛けや攻撃センスに加え、得点力にも磨きをかけている森岡。日本代表ではMF香川真司やMF倉田秋が現在の代表では同じポジションになると考えられ、MF清武弘嗣も入る可能性があり、割って入れるかに期待が懸かる。 ▽森岡はハビエル・アギーレ監督時代の2014年に代表招集を経験し、ブラジル代表とも対戦している。ベルギーで行われる試合ということを考えれば、3年ぶりの日本代表復帰に期待したい。 ◆MF長澤和輝(浦和レッズ)Getty Images▽2人目は、ここに来て持ち味を発揮し出色のパフォーマンスを続けている浦和レッズのMF長澤和輝だ。ジェフユナイテッド千葉への期限付き移籍から復帰した今シーズン、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下では出場機会が得られなかったが、堀孝史監督の下で出場機会を得ると、水を得た魚のように好パフォーマンスを継続している。 ▽持ち前の攻撃力に加え、ハリルホジッチ監督が求める“デュエル”の強さを発揮。アグレッシブなプレースタイルも踏まえれば、日本代表のインサイドハーフとしてプレーしているのを見たくなる。12月の国内組で臨むEAFF E-1東アジアサッカー選手権の招集はあり得るが、浦和がAFCチャンピオンズリーグで優勝した場合はクラブ・ワールドカップが控えており、招集は見送られるはずだ。そうなれば、長澤を見る機会がなくなるため、このタイミングでの招集がベストだと考える。 ▽専修大学からケルンへ加入し、欧州のサッカーも経験。少し遠回りになったかもしれないが、日本代表としてもキーマンになれる可能性を秘めている。 ◆MF中島翔哉(ポルティモネンセ)Getty Images▽3人目は、リオ・デ・ジャネイロ オリンピック代表でもあり、今シーズンからポルティモネンセに移籍したMF中島翔哉だ。FC東京から海を渡った中島は、当初フィジカル面の問題が危惧されていた。しかし、蓋を開けてみると持ち前の得点力を発揮。ポルトガル・プリメイラリーガで6試合に出場し、4ゴールを記録している。 ▽U-23日本代表時代にも見せていたドリブル突破、仕掛けの部分はトップクラス。激化している左ウイングのポジション争いに名乗り上げるのに十分だ。将来性を考えても、本大会に起用したい世代。欧州遠征という貴重な機会にメンバー入りしてもらいたいところだ。 ◆MF南野拓実(ザルツブルク)Getty Images▽そして最後は、ザルツブルクで奮闘するFW南野拓実だ。今シーズンはケガもあり、ここまでオーストリア・ブンデスリーガで7試合の出場で1ゴール。過去2シーズンのパフォーマンスを考えると、まだまだ物足りない印象だ。 ▽しかし、持ち合わせているポテンシャルの高さは知られた通り。右ウイングに本田を呼ばないのであれば、南野を見たいところだ。ハリルホジッチ監督の下では2015年11月に招集を受けており、2年ぶりの代表復帰に期待したい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.10.31 12:50 Tue
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【日本代表コラム】「バランス」、「新戦力」に不安…深刻な“3番手”不足

▽「監督になって最悪の試合」「本当に謝罪したい」──ハイチ戦を引き分けた後の記者会見で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は繰り返し、この言葉を発していた。 ▽豊田スタジアムで行われたニュージーランド代表戦を2-1で勝利した日本は、その試合からDF長友佑都(インテル)、DF槙野智章(浦和レッズ)以外の9名を変更。フレッシュな顔ぶれが並び、ハイチ戦がスタートした。果たして「バランス」、「新戦力」、「結果」はどうだったのか。 ◆崩れたバランス…カギは「アンカー」Getty Images▽倉田秋(ガンバ大阪)の2戦連発弾、杉本健勇(セレッソ大阪)の代表初ゴールで幸先良く2点のリードを奪った日本。しかし、2点目を獲って以降は決定機を生かすことができず、その後に逆転される事態となった。 ▽この日は中盤から前が初めて組むメンバーが多く、攻撃も単調に終わる場面が散見された。さらに、意思の疎通が取れていないようなプレーも見られ、徐々に歯車が噛み合わなくなっていった。 ▽特に気になったのは、アンカーの位置に入った遠藤航(浦和レッズ)だ。インサイドハーフに小林祐希(ヘーレンフェーン)、倉田秋(ガンバ大阪)を配置したことで、守備面での貢献が求められた遠藤。序盤は鋭い出足でボールを奪う場面も見られたが、徐々に立ち位置が不安定になっていった。 ▽クラブでプレーするポジションとは違うという点もあるが、U-23日本代表ではプレーしていたポジション。しかし、小林や倉田との息が合わないプレーが目立ち、ピッチ上で檄を飛ばされるような場面も。安定感をもたらせられなかったことで、徐々にハイチにペースを握られてしまった。 ▽遠藤だけでなくメンバーを多く入れ替えたことで、チームを立て直すことができない部分も多く見られた。レギュラーと考えられる15名程度の選手と比べ、全体的にチグハグさが目立った印象だ。原口元気は「自分よりチームのバラバラ感が強かった」と試合後にコメントするほどだった。 ◆新戦力は多く起用も、目に留まった選手はなしGetty Images▽前述のとおり、普段試合にあまり出ていない選手が多く出場したこの試合。結果を見ても分かる通り、チームに違いを見せていた選手は少なかった。杉本が初ゴールを決めたことや、ニュージーランド戦で途中出場ながら決勝ゴールを決めた倉田が2戦連続でゴールを奪ったことなどは高材料だ。 ▽また、代表デビューとなった車屋紳太郎(川崎フロンターレ)が左利きの左サイドバックらしさを発揮し、決勝点に絡むプレーを披露。久々の出場となった酒井高徳(ハンブルガーSV)が積極的に攻め上がり、同点ゴールを呼ぶシュートを放つなど、好材料がなかったわけではない。 ▽しかし、改めてレギュラー組との差を感じさせられ、底上げが急務となるポジションがいくつかあることも浮き彫りとなった。「何人かの選手の弱さ、脆さに、ちょっとガッカリしている」とハリルホジッチ監督が語ったように、ポイントである“デュエル”で負けているシーンも多く見られた。 ▽残された期間は8カ月。国内外の選手が集まれるチャンスはそう多くない状況で、このような試合をしてしまったことは、チーム強化に“ストップ”をかけられてしまった感覚だろう。しかし、改めて問題点を明確にされたことをプラスに捉えることもできる。「全ての面でトレーニングしなければいけないことが、たくさんある」とハリルホジッチ監督も語った通り、レベルアップが各個人に求められる。 ◆土壇場でなんとかドローに持ち込むGetty Images▽2点差をひっくり返されてしまった日本は、大迫勇也(ケルン)、香川真司(ドルトムント)を続けて投入。攻勢に出る采配を振るい、その香川が最後にゴールを決めた。 ▽失点を喫してからというもの、チグハグさが消えなかった日本だったが、徐々に既存の選手を起用することで安定感が増し、終盤は押し込み続けていた。決して褒められる結果ではないが、敗戦を回避し、追いついたという部分はプラスにも考えられる。しかし、結果を残したのが既存のメンバーだったことは、テストという点では物足りなかった。 ◆浮き彫りになった“3番手”不足Getty Images▽キリンチャレンジカップサッカー2017の2試合を通じて、多くの選手を起用したハリルホジッチ監督。しかし、改めてレギュラー組と控え組の差が浮き彫りになった印象だ。特に、“3番手”の選手が不足している感が否めない。 ▽例えば、センターバック。吉田麻也(サウサンプトン)が不動の1番手であり、昌子源(鹿島アントラーズ)が2番手に付ける格好だ。しかし、それまでは森重真人(FC東京)が吉田をコンビを組んでいたこともあり、現状での3番手が不透明だ。2試合フル出場を果たした槙野は、まずまずのパフォーマンスだったが、特にハイチ戦は満足していい内容ではなかった。植田は出場の機会がないまま終わり、依然として“3番手”が決まらない。 ▽アンカーも同様だ。ニュージーランド戦でアンカーを務めた山口蛍(セレッソ大阪)、さらにヒザのケガの影響も考慮して招集外となった長谷部誠(フランクフルト)は安定したパフォーマンスを見せている。ダブルボランチでもアンカーでも起用できる2人。しかし、ここも“3番手”が不在だ。遠藤のパフォーマンスは追試の対象となるだろう。新たな戦力がこのポジションに割って入る可能性も十二分にあるだろう。 ▽センターフォワードも同じことが言える。今回は招集外となった岡崎慎司(レスター・シティ)、ニュージーランド戦で先発し、ハイチ戦も途中出場した大迫は軸に成り得る。しかし、杉本は不慣れな1トップの動きを体現できていない。Jリーグでゴールを量産しているだけに、日本代表のやり方をモノにできればいいが、現時点ではテストを続けることになるはずだ。 ▽「私には13人から15人、しっかりプレーしてほしい選手がいる」とハイチ戦の前日会見でハリルホジッチ監督はコメントしていた。つまり、11人の先発と交代で起用する可能性のある選手は目処を立てているということの表れでもある。15人と考えれば、残る枠は8名。“3番手”に成り得る選手、または1番手、2番手を追い越す選手が現れることが、日本のベースアップにつながるだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.10.11 23:15 Wed
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【日本代表コラム】サバイバルがスタート、NZ戦で見えた可能性と課題

▽大粒の雨が降りしきる中、日本代表はキリンチャレンジカップ2017でニュージーランド代表を相手に、2-1で辛勝した。決してレベルの高い試合だったとは言えないが、試合前に提示した3つの注目ポイントである「バランス」、「新戦力」、「結果」に対しては、一定の評価を下せる内容だった。 ◆久々の出場で結果を残した槙野智章(C)CWS Brains,LTD.▽ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、ニュージーランド戦の先発メンバーに3名のフレッシュな選手を起用した。1人は2年ぶりの先発出場となったFW武藤嘉紀(マインツ)、1人はセンターバックとして2015年11月以来の出場となったDF槙野智章(浦和レッズ)、そして4試合ぶりの出場となったMF香川真司(ドルトムント)だ。 ▽3選手ともに日本代表には招集されているため、目新しさはないもの、スターティングメンバーとして名を連ねるのは久々。槙野はフル出場を果たし、勝利に貢献していた。 ▽DF吉田麻也(サウサンプトン)とのコンビは、前述の2015年11月17日に行われた、ロシア・ワールドカップ アジア2次予選のカンボジア代表戦以来。久々のコンビとなったが、1失点は喫したものの安定した守備を90分間見せていた。 ▽槙野は「ゲームに入る前からずっと(吉田)麻也と話していたし、練習でもずっと組んでいた」と試合後にコメント。自身のプレーも「良い準備ができた中で、良いプレーができたと思う」と手応えを感じていたようだ。 ▽コンビを組んだ吉田も「全体的にすごく良かったと思う」と槙野のプレーを評価。これまで左サイドバックとして呼ばれていた槙野にとって、久々の出場で結果を示せたことは大きい。センターバックは、吉田、DF昌子源(鹿島アントラーズ)が軸になることが想定され、DF植田直通(鹿島アントラーズ)やDF三浦弦太(ガンバ大阪)ら若手も控えている。槙野としては、本大会を見据えユーティリティ性の高いディフェンダーとしてポジションを掴んでもらいたい。 ◆守備のバランス○、攻撃のバランス△(C)CWS Brains,LTD.▽最終予選の終盤で固定されていたDF酒井宏樹(マルセイユ)、吉田、長友佑都(インテル)の3人に槙野が加わったディフェンスライン。フィジカルに優れるニュージーランド相手にもしっかりと連携して対応し、最少失点で90分間を終えた。失点シーンは警戒していた形だっただけに、ワールドカップを考えれば、避けなければいけないものだったが、バランスの取り方も含めて大きな問題はなかった。 ▽一方、右に久保裕也(ヘント)、左に武藤、中央に大迫勇也(ケルン)を配し、トップ下に香川を起用した攻撃陣だったが、バランスに関してはあまり良いものではなかった。中央で構える大迫に対し、久保、武藤はサイドへの意識が強く、大迫のポストプレーを生かす場面はあまり見られなかった。 (C)CWS Brains,LTD.▽また、サイドでのデュエルという点でも、相手を崩し切る場面は少なく、中央では香川を含めてポジションがかぶるなど、前半はちぐはぐな攻撃に終始した。また、久保や武藤は決定機を逸するなど、シュート精度も欠いており、久々のテストとしては合格点は得られないパフォーマンスとなった。 (C)CWS Brains,LTD.▽一方で、後半から投入されて左サイドに入ったFW乾貴士(エイバル)、香川に代わって入ったMF小林祐希(ヘーレンフェーン)、右サイドに入ったFW浅野拓磨(シュツットガルト)は、チームを活性化。特に乾は長友とともに左サイドを圧倒し、決勝点を演出した。 (C)CWS Brains,LTD.▽乾は長友とのコンビについて「あれだけ良いタイミングで上がってもらえると、僕は本当にパスを出すだけ」と手応えを感じており、長友も「連携が良かった」と手応えを口にしている。両サイドともにサバイバルは激化しており、残り試合、そしてクラブでどこまでパフォーマンスを上げられるか。前後半で明暗が分かれたサイドは、FW本田圭佑(パチューカ)やケガで欠場したFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)もいるだけに、ポジション争いとともにレベルアップが楽しみだ。 ◆結果を手繰り寄せた倉田秋の動き(C)CWS Brains,LTD.▽ニュージーランドを相手に苦戦を強いられながらも、なんとか勝利を収めた日本。「このチームが見せられる最高のレベルからはまだ遠い」とハリルホジッチ監督が試合後に語ったように、決して満足の行く内容ではなかった。それでも、同点に追いつかれながら勝ち越して勝利。この結果は、今の日本代表にとって大きなものと言える。 ▽途中出場で入った倉田は、2列目からの飛び出しを繰り返し、ボールに絡んで行く姿勢が強く見られた。所属のガンバ大阪でも見せるボックス付近での攻撃センスは、この試合でも発揮。左サイドからの崩しが流れるも、右からの折り返しにダイビングヘッドで合わせた。 ▽杉本は前線で効果的な動きができていなかったが、囮になる動きはもともと得意とする選手。ニュージーランドの守備陣は杉本に気を奪われ、その隙を突いて倉田が飛び込んだ。2列目からの飛び出しは、ハリルホジッチ監督が目指す縦に早いサッカーには必要なもの。結果で示した倉田は、今後もテスト対象として追跡されることは間違いない。 ◆ハイチ戦ではさらなる新戦力のテストへ(C)CWS Brains,LTD.▽ニュージーランドに勝利した日本は、10日にハイチ代表との一戦を控える。「今年はたくさんの選手を見て、それぞれが何をできるかを見極めていきたいと思う」とハリルホジッチ監督が語った通り、植田やDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)、GK中村航輔(柏レイソル)、MF遠藤航(浦和レッズ)など、出場機会が少ない選手やキャップ数がない選手も起用される可能性が高い。 ▽一気にチーム構成を変えてしまってはテストにならないため、ニュージーランド戦のスタメン11人を全て変えることはないかもしれない。しかし、今はテスト期間。試しながら結果を求めて行くこと大事であり、トライすることこそが、最も重要なことだと思う。どのようなメンバーでどのような戦術を選択するのか。10日の試合でも、3つのポイントに引き続き注目していきたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.10.07 20:30 Sat
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【日本代表コラム】サバイバルの始まり…底上げと経験値の積み上げに絡むべき選手

▽28日、10月に行われるキリンチャレンジカップ2017のニュージーランド代表戦、ハイチ代表戦に向けた日本代表メンバーが発表される。9月に行われたロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で無事に6大会連続6度目のW杯出場を決めた日本。残り約9カ月では、チームの熟成と強化、底上げが求められる。 ▽国際親善試合に位置付けられている今回のキリンチャレンジカップ。W杯の出場が決定した日本にとっては、第3章の始まりとなる。本大会で世界の強豪国と対戦することを考えれば、9カ月という期間は時間があるとは言えない状況だ。 ▽来年のW杯本大会を見据えれば、今の日本に必要なのは、選手の底上げ、控え選手の経験値アップだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「コンディション」と「パフォーマンス」を優先して選手を選び続け、最初の目的であったW杯の出場権を見事に獲得した。しかし、主力選手の大半は固定されており、合宿や試合に招集されても選手を試すことはあまりできていなかった。特に、中盤から後ろのポジションに関しては、選手の底上げが必要となる。 ◆守護神の選定Getty Images▽アジア最終予選がスタートした際は、西川周作(浦和レッズ)が正守護神を務めていた。しかし、今年3月にアウェイで行われたUAE戦以降、川島永嗣(メス)が正守護神に君臨し続けている。控えGKとしては東口順昭(ガンバ大阪)、中村航輔(柏レイソル)が招集されているものの、アジア最終予選での出番はなかった。ニュージーランド戦、ハイチ戦は両選手が1試合ずつ出場することで、経験を積ませたい。また、権田修一(サガン鳥栖)や林彰洋(FC東京)ら日本代表経験者も控えている。バックアッパーにはなるが、不慮のケガなども考えれば、経験を積ませたいポジションだ。 ◆サイドバックに不安 ▽最終ラインに関して、吉田麻也(サウサンプトン)、昌子源(鹿島アントラーズ)、酒井宏樹(マルセイユ)、長友佑都(インテル)は、経験値やパフォーマンスを見ても問題はない。しかし、バックアッパーとなると酒井高徳(ハンブルガーSV)以外は、圧倒的に経験が少なくなる。 Getty Images▽サイドバックでは、内田篤人(ウニオン・ベルリン)の復帰が待ち遠しい。試合には出場しはじめているが、ヒザの状態は慎重にならざるを得ない。日本にとって内田が復帰するかどうかは大きな違いだが、期待ばかりしていると危険だ。アジア最終予選では酒井宏、長友、酒井高、槙野智章(浦和レッズ)しか出場しておらず、底上げが必要となる。 Getty Images▽右サイドバックでは、U-23で代表を経験している室屋成(FC東京)、松原健(横浜F・マリノス)がチームでも出場機会を得ている。その他、今シーズンから柏レイソルでプレーする小池龍太も面白い存在だ。酒井宏、酒井高の次に続く選手の選定は早急に進めたいところだろう。 Getty Images▽左サイドバックでは、太田宏介(FC東京)や藤春廣輝(ガンバ大阪)といった日本代表経験者も居るが、新戦力も試したいところだ。U-23日本代表経験者の山中亮輔(横浜F・マリノス)や松原后(清水エスパルス)は、今シーズン良いパフォーマンスを見せている。また、サガン鳥栖の左サイドを支える吉田豊も、長友のバックアッパーと考えるとハマりそうだ。川崎フロンターレの車屋紳太郎も左利きであり気になる存在だ。酒井高や槙野も左サイドバックでプレーできるだけに、右サイドバックよりは不安定さは少ないが、バックアップの人選は進める必要がある。 ◆センターバックは経験値 ▽センターバックに関しては、吉田、昌子のコンビが軸となっていくだろう。現在は負傷離脱している森重真人(FC東京)も最終予選でプレーしており、3枚は計算が立つ。しかし、4枚目のメンバーに関しては、日本代表としての経験が皆無に等しい状況だ。しっかりと経験を積ませる必要がある。 Getty Images▽直近の日本代表に選出されている植田直通(鹿島アントラーズ)、三浦弦太(ガンバ大阪)はU-23でもプレーしており、Jリーグでも経験を積んでいるだけに、A代表での経験値を積ませたいところだ。 ▽日本代表に新たに推薦したい選手では、中谷進之介、中山雄太の柏レイソルのCBコンビや、攻撃でも力を発揮できる高橋祥平(ジュビロ磐田)、ボランチやCBでプレー可能な谷口彰吾(川崎フロンターレ)だろう。いずれもアンダー世代の代表を経験し、谷口は日本代表に選出された経験もある。植田、三浦だけでなく、可能性がある選手には経験を積ませていきたい。 ◆カギはインサイドハーフか ▽中盤も新たなメンバーを試したいポジションだ。長谷部誠(フランクフルト)、山口蛍(セレッソ大阪)、井手口陽介(ガンバ大阪)の3選手に関しては、パフォーマンスも安定し結果も残している。しかし、アンカーを務められるのは長谷部、山口となっており、ケガや出場停止などを考えれば、新たな選手に出てきてもらいたい。 (C)J.LEAGUE PHOTOS▽前回招集されたメンバーでは、アンカーとしては高萩洋次郎(FC東京)が考えられるだろう。また、遠藤航(浦和レッズ)も最終予選でアンカーとしてプレーしており、大きな問題とはならなそうだ。バランスを取れる選手としては大谷秀和(柏レイソル)も気になる存在だ。 ▽一方で、インサイドハーフには新戦力を試してもらいたい。クラブで出色のパフォーマンスを見せていた柴崎岳(ヘタフェ)は負傷離脱してしまったが、新天地に活躍の場を移した森岡亮太(ベベレン)は久々に日本代表でもプレーがみたいところ。また、前回も招集されていた小林祐希(ヘーレンフェーン)も試合でパフォーマンスを見たい選手だ。 ▽国内組では、川辺駿(ジュビロ磐田)や山村和也(セレッソ大阪)、武富孝介(柏レイソル)、原川力、福田晃斗(ともにサガン鳥栖)といった所属クラブで結果を出している選手もいる。このポジションには出場機会が限られている香川真司(ドルトムント)や、戦列を離れている清武弘嗣(セレッソ大阪)が居るが、幅を持って考え、最終的なメンバーを絞ってもらいたいところだ。 ◆両ウイングにも新たな風を ▽3トップを考えた際、両ウイングが激戦区となるだろう。右は本田圭佑(パチューカ)、久保裕也(ヘント)、浅野拓磨(シュツットガルト)、左は原口元気(ヘルタ・ベルリン)、乾貴士(エイバル)、武藤嘉紀(マインツ)がメインとなっている。 Getty Images▽しかし、右には堂安律(フローニンヘン)、左には中島翔哉(ポルティモネンセ)と所属クラブでも結果を残し始めている選手も控えている。デュッセルドルフへと移籍した宇佐美貴史もここ3試合で2ゴールと気を吐いている。国内組では右には伊東純也(柏レイソル)、江坂任(大宮アルディージャ)、左には阿部浩之(川崎フロンターレ)など、結果を残している選手もいる。攻撃陣はコンディションと調子、そして結果が重要視されるため、多くのカードを手元に置くことが重要になるだろう。 ◆1トップの3番手は ▽1トップには大迫勇也(ケルン)が軸として入り、岡崎慎司(レスター・シティ)も今シーズンはゴールという結果を残している。しかし、3番手がなかなか出てこないのが現状だ。 (C)J.LEAGUE PHOTOS▽サウジアラビア戦でデビューを果たし、J1での得点ランキングでも2位につける杉本健勇(セレッソ大阪)、しばらく代表から離れているもののクラブでは結果を残している金崎夢生(鹿島アントラーズ)が有力候補だろう。その他、川又堅碁(ジュビロ磐田)、小林悠(川崎フロンターレ)といった今シーズン調子が良い選手も、再び代表でプレーする可能性はあるだろう。 ▽いずれにしても前線でタメを作るポストプレーができ、コンビネーションでゴールが奪える選手が求められることは間違いない。手元に置いて、チェックする必要はあるだろう。 ◆ここからはサバイバル ▽11月も国際親善試合が控えているが、欧州遠征という話も浮上している。12月にはEAFF E-1 東アジアサッカー選手権2017が日本で行われる。12月の大会では「最後に残るであろう選手を見極める大会となる。(ロシアW杯アジア)最終予選を突破した我々にとって、国内組を試す良い機会になる。本当に最後の最後までチームに残ることができるかどうか。そういった候補の選手を探す場として、この大会を位置付けたい」とハリルホジッチ監督もコメントした。 ▽クラブでの活躍が、日本代表に招集されることにつながり、W杯出場に近づくことになる。メンバー入りを果たすためには、各選手の活躍が必要になるが、日本代表としてもそういった選手が出てくることを待ちわびているだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.09.28 14:30 Thu
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【日本代表コラム】周到なサウジに敗れた日本、改めて感じた強化ポイント

▽大観衆が集まる完全なるアウェイ、過酷な気候・環境、そして死に物狂いで勝利を目指して向かってくるサウジアラビア代表──全てが日本代表の前に立ちはだかり、ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のラストゲームで黒星を喫した。 ▽すでにW杯出場を決めていた日本にとって、第3章のスタートと位置づけていた一戦。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、テストを行うとともに、最後も勝利を目指すメンバーをピッチに送り出した。 ◆本気の相手を前にした確認とテストGetty Images▽オーストラリア戦から、ケガの影響でチームを離脱したMF長谷部誠(フランクフルト)、メンバー外となったFW大迫勇也(ケルン)、FW乾貴士(エイバル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト)が先発を外れ、FW本田圭佑(パチューカ)、FW岡崎慎司(レスター・シティ)、FW原口元気(ヘルタ・ベルリン)が先発。また、約2年ぶりの招集となったMF柴崎岳(ヘタフェ)を先発で起用した。 ▽ハリルホジッチ監督は、GK、最終ライン、そして中盤の2名を継続して起用することで、サウジアラビア戦でもしっかりと勝利を目指す姿勢を見せた。DF吉田麻也(サウサンプトン)、DF昌子源(鹿島アントラーズ)と本大会に向けて軸となるであろうCBコンビ、そしてGKを含めた最終ラインの連携向上を実行した。 ▽中盤はMF山口蛍(セレッソ大阪)をアンカーに、オーストラリア戦で代表初ゴールを記録したMF井手口陽介(ガンバ大阪)を柴崎とともにインサイドハーフで起用した。ヒザの状態が懸念される長谷部不在の状況を考えた中盤起用。この先の軸となる選手を見出す必要がある。 ▽一方で、テストも実施している。「トップコンディションではないことはわかっていた」とハリルホジッチ監督が試合後に語ったのは右ウイングで先発した本田のこと。「リズムやゲーム勘の部分でトップレベルではない」と、これまで日本代表で不動の地位を確立していた本田に対し、公式の場ではっきりと苦言を呈した。 ▽また、オーストラリア戦で貴重な先制点を決めた浅野、日本代表初招集のFW杉本健勇(セレッソ大阪)を途中起用。終盤にはFW久保裕也(ヘント)を投入し、得点奪い、勝ちに行く姿勢を示した。結果は最終予選で初の無得点で敗戦。課題が多く見えた。 ◆サウジアラビアの周到な準備Getty Images▽サウジアラビアについても触れなくてはいけないことがある。まずは、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子がチケットを買い占め、多くのファンを無料でスタジアムに招待した。勝たなければいけなかったサウジアラビア代表の選手たちにとっては、この上ない後押しとなったはずだ。 ▽もちろん、評価すべきはそこだけではない。日本に勝利するため、サウジアラビアのファン・マルバイク監督は戦略、戦術をしっかりと準備した。まずは、前半のゲームプラン。サウジアラビアはポゼッションを高めたののも、思い切った攻撃には出ず。セットプレーやカウンターなど手数をかけずにゴールを目指していた。後半動きが良くなったことを考えると、気候や環境を考慮して前半をセーブしていたともとれる。 ▽より周到だと感じさせられたのは、攻撃の組み立てだ。日本の中盤3枚のプレスを掻い潜るかのように、プレス回避を実施。間を突いてパスを通せば、特に左サイドを起点とした攻撃を発動。前線が連動し、シュートチャンスを生み出していた。日本のストロングポイントを消しに行った戦い方をサウジアラビアは選択した。 ▽後半、途中投入されたファハドが左サイドで躍動。センターバックのズレを見逃さず、待望の先制点をもたらせた。そこからのサウジアラビアは無理に得点を狙わず、確実で固いサッカーを展開。最後まで日本にゴールを与えることなく、目的を完遂。3大会ぶり5回目のW杯出場を決めた。 ◆改めて感じた3つの強化ポジションGetty Images▽この試合で改めて感じさせられた強化すべきポジションが3つある。それは、センターバック、アンカー、そして右ウイングだ。この試合では、センターバックに吉田と昌子、アンカーに山口、右ウイングに本田が先発したが、この3ポジションは特に残り9カ月で変化が必要に感じる。 ▽まずはセンターバック。6月のシリア戦から4試合連続でコンビを組んだ吉田と昌子。この2人の組み合わせには異論はない。しかし、3枚目のセンターバックが確立されていないことが、この先の日本の課題だ。今回センターバックとして招集されたのは、上述の2人の他にDF植田直通(鹿島アントラーズ)とDF三浦弦太(ガンバ大阪)だ。しかし、両選手はプレー機会が訪れなかった。この先の親善試合や12月の東アジアカップでチャンスが訪れるとは思うが、吉田や昌子が不測の事態に陥る可能性を考えれば、残り9カ月でしっかりと強化することが不可欠となるだろう。 ▽そして右ウイングだ。この試合に先発した本田は、攻守において精細を欠き、特にプレスからのショートカウンターを武器としている日本にとって、この試合の本田の守備は問題点ばかりだった。所属のパチューカで試合に出場し、しっかりとパフォーマンスを取り戻せば問題はないと思うが、現時点では厳しい状況だ。オーストラリア戦でゴールを決めた浅野、2試合連続で途中投入された久保も正直物足りない。今シーズンは3名ともクラブで結果を出せておらず、このままシーズンが過ぎるようでは右ウイングは厳しい状態となる。ハリルホジッチ監督は、個々に特徴が異なる3名を招集しているだけに、現在呼ばれていない選手がハマる可能性も少なくない。右ウイングで組み立てができるプレーメーカーが、W杯では必要になるだろう。 ▽最後にアンカー。ここが一番の懸念点となる。サウジアラビアに突かれたポイントも、これまでは長谷部がカバーしていた。オーストラリア戦でも前半こそ動きに精彩を欠いたが、後半は“読み”の部分が戻り、バイタルエリアでフィルターをかけていた。ヒザの状態は一進一退であり、本大会を万全な状態で迎えられるかは定かではない。長谷部、山口、井手口というユニットを見出しはしたが、長谷部を欠くことになれば一から作り直しとなる。長谷部に代わるアンカーを見出すことは、日本が目指すスタイルには不可欠となるだろう。 ◆残された時間は9カ月Getty Images▽初戦と最終戦で黒星を喫したものの、6勝2分け2敗で首位突破を決めた日本。ここまでの約1年間で徐々に強化を進めながら、第一の目標であったW杯出場を決めたハリルホジッチ監督には、やはり本大会でも指揮を執ってもらいたいと思う。残り9カ月、誰よりも日本のサッカーをチェックしている指揮官であれば、新たな戦力の発掘、そして各個人のレベルアップに向けたアドバイスを与えられるはずだ。そして、勝利にこだわるスピリットは、選手のコメントからも強まっていることを感じる。 ▽9カ月後には、世界の予選を勝ち抜いた強豪国との対戦が待っているが、今の日本では2014年と同じ結果になる可能性もある。しかし、これまでの積み上げと変化を考えれば、ここからの9カ月でレベルアップできる可能性もある。コンディションとパフォーマンスを重視するハリルホジッチ監督だけに、各選手はまずはクラブでしっかりと結果を残すこと。10月の2試合ではどんなメンバーが名を連ねるのか楽しみだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.09.07 11:00 Thu
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サウジ戦を控える日本…累積リーチは5人、ファウルトラブルを避けるためのスタメンとは!?

▽6大会連続6度目のワールドカップ(W杯)出場を決めた日本代表。5日の深夜には、長く厳しい戦いが続いたロシアW杯アジア最終予選の最終節、サウジアラビア代表戦が行われる。 ▽既に本大会出場を決めている日本代表にとっては、勝敗はW杯出場には関係ないものの、サウジアラビアにとっては死活問題。オーストラリア代表が最終節でタイ代表に2-1で勝利しため、日本に勝利しない限りは3位に転落し、グループA3位とのプレーオフに回ることとなる。 ▽日本にとって最も避けたいのは選手の負傷だ。サウジアラビアが激しく来ることを考えれば、負傷というリスクが伴う可能性がある。そして次に気をつけたいのが、選手の警告だ。 ▽ロシアW杯アジア最終予選では、2度の警告で1試合の出場停止となる。日本では、DF酒井宏樹(マルセイユ)が2度の警告を受けて、第4節のオーストラリア戦で出場停止処分となっていた。 ◆前回大会は予選の出場停止は持ち越し ▽サウジアラビア戦で日本のW杯予選は終了となるため、最終節が終わった段階で警告が累積した場合は、2014年のブラジルW杯と同じルールであれば、本大会の初戦でプレーできないこととなる。実際に、ブラジルW杯ではクロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチやコロンビア代表MFフレディ・グアリンは、予選最終節で退場処分となり、初戦を欠場している。 ▽現時点で、日本代表選手で警告を受けているのは7名。今回招集されているメンバーでは5名が警告を受けており、サウジアラビア戦では2枚目のイエローカードをもらわないことが重要となる。警告を受けている選手は以下のとおり。 DF吉田麻也(第1戦:UAE) DF酒井宏樹(第5戦:サウジアラビア) DF槙野智章(第4戦:オーストラリア) FW久保裕也(第6戦:UAE) FW大迫勇也(第9戦:オーストラリア) ▽この他に、GK西川周作(浦和レッズ)とDF森重真人(FC東京)が警告を受けているもの、今回のメンバーには招集されていないためリセット。また、FW大迫勇也(ケルン)もメンバー外になるとみられるため、リセットとなる。ちなみに、予選での警告は本大会に持ち越されないため、その他の選手がサウジアラビア戦で警告を受けても、リセットされる。もちろん、2度の警告や退場処分となれば、その出場停止は持ち越される。 ▽そうなると、吉田、酒井宏、槙野、久保が警告を受けた場合、出場停止となってしまう。本大会の初戦を考えると、不動のセンターバックである吉田、右サイドバックのレギュラーである酒井宏が警告を受けることは避けたい。また、右ウイングでポジション争い中の久保、センターバック、サイドバックをこなせる貴重なバックアッパーとなっている槙野も警告は避けたいところだ。 ▽チームの成熟度アップと、底上げを図っていきたい日本にとって、吉田と酒井宏を先発で起用する可能性は高いだろう。しかし、この件を踏まえると、リスクを回避するために出場させないことも考えられる。そうなった場合のスターティングメンバーは、以下のメンバーになる可能性が高いのではないだろうか。 ◆日本代表予想スタメン (C)CWS Brains,LTD.GK:川島永嗣 DF:酒井高徳、植田直通、昌子源、長友佑都 MF:柴崎岳、山口蛍、井手口陽介 FW:本田圭佑、岡崎慎司、原口元気 ▽DF三浦弦太(ガンバ大阪)もメンバーから外れるとみられており、鹿島アントラーズを支えるセンターバックコンビが日本代表で実現する可能性がある。また、右サイドには酒井宏に代わって酒井高徳(ハンブルガーSV)を起用できるだろう。 ▽センターバックを植田と昌子の鹿島コンビにする場合は、GKは川島永嗣(メス)となるだろう。GK東口順昭(ガンバ大阪)やGK中村航輔(柏レイソル)のプレーも観たいが、大幅な変更は経験値の積み上げにもなりにくい。左サイドバックも槙野を起用しないと考えるならDF長友佑都(インテル)になるだろう。 ▽中盤はMF長谷部誠(フランクフルト)、MF香川真司(ドルトムント)が離脱したため、選択肢は減る。連携面と経験を考えるとMF山口蛍(セレッソ大阪)、MF井手口陽介(ガンバ大阪)の2人は継続して起用したい。残る1枚はMF柴崎岳(ヘタフェ)を使いたいところだ。MF小林祐希(ヘーレンフェーン)、MF高萩洋次郎(FC東京)は展開によって起用か。 ▽前線は総入れ替えとなると予想。大迫がメンバー外になるとみられ、久保は累積が心配だ。オーストラリア戦で先発したFW乾貴士(エイバル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト)を起用しないとなれば、選択肢は限られる。右はMF本田圭佑(パチューカ)、センターはFW岡崎慎司(レスター・シティ)と予想。FW杉本健勇(セレッソ大阪)は戦術の落とし込みが十分ではなく、先発は考えにくい。 ▽いずれにしても、本大会を見据えた戦いをスタートさせる日本。チームとしての成熟度アップ、新たな戦力の発掘、スタイルの浸透など課題は多い。それでも、本大会へのリスク回避という点では、激しい戦いになると予想されるサウジアラビア戦での累積警告だけは避けたいところだ。26時30分と深い時間のキックオフとなるが、そのあたりに注目するのもいいのではないだろうか。 2017.09.05 21:30 Tue
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【日本代表コラム】指揮官の狙いが的中、世代の“融合”で歴史を塗り替える

▽想像を超えてきたというのが正直な感想だ。勝てば6大会連続のワールドカップ(W杯)出場権を獲得できる一戦。相手は最終予選でこれまで勝ったことがないオーストラリア代表だった。結果は2-0で勝利。歴史を変える勝利を挙げ、見事にホームの大観衆の前で結果を残した。 ▽運命を握る大一番、スターティングメンバーとしてピッチに立つメンバーを見たときに関心させられた。中盤の一角にMF井手口陽介(ガンバ大阪)、右ウイングにFW浅野拓磨(シュツットガルト)を起用。メンバー発表会見で語った「その時点でベストだと思える選手を使うのが、私のサッカーの見方」の言葉通り、経験よりも調子の良さ、勝つためのポイントを重視したメンバー構成となった。 ▽井手口は6月に行われたアウェイのイラク代表戦で先発出場を果たしており、この試合が最終予選で2度目の先発出場。リオ・デ・ジャネイロ五輪を経験しているとはいえ、大一番で起用するにはリスクを考えることもあったはずだ。しかし、所属のG大阪での調子の良さ、そして攻守にわたって広くプレーできる井手口のポテンシャルを考えた結果の決断と言えるだろう。また、それはオーストラリアの戦い方にも影響したようにも思う。 ▽浅野は2016年9月に行われたタイ代表とのW杯最終予選以来の先発出場。FW本田圭佑(パチューカ)やFW久保裕也(ヘント)がいる中で、W杯最終予選ではここ4試合出番なし。しかし、大事な一戦で実に1年ぶりにスターティングメンバーとしてピッチに立った。 ◆オーストラリア対策を考えての起用 ▽井手口、浅野の先発起用に関しては、両選手のパフォーマンスだけでなく、オーストラリアの戦い方も影響したように思う。「フィジカルの強さ、空中戦の強さ」がイメージとして先行しがちなオーストラリアだが、現在はシステムを3バックに変更。さらに、パスをつなぐ地上戦での戦いを試している状況だ。 ▽コンフェデレーションズカップでは、ドイツ代表やチリ代表を相手にもゲームコントロールを重視した戦いをみせ、自分たちで試合を作る方向にシフトしていたが、オーストラリアにとっても大一番である日本戦でもその姿勢は崩さなかった。 ▽この戦い方を考えれば、中盤でのボール奪取能力が高く、攻撃面でも大きく貢献できる井手口の起用は納得だ。MF長谷部誠(フランクフルト)、MF山口蛍(セレッソ大阪)と守備に重きを置ける2人と中盤を構成することで、井手口の特徴でもある攻撃面が出せる状況に。攻守にわたってキーマンになれる可能性が高かった。また、浅野に関しても同様だ。3バックの脇、ウイングバックの裏を突くという点では、抜群のスピードを誇る浅野の起用は納得。日本はウィークポイントを、チームとして、そして個人としてストロングポイントで上回ろうと考えたのだろう。その采配は見事に的中した。 ◆普段通りの力を出した井手口陽介Getty Images▽まずは、この試合のMVPとも言える活躍を見せた井手口だ。G大阪でも見せる、攻守に絡むプレーをこの試合でも発揮。前半から精力的に動き回ると、地上戦を挑んできたオーストラリアのパスを何度もカット。ショートカウンターの形を何度も作り出していた。そして、守備だけでなく攻撃力も発揮。ゴール、ボールに絡みに行く姿勢は、Jリーグで見せるものと同じだった。 ▽日本代表として3試合目の出場。2度目の先発と確かに経験値は低いと言えるかもしれないが、物怖じしない性格と、G大阪やU-23日本代表として戦ってきた経験が大一番で発揮された。そして、日本としてこれまで足りなかった追加点を奪う活躍。そのほかにも随所に良さを見せ、代表初ゴールのオマケ付きで日本をW杯に導いた。 ◆特徴を発揮した浅野拓磨Getty Images▽先制ゴールを記録した浅野も、久々に自身の特徴を生かせたと言っていいだろう。3バックの脇、ウイングバックの裏でボールを受ける回数が多く、ボールが回ってくれば積極的に仕掛ける姿勢も多く見られた。自身に課せられたタスクをしっかりとこなす中で、特徴でもあるスピードを発揮。オーストラリアの最終ラインにとって脅威となり続けた。 ▽得点シーンも浅野らしさが発揮された。左サイドからDF長友佑都(インテル)が上げたクロスに対し、抜群のタイミングでの飛び出し。サンフレッチェ広島で共にプレーしてきたFW佐藤寿人を彷彿とさせ、自身も得意とする形でのゴール。らしさを見せることで、しっかりと結果を残すことに成功した。 ◆忘れてはいけない経験者の支えGetty Images▽ゴールを奪った2人の若手にフォーカスが集まっているが、その裏にある経験者のパフォーマンスの高さについても触れないわけにはいけない。GK川島永嗣(メス)はピンチこそ少なかったものの、冷静な判断と安定したセービングでクリーンシートを達成。長谷部は前半こそ浮き足立ったプレーが散見され、バックパスをカットされたりボールロストする場面が見られたが、後半は安定感を取り戻した。 ▽1アシストを記録した長友も、オーストラリアのカギを握ると見られたマシュー・レッキーを封じた。DF酒井宏樹(マルセイユ)もクラブでのパフォーマスの良さを継続。守備面での貢献は特に高く、相手の決定機でもしっかりと体を寄せて無失点に貢献した。 ▽FW大迫勇也(ケルン)は前線で体を張り、FW乾貴士(エイバル)は緩急をつけた攻撃、粘り強い守備で貢献。途中出場のFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)も、ディエルで強さを見せて井手口のゴールに繋げた。攻守にわたり、ピッチに送り出された“サムライ”たちが、しっかりと自分のタスクをこなし、歴史を変える結果を掴んだ。 ◆ここからは強化スタートも…Getty Images▽無事に6大会連続6度目のW杯出場を決めたことで、この先はチームの強化、ベースアップに力を入れることができる。オーストラリア戦では、これまで代表を牽引してきたMF香川真司(ドルトムント)、本田をベンチに置いての勝利。“世代交代”ではなく、“融合”に向けての一歩を踏み出すことができたと言える。 ▽しかし、試合後に予期せぬ知らせが。ハリルホジッチ監督が「実は私はプライベートの方で大きな問題を抱えている。この試合前に帰ろうかと思うほどの大きな問題だった」と明かした。詳細は明かされていないが、大きな決断を下さなければいけない事態であることは間違いない。サウジアラビア戦では指揮を執る予定だが、10月のキリンチャレンジカップ2017やその先については不透明な状況だ。 ▽最終予選を戦いながらも新戦力をチームに取り込み、国内、海外とプレーする場に関係なく選手たちをチェックしているハリルホジッチ監督。オーストラリア相手に最終予選で初勝利を収めただけでなく、最終予選の初戦で敗れたらW杯に出られないという負のジンクスさえも塗り替えることができた。日本代表がW杯で残しているベスト16という過去の結果を塗り替えるためには、勝利にこだわりながらもチームを育めるハリルホジッチ監督の力が必要となる。 ▽去就に関しては協会や指揮官の決断を待つことしかできないが、ここまで日本代表が見せた変化を考えれば、ハリルホジッチ監督が率いるチームをW杯で観たいというのが率直な気持ちだ。このチームがこの先どのような変化を遂げていくのか。そして、その先の本大会で日本がどのような結果を出すのか。残り9カ月を見守っていきたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.09.01 09:30 Fri
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【日本代表コラム】結果はドローも、新世代のプレーに見えた光明

▽灼熱のピッチ、ケガ人に悩まされるスクランブル状態の中、日本代表はロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のイラク代表戦に臨んだ。残り2試合の相手がオーストラリア代表(グループ3位)、サウジアラビア代表(グループ2位)ということを考えれば、勝ち点3を持ち帰りたかったはずだ。しかし、結果は1-1のドロー。最低限の勝ち点1を持ち帰るに留まった。 ▽この試合に向けては、7日に行われたシリア代表とのキリンチャレンジカップ2017で左肩を脱臼したMF香川真司(ドルトムント/ドイツ)を始め、追加招集されたFW宇佐美貴史(アウグスブルク/ドイツ)が離脱。さらに、シリア戦で負傷したMF山口蛍(セレッソ大阪)が全体メニューをこなせないなど、ケガに悩まされた。 ▽その結果、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は3月のUAE代表戦やシリア戦で試した[4-3-3]ではなく、[4-2-3-1]を採用。システムの変更だけでなく、ダブルボランチにMF遠藤航(浦和レッズ)、MF井手口陽介(ガンバ大阪)のリオ・デジャネイロ五輪コンビを起用。トップ下にFW原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)を配置し、右にFW本田圭佑(ミラン/イタリア)、左にFW久保裕也(ヘント/ベルギー)、1トップにFW大迫勇也(ケルン/ドイツ)を配置した。 ▽厳しい環境に加え、新たな布陣を試した日本代表。試合中にも負傷者が続出するエクスキューズもあり、引き分けに終わったことは残念ではあるが、光明も見えたように思う。 ◆本来のパフォーマンスを見せた昌子源 ▽シリア戦では久々の代表戦、DF吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)との初コンビなど、イレギュラーな要素もあり不安定な立ち上がりとなったDF昌子源(鹿島アントラーズ)。しかし、イラク戦では鹿島で見せているパフォーマンスに近いものを発揮することができていた。 ▽持ち味である一対一の強さは試合中に何度も見せ、ロングボールで裏を狙ってくるイラクに対し、しっかりと対応していた。また、同サイドのDF長友佑都(インテル/イタリア)や久保、そしてボランチの遠藤、井手口に対しても試合中に声をかけ、ポジショニングの修正を図っていた。まだまだ代表キャップは少ないものの、今回招集外となったDF森重真人(FC東京)のポジションを脅かす存在になることは間違いないだろう。センターバックの序列が変わる可能性を感じさせた。 ◆ダブルボランチを務めた遠藤航&井手口陽介のリオコンビ ▽今回のメンバーには遠藤、井手口、さらにGK中村航輔(柏レイソル)、FW浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)とリオ五輪メンバーが招集。また、同世代のDF三浦弦太(ガンバ大阪)も招集されており、新たな世代がA代表に関わるようになった。 ▽遠藤は、2006年6月のキリンカップサッカーのボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦以来1年ぶりの出場。井手口はシリア戦に続き出場となり、初先発を果たしたが、両選手が見せたパフォーマンスは結果以上にポジティブに捉えても良いだろう。 ▽互いに守備を意識した入りとなり、遠藤は後方に構えてバランスを、井手口は豊富な運動量でボールを奪いにピッチを走り回った。序盤は2人のポジショニングが安定せず、バイタルエリアを空けてしまうシーンも見られたが、徐々にアジャスト。井手口が攻撃面でも良いプレーを見せ始めた矢先に、脳震とうで交代となってしまったことは残念だった。遠藤は失点シーンでパスを回されてしまった部分はあったものの、90分戦い切ったことは評価していいだろう。 ▽チームの安定剤だったMF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)がケガで戦列を離れ、2番手だった山口も負傷欠場。MF今野泰幸(ガンバ大阪)も負傷離脱から復帰したばかりと、ボランチのポジションが手薄となっていた。そんな中での2人のプレーぶりは、世代交代を含めてこの先の日本代表にとっては光明と言えるだろう。 ◆2カ月半後の決戦へGetty Images▽昌子、遠藤、井手口と新たな世代に起用の目処が立ったものの、残り2戦は総力戦で臨むことが必須だ。2カ月半後ともなれば、選手の状態やパフォーマンスなどは全く想像できない。海外組は移籍している選手も居るだろうし、国内組でも海外移籍を実現させている選手がいるかもしれない。ケガから復帰する選手もいれば、ケガをしている選手がいるかもしれない。どんな状況が待っているかは分からないが、新たな選手が計算できることはプラスだ。あとはハリルホジッチ監督がどの様な判断を下すのか。オーストラリア戦までの選手の状態を把握し、ロシアW杯出場権を掴むためにもしっかりとした決断を下してもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.06.14 19:15 Wed
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【日本代表コラム】新たな可能性を見出した“テストマッチ”

▽約3カ月ぶりの代表活動となり、アウェイでのイラク代表とのロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選を前にしたテストマッチで、日本代表はシリア代表と1-1の引き分けに終わった。「ドローで終わったことは、我々にとって警告を意味するものとなったと思う」と試合後にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語った通り、勝てなかったことで気を引き締めなくてはならない状況になった。しかし、それも大きな収穫と言えるのではないだろうか。 ▽シリア戦に限らず「勝つこと」にこだわるハリルホジッチ監督にとって、この一戦で勝利を挙げられなかったことは計算外だったはずだ。しかし、「テストマッチ」という位置付けで考えれば、結果以外の部分では多くのことをテストし、確認、把握することができた試合でもあったように思う。 ◆インサイドハーフの本田圭佑Getty Images▽この試合で一番大きな収穫と言っても過言ではないのは、FW本田圭佑(ミラン/イタリア)のインサイドハーフ起用だろう。これまでは右ウイングで起用され、直近の試合はFW久保裕也(ヘント/ベルギー)に先発の座を譲っていた本田。シリア戦でもベンチスタートとなったが、後半頭から出場すると、前線でボールを収め、攻撃にタメを作る動きで流れを生み出していた。 ▽63分にMF今野泰幸(ガンバ大阪)に代わってFW浅野拓磨(シュツットガルト/ドイツ)が入ったことで、インサイドハーフへとポジションを下げた本田。すると、ボールキープ力に加え、持ち前の展開力を発揮。さらに、ゴール前にも顔を出し、2度の決定機を作るなど、インサイドハーフとしての役割を十分に果たしていた。 ▽MF香川真司(ドルトムント/ドイツ)が左肩を脱臼し、日本代表からの離脱が発表されたことは、ハリルホジッチ監督にとっては計算外だったはずだ。これまでトップ下でプレーしてきた本田を右サイドで一貫して起用してきたハリルホジッチ監督としては、香川離脱を考えての起用だったかもしれない。大事なイラク戦に向けて、“本田のインサイドハーフ”は良いテストになったと言えるだろう。 ◆井手口陽介の可能性Getty Images▽本田とともにインパクトを残したのは、A代表デビューを果たしたMF井手口陽介(ガンバ大阪)だ。これまでもポテンシャルを評価され、ハリルホジッチ監督も目をつけていた井手口。53分にMF山口蛍(セレッソ大阪)に代わって出場すると、持ち前のボール奪取力を発揮。攻撃参加の回数は少なかったが、アンカーとして粘り強い守備を見せ、シリアの攻撃を寸断していた。 ▽山口がシリア戦で足を負傷しており、ここで井手口をプレーさせたことは、この先の戦いで生きてくるだろう。MF遠藤航(浦和レッズ)、今野以外の選択肢を作れたことは、プラスになった。 ◆乾貴士のポテンシャルGetty Images▽所属クラブのエイバルでコンスタントにプレーし、シーズン最終戦となったバルセロナ戦で2ゴールと大活躍を見せていたFW乾貴士(エイバル/スパイン)には、多くの期待が寄せられていた。足の状態が不安視される中、後半途中から出場すると、持ち前のテクニックをいきなり発揮。77分にはロングフィードをしっかりと収めると、ドリブルで切れ込みボックス内に侵入。そのままシュートを放つプレーを見せた。 ▽相手の運動量が落ちてきたタイミングではあったものの、乾の確かなスキルを確認できたことはプラス。周囲との連係が上がってくれば、得点も生まれるだろう。イラク戦はジョーカーとしての起用となりそうだが、攻撃に変化をもたらせるカードとしては申し分ないと言える。 ◆経験が必要な昌子源Getty Images▽一方で、パフォーマンスの問題で招集外となったDF森重真人(FC東京)の代役を担ったDF昌子源(鹿島アントラーズ)は、経験を積む必要がありそうだ。立ち上がりは緊張からか地に足がつかないプレーがあり、初コンビを組むDF吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)との位置関係も不安定だった。しかし、時間が経つにつれプレーも安定し、一対一の局面などでは鹿島で見せるプレーに戻りつつあった。 ▽後半の失点シーンでは、目測を誤ってしまった感は否めないが、それ以外には大きなミスも見られなかった。いきなりの出場ではなく、イラク戦を前に吉田とのコンビを経験できたことは大きいだろう。これから日本代表として国際舞台での経験を積むことで、センターバックの序列に変化をもたらせる可能性は感じさせた。イラク戦までにどうアジャストしていくのかに注目だ。 ◆不安要素は新戦術と組み合わせGetty Images▽確認という点では、[4-3-3]に慣れていない選手がいること、そしてピッチ内での組み合わせでパフォーマンスが大きく変わることをシリア戦で把握できたのは大きかったと言える。新たな戦術としての[4-3-3]では、サイドの選手と中盤の選手の関わりが大きく影響する。香川がアクシデントで急きょピッチを去った影響は少なくなく、代わりに入ったMF倉田秋(ガンバ大阪)はゲームに入るまで時間がかかっていた。 ▽左サイドで先発したFW原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)、右サイドで先発した久保もゴールへ向かう姿勢は見せたが、周囲との呼吸が合わず効果的な攻撃を見せることができなかった。負けられないイラク戦に向けて、イランでの調整でコンディションを上げる必要があるだろう。 ◆本番はイラク戦 ▽今回のシリア戦はあくまでも親善試合。最も重要なのは、13日に行われるイラク戦だ。そのための準備として海外組合宿を行い、国内組は合流して間もない状況であった。その中で、新たな発見もあり、また問題も見つかったということは、「テストマッチ」という位置付けのシリア戦はポジティブに考えられる。しかし、それもイラク戦で結果を残してこそ。ハリルホジッチ監督がどの様なチョイスをするのか、13日の決戦を待ちたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.06.08 21:00 Thu
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【U-20日本代表コラム】適応能力の高さを見せた守備の要・冨安健洋の伸び代

▽5大会ぶりにU-20W杯に出場を果たしたU-20日本代表。東京オリンピック世代ということ、そして2世代を超えて招集されたFW久保建英(FC東京 U-18)の招集もあり、これまで以上にも大きな期待が寄せられている中、初戦となったU-20南アフリカ代表戦を1-2で制した。 ▽長年に渡り、この世代でのアジア予選を勝ち抜くことができなかった日本だったが、昨年行われたAFC U-19選手権を無失点、無敗で初制覇。2007年以来の本大会出場を決めた。 ▽予選を無失点で終えていた日本だったが、南アフリカ戦では先手を奪われる。7分、一瞬の隙を突かれると、マージマンが最終ラインのズレを生かして裏に抜け、そのままゴールを奪い切った。思わぬ先制点を許してしまった日本。「予測以上の個々のスピードがあった」と試合後に内山篤監督が語ったように、想定を超える瞬発力の前に、ディフェンスラインを突破されてしまった。 ▽前半は最終ライン裏へのロングボールに苦労し、全体をコンパクトに保ちたい日本としては、厄介な相手となった。ラインを高く設定しても、長い距離のスプリントで勝つことができず、ボックス付近まで簡単にボールを運ばれていた。 ▽チャンスこそ多く作られていた日本だったが、徐々に南アフリカのスピードにも慣れが見えてくる。ロングフィードに対するカバーリング、サイドバックの絞りなどが時間の経過とともに改善され、南アフリカに攻め込まれるものの、1ゴールに抑えた。 ▽この試合で特筆すべきは、センターバックでDF中山雄太(柏レイソル)とコンビを組んだDF冨安健洋(アビスパ福岡)の2人だ。冨安は試合が進むごとにレベルアップしている印象さえ受けた。内山監督も「修正能力が非常に高い」と評価したように、失点以降は南アフリカのエースであるシング相手にも臆することなく対応。ゴールを許さず、封じ込めることに成功した。 ▽確かに、これまでのアジアでの戦いとは違い、裏を取られるシーンが多かった。エコパスタジアムで行われたU-20ホンジュラス代表との親善試合での失敗も生きたように思う。日本でプレーしているだけでは感じにくい足の伸びや、出足の早さ、瞬発力…前半の南アフリカは日本を大きく上回っていた。 ▽後半の中盤にも南アフリカに押し込まれる時間帯が続いた。右サイドバックのDF初瀬亮(ガンバ大阪)が積極的に攻め上がる一方で、南アフリカは裏のスペースにロングボールを蹴り、アフリカユース選手権で得点王にも輝いたエースのシングを走らせた。しかし、冨安は前半とは違いしっかりとこれに対応。身体の寄せ方や、相手との間合い、スペースのケアなどが改善されていた。 ▽冨安は「試合の中で相手のスピードにも慣れて対応できる部分はあった」と語っており、前半はバタつく印象があった相手の攻撃への対応も、後半は安定感を見せていた。南アフリカのロングボールに関しては、J1に比べてロングボールが多いJ2で戦っている経験も生きたかもしれない。 ▽さらに、守備だけでなく繋ぐ意識もしっかりと持ち、ビルドアップにも貢献。相手に囲まれながらも、蹴り出す場面は少なかった。後半は、ボランチとしてもプレーできる冨安の良さを随所に見ることができた。 ▽初戦の勝利は、U-20日本代表のチームとってはもちろん、各選手にとっても大きな経験となったはずだ。そして、未知数の南アフリカのスピードにしっかりと適応できた冨安にとっても大きな経験となったはず。「もっと早く対応できれば良かった」とさらなる成長を口にしたことを考えても、未来は明るい。 ▽この先は、ウルグアイ、イタリアとさらにレベルが高い相手との対戦が待っている。初戦での逆転勝利も去ることながら、世界との対戦で大きな伸び代を見せてくれた冨安。今大会中にどれだけ大きく成長するのかワクワクが止まらない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2017.05.22 23:00 Mon
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